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特開2022-73658可動軸のロック機構、可動軸、及び人形玩具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022073658
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】可動軸のロック機構、可動軸、及び人形玩具
(51)【国際特許分類】
   A63H 3/36 20060101AFI20220510BHJP
   A63H 3/46 20060101ALI20220510BHJP
   A63H 3/48 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
A63H3/36 B
A63H3/46 Z
A63H3/48
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020183790
(22)【出願日】2020-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(72)【発明者】
【氏名】曽根 大地
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150AA06
2C150AA07
2C150AA09
2C150CA01
2C150DA23
2C150DA33
2C150EH06
2C150EH07
2C150EH08
(57)【要約】
【課題】本発明は人形体に対して回動可能に取り付けられる部品の可動軸の脱離を防止するロック機構を提供する。
【解決手段】人形体に装着される部品における可動軸のロック機構は、部品の一部を回動させる可動軸であって、部品に挿入された後に軸方向を中心に所定角度まで回転されると、当該部品からの抜けを規制する第1規制部を有する可動軸を備える。さらに、本ロック機構は、部品に挿入された可動軸を係止し、当該可動軸の回転方向の動きを規制する留め具を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人形体に装着される部品における可動軸のロック機構であって、
前記部品の一部を回動させる可動軸であって、前記部品に挿入された後に軸方向を中心に所定角度まで回転されると、該部品からの抜けを規制する第1規制部を有する可動軸と、
前記部品に挿入された前記可動軸を係止し、該可動軸の回転方向の動きを規制する留め具と
を備えるロック機構。
【請求項2】
前記可動軸において、所定のリブにより前記第1規制部を形成し、
前記部品における前記可動軸が挿入される挿入孔は前記第1規制部が通過可能な形状で形成され、
挿入後において前記可動軸が前記部品に対して前記所定角度まで回転されると、前記第1規制部が前記挿入孔を通過できないように制限されることを特徴とする請求項1に記載のロック機構。
【請求項3】
前記可動軸は前記留め具に挿嵌されることにより軸方向への回転を規制する第2規制部をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のロック機構。
【請求項4】
前記第2規制部は凹部を有し、
前記留め具は凸部を有し、前記可動軸の前記凹部に挿嵌されることにより、該可動軸の回転方向の動きを規制することを特徴とする請求項3に記載のロック機構。
【請求項5】
前記可動軸の前記凹部は、該可動軸が前記所定角度まで回転された状態で、前記留め具の前記凸部が挿入可能な位置に形成されることを特徴とする請求項4に記載のロック機構。
【請求項6】
前記第1規制部と前記第2規制部とは一体化して形成され、
前記第2規制部は凸部を有し、
前記留め具は凹部を有し、前記可動軸の前記凸部が挿嵌されることにより、該可動軸の回転方向の動きを規制することを特徴とする請求項3に記載のロック機構。
【請求項7】
前記可動軸が挿入される前記部品は、前記可動軸が前記所定角度を超えた回転を規制する規制部材を含むことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のロック機構。
【請求項8】
前記規制部材は、前記第1規制部が引っ掛かることにより、前記可動軸の回転を規制することを特徴とする請求項7に記載のロック機構。
【請求項9】
前記可動軸の一端は球形状に形成され、該一端は前記人形体への取り付け部材に回動可能に嵌め込まれることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載のロック機構。
【請求項10】
前記可動軸は、前記部品が回動される際に該部品が回動可能な回転方向と、前記可動軸が部品に挿入される際の挿入方向とは反対方向に力が加えられることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のロック機構。
【請求項11】
