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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022073759
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】カウンター
(51)【国際特許分類】
   A47B 96/18 20060101AFI20220510BHJP
   A47B 77/02 20060101ALI20220510BHJP
   A47B 77/08 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
A47B96/18 B
A47B96/18 F
A47B96/18 H
A47B77/02
A47B77/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020183941
(22)【出願日】2020-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】森 創
(72)【発明者】
【氏名】宮本 浩行
(72)【発明者】
【氏名】宇野 淳夫
(72)【発明者】
【氏名】山上 将史
【テーマコード(参考)】
3B260
【Fターム(参考)】
3B260DA00
(57)【要約】      (修正有)
【課題】意匠性及び施工性を向上させたカウンターを提供すること。
【解決手段】カウンター2は、天板と、天板の裏面に配置される裏打材と、天板の前縁20aの延びる方向に沿って配置され、天板を補強する補強部材と、補強部材の端部を覆うように配置されるキャップ5と、キャップ5の一部、天板及び裏打材の側部を覆うように配置されるカバーシート6と、を備える。キャップ5は、補強部材の側端部を覆うキャップ本体と、キャップ本体に略直交する方向に延び、補強部材の下面を覆うとともに、下面に対してスライド可能に配置される下面部と、を有することが好ましい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板と、
前記天板の裏面に配置される裏打材と、
前記天板の前縁の延びる方向に沿って配置され、前記天板を補強する補強部材と、
前記補強部材の端部を覆うように配置されるキャップと、
前記キャップの一部、前記天板及び前記裏打材の側部を覆うように配置されるカバーシートと、を備えるカウンター。
【請求項2】
前記キャップは、
前記補強部材の側端部を覆うキャップ本体と、
前記キャップ本体に略直交する方向に延び、前記補強部材の下面を覆うとともに、前記下面に対してスライド可能に配置される下面部と、を有する、請求項1に記載のカウンター。
【請求項3】
前記補強部材は、前記下面にねじ孔を有し、
前記下面部に、前記カウンターの左右方向が長手方向となるように配置される長孔が形成される、請求項2記載のカウンター。
【請求項4】
前記補強部材は、前記側端部から内側に向かって形成される中空部を有し、
前記キャップは、前記キャップ本体から突出し、前記中空部に挿入されるリブ部を有する、請求項2又は3に記載のカウンター。
【請求項5】
前記キャップ本体は、外側に位置する表面部から前記補強部材に接する内側面までの所定幅の厚みを有し、
前記表面部には、スリットが形成される、請求項2~4のいずれか1項に記載のカウンター。
【請求項6】
前記天板は、前記天板の前端から下垂する前框部を有し、
前記補強部材は、前記前框部の後方と前記裏打材の前端の間に延びる前記天板の前記裏面を覆うように延びる延出部を有し、
前記キャップは、前記キャップ本体から延出し、前記延出部を覆う延出部カバー部を有する、請求項2~5のいずれか1項に記載のカウンター。
【請求項7】
天板と、
前記天板の裏面に配置される裏打材と、
前記天板の前端に沿って配置され、前記天板を補強する補強部材と、
前記補強部材の端部を覆うように配置されるキャップと、
前記キャップの一部、前記天板及び前記裏打材の側部を覆うように配置されるカバーシートと、を備えるカウンターの製造方法であって、
前記補強部材を前記裏打材に接するように取り付ける補強部材取付工程と、
前記補強部材を覆うように前記キャップを取り付けるキャップ取付工程と、
前記補強部材を覆う前記キャップの一部、前記天板及び前記裏打材の側部を覆うように、前記カバーシートを貼付する貼付工程と、
貼付した前記カバーシートをトリミングして切断する切断工程と、を有する、カウンターの製造方法。
【請求項8】
前記キャップ取付工程は、
