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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022007364
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】梱包資材
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/05 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
B65D81/05 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020110287
(22)【出願日】2020-06-26
(71)【出願人】
【識別番号】591151163
【氏名又は名称】株式会社ニチワ
(74)【代理人】
【識別番号】100092842
【弁理士】
【氏名又は名称】島野 美伊智
(74)【代理人】
【識別番号】100166578
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 芳光
(72)【発明者】
【氏名】阿部 留松
【テーマコード(参考)】
3E066
【Fターム(参考)】
3E066AA52
3E066CA01
3E066FA11
3E066HA01
3E066JA03
3E066KA01
3E066NA42
3E066NA43
3E066NA51
3E066NA53
3E066NA54
3E066NA60
(57)【要約】
【課題】 寸法や形状の異なる被梱包体について、上記被梱包体を囲繞した状態で保持することによりその位置を固定することができる汎用性の高い梱包資材を提供すること。
【解決手段】 空気流入路から空気を注入して上記各セル空気流入口及び逆止弁を介して上記各棒状セルを膨張させ、上記屈曲底サイドラインで上記長尺棒状セルの横(W)方向の両側を上記箱の横(W)方向内壁に密着する側壁部として立ち上がらせ、上記長尺棒状セルと短尺棒状セルの交差領域部を上記箱内の底に底壁部として押し付けて内装させ、上記短尺棒状セルを側壁部及び囲繞部として上記箱の内壁に沿って立ち上がらせ、上記底壁部上に載置された被梱包体を上記囲繞部によって相互に重なりながら囲繞するようにしたもの。
【選択図】 図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦(L)×横(W)×高さ(H)の内寸法を有する箱内に内装される梱包資材であって、
少なくとも2枚のフィルムシートが重ね合わされその一部が相互に溶着され、
縦(L)方向に延長され一端側を閉塞し他端側を開放した空気流入路が形成され、
上記空気流入路に直交するように多数の棒状セルが夫々のセル空気流入口を介して隣接した状態で設けられ、
上記各セル空気流入口と上記各棒状セルとの間には上記各棒状セル内への通気を可能とする逆止弁が介在され、
上記棒状セルは上記縦(L)方向の途中で横(W)方向に長尺を呈する複数本の長尺棒状セルと該長尺棒状セルを挟んで縦(L)方向両側で短尺を呈する一方側の複数本の短尺棒状セルと他方側の複数本の短尺棒状セルとから構成され、
上記長尺棒状セルの横(W)方向両側には点状又は点線状の溶着により屈曲底サイドラインがそれぞれ形成されていて、
上記一方側の短尺棒状セルの縦(L)方向長さは高さ(H)にαを加算した寸法であり上記他方側の短尺棒状セルの縦(L)方向長さは高さ(H)にβを加算した寸法であり、
上記αとβは次の式(I)と(II)を満たし、
2L≧α+β>L―――(I)
α≧β―――(II)
上記空気流入路から空気を注入して上記各セル空気流入口及び逆止弁を介して上記各棒状セルを膨張させ、上記屈曲底サイドラインで上記長尺棒状セルの横(W)方向の両側を上記箱の横(W)方向内壁に密着する側壁部として立ち上がらせ、上記長尺棒状セルと短尺棒状セルの交差領域部を上記箱内の底に底壁部として押し付けて内装させ、
上記短尺棒状セルを側壁部及び囲繞部として上記箱の内壁に沿って立ち上がらせ、上記底壁部上に載置された被梱包体を上記囲繞部によって相互に重なりながら囲繞するようにしたことを特徴とする梱包資材。
【請求項2】
請求項1記載の梱包資材において、
上記屈曲底サイドラインを介して立ち上がった上記長尺棒状セルの横(W)方向両側の側壁部の先端は上記箱の上面内壁から若干押圧されるように構成されていることを特徴とする梱包資材。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の梱包資材において、
