(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022073752
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】ピボットヒンジ
(51)【国際特許分類】
E05D 7/081 20060101AFI20220510BHJP
E05D 7/12 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
E05D7/081
E05D7/12 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020183930
(22)【出願日】2020-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】000108708
【氏名又は名称】タキゲン製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 志朗
【テーマコード(参考)】
2E030
【Fターム(参考)】
2E030AB01
2E030BB01
2E030BB03
2E030HA01
2E030HB02
2E030HC01
2E030HD01
2E030HE01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ピボットピンを扉、蓋又は筐体、枠体にワンタッチで取り付ける方法を提供する。
【解決手段】ピボットヒンジHでは、ピボットピン1を扉Dのピボットピン挿通孔D10にホルダー2を介して取り付ける。ホルダー2は、ピボットピン1の外周面に装着可能に略筒形に形成され、フランジ21と、爪22とを備える。このようにしてピボットピン1をホルダー2とともに扉Dのピボットピン挿通孔D10に挿入するだけのワンタッチで扉Dに取り付ける。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体、枠体を含む本体の取付部又は扉、蓋を含む回動体の一方に穿設されるピボットピン受け孔と、他方に前記ピボットピン受け孔に対向してピボットピン挿通孔を穿設され、先端を前記ピボットピン挿通孔から前記ピボットピン受け孔方向に突出して取り付けられるピボットピンとを備え、前記ピボットピン受け孔に前記ピボットピンの前記先端を挿入して、前記本体の取付部に前記回動体を回動可能に取り付けるピボットヒンジにおいて、
前記ピボットピンは前記ピボットピン挿通孔にホルダーを介して取り付けられ、
前記ホルダーは、
前記ピボットピンの外周面に装着可能に略筒形に形成され、
前記ホルダーの外周面で前記ピボットピンの前記先端側に対応する一端部に外周方向に突出され、前記ピボットピン挿通孔の前記ピボットピンの前記先端の突出側となる外側で前記ピボットピン挿通孔の縁部周囲に係合可能な係止部と、
前記ホルダーの外周面で前記ピボットピンの軸方向中間部に対応する中間部にヒンジ結合されて前記係止部方向に漸次外周方向に向けて斜めに突出され、前記ピボットピン挿通孔の前記ピボットピンの没入側となる内側で前記ピボットピン挿通孔の縁部周囲に係止可能な爪と、
を備え、
前記ピボットピン挿通孔は前記ピボットピンが前記ピボットピンの外周面に装着した前記ホルダーとともに嵌挿可能に形成され、
前記ピボットピンは、前記ピボットピンの外周面に装着した前記ホルダーとともに前記ピボットピンの先端とは反対の基端から前記ピボットピン挿通孔に前記外側から前記内側に向けて挿入するだけのワンタッチ作業で、前記係止部及び前記爪により、前記ピボットピン挿通孔の縁部周囲が前記ピボットピン挿通孔の外側及び内側から挟持されて、取り付けられる、
ことを特徴とするピボットヒンジ。
【請求項2】
ホルダーは略角筒形又は略円筒形に形成され、ピボットピン挿通孔は略角形又は略円形に形成される請求項1に記載のピボットヒンジ。
【請求項3】
係止部はホルダーの外周面一端部の全周から外周方向に突出されるフランジからなる請求項1又は2に記載のピボットヒンジ。
【請求項4】
係止部はホルダーの外周面一端部から外周方向に突出される複数の突起部からなる請求項1又は2に記載のピボットヒンジ。
【請求項5】
爪はホルダーの外周面中間部に相互に対向する位置に対にして設けられる請求項1乃至4のいずれかに記載のピボットヒンジ。
【請求項6】
