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2022-73812大豆脂肪酸を用いた機能性洗浄剤の組成及び製造に関するものである。
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  • -大豆脂肪酸を用いた機能性洗浄剤の組成及び製造に関するものである。 図1
  • -大豆脂肪酸を用いた機能性洗浄剤の組成及び製造に関するものである。 図2
  • -大豆脂肪酸を用いた機能性洗浄剤の組成及び製造に関するものである。 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022073812
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】大豆脂肪酸を用いた機能性洗浄剤の組成及び製造に関するものである。
(51)【国際特許分類】
   C11D 9/02 20060101AFI20220510BHJP
【FI】
C11D9/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020191251
(22)【出願日】2020-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】519301216
【氏名又は名称】ネクスト・ジェネレーション株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】512045928
【氏名又は名称】井直商事株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小澤 正
(72)【発明者】
【氏名】仙田 富蔵
【テーマコード(参考)】
4H003
【Fターム(参考)】
4H003AB04
4H003CA03
4H003CA15
4H003EA21
4H003FA03
4H003FA27
4H003FA28
4H003FA34
(57)【要約】
【課題】特許出願2020-501112で3段階の超音波を照射することで、ナノエマルジョンの製造方法を提起した。しかし、この超音波照射の工程は1工程が8時間以上かかり、3段階の照射を行うためには、丸1日照射工程を行う必要があった。その事から実際の工業化が難しいものであった。本発明はこの点を改善すべく、10分程度の超音波照射を2工程行うことで、製造できるように改善した。
【解決手段】本発明は、200w以上の電力による超音波発生器を用い、精製水と大豆脂肪酸を混合し、事前撹拌することで強制的なエマルジョンを形成し、超音波発生器のホーンを液面より5mm程度にセットし、超音波を照射した。液面近くにホーンを固定し、液面近くの大豆脂肪酸に直接超音波を照射することで、大豆脂肪酸の油滴を細かくし、精製水とのナノエマルジョンを作り出すことに成功した。20kHzから40kHzの超音波は油滴を細かくするのに最適であり、超音波照射を数秒で精製水と大豆脂肪酸の混合液は白濁を起こした。4L程度の混合液でも、30分から60分程度で第一工程は終了し、第二工程での1.6MHzの超音波照射では更なる油滴の微細化が進んだ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大豆脂肪酸3重量部から20重量部と精製水80重量部から97重量部を混合した溶液に20KHzから40KHzの超音波発生器を10分以上照射する工程と1.6MHz以上の超音波発生器を10分以上照射する工程による生成物に水酸化カリウム或いは水酸化ナトリウムを加え鹸化する工程から得られた機能性洗浄剤。
【請求項2】
鹸化の際、添加する水酸化カリウム或いは水酸化ナトリウムは大豆脂肪酸100gあたり0.1モル以上である請求項1の機能性洗浄剤。
【請求項3】
前処理工程として、高速撹拌を行い、超音波処理と同時に撹拌を行う請求項1の機能性洗浄物の製造工程。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は大豆脂肪酸を用いた超音波処理と撹拌工程によって、製造される機能性洗浄剤の組成及び製造方法に関するものである。
【技術背景】
【0002】
新型コロナウイルスの感染症が近年話題となっている。ウイルスに効果があるとして、次亜塩素酸ナトリウムや消毒用アルコール等が用いられているが、手荒れや使用上注意すべき点があり問題点も多い。また、除菌効果があるとして、家庭用洗剤も多く用いられているが生分解性に問題があり、環境対応可能な洗浄剤が必要とされていた。
【0003】
本発明は洗浄性に優れウイルス或いは菌に対しても効果があり、その結果として消臭効果も期待でき、更には環境対応にも優れている機能性洗剤に着目した。
【0004】
従来の除菌、及びウイルス除去機能を有するものは、即効性を特徴としていた。つまり噴霧或いは塗布すると、ほぼ同時に効果を発揮するものであった。これはある意味人体に対しても、それなりのダメージを与える要素を持っているということもいえる。本発明においては、人体に対しても影響がなく、長時間持続して効果がある機能性洗浄剤を開発した。
【先行技術文献】
【0005】
特開2018―135403
特許第6067114号
特表2000―504344
特許出願2009―182706