上記短尺棒状セルは上記屈曲底サイドラインを介して立ち上がった上記長尺棒状セルの横(W)方向両側の側壁部の間で若干押圧されていることを特徴とする梱包資材。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れかに記載の梱包資材において、
上記箱は段ボール箱であることを特徴とする梱包資材。
【請求項5】
請求項1~請求項4の何れかに記載の梱包資材において、
上記空気流入路は上記長尺棒状セルの何れか一方の屈曲底サイドラインの横(W)方向内側近傍に設けられ、上記短尺棒状セルは空気流入路の一側のみの空気流入口及び逆止弁を介して膨張させていることを特徴とする梱包資材。
【請求項6】
請求項1~請求項4の何れかに記載の梱包資材において、
上記空気流入路は横(W)方向中間位置に設けられ、上記長尺棒状セル及び上記短尺棒状セルは空気流入路の両側の空気流入口及び逆止弁を介して膨張させていることを特徴とする梱包資材。
【請求項7】
請求項1~請求項6の何れかに記載の梱包資材において、
十字形状をなしていて四隅が切り欠かれていることを特徴とする梱包資材。
【請求項8】
請求項1~請求項6の何れかに記載の梱包資材において、
矩形をなしていて四隅に棒状セルがない折畳部が設けられていることを特徴とする梱包資材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、段ボール箱等の箱内に被梱包体を収容して梱包する際に緩衝材として用いられる梱包資材に係り、特に、箱内において寸法や形状の異なる被梱包体を囲繞した状態で保持することによりその位置を固定することができるように工夫したものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の梱包資材の構成を開示するものとして、例えば、特許文献1がある。
【0003】
特許文献1に記載された空気緩衝材は、二枚合わせにした合成樹脂フィルムを、外枠を形成する側縁部と、上記側縁部の内側であって上記側縁部を横断して12等分する辺縁部と、上記辺縁部を縦断して3室に区分する区縁部で熱溶着して、中央に12個の空気室、これら12個の空気室の中央の3つの空気室の両側にそれぞれ3つずつの空気室を形成し、上記中央の12個の空気室を縦断するように溶着して流路を形成して上記中央の12個の空気室を左右に分割し、上記流路と上記分割された空気室の間にポリエチレン製弁フィルムによる逆止弁を介して連絡するようにしたものである。
又、上記流路の一端には空気流入口が設けられ、この空気流入口にも逆止弁が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-117311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の構成によると、次のような問題があった。
特許文献1記載の空気緩衝材は、辺縁部や区縁部を被梱包体の寸法や形状に対応させて形成されるので、上記被梱包体毎に金型を用意せねばならず、汎用性に欠けていた。
【0006】
本発明は、このような点に基づいてなされたものでその目的とするところは、寸法や形状の異なる被梱包体について、上記被梱包体を囲繞した状態で保持することによりその位置を固定することができる汎用性の高い梱包資材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するべく本発明の請求項1による梱包資材は、縦(L)×横(W)×高さ(H)の内寸法を有する箱内に内装される梱包資材であって、少なくとも2枚のフィルムシートが重ね合わされその一部が相互に溶着され、縦(L)方向に延長され一端側を閉塞し他端側を開放した空気流入路が形成され、上記空気流入路に直交するように多数の棒状セルが夫々のセル空気流入口を介して隣接した状態で設けられ、上記各セル空気流入口と上記各棒状セルとの間には上記各棒状セル内への通気を可能とする逆止弁が介在され、上記棒状セルは上記縦(L)方向の途中で横(W)方向に長尺を呈する複数本の長尺棒状セルと該長尺棒状セルを挟んで縦(L)方向両側で短尺を呈する一方側の複数本の短尺棒状セルと他方側の複数本の短尺棒状セルとから構成され、上記長尺棒状セルの横(W)方向両側には点状又は点線状の溶着により屈曲底サイドラインがそれぞれ形成されていて、上記一方側の短尺棒状セルの縦(L)方向長さは高さ(H)にαを加算した寸法であり上記他方側の短尺棒状セルの縦(L)方向長さは高さ(H)にβを加算した寸法であり、上記αとβは次の式(I)と(II)を満たし、
