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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022007378
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】スプール供給装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 19/30 20060101AFI20220105BHJP
   B65G 11/20 20060101ALI20220105BHJP
   B65H 19/22 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
B65H19/30
B65G11/20 A
B65G11/20 Z
B65H19/22
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020110310
(22)【出願日】2020-06-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000211123
【氏名又は名称】中外炉工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087572
【弁理士】
【氏名又は名称】松川 克明
(72)【発明者】
【氏名】亘 大生
【テーマコード(参考)】
3F011
3F064
【Fターム(参考)】
3F011AA03
3F011AA09
3F011BA07
3F011BB00
3F011BC01
3F064AA06
3F064EB20
(57)【要約】
【課題】 搬送台の上に移動するスプールを保持部材に保持させて巻取り装置に供給するにあたり、スプールの姿勢を矯正して、スプールを巻取り装置の巻取り軸に真っ直ぐな状態で適切に供給できるようにする。
【解決手段】 円筒状のスプールを搬送台11の上に順々に供給して巻取り装置40に向けて移動させて保持部材30に保持させる途中の位置に、移動するスプールの姿勢を矯正する姿勢矯正装置20を設け、姿勢矯正装置により姿勢が矯正されたスプールを、搬送台から保持部材に保持させて巻取り装置に供給する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状のスプールを搬送台の上に順々に供給して巻取り装置に向けて移動させ、スプールの移動方向下流側における搬送台の部分において前記のスプールを停止させ、停止されたスプールを搬送台から保持部材に保持させて巻取り装置に供給するスプール供給装置において、スプールの移動方向下流側における前記の保持部材よりも移動方向上流側における搬送台の部分に、搬送台の上を移動するスプールを停止させてスプールの姿勢を矯正して前記の保持部材に送る姿勢矯正装置を設けたことを特徴とするスプール供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載のスプール供給装置において、前記の姿勢矯正装置として、前記の保持部材よりも移動方向上流側における搬送台の部分に、下流側爪と上流側爪とを搬送台の上に突出可能に設けると共に、前記の下流側爪と上流側爪とを上下方向に駆動させて搬送台の上に突出させる駆動装置を設け、前記の駆動装置により、前記の下流側爪だけを搬送台の上に突出させて、搬送台の上を移動するスプールを停止させ、この状態で、前記の上流側爪を搬送台の上に突出させ、前記のスプールを下流側爪と上流側爪との間で保持させてスプールの姿勢を矯正し、次いで搬送台の上に突出された前記の下流側爪を搬送台の下に移動させて、姿勢が矯正されたスプールを前記の保持部材に送ることを特徴とするスプール供給装置。
【請求項3】
請求項2に記載のスプール供給装置において、前記の姿勢矯正装置として、前記の下流側爪と上流側爪とによって保持されたスプールをその軸方向両側から押さえて、前記のスプールの姿勢を矯正させるクランプ部材を設けたことを特徴とするスプール供給装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載のスプール供給装置において、前記の下流側爪と上流側爪とをスプールの移動方向にV字状に配置させ、前記の駆動装置により、V字状に配置された下流側爪と上流側爪とを上下方向において逆方向に回動させることを特徴とするスプール供給装置。
【請求項5】