爪はホルダーの外周面中間部に周方向に複数設けられる請求項1乃至4のいずれかに記載のピボットヒンジ。
【請求項7】
ホルダーは係止部及び爪とともに弾性を有する合成樹脂材料により一体に形成され、前記爪は前記ホルダーの外周面に薄肉ヒンジを介して設けられる請求項1乃至6のいずれかに記載のピボットヒンジ。
【請求項8】
ピボットピンはホルダーに前記ピボットピンの先端を前記ホルダーの一端部から出没可能にかつ前記先端を常態として前記ホルダーの一端部から突出可能にばね部材を介して取り付けられる請求項1乃至7のいずれかに記載のピボットヒンジ。
【請求項9】
ピボットピンはホルダーに前記ピボットピンの先端を前記ホルダーの一端部から突出されて固定して取り付けられる請求項1乃至7のいずれかに記載のピボットヒンジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扉や蓋などの回動体を筐体や枠体などの本体に回動可能に取り付けるのに使用するピボットヒンジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のピボットヒンジが特許文献1により提案されている。この文献1に開示されているように、この種のピボットヒンジには、扉又は枠体にピボットピンを固定してその先端を枠体又は扉に設けたピボットピン受け孔に係合させるようにした形式、扉又は枠体にピボットピンを出没可能に設け、ピボットピンを枠体又は扉に設けたピボットピン受け孔に係合させるようにした形式がある。
【0003】
図6(a)に前者の形式を示している。
図6(a)に示すように、この形式のピボットヒンジH1に用いるピボットピン61は、先端611が大径で、この先端611に続く基端612側が小径で、基端612側の外周面にねじ613が切られている。このピボットヒンジH1の場合、筐体Bの扉取付部B1にピボットピン受け孔B10が穿設され、扉Dにこのピボットピン受け孔B10に対向してピボットピン挿通孔D10が設けられる。ピボットピン61は基端612側を扉Dのピボットピン挿通孔D10に挿通されて、先端611が扉Dのピボットピン挿通孔D10からピボットピン受け孔B10方向に突出され、基端612側のねじ613にナット614を締結されて、扉Dに固定して取り付けられる。このようにして筐体Bのピボットピン受け孔B10に扉Dのピボットピン61の先端611を挿入して、筐体Bの扉取付部B1に扉Dを回動可能に取り付けるようになっている。
【0004】
図6(b1)、(b2)に後者の形式を示している。
図6(b1)に示すように、この形式のピボットヒンジH2に用いるピボットピン62は、先端621が大径で、この先端621に続く基端622側が小径で略L字形を呈し、ホルダー63にばね64を介して上下動可能に支持されて、ピボットピンユニットとして構成される。この場合、ホルダー63は、全体が断面略コ字形に形成されて、上板631、側板632、下板633からなり、上板631にピボットピン62の先端621を挿通可能に大径のガイド孔631aを有し、下板633にピボットピン62の基端622側を挿通可能に小径のガイド孔633aを有し、側板632に取付ねじSのための複数のねじ孔632aを有する。ばね64にはコイルスプリングが用いられる(以下、コイルスプリング64という。)。そして、ピボットピン62の先端621がホルダー63の上板631のガイド孔631aに挿通され、ピボットピン62の基端622側がコイルスプリング64を巻装されてホルダー63の下板633のガイド孔633aに挿通され、ピボットピン62の先端621とホルダー63の下板633との間にコイルスプリング64が介在される。このようにしてピボットピン62はホルダー63にコイルスプリング64を介して上下動可能に支持される。このピボットヒンジH2の場合、筐体Bの扉取付部B1にピボットピン受け孔B10が穿設され、扉Dにこのピボットピン受け孔B10に対向してピボットピン挿通孔D10が設けられる。ピボットピンユニットはピボットピン62の先端621を扉Dのピボットピン挿通孔D10に挿通されてピボットピン挿通孔D10の下部に配置され、扉Dに通された複数の取付ねじSがホルダー63の側板632の各ねじ孔632aに締結されて、ピボットピン62の先端621が扉Dのピボットピン挿通孔D10から出没可能にかつ常態として扉Dのピボットピン挿通孔D10から上方に突出されて、扉Dに取り付けられる。このようにして筐体Bのピボットピン受け孔B10に扉Dのピボットピン62の先端621を扉Dのピボットピン挿通孔D10に没入させながら(