2L≧α+β>L―――(I)
α≧β―――(II)
上記空気流入路から空気を注入して上記各セル空気流入口及び逆止弁を介して上記各棒状セルを膨張させ、上記屈曲底サイドラインで上記長尺棒状セルの横(W)方向の両側を上記箱の横(W)方向内壁に密着する側壁部として立ち上がらせ、上記長尺棒状セルと短尺棒状セルの交差領域部を上記箱内の底に底壁部として押し付けて内装させ、上記短尺棒状セルを側壁部及び囲繞部として上記箱の内壁に沿って立ち上がらせ、上記底壁部上に載置された被梱包体を上記囲繞部によって相互に重なりながら囲繞するようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項2による梱包資材は、請求項1記載の梱包資材において、上記屈曲底サイドラインを介して立ち上がった上記長尺棒状セルの横(W)方向両側の側壁部の先端は上記箱の上面内壁から若干押圧されるように構成されていることを特徴とするものである。
又、請求項3による梱包資材は、請求項1又は請求項2記載の梱包資材において、上記短尺棒状セルは上記屈曲底サイドラインを介して立ち上がった上記長尺棒状セルの横(W)方向両側の側壁部の間で若干押圧されていることを特徴とするものである。
又、請求項4による梱包資材は、請求項1~請求項3の何れかに記載の梱包資材において、上記箱は段ボール箱であることを特徴とするものである。
又、請求項5による梱包資材は、請求項1~請求項4の何れかに記載の梱包資材において、上記空気流入路は上記長尺棒状セルの何れか一方の屈曲底サイドラインの横(W)方向内側近傍に設けられ、上記短尺棒状セルは空気流入路の一側のみの空気流入口及び逆止弁を介して膨張させていることを特徴とするものである。
又、請求項6による梱包資材は、請求項1~請求項4の何れかに記載の梱包資材において、上記空気流入路は横(W)方向中間位置に設けられ、上記長尺棒状セル及び上記短尺棒状セルは空気流入路の両側の空気流入口及び逆止弁を介して膨張させていることを特徴とするものである。
又、請求項7による梱包資材は、請求項1~請求項6の何れかに記載の梱包資材において、十字形状をなしていて四隅が切り欠かれていることを特徴とするものである。
又、請求項8による梱包資材は、請求項1~請求項6の何れかに記載の梱包資材において、矩形をなしていて四隅に棒状セルがない折畳部が設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
以上述べたように本発明の請求項1による梱包資材によると、縦(L)×横(W)×高さ(H)の内寸法を有する箱内に内装される梱包資材であって、少なくとも2枚のフィルムシートが重ね合わされその一部が相互に溶着され、縦(L)方向に延長され一端側を閉塞し他端側を開放した空気流入路が形成され、上記空気流入路に直交するように多数の棒状セルが夫々のセル空気流入口を介して隣接した状態で設けられ、上記各セル空気流入口と上記各棒状セルとの間には上記各棒状セル内への通気を可能とする逆止弁が介在され、上記棒状セルは上記縦(L)方向の途中で横(W)方向に長尺を呈する複数本の長尺棒状セルと該長尺棒状セルを挟んで縦(L)方向両側で短尺を呈する一方側の複数本の短尺棒状セルと他方側の複数本の短尺棒状セルとから構成され、上記長尺棒状セルの横(W)方向両側には点状又は点線状の溶着により屈曲底サイドラインがそれぞれ形成されていて、上記一方側の短尺棒状セルの縦(L)方向長さは高さ(H)にαを加算した寸法であり上記他方側の短尺棒状セルの縦(L)方向長さは高さ(H)にβを加算した寸法であり、上記αとβは次の式(I)と(II)を満たし、
2L≧α+β>L―――(I)
α≧β―――(II)
上記空気流入路から空気を注入して上記各セル空気流入口及び逆止弁を介して上記各棒状セルを膨張させ、上記屈曲底サイドラインで上記長尺棒状セルの横(W)方向の両側を上記箱の横(W)方向内壁に密着する側壁部として立ち上がらせ、上記長尺棒状セルと短尺棒状セルの交差領域部を上記箱内の底に底壁部として押し付けて内装させ、上記短尺棒状セルを側壁部及び囲繞部として上記箱の内壁に沿って立ち上がらせ、上記底壁部上に載置された被梱包体を上記囲繞部によって相互に重なりながら囲繞するようにしたので、寸法や形状の異なる被梱包体であっても上記被梱包体を囲繞した状態で箱内で上記被梱包体の位置を固定して緩衝的に梱包できる。寸法や形状の異なる被梱包体であっても、同じ梱包資材が使えるので、汎用性の高いものとして提供することができる。
