(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022007385
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】蓋部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/02 20060101AFI20220105BHJP
H01L 23/08 20060101ALI20220105BHJP
H01L 33/52 20100101ALI20220105BHJP
【FI】
H01L23/02 C
H01L23/08 B
H01L33/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020110321
(22)【出願日】2020-06-26
(71)【出願人】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100129148
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 淳也
(72)【発明者】
【氏名】間嶌 亮太
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142AA52
5F142BA02
5F142BA32
5F142CD18
5F142DB03
(57)【要約】
【課題】パッケージに使用される蓋部材の破損を低減する。
【解決手段】蓋部材の製造方法は、金属粒子を含む金属系接合材を蓋部材4の本体部7の表面7aに塗布する塗布工程と、金属系接合材に熱処理を施す熱処理工程と、を備える。金属系接合材の金属粒子の粒子径D10は5μm以上、粒子径D90は50μm以下である。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッケージの基体を覆う蓋部材を製造する方法であって、
前記蓋部材は、本体部を備え、
金属粒子を含む金属系接合材を前記本体部の表面に塗布する塗布工程と、
前記金属系接合材に熱処理を施す熱処理工程と、を備え、
前記金属粒子の粒子径D10が5μm以上、粒子径D90が50μm以下であることを特徴とする蓋部材の製造方法。
【請求項2】
前記金属粒子は、Au-Sn合金を含む請求項1に記載の蓋部材の製造方法。
【請求項3】
前記塗布工程の前に、前記本体部の前記表面に金属層を形成する金属層形成工程を備え、
前記塗布工程では、前記金属層に重なるように前記金属系接合材を塗布する請求項1又は2に記載の蓋部材の製造方法。
【請求項4】
前記本体部は、石英又は石英ガラスにより構成される請求項1から3のいずれか一項に記載の蓋部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージに用いられる蓋部材を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品を収容するパッケージとして、凹部を有する基体と、凹部に収容された電子部品を覆うように基体に重ねられる蓋部材とを備えるものがある。一例として、特許文献1には、基体と蓋部材(窓部材)とを金属系接合材によって接合してなるパッケージ及びその製造方法が開示されている。
【0003】
パッケージを製造するには、まず、凹部に電子部品が収容された基体を用意し、この基体に蓋部材を重ね合わせる。この場合において、基体と蓋部材との間に、金属系接合材(プリフォーム)を配置する。次に、基体と蓋部材の間で荷重をかけながら金属系接合材を加熱して溶融状態とする。その後、基体と蓋部材の間で荷重をかけながら金属系接合材を冷却して固化させることで、基体と蓋部材とを接合する(同文献の段落0039参照)。
【0004】
上記の製造方法の他、金属系接合材を用いて基体に蓋部材を接合する場合、蓋部材に金属系接合材を予め接合しておくことで、基体と蓋部材とを接合する工程を簡略化してもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、金属系接合材を蓋部材に予め接合する場合、例えばペースト状の金属系接合材を蓋部材に塗布し、その後、金属系接合材に熱処理を施すことになる。この場合において、金属系接合材を加熱して溶融させた後の冷却工程において、金属接合材と蓋部材の熱膨張係数の差に起因して、蓋部材に応力が発生する。この応力が過大であると、蓋部材に破損が発生するおそれがあった。
【0007】
