(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022007384
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】画像処理装置と画像処理システムと画像処理プログラムと画像処理方法
(51)【国際特許分類】
G06T 5/00 20060101AFI20220105BHJP
G01B 11/00 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
G06T5/00 725
G01B11/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020110320
(22)【出願日】2020-06-26
(71)【出願人】
【識別番号】519135611
【氏名又は名称】株式会社Retail AI
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 啓一
(72)【発明者】
【氏名】蛯原 均
【テーマコード(参考)】
2F065
5B057
【Fターム(参考)】
2F065AA04
2F065AA53
2F065AA65
2F065BB05
2F065BB27
2F065CC14
2F065DD02
2F065DD06
2F065EE08
2F065FF04
2F065FF61
2F065JJ03
2F065QQ03
2F065QQ17
2F065QQ21
2F065QQ24
2F065QQ25
2F065QQ28
2F065QQ29
2F065QQ31
2F065QQ45
2F065UU05
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CD01
5B057CH18
5B057DA17
5B057DB02
5B057DB09
5B057DC05
5B057DC36
(57)【要約】 (修正有)
【課題】撮像画像に基づいて、撮像画像に撮像されている被写体を透視変換できる画像処理装置、画像処理システム、画像処理プログラム及び画像処理方法を提供する。
【解決手段】画像処理システムにおいて、画像処理装置2は、矩形状の特徴を有する被写体が透視投影された状態で撮像された撮像画像に対して、被写体を透視変換し、撮像画像に撮像された被写体の形状を補正する画像処理装置であって、撮像画像を取得する画像取得部231と、撮像画像に撮像された被写体から4角形の領域を形成する4つの基準点と、4つの基準点それぞれの座標と、を特定する基準特定部232と、被写体を透視変換する複数の変換パターンを記憶する記憶部22と、座標に基づいて、複数の変換パターンの中から、被写体を透視変換する変換パターンを選択するパターン選択部233と、変換パターンに基づいて、撮像画像に撮像された被写体の形状を補正する補正部235と、を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状の特徴を有する被写体が透視投影された状態で撮像された撮像画像に対して、前記被写体を透視変換し、前記撮像画像に撮像された前記被写体の形状を補正する画像処理装置であって、
前記撮像画像を取得する画像取得部と、
前記撮像画像に撮像された前記被写体から4角形の領域を形成する4つの基準点と、4つの前記基準点それぞれの座標と、を特定する基準特定部と、
前記被写体を透視変換する複数の変換パターンを記憶する記憶部と、
前記座標に基づいて、前記記憶部に記憶されている複数の前記変換パターンの中から、前記被写体を透視変換する前記変換パターンを選択するパターン選択部と、
前記変換パターンに基づいて、前記撮像画像に撮像された前記被写体の形状を補正する補正部と、
を有してなる、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記変換パターンは、
4つの前記基準点のうち、2つの前記基準点のみを前記被写体の補正後の形状の位置に移動させる第1変換パターンと、
4つの前記基準点のうち、3つの前記基準点のみを前記被写体の補正後の形状の位置に移動させる第2変換パターンと、
を含む、
請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記撮像画像を構成する複数の画素の配列において、列方向をX方向とし、行方向をY方向としたとき、
前記座標は、
前記X方向における座標値を示すX座標値と、
前記Y方向における座標値を示すY座標値と、
を含み、
前記パターン選択部は、
前記基準点それぞれの前記X座標値と前記Y座標値の中で、前記X座標値が最大値または最小値、かつ、前記Y座標値が最大値または最小値、の座標を有する特定基準点の有無を判別し、
前記特定基準点が有ると判別したとき、前記第1変換パターンを選択し、
前記特定基準点が無いと判別したとき、前記第2変換パターンを選択する、
請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第1変換パターンは、4つの前記基準点のうち、前記特定基準点と、前記特定基準点の対角に位置する前記基準点と、を除く2つの前記基準点のみを前記被写体の補正後の形状の位置に移動させる、
請求項3記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第2変換パターンは、4つの前記基準点のうち、移動しない不動基準点と、他の3の前記基準点のいずれか2つの前記基準点に外接する外接矩形が前記被写体の補正後の形状となるように、前記不動基準点を除く3つの前記基準点を移動させる、
請求項3記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記外接矩形は、前記不動基準点と、前記不動基準点の対角に位置する前記基準点と、他の2つの前記基準点のいずれかと、に外接する、
請求項5記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記不動基準点は、4つの前記基準点それぞれの前記座標に基づいて、決定される、
請求項5記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記不動基準点は、4つの前記基準点のうち、対角に位置しない2つの前記基準点の前記X座標値、または、前記Y座標値、の大小関係に基づいて、決定される、
請求項7記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記パターン選択部は、
前記特定基準点が無いと判別したとき、前記基準点それぞれの前記座標に基づいて、前記4角形の前記撮像画像における回転状態を判定し、
前記回転状態は、
第1回転状態と、
第2回転状態と、
を含み、
前記第2変換パターンは、
前記第1回転状態に対応する第1回転変換パターンと、
前記第2回転状態に対応する第2回転変換パターンと、
を含む、
請求項3記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記パターン選択部は、前記回転状態が判定できないとき、前記変換パターンを選択しない、
請求項9記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記基準特定部は、前記被写体に付された標識に基づいて、4つの前記基準点を特定する、
請求項1記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記撮像画像を表示する表示部と、
前記表示部に表示された前記撮像画像の任意の位置を選択可能な操作部と、
を有してなり、
前記基準特定部は、前記操作部が操作されて選択された位置を前記基準点として特定する、
請求項1記載の画像処理装置。
【請求項13】
コンピュータを請求項1記載の画像処理装置として機能させる、
ことを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項14】
矩形状の特徴を有する被写体が透視投影された状態で撮像された撮像画像に対して、前記被写体を透視変換して前記撮像画像に撮像された前記被写体の形状を補正する画像処理システムであって、
前記撮像画像を撮像する撮像部と、