請求項2~請求項4の何れか1項に記載のスプール供給装置において、前記の下流側爪と上流側爪とによって、前記のスプールを搬送台から浮かせた状態で保持させることを特徴とするスプール供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属ストリップを巻き取る巻取り装置に対して円筒状のスプールを供給するためのスプール供給装置に関するものである。特に、円筒状のスプールを、搬送台の上を移動させて巻取り装置に供給するにあたり、スプールの姿勢を矯正して、スプールを巻取り装置に真っ直ぐな状態で適切に供給させることが簡単に行えるようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、金属ストリップを巻取り装置によって巻き取るにあたり、スプール供給装置により金属ストリップを巻き取るための円筒状のスプールを、搬送台の上を移動させて巻取り装置に供給することが行われている。
【0003】
ここで、円筒状のスプールをスプール供給装置によって巻取り装置に供給するにあたり、従来においては、特許文献1、2等に示されるように、スプールを送る方向に向かって下方に傾斜した搬送台の上に、前記のスプールを順々に供給して、この搬送台の上を転がすようにしてスプールを順々に移動させると共に、この搬送台の送り方向先端部にストッパーを突出させ、このストッパーによって巻取り装置に供給する先頭のスプールを停止させ、このように停止させた先頭のスプールを搬送台の上から保持部材に保持させ、この保持部材から巻取り装置に供給するようにしたものが示されている。
【0004】
しかし、前記のようにスプールを送る方向に向かって下方に傾斜した搬送台の上において、スプールを転がすようにして移動させる場合、スプールを移動される途中において、スプールの角度や位置等かずれてしまい、この状態でスプールが前記のストッパーによって停止されると、角度や位置等かずれたスプールを搬送台の上から保持部材に適切に保持させることができなくなったり、またこのようにずれたスプールを保持部材に保持させて巻取り装置に供給する際に、スプールが巻取り装置に衝突して、これらが傷ついたりし、スプールを巻取り装置の巻取り軸に対して正確に供給できなくなるという問題があった。
【0005】
また、従来においては、特許文献3に示されるように、回転するチェーンスプロケットにかけ渡されるチェーンに、スプールを収容させる間隔を介してアタッチメントを順々に取り付け、各アタッチメント間にスプールを収容させ、回転するチェーンにより、アタッチメント間に収容されたスプールを、上下に所要間隔を介して設けられた案内枠間を通して送り出し側に順々に送り、このように送られてきたスプールを回転する扉部材によって保持部材の上に導き、この保持部材の上に導かれたスプールを巻取り装置に供給するようにしたものが提案されている。
【0006】
しかし、特許文献3に示されるものは、スプールを順々に送るために多くの装置や機構が必要になって、これらの設備コストやランニングコストが高くつくと共に、スプールがアタッチメント間にずれた状態で収容されることもあり、このようにずれた状態のスプールが、そのままの状態で回転する扉部材によって保持部材の上に導かれてしまい、保持部材の上に導かれるスプールの姿勢を適切に矯正して、巻取り装置に供給することが困難になり、前記の場合と同様の問題があった。
【0007】
また、特許文献4に示されるように、軸方向の長さが異なる複数種のスプールをスプールランプ(搬送台)の上を転がすようにして順々に移動させるにあたって、前記のスプールランプの上面に、スプールの移動方向と直交する方向に各種のスプール幅に対応した中心同一の階段部を設け、各種のスプールをそれぞれの幅に対応したものが提案されている。
【0008】
しかし、特許文献4に示されるものにおいては、軸方向の長さが異なる各種のスプールを、それぞれ対応した幅になった階段部の部分に正確にセットさせる必要があり、その操作が面倒であり、またスプールランプの上を転がすようにして移動させる際に、回転するスプールの位置がずれて他の階段部の部分に乗りあがった状態になることもあり、保持部材の上に導かれるスプールの姿勢を適切に矯正して、巻取り装置に供給することが困難になって、前記の場合と同様の問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特公昭61-3724号公報
【特許文献2】特開昭56-26616号公報
【特許文献3】特公昭48-33866号公報
【特許文献4】特開平6-32423号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、金属ストリップを巻き取る巻取り装置に対して、スプール供給装置により円筒状のスプールを供給する場合における前記のような問題を解決することを課題とするものである。
【0011】