前記キャップの表面が前記天板の前記側部と面一となるように、前記キャップを前記補強部材にスライドさせて位置合わせをする位置合わせ工程を含む、請求項7に記載のカウンターの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カウンターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、システムキッチンや洗面台等に設けられ、平坦な作業面を有するカウンターが知られている。カウンターの天板を薄くすることで意匠性が向上する。しかし、天板が薄いと、突出した部分の強度が低下する。そこで、天板の下面に補強部材を取付けたカウンターが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-164048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
補強部材を天板の下面に設けると、天板と補強部材との間に段差が形成される。段差を隠蔽するために、補強部材及び天板等の側面をキャップで一体に覆う場合、キャップの色は補強部材及び天板のいずれかに合わせられる。すると、補強部材及び天板のいずれかが、正面視でキャップと色が合わなくなるという事態が生じやすい。天板とカウンター補強部材の側面にシートを貼る場合、天板と補強部材の間に段差や隙間が形成されるため、シートを貼りにくい。このため、天板の下に補強部材を配置した場合のカウンターの意匠性及び施工性を向上させることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、天板と、天板の裏面に配置される裏打材と、天板の前縁の延びる方向に沿って配置され、前記天板を補強する補強部材と、前記補強部材の端部を覆うように配置されるキャップと、前記キャップの一部、前記天板及び前記裏打材の側部を覆うように配置されるカバーシートと、を備えるカウンターに関する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本実施形態のシステムキッチンを示す斜視図である。
図2】本実施形態のシステムキッチンの側面図である。
図3図2の部分断面拡大図である。
図4】補強部材の部分斜視図である。
図5A】キャップの側面図である。
図5B】キャップを内側から視た斜視図である。
図6A】キャップを補強部材に取り付けるキャップ取付工程を示す図である。
図6B】キャップを位置合わせする位置合わせ工程を示す図である。
図6C】カバーシートを貼付する貼付工程を示す図である。
図6D】カバーシートを切断する切断工程を示す図である。
図7A】シンクの寸法が大きい場合を説明する部分断面模式図である。
図7B】シンクの寸法が小さい場合を説明する部分断面模式図である。
図8A】他の実施形態におけるシステムキッチンの部分断面模式図である。
図8B】他の実施形態におけるシステムキッチンの部分断面模式図である。
図8C】他の実施形態におけるシステムキッチンの部分断面模式図である。
図8D】他の実施形態におけるシステムキッチンの部分断面模式図である。
図8E】他の実施形態におけるシステムキッチンの部分断面模式図である。
図9】さらに他の実施形態におけるシステムキッチンの部分断面拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本開示の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図1に示すように、システムキッチン1は、台所等に設置され、カウンター2とキャビネット3が一体に形成された調理用の設備であり、カウンター2の上面に流し台7及び加熱調理器8が配置されている。
【0008】
キャビネット3は、略直方体状の形状を有し、前面部31と、後面部32と、一対の側板33と、底面部34と、収納部35と、化粧板36と、を有する。キャビネット3は、後述するカウンター2の天板20の下方に配置される。本明細書において、システムキッチン1における使用者が調理時に位置する側を前方と呼び、前方に対向する側を後方と呼ぶ。システムキッチン1の左右方向とは、前方側から正面視で見た場合における左右を結ぶ方向である。
【0009】
