(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022073641
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】管継手構造
(51)【国際特許分類】
F02M 55/02 20060101AFI20220510BHJP
F16L 19/02 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
F02M55/02 330Z
F16L19/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020183764
(22)【出願日】2020-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】303047034
【氏名又は名称】株式会社ジャパンエンジンコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柿元 泰
【テーマコード(参考)】
3G066
3H014
【Fターム(参考)】
3G066BA36
3G066BA65
3G066CB03
3G066CD04
3H014CA04
(57)【要約】
【課題】管と継手とのシール性を確保できる管継手構造を提供すること。
【解決手段】管継手構造は、流体を流通させる内部流路と、前記内部流路の開口端部が形成されて外側に凸の部分球面状をなす凸状端部とを有する管と、前記管の外周面に取り付けられる筒状に形成され、前記管の中心軸方向における前記凸状端部とは反対側に凸の部分球面状をなすシート部を有する筒状部と、前記凸状端部と当接するテーパ状の当接部を有し、前記流体を扱う装置と前記管とを連通する継手部と、前記管の中心軸方向における前記凸状端部とは反対側に向かって縮径するテーパ状の押圧部を内部に有し、前記継手部の外周面に螺着されるとともに、前記筒状部の前記シート部を前記押圧部で押圧して前記管の前記凸状端部を前記継手部の前記当接部に押圧する袋ナットとを備える。前記管の前記凸状端部および前記筒状部の前記シート部の各曲率中心は、前記管の中心軸上に位置する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を流通させる内部流路と、前記内部流路の開口端部が形成されて外側に凸の部分球面状をなす凸状端部とを有する管と、
前記管の外周面に取り付けられる筒状に形成され、前記管の中心軸方向における前記凸状端部とは反対側に凸の部分球面状をなすシート部を有する筒状部と、
前記凸状端部と当接するテーパ状の当接部を有し、前記流体を扱う装置と前記管とを連通する継手部と、
前記管の中心軸方向における前記凸状端部とは反対側に向かって縮径するテーパ状の押圧部を内部に有し、前記継手部の外周面に螺着されるとともに、前記筒状部の前記シート部を前記押圧部で押圧して前記管の前記凸状端部を前記継手部の前記当接部に押圧する袋ナットと、
を備え、
前記管の前記凸状端部および前記筒状部の前記シート部の各曲率中心は、前記管の中心軸上に位置する、
ことを特徴とする管継手構造。
【請求項2】
前記筒状部の前記シート部の曲率中心は、前記管の前記凸状端部の曲率中心と同じ位置にある、
ことを特徴とする請求項1に記載の管継手構造。
【請求項3】
前記筒状部は、前記管の外周面に形成された段差部と接触して、前記管の中心軸方向における前記筒状部の位置を制限するストッパー部を更に有する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の管継手構造。
【請求項4】
前記押圧部のテーパ面は、線形テーパ面である、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の管継手構造。
【請求項5】
前記押圧部のテーパ面は、曲面状のテーパ面である、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の管継手構造。
【請求項6】
前記押圧部のテーパ面は、前記筒状部の前記シート部と同じ曲率中心を有する部分球面状のテーパ面である、
ことを特徴とする請求項5に記載の管継手構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管継手構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関等の配管の分野においては、燃料等の流体を流通させる管と当該流体を扱うポンプ等の装置とを継手を介して接合する管継手構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この管継手構造は、一般に、管の外周面に螺着されたニップルを介して、この管を、袋ナットにより継手に締め付ける構造となっている。このような管継手構造において、管の外周面には、当該外周面から出っ張ったニップルのシート面が形成されている。袋ナットは、このニップルのシート面を介して管を継手に押圧しながら、この継手に螺着される。
【0003】