又、請求項2による梱包資材によると、請求項1記載の梱包資材において、上記屈曲底サイドラインを介して立ち上がった上記長尺棒状セルの横(W)方向両側の側壁部の先端は上記箱の上面内壁から若干押圧されるように構成されているので、上記梱包資材自体が先ずは上記箱内で固定され、その上で上記被梱包体を囲繞するから、箱内で上記被梱包体の位置を固定して緩衝的に梱包できる。
又、請求項3による梱包資材によると、請求項1又は請求項2記載の梱包資材において、上記短尺棒状セルは上記屈曲底サイドラインを介して立ち上がった上記長尺棒状セルの横(W)方向両側の側壁部の間で若干押圧されているので、短尺棒状セルにおける囲繞部が上記被梱包体を囲繞した状態及び位置を保ち、結果、箱内で上記被梱包体の位置を固定して緩衝的に梱包できる。
又、請求項4による梱包資材によると、請求項1~請求項3の何れかに記載の梱包資材において、上記箱は段ボール箱であるので、大量生産に適うようになり、安価な梱包資材として大量に提供することができる。
又、請求項5による梱包資材によると、請求項1~請求項4の何れかに記載の梱包資材において、上記空気流入路は上記長尺棒状セルの何れか一方の屈曲底サイドラインの横(W)方向内側近傍に設けられ、上記短尺棒状セルは空気流入路の一側のみの空気流入口及び逆止弁を介して膨張させているので、上記長尺棒状セルにおける底壁部の全部が空気注入されたセル(独立空気袋)群域となり、その全面を箱の底に接触させることができて、緩衝性や被梱包体の載置安定性を向上させることができる。
又、請求項6による梱包資材によると、請求項1~請求項4の何れかに記載の梱包資材において、上記空気流入路は横(W)方向中間位置に設けられ、上記長尺棒状セル及び上記短尺棒状セルは空気流入路の両側の空気流入口及び逆止弁を介して膨張させているので、上記空気流入路の両側に各独立する空気注入されたセル(独立空気袋)を構成することができ、万一の箱損傷時にセルを穿孔して萎んでしまうセルがあったとしても、その危険確率を1/2とすることができて、緩衝材としての安全性、信頼度を高めることができる。
又、請求項7による梱包資材によると、請求項1~請求項6の何れかに記載の梱包資材において、十字形状をなしていて四隅が切り欠かれているので、箱内に押し込み易くて、作業性の良いものとして提供することができる。
又、請求項8による梱包資材によると、請求項1~請求項6の何れかに記載の梱包資材において、矩形をなしていて四隅に棒状セルがない折畳部が設けられているので、被梱包体からの水や液分の外部滲出や箱外からの水や液分の内部侵入を防ぐことができ、更に上記折畳部を緩衝材としても機能させることができて、資材の廃棄無駄もない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施の形態を示す図で、梱包資材の平面図である。
図2】本発明の第1の実施の形態を示す図で、図2(a)は梱包資材の全てのフィルムシートを分解した分解斜視図、図2(b)は梱包資材の一番下側のフィルムシートと逆止弁用フィルムシートを溶着した状態を示す分解斜視図、図2(c)は梱包資材の一番下側の本体フィルムシートと逆止弁用フィルムシートを溶着した状態(一番上側の本体フィルムシートを剥がした状態)での長尺棒状セルにおける逆止弁部分の拡大図である。
図3】本発明の第1の実施の形態を示す図で、梱包資材と段ボール箱を示す斜視図である。
図4】本発明の第1の実施の形態を示す図で、梱包資材を段ボール箱内に押し入れようとする際の梱包資材を示す斜視図である。
図5】本発明の第1の実施の形態を示す図で、梱包資材を段ボール箱内に押し込んだ状態を示す斜視図である。
図6】本発明の第1の実施の形態を示す図で、図6(a)は、略フルサイズの被梱包体を梱包した際の梱包資材の短尺棒状セルの囲繞部によって被梱包体を囲繞した状態を示す斜視図、図6(b)は、図6(a)のb-b矢視概略断面図、図6(c)は、フルサイズではない小型或いは少ない量の被梱包体を梱包した際の同概略断面図である。
図7】本発明の第2の実施の形態を示す図で、梱包資材の平面図である。
図8】本発明の第3の実施の形態を示す図で、梱包資材の平面図である。
