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特開2022-73839超音波パルスと遠赤外線を投入する真空パルス関節炎治療装置
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  • 特開-超音波パルスと遠赤外線を投入する真空パルス関節炎治療装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022073839
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】超音波パルスと遠赤外線を投入する真空パルス関節炎治療装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 7/00 20060101AFI20220510BHJP
   A61B 18/18 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
A61N7/00
A61B18/18 100
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020208654
(22)【出願日】2020-12-16
(31)【優先権主張番号】10-2020-0142258
(32)【優先日】2020-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】520496671
【氏名又は名称】ジョウ,デイ
【氏名又は名称原語表記】JOH, Day
【住所又は居所原語表記】#512-903 Humansia,59, Yulhaseo-ro, Dong-gu, Daegu, 41097, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100146639
【弁理士】
【氏名又は名称】船本 康伸
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ,デイ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160JJ33
4C160JJ36
4C160JK01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】超音波と遠赤外線の投入により活性化された肌を真空で密着させた状態で肌細胞の呼吸を誘導することにより、関節細胞の痛症を効果的に緩和させることができ、しかも、軟骨細胞の再生効果を極大化させることのできる関節炎治療装置を提供する。
【解決手段】患者の肌に密着されて関節の深部に遠赤外線及び超音波を伝達する治療部100と、前記治療部の内部圧力及び超音波出力を調節する本体部200と、を備え、前記治療部は、前記関節の深部に遠赤外線を伝達する熱発生素子と、前記関節の深部に超音波を伝達する超音波発生素子と、内部に前記熱発生素子及び超音波発生素子を有し、前記熱発生素子及び超音波発生素子を肌に密着させる真空チャンバーと、を備える関節炎治療装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の肌に密着されて関節の深部に遠赤外線及び超音波を伝達する治療部と、
前記治療部の内部圧力及び超音波出力を調節する本体部と、
を備え、
前記治療部は、
前記関節の深部に遠赤外線を伝達する熱発生素子と、
前記関節の深部に超音波を伝達する超音波発生素子と、
内部に前記熱発生素子及び超音波発生素子を有し、前記熱発生素子及び超音波発生素子を肌に密着させる真空チャンバーと、
を備える関節炎治療装置。
【請求項2】
前記治療部は、
内部に前記超音波発生素子が配置され、一方の面に前記熱発生素子が取り付けられるハウジングをさらに備える、請求項1に記載の関節炎治療装置。
【請求項3】
前記治療部は、前記肌の温度を測定する温度センサーをさらに備え、
前記本体部は、
前記肌の温度が予め設定された基準値よりも大きければ、前記超音波発生素子の出力周期を調節する制御部をさらに備える、請求項1に記載の関節炎治療装置。
【請求項4】
前記本体部は、
真空管を介して前記真空チャンバーと連結され、前記真空チャンバーの内部圧力を調節する真空ポンプをさらに備える、請求項3に記載の関節炎治療装置。
【請求項5】
前記治療部は、
前記真空チャンバーと前記真空管との間に連結される弁をさらに備え、
前記制御部は、