すなわち、本発明においては、前記のスプール供給装置において、円筒状のスプールを巻取り装置に供給するにあたり、スプールの姿勢を矯正して、スプールを巻取り装置に真っ直ぐな状態で適切に供給させることが簡単に行えるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明におけるスプール供給装置においては、前記のような課題を解決するため、円筒状のスプールを搬送台の上に順々に供給して巻取り装置に向けて移動させ、スプールの移動方向下流側における搬送台の部分において前記のスプールを停止させ、停止されたスプールを搬送台から保持部材に保持させて巻取り装置に供給するスプール供給装置において、スプールの移動方向下流側における前記の保持部材よりも移動方向上流側における搬送台の部分に、搬送台の上を移動するスプールを停止させてスプールの姿勢を矯正して前記の保持部材に送る姿勢矯正装置を設けた。
【0013】
ここで、本発明のスプール供給装置のように、スプールの移動方向下流側における保持部材よりも移動方向上流側における搬送台の部分に設けた姿勢矯正装置により、搬送台の上を移動するスプールを停止させて、前記のスプールの姿勢を矯正すると共に、姿勢が矯正されたスプールを前記の保持部材に送るようにすると、円筒状のスプールの姿勢を矯正した状態で保持部材に適切に保持させて、この保持部材により、スプールを巻取り装置に真っ直ぐな状態で供給させることが簡単に行えるようになる。
【0014】
そして、本発明のスプール供給装置においては、前記の姿勢矯正装置として、スプールの移動方向下流側における保持部材よりも移動方向上流側における搬送台の部分に、下流側爪と上流側爪とを搬送台の上に突出可能に設けると共に、前記の下流側爪と上流側爪とを上下方向に駆動させて搬送台の上に突出させる駆動装置を設け、前記の駆動装置により、前記の下流側爪だけを搬送台の上に突出させて、搬送台の上を移動するスプールを停止させ、この状態で、前記の上流側爪を搬送台の上に突出させ、前記のスプールを下流側爪と上流側爪との間で保持させてスプールの姿勢を矯正し、次いで搬送台の上に突出された前記の下流側爪を搬送台の下に移動させて、姿勢が矯正されたスプールを前記の保持部材に送るようにすることができる。
【0015】
また、本発明のスプール供給装置においては、前記の姿勢矯正装置として、前記の下流側爪と上流側爪とによって保持されたスプールをその軸方向両側から押さえて、前記のスプールの姿勢を矯正させるクランプ部材を設けることが好ましい。このようにすると、下流側爪と上流側爪とによってスプールが送り方向と直交する方向からずれた状態で保持されていても、このスプールの両端部がクランプ部材によって押されて、スプールの姿勢が送り方向と直交する方向に矯正されると共に、搬送台の幅方向の適切な位置に位置決めされるようになる。
【0016】
また、本発明のスプール供給装置においては、前記の姿勢矯正装置において、前記の下流側爪と上流側爪とをスプールの移動方向にV字状に配置させ、前記の駆動装置により、V字状に配置された下流側爪と上流側爪とを上下方向において逆方向に回動させるようにすることができる。
【0017】
また、本発明のスプール供給装置においては、前記のようにスプールの下流側爪と上流側爪との間で保持させるにあたり、前記の下流側爪と上流側爪とによって、前記のスプールを搬送台から浮かせた状態で保持させることが好ましい。このようにすると、スプールが送り方向に対して直交する方向からずれた状態で導かれ、このスプールが下流側爪と上流側爪との間でずれた状態で保持されたとしても、スプールが搬送台から浮いた状態にあるため、このスプールが自重によってV字状になった下流側爪と上流側爪の斜面を滑って、その谷間へと移動し、姿勢が搬送台の送り方向と直交する方向に矯正さるようになり、特に、前記のように下流側爪と上流側爪とによって保持されたスプールの軸方向両側からクランプ部材により押さえて、スプールの姿勢を矯正する場合には、少しの力で簡単にスプールの姿勢を矯正して、搬送台の幅方向の適切な位置に保持させることができるようになる。
【発明の効果】
【0018】
本発明におけるスプール供給装置においては、前記のようにスプールの移動方向下流側における保持部材よりも移動方向上流側における前記の搬送台の部分に姿勢矯正装置を設け、この姿勢矯正装置により、搬送台の上を移動するスプールを停止させてスプールの姿勢を矯正し、姿勢が矯正されたスプールを前記搬送台から保持部材に送るようにしたため、円筒状のスプールが、搬送台の上を送り方向と直交する方向に対してずれた状態で送られてきても、姿勢矯正装置によってスプールの姿勢が矯正された状態で保持部材に保持されて巻取り装置に供給されるようになる。
【0019】
この結果、本発明におけるスプール供給装置においては、スプールを保持部材から巻取り装置に供給する際に、スプールが巻取り装置に衝突して、これらが傷ついたりするということがなく、スプールを巻取り装置の巻取り軸に対して正確に供給することが簡単に行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態におけるスプール供給装置において、スプールを搬送台の上に順々に供給して巻取り装置に向けて移動させるあたり、搬送台の途中位置に設けた係止用突起により、搬送台の上を移動するスプールを係止させて、複数のスプールを搬送台の上に保持させる状態を示した概略平面図である。