図9】本発明の第4の実施の形態を示す図で、梱包資材の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図1乃至図6を参照して本発明の第1の実施の形態を説明する。この第1の実施の形態による梱包資材1は、図1及び図2に示すように、2枚の本体用フィルムシート3、5を重ね合わせその一部を溶着して構成されている。又、上記2枚の本体用フィルムシート3、5の間であって所定位置には、逆止弁機能を発揮させる為に事前に一部に溶着のなされた2枚の逆止弁用フィルムシート7と逆止弁用フィルムシート8とが介挿されている。上記本体用フィルムシート3、5は十字形をなしており、上記逆止弁用フィルムシート7、8は細長い凸字形をなしている。又、上記本体用フィルムシート3、5と上記逆止弁用フィルムシート7、8は、例えば、PE等の合成樹脂製フィルムである。勿論、本体用フィルシーム3、5と逆止弁用フィルムシート7、8とは、必ずしも予め十字形や凸字形に整えておく必要はなく、最終的にそれら形状にカット等されるようであって良い。
【0011】
上記梱包資材1は、図3から図6に示すように、段ボール箱15内に被梱包体17を収容して梱包する際に緩衝材として使用される。上記段ボール箱15はその大きさが縦(L)、横(W)、高さ(H)によって規定、JIS規格化もされているが、本発明の梱包資材の寸法決定には、箱の内寸を基準として求めるのが望ましい。以下、上記梱包資材1の構成を説明するに際して、上記段ボール箱15の縦(L)に沿った方向を縦(L)方向、横(W)に沿った方向を横(W)方向、高さ(H)に沿った方向を高さ(H)方向として説明する。又、説明の便宜上、縦(L)方向で上下又は前後と、横(W)方向で左右と称することもある。
尚、上記段ボール箱15は、本体15a、左蓋体15b、右蓋体15c、後蓋体15d、前蓋体15eから構成され、本体15aは、左側部15a、右側部15a、後側部15a、前側部15a、底部15aからなっている。本発明の箱としては、勿論、このような形状及び構造の段ボール箱に限る必要はない。
【0012】
図1に示すように、上記梱包資材1の縦(L)方向(図1中上下方向)の途中には複数本(この実施の形態の場合には9本)の長尺棒状セル21が設けられている。又、上記複数本の長尺棒状セル21を挟んで縦(L)方向の一方側(図1中上側)には複数本(この実施の形態の場合には13本)の短尺棒状セル23が設けられており、他方側(図1中下側)には複数本(この実施の形態の場合には8本)の短尺棒状セル25が設けられている。図1に示すように、上記複数本の長尺棒状セル21と短尺棒状セル23、25とは、縦(L)方向に沿って延長された4本の溶着線27、29、31、33、横(W)方向に沿って延長された複数本(この実施の形態の場合には31本)の溶着線35によって所定のピッチで連設されている。
【0013】
上記梱包資材1の上記溶着線31の図1中左側には空気流入路51が設けられている。この空気流入路51は、本体用フィルシーム3、5と逆止弁用フィルムシート7、8とに対して施される上記溶着線31と別の溶着線53とによって構成されている。上記空気流入路51の一端(図1中下端)は空気流入口55として開放されており他端(図1中上端)は閉塞されている。この空気流入口55に図示しない空気注入機のノズルが挿し込まれて空気が注入される。
【0014】
上記複数本の長尺棒状セル21の上記溶着線29、31の外側部分は、梱包資材1を段ボール箱15内に内装したとき、左右の側壁部37、39として立ち上げられる部分である。すなわち、上記溶着線29、31が屈曲底サイドラインとして機能する。上記長尺棒状セル21が設けられている部分と上記短尺棒状セル23、25が設けられている部分の交差領域部は底壁部41として機能する部分である。又、上記短尺棒状セル23、25は、梱包資材1を段ボール箱15内に内装したとき、前後の側壁部43、45として立ち上げられる部分であり、且つ、被梱包体17を上面側から包み込むように囲繞する囲繞部47、49として機能する部分である。
【0015】
上記梱包資材1を上記段ボール箱15内に押し込んだ時、左右の上記側壁部37、39の上端が上記段ボール箱15の左蓋体15b、右蓋体15c、後蓋体15dを介して前蓋体15eによって若干下方に押し付けられた状態になるように、上記溶着線27と29との間、上記溶着線31と33との間の寸法が決定されている。
【0016】
上記底壁部41の図1中右端及び上記短尺棒状セル23、25の図1中右端は、基本的には上記溶着線53の位置になる。一方、上記長尺棒状セル21の図1中右側の側壁部39となる部分の図1中左端は溶着線31の位置となる。ここで、空気流入路51の幅、すなわち、溶着線53と31の間が、各セルへの空気注入後も、空気が封入された状態とはなっておらず、単にフィルムが重なり合った変形自由度の高い領域となっている為、段ボール箱の横(W)方向の内寸と長尺棒状セル21における溶着線29と53との間の寸法差、すなわち、段ボール箱15の底部15aの幅寸法と溶着線29と53の間で上記長尺棒状セル21が空気注入により膨張して底壁部41となった幅との間の寸法差を、上記長尺棒状セル21における側壁部37、39がその上端から上記段ボール箱15の前蓋体15e等で若干下方に押し下げられるのと相まって寸法調整する。
