(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022073831
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】パーティション
(51)【国際特許分類】
E04B 2/74 20060101AFI20220510BHJP
【FI】
E04B2/74 541Z
E04B2/74 561L
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020193657
(22)【出願日】2020-11-20
(31)【優先権主張番号】P 2020181301
(32)【優先日】2020-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和2年10月31日、日鉄鉱業株式会社本社喫煙室
(71)【出願人】
【識別番号】000227250
【氏名又は名称】日鉄鉱業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100090251
【氏名又は名称】森田 憲一
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 太覚
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、喫煙スペースにおいてソーシャルディスタンスを確保する手段を提供することである。
【解決手段】前記課題は、本発明の喫煙スペースを区画するための平板状のメインパネルを備えたパーティションであって、前記メインパネルに灰皿を備えることを特徴とする、パーティションによって解決することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫煙スペースを区画するための平板状のメインパネルを備えたパーティションであって、前記メインパネルに灰皿又は灰皿を配置するためのテーブルを備えることを特徴とする、パーティション。
【請求項2】
サイドパネルをさらに備える、請求項1に記載のパーティション。
【請求項3】
前記メインパネルとサイドパネルとの角度が90°である、請求項2に記載のパーティション。
【請求項4】
前記メインパネルに備えられた灰皿又はテーブルが、サイドパネルにも結合している、請求項2又は3に記載のパーティション。
【請求項5】
前記メインパネル及び/又はサイドパネルの下部にキャスタを備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のパーティション。
【請求項6】
前記メインパネル及び/又はサイドパネルが、上部パネル及び下部パネルの2つに分割され、上部パネルが透明又は半透明なパネルである、請求項1~5のいずれか一項に記載のパーティション。
【請求項7】
前記上部パネルが、ポリカーボネート又はガラス製である、請求項6に記載のパーティション。
【請求項8】
第2のサイドパネルをさらに備える、請求項1~7のいずれか一項に記載のパーティション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーティションに関する。
【背景技術】
【0002】
呼吸器系のウィルス感染を防ぐために、ソーシャルディスタンスの確保が推奨されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-195310号公報
【特許文献2】特開2011-144533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の喫煙スペース(特許文献1及び2)においてソーシャルディスタンスを確保することは困難であった。従って、本発明の目的は、喫煙スペースにおいてソーシャルディスタンスを確保する手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、喫煙スペースにおいてソーシャルディスタンスを確保する手段について、鋭意研究した結果、驚くべきことに、灰皿又は灰皿を配置するためのテーブルを備えたパーティションによって、呼吸器系のウィルス感染を防ぐことのできるソーシャルディスタンスを確保できることを見出した。
本発明は、こうした知見に基づくものである。
従って、本発明は、
[1]喫煙スペースを区画するための平板状のメインパネルを備えたパーティションであって、前記メインパネルに灰皿又は灰皿を配置するためのテーブルを備えることを特徴とする、パーティション、