本発明は上記の事情に鑑みて為されたものであり、パッケージに使用される蓋部材の破損を低減することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記の課題を解決するためのものであり、パッケージの基体を覆う蓋部材を製造する方法であって、前記蓋部材は、本体部を備え、金属粒子を含む金属系接合材を前記本体部の表面に塗布する塗布工程と、前記金属系接合材に熱処理を施す熱処理工程と、を備え、前記金属粒子の粒子径D10が5μm以上、粒子径D90が50μm以下であることを特徴とする。なお、粒子径の値は、レーザー回折式粒度分測定装置によるものである。
【0009】
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、金属系接合材に含まれる金属粒子の粒子径を上記の数値範囲とすることで、熱処理工程において本体部に発生する応力を低減し、本体部の破損の発生を低減できることを見出した。
【0010】
本発明に係る蓋部材の製造方法において、前記金属粒子は、Au-Sn合金を含んでもよい。
【0011】
本発明に係る蓋部材の製造方法は、前記塗布工程の前に、前記本体部の前記表面に金属層を形成する金属層形成工程を備えることが好ましく、前記塗布工程では、前記金属層に重なるように前記金属系接合材を塗布してもよい。前記本体部の前記表面に金属層を形成することで、ペースト状の金属系接合材の濡れ性が改善され、蓋部材に良好な接合部を形成し易くなる。
【0012】
本発明に係る蓋部材の製造方法において、前記本体部は、石英又は石英ガラスにより構成されてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、パッケージに使用される蓋部材の破損を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図3】
図2のIII-III矢視線に係る基体の断面図である。
【
図5】
図4のV-V矢視線に係る蓋部材の断面図である。
【
図7】蓋部材の製造方法を示すフローチャートである。
【
図8】蓋部材の製造方法における一工程を示す平面図である。
【
図9】蓋部材の製造方法における一工程を示す平面図である。
【
図10】パッケージの製造方法における一工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1は、パッケージの一例を示す。パッケージ1は、基体2と、基体2に収容される電子部品3と、基体2及び電子部品3を覆う蓋部材4と、基体2と蓋部材4とを気密に接合する封止部5と、を備える。
【0017】
図2及び
図3は、蓋部材4が接合される前の基体2を示す。基体2は、電子部品3を収容する凹部2aと、封止部5によって蓋部材4と接合される端面2bと、端面2bに形成される金属層6とを有する。
【0018】
基体2の材質としては、例えば、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等のセラミックス、これらセラミックスとガラス粉末が混合焼結されて成るガラスセラミックス、Fe-Ni-Co合金、Cu-W合金、Kovar(登録商標)等の合金等が挙げられる。
【0019】
図2に示すように、金属層6は、凹部2aの開口部を囲む枠形状を有する。金属層6は、四角形状とされているが、この形状に限定されるものではない。例えば凹部2aの開口部が円形である場合、金属層6は、凹部2aの形状に対応するように、円形状に構成されてもよい。
【0020】
金属層6は、端面2b側から順に下地層、中間層、及び表層の三層を含む。下地層に用いられる金属としては、例えば、Cr、Ta、W、Ti、Mo、Ni、Pt等が挙げられる。中間層に用いられる金属としては、例えば、Ni、Pt、Pd等が挙げられる。表層に用いられる金属としては、例えば、Au、Sn、Ag、Ni、Pt等が挙げられる。金属層6に用いられる金属は、単体であってもよいし、合金であってもよい。
【0021】
金属層6を基体2の端面2bに形成する方法としては、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンアシスト又はイオンプレーティングを用いた真空蒸着法、及びCVD法等の成膜法が挙げられる。
【0022】
電子部品3は、基体2における凹部2aの底面に固定されている。電子部品3の例としては、レーザーモジュール、LED光源、光センサ、撮像素子、光スイッチ等の光学デバイスが挙げられる。電子部品3は、振動センサ、加速度センサ等であってもよい。本実施形態では、電子部品3が紫外線照射用LEDである場合を一例として説明する。