前記撮像画像に撮像された前記被写体の形状を補正する画像処理装置と、
を有してなり、
前記画像処理装置は、請求項1記載の画像処理装置である、
ことを特徴とする画像処理システム。
【請求項15】
矩形状の特徴を有する被写体が透視投影された状態で撮像された撮像画像に対して、前記被写体を透視変換し、前記撮像画像に撮像された前記被写体の形状を補正する画像処理装置に実行される画像処理方法であって、
前記画像処理装置が、前記撮像画像に撮像された前記被写体から特定された4つの基準点の座標に基づいて、前記透視変換の複数の変換パターンの中から、前記被写体を透視変換する前記変換パターンを選択するステップと、
前記画像処理装置が、前記変換パターンに基づいて、前記撮像画像に撮像された前記被写体の形状を補正するステップと、
を有してなる、
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項16】
前記画像処理装置が、前記撮像画像を取得するステップと、
前記画像処理装置が、前記撮像画像に撮像された前記被写体から4角形の領域を形成する4つの前記基準点と、4つの前記基準点それぞれの座標と、を特定するステップと、
を有してなる、
請求項15記載の画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置と画像処理システムと画像処理プログラムと画像処理方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケットやホームセンター、コンビニエンスストアなどの店舗の屋内、および、道路やショッピングモールの通路や主要な道路などの屋外において、商品や人の移動・出入を監視する監視カメラが、広く普及している。一般的に、監視カメラは、所定の位置に固定され、画角内の商品や人などの被写体を撮像する。被写体が撮像された撮像画像は、AI(Artificial Intelligence)を用いた画像認識処理により解析される。
【0003】
近年、デジタルカメラなどの撮像装置の高解像度化に伴い、広角レンズを備える1つの撮像装置により広範囲の被写体を撮像する技術が、監視カメラにも用いられている。また、通常、監視カメラは、被写体の移動の妨げにならないように、被写体よりも上方に配置され、斜め上方から被写体を撮像する。そのため、撮像画像に撮像された被写体は、監視カメラの画角や向き、被写体までの距離などの監視カメラと被写体との間の位置関係により、透視投影された状態で撮像される。すなわち、撮像画像において、被写体は、前述の位置関係に応じて、歪んだ形状で撮像される。
【0004】
前述のとおり、撮像画像は、AIを用いた画像認識処理により解析される。同画像処理技術では、AIに学習させるための教師データが必要となる。しかしながら、前述の歪みを考慮して教師データを作成する場合、教師データの数が膨大となり、教師データの作成時間が増加し、AIの学習時間も増加する。その結果、開発期間および開発コストが増加する。
【0005】
これまでにも、撮像画像に撮像された被写体を透視変換することにより、被写体の形状を補正する技術が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0006】
特許文献1に開示された技術は、予め4隅にマークが付された基準媒体(基準媒体が撮像された撮像画像)を用いて透視変換のパラメータを算出し、同パラメータに基づいて歪み補正データを作成し、同歪み補正データに基づいて他の被処理媒体(他の被写体が撮像された撮像画像)の歪みを補正する。その結果、同技術は、歪み補正時のデータ処理量を削減できる。このように、同技術は、マークが付された基準媒体を用いて歪み補正データを取得する方式、すなわち、キャリブレーションを実行する方式を採用する。そのため、同技術は、被写体ごとに基準媒体を準備しなければならない。
【0007】
特許文献2に開示された技術は、撮像画像に撮像された矩形状紙面の4つの頂点から紙面に対する相対的な撮像装置の位置・姿勢を推定し、推定された位置・姿勢に基づいて矩形状紙面の3次元空間における4つの頂点を推定し、推定された4つの頂点の位置に基づいて透視変換のパラメータを算出し、同パラメータに基づいて撮像画像の歪みを補正する。その結果、同技術は、撮像装置の位置・姿勢が未知であっても、撮像画像に撮像された被写体を透視変換して、被写体の歪みを補正できる。このように、同技術は、撮像画像から撮像装置の位置・姿勢を推定し、推定した撮像装置の位置・姿勢に基づいて透視変換のパラメータを算出する。すなわち、同技術は、撮像装置の位置・姿勢が未知な撮像画像に対して、撮像装置の位置・姿勢を推定するという処理を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002-197452号公報
【特許文献2】特開2004-040395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、基準媒体や撮像装置の位置・姿勢の推定を必要とせず、撮像画像に基づいて、撮像画像に撮像されている被写体を透視変換することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明にかかる画像処理装置は、矩形状の特徴を有する被写体が透視投影された状態で撮像された撮像画像に対して、被写体を透視変換し、撮像画像に撮像された被写体の形状を補正する画像処理装置であって、撮像画像を取得する画像取得部と、記撮像画像に撮像された被写体から4角形の領域を形成する4つの基準点と、4つの基準点それぞれの座標を特定する基準特定部と、被写体を透視変換する複数の変換パターンを記憶する記憶部と、座標に基づいて、記憶部に記憶されている複数の変換パターンの中から、被写体を透視変換する変換パターンを選択するパターン選択部と、変換パターンに基づいて、撮像画像に撮像された被写体の形状を補正する補正部と、を有してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、撮像画像に基づいて、撮像画像に撮像されている被写体を透視変換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】撮像画像における画素の配列の例を示す模式図である。
【
図2】本発明にかかる画像処理システムの実施の形態を示すネットワーク構成図である。
【
図3】
図2の画像処理システムが備える撮像装置の機能ブロック図である。
【
図4】本発明にかかる画像処理装置の実施の形態を示す機能ブロック図である。
【
図6】本発明にかかる画像処理方法の実施の形態を示すフローチャートである。
【
図7】
図6の画像処理方法に含まれる基準点特定処理のフローチャートである。
【
図8】
図7の基準点特定処理により特定された基準点の例を示す模式図である。
【
図9】
図6の画像処理方法に含まれる補正処理の一部のフローチャートである。
【
図10】
図9の補正処理の他の一部のフローチャートである。
【
図11】
図9の補正処理で選択される第1対角線変換パターンを説明する模式図である。
【
図12】
図9の補正処理で選択される第2対角線変換パターンを説明する模式図である。
【
図13】
図10の補正処理で選択される第1回転変換パターンを説明する模式図である。
【
図14】
図10の補正処理で選択される第2回転変換パターンを説明する模式図である。
【
図15】
図10の補正処理で生成される補正画像の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明にかかる画像処理装置と、画像処理システムと、画像処理プログラムと、画像処理方法と、の実施の形態について説明する。
【0014】
●情報処理システム●
先ず、本発明にかかる情報処理システム(以下「本システム」という。)の実施の形態について説明する。
【0015】
本システムは、被写体が透視投影された状態で撮像された撮像画像において、被写体の4つの基準点それぞれの座標を特定し、特定された4つの基準点の位置関係に基づいて透視変換の変換パターンを選択し、選択された変換パターンに基づいて撮像画像に撮像された被写体の形状を補正する。具体的には、本システムは、撮像画像に撮像された被写体の変形の程度に基づいて、その被写体を透視変換する変換パターンを選択し、選択された変換パターンに基づいて、その被写体の形状を透視投影の状態から正面視の状態に変換する。