[2]サイドパネルをさらに備える、[1]に記載のパーティション、
[3]前記メインパネルとサイドパネルとの角度が90°である、[2]に記載のパーティション、
[4]前記メインパネルに備えられた灰皿又はテーブルが、サイドパネルにも結合している、[2]又は[3]に記載のパーティション、
[5]前記メインパネル及び/又はサイドパネルの下部にキャスタを備える、[1]~[4]のいずれかに記載のパーティション、
[6]前記メインパネル及び/又はサイドパネルが、上部パネル及び下部パネルの2つに分割され、上部パネルが透明又は半透明なパネルである、[1]~[5]のいずれかに記載のパーティション、
[7]前記上部パネルが、ポリカーボネート又はガラス製である、[6]に記載のパーティション、及び
[8]第2のサイドパネルをさらに備える、[1]~[7]のいずれかに記載のパーティション、
に関する。
【発明の効果】
【0006】
本発明のパーティションによれば、喫煙スペースにおいて、ソーシャルディスタンスを確保し、呼吸器系ウィルスの感染を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明のパーティションの1つ実施態様を示した斜視図である。
【
図2】本発明のパーティションを、禁煙スペースに設置した図である。
【
図3】本発明のパーティションの1つの実施態様の正面図である。
【
図4】本発明のパーティションの1つの実施態様の背面図である。
【
図5】本発明のパーティションの1つの実施態様の平面図である。
【
図6】本発明のパーティションの1つの実施態様の底面図である。
【
図7】本発明のパーティションの1つの実施態様の右側面図である。
【
図8】本発明のパーティションの1つの実施態様の左側面図である。
【
図9】本発明のパーティションの別の実施態様の正面図である。
【
図10】本発明のパーティションの別の実施態様の背面図である。
【
図11】本発明のパーティションの別の実施態様の平面図である。
【
図12】本発明のパーティションの別の実施態様の底面図である。
【
図13】本発明のパーティションの別の実施態様の右側面図である。
【
図14】本発明のパーティションの別の実施態様の左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のパーティションは、喫煙スペースを区画するための平板状のメインパネルを備え、そして前記メインパネルに灰皿又は灰皿を配置するためのテーブルを備える。
【0009】
メインパネルは、限定されるものではないが、例えば
図1に示すように下部の基台(14)の両端に1対の支柱(9、10)を有し、2つの支柱の間に仕切り部材(3、4;以下、単にパネルと称することがある)を有する。また、仕切り部材の上部に、上部枠(13)を有する。
【0010】
前記メインパネルにおける灰皿又はテーブルの設置場所は、使用者の使用に支障のない限りにおいて特に限定されるものではないが、使用者が立ったまま使用できる高さか、又は腰かけて使用できる高さに設置することが好ましい。例えば、床から750mm~1050mm程度の高さに設置することができる。
【0011】
灰皿の材質は、耐熱性を有し不燃性である限りにおいて特に限定されないが、例えば、陶器、ガラス、金属、石(鉱物)、鋳物、又は耐熱樹脂などが挙げられるが、軽くて加工が容易であることから、金属又は耐熱樹脂が好ましい。灰皿の形状も、特に限定されないが、例えば水を入れて、吸い殻の火を消火できるような形状が好ましい。灰皿は、限定されるものではないが、
図2に示すように、灰皿台にはめ込む形状でもよい。この場合、灰皿台と一体タイプの灰皿でもよく、灰皿台から取り外せるタイプの灰皿でもよい。
【0012】
また、テーブルに灰皿を配置する場合、灰皿の材質は、同様に耐熱性を有し不燃性である限りにおいて特に限定されず、前記の灰皿の材質を用いることができる。また、テーブルに配置される灰皿は、市販の灰皿を用いてもよい。灰皿を配置するためのテーブルを備える実施態様の場合、ユーザーが灰皿を使用した後に、タバコの吸い殻を吸い殻入れに捨てることによって、次のユーザーが気持ちよく喫煙スペースを使用することができる。
【0013】
前記仕切り部材は、透明、半透明、又は不透明のパネルを使用することができるが、間仕切りされた反対側にいるヒトを認識できることから、透明又は半透明のパネルが好ましい。透明または半透明のパネルとしては、樹脂製又はガラス製のパネルが挙げられるが、転倒した場合に安全であることから、樹脂製のパネルが好ましい。使用される樹脂は、好ましくは不燃性又は難燃性の樹脂であり、例えばポリカーボネート、メラミン樹脂、塩化ビニル、又はポリエチレンが挙げられる。更に、防煙シート(例えば、塩化ビニル樹脂製又はポリエチレン樹脂製)をパネルとして用いてもよい。