【0023】
図4乃至
図6は、基体2に接合される前の蓋部材4を示す。蓋部材4は、本体部7と、本体部7の一部に形成される金属層8と、接合部9と、を備える。
【0024】
本体部7は、光透過性を有する基板により構成される。具体的には、本体部7は、石英基板、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノシリケートガラスその他の各種ガラスを含むガラス基板、サファイア基板、樹脂基板等により構成される。本実施形態では、高い紫外線透過性を有する石英基板又は石英ガラス基板が本体部7に用いられる場合について説明する。
【0025】
本体部7の厚さは、0.1mm以上1mm以下の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.2mm以上0.5mm以下の範囲内である。本体部7の熱膨張係数は、接合部9の熱膨張係数よりも小さい。本体部7の熱膨張係数は、基体2の熱膨張係数よりも小さい。
【0026】
図1、
図4及び
図5に示すように、本体部7の表面は、第一主面7aと、第一主面7aの反対側に位置する第二主面7bと、を含む。第一主面7a及び第二主面7bは、基体2の凹部2aの開口面積よりも大きな面積を有する。
【0027】
図4及び
図5に示すように、金属層8は、本体部7の第一主面7aに形成されている。金属層8は、基体2の金属層6の形状に対応するように、四角形の枠形状を有する。金属層8の形状は本実施形態に限定されない。金属層8は、円形状その他の各種枠形状を有してもよい。
【0028】
図6に示すように、金属層8は、本体部7の第一主面7a側から順に、下地層10、中間層11、及び表層12の三層を含む。
【0029】
下地層10に用いられる金属としては、例えば、Cr、Ta、W、Ti、Mo、Ni、Pt等が挙げられる。中間層11に用いられる金属としては、例えば、Ni、Pt、Pd等が挙げられる。表層12に用いられる金属としては、例えば、Au、Sn、Ag、Ni、Pt等が挙げられる。金属層8に用いられる金属は、単体であってもよいし、合金であってもよい。
【0030】
下地層10の厚さは、0.01μm以上0.3μm以下であることが好ましい。中間層11の厚さは、0.3μm以上3μm以下であることが好ましい。表層12の厚さは、0.1μm以上1μm以下であることが好ましい。
【0031】
図4に示すように、接合部9は、金属層8の形状に対応するように、四角形の枠形状を有する。接合部9の形状は本実施形態に限定されず、円形その他の各種枠形状であってもよい。
図6に示すように、接合部9は、金属層8の表層12に重なるように層状に構成される。
【0032】
接合部9は、金属系接合材により構成される。金属系接合材としては、半田材やろう材として市販されるものを用いることができる。金属系接合材としては、例えば、Au-Sn合金、Pb-Sn合金、Au-Ge合金等が挙げられる。本実施形態では、金属系接合材としてAu-Sn合金が使用される場合について説明する。Au-Sn合金の金属系接合材については、質量%で、Auを10%以上80%以下、Snを20%以上90%以下の範囲で含有することが好ましい。
【0033】
接合部9の厚さは、例えば、5μm以上50μm以下、好ましくは10μm以上40μm以下、より好ましくは15μm以上25μm以下である。
【0034】
封止部5は、基体2の金属層6と蓋部材4の金属層8とを接合部9で一体に接合することにより形成される。
【0035】
以下、蓋部材4の製造方法について説明する。
図7に示すように、蓋部材4の製造方法は、準備工程S1と、金属層形成工程S2と、接合部形成工程S3と、切断工程S4とを備える。
【0036】
図8に示すように、準備工程S1では、蓋部材4を複数形成することが可能な大型の基板13が用意される。本実施形態では、4枚の蓋部材4(本体部7)を形成することが可能な基板13を例示するが、基板13の大きさは本実施形態に限定されない。基板13は、蓋部材4の本体部7の母材であり、本体部7と同じ材料により構成される。このため、基板13は、複数の本体部7が一体に構成されたものと見做すことができる。
【0037】
図8に示すように、金属層形成工程S2では、基板13の一方の面13a(本体部7の第一主面7aに相当)に複数の金属層8が形成される。各金属層8は所定の間隔をおいて形成される。金属層8を形成する方法としては、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンアシスト又はイオンプレーティングを用いた真空蒸着法、及びCVD法の成膜法が挙げられる。