図2】前記の実施形態におけるスプール供給装置において、スプールを搬送台の上に順々に供給して巻取り装置に向けて移動させるあたり、搬送台の途中位置に設けた係止用突起により、搬送台の上を移動するスプールを係止させて、複数のスプールを搬送台の上に保持させる状態を示した概略側面図である。
図3】前記の実施形態におけるスプール供給装置において、図2に示すように、搬送台の上に複数のスプールを保持させた状態から前記の係止用突起を上下方向に移動させて、搬送台の上に保持されたスプールを1つずつ搬送台の上を巻取り装置に向けて移動させる状態を示した部分概略側面図である。
図4】前記の実施形態におけるスプール供給装置において、図3に示すように、搬送台の上に保持されたスプールを巻取り装置に向けて移動させた後、その途中に設けた姿勢矯正装置において、下流側爪と上流側爪とを駆動装置により上下方向に回動させ、上流側爪を搬送台から突出させないようにして下流側爪を搬送台の上に大きく突出させて、巻取り装置に向けて移動されるスプールを下流側爪によって停止させた状態を示した部分概略側面図である。
図5】前記の実施形態におけるスプール供給装置において、図4に示すように、下流側爪によってスプールを搬送台の上に停止させた状態から、駆動装置により下流側爪と上流側爪とを上下方向に回動させ、前記の下流側爪を少し下げる一方、上流側爪を搬送台の上に突出させて、前記のスプールを下流側爪と上流側爪とにより搬送台から浮かせるように保持させた状態を示した部分概略側面図である。
図6】前記の実施形態におけるスプール供給装置において、図5に示すように、スプールを下流側爪と上流側爪とにより搬送台から浮かせるように保持させた状態で、前記のスプールを軸方向両側に設けた両側のクランプ部材を前記のスプールに向けて伸長させて、両側のクランプ部材により前記のスプールを軸方向両側から押さえて、スプールの姿勢を矯正させる状態を示した部分概略平面図である。
図7】前記の実施形態におけるスプール供給装置において、図5及び図6に示すようにして、スプールを下流側爪と上流側爪とにより搬送台から浮かせて、スプールの姿勢を矯正させた後、前記の駆動装置により下流側爪と上流側爪とを上下方向に回動させて、前記の上流側爪をさらに搬送台の上方に突出させる一方、下流側爪を搬送台から突出しない位置に導いて、姿勢が矯正されたスプールを下流側爪から下流側におけるストッパーに向けて移動させる状態を示した部分概略側面図である。
図8】前記の実施形態におけるスプール供給装置において、図7に示すように、姿勢が矯正されたスプールを下流側爪から下流側に移動させて、スプールをストッパーにより停止させた後、姿勢が矯正されたスプールを、保持部材に保持させて搬送台の上に持ち上げて、巻取り装置に導く状態を示した部分概略側面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態に係るスプール供給装置を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明に係るスプール供給装置は下記の実施形態に示したものに限定されず、発明の要旨を変更しない範囲において、適宜変更して実施できるものである。
【0022】
この実施形態におけるスプール供給装置においては、図1及び図2に示すように、円筒状のスプールSを搬送台11の上に順々に供給して巻取り装置40に向けて移動させ、スプールSの移動方向下流側における搬送台11の部分において前記のスプールSを停止させ、停止されたスプールSを姿勢矯正装置20によって姿勢を矯正した後、このように姿勢が矯正されたスプールSを搬送台11の上を移動させて保持部材30の位置に導き、この保持部材30によって姿勢が矯正されたスプールSを保持させて、巻取り装置40に供給するようにしている。
【0023】
ここで、この実施形態においては、前記の搬送台11をスプールSの送り方向上流側から下流側に向けて下方に傾斜させ、円筒状のスプールSが搬送台11の傾斜に沿って巻取り装置40に向けて回転しながら移動するようにしている。
【0024】
そして、この実施形態においては、スプールSを巻取り装置40に向けて移動させる搬送台11の途中の位置に、上下方向に回動する一対の係止用突起12を搬送台11の幅方向に所要間隔を介して設け、この一対の係止用突起12を上方に回動させて搬送台11の上に突出させ、この係止用突起12により搬送台11の上を移動するスプールSを係止させて、供給されたスプールSを搬送台11の上に順々に保持させるようにしている。
