(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022073679
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】仕切りパネル、天板付き什器及び天板付き什器ユニット
(51)【国際特許分類】
A47B 13/00 20060101AFI20220510BHJP
A47B 17/00 20060101ALI20220510BHJP
A47B 96/04 20060101ALI20220510BHJP
A47G 5/00 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
A47B13/00 Z
A47B17/00 Z
A47B96/04 Z
A47G5/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020183824
(22)【出願日】2020-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 将
【テーマコード(参考)】
3B053
【Fターム(参考)】
3B053NQ02
3B053NQ09
3B053SE10
(57)【要約】
【課題】容易に位置を調整することができる仕切りパネルを提供する。
【解決手段】上方に延びる取付部材3が周縁2cに間隔をあけて配置された天板2を有する什器における天板2の周縁2cに配置する仕切りパネル4であって、天板2の周縁2cに沿う方向である第1方向に間隔をあけて配置された複数の第1厚み部4aを備え、仕切りパネル4において第1厚み部4a以外の箇所には、取付部材3を挿入する挿入穴4cが複数設けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に延びる取付部材が周縁に間隔をあけて配置された天板を有する什器における前記天板の周縁に配置する仕切りパネルであって、
前記天板の周縁に沿う方向である第1方向に間隔をあけて配置された複数の折り曲げ部を備え、
前記仕切りパネルにおいて前記折り曲げ部以外の箇所には、前記取付部材を挿入する挿入穴が複数設けられている、
仕切りパネル。
【請求項2】
前記第1方向に交互に並び互いに厚みが異なる第1厚み部と第2厚み部とを備え、
前記第1厚み部が、前記第2厚み部よりも薄く、かつ、前記折り曲げ部であり、
前記第2厚み部に前記挿入穴が設けられる、
請求項1に記載の仕切りパネル。
【請求項3】
前記仕切りパネルの厚さ方向に積層された少なくとも2枚の基材部を備え、
前記挿入穴は、前記厚さ方向に隣り合う前記基材部の間に隙間を設けることで形成される、
請求項1または2に記載の仕切りパネル。
【請求項4】
前記仕切りパネルにおいて前記挿入穴の下方に位置する部分に切り欠きが設けられ、
前記挿入穴の下端は、前記切り欠きから開口している、
請求項1から3のいずれか1項の仕切りパネル。
【請求項5】
支持構造体と、
前記支持構造体に支持される天板と、
前記天板の周縁に間隔をあけて複数固定され、前記天板から上方に立設される棒状の取付部材と、
前記取付部材に固定され、前記天板の周縁に沿って配置される仕切りパネルと、
を備え、
前記仕切りパネルは、請求項1から4のいずれか1項に記載の仕切りパネルである、
天板付き什器。
【請求項6】
前記取付部材は、前記天板にボルトにより固定される、
請求項5に記載の天板付き什器。
【請求項7】
前記取付部材は、前記天板にマグネットにより固定される、
請求項5に記載の天板付き什器。
【請求項8】
請求項5から7のいずれか1項に記載の天板付き什器が、対をなして、互いの前後方向の向きを異なるようにするとともに、左右方向の位置をずらして設けられ、
前記天板付き什器のそれぞれは、前記仕切りパネルが、前記天板の後縁の少なくとも一部から、前記天板の側縁のうち、対をなす天板付き什器が配置される側の側縁の少なくとも一部にかけて配置されている、