底面部34は、床等の設置面に対向し、略水平に延びる面である。前面部31は、キャビネット3の前方で上下方向に延びる面である。前面部31には、収納部35へアクセスする開口部を開閉する扉351が設けられる。扉351の内側における上方には、内幕板352が配置される(図3参照)。後面部32は、前面部31に対向する面である。一対の側板33は、キャビネット3の正面視における左右方向の一方及び他方で上下方向に延びるように配置される板である。側板33は、後述する収納部35の側部として設けられている。化粧板36は、側板33の外側に配置され、設置面からカウンター2の下面まで延びる。化粧板36は、天板20、裏打材21及び側板33の外側を覆い隠す。収納部35は、キャビネット3の内部空間であり、食料品や、食器等が配置可能に構成される。収納部35には、キャビネットの前面部31及び後面部32に形成される扉351や引出等の内部に形成される。
【0010】
カウンター2は、図2及び図3に示すように、天板20と、裏打材21と、補強部材4と、キャップ5と、カバーシート6と、を有する。カウンター2は、システムキッチン1のキャビネット3の上面に配置される平坦な調理台である。
【0011】
天板20は、キャビネット3の上面に配置される長方形の板であり、カウンター2の上面を構成する。天板20は、キャビネット3の平面視の長方形、すなわちキャビネット3の前面部31、後面部32及び化粧板36で形成される長方形よりも大きな面積の長方形を有する。図1に示すように、天板の前縁20a及び後縁20bは、天板20の長手方向に沿って延びている。天板20は、キャビネット3の前面部31及び後面部32よりもそれぞれ外側へわずかに突出するように配置されている。天板20は、所定の厚さの板であり、図3に示すように、天板20は、前框部22を有する。前框部22は、天板20のキャビネット3から突出している部分の前端から下垂するように屈曲して形成される。言い換えれば、天板20は、前框部22で厚く、前框部22以外の部分が前框部22よりも薄く形成されている。天板20は、人造大理石で構成される。
【0012】
裏打材21は、天板20の裏面に配置される補強用の板である。裏打材21は、キャビネット3の前面部31及び後面部32よりも内側で、天板20の裏面に直接接するように配置される。裏打材21は、例えば木材である。
【0013】
補強部材4は、裏打材21における前方端部の下端側に配置される。補強部材4は、天板20の前縁20aの延びる方向、すなわち天板20の長手方向に沿って配置され、天板20を補強する。補強部材4は、システムキッチンの左右方向に沿って取り付けられる長尺の部材である。図4に示すように、補強部材4は、ベース部41と、延出部42と、突起部43と、を有する。補強部材4は、アルミ等の金属製である。補強部材4は、裏打材21における後方端部の下端側にも、前方端部側と同じ構成で配置されていてよい。
【0014】
ベース部41は、天板20の長手方向に沿って取り付けられる。ベース部41は、内側に中空部41aが形成されるホロー構造を有し、断面視で略正方形に形成されている。すなわち、ベース部41は方形筒状であり、中空部41aは、ベース部41の側端部から内側に向かって補強部材4の長手方向に沿って形成されている。ベース部41は、裏打材21における前端側の下面に配置され、裏打材21に両面テープ44で接着される。内幕板352の上端には、ベース部41を取り付けるための金具45が取り付けられている。内幕板352からキャビネット3の前方側に向かって平坦な金具45の取付面45aが延出している。べース部41は、金具45の取付面45aにねじで固定される。ベース部41の下面には、後述するキャップ5を取り付けるためのねじ孔46が形成されている。
【0015】
延出部42は、ベース部41から裏打材21の前端の端面に沿って上方へ延びる薄い板状の部分である。延出部42は、断面視略L字状に形成され、第1延出部421と、第2延出部422と、を有する。第1延出部421は、ベース部41の前面と面一でベース部41から上方に延びる。図3に示すように、第1延出部421は、天板20の前框部22の下端よりも上方まで延びている。第1延出部421は、キャビネット3の扉351の前面よりも後方側に配置されている。第2延出部422は、第1延出部の上端から屈曲して、天板20の裏面より下方でキャビネット3の前面側へ向かって延出する。第2延出部422は、キャビネット3の扉351の前面よりも前方側に配置されている。第2延出部422は、前框部22の後方と裏打材21の前端の間に延びる天板20の前端側の裏面を覆う。第2延出部422は、天板20の前端側の裏面との間に隙間G1を空けて配置されている。
【0016】
突起部43は、ベース部41の前面における下端から下方に突出する突起である。突起部43は、延出部42よりも薄い厚さで、延出部42及びベース部41の前面と面一で下方に突出する。突起部43により、正面視から視た場合にベース部41の底面に締結されるねじや金具45が隠蔽される。
【0017】