【0016】
「被写体」は、後述する撮像装置に撮像される対象である。被写体は、撮像される被写体全体が矩形状の物体(例えば、一方向視において矩形状の物体)、または、撮像される被写体の一部分が矩形状の特徴を有する物体である。すなわち、例えば、被写体は、スーパーマーケットやホームセンターなどにおいて商品が陳列される商品棚や、書店や図書館において書物が陳列される書棚、ビルや集合住宅などの建築物、直線状の道路や歩道、である。
【0017】
なお、被写体は、矩形状の4隅(矩形の4つの角を構成する点)が認識可能であれば、空間でもよい。すなわち、例えば、被写体は、4つの物品(例えば、商品棚、棚板、商品、値札、店舗内に付された標識など)により矩形状に抜き出される空間や、4つの星を4隅として矩形状に抜き出される夜空、4つの建築物を4隅とする航空写真や風景写真の一部でもよい。
【0018】
「矩形状」は、後述する画像処理において基準点を特定できる形状であればよく、全ての角が直角の長方形および正方形だけでなく、方形に類似の形状(例えば、角および/または辺が丸められている4角形)も含む。
【0019】
「透視投影」は、人が目視により3次元の物体を観察したときの同物体を、観察されたままの形状で2次元の仮想平面に投影(描画)すること、すなわち、遠近法により同物体を2次元の仮想平面に投影すること、を意味する。
【0020】
「撮像画像」は、後述する撮像装置により撮像された画像であり、例えば、静止画、または、動画の各フレームである。本発明において、撮像画像には、透視投影された状態の被写体が撮像される。すなわち、撮像画像は、被写体の画像を含む。撮像画像の詳細は、後述する。
【0021】
「基準点」は、例えば、被写体を正面、または、特徴を有する面から見たとき、互いに交差しない直線で連結されることにより矩形状の領域を形成する点である。すなわち、例えば、基準点は、被写体の一部や、被写体に付された標識(例えば、2次元バーコードや、図形、記号など)の一部(例えば、標識の中央部)である。本発明において、基準点は、1つの矩形状の物体の4隅だけでなく、物理的に離れた複数の物体の一部を含む。すなわち、例えば、基準点は、棚や机、窓、壁、通路、商品パッケージの4隅や、矩形状の空間を形成するように配置された4つの物品(例えば、商品棚、棚板、商品、値札、店舗内に付された標識など)である。
【0022】
「座標」は、撮像画像において、各画素の位置を示す情報である。本実施の形態において、座標の原点は撮像画像の左上であり、撮像画像を構成する複数の画素の配列において、列方向はX方向であり、行方向はY方向である。座標は、X方向における座標値を示すX座標値と、Y方向における座標値を示すY座標値と、を含む。
【0023】
図1は、撮像画像における画素の配列の例を示す模式図である。
同図は一部の画素を「□」で示し、他の画素の図示は省略する。同図は、撮像画像の列方向(
図1の紙面左右方向)がX方向であり、撮像画像の行方向(
図1の紙面上下方向)がY方向であることを示す。同図は、原点(左上)の座標値が(0,0)であり、終点(右下)の座標値が(m,n)(m,nは0以上の整数)であることを示す。同図は、撮像画像における画素の配置が右に進むに連れてX座標値が増加し、同配置が下に進むに連れてY座標値が増加する、ことを示す。すなわち、同図は、撮像画像の正面視において、撮像画像の左端の列のX座標値がX座標値の最小値であり、右端の列のX座標値がX座標値の最大値であり、上端の行のY座標値がY座標値の最小値であり、下端の行のY座標値がY座標値の最大値である、ことを示す。
【0024】
以下に説明する実施の形態は、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの小売店の売場において商品が陳列された商品棚が撮像された撮像画像に対して、本発明にかかる画像処理装置(以下「本装置」という。)が後述する本発明にかかる画像処理方法(以下「本方法」という。)を実行して、商品棚と商品それぞれの形状を補正する場合を例にして、本発明の内容を説明する。すなわち、商品棚と商品とは、本発明における被写体の例である。
【0025】
●画像処理システムの構成
図2は、本システムの実施の形態を示すネットワーク構成図である。
【0026】
本システムSは、複数の撮像装置1(1),・・・,1(n)(nは整数)と、本装置2と、を有してなる。以下の説明において、複数の撮像装置1(1),・・・,1(n)は、各撮像装置1(1),・・・,1(n)を特に区別する場合を除き、「撮像装置1(1~n)」と表記する。
【0027】
各撮像装置1(1~n)と本装置2とは、有線通信方式または無線通信方式を利用するネットワークN(通信回線)を介して、接続される。ネットワークNは、例えば、インターネット、移動体通信網、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、Wi-Fi(登録商標)などの通信網である。
【0028】
●撮像装置の構成
図3は、撮像装置1の機能ブロック図である。
【0029】
撮像装置1は、被写体(商品棚、商品)を撮像して撮像画像を生成する。撮像装置1は、例えば、売場内の商品棚の静止画を所定の時間間隔で撮像するカメラユニットである。各撮像装置1(1~n)は、例えば、売場内において、対応する商品棚の前部(前面)の全体像と、同商品棚に陳列された商品と、が撮像可能な位置(例えば、売場の天井面や壁面)に配置される。撮像装置1は、通信部11と、記憶部12と、撮像部13と、制御部14と、を備える。撮像装置は、本発明における撮像部の例である。
【0030】
なお、撮像装置は、後述する撮像部を含むカメラ機能を備える端末装置であればよい。すわなち、例えば、撮像装置は、カメラ機能を備えるスマートホン、携帯電話、タブレット端末、ノートパソコンでもよく、あるいは、通信機能を備えるデジタルカメラでもよい。
【0031】
また、撮像装置は、動画を撮像するカメラユニットでもよく、あるいは、静止画と動画とを撮像するカメラユニットでもよい。
【0032】
さらに、撮像装置は、複数の商品棚(商品)を撮像してもよく、あるいは、商品棚の一部(商品)を撮像してもよい。
【0033】
通信部11は、ネットワークNを介して、本装置2と通信する。通信部11は、例えば、通信モジュールや通信回路などの通信インターフェイスである。
【0034】
記憶部12は、撮像部13が撮像した撮像画像を記憶する。記憶部12は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリなどの記憶媒体である。
【0035】
撮像部13は、商品棚(商品)を撮像する。撮像部13は、例えば、レンズ群、シャッター、撮像素子、A/D変換器などにより構成される。撮像部13は、例えば、所定のフレームレートで撮像範囲内に配置された商品棚(商品)を撮像する。撮像部13の撮像条件(フレームレート、撮像範囲、解像度など)は、制御部14により制御される。撮像部13により撮像された撮像画像は、撮像画像を撮像した撮像装置1の位置を示す情報(位置情報)と、撮像画像を撮像した時刻を示す情報(時刻情報)と、に関連付けられて記憶部12に記憶される。
【0036】
制御部14は、プログラムに従って各種の情報処理を実行して、撮像装置1全体の動作を制御する。制御部14は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)などのプロセッサや、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路と、RAM(Read Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などの半導体メモリと、により構成される。
【0037】
●画像処理装置の構成
図4は、本装置2の実施の形態を示す機能ブロック図である。
【0038】
本装置2は、撮像画像において被写体の4つの基準点P1,P2,P3,P4(
図8参照。以下同じ。)の座標を特定し、特定された4つの基準点P1~P4の位置関係に基づいて透視変換の変換パターンを選択し、選択された変換パターンに基づいて撮像画像に撮像された被写体の形状を補正する。本装置2は、例えば、サーバなどのパーソナルコンピュータである。本装置2は、例えば、スーパーマーケットの事務所に配置される。