図6(b2)参照)挿入して、筐体Bの扉取付部B1に扉Dを回動可能に取り付けるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来のピボットヒンジでは、ピボットピンを扉又は枠体に取り付ける際に、次のような問題がある。
(1)扉又は枠体にピボットピンをナットなどの締結部材で固定する形式の場合、既述のとおり、ピボットピンの基端側を扉のピボットピン挿通孔に挿通して、この基端側のねじにナットを締結するので、ナットの締め込み作業により作業効率が低下し、ピボットピンの取り付けに多くの時間を必要とする。
(2)扉又は枠体にピボットピンを出没可能に取り付ける形式の場合、既述のとおり、
ピボットピンの先端を扉のピボットピン挿通孔に通してピボットピン挿通孔の下部に配置し、扉に通した複数の取付ねじをホルダーの側板の各ねじ孔に締結するので、複数の取付ねじの締め込み作業により作業効率が低下し、ピボットピンの取り付けに多くの時間を必要とする。なお、ホルダーを扉に溶接により固定することもあるが、この場合も、ホルダーの溶接作業により作業効率が低下し、ピボットピンの取り付けに多くの時間を必要とする。
【0007】
本発明は、このような従来の問題を解決するもので、この種のピボットヒンジにおいて、ピボットピンを、扉、蓋を含む回動体又は筐体、枠体を含む本体の取付部にワンタッチで取り付けできるようにして、ピボットヒンジの取付作業を効率をよく、可及的に少ない時間で行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、
筐体、枠体を含む本体の取付部又は扉、蓋を含む回動体の一方に穿設されるピボットピン受け孔と、他方に前記ピボットピン受け孔に対向してピボットピン挿通孔を穿設され、先端を前記ピボットピン挿通孔から前記ピボットピン受け孔方向に突出して取り付けられるピボットピンとを備え、前記ピボットピン受け孔に前記ピボットピンの前記先端を挿入して、前記本体の取付部に前記回動体を回動可能に取り付けるピボットヒンジにおいて、
前記ピボットピンは前記ピボットピン挿通孔にホルダーを介して取り付けられ、
前記ホルダーは、
前記ピボットピンの外周面に装着可能に略筒形に形成され、
前記ホルダーの外周面で前記ピボットピンの前記先端側に対応する一端部に外周方向に突出され、前記ピボットピン挿通孔の前記ピボットピンの前記先端の突出側となる外側で前記ピボットピン挿通孔の縁部周囲に係合可能な係止部と、
前記ホルダーの外周面で前記ピボットピンの軸方向中間部に対応する中間部にヒンジ結合されて前記係止部方向に漸次外周方向に向けて斜めに突出され、前記ピボットピン挿通孔の前記ピボットピンの没入側となる内側で前記ピボットピン挿通孔の縁部周囲に係止可能な爪と、
を備え、
前記ピボットピン挿通孔は前記ピボットピンが前記ピボットピンの外周面に装着した前記ホルダーとともに嵌挿可能に形成され、
前記ピボットピンは、前記ピボットピンの外周面に装着した前記ホルダーとともに前記ピボットピンの先端とは反対の基端から前記ピボットピン挿通孔に前記外側から前記内側に向けて挿入するだけのワンタッチ作業で、前記係止部及び前記爪により、前記ピボットピン挿通孔の縁部周囲が前記ピボットピン挿通孔の外側及び内側から挟持されて、取り付けられる、
ことを要旨とする。
【0009】
また、本発明は各部が次のような構成を備えることが好ましい。
(1)ホルダーは略角筒形又は略円筒形に形成され、ピボットピン挿通孔は略角形又は略円形に形成される。
(2)係止部はホルダーの外周面一端部の全周から外周方向に突出されるフランジからなる。
(3)係止部はホルダーの外周面一端部から外周方向に突出される複数の突起部からなる。
(4)爪はホルダーの外周面中間部に相互に対向する位置に対にして設けられる。
(5)爪はホルダーの外周面中間部に周方向に複数設けられる。
(6)ホルダーは係止部及び爪とともに弾性を有する合成樹脂材料により一体に形成され、前記爪は前記ホルダーの外周面に薄肉ヒンジを介して設けられる。
(7)ピボットピンはホルダーに前記ピボットピンの先端を前記ホルダーの一端部から出没可能にかつ前記先端を常態として前記ホルダーの一端部から突出可能にばね部材を介して取り付けられる。