流し台7は、シンク70と、蛇口71とを有する。流し台7は、食器や食材等を洗浄するための設備である。シンク70は、天板20の上面から窪んだ凹部を有して形成され、天板20に設けられた開口部に設置される。
【0018】
加熱調理器8は、IHヒータやガスコンロ等の調理に用いる加熱器具である。加熱調理器8は、シンク70と間を空けて配置され、天板20に固定される。
【0019】
キャップ5は、補強部材4の長手方向の端部を覆うように配置される樹脂製のカバーである。キャップ5は、図5A及び図5Bに示すように、キャップ本体51と、下面部52と、リブ部53と、延出部カバー部54と、を有する。
【0020】
キャップ本体51は、補強部材4におけるベース部41の側端部を覆う部分である。キャップ本体51は、ベース部41よりも一回り大きい略四角形の面を有し、キャップ本体51の外側の表面部51aから補強部材4に接する内側面51bまでの所定幅の厚みを有する。表面部51aには、図5Aに示すように、キャビネット3に設置された状態で前後方向に延びるスリット55が形成されている。
【0021】
下面部52は、図5Bに示すように、キャップ本体51の面に対して略直交する方向に延び、補強部材4の下面を覆う部分である。キャップ5は、補強部材4の下面にスライド可能に配置される。キャップ5が補強部材4に取り付けられる際、キャビネット3の外側から内側へ向かって下面部52を補強部材4の下面にスライドするように動かして、補強部材4との位置合わせが行われる。下面部52には、長孔520が形成される。長孔520は、キャップ5が補強部材4を覆うようにキャビネット3に取り付けられた状態で、カウンター2の左右方向が長手方向となるように配置される。
【0022】
リブ部53は、キャップ本体51から突出し、ベース部41の中空部41aに挿入される。リブ部53は、キャップ本体51の内側面51bからキャビネット3の内部方向へ向かって突出する。リブ部53は、上下方向に延びる平坦な面を有し、ベース部41の内壁に接するように配置される。
【0023】
延出部カバー部54は、キャップ本体51における前端側に配置され、延出部42を覆う部分である。延出部カバー部54は、第1カバー部541と、第2カバー部542と、第3カバー部543と、を有する。
【0024】
第1カバー部541は、図5Bに示すように、キャップ本体51からキャビネット3の内部へ向かって突出する。第1カバー部541は、キャップ本体51がシステムキッチン1に取り付けられた状態で前端側となる縁の上下方向に延びる辺からキャビネット3の内部に突出し、そのまま連続してキャップ本体51の上方へ延出する。第1カバー部541は、第1延出部421の前面側を覆う。
【0025】
第2カバー部542は、第1カバー部541から連続しながら屈曲する。第2カバー部542は、第2延出部422の下面を覆う。第1カバー部541及び第2カバー部542は、リブ部53の前側で、リブ部53からわずかに間を空けて配置される。
【0026】
第3カバー部543は、図5B及び図6Aに示すように、キャップ本体51の前端側の上部から上方へ延びる。第3カバー部543は、第1カバー部541における第1延出部421を覆っている部分と、第2カバー部542とにおけるキャビネット3の外側の端部に配置される。第3カバー部543は、第1カバー部541及び第2カバー部542と直交するように延びる面を有する。すなわち、第3カバー部543は、キャップ本体51の表面部51aや裏打材21の側部が延びる面と同じ方向に延びる側面を有する。図6Bに示すように、第3カバー部543は、キャップ本体51の表面部51a及び裏打材21の側部が延びる面から段差を介してわずかにキャビネット3の内側に位置している。
【0027】
カバーシート6は、キャビネット3の側面視で見える天板20、裏打材21、及びキャップ5の一部としての延出部カバー部54の側部を覆うように配置される。カバーシート6は、防水性であり、内側に粘着部が設けられた薄く柔らかいシートである。
【0028】
次に、カウンター2の製造方法について説明する。まず、補強部材取付工程(S1)において、図3に示すように、キャビネット3の内幕板352の上端に、補強部材4を取り付けるための金具45を固定する。補強部材4を、金具45の内幕板352から前方側へ延出した取付面45aと、裏打材21との間に挿入する。このとき、補強部材4のベース部41の上面に両面テープを貼り付けておき、ベース部41を裏打材21に接した状態で、取付面45aの下側からねじで固定し、取付ける。補強部材4は、キャビネット3の側板33から内側にやや奥まった位置に固定される。
【0029】