前記真空ポンプにおいて発生する圧力が予め設定された基準値よりも大きければ、前記弁を遮断する、請求項4に記載の関節炎治療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、関節炎治療装置に係り、特に、超音波パルスと遠赤外線を投入する真空パルス関節炎治療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波治療は、聴覚で聞き取れない範囲にある超音波を用いて治療を行う方法であり、関節の拘縮及び癒着の防止、関節硬直の減少、痛み(痛症)の緩和、炎症の修復、殺菌効果、骨折の治癒などに用いられている。
【0003】
超音波(ultra sonic wave)とは、人間が聞き取れる可聴最大限界範囲を超える周波数を有する周期的な音圧(sound pressure)のことをいう。
【0004】
超音波は、一般に、媒介体(あるいは、媒質)を貫通させたり、反響波(reflection signature)の測定または集中したエネルギーの供給を行ったりするなど多岐に亘る分野において用いられている。
【0005】
大韓民国登録特許公報第10-537343号(2005年12月12日)には、関節炎治療用の超音波装置が開示されているが、同装置は、図1に示すように、超音波発生器及び超音波振動子を備えている。
【0006】
従来の関節炎治療器は、一般的に用いられる丸い硬貨状の圧電素子により組織細胞内の深い部位まで超音波を浸透させることができないという不都合があった。なお、肌のうねりにより治療器が肌に密着される密度が低いため、超音波を効率よく浸透させることができないという不都合があった。
【0007】
この理由から、超音波と遠赤外線の投入により活性化された肌を真空で密着させた状態で肌細胞の呼吸を誘導することにより、関節細胞の痛症を効果的に緩和させることができ、しかも、軟骨細胞の再生効果を極大化させることのできる技術が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】大韓民国登録特許公報第10-537343号(2005年12月12日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする技術的課題は、超音波と遠赤外線の投入により活性化された肌を真空で密着させた状態で肌細胞の呼吸を誘導することにより、関節細胞の痛症を効果的に緩和させることができ、しかも、軟骨細胞の再生効果を極大化させることのできる関節炎治療装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実施形態によれば、超音波パルスと遠赤外線を投入する真空パルス関節炎治療装置が提供される。前記関節炎治療装置は、患者の肌に密着されて関節の深部に遠赤外線及び超音波を伝達する治療部と、前記治療部の内部圧力及び超音波出力を調節する本体部と、を備え、前記治療部は、前記関節の深部に遠赤外線を伝達する熱発生素子と、前記関節の深部に超音波を伝達する超音波発生素子と、内部に前記熱発生素子及び超音波発生素子を有し、前記熱発生素子及び超音波発生素子を肌に密着させる真空チャンバーと、を備える。
【0011】
前記治療部は、内部に前記超音波発生素子が配置され、一方の面に前記熱発生素子が取り付けられるハウジングをさらに備えていてもよい。
【0012】
前記治療部は、前記肌の温度を測定する温度センサーをさらに備え、前記本体部は、前記肌の温度が予め設定された基準値よりも大きければ、前記超音波発生素子の出力周期を調節する制御部をさらに備えていてもよい。
【0013】
前記本体部は、真空管を介して前記真空チャンバーと連結され、前記真空チャンバーの内部圧力を調節する真空ポンプをさらに備えていてもよい。
【0014】
前記治療部は、前記真空チャンバーと前記真空管との間に連結される弁をさらに備え、前記制御部は、前記真空ポンプにおいて発生する圧力が予め設定された基準値よりも大きければ、前記弁を遮断してもよい。
【発明の効果】
【0015】
熱発生素子と超音波発生素子を介して関節の深部に超音波及び遠赤外線パルスを同時に投入することができ、深部熱の伝達と炎症の除去作用により毛細血管を活性化させることができる。このとき、超音波と遠赤外線の投入により活性化された肌を真空で密着させた状態で肌細胞の呼吸を誘導することにより、関節細胞の痛症を効果的に緩和させることができ、しかも、軟骨細胞の再生効果を極大化させることができる。
【0016】