【0025】
また、このように係止用突起12によってスプールSが順々に係止されて、搬送台11の上に所定数のスプールSが保持された場合には、図3に示すように、前記の係止用突起12を下方に回動させて、係止用突起12に係止された先頭のスプールSを搬送台11の下流側に送り出し、その後、係止用突起12を上方に回動させて、次のスプールSを係止させて、1つのスプールSを順々に搬送台11の下流側に送り出して姿勢矯正装置20に導くようにしている。
【0026】
ここで、この実施形態においては、前記のようにして姿勢矯正装置20に導かれたスプールSを、姿勢矯正装置20によりスプールSの送り方向や送り方向と交差する方向における姿勢のずれを矯正するにあたり、前記の搬送台11の下流側端部から上流側に向かう一対の切込み溝13を搬送台11の幅方向に所要間隔を介して設け、前記の姿勢矯正装置20として、前記の各切込み溝13の上流側の部分に、下流側に位置する三角環状になった下流側爪21と上流側に位置する三角環状になった上流側爪22とを1組として、スプールSを保持する上面がV字状になるようにして、下流側爪21の端点21bと上流側爪22の端点22bとを連結部材23により回動可能に連結させて、下流側爪21と上流側爪22との対向する角部を支点21a,22aとして、下流側爪21と上流側爪22とが上下方向に回動して搬送台11の上に突出できるようにしている。
【0027】
また、この実施形態においては、前記の下流側爪21と上流側爪22とを上下方向に回動させて搬送台11の上に突出させる駆動装置24として、シリンダー24aによって伸縮されるロッド24bの先端を前記の上流側爪22の上流側角部に取り付け、このロッド24bをシリンダー24aによって伸縮させ、前記の連結部材23を介して前記の下流側爪21と上流側爪22とを上下方向に回動させるようにしている。
【0028】
ここで、前記のシリンダー24aによりロッド24bを収縮させると、図3及び図4に示すように、前記の上流側爪22の上流側角部が下方に引っ張られ、前記の支点22aを中心にして上流側爪22の上流側角部が下方に回動し、上流側爪22が搬送台11の上に突出されなくなる一方、前記の連結部材23により下流側爪21が上方側に押されて、この下流側爪21における前記の支点21aを中心にして下流側爪21の下流側角部が上方に回動し、下流側爪21の下流側角部が搬送台11の上に突出されるようになる。
【0029】
また、この実施形態においては、図1に示すように、前記の下流側爪21と上流側爪22とによって保持されたスプールSをその軸方向両側から押さえて、前記のスプールSの姿勢を矯正させるクランプ部材25を設けている。
【0030】
そして、前記のように係止用突起12が駆動されて、スプールSが姿勢矯正装置20に送られてきた場合には、図4に示すように、前記のシリンダー24aによってロッド24bを収縮させ、前記の上流側爪22の上流側角部を下方に回動させ、上流側爪22を搬送台11の上に突出させないようにして、前記の下流側爪21の下流側角部を上方に回動させ、この下流側爪21の下流側角部を搬送台11の上に突出させて、前記のように送られてきたスプールSを搬送台11の上に突出された下流側爪21によって停止させるようにする。
【0031】
このようにして前記のように下流側爪21によってスプールSを停止させた場合、スプールSの状態が下流側爪21に送られるまでにずれて、スプールSが送り方向に対する角度や位置等かずれてしまった状態で下流側爪21によって停止されることがある。
【0032】
このため、この実施形態においては、前記のように下流側爪21によってスプールSを停止させた後、図5に示すように、前記のシリンダー24aによってロッド24bを少し伸長させて、前記の上流側爪22の上流側角部を上方に回動させ、上流側爪22の上流側角部を搬送台11の上に少し突出させると共に、前記の下流側爪21の下流側角部を下方に回動させて、この下流側爪21の下流側角部を搬送台11の上に少し突出させ、前記のように停止させたスプールSを、前記のようにV字状になるように配置させた下流側爪21の上面と上流側爪22の上面との間で保持させて隙間Cをつくり、前記のスプールSが搬送台11と接触しないようにして浮かせた状態としている。
【0033】
そして、このようにスプールSが搬送台11と接触しないようにしてV字状になるように配置させた下流側爪21の上面と上流側爪22の上面との間で保持させた状態で、図6に示すように、前記の下流側爪21と上流側爪22とによって保持されたスプールSの軸方向両側に配置されたクランプ部材25をそれぞれスプールSに向けて移動させて、両側のクランプ部材25の押圧プレート25aによってスプールSを軸方向両側から押さえて、前記のスプールSの姿勢を矯正させるようにする。
【0034】