図6Aに示すように、キャップ取付工程(S2)において、補強部材4がキャビネット3の側板33の外側の面よりも内側に位置した状態で、キャップ5を外側から内側へ近づけ、補強部材4を覆うようにキャップ5を取り付ける。キャップ取付工程(S2)は、位置合わせ工程(S5)を含む。
【0030】
図6Bに示すように、位置合わせ工程(S5)では、キャップ5のリブ部53と延出部カバー部54との間に補強部材4の延出部42を挟み、下面部52をベース部41の下面にスライドさせる。キャップ5のキャップ本体51の表面部51aが、天板20及び裏打材21の側部と面一となるようにキャップ5の位置を合わせる。天板20、裏打材21及び延出部カバー部54は、キャップ5の取付けの後カバーシートで覆われる。したがって、最終的にカバーシート6が添付された状態でキャップ5の表面部51aがカバーシート6と面一となるように調整することが好ましい。しかし、カバーシート6は薄いので、天板20及び裏打材21の側部とキャップ5の表面部51aとが面一であれば、カバーシート6で覆った後も概ね面一に構成される。ベース部41の下面には、キャップ5を取り付けるためのねじ孔46が形成されている。表面部51aと側板33とを面一にした状態でベース部41のねじ孔46にねじを締結できるように、下面部52に形成された長孔520内でねじの位置を調整し、下面部52とベース部41とをねじで固定する。
【0031】
図6C及び図6Dに示すように、キャップ5を補強部材4に取り付けると、延出部カバー部54の第3カバー部543が裏打材21と天板20の前框部22との間の隙間G2(図6A参照)を塞ぐ。これにより、キャビネット3の側面から視た場合に、天板20の前框部22の下端と第2カバー部542の下面の位置が略水平方向に揃う。
【0032】
カバーシート6を、貼付する部分の形状に切断されていない大きな面積の一枚のシートの状態で、キャップ5におけるキャップ本体51の上端がカバーシート6の下端となるように位置を合わせる。図6Cに示すように、カバーシート6の下端を、裏打材21の下端に合わせる。貼付工程(S3)において、補強部材4の延出部42を覆うキャップ5の延出部カバー部54、天板20及び裏打材21の側部を覆うように、カバーシート6を、貼付する。図6Dに示すように、切断工程(S4)において、キャップ本体51の略正方形の部分のみ残し、天板20と、裏打材21と、延出部カバー部54の側部を覆うようにトリミングして切断する。
【0033】
図7A及び図7Bは、本実施形態の変形例に係るシステムキッチン1A及び1Bにおいて、シンク70が配置された位置で前後方向に切断した部分断面の模式図を示す。キャップ5は省略されている。シンク70は裏打材21と接着剤23で接合されている。システムキッチンでは、種類や用途によって、天板20の開口部に配置されるシンク70の大きさが異なる。図7A及び7Bを比較すると、図7Aの方がシンク70aの大きさが天板20に対して大きく、システムキッチン1Aの前端側まで寄っていることがわかる。図7Bでは、シンク70bは、図7Aの場合よりも小さく、システムキッチン1Bの前端側とシンク70bとの間に距離がある。図7A及び図7Bに示すように、シンク70の外縁は、シンク70の内側から外側へ拡がるフランジ部72を有して形成されている。もし仮に、補強部材を上下に長い断面視長方形のホロー構造に形成した場合、配置するシンク70aが大きいと、大きなシンク70aのフランジ部72が上下に長い長方形の補強部材の上部と干渉することとなる。このため、上下に長い長方形のホロー構造の補強部材では、大きいシンク70aを設置しにくい。これに対して、図7A及び図7Bに示すように、補強部材4がベース部41とベース部41の前端側から上方へ延びる延出部42を有して形成されている。このため、シンク70の大きさが大きくても小さくても、天板20及び裏打材21を支持しやすい。シンクやシステムキッチンの種類ごとに補強部材を用意しなくても、一つの形の補強部材4を様々なシステムキッチンに適用できる。
【0034】
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。カウンター2を、天板20と、天板20の裏面に配置される裏打材21と、天板20の前縁20aの延びる方向に沿って配置され、天板20を補強する補強部材4と、補強部材4の端部を覆うように配置されるキャップ5と、キャップ5の一部、天板20及び裏打材21の側部を覆うように配置されるカバーシート6と、を含んで構成した。キャップ5とカバーシート6とを併用することにより、天板20と補強部材4との間に形成される段差を目立たないように処理することができるようになり、カウンター2の側部の処理が容易になる。補強部材4と天板20との間に大きな隙間が形成された場合に、カバーシート6のみで側面を覆うと、隙間を覆った部分のカバーシート6が破れやすくなる。しかし、キャップ5で隙間を覆うことで、カバーシート6が破れやすくなることを防止できる。よって、カウンター2の施工性が向上する。システムキッチン1を正面から視た場合に、仮に補強部材及び天板等をキャップで一体に覆うと、キャップの色を補強部材及び天板のいずれかに合わせるため、補強部材及び天板のいずれかが、正面視でキャップと色が合わなくなるという事態が生じやすい。本実施形態によれば、天板20とカバーシート6の色、及び、補強部材4とキャップ5の色をそれぞれ合わせることができるので、正面視の意匠性が向上する。