また、不透明のパネルとしては、樹脂製又は金属製のパネル、樹脂及び金属の合板のパネル、木材と樹脂の合板(例えば、ベニヤ板にメラミン樹脂を貼りつけた合板)のパネルが挙げられる。
【0014】
前記メインパネルの仕切り部材は、一枚のパネルでもよいが、
図1に示すように、2枚以上(例えば、2~10枚)の複数のパネルに分割されていてもよい。例えば、2枚の仕切り部材を用いる場合、上部仕切り部材(3)(上部パネル)及び下部仕切り部材(4)(下部パネル)の間に、分割枠(17)を備えればよい。前記灰皿は、仕切り部材に直接設置してもよいが、
図1に示すように分割枠に設置することもできる。
前記上部仕切り部材及び下部仕切り部材は、それぞれ透明、半透明、又は不透明のパネルを使用することができる。前記上部仕切り部材は、限定されるものではないが、間仕切りされた反対側にいるヒトを認識できることから、透明又は半透明のパネルが好ましい。また、前記下部仕切り部材は、パネルに限定されるものではく、例えばパンチングメタル、網材の使用、或いは、前記下部仕切り部材を省略した構造を採ることができる。
【0015】
前記基台は、メインパネルが転倒しにくいように、脚部を備えてもよい。脚部としては、例えば基台の両端に、基台に対して垂直な脚部を備えることができる。また、基台の両端に、X字型の脚部を備えてもよい。
【0016】
前記メインパネルは、基台の下部、又は脚部の下部に、移動用のキャスタ(走行体)を備えてもよい。例えば、メインパネルのみの実施態様においては、転倒を防止するために、脚部の下部にキャスタを備えることが好ましい。一方、メインパネル及びサブパネルを有する実施態様においては、メインパネルとサブパネルとの間に角度(例えば50°~130°程度、好ましくは90°程度の角度)をつけて設置することにより、転倒を防止することができるため、基台に直接キャスタを備えることもできる。しかしながら、メインパネル及びサブパネルを有する実施態様においても、脚部の下にキャスタを備えることができる。
【0017】
本発明のパーティションが、メインパネルのみの実施態様の場合、パーティションを喫煙スペースの壁に垂直に設置するとよい。ある程度の間隔で、2枚以上のパーティションを、喫煙スペースの壁に対して略垂直に設置することによって、喫煙スペースを間仕切ることができる。
【0018】
本発明のパーティションは、
図1及び2に示すように、メインパネルに加えて、サブパネルを有してもよい。
サブパネルは、メインパネルと同じように、下部の基台(16)の両端に1対の支柱(11、12)を有し、2つの支柱の間に仕切り部材(7、8;以下、単にパネルと称することがある)を有する。また、仕切り部材の上部に、上部枠(15)を有する。
サブパネルは、1枚の仕切り部材で作製されてもよいが、
図1に示すように、2枚以上(例えば、2~10枚)の複数のパネルに分割されていてもよい。例えば、2枚の仕切り部材を用いる場合、上部仕切り部材(7)(上部パネル)及び下部仕切り部材(8)(下部パネル)の間に、分割枠(18)を備えればよい。
【0019】
また、サブパネルの仕切り部材は、メインパネルと同じ素材、形状のものを使用することができる。更に、メインパネルと同じように脚部を備えてもよい。更にメインパネルと同じように、基台の下部又は脚部の下部に、移動用のキャスタ(走行体)を備えてもよい。キャスタを備えることにより、例えばヒトが接触した場合に、パーティションが移動し、転倒を防ぐことができる。更に、限定されるものではないが、サブパネルに灰皿を設置することもできる。
【0020】
本発明のパーティションが、メインパネルとサブパネルとを備える態様の場合、例えば
図2に示すように、パーティションのメインパネルを喫煙スペースの壁に接するように設置し、サブパネルを喫煙スペースの壁に対して略垂直に設置するとよい。複数(2つ以上)のパーティションを、前記のように設置することによって、喫煙スペースを間仕切ることができる。
また、逆に、パーティションのサブパネルを喫煙スペースの壁に接するように設置し、メインパネルを喫煙スペースの壁に対して略垂直に設置してもよい。複数(2つ以上)のパーティションを、逆の態様で設置することによっても、喫煙スペースを間仕切ることができる。また、後述のメインパネルとサブパネルとの間に灰皿を備える場合には、メインパネルを喫煙スペースの壁に接するように設置しても、サブパネルを喫煙スペースの壁に接するように設置しても、同じような態様となる。