登録第3224587号
特許出願2020-50112
【発明を解決しようとする課題】
【0006】
特許出願2020-501112で3段階の超音波を照射することで、ナノエマルジョンの製造方法を提起した。しかし、この超音波照射の工程は1工程が8時間以上かかり、3段階の照射を行うためには、丸1日照射工程を行う必要があった。その事から実際の工業化が難しいものであった。本発明はこの点を改善すべく、10分程度の超音波照射を2工程行うことで、製造できるように改善した。
【課題を解決する為の手段】
【0007】
本発明は、200w以上の電力による超音波発生器を用い、精製水と大豆脂肪酸を混合し、事前撹拌することで強制的なエマルジョンを形成し、超音波発生器のホーンを液面より5mm程度にセットし、超音波を照射した。液面近くにホーンを固定し、液面近くの大豆脂肪酸に直接超音波を照射することで、大豆脂肪酸の油滴を細かくし、精製水とのナノエマルジョンを作り出すことに成功した。20kHzから40kHzの超音波は油滴を細かくするのに最適であり、超音波照射を数秒で精製水と大豆脂肪酸の混合液は白濁を起こした。4L程度の混合液でも、30分から60分程度で第一工程は終了し、第二工程での1.6MHzの超音波照射では更なる油滴の微細化が進んだ。
【0008】
本発明では、鹸化工程を行った。この際、大豆脂肪酸の鹸化価192より求められる水酸化カリウムの添加量よりも過剰に加えなければ、混合液の透明化は起こらなかった。計算上の水酸化カリウムを添加するとPH値は9.5から10を示し、過剰に加えるとPH値は11.5から12となった。
【0009】
大豆脂肪酸の濃度が10%を超えた場合、PH値が12以上となった時には混合液はスラリー状となり、更に加えると固形化してしまった。本発明での生成物は石鹸の性質を持つと思われ、皮膚刺激の小さく、長時間使用したとしても皮膚に悪影響を及ぼすことなく、皮膚を清浄に保つ性質があった。以下に示す試験結果は、ウイルス及び菌に対するものである。
【表1】
【表2】
表1は黄色ブドウ球菌と緑膿菌に対して効果試験を示したものである。倍率は大豆脂肪酸3%の混合液からの生成物を希釈した倍率である。時間が経過するに従い効果がみられた。8時間後でも効果が継続するといえる。これは従来までの除菌剤にはみられない効果である。表2はウイルスに対しての効果である。30秒以内ですべてのウイルスが90%以上死滅している。また、希釈倍率から考えたとき、3%の混合物からの生成物を1000倍に希釈しても効果が認められたといえる。
【実証例1】
【0010】
大豆脂肪酸100gに精製水900gを加え、高速撹拌後、200Wの超音波発生器で30分20kHZの超音波を照射した。更に、1.6MHzの超音波を30分照射した。水酸化カリウムを9g、9g、5gを加え、鹸化した。PH値は11.5であった。生成物は黄色味を帯びた粘度のある溶液となった。この生成物を用い、表1及び2の結果を得た。
【発明の効果】
【0011】
石鹸は脂肪酸を用い、鹸化することで固形物或いは液体として広く使用されている洗浄剤である。肌触りが良く、手荒れなどを起こすことのない親しみ深いものである。本発明は超音波を用いることで、粒子を細かくすることで得られるナノエマルジョンの製造を方に焦点を絞った。石鹸よりも脂肪酸の含有量が少なく、生分解性が高い物を作り上げることが出来た。石鹸はコロイド粒子によるものであり、近年コロイド粒子を用いた洗浄剤の開発は行われてきた。しかし、水と脂肪酸は混ざりにくく、多くの合成界面活性剤を添加することで、製品を作り出していた。本来、コロイド粒子を用いた洗浄剤は生分解性を追求したものであり、合成界面活性剤を加えることは、これに反し環境汚染を巻き起こすものとなってしまった。本発明は環境汚染の解決策となる要素を持っている考え開発した。脂肪酸の添加量を少量としても、菌或いはウイルスに対しても大きな効果があり、これらを抑制することで消臭効果も生まれた。社会問題化する海洋汚染に対しても、本発明の生成物は大きな社会貢献ができるものと考える。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は超音波発生器である。ステージ(F)の上に大豆と精製水の混合物を入れた容器(E)を置き、ホーン(D)を水面から5mm程度で固定する。超音波発生器を稼働させると、このホーン(D)が上下に振動することで、混合物に超音波を照射する。ホーン(D)はスタンド(A)にアーム(B)とホーン(D)の支え(C)によって固定されている。
図2図2は1.6MHzの超音波発生器である。1.6MHzの振動子(I)は皿(H)に固定され、支柱(G)によって、⇒の方向に下げることによって混合物を入れた容器(J)の水面と接する。
図3図3は撹拌機である。溶液を入れた容器(M)はサーボモーター(K)の回転を固定体(L)をと通じて溶液を入れた容器(M)に伝える。
【符号の説明】
【0013】
(A)はスタンドである。
(B)はアームである。
(C)は支えである。
(D)はホーンである。
(E)は混合物を入れた容器である。
(F)はステージである。
(G)は支柱である。
(H)は皿である。
(I)は1.6MHzの振動子である。
(J)は混合物を入れた容器である。
(K)はサーボモーターである。
(L)は固定体である。
(M)は溶液を入れた容器である。
図1
図2
図3