他方、空気が注入された上記長尺棒状セル21における側壁部37は、溶着線29があるものの、元々は一体のセルとして一直線上を保ちたいし、上記のとおり、上記長尺棒状セル21における底壁部41が上記段ボール箱15の底の横(W)方向の内寸略いっぱいであるため、梱包資材1を上記段ボール箱15内に押し込んだ時には、上記長尺棒状セル21における側壁部37、39は、上記段ボール箱15の本体15aの左側部15a、右側部15aに押圧される形で内設される。上記短尺棒状セル23、25は、その上で、上記長尺棒状セル21の左右の側壁部37、39の間に若干押圧される状態で入り込めるようになる。
【0017】
上記逆止弁用フィルムシート7、8は、上記溶着線31、35、53によって、上記本体フィルムシート3、5の間の所定位置に4枚のフィルムシート重ねとして固定されており、その結果、上記本体フィルムシート3、5の間の所定の複数個所、すなわち、各長尺棒状セル21、短尺棒状セル23、25に対応した箇所に複数個の逆止弁61がそれぞれ設けられた構成になっている。
尚、上記各長尺棒状セル21については左右に1個ずつ計2個の逆止弁61が設けられている。
詳しくは、図2(c)に示すように、その少なくとも一方の内側面に耐熱インク印刷部73を形成した逆止弁用フィルムシート7、8を、上記本体シート3、5の所定箇所に配置した上で、逆止弁用フィルムシート7、8と本体シート5の間で、予め複数個所の溶着部63、65、67、69を設け、その後に、上記溶着部31、35、53を形成するのであるが、この際に、この耐熱インク印刷部73を横切りつつ、上記本体フィルムシート3、5と上記逆止弁用フィルムシート7、8の4枚のフィルムシート重ねの状態で、溶着線31、53を施す。もって、上記各逆止弁61となる逆止弁用フィルムシート8の外側面を上記本体フィルムシート5の内側面に溶着し、且つ、溶着線31、53が耐熱インク印刷部73を交差する線上の上記逆止弁用フィルムシート7、8同士は溶着されないようにして、上記各長尺棒状セル21としての区切りが形成されるとともに、上記空気流入路51の各対応位置に空気流入口71が設けられることになる。結果、溶着線31、53は一部が点線状となる。
【0018】
上記複数本の長尺棒状セル21の部分において、上記溶着線29は間欠的なものとなっており、その結果、連通孔81が設けられている。
【0019】
図3に示すように、上記一方側の複数本の短尺棒状セル23の縦(L)方向の寸法(L)は、段ボール箱15の高さ(H)に(α)を加算した長さに設定されている。又、他方側の複数本の短尺棒状25の縦(L)方向の寸法(L)は、段ボール箱15の高さ(H)に(β)を加算した長さに設定されている。上記αとβは次の式(I)、(II)を満足する値である。
2L≧α+β>L―――(I)
α≧β ―――(II)
このように構成することにより、上記被梱包体17の大きさが変化しても上記被梱包体17の位置を固定して緩衝的に梱包することができる。
【0020】
次に、この第1の実施の形態による作用について説明する。
梱包資材1を用いて梱包を行う際には次のように行う。
まず、空気流入口55から空気を注入して上記梱包資材1、すなわち、各長尺棒状セル21並びに短尺棒状セル23、25を同時的に膨張させる。すると、梱包資材1は、概ね図3のような状態となる。
【0021】
次に、図4に示すように、上面側(図4中上側)を開口させた段ボール箱15内に上記梱包資材1を押し込む。すると、上記梱包資材1は、上記溶着線29、31が屈曲底サイドラインとして機能し、左右の側壁部37、39が立ち上がりつつ、段ボール箱15の本体15aの左側部15a、右側部15aの内壁面に若干押圧されながら、梱包資材1の底壁部41が段ボール箱15の本体15aの底部15aの略全域を満たすように押し付けられ、落とし込まれる。
他方、一方側の複数本の短尺棒状セル23と他方側の複数本の短尺棒状セル25とは、段ボール箱15の本体15aの左側部15a、右側部15aの内壁面に若干押圧されつつ立ち上がった側壁部37、39の断面略円形状に膨張した内側において、それらから若干押圧されつつ、前後の側壁部43、45が段ボール箱1の本体15aの後側部15a、前側部15aの内壁面に沿って立ち上がる。