また、継手に対する管の接合部は、外側に凸の略球面状に形成されている。そして、この管の接合部を受ける継手の受け部は、略円錐台の表面をなす凹のテーパ状に形成されている。このため、たとえ管が継手の中心軸に対して傾いた状態であっても、これら管の接合部と継手の受け部とは、相互に線当りで当接した状態を維持することができる。これにより、管の接合部と継手の受け部との当接圧力を流体の圧力以上に高くし得ることから、これら管と継手とのシール性を確保することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の管継手構造では、管の外周面から出っ張るニップルのシート面と当該シート面を押圧する袋ナットの押圧面との両方とも、平面状に形成されている。このため、管が継手の中心軸に対して傾いた状態で袋ナットにより締め付けられた場合、管の中心軸を挟んでニップルのシート面の一方側と他方側とで、袋ナットの押圧面との接触に偏りが生じる。これに起因して、管の接合部と継手の受け部との当接圧力に偏りが生じてしまい、たとえ見掛け上、管の接合部と継手の受け部とが相互に線当りで当接した状態となっていても、これら管の接合部と継手の受け部との間に、流体の圧力よりも当接圧力が低くなる部分が生じる恐れがある。この結果、管と継手とのシール性が低下するという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、管と継手とのシール性を確保することができる管継手構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る管継手構造は、流体を流通させる内部流路と、前記内部流路の開口端部が形成されて外側に凸の部分球面状をなす凸状端部とを有する管と、前記管の外周面に取り付けられる筒状に形成され、前記管の中心軸方向における前記凸状端部とは反対側に凸の部分球面状をなすシート部を有する筒状部と、前記凸状端部と当接するテーパ状の当接部を有し、前記流体を扱う装置と前記管とを連通する継手部と、前記管の中心軸方向における前記凸状端部とは反対側に向かって縮径するテーパ状の押圧部を内部に有し、前記継手部の外周面に螺着されるとともに、前記筒状部の前記シート部を前記押圧部で押圧して前記管の前記凸状端部を前記継手部の前記当接部に押圧する袋ナットと、を備え、前記管の前記凸状端部および前記筒状部の前記シート部の各曲率中心は、前記管の中心軸上に位置する、ことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る管継手構造は、上記の発明において、前記筒状部の前記シート部の曲率中心は、前記管の前記凸状端部の曲率中心と同じ位置にある、ことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る管継手構造は、上記の発明において、前記筒状部は、前記管の外周面に形成された段差部と接触して、前記管の中心軸方向における前記筒状部の位置を制限するストッパー部を更に有する、ことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る管継手構造は、上記の発明において、前記押圧部のテーパ面は、線形テーパ面である、ことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る管継手構造は、上記の発明において、前記押圧部のテーパ面は、曲面状のテーパ面である、ことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る管継手構造は、上記の発明において、前記押圧部のテーパ面は、前記筒状部の前記シート部と同じ曲率中心を有する部分球面状のテーパ面である、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る管継手構造によれば、管と継手とのシール性を確保することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る管継手構造の一適用例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る管継手構造の一構成例を示す断面模式図である。
【
図3】
図3は、
図2に示す管継手構造の要部を拡大した断面模式図である。
【
図4】
図4は、従来の管継手構造の一構成例を示す断面模式図である。
【
図5】
図5は、従来の管継手構造の問題点を説明するための模式図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係る管継手構造の作用を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、添付図面を参照して、本発明に係る管継手構造の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本実施形態により、本発明が限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実のものとは異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、各図面において、同一構成部分には同一符号が付されている。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係る管継手構造の一適用例を示す模式図である。
図2は、本発明の実施形態に係る管継手構造の一構成例を示す断面模式図である。
図3は、
図2に示す管継手構造の要部を拡大した断面模式図である。