前記部品は前記人形体に装着される武器又肩関節であることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載のロック機構。
【請求項12】
人形体と、
前記人形体に回動可能に装着される、請求項1乃至11の何れか1項に記載のロック機構を有する部品と
を備える人形玩具。
【請求項13】
人形体に装着される部品の可動軸であって、
前記部品に挿入された後に軸方向を中心に所定角度まで回転されると、該部品からの抜けを規制する第1規制部と、
留め具に挿嵌されると、該可動軸の回転方向の動きを規制する第2規制部と
を備えることを特徴とする可動軸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人形玩具に取り付けられる部品における可動軸のロック機構、可動軸及び人形玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
人形玩具においては、所定の可動軸を中心に回動可能に取り付けられる部品(パーツ)がある。このような部品を回動させると、可動軸の部品への挿入方向とは反対方向の力(張力)が生じる。この反対方向への力は、可動軸が当該部品から抜けるように作用する力である。従って、当該部品を回動させる際に発生しうる上記反対方向への力による可動軸の抜けを規制する必要がある。
【0003】
特許文献1は、複数の構成部材のそれぞれの貫通孔に挿入される棒状体を含む支持部材を軸中心に回動させることにより各構成部材をロックする機構を有する組み立て玩具を提案する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-148172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術では、上記反対方向への力による支持部材の抜けを規制することは可能であるが、支持部材に対して軸中心の回転方向への力が加えられることは想定されていない。つまり、支持部材に対して上記回転方向への力が加えられると当該支持部材が各構成部品から抜けてしまう(脱離する)、挿入当初の位置に回転して戻る可能性がある。このような構成では、例えば、人形体に装着される武器など回動可能に取り付けられた部品においては、当該可動軸の脱離が頻発する虞がある。
【0006】
本発明は、例えば人形体に対して回動可能に取り付けられる部品の可動軸の脱離を防止するロック機構を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、人形体に装着される部品における可動軸のロック機構であって、前記部品の一部を回動させる可動軸であって、前記部品に挿入された後に軸方向を中心に所定角度まで回転されると、該部品からの抜けを規制する第1規制部を有する可動軸と、前記部品に挿入された前記可動軸を係止し、該可動軸の回転方向の動きを規制する留め具とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、人形体に装着される部品の可動軸であって、前記部品に挿入された後に軸方向を中心に所定角度まで回転されると、該部品からの抜けを規制する第1規制部と、留め具に挿嵌されると、該可動軸の回転方向の動きを規制する第2規制部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、人形体に対して回動可能に取り付けられる部品の可動軸の脱離を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係る人形玩具の外観正面の一例を示す図。
図2】一実施形態に係る人形玩具の外観背面の一例を示す図。
図3】一実施形態に係る人形体に装着される武器の一例を示す拡大図。
図4】一実施形態に係る武器の構成例を示す分解図。
図5】一実施形態に係る可動軸及び留め具の一例を示す拡大図。
図6】一実施形態に係るロック機構の構成例を示す図。
図7】一実施形態に係る武器の組立工程を示す図。
図8】一実施形態に係る可動軸及び留め具の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴うち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0012】
<人形玩具の外観>
まず、図1及び図2を参照して、本実施形態に係る回動可能な部品が装着される人形玩具の外観構成の一例について説明する。図1は人形玩具100の外観正面を示し、図2は人形玩具100の外観背面を示す。なお、ここでは回動可能な部品を人形玩具に装着する一例を説明するが、本発明を限定する意図はない。要するに、回動可能な部品が取り付け可能な物品であればよい。また、回動可能な部品として武器を一例に説明するが、当該武器の種類や装着位置等について本発明を限定する意図はない。以下で説明する本発明の回動可能な部品のように可動軸(回転軸)を有する部品であればよく、例えば人形玩具における人形体の肩関節などにも適用可能である。この場合、肩関節に装着される腕部が回動可能に動作する。
【0013】