この後に、側壁部43、45より前後端となる部分は囲繞部47、49として機能するが、それら領域は、実際に梱包する被梱包体の形状寸法により異なり、梱包資材1を段ボール箱15に落とし込んだだけの状態では、段ボール箱15から飛び出る部分がそれらに該当する。
【0022】
ここで、上記一方側の複数本の短尺棒状セル23、他方側の短尺棒状セル25の側壁部43、45及び囲繞部47、49として機能する部分は、上記複数本の長尺棒状セル21の側壁部37、39として機能する部分の内側で両者間に挟まれ押圧された状態になっているのが重要であり、このことにより、小型或いは少ない量の被梱包体17を上記短尺棒状セル23、25の囲繞部47、49で囲繞する場合、これら囲繞部47、49が上記長尺棒状セル21の側壁部37、39として機能する部分から押圧されているので、多少の振動や衝撃でも被梱包体17及び囲繞部47、49自体が移動することはなく、被梱包体17を最初に梱包した際の位置に留めることができる。
【0023】
段ボール箱15に略フルサイズの被梱包体17を梱包する場合は、図6(a)、(b)に示すように、上記他方側の複数本の短尺棒状セル25の囲繞部49を上記被梱包体17の上に折り畳み、その上に一方側の複数本の短尺棒状セル23の囲繞部47を折り重ねて上記被梱包体17を包み込むように囲繞する。その際、必要に応じて図示しないテープで固定するのが望ましい。
その後、上記段ボール箱15の左蓋体15b、右蓋体15cを閉じた後、後蓋体15dを閉じ、最後に前蓋体15eを閉じて固定し、梱包を完了する。このとき、上記側壁部37、39の上端側が上記段ボール箱15の前蓋体15eによって左蓋体15b、右蓋体15c、後蓋体15dを介して押圧された状態になっているのは勿論、短尺棒状セル23、25の囲繞部47、49も上記段ボール箱15の前蓋体15e、左蓋体15b、右蓋体15c、後蓋体15dから押圧されるに近い状態で梱包することができる。
他方、小型或いは少ない量の被梱包体17’を梱包する場合には、図6(c)に示すように、被梱包体17’は短尺棒状セル23の囲繞部47、49で巻き込まれるように囲繞される。このときは、専ら、長尺棒状セル21における左右の側壁部37、39により短尺棒状セル23の囲繞部47、49の位置固定がなされるようになる。
【0024】
次に、この第1の実施の形態による効果について説明する。
まず、段ボール15内で上記被梱包体17を囲繞した状態で保持してその位置を固定することができる。
又、図3に示すように、上記一方側の複数本の短尺棒状セル23の縦(L)方向の寸法(L)は、段ボール箱15の高さ(H)に(α)を加算した長さに設定されていて、他方側の複数本の短尺棒状25の縦(L)方向の寸法(L)は、段ボール箱15の高さ(H)に(β)を加算した長さに設定されていて、αとβは上記式(I)、(II)を満たす大きさに設定されているので、上記被梱包体17の大きさが変化しても上記被梱包体17を囲繞した状態で保持してその位置を固定することができ、汎用性の高い梱包資材として提供することができる。
又、上記一方側の複数本の短尺棒状セル23、他方側の短尺棒状セル25の側壁部43、45、囲繞部47、49として機能する部分が、上記複数本の長尺棒状セル21の側壁部37、39として機能する部分の間に挟まれ押圧された状態になっているので、上記被梱包体17の位置固定がより確実なものとなる。
又、上記側壁部37、39の上端側は上記段ボール箱15の前蓋体15eによって押圧された状態になっており、空気注入により膨張した梱包資材1自体が箱内で位置決め固定されているので、それによっても、上記被梱包体17の位置固定がより確実なものとなる。
又、上記梱包資材1の上記溶着線31の図1中左側に空気流入路51が設けられているので、長尺棒状セル21における底壁部41の全部が空気注入されたセル(独立空気袋)群域となり、その全面を段ボール箱15の底部15aに接触させることができて、緩衝性や被梱包体の載置安定性を向上させることができる。
又、上記段ボール箱15を用いるので、大量生産に適うようになり、安価な梱包資材として大量に提供することができ、安価に梱包を行うことができる。
【0025】
次に、図7を参照して本発明の第2の実施の形態を説明する。