【0038】
図9に示すように、接合部形成工程S3では、金属層8に重なるように、接合部9が形成される。接合部形成工程S3は、金属系接合材を金属層8に重なるように塗布する塗布工程と、塗布工程後に、金属系接合材に熱処理を施す熱処理工程とを備える。
【0039】
金属系接合材を構成する金属粒子の粒子径D10は、5μm以上、好ましくは8μm以上、より好ましくは10μm以上、更に好ましくは12μm以上、特に好ましくは16μm以上である。粒子径D90は、50μm以下、好ましくは45μm以下、より好ましくは40μm以下、更に好ましくは35μm以下、特に好ましくは32μm以下である。ここで、粒子径D10とは、これ以下の粒子の比率が10%である粒子径を指し、粒子径D90とは、これ以下の粒子の比率が90%である粒子径を指す。
【0040】
金属粒子の粒子径D10を上記のように規制すれば、塗布工程の段階で、蓋部材の単位面積当たりに接触する金属粒子の数を少なくできる。その結果、熱処理工程において、金属粒子の溶融により形成される接合部と、蓋部材との接触する面積(接合部が、金属層を介して蓋接合部と接する場合は、接合部と金属層の接触面積)が低減する。その結果、接合部と蓋部材の熱膨張係数の違いの影響を低減でき、蓋部材に破損が発生する虞を低減できる。また、金属粒子の粒子径D90を上記のように規制すれば、熱処理工程で金属粒子が十分に溶融し、金属粒子の溶け残りを回避することが容易になり、形成後の接合部自身の強度が向上する。
【0041】
塗布工程では、例えばペースト状の金属系接合材を金属層8に重なるように、四角形の枠状に塗布する。ペースト状の金属系接合材は、An-Sn合金からなる金属粒子を含むことが好ましい。
【0042】
塗布工程の具体例としては、マスクを用いた印刷法(スクリーン印刷法)、ディスペンサを用いた塗布法等が挙げられる。
【0043】
熱処理工程は、加熱工程と、冷却工程とを備える。加熱工程では、本体部7をリフロー炉等の加熱装置を用いて加熱することで、金属系接合材を溶融させることができる。加熱工程は、例えば炉内に窒素を充填した状態で実施してもよい。加熱工程において、本体部7の金属製接合材は、300℃以上の温度に加熱されることで溶融した状態となる。
【0044】
本体部7の第一主面7a上で溶融した金属系接合材は、冷却工程において冷却されることで固化する。冷却工程は、150℃以上300℃以下の温度範囲、2分間以上30分間以下の時間の条件で温度を維持する徐冷を含むことが好ましい。
【0045】
冷却工程において、本体部7と接合部9との熱膨張係数の差により、本体部7に応力が発生することとなるが、前述の通り、接合部9に係る金属系接合材に含まれる金属粒子(例えばAu-Sn合金の粒子)の粒子径D10を5μm以上とすることで、この応力を緩和することができる。また、粒子径D90を50μm以下とすることで、熱処理工程において、金属粒子が十分に溶融し、金属粒子の溶け残りを回避することが容易になり、形成後の接合部自身の強度が向上する。
【0046】
以上により、複数の金属層8及び複数の接合部9が積層されてなるパッケージ用基板13が完成する。切断工程S4において、この基板13は、切断刃や、レーザー等を用いた公知の切断法により、
図9に示す切断予定線CLに沿って切断される。これにより、複数の蓋部材4が製造される。
【0047】
次に、パッケージ1の製造方法について説明する。本方法は、上記のように製造された蓋部材4を基体2の端面2bに接合する接合工程を備える。
【0048】
図10に示すように、接合工程では、蓋部材4が基体2に重ねられる。具体的には、蓋部材4の本体部7の第一主面7aを基体2に対向させ、接合部9を基体2の端面2bの金属層6に接触させる。その後、金属層6と接合部9とを圧接させた状態で加熱する(加熱工程)。これにより、接合部9の金属系接合材が溶融した状態となる。その後、溶融した金属系接合材を冷却することにより固化させる(冷却工程)。
【0049】
冷却工程が終了すると、接合部9が基体2の金属層6と本体部7の金属層8とを一体に接合してなる封止部5が形成される。以上により、基体2の凹部2aの気密性が保たれたパッケージ1が完成する。
【0050】