図1~3に示すように、本実施形態に係る管継手構造1は、接合対象である管10および継手部30と、管10を継手部30に締め付けるためのニップル20および袋ナット40と、を備える。
【0017】
管10は、流体を流通させるための配管(流通管)である。詳細には、
図2に示すように、管10は、金属等によって構成され、内部流路11と凸状端部12とを有する。内部流路11は、燃料油等の流体を流通させる流路であり、例えば、管10の中心軸C1方向の一端部から他端部までの全域に亘って管10の内部に形成されている。凸状端部12は、継手部30に対する管10の接合端部である。
図2、3に示すように、凸状端部12は、管10の外側に凸の部分球面状に形成されている。すなわち、凸状端部12は、球面の一部に内部流路11の開口端部11aが形成されて、外側に凸の部分球面状をなす。例えば、凸状端部12は、管10の中心軸C1方向の両端部に形成されている。本実施形態において、凸状端部12の外表面(管端面)は、
図3に示すように、曲率中心Pの仮想球面S1の一部をなす部分球面である。曲率中心Pは、管10の中心軸C1上に位置する。
【0018】
なお、管10の中心軸C1は、当該管10の径方向に対して垂直な方向(長手方向)の中心軸である。また、管10は、流通させる流体の圧力に耐え得る管であり、例えば、35MPa超の圧力に耐え得る高圧管であってもよいし、35MPa以下の圧力に耐え得る低圧管であってもよい。
【0019】
また、
図2、3に示すように、管10の外周面には、ニップル20を取り付けるためのねじ部13が形成されている。さらに、管10の外周面には、ねじ部13と凸状端部12との間に、ニップル20の取付位置を決めるための段差部14が形成されている。この管10のねじ部13は、ニップル20のねじ部23と螺合するものである。これら管10およびニップル20のねじ部13、23は、逆ねじとなっている。何故ならば、袋ナット40のねじ部43と継手部30のねじ部33との締め付けの際に、ニップル20が袋ナット40の回転に伴って回転(連れ回り)して、管10とニップル20との螺着が緩むことを防ぐためである。
【0020】
ニップル20は、管10の外周面に取り付けられる筒状部の一例である、詳細には、
図2、3に示すように、ニップル20は、金属等を材料として筒状に形成され、シート部21と、ストッパー部22と、ねじ部23とを有する。
【0021】
シート部21は、ニップル20の外側に凸の部分球面状をなすように、ニップル20の一端部に形成されている。すなわち、
図2、3に示すように、ニップル20が管10の外周面に取り付けられた状態において、シート部21は、管10の中心軸C1方向における凸状端部12とは反対側に凸の部分球面状をなす。このようなシート部21の表面(シート面)は、
図3に示すように、仮想球面S2の一部をなす部分球面である。シート部21は、ニップル20が管10の外周面に取り付けられることにより、この管10の外周面から出っ張る上記部分球面状のシート面を、管10の中心軸C1周りの周方向に沿って形成する。上述した管10の凸状端部12およびニップル20のシート部21の各曲率中心は、管10の中心軸C1上に位置している。好ましくは、
図3に示すように、このシート部21の曲率中心は、この凸状端部12の曲率中心Pと同じ位置にある。すなわち、曲率中心Pは、凸状端部12の部分球面状の外表面(仮想球面S1)の曲率中心であると同時に、シート部21の部分球面状のシート面(仮想球面S2)の曲率中心でもあることが好ましい。
【0022】
なお、シート部21の曲率半径は、例えば
図3に示すように、凸状端部12の曲率半径に比べて長い。しかし、シート部21の曲率半径は、これに限定されず、凸状端部12の曲率半径と同じであってもよいし、凸状端部12の曲率半径に比べて短くてもよい。
【0023】
ストッパー部22は、
図2、3に示すように、ニップル20の他端部(シート部21とは反対側の端部)の近傍に形成されている。例えば、ストッパー部22は、ニップル20の内周面から内側に突起する凸状をなし、管10の外周面に形成された段差部14と接触して、管10の中心軸C1方向におけるニップル20の位置を制限する。ねじ部23は、ニップル20の内周面のうちシート部21とストッパー部22との間の領域に形成されている。ニップル20は、このねじ部23と管10のねじ部13とが噛み合うように、管10の外周面に螺着される。このニップル20の、管10の中心軸C1方向における取付位置(螺着位置)は、上述した管10の段差部14とニップル20のストッパー部22との接触により、規制されて決まる。これにより、ニップル20のシート部21の曲率中心は、簡易に、管10の凸状端部12の曲率中心Pと同じ位置に設定される。
【0024】
また、これら管10およびニップル20のねじ部13、23は、上述したように逆ねじとなっている。このため、袋ナット40のねじ部43と継手部30のねじ部33との締め付けの際、ニップル20のストッパー部22が管10の段差部14に当接することにより、袋ナット40の回転に伴うニップル20の連れ回りを防止することができる。この結果、上記シート部21の曲率中心が、袋ナット40と継手部30との螺着に伴って目標の位置(本実施形態では上記凸状端部12の曲率中心Pと同じ位置)からずれる事態を防止することができる。
【0025】
継手部30は、流体を扱う装置と当該流体を流通させる管10とを連通する。詳細には、