天板付き什器ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仕切りパネル、天板付き什器及び天板付き什器ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、オフィスや研究施設、病院、学校などの執務空間で、天板付き什器の天板面から上方向に立設する仕切りパネル部材を有するものがある。例えば、厚肉部と折り曲げ部を有する仕切りパネル部材を、天板付き什器の側面に沿うように配置し、連結機構により締結するものが知られている。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の仕切りパネルでは、取付け時には、金具によって仕切りパネルを什器に直接締結している。そのため、容易に仕切りパネル位置の調整をすることができない。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、容易に位置を調整することができる仕切りパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る仕切りパネルは、上方に延びる取付部材が周縁に間隔をあけて配置された天板を有する什器における前記天板の周縁に配置する仕切りパネルであって、前記天板の周縁に沿う方向である第1方向に間隔をあけて配置された複数の折り曲げ部を備え、前記仕切りパネルにおいて前記折り曲げ部以外の箇所には、前記取付部材を挿入する挿入穴が複数設けられている。
【0007】
この発明によれば、仕切りパネルは、第1方向に間隔をあけて配置された複数の折り曲げ部を備え、仕切りパネルにおいて折り曲げ部以外の箇所には、取付部材を挿入する挿入穴が複数設けられている。また、仕切りパネルは、挿入穴に取付部材を挿入することによって固定される。そのため、仕切りパネルを直接締結する場合と比較して、着脱を容易に行うことができる。よって、仕切りパネルを配置する位置の調整を容易に行うことができる。
【0008】
また、前記第1方向に交互に並び互いに厚みが異なる第1厚み部と第2厚み部とを備え、前記第1厚み部が、前記第2厚み部よりも薄く、かつ、前記折り曲げ部であり、前記第2厚み部に前記挿入穴が設けられていてもよい。
【0009】
この発明によれば、第1厚み部が、第2厚み部よりも薄く、かつ、折り曲げ部であり、第2厚み部に挿入穴が設けられている。このことによって、例えば、折り曲げ部を蝶番等の構造とした場合と比較して、簡素な構造とすることができる。
【0010】
また、前記仕切りパネルの厚さ方向に積層された少なくとも2枚の基材部を備え、前記挿入穴は、前記厚さ方向に隣り合う前記基材部の間に隙間を設けることで形成されていてもよい。
【0011】
この発明によれば、挿入穴は、厚さ方向に隣り合う基材部の間に隙間を設けることで形成される。つまり、厚さ方向に隣り合う基材部の間の一部に単に隙間を設けるだけで挿入穴を形成することができる。よって、製造を容易に実現することができる。
【0012】
また、前記仕切りパネルにおいて前記挿入穴の下方に位置する部分に切り欠きが設けられ、前記挿入穴の下端は、前記切り欠きから開口していてもよい。
【0013】
この発明によれば、挿入穴の下端は、切り欠きから開口している。このことによって、切り欠きを、仕切りパネルの挿入穴に取付部材を挿入する際の目印とするほか、仕切りパネルの下端部を天板の下面よりも下側に設け、天板の下面を覆うことで見栄えを確保することができる。
【0014】
また、本発明に係る天板付き什器は、支持構造体と、前記支持構造体に支持される天板と、前記天板の周縁に間隔をあけて複数固定され、前記天板から上方に立設される棒状の取付部材と、前記取付部材に固定され、前記天板の周縁に沿って配置される仕切りパネルと、を備え、前記仕切りパネルは、本発明に係る仕切りパネルである。
【0015】
この発明によれば、仕切りパネルは、天板から上方に立説される棒状の取付部材に固定される。つまり、仕切りパネルは、挿入穴に取付部材を挿入することによって固定される。そのため、仕切りパネルを直接締結する場合と比較して、着脱を容易に行うことができる。よって、仕切りパネルを配置する位置の調整を容易に行うことができる。このことによって、例えば、仕切りパネルの取付け位置を調整することで、個人作業用としての用途から、複数人による共同作業用(例えば会議等)としての用途への切り替えを容易にすることができる。あるいは、設置場所によって仕切りパネルを必要とする部位が異なる場合等に、柔軟に対応することができる。
【0016】
また、前記取付部材は、前記天板にボルトにより固定されていてもよい。
【0017】
この発明によれば、取付部材を、天板にボルトにより固定する。このことによって、仕切りパネルの保持力を確保し、使用中に仕切りパネルが天板から落下することを防ぐことができる。
【0018】
また、前記取付部材は、前記天板にマグネットにより固定されていてもよい。
【0019】
この発明によれば、取付部材を、天板にマグネットにより固定する。このことによって、天板に対する取付部材の固定位置を容易に変更することができる。よって、仕切りパネルの取付け位置をより容易に変更することができる。