以上説明した本実施形態に係る蓋部材4の製造方法によれば、ペースト状の金属系接合材における金属粒子の粒子径D10を5μm以上、粒子径D90を50μm以下とすることで、接合部形成工程S3における冷却工程時に蓋部材4に発生する応力を緩和することができる。これにより、本体部7の破損を低減することができる。
【0051】
蓋部材4の本体部7に石英基板又は石英ガラス基板を用いた場合には、接合部9と本体部7との熱膨張係数の差が顕著に大きくなる。この場合であっても、本体部7に発生する応力を可及的に低減することで、本体部7の破損を低減することが可能である。
【0052】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、上記した作用効果に限定されるものでもない。本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0053】
上記の実施形態では、複数の蓋部材4を製造することが可能な基板13に複数の金属層8及び接合部9を形成する工程を示したが、本発明はこの構成に限定されない。本発明は、基板13を切断することによって複数の本体部7を形成した後に、各本体部7に金属層8及び接合部9を形成してもよい。
【0054】
上記の実施形態では、基板13を切断予定線CLに沿って切断する切断工程S4を例示したが、本発明はこの構成に限定されない。例えば複数の金属層8及び接合部9が形成された基板13を切断することなく蓋部材4として使用してもよい。この場合、基板13自体がこの蓋部材4の本体部7となる。この蓋部材4を複数の凹部2aを有する基体2に接合することで、複数の電子部品3を備えるパッケージを製造することができる。このパッケージは、接合工程後に、複数の電子部品を個別に分割するように切断されてもよい。
【実施例0055】
以下、本発明に係る実施例について説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0056】
本発明者は、本発明の効果を確認するための試験を行った。試験では、実施例に係る蓋部材と、比較例に係る蓋部材とを作製し、その本体部に割れ等の破損が発生するか否かを確認した。
【0057】
蓋部材は、本体部を厚さ0.5mmの石英ガラス基板とした。石英ガラス基板の一方の表面に金属層及び接合部を積層した。石英ガラス基板には、3層の金属層及び接合部を形成した。
【0058】
金属層については、下地層をCrとし、中間層をNiとし、表層をAuとした。金属層及び接合部は、いずれも四角形の枠形状に構成した。金属層の一辺の長さは400μmであった。接合部の一辺の長さは320μmであった。金属層の厚みは、1.25μm(下地層:0.1μm、中間層:0.85μm、表層:0.3μm)であった。接合部の厚みは、30μmであった。
【0059】
実施例及び比較例に係る接合部は、以下の方法により形成した。まず、Au-Sn合金の金属粒子を含むペースト状の接合材を金属層に重なるように塗布した。実施例1の接合材は、金属粒子の粒子径D10を11μm、粒子径D90を42μmとした。実施例2の接合材は、金属粒子の粒子径D10を17μm、粒子径D90を30μmとした。比較例1の接合材は、金属粒子の粒子径D10を3μm、粒子径D90を48μmとした。比較例2の接合材は、金属粒子の粒子径D10を2μm、粒子径D90を83μmとした。
【0060】
次に実施例1、2と比較例1、2の金属粒子を含むペーストが塗布された各石英ガラス基板を各100個作製し、リフロー炉で300℃まで加熱した。加熱後、石英ガラス基板を室温まで冷却した。冷却後、石英ガラス基板において、接合部が形成された部位に割れ等の破損が発生しているか否かを、石英ガラス基板側から、光学顕微鏡(100倍)で確認した。
【0061】
この試験の結果、実施例1の蓋部材における破損の発生率は、1%であった。また、実施例2の蓋部材における破損の発生率は、0%であった。一方、比較例1の蓋部材における破損の発生率は、7%であった。また、比較例2の蓋部材における破損の発生率は、9%であり、金属接合材には、金属粒子の溶け残りが確認できた。
【0062】
実施例1、2に係る金属系接合材は、比較例1、2よりも大きな粒径の金属粒子を含む。このため、金属系接合材を金属層に塗布した場合に、金属層(表層)に対する金属粒子の接触面積を低減することが可能となる。この場合において、金属接合材は、加熱工程によって金属粒子が溶融した後であっても低接触面積を維持する。このように、金属系接合材の金属粒子と金属層との接触面積を低減することで、冷却工程において本体部(石英ガラス基板)に発生する応力を緩和することが可能になると推察される。