(8)ピボットピンはホルダーに前記ピボットピンの先端を前記ホルダーの一端部から突出されて固定して取り付けられる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のピボットヒンジによれば、上記の構成により、ピボットピンを、扉、蓋を含む回動体又は筐体、枠体を含む本体の取付部にワンタッチで取り付けることができるので、ピボットヒンジの取付作業を効率よく、可及的に少ない時間で行うことができる、という本発明独自の各別な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施の形態に係るピボットヒンジの外部構成を示す図((a)は平面図(b)は正面図(先端が突出状態)(c)は正面図(先端が没入状態)(d)底面図)
【
図2】同ピボットヒンジの内部構成を示す図((a)は正面断面図(先端が突出状態)(b)は正面断面図(先端が没入状態))
【
図3】同ピボットヒンジの特にホルダーの構成を示す図((a1)は平面図(a2)は平面断面図(図b1のB-B線断面図)(b1)は正面図(b2)は正面断面図(図a1のA-A線断面図)(c)は側面図(d)は底面図)
【
図4】同ピボットヒンジを用いて筐体に扉を取り付ける施工例を示す図
【
図5】同ピボットヒンジを用いて筐体に扉を取り付ける施工例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、この発明を実施するための形態について図を用いて説明する。
図1に本発明の一実施の形態に係るピボットヒンジの全体構成を示し、
図2、
図3にこのピボットヒンジの各部の構成を示している。
【0013】
図1に示すように、ピボットヒンジHは、筐体、枠体を含む本体の取付部又は扉、蓋を含む回動体の一方に穿設されるピボットピン受け孔B10(
図5参照)と、他方にピボットピン受け孔B10に対向してピボットピン挿通孔D10を穿設され、先端11をピボットピン挿通孔D10からピボットピン受け孔B10方向に突出して取り付けられるピボットピン1とを備え、ピボットピン受け孔B10にピボットピン1の先端11を挿入して、本体の取付部に回動体を回動可能に取り付ける形式のものである。
【0014】
なお、この実施の形態では、ピボットヒンジHは、筐体B(
図5参照)の扉取付部B1(
図5参照)に穿設されるピボットピン受け孔B10(
図5参照)と、扉Dに筐体Bのピボットピン受け孔B10に対向してピボットピン挿通孔D10を穿設され、先端11をピボットピン挿通孔D10からピボットピン受け孔B10方向に突出して取り付けられるピボットピン1とを備え、筐体Bの扉取付部B1のピボットピン受け孔B10に扉Dのピボットピン1の先端11を挿入して、筐体Bの扉取付部B1に扉Dを回動可能に取り付ける場合を例示している。この場合、筐体Bの正面に一対の扉Dが観音開き式に取り付けられる(
図5参照)。ここで、筐体Bは正面に開口を有し、扉取付部B1は、筐体B正面の開口の上部及び下部にそれぞれ、平面視横に細長い長方形の薄型のケース形状に形成されて、開口に対して直角に前方に向けて突出される。ピボットピン受け孔B10は、上部の扉取付部B1にあっては下面で各扉Dの枢支側の端部、つまり、両端部に、下部の扉取付部B1にあっては上面の各扉Dの枢支側の端部、つまり、両端部に、それぞれ、ピボットピン1の先端11が嵌挿可能に、この場合、円形に穿設される。ここで、各扉Dはこの筐体Bの正面に上部及び下部の各扉取付部B1間に嵌合可能に背面を開放された縦に長い長方形のケース形状に形成される。ピン挿通孔D10は、各扉Dの上端面及び下端面のそれぞれ枢支側となる一端部に、扉取付部B1の各ピボットピン受け孔B10に対向して穿設される。各ピボットピン1は、次のとおり、先端11が扉D上下の各ピボットピン挿通孔D10から突出可能に扉Dに取り付けられる。
【0015】
このピボットヒンジHでは、特に、ピボットピン1がピボットピン挿通孔D10にホルダー2を介して取り付けられる。
【0016】
図2に示すように、ピボットピン1は、先端11が大径の円柱形に、この先端11に続く中間12が中径の円柱形に、この中間12に続く基端13が小径の円柱形になっている。この場合、先端11は先端縁部111が面取りされてテーパ状に形成される。中間12は先端11より長く、中間12の基端13側の端部全周に溝120を形成されてEリング121が嵌着される。基端13は先端11より少し短く、基端縁部131が少し拡径されて段差部(以下、段差部131という。)が設けられる。このピボットピン1の中間12にはばね部材3としてコイルスプリング(以下、コイルスプリング3という。)が巻装される。