【0039】
本装置2では、本発明にかかる情報処理プログラム(以下「本プログラム」という。)が動作して、本プログラムが本装置2のハードウェア資源と協働して、後述する本方法を実現する。すなわち、本プログラムは、コンピュータを本装置2として機能させる。
【0040】
本装置2は、通信部21と、記憶部22と、制御部23と、表示部24と、操作部25と、を備える。
【0041】
通信部21は、ネットワークNを介して、撮像装置1と通信する。通信部21は、例えば、通信モジュールや通信回路などの通信インターフェイスである。
【0042】
記憶部22は、本装置2が後述する本方法を実行するために必要な情報(例えば、後述する変換パターンなど)を記憶する。記憶部22は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリなどの記憶媒体である。
【0043】
制御部23は、プログラムに従って各種の情報処理を実行して、本装置2全体の動作を制御する。制御部23は、例えば、CPU、MPU、DSPなどのプロセッサやASIC、FPGAなどの集積回路と、RAM、ROMなどの半導体メモリと、により構成される。
【0044】
制御部23は、画像取得部231と、基準特定部232と、パターン選択部233と、算出部234と、補正部235と、を備える。
【0045】
画像取得部231は、記憶部22から撮像画像を取得する。画像取得部231の動作は、後述する。
【0046】
なお、本発明における画像取得部は、通信部を介して、撮像装置から撮像画像を取得してもよい。
【0047】
基準特定部232は、撮像画像に撮像された被写体(商品棚)から4つの基準点P1~P4と、4つの基準点P1~P4それぞれの座標と、を特定する。本実施の形態において、4つの基準点P1~P4は、商品棚の正面視における4隅である。基準特定部232の具体的な動作は、後述する。
【0048】
パターン選択部233は、基準特定部232が特定した被写体の4つの基準点P1~P4の座標に基づいて、被写体を透視変換する変換パターンを選択する。パターン選択部233の具体的な動作と変換パターンとは、後述する。
【0049】
算出部234は、基準特定部232が特定した被写体の4つの基準点P1~P4の座標に基づいて、透視変換のパラメータ(変換パターンに対応するパラメータ)を算出する。算出部234の具体的な動作とパラメータとは、後述する。
【0050】
補正部235は、変換パターンに基づいて、撮像画像に撮像された被写体の形状を補正する。補正部235の具体的な動作は、後述する。
【0051】
なお、画像取得部と、基準特定部と、パターン選択部と、算出部と、補正部とは、共通するプロセッサまたは集積回路、半導体メモリにより構成されてもよく、あるいは、個別のプロセッサまたは集積回路、半導体メモリにより構成されてもよい。
【0052】
表示部24は、撮像画像を表示する機器(例えば、液晶ディスプレイ)である。
【0053】
操作部25は、表示部24に表示された撮像画像に対して、本装置2の使用者が任意の位置を選択可能に、使用者の操作を受け付ける機器(例えば、キーボード、マウス、タッチパネル)である。本実施の形態において、表示部24と操作部25とは、例えば、タッチパネルディスプレイである。
【0054】
●画像処理方法●
次に、本装置2の動作、すなわち、本方法について、各撮像装置1(1~n)が撮像した撮像画像が、ネットワークNを介して本装置2に送信され、本装置2の記憶部22に記憶されている場合、を例に説明する。このとき、各撮像画像に関連付けられている位置情報と時刻情報とについても、対応する撮像画像に関連付けられて、記憶部22に記憶される。
【0055】
図5は、撮像画像の例を示す模式図である。
同図は、撮像画像に1つの商品棚Saの全体と、同商品棚Saに隣接する2つの商品棚Sb,Scの一部と、各商品棚Sa~Scに陳列されている商品と、が撮像されていることを示す。すなわち、本実施の形態において、撮像画像は、商品棚Sa~Scの画像と、商品の画像と、を含む。以下の説明において、撮像画像に含まれる各画像(撮像画像に撮像された被写体)は、被写体の名称(商品棚Sa~Sc、商品など)で表記する。
【0056】
同図は、撮像画像が商品棚Saの左斜め正面(商品棚Saから見て右斜め正面)から撮像されていることを示す。また、同図は、商品棚Sa~Scと商品とが撮像画像の左部から右部に向けてY方向(
図5の紙面上下方向)の大きさが小さくなるように透視投影された状態で撮像されていることを示す。さらに、同図は、商品棚Saの4隅に標識M1,M2,M3,M4が付されていることを示す。
【0057】
図6は、本方法の実施の形態を示すフローチャートである。
本方法は、基準点特定処理(S100)と補正処理(S200)とを含む。
【0058】
●基準点特定処理
先ず、基準点特定処理(S100)について、
図4と
図5も参照しつつ説明する。
【0059】
「基準点特定処理(S100)」は、後述する特定撮像装置ごとに4つの基準点P1~P4を特定する処理である。
【0060】
図7は、基準点特定処理(S100)のフローチャートである。
【0061】
先ず、画像取得部231は、記憶部22から1つの撮像画像を基準特定画像として取得する(S101)。以下の説明において、基準特定画像は、
図5に示される撮像画像であるものとする。すなわち、基準特定画像において、商品棚には4つの標識M1~M4が付されている。
【0062】
次いで、画像取得部231は、基準特定画像に関連付けられている位置情報に基づいて、基準特定画像を撮像した撮像装置1を特定撮像装置として特定する(S102)。次いで、画像取得部231は、特定撮像装置が撮像した他の撮像画像(過去の撮像画像)において、基準点P1~P4が特定されているか否かを判別する(S103)。
【0063】
特定撮像装置が撮像した他の撮像画像において、基準点P1~P4が特定されていないとき(S103の「N」)、基準特定部232は、4つの標識M1~M4に基づいて、基準特定画像に撮像された被写体から4つの基準点P1~P4を特定する(S104)。具体的には、基準特定部232は、基準特定画像に対して、公知の画像処理(例えば、パターンマッチング)を実行し、4つの標識M1~M4を検出する。次いで、基準特定部232は、例えば、各標識M1~M4の中心点に対応する画素を算出し、同画素を基準点P1~P4として特定する。
【0064】
図8は、基準特定部232により特定された基準点P1~P4の例を示す模式図である。同図は、基準特定画像において、標識M1~M4それぞれの中心点(画素)が基準点P1~P4として特定されていることを示す。同図は、基準特定画像において、基準点P1が左上に配置され、基準点P2が左下に配置され、基準点P3が右下に配置され、基準点P4が右上に配置される、ことを示す。
【0065】
なお、本発明における基準特定部が特定する基準点は、標識の中心点に限定されない。すなわち、例えば、基準特定部は、標識が矩形状であれば、標識の4隅に対応する画素のうち、1つの画素(例えば、右下の画素)を基準点として特定してもよい。
【0066】
また、本発明における基準特定部は、標識ではなく、公知の画像処理を用いて、被写体の一部に対応する画素を基準点として特定してもよい。すなわち、例えば、基準特定部は、公知の画像処理技術を用いて商品棚のエッジを検出し、商品棚の4隅(左上、左下、右上、右下)に対応する画素を基準点として特定してもよい。
【0067】
さらに、標識の形状は、基準点となる画素(または、一群の画素)が特定できればよく、矩形の枠に限定されない。すなわち、例えば、標識の形状は、「〇」形、「+」形、「X」形でもよい。
【0068】
図7に戻る。
次いで、基準特定部232は、各基準点P1~P4それぞれの座標(X座標値,Y座標値)を特定する(S105)。基準点P1~P4と座標とは、特定撮像装置と基準特定画像それぞれに関連付けられて、記憶部22に記憶される(S106)。
【0069】