【0020】
また、本発明に係る天板付き什器ユニットは、前記天板付き什器が、対をなして、互いの前後方向の向きを異なるようにするとともに、左右方向の位置をずらして設けられ、前記天板付き什器のそれぞれは、前記仕切りパネルが、前記天板の後縁の少なくとも一部から、前記天板の側縁のうち、対をなす天板付き什器が配置される側の側縁の少なくとも一部にかけて配置されている。
【0021】
この発明によれば、仕切りパネルが、天板の後縁の少なくとも一部から、天板の側縁のうち、対をなす天板付き什器が配置される側の側縁の少なくとも一部にかけて配置されている。例えば、天板同士が互いに突き合わされた側の角部に、それぞれ仕切りパネルを配置する。このことによって、天板付き什器同士が面する側に、隙間を生じさせることなく仕切りパネルを配置することができる。
【0022】
ここで、例えば、天板の角部に平板状の仕切りパネルを2枚、天板の辺部に沿うように配置すると、平板状の仕切りパネル同士の間(角部の頂点)に隙間が生じる。それに対し、本発明に係る仕切りパネルは、天板の角部に沿って折り曲げることで、角部に隙間を生じさせることなく仕切りパネルを配置することができる。
このことによって、対角状に設けられた天板付き什器の使用者同士の間を完全に遮蔽することができる。よって、例えば、一方の使用者から発生した飛沫が他方の使用者側に飛散することを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、容易に位置を調整することができる仕切りパネルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態に係る天板付き什器ユニットの斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る天板付き什器の斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る天板付き什器の三面図である。
【
図4】
図2に示す天板付き什器について、仕切りパネルを取付ける前の状態を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態において、取付部材を天板にボルトで取り付けた状態を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態において、取付部材を天板にマグネットで取り付けた状態を示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る仕切りパネルの、切り欠き周辺の拡大図である。
【
図8】
図4に示す天板付き什器に、仕切りパネルを取り付けている途中の状態を示す図である。
【
図9】
図8に示す仕切りパネルのIX-IX方向の断面における、基材部及び表皮部の積層状態を示す図である。
【
図10】
図8に示す仕切りパネルのIX-IX方向における断面図である。
【
図11】仕切りパネルを、天板に対し複数取り付けた変形例である。
【
図12】本発明の一実施形態に係る天板付き什器ユニットにおいて、感染症対策として着席場所を区別したイメージ図である。
【
図13】
図12に示すように着席場所を区別した場合における、仕切りパネルの取付けイメージを示す天板付き什器ユニットの斜視図である。
【
図15】
図12に示す天板付き什器ユニットにおいて、平板状の仕切りパネルを複数取り付けた場合を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る天板付き什器10及び天板付き什器ユニット100を説明する。
図1に示すように、天板付き什器ユニット100は、複数の天板付き什器10を備える。天板付き什器ユニット100は、例えば、オフィスや研究施設、病院、学校などの執務空間で用いられる。本実施形態において、天板付き什器10は、机であるとする。
【0026】
図2に示すように、天板付き什器ユニット100は、支持構造体1(昇降脚体部)と、天板2と、取付部材3と、仕切りパネル4と、を備える。支持構造体1は、一対で設けられており、天板2の長手方向(以下、左右方向と称する場合がある)に離間して配列されている。なお支持構造体1は、一対でなくてもよく、3つ以上であってもよく、1つであってもよい。
それぞれの支持構造体1は、
図3に示すように、床面上に立設されており、下部支持体1aと、昇降ユニット1bと、上部支持体1cと、を備える。
【0027】
下部支持体1aは、