図2に示すように、継手部30は、金属等によって構成され、管10と接合する第1接合部30aと、流体を扱う装置と接合する第2接合部30bとを一体に有する。例えば、上記流体を扱う装置として、内燃機関のシリンダに設けられた燃料噴射弁に対して燃料油を供給(圧送)する燃料噴射ポンプ5(
図1参照)等が挙げられる。また、
図2に示すように、継手部30は、当接部31と、内部流路32と、ねじ部33と、ボルト頭部34と、ボルトねじ部35とを備える。
【0026】
当接部31は、上述した管10の凸状端部12と当接するテーパ状部である。詳細には、
図2、3に示すように、当接部31は、継手部30の第1接合部30a側の端部にテーパ状に形成される。この当接部31のなすテーパ形状としては、例えば、継手部30の中心軸C2方向の一端側から他端側へ向かって線形に縮径する線形テーパ形状等が挙げられる。このような当接部31は、
図2、3に示すように、管10の凸状端部12と線当りの状態で当接する。なお、継手部30の中心軸C2は、当該継手部30の第1接合部30a側の端部と第2接合部30b側の端部とを通る方向(長手方向)の中心軸である。
【0027】
内部流路32は、流体を流通させる流路であり、
図2に示す継手部30の当接部31から第2接合部30b側の端部までの全域に亘って継手部30の内部に形成されている。この内部流路32は、継手部30の当接部31に対して凸状端部12を当接させた状態の管10の内部流路11と、継手部30の第2接合部30bが接合された燃料噴射ポンプ5とを連通する。ねじ部33は、継手部30と袋ナット40とを相互に螺着するためのものである。
図2に示すように、ねじ部33は、継手部30の第1接合部30aの外周面に形成されている。
【0028】
また、
図1、2に示すように、ボルト頭部34は、継手部30の第2接合部30bの外周面に形成されている。ボルトねじ部35は、継手部30の外周面のうち、第2接合部30b側の端部からボルト頭部34側へ向かう所定の領域に形成されている。継手部30は、スパナ等の工具を用いてボルト頭部34を中心軸C2周りに回転し、ボルトねじ部35を燃料噴射ポンプ5のねじ部(図示せず)と螺合させることにより、
図1に示すように燃料噴射ポンプ5に螺着される。
【0029】
袋ナット40は、上述した管10と継手部30とを連通可能に接合する。詳細には、
図1~3に示すように、袋ナット40は、金属等を材料として筒状に形成される。袋ナット40は、筒状の径方向に対して垂直な方向(長手方向)の両端部に開口部41a、41bをそれぞれ有し、内部に押圧部42およびねじ部43を有し、外周面にナット部44を有する。
【0030】
開口部41a、41bは、袋ナット40の内部と外部とを連通可能にする。詳細には、
図2に示すように、一方の開口部41aは、袋ナット40の一端部に形成されている。この開口部41aには、接合対象の管10が挿通される。他方の開口部41bは、袋ナット40の他端部に形成されている。この開口部41bには、接合対象の継手部30が挿入される。以下では、説明の便宜上、袋ナット40の一方の開口部41aが形成された端部は管側端部と称し、袋ナット40の他方の開口部41bが形成された端部は継手側端部と称する。
【0031】
押圧部42は、外周面にニップル20が取り付けられた管10を継手部30に押し付けるためのテーパ状部である。詳細には、
図2、3に示すように、押圧部42は、袋ナット40の継手側端部から管側端部への方向(以下、袋ナット40の中心軸方向という)に向かって縮径するテーパ状をなすよう、袋ナット40の内部に形成されている。すなわち、袋ナット40の開口部41aに管10が挿通された状態において、押圧部42は、管10の中心軸C1方向における凸状端部12とは反対側に向かって縮径するテーパ状をなす。このような押圧部42は、管10の外周面に取り付けられているニップル20のシート部21を、袋ナット40が継手部30に螺着されるに伴って押圧し、このシート部21を介して管10の凸状端部12を継手部30の当接部31に押圧する。
【0032】
本実施形態において、押圧部42のテーパ面は、例えば
図2、3に示すように、袋ナット40の中心軸方向に向かって線形に縮径する線形テーパ面である。管10の外周面に取り付けられたニップル20のシート部21との接触面積を増やして当該シート部21の面圧を低下させるという観点から、押圧部42のテーパ面は、曲面状のテーパ面であることが好ましい。この曲面状のテーパ面としては、例えば、袋ナット40の中心軸方向に向かって指数関数的に縮径する指数関数テーパ面、当該中心軸方向に向かって二次関数的に縮径する放物線テーパ面、当該中心軸方向に向かって球面状に縮径する球面状テーパ面等が挙げられる。中でも、押圧部42のテーパ面は、ニップル20のシート部21と同じ曲率中心(本実施形態では
図3に示す曲率中心P)を有する部分球面状のテーパ面であることが特に好ましい。
【0033】
ねじ部43は、
図2に示すように、袋ナット40の内周面のうち、継手側端部から管側端部へ向かう所定の領域(例えばナット部44の内側に相当する領域)に形成されている。袋ナット40は、このねじ部43と継手部30のねじ部33とが噛み合うように、継手部30の外周面に螺着される。ナット部44は、袋ナット40を継手部30の外周面に螺着する際に作業者の手または工具によって把持される部分である。
図1、2に示すように、ナット部44は、袋ナット40における継手部30との螺着部分の外周面に、多角形状をなすよう形成される。
【0034】