超音波キャビテーション作用により関節の深部まで波動と熱を伝達し、真空サクション作用により肌の毛細血管から肌のガス交換を極大化させることにより、関節の炎症を効果的に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】一実施形態に係る関節炎治療装置のブロック図である。
図2】一実施形態に係る関節炎治療装置の治療部を説明するための図である。
図3】一実施形態に係る関節炎治療装置の治療部を説明するための図である。
図4】一実施形態に係る関節炎治療装置の超音波発生素子を説明するための図である。
図5】一実施形態に係る関節炎治療装置のハウジングを説明するための図である。
図6】一実施形態に係る関節炎治療装置の超音波発生素子を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、添付図面に基づいて、本発明の実施形態について本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳しく説明する。しかしながら、本発明は、種々の異なる形態に具体化可能であり、ここで説明する実施形態に限定されるものではない。なお、図中、本発明を明確に説明するために、説明とは無関係な部分は省略し、明細書の全般に亘って、類似の部分には類似の図面符号を付している。
【0019】
明細書の全般に亘って、ある部分がある構成要素を「備える」または「有する」としたとき、これは、特に断りのない限り、他の構成要素を除外するわけではなく、他の構成要素をさらに備えていてもよいことを意味する。
【0020】
図1は、一実施形態に係る関節炎治療装置のブロック図である。図2及び図3は、一実施形態に係る関節炎治療装置の治療部を説明するための図である。図4は、一実施形態に係る関節炎治療装置の超音波発生素子を説明するための図である。図5は、一実施形態に係る関節炎治療装置のハウジングを説明するための図である。図6は、一実施形態に係る関節炎治療装置の超音波発生素子を説明するための図である。
【0021】
図1を参照すると、一実施形態に係る関節炎治療装置は、治療部100と、本体部200と、を備える。
【0022】
治療部100は、患者の肌に密着されて関節の深部に遠赤外線及び超音波を伝達する。
【0023】
図2及び図3を参照すると、一実施形態に係る治療部100は、温度センサー110と、熱発生素子120と、超音波発生素子130と、ハウジング140と、真空チャンバー150と、弁160と、接触部170と、を備えていてもよい。
【0024】
温度センサー110は、一実施形態によれば、真空チャンバー150の内部に配設され、患者の肌の温度を測定してもよい。
【0025】
温度センサー110は、測定された肌の温度情報を温度センサー感知線20を介して制御部230に送信してもよい。
【0026】
熱発生素子120は、一実施形態によれば、真空チャンバー150の内部に配設され、関節の深部に遠赤外線を伝達してもよい。熱発生素子120を介して、肌の表面から約1~2cmの深さの部位3aに遠赤外線を伝達することができる。
【0027】
熱発生素子120は、一実施形態によれば、金属製またはセラミック製のハウジング状の遠赤外線発生素子であってもよい。
【0028】
熱発生素子120は、超音波信号線30を介して制御部230から出力制御信号を受信してもよい。
【0029】
超音波発生素子130は、一実施形態によれば、真空チャンバー150の内部に配設され、関節の深部に超音波を伝達してもよい。超音波発生素子130を介して、肌の表面から約2~10cmの深さの部位3bに超音波を伝達することができる。
【0030】
超音波発生素子130は、一実施形態によれば、圧電素子であってもよい。
【0031】
図4を参照すると、一実施形態に係る超音波発生素子130の正極(+)及び負極(-)は、銀(Ag)材質によりコーティングされてもよい。負極(-)の銀コーティングが圧電素子の上部までつながることにより、超音波と熱が媒体に伝達されるに当たって、うなり(渦巻き、Vortex/helix turn)現象が発生することになる。うなり現象は、同じ周波数内において、または2種類以上の周波数が重なり合うことにより現れる干渉現象であって、波動のバランスが崩れることにより渦巻きのような螺旋状の円運動が起こる。これを通じて、炎症や硬直した細胞組織の血液循環作用を増加させることができる。
【0032】
熱発生素子120と超音波発生素子130を介して関節(例えば、膝蓋骨)部位に超音波及び遠赤外線パルスを同時に投入することができ、深部熱の伝達と炎症の除去作用により毛細血管を活性化させることができる。このとき、超音波と遠赤外線の投入により活性化された肌を真空で密着させた状態で肌細胞の呼吸を誘導することにより、関節細胞の痛症を効果的に緩和させることができ、しかも、軟骨細胞の再生効果を極大化させることができる。