人形玩具100は、頭部101、胴体部102、腕部103、及び脚部104から構成される人形体と、人形体に装着される武器105とを備える。頭部101は胴体部102に取り付けられ、図1の点線で示す領域に位置する。胴体部102には、さらに右腕及び左腕を含む腕部103と、右足及び左足を含む脚部104とが取り付けられる。武器105は人形体に装着される部品であり、図2に示すように、本実施形態では人形体の背中から肩にかけて装着される形態である。また、武器105は、その一部が回動可能に人形体に装着されている。本実施形態では、武器105は人形体の背中部において取り付けて固定され、両肩上部に位置する武器105の一部(円筒形状の部分)が回動可能となる。
【0014】
<武器(部品)の構成>
次に、図3を参照して、本実施形態に係る回動可能な部品(パーツ)である武器105の構成について説明する。図3(a)は武器105の拡大背面図であり、図3(b)は武器105の拡大側面図である。
【0015】
武器105は、武器部201a、201b、基礎部材202、及び装着部材203を含んで構成される。武器部201a、201bは、それぞれ左右対称の構成である。各武器部201a、201bの詳細構成については図4を用いて後述する。武器部201a、201bは、基礎部材202に対してそれぞれが個別に回動可能に取り付けられる。
【0016】
装着部材203は、図3(b)に示すように、胴体部102へ差し込まれて武器105を人形体に固定して装着する。人形体に装着された武器部201a、201bは、それぞれの回転軸204を中心に矢印方向210に対して回転することができる。回転した際の様子を点線211に示す。このように、武器105の一部である武器部201a、201bはそれぞれ回動可能であり、その回動時においては武器部201a、201bがそれぞれ抜ける方向と、回転方向とへ力が加わる。これらの力は武器部201a、201bそれぞれの後述する可動軸に加わり、即ち、当該可動軸をそれぞれの武器部材から脱離するように作用する可能性がある。そこで、本実施形態に係る回動可能な部品においては、当該可動軸が脱離することを防止するためのロック機構を備える。
【0017】
<武器(部品)の詳細構成>
次に、図4を参照して、本実施形態に係る回動可能な部品である武器105の詳細構成について説明する。図4(a)は武器105の分解図であり、及び図4(b)は武器部201aの分解図である。
【0018】
図4(a)に示すように、武器部201a、201bはそれぞれ基礎部材202に対して可動軸の一端である球形状の部分が差し込まれて回動可能に装着される。なお、武器部201a、201bは図示するように左右対称の構成であり、基本的な構成については同様である。従って、以下では、武器部の詳細な構成として武器部201aを一例に説明する。
【0019】
図4(b)に示すように、武器部201aは、武器部材401、402、可動軸403、及び留め具404を含んで構成される。可動軸403は武器部材401に挿入されて180度回転され、その後、武器部材402に挿入される。さらに、留め具404が可動軸403とは反対の方向から武器部材402へ挿入され、可動軸403を係止し、その回転を固定する。
【0020】
<可動軸及び留め具の構成>
次に、図5を参照して、本実施形態に係る可動軸403及び留め具404の構成について説明する。図5(a)は可動軸403の構成を示し、図5(b)は留め具404の構成を示す。
【0021】
まず可動軸403の構成について説明する。可動軸403は、軸部材501及び端部502、504を含んで構成される。軸部材501は、図5(a)に示すように、複数のリブから成るリブ構造を有し、規制部503と、規制板506とを有する。規制部503は、所定のリブの一部として形成され、当該所定のリブの他の部分及び他のリブよりも高く形成される。なお、本発明を限定する意図はなく、例えば複数のリブに渡って形成されてもよい。これにより、規制部503の厚みが増し当該部材の強度をより強化することができる。また、規制部503にあたるリブよりも高いリブが形成されていても良いし、可動軸403に複数のリブを設けず、規制部503のみ形成されていても良い。また、規制部503にあたるリブの形状・配置も特に限定されるものではなく、武器部材401からの抜けを規制可能なものであればよい。
【0022】
規制部(第1規制部)503は、可動軸403が武器部材401に挿入された後に所定の角度(本実施形態では、180度)を超えて回転することを規制するための部分である。規制部503が武器部材401に設けられた後述する規制部材に引っ掛かることによりそれ以上の回転が規制されるものである。規制板506は、武器部材401の挿入孔への挿入を制限するための部材であり、挿入孔の外側の壁に当接することにより可動軸403が武器部材401にそれ以上挿入されないように規制するものである。
【0023】