上述した構成を有する袋ナット40は、継手部30の外周面に螺着されるとともに、ニップル20のシート部21を押圧部42で押圧して管10の凸状端部12を継手部30の当接部31に押圧する。このようにして、袋ナット40は、管10を継手部30に締め付けて接合する。
【0035】
本実施形態に係る管継手構造1は、接合対象である管10の両端部(具体的には管10の中心軸C1方向の両端部)に適用される。例えば、当該管10の一端部には、上述した管継手構造1が適用され、これにより、
図1~3に示したように、当該管10の一端部と燃料噴射ポンプ5とが継手部30を介して連通可能に接合される。また、当該管10の他端部には、特に図示しないが、当該管10の一端部と同様の管継手構造1が適用されている。これにより、当該管10の他端部と燃料噴射弁とが連通可能に接合される。なお、この燃料噴射弁は、管10が流通させる流体を扱う装置の一例であり、例えば、舶用ディーゼルエンジン等の内燃機関のシリンダに設けられている。上記のように管10の両端部が管継手構造1によって燃料噴射ポンプ5と燃料噴射弁とに各々接合された場合、燃料噴射ポンプ5から管10を介して燃料噴射弁に燃料油を圧送し、この燃料噴射弁から内燃機関のシリンダ内(燃焼室)に燃料油を噴射することができる。
【0036】
なお、本実施形態における流体を扱う装置は、上述した燃料噴射ポンプや燃料噴射弁に限定されない。例えば、当該流体を扱う装置としては、燃料噴射ポンプ、燃料噴射弁、注水ポンプ、注水弁、作動油ポンプ、過給機、給気装置および排気装置等、内燃機関または内燃機関以外の機関において配管接合される各種装置が挙げられる。また、管10内を流通する流体としては、例えば、燃料油、水、作動油、潤滑油、燃焼用ガス、排ガス等の液体または気体が挙げられる。
【0037】
つぎに、従来の管継手構造の問題点について説明する。
図4は、従来の管継手構造の一構成例を示す断面模式図である。
図4には、従来の管継手構造101の要部の断面が図示されている。
図4に示すように、従来の管継手構造101は、接合対象である管110および継手部130と、管110を継手部130に締め付けるためのニップル120および袋ナット140と、を備える。
【0038】
管110は、上述した段差部14(
図2、3参照)が外周面に形成されていないこと以外、本発明に係る管継手構造1の管10と同様に構成される。例えば、
図4に示すように、この管110は、本発明における管10と同様に、内部流路11および開口端部11aと、ねじ部13とを有する。また、この管110の凸状端部112は、説明の便宜上、本発明における管10の凸状端部12と区別するために符号を変えているが、本発明における管10と同様に外側に凸の部分球面状に形成されている。なお、管110の中心軸C11は、本発明における管10の中心軸C1と同様に、管110の径方向に対して垂直な方向の中心軸である。
【0039】
ニップル120は、
図4に示すように、平面状のシート部121を有しており、上述した外側に凸の部分球面状のシート部21(
図3参照)を有していない。すなわち、ニップル120のシート面は、本発明に係る管継手構造1のニップル20のシート面(部分球面)とは異なり、管110の中途部側(凸状端部112とは反対側)を向く平面である。また、ニップル120は、本発明におけるニップル20のストッパー部22(
図3参照)を有していない。ニップル120は、上記部分球面状のシート部21およびストッパー部22の構成以外、本発明におけるニップル20と同様の構成を有する。例えば、
図4に示すように、ニップル120は、その内周面にねじ部23を有し、管110の外周面に螺着される。これにより、ニップル120は、管110の外周面から出っ張る上記平面状のシート面を、管110の中心軸C11周りの周方向に沿って形成する。
【0040】
継手部130は、本発明に係る管継手構造1の継手部30と同様に構成されている。例えば、
図4に示すように、継手部130は、本発明における継手部30と同様に、テーパ状の当接部131を有する。この当接部131には、管110の凸状端部112が突き当てられる。
【0041】
袋ナット140は、
図4に示すように、平面状の押圧部142を有しており、上述したテーパ状の押圧部42(
図3参照)を有していない。すなわち、袋ナット140の押圧面は、本発明に係る管継手構造1の袋ナット40の押圧面(テーパ面)とは異なり、継手部130側(
図4の紙面下側)を向く平面である。袋ナット140は、上記テーパ状の押圧部42の構成以外、本発明における袋ナット40と同様の構成を有する。例えば、
図4に示すように、袋ナット140は、継手部130の外周面に螺着されるとともに、ニップル120の平面状のシート部121を平面状の押圧部142で押圧して管110の凸状端部112を継手部130の当接部131に押圧する。
【0042】
図5は、従来の管継手構造の問題点を説明するための模式図である。従来の管継手構造101(
図4参照)では、管110の外周面にニップル120が螺着され、この管110の凸状端部112が、作業者の手作業等によって継手部130の当接部131に突き当てられる。つぎに、袋ナット140には、作業者の人力によるトルク(肌付けトルク)が加えられる。これにより、袋ナット140は、継手部130の外周面に仮付けされるとともに、平面状の押圧部142でニップル120の平面状のシート部121を押圧し、このシート部121を介して管110の凸状端部112を継手部130の当接部131に押圧する。その後、袋ナット140には、スパナまたはトルクレンチ等の工具によって締付トルクが更に加えられる。これにより、袋ナット140は、継手部130の外周面に完全に螺着されるとともに、管110の凸状端部112を、シート部121を介して押圧部142で継手部130の当接部131に押圧する。この結果、管110は、袋ナット140によって継手部130に本締め付けされる。