【0035】
本実施形態によれば、キャップ5を、補強部材4の側端部を覆うキャップ本体51と、キャップ本体51に略直交する方向に延び、補強部材4の下面を覆うとともに、下面に対してスライド可能に配置される下面部52と、を含んで構成した。下面部52を補強部材4の下面に対してスライドさせて取り付けることができるので、天板20の側部とキャップ5の側部との間に大きな段差ができないように調整することができる。
【0036】
本実施形態によれば、補強部材4を、下面にねじ孔46を含んで構成した。下面部52に、カウンター2の左右方向が長手方向となるように配置される長孔520を形成した。下面部52を補強部材4の下面に対してスライドさせ、長孔520から補強部材4のねじ孔46に合う位置でねじを締結することができるので、天板20の側部とキャップ5の側部との間に大きな段差ができないように調整して固定することができる。
【0037】
本実施形態によれば、補強部材4を、側端部から内側に向かって形成される中空部41aを含んで構成した。キャップ5を、キャップ本体51から突出し、中空部41aに挿入されるリブ部53を含んで構成した。リブ部53を中空部41aに挿入することで、キャップ5を補強部材4に取り付ける際にリブ部53をガイドとすることができる。
【0038】
本実施形態によれば、キャップ本体51を、外側に位置する表面部51aから補強部材4に接する内側面51bまでの所定幅の厚みを含んで構成し、表面部51aに、スリット55を形成した。キャップ本体51が所定の厚みを有することで、必要な強度を確保することができる。樹脂成形の際、キャップ本体51を厚く形成すると所謂ヒケと呼ばれる歪みが生じやすくなる。表面部51aにスリット55を形成することで、歪みを生じにくくさせたり、目立たなくさせたりすることができる。
【0039】
本実施形態によれば、天板20を、天板20の前端から下垂する前框部22を含んで構成した。補強部材4を、前框部22の後方と裏打材21の前端の間に延びる天板の裏面を覆うように延びる延出部42を含んで構成した。キャップ5を、キャップ本体51から延出し、延出部42を覆う延出部カバー部54を含んで構成した。天板20の前端が下垂する前框部22が形成されていることで、天板20から水が溢れたりこぼれたりしたときに、天板20の前端よりも後方にある扉351やキャビネット3内に水がかかりにくくなる。前框部22と天板20の裏打材21の前端の間に延びる天板20の裏面を、補強部材4の延出部42が覆うことで、裏打材21のない天板20のみの部分を補強部材4が覆うことができる。そして、延出部42を延出部カバー部54が覆うことで、前框部22と裏打材21との間に形成される天板20のみの空間を延出部カバー部54が覆うので、図6Aに示すように、前框部22と裏打材21との間の隙間G2が延出部カバー部54により埋められる。これにより、カウンター2の側部が隙間G2を有さない略長方形状となるため、カウンター2の側部にカバーシート6を貼付したときに、前框部22と裏打材21の間の隙間G2でカバーシート6が破れやすくなることを防止することができる。
【0040】
本実施形態によれば、補強部材4を裏打材21に接するように取り付ける補強部材取付工程S1と、補強部材4を覆うようにキャップ5を取り付けるキャップ取付工程S2と、補強部材4を覆うキャップ5の一部、天板20及び裏打材21の側部を覆うように、カバーシートを貼付する貼付工程S3と、貼付したカバーシート6をトリミングして切断する切断工程S4と、を含んで構成した。天板20及び裏打材21と、キャップ5との間には、段差が形成されやすく、少なくとも境目が形成される。キャップ5を取り付けた後、カバーシート6を貼付することで、カバーシート6で段差又は境目を覆うことできるので、天板20及び裏打材21とキャップ5との間に形成される段差又は境目を目立たないように処理することができる。したがって、キャップ5とカバーシート6とを併用することにより、意匠性が向上し、上記と同様の効果を奏する。