【0021】
メインパネル及びサブパネルは、
図1に示すように、メインパネルの支柱10とサブパネルの支柱11とで結合している。メインパネルとサブパネルとの間の角度は、特に限定されるものではないが、例えば50°~130°であり、好ましくは60°~120°であり、より好ましくは70°~110°であり、更に好ましくは80°~100°であり、最も好ましくは90°である。上記上限と下限の角度は、それぞれ選択して組み合わせることができる。メインパネルの支柱10とサブパネルの支柱11との結合は、角度を変化できるように、可動式に結合されてもよく、角度を固定して結合されてもよい。
【0022】
本発明のパーティションが、メインパネルとサブパネルとを備える態様の場合、例えば
図3~8の六面図に示すように、メインパネルの灰皿がサブパネルに結合してもよい。すなわち、メインパネル及びサブパネルからなる内側の隅にメインパネルとサブパネルとに結合するように灰皿を備えてもよい。この場合のメインパネルとサブパネルとの間の角度も限定されるものではないが、略90°が好ましい。本態様における灰皿を設置する台は、メインパネルとサブパネルとの間で三角形の台を用いることが好ましい。メインパネルとサブパネルとの間に灰皿台を有する灰皿を備えることにより、パーティションのL型強度を増加させることができる。また、使用者が右利きでも、左利きでも使用しやすく、すなわち右手でも左手も使用しやすい。
メインパネル及びサブパネルの上部仕切り部材(上部パネル:3、7)は、例えば透明で、下部仕切り部材(下部パネル:4、8)は、例えば不透明である。
【0023】
また、本発明のパーティションが、メインパネルとサブパネルとを備え、そして灰皿を配置するためのテーブルを備える態様の場合、例えば
図9~14の六面図に示すように、メインパネルのテーブルがサブパネルに結合してもよい。すなわち、メインパネル及びサブパネルからなる内側の隅にメインパネルとサブパネルとに結合するようにテーブルを備えてもよい。この場合のメインパネルとサブパネルとの間の角度も限定されるものではないが、略90°が好ましい。前記テーブルは、メインパネルとサブパネルとの間の三角形のテーブルが好ましい。メインパネルとサブパネルとの間にテーブルを備えることにより、パーティションのL型強度を増加させることができる。また、使用者が右利きでも、左利きでも配置する灰皿が使用しやすく、すなわち右手でも左手も使用しやすい。
【0024】
本発明のパーティションは、メインパネルに第2サブパネルを備えてもよい。更に前記第1サブパネル、又は第2サブパネルに、第4サブパネル、又は第5サブパネルを備えてもよい。サブパネルの数は限定されるものではないが、例えば1~20であり、ある態様では1~10であり、ある態様では1~5である。複数のサブパネルを有する場合、灰皿はサブパネルに備えてもよい。更に、メインパネルの灰皿の裏側にもう1つ灰皿を備えてもよく、1つのサブパネルに1つの灰皿を備えてもよい。
【0025】
本発明のパーティションを使用する「喫煙スペース」は、屋内の区画された喫煙スペースでもよく、屋外のオープンな喫煙スペースでもよい。屋内の区画された喫煙スペースは、限定されるものではないが、密閉されており、そして空気の吸入及び排出が制御されている喫煙スペースが好ましい。また喫煙スペースに、空気清浄機などを備えることが好ましい。一方、屋外のオープンな喫煙スペースにおいても、本発明のパーティションを用いることにより、ソーシャルディスタンスを確保することができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明のパーティションは、喫煙スペースにおいてソーシャルディスタンスを確保するために使用することができる。
【符号の説明】
【0027】
1・・・メインパネル;
2・・・サブパネル;
3・・・メインパネルの上部仕切り部材(上部パネル);
4・・・メインパネルの下部仕切り部材(下部パネル);
5・・・灰皿;
6・・・キャスタ;
7・・・サブパネルの上部仕切り部材(上部パネル);
8・・・サブパネルの下部仕切り部材(下部パネル);
9・・・メインパネルの支柱;
10・・・メインパネルの支柱;
11・・・サブパネルの支柱;
12・・・サブパネルの支柱;
13・・・メインパネルの上部枠;
14・・・メインパネルの基台;
15・・・サブパネルの上部枠;
16・・・サブパネルの基台;
17・・・メインパネルの分割枠;
18・・・サブパネルの分割枠;
19・・・灰皿を配置するためのテーブル