【0043】
ここで、
図5に示すように、管110の中心軸C11が継手部130の中心軸C12に対して傾いた状態で、管110の凸状端部112が継手部130の当接部131に突き当てられた場合、この管110の外周面に螺着されているニップル120は、この管110と一体に傾いた状態となる(状態A1)。
【0044】
この状態A1において、管110の凸状端部112は、継手部130の当接部131と線当りで当接した状態を維持している。一方、ニップル120のシート部121は平面状のシート面をなすものであるため、
図5に示すように、シート部121の高さ位置H2は、管110の中心軸C11が継手部130の中心軸C12に対して傾いていない場合のシート部121の高さ位置H1よりも高い位置に変化する。すなわち、シート部121には、管110の中心軸C11を挟んで一方側(
図5の紙面右側)と他方側(
図5の紙面左側)とで高低差が生じる。なお、高さ位置H1、H2は、所定の位置を基準とする高さ方向の位置である。
【0045】
上記のようにニップル120のシート部121に高低差が生じた状態において、袋ナット140が継手部130に螺着された場合、この袋ナット140の押圧部142とニップル120のシート部121との接触に偏りが生じる。例えば
図5に示すように、シート部121のうち、高さ位置H2のシート部121bは、押圧部142と接触し得る。しかし、このシート部121bとは管110の中心軸C11を挟んで反対側のシート部121aは、押圧部142と接触していない(状態A2)。
【0046】
このような状態A2において、袋ナット140の押圧部142は、ニップル120のシート部121のうち、管110の中心軸C11を挟んで片側のシート部121bを偏って押圧してしまう。これにより、管110には、
図5に示すように、片側のシート部121bに対する押圧部142の押圧力に起因する回転力が生じる。この場合、管110の凸状端部112と継手部130の当接部131とは、見掛け上、線当りで当接した状態を維持している。しかし、これら凸状端部112と当接部131との当接圧力は、上記回転力によって偏ってしまう。具体的には、これら凸状端部112と当接部131との当接圧力のうち、押圧部142によって押圧されたシート部121bとは管110の中心軸C11を挟んで反対側の当接圧力、すなわち、
図5に示す凸状端部112aと当接部131aとの当接圧力が増大する。これに伴い、押圧部142によって押圧されたシート部121bとは管110の中心軸C11を挟んで同じ側の当接圧力、すなわち、
図5に示す凸状端部112bと当接部131bとの当接圧力が減少する。
【0047】
この結果、管110の凸状端部112と継手部130の当接部131との接触部分に、管110内を流通する流体の圧力よりも低い当接圧力の部分が生じることから、これら凸状端部112と当接部131とのシール性が低下するという問題が生じる。このような従来の管継手構造101では、管110と継手部130との間から流体が漏れる事態を回避することが困難となる。
【0048】
また、従来の管継手構造101では、
図5の状態A2に例示されるように、袋ナット140の押圧部142がニップル120のシート部121の片側に偏って接触している。このため、肌付けトルクによって袋ナット140が継手部130に仮付けされても、これら押圧部142とシート部121との接触の偏りを解消することは困難である。これに起因して、袋ナット140を肌付けトルクで継手部130に仮付けした状態から締付トルクで継手部130に本締め付けするまでの、当該袋ナット140の締付角度がばらつくという問題が生じる。この場合、継手部130に対する袋ナット140の本締め付けを、袋ナット140の締付角度で管理することが困難となり、袋ナット140の締付トルクで管理する必要がある。すなわち、袋ナット140の本締め付けに、スパナ等の工具に比べて大型のトルクレンチを用いなければならない。この結果、従来の管継手構造101では、袋ナット140の本締め付けにおいて、トルクレンチを使用可能な広い作業スペースが必要となることから、例えば、内燃機関のシリンダカバー上など、作業スペースが狭い場所での配管接続が困難となり、配管接続の作業性が低下する。
【0049】
なお、締付トルクは、袋ナットを継手部に本締め付け(完全に螺着)するために必要なトルクである。締付角度は、袋ナットを継手部に仮付けした状態から本締め付けするまでに、当該袋ナットが当該継手部の中心軸周りに回転(例えば
図1参照)する回転角度である。
【0050】
つぎに、本発明の実施形態に係る管継手構造1の作用について説明する。
図6は、本発明の実施形態に係る管継手構造の作用を説明するための模式図である。本実施形態に係る管継手構造1(