【0041】
本実施形態によれば、キャップ取付工程S2を、キャップ5の表面が天板20の側部と面一となるように、キャップ5を補強部材4にスライドさせて位置合わせをする位置合わせ工程S5を含んで構成した。キャップ5の表面を天板20の側部と面一となるように位置合わせすることで、天板20の側部とキャップ5の側部との間に大きな段差ができないように取り付けることができる。これにより、カバーシート6とキャップ5の側面とを面一に揃えることが可能になる。
【0042】
本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれる。以下の説明において、上記実施形態と共通する構成については説明を省略し、同じ符号を用いる。
【0043】
図8A~8Eは、他の実施形態における様々な形状の補強部材4C~4Gの延出部42C~42Gを示し、システムキッチン1C~1Gにおけるシンク70が配置された位置で前後方向に切断した部分断面の模式図を示す。キャップ5は省略されている。シンク70は裏打材21と接着剤23で接合されている。
【0044】
図8Aに示す補強部材4Cでは、延出部42Cにおける第2延出部422Cが、天板20における前框部22の下端の下まで延出している。図8Bに示す補強部材4Dでは、延出部42Dが、裏打材21の前面の上下方向における途中まで延びている。図8Bでは、延出部42Dの上端は、前框部22よりも下方にある。図8C及び図8Dに示す実施形態では、延出部42E及び42Fがそれぞれ第3延出部423E、423Fを有している。図8C及び図8Dに示す実施形態では、第2延出部422E,422Fが前方上方へ向かって傾斜している。第3延出部423E、423Fは、第2延出部422E,422Fの上端から上方へ、第1延出部421E,421Fと略平行に延びる。図8Cに示す実施形態では、第3延出部423Eが、前框部22の後面に近接しており、図8Dに示す実施形態では、第3延出部423Fが、前框部22の後面から間を空けて配置されている。図8Eに示す実施形態では、延出部42Gが裏打材21の前面に沿って延びる一方、裏打材21の前面の上端から前框部22の後面まで、天板20の下面に化粧材9が設けられている。図8Eに示すように、化粧材9の上面が裏打材21の前面の上端から前框部22の後面まで延びていることにより、システムキッチン1Gを正面下方から視た際に、裏打材21が視認されないので、意匠性が向上する。
【0045】
図9は、さらに他の実施形態におけるシステムキッチン1Hの部分断面拡大図である。システムキッチン1Hでは、天板20Hが前框部を有しておらず、天板20Hの厚さが前端から後端までほぼ同じに形成される。天板20Hの端部のみ、角が面取りされている。システムキッチン1Hでは、補強部材4Hは、水切り部424を有する。
【0046】
水切り部424は、第2延出部422Hの前端に配置され、下方へ突出している。水切り部424は、断面視略三角形であり、前面側が上下方向に直線状に形成され、水切り部424の下端から第2延出部422Hの前方の下面に向かって傾斜するように形成されている。システムキッチン1Hによれば、前框部を有さないことで、天板20Hが薄くすっきりと見える。また、天板20Hの製造や運搬等も容易となる。また、補強部材4Hに水切り部424を設けることで、前框部を有さない天板20Hの前端から水が垂れた場合にも、水が天板20Hの裏面を伝ってキャビネット3の扉351側へ落ちることが防止される。仮に天板20Hの裏面に水が回っても、水切り部424を伝って扉351の前に落ちることとなる。
【0047】
上記実施形態では、カウンター2は、流し台7及び加熱調理器8を有するシステムキッチンに設けられている。カウンターは、トイレの洗面所や、天板が天板を支持するキャビネットから突出して設けられるテーブル等、他の構造物に設けられてもよい。
【0048】
システムキッチン1は、キャビネット3の後面部32が壁に設置される場合もあれば、室内でシステムキッチン1の外周がいずれも壁面に接しない場合もある。キャビネット3の後面部32が壁と接する場合には、補強部材4は、裏打材の後方端部に設けられなくてよい。
【符号の説明】
【0049】
2 カウンター、 4 補強部材、 5 キャップ、 6 カバーシート、 20 天板、 21 裏打材、 22 前框部、 41a 中空部、 42 延出部、 46 ねじ孔、 51 キャップ本体、 52 下面部、 53 リブ部、 54 延出部カバー部、 55 スリット、 520 長孔

図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図9