次いで、基準特定部232は、各基準点P1~P4の座標に基づいて、各基準点P1~P4の相対的な位置関係を特定する(S107)。具体的には、基準特定部232は、例えば、各基準点P1~P4のうち、X座標値が小さい2つの基準点P1,P2を特定し、同基準点P1,P2のうち、Y座標値が小さい基準点P1を第1基準点として特定し、Y座標値が大きい基準点を第2基準点として特定する。また、基準特定部232は、例えば、各基準点P1~P4のうち、X座標値が大きい2つの基準点P3,P4を特定し、同基準点P3,P4のうち、Y座標値が大きい基準点P3を第3基準点として特定し、Y座標値が小さい基準点P4を第4基準点として特定する。すなわち、例えば、基準特定部232は、基準特定画像を正面から見たとき、各基準点P1~P4の中で相対的に左上に配置される基準点P1を第1基準点として特定し、相対的に左下に配置される基準点P2を第2基準点として特定し、相対的に右下に配置される基準点P3を第3基準点として特定し、相対的に右上に配置される基準点P4を第4基準点として特定する。すなわち、基準点P1~P4を角とする4角形において、第1基準点(基準点P1)と第3基準点(基準点P3)とは対角に配置され、第2基準点(基準点P2)と第4基準点(基準点P4)とは対角に配置される。各基準点P1~P4の相対的な位置関係は、座標と特定撮像装置と基準特定画像それぞれに関連付けられて、記憶部22に記憶される(S108)。
【0070】
一方、特定撮像装置が撮像した他の撮像画像において、基準点P1~P4が特定されているとき(S103の「Y」)、本装置2は、基準点特定処理(S100)を終了する。
【0071】
ここで、本実施の形態において、各撮像装置1(1~n)は、店舗内に固定されている。そのため、各撮像装置1(1~n)の画角は、固定されている。したがって、特定撮像装置が撮像した他の撮像画像において基準点P1~P4が特定されていれば、特定撮像装置がその後に撮像した撮像画像における基準点P1~P4の位置は、変わらない。そのため、処理(S103)において「Y」のとき、本装置2は、過去に取得した基準点P1~P4の情報を用いて、後述する補正処理(S200)を実行できる。
【0072】
●補正処理
次に、補正処理(S200)について、
図8も参照しつつ説明する。
【0073】
「補正処理(S200)」は、撮像画像ごとに、撮像画像に撮像された被写体(商品棚、商品)の透視変換に用いられる変換パターンを選択し、同変換パターンに対応するパラメータを算出し、撮像画像に対応する変換パターンとパラメータとに基づいて、撮像画像を透視変換する処理である。
【0074】
図9は、補正処理(S200)の一部のフローチャートである。
図10は、補正処理(S200)の他の一部のフローチャートである。
【0075】
先ず、画像取得部231は、記憶部22から1つの撮像画像を処理画像として取得する(S201)。
【0076】
次いで、画像取得部231は、処理画像に関連付けられている位置情報に基づいて、処理画像を撮像した撮像装置1を特定する(S202)。
【0077】
次いで、パターン選択部233は、画像取得部231が特定した撮像装置1に関連付けられて記憶部22に記憶されている4つの基準点P1~P4と、その座標と、を読み出す(S203)。
【0078】
次いで、パターン選択部233は、各基準点P1~P4の座標を比較して、各基準点P1~P4のX座標値とY座標値それぞれのうち、X座標値の最大値、X座標値の最小値、Y座標値の最大値、Y座標値の最小値、を特定する(S204)。
【0079】
次いで、パターン選択部233は、各基準点P1~P4それぞれのX座標値とY座標値の中で、特定基準点の有無を判別する(S205)。
【0080】
「特定基準点」は、X座標値が最大値または最小値、かつ、Y座標値が最大値または最小値、の座標を有する基準点である。
【0081】
パターン選択部233により特定基準点が有ると判別されたとき(S205の「Y」)、パターン選択部233は、各基準点P1~P4のいずれが特定基準点であるかを判別する(S206)。
【0082】
基準点P1および/または基準点P3が特定基準点であるとき(S206の「P1,P3」)、パターン選択部233は、記憶部22に記憶されている複数の変換パターンの中から、処理画像の被写体を透視変換する変換パターンとして第1対角線変換パターンを選択する(S207)。第1対角変換パターンの詳細は、後述する。
【0083】
図11は、第1対角線変換パターンを説明する模式図である。
同図の(a)(b)(c)(d)(e)それぞれは、第1対角線変換パターンで透視変換され得る態様を示す。同図は、4つの基準点P1~P4で形成される4角形(以下「補正前4角形」という。)を破線で示し、透視変換後に各基準点P1~P4が位置する点(以下「補正点」という。)P11,P12,P13,P14により形成される4角形(以下「補正後4角形」という。)を実線で示す。同図の一点鎖線は、少なくとも1つの特定基準点を含む基準点P1,P3(第1基準点,第3基準点)により形成される対角線(以下「第1対角線」という。)を示す。
【0084】
同図は、第1対角線変換パターンにおいて、第1対角線が透視変換の基準の軸となることを示す。同図は、透視変換前後において、基準点P1,P3(第1基準点、第3基準点)は移動せず(基準点P1,P3の位置と補正点P11,P13の位置は同じ)、基準点P2(第2基準点)は補正点P12へ移動し、基準点P4(第4基準点)は補正点P14に移動する、ことを示す。すなわち、補正点P12のX座標値は基準点P1(第1基準点)のX座標値であり、補正点P12のY座標値は基準点P3(第3基準点)のY座標値であり、補正点P14のX座標値は基準点P3(第3基準点)のX座標値であり、補正点P14のY座標値は基準点P1(第1基準点)のY座標値である。つまり、移動する基準点P2,P4の移動後の補正点P12,P14のX座標値は移動しない基準点P1,P3いずれかのX座標値であり、補正点P12,P14のY座標値は基準点P1,P3いずれかのY座標値である。
【0085】
このように、「第1対角線変換パターン」は、4つの基準点P1~P4のうち、特定基準点(基準点P1,P3)と、特定基準点の対角に位置する基準点P1,P3と、を除く2つの基準点P2,P4(第2基準点,第4基準点)のみを移動させる変換パターンである。すなわち、第1対角線変換パターンは、補正前4角形が有する2つの対角線により結ばれる2組の基準点(基準点P1,P3および基準点P2,P4)のうち、特定基準点を含まない1組の基準点(基準点P2,P4)のみを被写体の補正後の形状(補正後4角形)の位置(補正点P12,P14)に移動させる変換パターンである。換言すれば、第1対角線変換パターンは、第1対角線を基準軸として、撮像画像を透視変換する変換パターンである。第1対角線変換パターンは、第1変換パターンの例である。すなわち、第1変換パターンは、第1対角線変換パターンを含む。第1対角線変換パターンは、例えば、予め記憶部22に記憶されている。
【0086】
図9へ戻る。
一方、基準点P2および/または基準点P4が特定基準点であるとき(S206の「P2,P4」)、パターン選択部233は、記憶部22に記憶されている複数の変換パターンの中から、処理画像の被写体を透視変換する変換パターンとして第2対角線変換パターンを選択する(S208)。
【0087】
図12は、第2対角線変換パターンを説明する模式図である。
同図の(a)(b)(c)(d)(e)それぞれは、第2対角線変換パターンで透視変換され得る態様を示す。同図は、補正前4角形を破線で示し、補正後4角形を実線で示す。同図の一点鎖線は、少なくとも1つの特定基準点を含む基準点P2,P4(第2基準点,第4基準点)により形成される対角線(以下「第2対角線」という。)を示す。
【0088】
同図は、第2対角線変換パターンでは、第2対角線が透視変換の基準軸となることを示す。同図は、透視変換前後において、基準点P2,P4(第2基準点,第4基準点)は移動せず(基準点P2,P4の位置と補正点P12,P14の位置は同じ)、基準点P1(第1基準点)は補正点P11へ移動し、基準点P3(第3基準点)は補正点P13に移動する、ことを示す。すなわち、補正点P11のX座標値は基準点P2(第2基準点)のX座標値であり、補正点P11のY座標値は基準点P4(第4基準点)のY座標値であり、補正点P13のX座標値は基準点P4(第4基準点)のX座標値であり、補正点P13のY座標値は基準点P2(第2基準点)のY座標値である。つまり、移動する基準点P1,P3の移動後の補正点P11,P13のX座標値は移動しない基準点P2,P4いずれかのX座標値であり、補正点P11,P13のY座標値は基準点P2,P4いずれかのY座標値である。