図1~3参照)では、管10の外周面にニップル20が螺着され、この管10の凸状端部12が、作業者の手作業等によって継手部30の当接部31に突き当てられる。つぎに、袋ナット40には肌付けトルクが加えられ、これにより、袋ナット40は、継手部30の外周面に仮付けされるとともに、部分球面状の押圧部42でニップル20のテーパ状のシート部21を押圧する。袋ナット40は、このシート部21を介して管10の凸状端部12を継手部30の当接部31に押圧する。その後、袋ナット40には締付トルクが更に加えられ、これにより、袋ナット40は、継手部30の外周面に完全に螺着される。これと同時に、袋ナット40は、管10の凸状端部112を、シート部21を介して押圧部42で継手部30の当接部31に押圧する。この結果、管10は、袋ナット40によって継手部30に本締め付けされる。
【0051】
ここで、
図6に示すように、管10の中心軸C1が継手部30の中心軸C2に対して傾いた状態で、管10の凸状端部12が継手部30の当接部31に突き当てられた場合、この管10の外周面に螺着されているニップル20は、この管10と一体に傾いた状態となる(状態A11)。
【0052】
この状態A11において、管10の凸状端部12は、継手部30の当接部31と線当りで当接した状態を維持している。また、ニップル20のシート部21は、上述したように部分球面状のシート面をなすものである。このため、シート部21のシート面は、
図6に示すように、管10の中心軸C1上に曲率中心(例えば
図3に示す曲率中心P)が位置する仮想球面S2に含まれた状態を維持する。すなわち、シート部21のシート面は、管10の傾き具合によらず、常に仮想球面S2内に位置している。
【0053】
上記のように管10が継手部30に対し傾いて突き当てられた状態において、袋ナット40が継手部30に螺着された場合、袋ナット40の押圧部42は、ニップル20のシート部21と均一に接触する。すなわち、
図6に示すように、押圧部42は上述したテーパ状の押圧面をなし且つシート部21は上述した部分曲面状のシート面をなすため、これら押圧部42とシート部21とは、管10の中心軸C1周りの周方向(外周方向)の全域に亘って相互に接触し得る(状態A12)。
【0054】
このような状態A12において、袋ナット40の押圧部42は、ニップル20のシート部21を、管10の中心軸C1周りの周方向の全域に亘って均一に押圧する。これにより、管10の凸状端部12には、
図6に示すように、シート部21を介して押圧部42からの押圧力が均一に伝わる。この結果、管10の凸状端部12と継手部30の当接部31との当接圧力は、これら凸状端部12と当接部31との接触部分の全域に亘り、管10内を流通する流体の圧力以上の高圧力に維持される。このような管継手構造1では、これら凸状端部12と当接部31とのシール性を高く維持できることから、管10と継手部30との間から流体が漏れる事態を回避することが可能である。特に、本実施形態に係る管継手構造1は、Oリング等のシール部材ではシール性を維持することが困難な高圧力(例えば35MPa超の圧力)の流体を流通させる管10と継手部30との接合に有効である。
【0055】
また、本実施形態に係る管継手構造1では、
図6の状態A12に例示されるように、袋ナット40の押圧部42が、管10の中心軸C1周りの周方向の全域に亘り、ニップル20のシート部21と接触している。このため、肌付けトルクによって袋ナット40が継手部30に仮付けされた際、これら押圧部42とシート部21とを、管10の中心軸C1周りの周方向の全域に亘って密着させることができる。これにより、袋ナット40を継手部30に仮付けした状態から本締め付けするまでの、当該袋ナット40の締付角度のばらつきを抑制することができる。この場合、継手部30に対する袋ナット40の本締め付けを、袋ナット40の締付角度で管理することが可能となる。この結果、トルクレンチを用いる必要が無く、これよりも小型のスパナ等の工具を用いて袋ナット40の本締め付けが可能となることから、例えば、内燃機関のシリンダカバー上など、作業スペースが狭い場所での配管接続を容易に行うことができ、配管接続の作業性が向上する。
【0056】
以上、説明したように、本発明の実施形態に係る管継手構造1では、流体を流通させる内部流路11と外側に凸の部分球面状をなす凸状端部12とを有する管10の外周面に、部分球面状のシート部21を有するニップル20が取り付けられ、この管10の凸状端部12が継手部30のテーパ状の当接部31に当接し、前記流体を扱う装置(例えば燃料噴射ポンプ5)と管10とが継手部30を介して連通し、テーパ状の押圧部42を内部に有する袋ナット40が、継手部30の外周面に螺着されるとともに、ニップル20のシート部21を押圧部42で押圧して管10の凸状端部12を継手部30の当接部31に押圧している。この管継手構造1において、袋ナット40の押圧部42は、管10の中心軸C1方向における凸状端部12とは反対側に向かって縮径するテーパ状をなしている。ニップル20のシート部21は、管10の中心軸C1方向における凸状端部12とは反対側に凸の部分球面状をなしている。これら管10の凸状端部12およびニップル20のシート部21の各曲率中心は、管10の中心軸C1上に位置している。
【0057】