【0017】
図3に示すように、ホルダー2は、ピボットピン1の外周面に装着可能に、略筒形に形成され、外周面に係止部21、爪22を備えて構成される。この場合、ホルダー2は係止部21及び爪22とともに、ガラス繊維入りナイロン樹脂などの弾性を有する合成樹脂材料により一体に形成される。
【0018】
ホルダー2は略角筒形に形成される。この場合、ホルダー2は、ピボットピン1の中間12と略同じ長さの筒形形状で、内周面がピボットピン1の先端11が挿通可能に円筒形に、外周面が略角筒形、この場合は、断面角丸の四角形に、形成される。また、この場合、ホルダー2の両端面が開口され、ピボットピン1の先端11側に対応する一端面の開口201は一端面の中央にピボットピン1の先端11を挿通可能にホルダー2の内周面と同径の大径の円形に形成され、その反対の他端面の開口202は他端面の中央にピボットピン1の中間12が挿通可能に中径の円形に形成される。
【0019】
係止部21は、ホルダー2の外周面でピボットピン1の先端11側に対応する一端部に外周方向に突出され、(
図1参照)ピボットピン挿通孔D10のピボットピン1の先端11の突出側となる外側でピボットピン挿通孔D10の縁部周囲に係合可能に形成される。この場合、係止部21はホルダー2の外周面一端部の全周から外周方向に突出されるフランジからなる(以下、フランジ21という。)。また、この場合、フランジ21はホルダー2の外周面の一端部に沿って角丸の四角形の枠状にかつ外周面の一端部から外周方向に向けて断面台形状に突出されて形成される。
【0020】
爪22は、ホルダー2の外周面でピボットピン1の軸方向中間部に対応する中間部にヒンジ結合され、フランジ21方向に漸次外周方向に向けて斜めに突出され、(
図1参照)ピボットピン挿通孔D10のピボットピン1の没入側となる内側でピボットピン挿通孔D10の縁部周囲に係止可能に形成される。この場合、爪22はホルダー2の外周面の中間部で相互に対向する位置、ここでは相互に対向する各側面で軸方向中間部に対にして設けられる。また、この場合、ホルダー2の各側面の一端部側の半面に凹部230、他端部側の半面に凸部231を有し、各爪22は凸部231のフランジ21側の一端部に薄肉ヒンジ221を介して凹部230に傾倒可能に形成される。この場合、ホルダー2の各側面の一端部側の半面のフランジ21側の一端にフランジ21に隣接して各側面の幅方向に細長い長方形の板状に、他端部側の半面に各側面の長さ方向に少し長い長方形の板状に、それぞれ厚肉に形成されて凸部231が設けられる。各爪22は、各側面の他端部側の半面の凸部231のフランジ21側の一端部に薄肉ヒンジ221を介して連続して、各側面の幅方向に少し長い長方形の板状に凸部231と略同じ厚さに形成され、外側方向に斜めに延出される。そして、各側面の一端部側の半面は一端部側の凸部231と他端部側の凸部231との間に各爪22が嵌合可能に凹部230が長方形状に形成され、各爪22がホルダー2の各側面の一端部側の半面の凹部230に向けて傾倒可能になっている。このようにして各爪22はホルダー2の各側面の凹部230に傾倒されることにより、各爪22の外側面が各凸部231の外側面と面一となるようにしている。
【0021】
ピボットピン1、ホルダー2はそれぞれ、かかる構成を有し、
図1、
図2に示すように、ピボットピン1はホルダー2に、ピボットピン1の先端11をホルダー2の一端部から出没可能にかつ先端11を常態としてホルダー2の一端部から突出可能に、コイルスプリング3を介して取り付けられる。この場合、ピボットピン1は、中間12にコイルスプリング3を巻装されて、ピボットピン1の基端13から、ホルダー2の一端面の開口201からホルダー2に挿通され、ピボットピン1の基端13がホルダー2の他端面の開口202から突出される。そして、ホルダー2の他端面の開口202からピボットピン1の中間12の基端13側の端部を突出され、中間12基端13側の溝120にEリング121が嵌着されてピボットピン1が抜け止めされる。このようにしてピボットピン1の中間12上に巻装されたコイルスプリング3がピボットピン1の先端11とホルダー2の他端面の開口202の内面側の周縁部との間に少し圧縮されて介装され、このコイルスプリング3の付勢力により、ピボットピン1がホルダー2に先端11をホルダー2の一端面から出没可能にかつ先端11を常態としてホルダー2の一端面から突出して組み付けられる。