【0089】
このように、「第2対角線変換パターン」は、4つの基準点P1~P4のうち、特定基準点(基準点P2,P4)と、特定基準点の対角に位置する基準点P2,P4と、を除く2つの基準点P1,P3(第1基準点,第3基準点)のみを移動させる変換パターンである。すなわち、第2対角線変換パターンは、補正前4角形が有する2つの対角線により結ばれる2組の基準点(基準点P1,P3および基準点P2,P4)のうち、特定基準点を含まない1組の基準点(基準点P1,P3)のみを被写体の補正後の形状(補正後4角形)の位置(補正点P11,P13)に移動させる変換パターンである。換言すれば、第2対角線変換パターンは、第2対角線を基準軸として、撮像画像を透視変換する変換パターンである。第2対角線変換パターンは、第1変換パターンの例である。すなわち、第1変換パターンは、第2対角線変換パターンを含む。第2対角線変換パターンは、例えば、予め記憶部22に記憶されている。
【0090】
図9と
図10とに戻る。
パターン選択部233により特定基準点が無いと判別されたとき(S205の「N」)、パターン選択部233は、対角に位置しない2つの基準点P1~P4(第1基準点,第4基準点)のY座標値を比較する(S209)。
【0091】
基準点P1のY座標値が基準点P4のY座標値よりも小さいとき(S209の「P1<P4」)、パターン選択部233は、基準点P2(第2基準点)のY座標値と基準点P4(第4基準点)のY座標値とを比較する(S210)。
【0092】
基準点P2のY座標値が基準点P4のY座標値よりも大きいとき(S210の「P2>P4」)、パターン選択部233は、補正前4角形の回転状態が第1回転状態であると判定して、記憶部22に記憶されている複数の変換パターンの中から、処理画像の被写体を透視変換する変換パターンとして第1回転変換パターンを選択する(S211)。
【0093】
「第1回転状態」は、処理画像の正面視において、処理画像に対して補正前4角形が時計回り方向に回転している状態である。
【0094】
図13は、第1回転変換パターンを説明する模式図である。
同図は、補正前4角形を破線で示し、補正後4角形を実線で示す。また、同図は、透視変換前後において、基準点P1(第1基準点)は移動せず、基準点P2(第2基準点)は補正点P12へ移動する、ことを示す。この場合、基準点P1は、本発明における不動基準点である。さらに、同図は、補正後4角形が、不動基準点(基準点P1)と、不動基準点の対角に位置する基準点P3と、基準点P4と、に外接する矩形(外接矩形)であることを示す。さらにまた、同図は、補正後4角形の各辺のうち、補正点P12,P13を結ぶ辺に基準点P3が位置し、補正点P13,P14を結ぶ辺に基準点P4が位置する、ことを示す。すなわち、補正点P11,P12のX座標値は基準点P1(第1基準点)のX座標値であり、補正点P12,P13のY座標値は基準点P3(第3基準点)のY座標値であり、補正点P13,P14のX座標値は基準点P4(第4基準点)のX座標値であり、補正点P11,P14のY座標値は基準点P1(第1基準点)のY座標値である。つまり、補正点P11~P14のX座標値は外接矩形と接する基準点P1,P3,P4いずれかのX座標値であり、補正点P11~P14のY座標値は外接矩形と接する基準点P1,P3,P4いずれかのY座標値である。
【0095】
このように、「第1回転変換パターン」は、正面視において、基準点P1(第1基準点)を基準として、補正前4角形を反時計回りに回転させつつ変形させる変換パターンであり、3つの基準点P2~P4(第2~第4基準点)を被写体の補正後の形状(補正後4角形)の位置(補正点P12~P14)に移動させる変換パターンである。第1回転変換パターンは、第1回転状態に対応する変換パターンであり、本発明における第2変換パターンの例である。第1回転変換パターンは、例えば、予め記憶部22に記憶されている。
【0096】
図9と
図10とに戻る。
また、基準点P2のY座標値が基準点P4のY座標値以下のとき(S210の「P2≦P4」)、パターン選択部233は、補正前4角形の回転状態が判定不能である(第1回転状態と第2回転状態とのいずれでもない)と判定して、変換パターンを選択しない(S212)。このとき、補正処理(S200)は、終了する。
【0097】
一方、基準点P1のY座標値が基準点P4のY座標値よりも大きいとき(S209の「P1>P4」)、パターン選択部233は、基準点P1(第1基準点)のY座標値と基準点P3(第3基準点)のY座標値とを比較する(S213)。
【0098】
基準点P1のY座標値が基準点P3のY座標値よりも小さいとき(S213の「P1<P3」)、パターン選択部233は、補正前4角形の回転状態が第2回転状態であると判定して、記憶部22に記憶されている複数の変換パターンの中から、処理画像の被写体を透視変換する変換パターンとして第2回転変換パターンを選択する(S214)。
【0099】
「第2回転状態」は、処理画像の正面視において、処理画像に対して補正前4角形が反時計回り方向に回転している状態である。
【0100】
図14は、第2回転変換パターンを説明する模式図である。
同図は、補正前4角形を破線で示し、補正後4角形を実線で示す。また、同図は、透視変換前後において、基準点P4(第4基準点)は移動せず、基準点P3(第3基準点)は補正点P13へ移動する、ことを示す。この場合、基準点P4は、本発明における不動基準点である。さらに、同図は、補正後4角形が、不動基準点(基準点P4)と、不動基準点の対角に位置する基準点P2と、基準点P1と、に外接する外接矩形であることを示す。さらにまた、同図は、補正後4角形の各辺のうち、補正点P11,P12を結ぶ辺に基準点P1が位置し、補正点P12,P13を結ぶ辺に基準点P2が位置する、ことを示す。すなわち、補正点P11,P12のX座標値は基準点P1(第1基準点)のX座標値であり、補正点P12,P13のY座標値は基準点P2(第2基準点)のY座標値であり、補正点P13,P14のX座標値は基準点P4(第4基準点)のX座標値であり、補正点P11,P14のY座標値は基準点P4(第4基準点)のY座標値である。つまり、補正点P11~P14のX座標値は外接矩形と接する基準点P1,P2,P4いずれかのX座標値であり、補正点P11~P14のY座標値は外接矩形と接する基準点P1,P2,P4いずれかのY座標値である。
【0101】
このように、「第2回転変換パターン」は、正面視において、基準点P4(第4基準点)を基準として、補正前4角形を時計回りに回転させつつ変形させる変換パターンであり、3つの基準点P1~P3(第1~第3基準点)を被写体の補正後の形状(補正後4角形)の位置(補正点P11~P13)に移動させる変換パターンである。第2回転変換パターンは、第2回転状態に対応する変換パターンであり、本発明における第2変換パターンの例である。第2回転変換パターンは、例えば、予め記憶部22に記憶されている。
【0102】
図9と
図10とに戻る。
また、基準点P1のY座標値が基準点P3のY座標値以上のとき(S213の「P1≧P3」)、パターン選択部233は、補正前4角形の回転状態が判定不能であると判定して、変換パターンを選択しない(S212)。このとき、補正処理(S200)は、終了する。
【0103】
次いで、算出部234は、各基準点P1~P4の座標と、補正点P11~P14の座標と、に基づいて、パターン選択部233により選択された変換パターンに対応する透視変換のパラメータを算出する(S215)。換言すれば、算出部234は、各基準点P1~P4の座標(X座標値,Y座標値)に基づいて、パラメータを算出する。算出されたパラメータは、対応する変換パターンに関連付けられて、記憶部22に記憶される(S216)。
【0104】
「パラメータ」は、補正前4角形が補正後4角形に透視変換されるように、処理画像における被写体全体の形状を補正するために算出される値である。すなわち、例えば、パラメータは、変換パターンごと(撮像装置1ごと)に算出(生成)される座標変換行列や引数である。パラメータは、各変換パターン(撮像装置1ごとに撮像された撮像画像)に対応して算出される。すなわち、パラメータは、第1変換パターン(第1対角線変換パターン、第2対角線変換パターン)に対応するパラメータ(第1パラメータ)と、第2変換パターン(第1回転変換パターン、第2回転変換パターン)に対応するパラメータ(第2パラメータ)と、を含む。