図3に示すように、平面視における天板2の短手方向(以下、前後方向と称する場合がある)に延びる長尺状の部位であり、床面に対して直接当接されている。下部支持体1aは、前後方向の端部の各々に、下方に向けて突出するアジャスタ1a1を備える。これらのアジャスタ1a1によって、支持構造体1の高さ調整と傾き調整が可能とされている。
【0028】
昇降ユニット1bは、下部支持体1aから上方に向けて延びて形成され、下部支持体1aと上部支持体1cとを連結している。この昇降ユニット1bは、
図3に示すように、下部筒状体1b1と、中間筒状体1b2と、上部筒状体1b3と、不図示の駆動機構とを備える。下部筒状体1b1、中間筒状体1b2及び上部筒状体1b3は、平面視における開口面積が異なる円筒状に各々が形状設定されている。下部筒状体1b1が中間筒状体1b2を収納し、中間筒状体1b2が上部筒状体1b3を収納している。
【0029】
不図示の駆動機構は、中間筒状体1b2を下部筒状体1b1に対して上下方向に移動させると共に、上部筒状体1b3を中間筒状体1b2に対して上下方向に移動させる。
このような昇降ユニット1bは、図示しない操作ユニットにより入力される指令に基づいて、上下方向に伸縮自在とされている。
【0030】
上部支持体1cは、天板2の下面2bに下方から固定され、天板2を支持する。また、上部支持体1cは、前後方向の中央部に昇降ユニット1b(上部筒状体1b3)が固定されており、昇降ユニット1bによって下方から支持されている。これらの支持構造体1は、昇降ユニット1bの内部に配設された駆動装置を上下方向に伸縮させることによって、天板2の上下位置を変更可能としている。
【0031】
天板2は、
図3に示すように、上面2aが執務者の作業面とされた板材であり、平面視が左右方向に長い形状とされている。本実施形態の天板2の周縁2c(外形)は、長方形状を有する。なお、天板2は、長方形状に限らず、例えば、楕円形状や、前後及び左右に非対称の形状を有していてもよい。
【0032】
取付部材3は、
図4に示すように、天板2の周縁2cに間隔をあけて複数固定され、天板2から上方に立設される。なお、以下において、天板2の周縁2cに沿う方向を第1方向と呼ぶことがある。
取付部材3は、棒状の部材をL字型に折り曲げた形状を有する。取付部材3は、固定部3aと、挿入部3bと、を備える。
固定部3aは、天板2の下面2bに下方から固定される。このとき、挿入部3bが天板2の上面2aの側に向くようにする。固定部3aは、例えば、
図5に示すように、天板2の下面2bにボルトBにより固定される。これにより、仕切りパネル4の保持力を確保することができる。このとき、天板2の下面2bには、前記ボルトBに対応しためねじ部(例えば、溶接ナット)が設けられる。前記めねじ部は、天板2の下面2bの周縁に、間隔をあけて複数設けられている。
【0033】
また、
図6に示すように、固定部3aにマグネットMを設け、天板2の下面2bに取付けてもよい。これにより、取付部材3の固定位置を容易に変更することができる。この場合は、天板2を鋼板製とするか、下面2bの取付け部に鋼板を設けるものとする。
挿入部3bは、天板2の下面2b側から上面2a側に向けて延びる長尺状の部位である。
【0034】
仕切りパネル4は、
図2に示すように、天板2の周縁2cに沿って配置され、取付部材3に固定される。仕切りパネル4は、天板付き什器ユニット100が配置された執務空間において、天板付き什器10ごとに空間を仕切る役割を有する。
また、仕切りパネル4は、着席している執務者がくしゃみ等をしたとき、発生した飛沫が直接他の執務者に曝露することを防ぐ役割を有する。
【0035】
本実施形態において、仕切りパネル4は、第1厚み部4a(折り曲げ部)と、第2厚み部4bと、挿入穴4cと、を備える。第1厚み部4aと第2厚み部4bとは、仕切りパネル4の第1方向に交互に並ぶように設けられている。第1厚み部4aおよび第2厚み部4bは互いに厚さが異なる。第1厚み部4aは、第2厚み部4bよりも薄い(厚さ方向の大きさが小さい)。また、挿入穴4cは、第2厚み部4bの内部に設けられている(詳細は後述する)。
【0036】
仕切りパネル4を天板2の周縁2cに沿って取付けるときは、第1厚み部4aを折り曲げることによって仕切りパネル4の形状を変形させる。つまり、仕切りパネル4は、第1厚み部4aを起点として折り曲げ可能である。
第1厚み部4aは、仕切りパネル4における、比較的厚さが薄い部位である。上述のように、仕切りパネル4を天板2の周縁2cに沿って配置する際に折り曲げる箇所である。
【0037】
第2厚み部4bは、仕切りパネル4における、比較的厚さが厚い部位である。あるいは、仕切りパネル4における、第1厚み部4a以外の部位である。