端部502は球形状で形成され、武器部201aが組み立てられた後に基礎部材202へ挿入される部分である。挿入後は球形状であるため挿入先の部材である基礎部材202の空間の範囲内で回動可能となる。また、端部502の球形状は基礎部材202の挿入口の口径よりも僅かに大きく形成されるが、当該人形玩具100がプラスチック等の弾性部材で形成されているため挿入する際に撓むことにより口径が広がり挿入することができる。従って、挿入後において、武器部201aを回動して使用する程度の力では抜けないような仕組みとなっている。このように、可動軸403は基礎部材202へ挿入されることにより所定範囲内の力では抜けないように構成されているものの、武器部201aを回動して使用する場合には、上述したように武器部材401、402から抜けてしまう可能性もある。このような武器部材401、402から可動軸403が抜けてしまうことを防止するロック機構の詳細について図6を用いて後述する。
【0024】
端部504は凹部状に形成されたスリット(切り込み)505を有する。スリット505は、留め具404の後述する凸部513が挿嵌されることにより可動軸403の回転を規制する。従って、スリット505は可動軸403において軸方向を中心とした回転を規制する第2規制部の一例である。
【0025】
続いて、留め具404の構成について説明する。留め具404は、留め具本体511の一部に可動軸403が挿入される挿入部512が設けられる。更に、挿入部512は、可動軸403のスリット505に挿嵌される凸部513が形成される。凸部513が凹部であるスリット505へ挿嵌されることにより可動軸403の軸方向を中心とした回転を規制することができる。
【0026】
<ロック機構>
次に、図6を参照して、本実施形態に係る可動軸403のロック機構について説明する。本実施形態に係るロック機構は、可動軸403を武器部材401へ挿入した方向と反対方向に加わる張力から可動軸403の抜けを規制する第1規制部と、可動軸403の軸方向を中心とした回転を規制する第2規制部とを含んで構成される。図6(a)は第1規制部の機能構成を示し、図6(b)は第2規制部の機能構成を示す。
【0027】
まず、第1規制部の機能構成について説明する。図6(a)は、武器部材401に可動軸403が挿入され、矢印604の方向に180度回転した状態を示す。武器部材401には、可動軸403を受け入れるための挿入孔601が設けられる。挿入孔601には、可動軸403の所定のリブの一部である規制部503が通過するための溝602が形成される。従って、可動軸403の挿入時においては、規制部503が溝602を通過することになる。挿入後、即ち、可動軸403の規制板506が武器部材401の挿入孔601の外側の壁に当接してそれ以上挿入できない状態において、矢印604の方向に可動軸403が回転される。所定角度まで回転されると規制部503が武器部材401に設けられた規制部材603に当接してそれ以上の回転が規制される。このような回転後の状態において、規制部503は挿入時に通過した溝602から挿入孔601を挟んで対向する位置に移動する。従って、この状態においては、規制部503が溝602を通過することができず、上記張力が加わったとしても武器部材401の内壁に当該規制部503が当接して可動軸403の抜けを規制することができる。
【0028】
次に、第2規制部の機能構成について説明する。図6(b)は、可動軸403が留め具404へ挿入される様子を示す。なお、説明を容易にするため、本来であれば図4(b)に示すように、可動軸403と留め具404との間に武器部材401、402が存在するが省略して図示している。また、可動軸403は、図6(a)を用いて説明したように、180度回転された状態で図示している。つまり、可動軸403は武器部材401へ挿入後に回転され、その後に留め具404の挿入部512に挿入される。その際、留め具404の挿入部512に形成された凸部513が可動軸403のスリット505に挿嵌される。挿嵌されると、可動軸403の回転方向の動きが規制される。従って、可動軸403は留め具404が装着された後は回転することができず、即ち、可動軸403が回転することにより規制部503が溝602の位置に回転して戻り、可動軸403が武器部材401から抜けることを防止することができる。
【0029】
このように、本実施形態に係る可動軸のロック機構は二段階での規制(第1規制部及び第2規制部による規制)を行っている。これにより、容易に組み立て可能である一方で、組立後における可動軸403に加わる張力や回転力を抑制し、可動軸403が武器部材401、402から抜けることを好適に防止することができる。
【0030】
<組立工程>
次に、図7を参照して、本実施形態に係る武器105の組立工程を説明する。組立工程は矢印の順に行われ、即ち、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)の順で組み立てられる。
【0031】
まず、図7(a)において、武器部材401に対して可動軸403が挿入される。挿入可能な位置まで可動軸403が武器部材401に対して挿入されると、即ち、規制板506が武器部材401の挿入孔601の外側の壁に当接するまで挿入されると、図7(b)において、矢印604の方向に可動軸403が回転される。ここでは180度回転する例について説明しているが、本発明を限定する意図はなく、規制部503が溝602から十分離れる位置まで回転される角度であればよい。