【0105】
次いで、補正部235は、処理画像に対応する変換パターンと、同変換パターンに対応するパラメータと、を記憶部22から読み出す(S217)。次いで、補正部235は、変換パターンと、同変換パターンに対応するパラメータと、に基づいて、公知の透視変換処理により、処理画像に撮像された被写体の形状を補正する(S218)。公知の透視変換処理には、例えば、「getPerspectiveTransform」や「warpPerspective」などの公知のAPI(Application Programing Interface)が用いられる。補正後の処理画像(以下「補正画像」という。)は、記憶部22に記憶される(S219)。
【0106】
図15は、補正画像の例を示す模式図である。
同図は、補正点P11~P14により形成される補正後4角形を破線で示す。同図は、補正後4角形が矩形状であることを示す。
【0107】
このように、本装置2は、本方法を実行することにより、撮像画像から被写体の4つの基準点P1~P4を特定し、各基準点P1~P4に基づいて撮像画像に対応する変換パターンを選択し、同変換パターンに基づいて撮像画像に撮像された被写体の形状を補正する。そのため、本装置2は、従来の画像処理のように、基準媒体や撮像装置1の位置・姿勢の推定を必要とせず、撮像画像に基づいて、撮像画像に撮像されている被写体を透視変換できる。
【0108】
また、本装置2は、特定基準点が有るとき、第1変換パターンを選択する。前述のとおり、第1変換パターンは、特定基準点(例えば、基準点P1)と特定基準点の対角に位置する基準点(例えば、基準点P3)とを結ぶ対角線を基準として被写体を透視変換する変換パターンである。ここで、例えば、斜め上方から見下ろした状態で撮像された被写体は、撮像画像において、上部がX方向に拡張され、下部がX方向に圧縮される(逆台形状になる)。この場合、被写体の上部を基準として被写体が透視変換されると、補正画像はX方向に引き伸ばされた画像(被写体の幅が広がった画像)となり、被写体の下部を基準として被写体が透視変換されると、補正画像はX方向に圧縮された画像(Y方向に引き伸ばされた画像:被写体の幅が狭まった画像)となる。しかしながら、本方法のように、対角線を基準として被写体が透視変換されると、被写体の上部と下部それぞれの幅は、被写体のY方向中方の幅に補正される。換言すれば、対角線を基準として被写体が透視変換されると、補正画像の被写体の縦横比は、実物の縦横比に近似する。
【0109】
一方、本装置2は、特定基準点が無いとき、第2変換パターンを選択する。前述のとおり、第2変換パターンは、正面視において、1つの不動基準点(基準点P1,基準点P4)を基準として、補正前4角形を回転させつつ変形させる変換パターンである。本実施の形態において、不動基準点は、基準点P1~P4のうち、相互に対角に位置しない基準点P1~P4のY座標値の大小関係に基づいて、決定される。ここで、特定基準点が無いとき、被写体は、大きく変形せずに回転した状態で撮像されている。すなわち、撮像画像において、被写体の上部と下部それぞれの幅は、実物の縦横比に近似する。そのため、本方法のように、被写体を回転させて、全体的に変形させることにより、本装置2は、縦横比を大きく損なうことなく、撮像画像に撮像されている被写体を透視変換できる。その結果、補正画像の被写体の縦横比は、実物の縦横比に近似し易い。
【0110】
●まとめ
以上説明した実施の形態によれば、本装置2は、撮像画像に撮像された被写体から4つの基準点P1~P4と同基準点P1~P4の座標とを特定する基準特定部232と、被写体を透視変換する複数の変換パターンを記憶する記憶部22と、座標に基づいて複数の変換パターンの中から被写体を透視変換する変換パターンを選択するパターン選択部233と、変換パターンに基づいて撮像画像に撮像された被写体の形状を補正する補正部235と、を有してなる。この構成によれば、本装置2は、従来の画像処理のように、基準媒体や撮像装置1の位置・姿勢の推定を必要とせず、撮像画像に基づいて、変換パターンを選択し、撮像画像に撮像されている被写体を透視変換できる。
【0111】
また、以上説明した実施の形態によれば、変換パターンは、第1変換パターンと第2変換パターンとを含む。第1変換パターンは、4つの基準点P1~P4のうち、補正前4角形において対角となる2つの基準点P1,P3(基準点P2,P4)のみを被写体の補正後の形状(補正後4角形)の位置(補正点P11,P13(補正点P12,P14))に移動させる変換パターンである。第2変換パターンは、3つの基準点P1~P3(基準点P2~P4)のみを補正後の形状の位置(補正点P11~P13(補正点P12~P14))に移動させる変換パターンである。この構成によれば、本装置2は、4つの基準点P1~P4の位置関係(座標)に基づいて分類される複数の変換パターンの中から同位置関係に対応する変換パターンを選択し、同変換パターンに基づいて撮像画像を透視変換するだけで、補正画像を生成できる。すなわち、本装置2は、撮像画像に基づいて変換パターンを選択し、撮像画像に撮像されている被写体を透視変換できる。
【0112】
さらに、以上説明した実施の形態によれば、パターン選択部233は、基準点P1~P4それぞれのX座標値とY座標値の中で、X座標値が最大値または最小値、かつ、Y座標値が最大値または最小値、の座標を有する特定基準点の有無を判別し、特定基準点が有ると判別したとき第1変換パターンを選択し、特定基準点が無いと判別したとき第2変換パターンを選択する。この構成によれば、本装置2は、撮像画像における特定基準点の有無の判別という簡易な処理に基づいて、変換パターンを選択できる。
【0113】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、第1変換パターンは、4つの基準点P1~P4のうち、特定基準点(例えば、基準点P1)と、特定基準点の対角に位置する基準点(例えば、基準点P3)と、を除く2つの基準点(例えば、基準点P2,P4)のみを被写体の補正後の形状に移動させる。この構成によれば、本装置2は、特定基準点の位置に基づいて、移動させる2つの基準点P1,P3/P2,P4を特定し、第1対角線変換パターンまたは第2対角線変換パターンを選択できる。対角線を基準として被写体が透視変換されると、補正画像の被写体の縦横比は、実物の縦横比に近似する。すなわち、本装置2は、撮像画像に基づいて第1対角線変換パターンまたは第2対角線変換パターンを選択することにより、実物の縦横比に近似するように、撮像画像に撮像されている被写体を透視変換できる。
【0114】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、第2変換パターンは、不動基準点(例えば、基準点P1)と、不動基準点の対角に位置する基準点(例えば、基準点P3)と、他の2つの基準点のいずれか(例えば、基準点P4)と、に外接する外接矩形が補正後4角形になるように、不動基準点を除く3つの基準点(基準点P2~P4)を移動させる。この構成によれば、本装置2は、撮像画像に基づいて、第2変換パターンにおける補正後4角形を特定できる。そして、第2変換パターンは、不動基準点を動かすことなく、不動基準点を含む3点の基準点の外接矩形に、補正前4角形を変形させる。その結果、本装置2は、特定基準点が無い場合であっても、撮像画像に基づいて、縦横比を大きく損なうことなく、撮像画像に撮像されている被写体を透視変換できる。
【0115】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、不動基準点は、相互に対角に位置しない2つの基準点(本実施の形態では、基準点P1~P4)のY座標値の大小関係に基づいて、決定される。この構成によれば、本装置2は、撮像画像に基づいて、不動基準点を決定し、不動基準点に基づいて変換パターンを選択し、撮像画像に撮像されている被写体を透視変換できる。