仕切りパネル4の材質は、例えば、不織布が好適に用いられる。仕切りパネル4は、例えば、
図9に示すように、不織布からなる基材部4m1及び表皮部4m2を厚さ方向に少なくとも2枚ずつ積層し、熱圧着することによって形成される。このとき、基材部4m1には、接着剤が含浸されていることが好ましい。
【0038】
また、第2厚み部4bの、厚さ方向の内側には、取付部材3の挿入部3bを挿入する挿入穴4cが設けられている。挿入穴4cは、天板2に固定された取付部材3が挿入されることで、仕切りパネル4を天板2の周縁2cに固定する役割を有する。なお、
図9に示す仕切りパネル4に取付部材の挿入部3bを挿入すると、
図10に示す状態となる。
【0039】
また、
図7に示すように、挿入穴4cにおける、取付部材3を挿入する際の入口となる部位には、切り欠き4c1が設けられている。切り欠き4c1は、第2厚み部4bに設けられた挿入穴4cの下方に位置する部分に設けられている。なお、挿入穴4cは、切り欠き4c1から開口している。
切り欠き4c1は、仕切りパネル4の下端部において、基材部4m1及び表皮部4m2を適宜除去することで設けられる。これにより、切り欠き4c1を、仕切りパネル4の挿入穴4cに取付部材3を挿入する際の目印とするほか、仕切りパネル4の下端部を天板2の下面2bよりも下側に設け、天板2の下面2bを覆うことで見栄えを確保する役割を有する。
仕切りパネル4を固定する際は、
図8および
図10に示すように、挿入部3bを、仕切りパネル4の挿入穴4cに挿入する。
【0040】
仕切りパネル4の形成手順としては、まず、基材部4m1及び表皮部4m2を厚さ方向に積層する。このとき、仕切りパネル4の厚さ方向において、2枚の基材部4m1が内側に、表皮部4m2が外側になるように積層する。
次に、第1厚み部4a及び第2厚み部4bが形成されるように、パネル4の厚さ方向両側から型を押し付けた状態で加熱し、基材部4m1及び表皮部4m2を熱圧着する。
【0041】
また、挿入穴4cは、上述の熱圧着の際に、互いに接している基材部4m1同士の間に棒状の部材を差し込んだ状態のまま熱圧着し、その後棒状の部材を除去することで形成される。挿入穴4cは、仕切りパネル4の第1方向に複数位置する第2厚み部4bにおいて、任意の間隔に設けられる。
なお、切り欠き4c1は、例えば、熱圧着工程の前に、あらかじめ基材部4m1及び表皮部4m2の一部を適宜除去してから積層することで形成される。
【0042】
例えば、取付部材3を天板2にボルトBにより固定する場合は、天板2に設けられた溶接ナットの間隔によって取付部材3の間隔が決定されるため、その間隔に合わせて挿入穴4cを設けてもよい。
あるいは、取付部材3を天板2にマグネットMにより固定する場合は、天板2が鋼製であるとき等には取付部材3の位置が任意に決定されるため、挿入穴4cを比較的少ない間隔で設けてもよいし、全ての第2厚み部4bに設けてもよい。
【0043】
仕切りパネル4の、天板2の周縁2cにおける取付け位置は、任意に決定することができる。仕切りパネル4の固定位置を変更するときは、
図11に示すように、天板2に取付けた取付部材3の位置を変更することにより行う。
例えば、取付部材3が天板2にボルトBにより固定されている場合は、取付部材3を一旦取り外し、天板2における任意の位置に再度取付けることで仕切りパネル4の取付け位置を変更する。また、仕切りパネル4の挿入穴4cの位置が合えば、取付部材3を取り外すことなく、取付部材3に対する仕切りパネル4の差込み位置のみを変更することで、仕切りパネル4の固定位置を変更してもよい。
また、取付部材3が天板2にマグネットMにより固定されている場合は、取付部材3のマグネットMを取り外し移動することで、仕切りパネル4の取付け位置を変更する。なお、取付部材3の位置を変更するときには、予め、仕切りパネル4を取付部材3から取り外しておく。
これにより、天板付き什器10を個人作業用だけでなく、必要に応じて会議等をはじめとした複数人による共同作業用として使用することができる。
【0044】
また、仕切りパネル4の、第1方向の長さ及び、上下方向の長さ(高さ)は任意に決定することができる。
あるいは、
図11に示すように、比較的短い長さを有する仕切りパネル4を、天板2の周縁2cに複数設けてもよい。
【0045】
また、仕切りパネル4を、感染症対策として用いてもよい。例えば、天板付き什器ユニット100が設けられた居室内において、使用者間の距離(ソーシャルディスタンス)を保つために、
図12に示すように、O印の箇所のみに着席し、X印の箇所には着席しないといった方法を取ることがある。