【0022】
そして、扉Dのピボットピン挿通孔D10はピボットピン1がピボットピン1の外周面に装着したホルダー2とともに嵌挿可能に略角形に形成される。この場合、ピボットピン挿通孔D10は扉Dの枢支側の一端部に筐体Bのピボットピン受け孔B10に対向してホルダー2を嵌挿可能に四角形に穿設される。
【0023】
このようにしてピボットピン1は、ピボットピン1の外周面に装着したホルダー2とともにピボットピン1の先端11とは反対の基端13から扉Dのピボットピン挿通孔D10に外側から内側に向けて挿入するだけのワンタッチ作業で、ホルダー2のフランジ21及び各爪22により、扉Dのピボットピン挿通孔D10の縁部周囲がピボットピン挿通孔D10の外側及び内側から挟持されて、扉Dのピボットピン挿通孔D10に取り付けられるようになっている。
【0024】
かくして、ピボットピン1は各扉Dの上端面、下端面の枢支側端部に各ピボットピン挿通孔D10に取り付けられ、各ピボットピン1の先端11が筐体Bの扉取付部B1のピボットピン受け孔B10に挿入されて、扉Dが筐体Bの扉取付部B1間に回動可能に取り付けられる。
【0025】
図4、
図5にこのピボットヒンジHを用いて筐体Bに扉Dを取り付ける施工例を示している。
図5に示すように、この場合、筐体Bに一対の扉Dが観音開き式に取り付けられる。筐体Bは正面に開口を有し、扉取付部B1は、筐体B正面の開口の上部及び下部にそれぞれ、平面視横に細長い長方形の薄型のケース形状に形成されて、開口に対して直角に前方に向けて突出される。各扉Dは筐体Bの正面に上部及び下部の各扉取付部B1間に嵌合可能に背面を開放された縦に長い長方形のケース形状に形成される。
【0026】
図5に示すように、まず、筐体Bの上部の扉取付部B1の下面で各扉Dの枢支側の端部、つまり、両端部に、また、下部の扉取付部B1の上面で各扉Dの枢支側の端部、つまり、両端部に、それぞれ、ピボットピン受け孔B10を、ピボットピン1の先端11が嵌挿可能に、この場合、ピボットピン1の先端11の外径と同じが僅かに大きい円形に穿設する。続いて、各扉Dの上下端面の枢支側の一端部にそれぞれ、筐体Bのピボットピン受け孔B10に対向して、ピボットピン挿通孔D10をホルダー2を嵌挿可能に角形に開ける。より具体的に言えば、
図4(1)に示すように、扉Dの各端面にピボットピン挿通孔D10をホルダー2の外形がぎりぎり挿入できる程度の大きさの四角形に開ける。
【0027】
次に、
図4(2)-(4)に示すように、4本のピボットピン1をそれぞれ、その先端11を各扉Dのピボットピン挿通孔D10から筐体Bのピボットピン受け孔B10に向けて突出させて、各扉Dに取り付ける。この場合、ピボットピン1をこのピボットピン1の外周面に装着したホルダー2とともに、ピボットピン1の基端13から扉Dのピボットピン挿通孔D10にピボットピン挿通孔D10の外側から内側に向けて挿入するだけのワンタッチ作業で取り付ける。
【0028】
すなわち、ピボットピン1を基端13からピボットピン挿通孔D10に外側から内側に向けて挿入する。ホルダー2をピボットピン挿通孔10に挿入していくと、ホルダー2外周面の各爪22の外側面がピボットピン挿通孔D10の内周縁部に押されて各爪22が薄肉ヒンジ221を中心に徐々にホルダー2外周面の各凹部230に向けて回動(傾倒)され、つまり、閉じられて各凹部230に収納され、ホルダー2の各爪22がホルダー2の外周面(凸部231)に面一となって、ピボットピン挿通孔D10を通り抜ける。
【0029】
そして、ホルダー2をピボットピン挿通孔D10に最後まで挿入すると、ホルダー2の外周面一端のフランジ21がピボットピン挿通孔D10の外側の縁部周囲に係止されるとともに、ホルダー2の各爪22がピボットピン挿通孔D10を完全に通過して各爪22が弾性復帰により薄肉ヒンジ221を中心にホルダー2の外周面の外側に向けて回動され、つまり、開いて、各爪22の先端がピボットピン挿通孔D10の内側の縁部周囲に係止される。
【0030】