【0116】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、パターン選択部233は、特定基準点が無いと判断したとき、基準点P1~P4それぞれの座標に基づいて、補正前4角形の回転状態を判定する。パターン選択部233は、回転状態が第1回転状態と判定したとき第1回転変換パターンを選択し、回転状態が第2回転状態と判定したとき第2回転変換パターンを選択し、回転状態が判定できないとき変換パターンを選択しない。この構成によれば、本装置2は、撮像画像における被写体の変形度合が大きいとき、透視変換を実行せず、同変形度合が小さいとき、撮像画像に基づいて、透視変換を実行する。
【0117】
なお、以上説明した実施の形態では、撮像装置1と本装置2とは、別体であった。これに代えて、撮像装置が本装置として機能してもよい。すなわち、例えば、撮像装置は、本発明における取得部と基準特定部とパターン選択部と算出部と補正部と、を備えてもよい。この場合、撮像装置が、本発明における表示部と操作部とを備えてもよく、あるいは、撮像装置とネットワークを介して接続される外部装置が、本発明における表示部と操作部とを備えてもよい。
【0118】
また、本装置は、表示部と操作部とを備えなくてもよい。
【0119】
さらに、本発明における撮像装置は、広範囲を撮像可能な広角カメラでもよい。この場合、店舗の売場に配置される撮像装置の数が減る。そのため、撮像装置の配置用の配線の自由度が増し、撮像装置を設置可能なスペースが少ない店舗において、撮像装置は、効率的に配置可能である。
【0120】
さらにまた、本発明における撮像装置は、店舗の店員が携帯する移動通信端末(例えば、スマートホン、タブレット、携帯電話など)に備えられてもよい。
【0121】
さらにまた、本発明における撮像装置と、本装置とは、物理的に離れた建物内に設置されてもよい。
【0122】
さらにまた、本発明における画像取得部は、処理(S101,S201)において、通信部を介して、各撮像装置から直接、撮像画像(基準特定画像、処理画像)を取得してもよい。
【0123】
さらにまた、本装置は、補正処理が実行される撮像画像ごとに基準点特定処理を実行してもよい。すなわち、例えば、本装置は、基準点特定処理において処理(S103)の判別を実行しなくてもよい。
【0124】
さらに、本装置は、処理(S104)において、表示部に基準特定画像を表示して、本装置の使用者が操作部を操作して選択した任意の位置を基準点として特定するように構成されてもよい。この場合、本発明における基準特定部は、使用者が選択した画素、または、選択した画素の近傍であって基準点となり得る画素(矩形の領域を形成可能な画素)、を基準点として特定してもよい。この構成によれば、本装置は、使用者が所望する位置を基準点として特定できる。また、標識の検出などの画像処理の処理負荷が、低減できる。
【0125】
さらにまた、本発明における基準特定部は各基準点を個別に特定できればよく、第1~第4基準点の位置は、本実施の形態に限定されない。すなわち、例えば、本発明における基準特定部は、撮像画像において、相対的に右上に位置する基準点(基準点P4)を第1基準点として特定し、相対的に右下に位置する基準点(基準点P3)を第2基準点として特定し、相対的に左下に位置する基準点(基準点P2)を第3基準点として特定し、相対的に左上に位置する基準点(基準点P1)を第4基準点として特定してもよい。すなわち、例えば、処理(S107)において、基準特定は、各基準点のうち、X座標値が大きい2つの基準点を特定し、同基準点のうち、Y座標値が小さい基準点を第1基準点として特定し、Y座標値が大きい基準点を第2基準点として特定してもよい。
【0126】
さらにまた、処理(S107)において、第1~第4基準点の特定方法は、本実施の形態に限定されない。すなわち、例えば、基準特定部は、各基準点のうち、Y座標が大きい2つの基準点を特定し、同基準点のうち、X座標理が小さい基準点を第1基準点として特定し、X座標値が大きい基準点を第4基準点として特定してもよい。また、例えば、基準特定部は、各基準点の画素値と、撮像画像の4隅それぞれの画素値と、の間の距離に基づいて、第1~第4基準点を特定してもよい。
【0127】
さらにまた、各基準点の配置は、各補正点が補正画像において矩形を形成するように配置されればよく、本実施の形態に限定されない。すなわち、例えば、各基準点は、ある段の棚板の両端と、その上方に配置される棚板の両端と、に配置されてもよい。
【0128】
さらにまた、本装置は、各撮像装置が撮像した撮像画像それぞれに対して、定期的(例えば、1月ごと)に基準点特定処理を実行してもよい。
【0129】
さらにまた、補正処理において、台形のように対角線を結ばない2つの基準点が特定基準点であるとき、本発明におけるパターン選択部は、第1対角線変換パターンと第2対角線変換パターンのいずれを選択してもよい。この場合、例えば、パターン選択部は、いずれかの第1変換パターン(例えば、第1対角線変換パターン)を選択するように予め設定されてもよい。
【0130】
さらにまた、本装置により実行される本方法は、本実施の形態に限定されない。すなわち、例えば、本装置は、基準点特定処理において変換パターンを選択し、各変換パターンに対応するパラメータを算出してもよい。通常、撮像装置の姿勢や画角、被写体(商品棚)が変わらなければ、同撮像画像が撮像した各撮像画像において、基準点の位置、選択される変換パターン、算出されるパラメータ、も変わらない。したがって、本装置は、撮像装置ごとに対応する変換パターンとパラメータとを予め記憶部に記憶することにより、補正処理を簡素化できる。すなわち、補正画像を生成するための処理負荷が、軽減される。
【0131】
さらにまた、以上説明した実施の形態では、不動基準点は、基準点P1~P4(例えば、第1基準点,第4基準点)のY座標値のうち、Y座標値が大きい基準点P1~P4であった。これに代えて、不動基準点は、第2基準点と第3基準点のY座標値のうちY座標値が大きい基準点でもよく、第1基準点と第2基準点のX座標値のうちX座標値が小さい基準点でもよく、第3基準点と第4基準点のX座標値のうちX座標値が大きい基準点でもよい。すなわち、例えば、不動基準点は、対角に位置しない2つの基準点のX座標値の大小関係に基づいて、決定されてもよい。
【0132】
さらにまた、処理(S209)において、補正前4角形の回転状態を判定できれば、本発明におけるパターン選択部が比較する座標値は、第1基準点と第4基準点のY座標値に限定されない。すなわち、例えば、本発明におけるパターン選択部は、対角に位置しない第2基準点と第3基準点のY座標値を比較してもよい。また、処理(S209)において、本発明におけるパターン選択部は、対角に位置しない第1基準点と第2基準点のX座標値を比較してもよい。この場合、例えば、処理(S210)において、本発明におけるパターン選択部は、第1基準点と第3基準点のX座標値を比較して、同回転状態を判定してもよい。
【0133】
さらにまた、本装置は、生成した補正画像を、商品の欠品抽出や棚割作成などに用いられる画像認識のAIの教師データとして利用してもよい。
【0134】
さらにまた、本システムS(本装置1)が適用される場面は、小売店の画像補正に限定されない。すなわち、例えば、本装置は、航空写真の画像補正や、街中の監視カメラの画像補正、風景写真の画像補正、にも適用可能である。
【0135】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、本装置2は、1つのコンピュータにより構成されていた。これに代えて、本装置は、複数のコンピュータにより構成されてもよい。すなわち、例えば、本システムは、複数のコンピュータで構成され、本装置として機能するコンピュータ群を備えてもよい。具体的には、例えば、本装置(コンピュータ群)は、撮像画像を記憶する記憶部を備えるコンピュータと、本方法を実行する制御部を備えるコンピュータと、により構成されてもよい。また、例えば、複数のコンピュータが、画像取得部、基準特定部、パターン選択部、算出部、補正部それぞれの機能を分散して備えてもよい。この場合、複数のコンピュータは、ネットワークを介して情報の送受信をしてもよく、あるいは、可搬記憶媒体を介して情報の譲受をしてもよい。
【符号の説明】
【0136】
S 画像処理システム
1 撮像装置
2 画像処理装置
22 記憶部
23 制御部
231 画像取得部
232 基準特定部
233 パターン選択部
235 補正部