上記の構成により、管10の継手部30に対する傾き具合によらず、管10の凸状端部12と継手部30の当接部31とが相互に線当りで当接した状態を維持しながら、袋ナット40の押圧部42が、管10の外周方向の全域に亘ってニップル20のシート部21と片当りなく均一に接触することができる。このため、袋ナット40は、継手部30に螺着されながら、管10の外周方向の全域に亘ってニップル20のシート部21を押圧部42で均一に押圧し、このシート部21を介して、管10の凸状端部12を継手部30の当接部31に押圧することができる。これにより、管10の凸状端部12を、継手部30の中心軸C2周りの周方向の全域に亘って偏りなく継手部30の当接部31に突き当てた状態にして、管10と継手部30とを袋ナット40で接合することができる。この結果、管10の凸状端部12と継手部30の当接部31との当接圧力を、これら凸状端部12と当接部31との接触部分の全域に亘って流体圧力以上の高圧力に維持できることから、これら接合した管10と継手部30との高いシール性を確保することができる。
【0058】
また、本発明の実施形態に係る管継手構造1では、袋ナット40の押圧部42が管10の外周方向の全域に亘ってニップル20のシート部21と接触している。このため、肌付けトルクによって袋ナット40を継手部30に仮付けするとともに、これら押圧部42とシート部21とを管10の外周方向の全域に亘って片当りなく密着させることができる。これにより、袋ナット40の締付角度のばらつきを抑制でき、継手部30に対する袋ナット40の本締め付けを袋ナット40の締付角度で管理することが可能となる。この結果、トルクレンチを用いる必要が無く、作業スペースが狭い場所で袋ナット40の本締め付けを容易に行えることから、配管接続の作業性を向上させることができる。
【0059】
また、本発明の実施形態に係る管継手構造1では、ニップル20のシート部21の曲率中心を、管10の凸状端部12の曲率中心Pと同じ位置にしている。このため、ニップル20のシート部21のなす部分球面状のシート面を含む仮想球面S2を、管10の凸状端部12のなす部分球面状の管端面を含む仮想球面S1と同心の球面にすることができる。これにより、管10が継手部30に対して傾いた際におけるシート部21のシート面と仮想球面S2との位置ずれを低減することができる。この結果、ニップル20のシート部21と袋ナット40の押圧部42とを均一に接触させ得る構造を、容易に実現することができる。
【0060】
また、本発明の実施形態に係る管継手構造1では、管10の外周面に段差部14を形成し、この段差部14と接触して、管10の中心軸C1方向におけるニップル20の位置を制限するストッパー部22が当該ニップル20に設けられている。このため、ニップル20のシート部21の曲率中心と、管10の凸状端部12の曲率中心とが同じ位置になるように、管10の外周面におけるニップル20の取付位置を容易に決めることができる。
【0061】
なお、上述した実施形態では、接合対象の管10として中心軸C1方向の一端部と他端部とに凸状端部12を有する管を例示したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、管10は、中心軸C1方向の両端部のうち一端部のみに凸状端部12を有する管であってもよいし、複数に分岐した態様の管であってもよい。また、管10は、直線状の管であってもよいし、湾曲部または屈曲部を有する管であってもよく、本発明において、管10の形状は問われない。
【0062】
また、上述した実施形態では、管10の部分球状をなす凸状端部12の曲率中心と、ニップル20の部分球状をなすシート部21の曲率中心とが、管10の中心軸C1上における同じ位置に設定されていたが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明において、これら凸状端部12およびシート部21の各曲率中心は、管10の中心軸C1上に位置していれば、相互に同じ位置であってもよいし異なる位置であってもよい。
【0063】
また、上述した実施形態では、管10の外周面にニップル20を螺着していたが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、ニップル20は、管10の外周面に嵌合によって取り付けられてもよいし、接着や溶着等によって取り付けられてもよい。
【0064】
また、上述した実施形態では、継手部30の当接部31として線形テーパ状の当接部を例示したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、当接部31のテーパ面は、線形テーパ面であってもよいし、曲面状のテーパ面であってもよい。
【0065】
また、上述した実施形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。その他、上述した実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
1 管継手構造
5 燃料噴射ポンプ
10 管
11 内部流路
11a 開口端部
12 凸状端部
13 ねじ部
14 段差部
20 ニップル
21 シート部
22 ストッパー部
23 ねじ部
30 継手部
30a 第1接合部
30b 第2接合部
31 当接部
32 内部流路
33 ねじ部
34 ボルト頭部
35 ボルトねじ部
40 袋ナット
41a、41b 開口部
42 押圧部
43 ねじ部
44 ナット部
101 従来の管継手構造
110 管
112、112a、112b 凸状端部
120 ニップル
121、121a、121b シート部
130 継手部
131、131a、131b 当接部
140 袋ナット
142 押圧部
C1、C2、C11、C12 中心軸
S1、S2 仮想球面
P 曲率中心