そうすると、前記のようにスプールSが搬送台11と接触しないようにして、スプールSをV字状になった下流側爪21の上面と上流側爪22の上面だけで保持させる形となるので、スプールSが送り方向に対する角度や位置等かずれた状態で姿勢矯正装置20に導かれ、スプールSが下流側爪21の上面と上流側爪22の上面との間でずれた状態で保持されたとしても、スプールSが自重によってV字状になった下流側爪21と上流側爪22との斜面に沿ってその谷間へと移動し、その姿勢が矯正されるようになると共に、スプールSと搬送台11との間の摩擦抵抗がなくなり、前記のように下流側爪21と上流側爪22とによって保持されたスプールSを、スプールSの軸方向両側からクランプ部材25の押圧プレート25aによって押さえるようにすると、少しの力で簡単にスプールSの姿勢を矯正して、搬送台11の幅方向の正確な位置に保持させることができるようになる。
【0035】
次いで、前記のようにスプールSを下流側爪21の上面と上流側爪22の上面との間で保持させて、スプールSの姿勢を矯正させた後は、図7に示すように、前記のシリンダー24aによってロッド24bをさらに伸長させ、前記の上流側爪22の上流側角部をさらに上方に回動させて、上流側爪22の上流側角部を搬送台11の上に大きく突出させると共に、前記の下流側爪21の下流側角部をさらに下方に回動させて、搬送台11の上に突出していた下流側爪21の下流側角部を搬送台11の上に突出しないようにし、下流側爪21と上流側爪22との間に保持されたスプールSを、下流側爪21から搬送台11の下流側に送り出すようにする。
【0036】
そして、前記のように姿勢を矯正されて下流側爪21から搬送台11の下流側に送り出されたスプールSを、搬送台11の下流側端部に突出するように設けたストッパー14により停止させ、姿勢が矯正されたスプールSを、搬送台11の下流側端部から上流側に向かう切込み溝13が設けられた搬送台11の下流側の上に位置決めさせる。
【0037】
また、このように姿勢が矯正されて搬送台11の下流側の上に位置決めされたスプールSを保持部材30に保持させ、このように姿勢が矯正されて保持部材30に保持されたスプールSを、保持部材30により巻取り装置40に導くにあたっては、保持部材30として、前記の各切込み溝13の部分に、それぞれスプールSを保持する上面がV字状になった各受台31を、昇降装置32により伸縮される昇降用ロッド33の上に取り付け、この昇降装置32により昇降用ロッド33を伸縮させて、前記の受台31を昇降させるようにすると共に、この昇降装置32を移動装置(図示せず)によって巻取り装置40の位置に移動させるようにしている。
【0038】
そして、この実施形態においては、前記の昇降装置32により昇降用ロッド33を伸長させて、前記の切込み溝13を通して前記の各受台31を搬送台11の上に上昇させて、前記のように姿勢が矯正されて搬送台11の上に位置決めされたスプールSを、V字状になった各受台31の上面に保持させ、この状態で、スプールSがストッパー14に当たらない位置まで前記の受台31をさらに上昇させ、その後、このように受台31にスプールSを保持させた状態で、この昇降装置32を移動装置(図示せず)によって巻取り装置40の位置に移動させて、受台31に保持されたスプールSを、巻取り装置40における巻取り軸41に挿入して保持させるようにしている。
【0039】
このようにすると、円筒状のスプールSが、搬送台11の上を送り方向と直交する方向からずれた状態で送られてきても、前記の姿勢矯正装置20によってスプールSの姿勢が適切に矯正され、このように姿勢が適切に矯正されたスプールSが保持部材30に保持されて巻取り装置40に供給されるようになり、スプールSを保持部材30から巻取り装置40に供給する際に、スプールSが巻取り装置40に衝突して、これらが傷ついたりするということがなく、スプールSを巻取り装置40の巻取り軸41に対して正確に供給することが簡単に行えるようになる。
【0040】
また、図では下流側爪21と上流側爪22を、搬送台11の幅方向に2組設置しているが、スプールSを浮かせて保持したときに、その姿勢を搬送台11の送り方向と直交する方向に矯正できれば、1組や3組以上であってもよい。
【符号の説明】
【0041】
11 :搬送台
12 :係止用突起
13 :切込み溝
14 :ストッパー
20 :姿勢矯正装置
21 :下流側爪
21a :支点
21b :端点
22 :上流側爪
22a :支点
22b :端点
23 :連結部材
24 :駆動装置
24a :シリンダー
24b :ロッド
25 :クランプ部材
25a :押圧プレート
30 :保持部材
31 :受台
32 :昇降装置
33 :昇降用ロッド
40 :巻取り装置
41 :巻取り軸
C :隙間