【0032】
次に、図7(c)において、武器部材401に可動軸403が挿入された状態で、更に、武器部材402に可動軸403を挿入し、その先の留め具404へ挿嵌される。これにより、図7(d)に示すように、武器部201aの組み立てが完了する。左右対称の一方である武器部201bも同様に組み立てられ、図7(e)において、基礎部材202に対して、それぞれの武器部201a、201bの可動軸端部(球形状)が挿入され、武器105の組み立てが完了する。
【0033】
以上説明したように、本実施形態に係る人形体に装着される部品における可動軸のロック機構は、部品の一部を回動させる可動軸であって、部品に挿入された後に軸方向を中心に所定角度まで回転されると、当該部品からの抜けを規制する第1規制部を有する可動軸を備える。さらに、本ロック機構は、部品に挿入された可動軸を係止し、当該可動軸の回転方向の動きを規制する留め具を備える。これにより、部品が回動される際に生じる可動軸の回転と抜けとを規制し、当該部品からの可動軸の脱離を防ぐことができる。
【0034】
<変形例>
本発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。例えば、上記実施形態における可動軸のロック機構では第1規制部及び第2規制部を可動軸上で個別に設けたが、可動軸上において一体化して設けてもよい。図8を参照して、ロック機構の変形例について詳細に説明する。図8(a)が変形例となる可動軸800を示し、図8(b)が変形例となる留め具810を示す。
【0035】
図8(a)に示すように、可動軸800は、軸部材801、及び端部802、804を含んで構成される。また、軸部材801には、規制部803が複数のリブに渡って構成され、所定のリブから端部804まで延伸して形成される。一方、図8(b)に示すように、留め具810は、留め具本体811に挿入部812が設けられ、挿入部812には凹部813が形成される。
【0036】
可動軸800の規制部803は、上記実施形態に係る可動軸403の規制部503(第1規制部)と、スリット(第2規制部)505との機能を併せ持つ。つまり、規制部803は、武器部材401へ挿入時においては武器部材401の溝602を通過して挿入され、挿入後の回転において武器部材401の規制部材603に当接することにより、所定角度を超えた回転を規制することができる。また、規制部803は、留め具810に挿嵌されると、その凹部813に差し込まれて可動軸800の回転を規制することができる。これにより、可動軸800の武器部材401、402からの脱離を防ぐことができる。
【0037】
このように、可動軸における第1規制部と第2規制部と一体化して設けることにより、上記実施形態の効果に加えてさらに、規制部803自体を強化することができ、回転力が加えられた際の破損を低減することができる。なお、ここでは、第1規制部及び第2規制部を一体化して設ける変形例について説明したが、上記実施形態のように可動軸上で個別に設けられた場合であっても、例えば上記実施形態に係る規制部503を複数のリブに渡って設けることにより厚みを確保し、回転力が加えられた際の破損を低減するようにしてもよい。また、上記実施形態や本変形例のように、第2規制部の機能を実現する凸部と凹部とは、それぞれが可動軸及び留め具のどちらに設けられてもよい。
【0038】
また、上記実施形態では可動軸のロック機構を人形玩具の武器部品について適用する例について説明した。しかし、本発明はこれに限定されず回動可能な部品であればどのような部品や位置に適用されてもよい。例えば、本発明の可動軸のロック機構は、人形体の肩関節の可動軸に対して適用されてもよい。この場合、肩関節には、回動可能に左右の腕がそれぞれ装着されることになり、それぞれの腕部の内部に可動軸が設けられ、肩関節に回動可能に挿入される。また、人形玩具(人形体)の形状は、特に限定されるものではなく、人、動物、ロボット、乗物(電車・自動車・飛行機等)、恐竜等、可動軸を有する様々な形状を含むものである。
【符号の説明】
【0039】
100:人形玩具、101:頭部、102:胴体、103:腕部、104:脚部、105:武器、201a、201b:武器部、202:基礎部材、203:装着部材、401、402:武器部材、403:可動軸、404:留め具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2022-03-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人形体に装着される部品における可動軸のロック機構であって、
前記部品の一部を回動させる可動軸であって、前記部品に挿入された後に軸方向を中心に所定角度まで回転されると、該部品からの抜けを規制する第1規制部を有する可動軸と、
前記部品に挿入された前記可動軸を係止し、該可動軸の回転方向の動きを規制する留め具と