この第2の実施の形態による梱包資材101は、前記第1の実施の形態による梱包資材1と略同様の構成であるが、空気流入路51が横(W)方向(図7中左右方向)の中央に配置されている。すなわち、横(W)方向(図7中左右方向)の中央付近を縦(L)方向(図7中上下方向)に延長された2本の並行な溶着線103、105で溶着し、上記溶着線103、105の間に上記空気流入路51が形成されている。又、上記溶着線103、105は間欠的なものであり、各逆止弁61に対応する位置にセル空気流入口71が設けられている。
尚、その他の構成は前記第1の実施の形態の場合と同じであり、図中同一部分には同一符号を付して示しその説明を省略する。
【0026】
次に、この第2の実施の形態の場合も、前記第1の実施の形態の場合と同様の作用及び効果を奏することができる。
又、空気流入路36が横方向の中央に位置しているので、空気流入路36の両側に各独立する空気注入されたセル(独立空気袋)を構成することができて、万一の箱損傷時にセルを穿孔して萎んでしまうセルがあったとしても、その危険確率を1/2とすることができて、緩衝材としての安全性、信頼度を高めることができる。
【0027】
次に、図8を参照して本発明の第3の実施の形態を説明する。前記第1の実施の形態においては2枚の本体用フィルムシート3、5を十字形状とした構成を例に挙げて説明したが、この第3の実施の形態における梱包資材201の場合はこれを長方形としたものである。その結果、四隅に折畳部203、205、207、209が設けられている。
尚、その他の構成は前記第1の実施の形態の場合と同じであり図中同一部分には同一符号を付して示しその説明を省略する。
【0028】
したがって、前記第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
又、折畳部203、205、207、209がさらなる緩衝材として機能することができ、全体として緩衝機能を向上させることができる。
又、2枚の本体用フィルムシート3、5を単純な長方形としたことにより製造の容易化を図ることができると共に、被梱包体からの水や汁などの液分の外部滲出や箱外からの水や液分の内部侵入を防ぐことができる。
【0029】
次に、図9を参照して本発明の第4の実施の形態を説明する。前記第2の実施の形態においては2枚の本体用フィルムシート3、5を十字形状とした構成を例に挙げて説明したが、この第4の実施の形態における梱包資材301の場合の場合にはこれを長方形としたものである。その結果、四隅に折畳部303、305、307、309が設けられている。
尚、その他の構成は前記第2の実施の形態の場合と同じであり図中同一部分には同一符号を付して示しその説明を省略する。
【0030】
したがって、前記第2の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
又、折畳部303、305、307、309がさらなる緩衝材として機能することができ、全体として緩衝機能を向上させることができる。
又、2枚の本体用フィルムシート3、5を単純な長方形としたことにより製造の容易化を図ることができると共に、被梱包体からの水や汁などの液分の外部滲出や箱外からの水や液分の内部侵入を防ぐことができる。
【0031】
尚、本発明は前記第1~第4の実施の形態に限定されるものではない。
本体用フィルムシートや逆止弁用フィルムシートの枚数は3枚以上の場合も考えられる。
各セルの個数、寸法等には様々な場合が考えられる。
溶着部の形状、位置、範囲には様々な場合が考えられ、必要により折畳部の一部に切込みを入れても良い。
その他、図示した構成はあくまで一例である。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、段ボール箱に物品を梱包する際に用いられる梱包資材に係り、特に、寸法や形状の異なる被梱包体について、上記被梱包体を囲繞した状態で段ボール内で上記被梱包体の位置を固定して緩衝的に梱包できる汎用性の高い梱包資材を提供できるように工夫したものに関し、例えば、卵、豆腐、野菜、果物、牛乳といった飲食物、衣類、調度品、壊れ易い精密部品、半導体などの梱包・搬送に好適である。
【符号の説明】
【0033】
1 梱包資材
3 本体用フィルムシート
5 本体用フィルムシート
15 段ボール箱
21 長尺棒状セル
23 短尺棒状セル
25 短尺棒状セル
51 空気流入路
61 逆止弁
71 セル空気流入口
101 梱包資材
201 梱包資材
203 折畳部
205 折畳部
207 折畳部
209 折畳部
301 梱包資材
303 折畳部
305 折畳部
307 折畳部
309 折畳部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9