かくしてピボットピン1は、ホルダー2のフランジ21及び各爪22により、ピボットピン挿通孔D10の縁部周囲がピボットピン挿通孔D10の外側及び内側から挟持されて、ピボットピン挿通孔D10に固定される。そして、ホルダー2の一端面から常態として突出されるピボットピン1の先端11は扉Dのピボットピン挿通孔D10から筐体Bの扉取付部B1に向けて突出される。かかる方式により、ピボットヒンジHの取付作業がワンタッチで完了し、作業効率が格段に上がる。
【0031】
そして、
図5に示すように、各扉Dに取り付けた各ピボットピン1の先端11を筐体Bの上部及び下部の各扉取付部B1の各ピボットピン受け孔B10に挿入して、各扉Dを筐体Bの各扉取付部B1間に回動可能に取り付ける。
【0032】
この場合、扉Dを傾けて、扉Dの下端面のピボットピン1の先端11を筐体B下部の扉取付部B1のピボットピン受け孔B10に差し込んで係合させてから、扉Dを起立させると、扉Dの上端面のピボットピン1の先端11が筐体B上部の扉取付部B1の下面に当たり、ピボットピン1が次第に押し下げられてホルダー2の内部に没入され、このピボットピン1の先端11を筐体B上部の扉取付部B1のピボットピン受け孔B10に一致させると、ピボットピン1はコイルスプリング3の作用でホルダー2から突出され、筐体B上部の扉取付部B1のピボットピン受け孔B10に挿入される。これにより、各ピボットピン1はロックされ、扉Dは筐体Bの上部、下部の扉取付部B1間に回動可能に取り付けられる。しかして扉Dを筐体Bに容易に取り付けることができる。
【0033】
扉Dを筐体Bから取り外す際は、
図4(5)に示すように、ピボットピン1の基端13の段差部131をつまんで、扉Dの内方に向けて引っ張ると、ピボットピン1全体がホルダー2内で扉Dの内方へ移動されて、ピボットピン1の先端11がホルダー2の上端面の開口201からホルダー2内部に没入され、筐体Bのピボットピン受け孔B10から簡単に離脱されるので、扉Dの上端面のピボットピン1を筐体Bの上部の扉取付部B1から離脱させて、その後は上記と逆の手順で扉Dを筐体Bから取り外せばよい。しかして扉Dの取り外しも容易に行うことができる。
【0034】
以上説明したように、このピボットヒンジHでは、ピボットピン1を、ピボットピン1の外周面に装着したホルダー2とともにピボットピン1の先端11とは反対の基端13から扉Dのピボットピン挿通孔D10に外側から内側に向けて挿入するだけのワンタッチ作業で、扉Dに取り付けることができるので、ピボットヒンジHの取付作業を効率よく、可及的に少ない時間で行うことができる。したがって、扉Dを筐体Bの扉取付部B1に簡易迅速にかつ確実に取り付けることができ、扉Dの取付作業を大幅に向上させることができる。
【0035】
また、このピボットヒンジHではさらに次のような利点を有する。
【0036】
ホルダー2は略角筒形(この場合、断面四角形)に形成されるので、ホルダー2を簡単な形状にして簡易に形成することができる。そして、このホルダー2の外形に合わせてピボットピン挿通孔B10は略角形(この場合、断面四角形)に形成されるので、扉Dにピボットピン挿通孔D10の穴開け作業を簡易に行うことができる。
【0037】
係止部(21)はホルダー2の外周面一端部の全周から外周方向に突出されるフランジ21からなるので、ホルダー2を簡単な形状にして簡易に形成することができる。また、ホルダー2をピボットピン挿通孔D10に確実に保持することができる。
【0038】
爪22はホルダー2の外周面中間部に相互に対向する位置に対にして設けられるので、ホルダー2を簡単な形状にして簡易に形成することができる。また、ホルダー2をピボットピン挿通孔D10に確実に固定することができる。
【0039】
ホルダー2はフランジ21及び爪22とともに弾性を有する合成樹脂材料により一体に形成され、爪22はホルダー2の外周面に薄肉ヒンジ221を介して設けられるので、ホルダー2をフランジ21及び爪22とともに簡易に形成することができる。
【0040】
ピボットピン1はホルダー2にピボットピン1の先端11をホルダー2の一端部から出没可能にかつ先端11を常態としてホルダー2の一端部から突出可能にコイルスフリング3を介して取り付けられるので、全体を簡単な構造にして、ピボットピン挿通孔D10に出没形式のピボットピンユニットを構成することができる。
【0041】
なお、この実施の形態では、ピボットピン1は、先端11が大径の円柱形、この先端11に続く中間12が中径の円柱形、この中間12に続く基端13が小径の円柱形のものが例示されているが、このピボットピン1は