を備え、
前記可動軸は前記留め具に挿嵌されることにより軸方向への回転を規制する第2規制部をさらに備えることを特徴とするロック機構。
【請求項2】
前記第2規制部は凹部を有し、
前記留め具は凸部を有し、前記可動軸の前記凹部に挿嵌されることにより、該可動軸の回転方向の動きを規制することを特徴とする請求項に記載のロック機構。
【請求項3】
前記可動軸の前記凹部は、該可動軸が前記所定角度まで回転された状態で、前記留め具の前記凸部が挿入可能な位置に形成されることを特徴とする請求項に記載のロック機構。
【請求項4】
前記第1規制部と前記第2規制部とは一体化して形成され、
前記第2規制部は凸部を有し、
前記留め具は凹部を有し、前記可動軸の前記凸部が挿嵌されることにより、該可動軸の回転方向の動きを規制することを特徴とする請求項に記載のロック機構。
【請求項5】
前記可動軸の一端は球形状に形成され、該一端は前記人形体への取り付け部材に回動可能に嵌め込まれることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のロック機構。
【請求項6】
人形体に装着される部品における可動軸のロック機構であって、
前記部品の一部を回動させる可動軸であって、前記部品に挿入された後に軸方向を中心に所定角度まで回転されると、該部品からの抜けを規制する第1規制部を有する可動軸と、
前記部品に挿入された前記可動軸を係止し、該可動軸の回転方向の動きを規制する留め具と
を備え、
前記可動軸の一端は球形状に形成され、該一端は前記人形体への取り付け部材に回動可能に嵌め込まれることを特徴とするロック機構。
【請求項7】
前記可動軸において、所定のリブにより前記第1規制部を形成し、
前記部品における前記可動軸が挿入される挿入孔は前記第1規制部が通過可能な形状で形成され、
挿入後において前記可動軸が前記部品に対して前記所定角度まで回転されると、前記第1規制部が前記挿入孔を通過できないように制限されることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のロック機構。
【請求項8】
前記可動軸が挿入される前記部品は、前記可動軸が前記所定角度を超えた回転を規制する規制部材を含むことを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載のロック機構。
【請求項9】
前記規制部材は、前記第1規制部が引っ掛かることにより、前記可動軸の回転を規制することを特徴とする請求項に記載のロック機構。
【請求項10】
前記可動軸は、前記部品が回動される際に該部品が回動可能な回転方向と、前記可動軸が部品に挿入される際の挿入方向とは反対方向に力が加えられることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のロック機構。
【請求項11】
前記部品は前記人形体に装着される武器又肩関節であることを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項に記載のロック機構。
【請求項12】
人形体と、
前記人形体に回動可能に装着される、請求項1乃至11の何れか1項に記載のロック機構を有する部品と
を備える人形玩具。
【請求項13】
人形体に装着される部品の可動軸であって、
前記部品に挿入された後に軸方向を中心に所定角度まで回転されると、該部品からの抜けを規制する第1規制部と、
留め具に挿嵌されると、該可動軸の回転方向の動きを規制する第2規制部と
を備えることを特徴とする可動軸。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明は、例えば、人形型玩具であって、一部にリング形状の連結部を有する第1パーツと、前記第1パーツと関節を形成し、前記リング形状の連結部を嵌め込む凹部を有する第2パーツとを備え、前記第2パーツは一つのパーツとして形成され、前記凹部の内側側面には前記リング形状の連結部を回転可能に保持する乗り越え部が形成されていることを特徴とする。
また、本発明は、人形体に装着される部品における可動軸のロック機構であって、前記部品の一部を回動させる可動軸であって、前記部品に挿入された後に軸方向を中心に所定角度まで回転されると、該部品からの抜けを規制する第1規制部を有する可動軸と、前記部品に挿入された前記可動軸を係止し、該可動軸の回転方向の動きを規制する留め具とを備え、前記可動軸は前記留め具に挿嵌されることにより軸方向への回転を規制する第2規制部をさらに備えることを特徴とする。
また、本発明は、人形体に装着される部品における可動軸のロック機構であって、前記部品の一部を回動させる可動軸であって、前記部品に挿入された後に軸方向を中心に所定角度まで回転されると、該部品からの抜けを規制する第1規制部を有する可動軸と、前記部品に挿入された前記可動軸を係止し、該可動軸の回転方向の動きを規制する留め具とを備え、前記可動軸の一端は球形状に形成され、該一端は前記人形体への取り付け部材に回動可能に嵌め込まれることを特徴とする。