【0046】
ここで、天板付き什器10の天板2が昇降ユニット1bによって上下位置を変更可能であるとき、隣り合う天板付き什器10同士の隙間が狭いと、隣り合う天板2同士の高さが上下することによって物等を挟む可能性がある。このため、隣り合う天板付き什器10の間には、所定の距離を空けることが望ましい。
【0047】
また、天板付き什器10同士の間に距離を設けた状態で、天板付き什器10に設ける仕切りパネル4が直線状にのみ設けられていると、上述した所定の距離によってパネル同士の間に隙間が生じる。結果として、
図12に示すO印同士の間に仕切りパネル4が設けられず、効率的に遮蔽することができない。
【0048】
このとき、例えば、
図13及び
図14に示すように、天板付き什器10が、対をなして、互いの前後方向の向きを異なるようにするとともに、左右方向の位置をずらして設け、天板付き什器10のそれぞれは、仕切りパネル4が、天板2の後縁の少なくとも一部から、天板2の側縁のうち、対をなす天板付き什器10が配置される側の側縁の少なくとも一部にかけて配置してもよい。
【0049】
ここで、天板付き什器10の前後方向とは、天板2を基準とした平面において、使用者が着席する側(例えば、
図12における〇印のある側)を前側、仕切りパネル4が設けられた側を後ろ側とした方向である。また、天板付き什器10の左右方向とは、天板2を基準とした平面において、前記前後方向に直交する方向である。
【0050】
なお、後縁は、天板2の周縁2cにおいて、
図12における仕切りパネル4が設けられた側の縁を指す。また、側縁は、天板2の周縁2cにおいて、特に天板2の左右方向の端部の縁を指す。
また、このような場合に、臨時的に
図12におけるX印の箇所に着席し、使用者同士が向かい合うような状態となるときは、使用者同士の間に簡易パネル等を設置してもよい。
【0051】
ここで、
図15に示すように、平板状の仕切り板P2を複数用いることにより天板2の角部を遮蔽しようとすると、当該角部に構造上隙間が生じることがある。
この場合は、一方の執務者がくしゃみ等をしたとき、発生した飛沫が前記隙間を介して他方の執務者側に移動することがある。それに対し、仕切りパネル4を当該角部に沿って取付けると、上述のような隙間が発生しない。よって、より確実に飛沫が一方の執務者側から他方の執務者側へ移動することを防ぐことができる。
【0052】
以上説明したように、本実施形態に係る仕切りパネル4によれば、天板2から上方に立説される棒状の取付部材3に固定される。つまり、仕切りパネル4は、挿入穴4cに取付部材3を挿入することによって固定される。そのため、仕切りパネル4を直接締結する場合と比較して、着脱を容易に行うことができる。よって、仕切りパネル4を配置する位置の調整を容易に行うことができる。このことによって、例えば、仕切りパネル4の取付け位置を調整することで、個人作業用としての用途から、複数人による共同作業用(例えば会議等)としての用途への切り替えを容易にすることができる。あるいは、設置場所によって仕切りパネル4を必要とする部位が異なる場合等に、柔軟に対応することができる。
【0053】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、天板2の周縁2cの、仕切りパネル4が設けられていない部位には、必要に応じて小物入れや棚等を取付けてもよい。このとき、天板2の下面2bに設けられためねじ部または鋼板を用いて、前記小物入れや棚などをボルトB又はマグネットMにより固定してもよい。
【0054】
また、仕切りパネル4は、第1厚み部4aによって折り曲げることができれば、不織布以外の材質を用いてもよい。
また、仕切りパネル4は、第1厚み部4aと第2厚み部4bが交互に設けられているものとして説明したが、仕切りパネル4の表面は面一であってもよい。
【0055】
また、本実施形態において、天板付き什器10を机であるものとして説明したが、天板付き什器10は、支持構造体1の代わりに収納スペースを有する棚であってもよい。
また、挿入穴4cは、基材部4m1同士の間に設けなくてもよい。
また、取付部材3は、上述のボルトB及びマグネットM以外の部材によって取付けられていてもよい。
【0056】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 支持構造体
2 天板
2c 周縁
3 取付部材
4 パネル
4a 第1厚み部
4b 第2厚み部
4c 挿入穴
4m1 基材部
10 天板付き什器
100 天板付き什器ユニット
B ボルト
M マグネット
P2 板