【0033】
超音波キャビテーション作用により関節の深部まで波動と熱を伝達し、真空サクション作用により肌の毛細血管から肌のガス交換を極大化させることにより、関節の炎症を効果的に除去することができる。
【0034】
図5を参照すると、ハウジング140は、一実施形態によれば、中央に孔141が形成されてもよく、内部142に複数の超音波発生素子130が配置されてもよく、一方の面(肌を向く面)に熱発生素子120が取り付けられてもよい。ハウジング140の中央に形成された孔141を介して真空サクション作用が起こる。
【0035】
ハウジング140は、一実施形態によれば、円環体の形状、丸い形状、三角形状、四角形状であってもよい。ハウジング140は、超音波発生素子130を包み込む役割とレンズの役割を果たしても良い。円環体の形状のハウジング140を介して、熱と波動を効果的に伝達することができる。
【0036】
熱発生素子120は、一実施形態によれば、ハウジング140の一方の面に取り付けられてもよい。
【0037】
図6を参照すると、超音波発生素子130は、円環体の形状に形成されてもよい。超音波発生素子130の天板と底板は、銀(Ag)材質によりコーティングされてもよい。
【0038】
一実施形態によれば、超音波発生素子130の天板に正極(+)及び負極(-)が形成されてもよく、これにより、超音波が伝達される肌の内部の深い部位において硬直した細胞組織に伝達される熱と波動のうなり現象(蓄熱反応により蓄積された熱が時計回り方向や反時計回り方向に回転する現象)が発生可能である。超音波発生素子130の天板に正極(+)及び負極(-)が形成されることにより、組織細胞内の炎症や活性酸素が減り、血管の活動が円滑になるという効果が奏される。
【0039】
真空チャンバー150は、一実施形態によれば、内部に熱発生素子120及び超音波発生素子130を有し、真空パルスのサクション作用を用いて、熱発生素子120及び超音波発生素子130を肌に密着させることができる。これを通じて、肌の密度が高くなり、超音波と遠赤外線の伝達効率が高くなる。なお、真空パルスのサクション作用を用いて、関節炎症とガスを肌の外に排出することができる。
【0040】
弁160は、一実施形態によれば、真空の逆止弁であって、真空管10と真空チャンバー150との繋ぎ部位に連結されてもよい。弁160は、一実施形態によれば、ソレノイド弁であってもよい。
【0041】
接触部170は、一実施形態によれば、超音波発生素子130の真空サクションが作用するゴムバンドであってもよい。接触部170は、一実施形態によれば、使用者の作用部位の形状に合うように3Dプリンティングされた立体形状を呈してもよい。これを通じて、肌のうねりにも拘わらず、肌に密着されて気密を保持することができる。
【0042】
本体部200は、一実施形態によれば、真空ポンプ210と、発振器220と、制御部230と、を備えていてもよい。
【0043】
真空ポンプ210は、真空管10を介して真空チャンバー150と連結され、サクション機能を用いて真空チャンバー150の内部圧力を調節することができる。
【0044】
発振器220は、超音波発生素子130の超音波出力を調節してもよい。
【0045】
制御部230は、一実施形態によれば、温度センサー110を介して測定された肌の温度が予め設定された基準値(例えば、43℃)よりも大きければ、発振器220を制御して超音波発生素子130の出力周期を調節してもよい。例えば、制御部230は、温度センサー110を介して測定された肌の温度が43℃であれば、発振器220を制御して超音波発生素子130の出力を連続モードから断続モードへと切り替えてもよい。
【0046】
制御部230は、一実施形態によれば、真空ポンプ210において発生する圧力が予め設定された基準値(例えば、500mHg、550mHg、600mHg)よりも大きければ、弁160を遮断してもよい。
【0047】
本体部200は、外部から電源を供給されて駆動されてもよい。
【0048】
以上、本発明の実施形態について詳しく説明したが、本発明の権利範囲はこれに何ら限定されるものではなく、特許請求の範囲において定義している本発明の基本概念を用いた当業者の色々な変形及び改良形態もまた本発明の権利範囲に属するものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6