S :スプール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2021-05-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状のスプールを搬送台の上に順々に供給して巻取り装置に向けて移動させ、スプールの移動方向下流側における搬送台の部分において前記のスプールを停止させ、停止されたスプールを搬送台から保持部材に保持させて巻取り装置に供給するスプール供給装置において、スプールの移動方向下流側における前記の保持部材よりも移動方向上流側における搬送台の部分に、搬送台の上を移動するスプールを停止させてスプールの姿勢を矯正して前記の保持部材に送る姿勢矯正装置として、前記の保持部材よりも移動方向上流側における搬送台の部分に、下流側爪と上流側爪とを搬送台の上に突出可能に設けると共に、前記の下流側爪と上流側爪とを上下方向に駆動させて搬送台の上に突出させる駆動装置を設け、前記の駆動装置により、前記の下流側爪だけを搬送台の上に突出させて、搬送台の上を移動するスプールを停止させ、この状態で、前記の上流側爪を搬送台の上に突出させ、前記のスプールを下流側爪と上流側爪との間で保持させてスプールの姿勢を矯正し、次いで搬送台の上に突出された前記の下流側爪を搬送台の下に移動させて、姿勢が矯正されたスプールを前記の保持部材に送ることを特徴とするスプール供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載のスプール供給装置において、前記の姿勢矯正装置として、前記の下流側爪と上流側爪とによって保持されたスプールをその軸方向両側から押さえて、前記のスプールの姿勢を矯正させるクランプ部材を設けたことを特徴とするスプール供給装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のスプール供給装置において、前記の下流側爪と上流側爪とをスプールの移動方向にV字状に配置させ、前記の駆動装置により、V字状に配置された下流側爪と上流側爪とを上下方向において逆方向に回動させることを特徴とするスプール供給装置。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか1項に記載のスプール供給装置において、前記の下流側爪と上流側爪とによって、前記のスプールを搬送台から浮かせた状態で保持させることを特徴とするスプール供給装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
本発明におけるスプール供給装置においては、前記のような課題を解決するため、円筒状のスプールを搬送台の上に順々に供給して巻取り装置に向けて移動させ、スプールの移動方向下流側における搬送台の部分において前記のスプールを停止させ、停止されたスプールを搬送台から保持部材に保持させて巻取り装置に供給するスプール供給装置において、スプールの移動方向下流側における前記の保持部材よりも移動方向上流側における搬送台の部分に、搬送台の上を移動するスプールを停止させてスプールの姿勢を矯正して前記の保持部材に送る姿勢矯正装置として、前記の保持部材よりも移動方向上流側における搬送台の部分に、下流側爪と上流側爪とを搬送台の上に突出可能に設けると共に、前記の下流側爪と上流側爪とを上下方向に駆動させて搬送台の上に突出させる駆動装置を設け、前記の駆動装置により、前記の下流側爪だけを搬送台の上に突出させて、搬送台の上を移動するスプールを停止させ、この状態で、前記の上流側爪を搬送台の上に突出させ、前記のスプールを下流側爪と上流側爪との間で保持させてスプールの姿勢を矯正し、次いで搬送台の上に突出された前記の下流側爪を搬送台の下に移動させて、姿勢が矯正されたスプールを前記の保持部材に送るようにした
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
本発明におけるスプール供給装置においては、前記のようにスプールの移動方向下流側における保持部材よりも移動方向上流側における前記の搬送台の部分に姿勢矯正装置として、下流側爪と上流側爪とを搬送台の上に突出可能に設けると共に、前記の下流側爪と上流側爪とを上下方向に駆動させて搬送台の上に突出させる駆動装置を設け、前記の駆動装置により、前記の下流側爪だけを搬送台の上に突出させて、搬送台の上を移動するスプールを停止させ、この状態で、前記の上流側爪を搬送台の上に突出させ、前記のスプールを下流側爪と上流側爪との間で保持させてスプールの姿勢を矯正し、次いで搬送台の上に突出された前記の下流側爪を搬送台の下に移動させて、姿勢が矯正されたスプールを前記の保持部材に送るようにしたため、円筒状のスプールが、搬送台の上を送り方向と直交する方向に対してずれた状態で送られてきても、姿勢矯正装置によってスプールの姿勢が矯正された状態で保持部材に保持されて巻取り装置に供給されるようになる。