図6(a)に示すような先端が大径で基端側が小径のもの(この場合、ねじは不要)であってもよい。このようにしても上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0042】
この実施の形態では、ホルダー2は略角筒形に形成されるものとして例示されているが、このホルダー2は略円筒形に形成されてもよい。このようにしても上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0043】
この実施の形態では、係止部21はホルダー2の外周面一端部の全周から外周方向に突出されるフランジからなるものとして例示されているが、この係止部はホルダーの外周面一端部から外周方向に突出される複数の突起部からなるものとしてもよい。この場合、その形状は任意である。このようにしても上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0044】
この実施の形態では、爪22はホルダー2の外周面中間部に相互に対向する位置に対にして設けられるものとして例示されているが、この爪はホルダーの4側面に上記と同様に設けられるなど、ホルダーの外周面中間部に周方向に複数設けられてもよい。このようにしても上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0045】
この実施の形態では、ピボットピン1はホルダー2にピボットピン1の先端11をホルダー2の一端部から出没可能にかつ先端11を常態としてホルダー2の一端部から突出可能にばね部材3を介して取り付けられるものとして例示されているが、このピボットピンはホルダーにピボットピンの先端をホルダーの一端部から突出されて固定して取り付けられる固定式のものであってもよい。この場合、ピボットピン1はホルダー2に圧入により取り付けられてもよく、ピボットピン1とホルダー2が一体に形成されてもよい。このようにしても上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。上記実施の形態においては、各扉DのピボットヒンジHの一方、例えば、扉Dの下端面のピボットヒンジHをこの固定式のものに代えることができる。
【0046】
この実施の形態では、ピボットピン挿通孔D10は略角形に形成されるものとして例示されているが、このピボットピン挿通孔D10は、ホルダー2が円筒形の場合、略円形に形成されるなど、ホルダー2の形状に合わせて種々に変更可能である。このようにしても上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0047】
この実施の形態では、ピボットピン受け孔B10が筐体Bの扉取付部B1に穿設され、ピボットピン挿通孔D10が扉Dに筐体Bのピボットピン受け孔B10に対向して穿設され、ピボットピン1が先端11をピボットピン挿通孔D10からピボットピン受け孔B10方向に突出して取り付けられるものとして例示されているが、これとは反対に、ピボットピン受け孔が扉に穿設され、ピボットピン挿通孔が筐体の扉取付部に扉のピボットピン受け孔に対向して穿設され、ピボットピンが先端をピボットピン挿通孔からピボットピン受け孔方向に突出して取り付けられるものとしてもよい。このようにしても上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0048】
この実施の形態では、筐体Bと扉Dを結合するピボットヒンジHについて例示されているが、このピボットヒンジは、筐体、枠体を含む各種の本体の取付部と扉、蓋を含む各種の回動体との結合に広く適用可能であり、上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0049】
B 筐体
B1 扉取付部
B10 ピボットピン受け孔
D 扉
D10 ピボットピン挿通孔
H ピボットヒンジ
1 ピボットピン
11 先端
111 先端縁部
12 中間
120 溝
121 Eリング
13 基端
131 基端縁部(段差部)
2 ホルダー
201 開口
202 開口
21 係止部(フランジ)
22 爪
221 薄肉ヒンジ
230 凹部
231 凸部
3 ばね部材(コイルスプリング)