(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022073904
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】車両の統合熱管理システム
(51)【国際特許分類】
B60H 1/22 20060101AFI20220510BHJP
【FI】
B60H1/22 651A
B60H1/22 671
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021071081
(22)【出願日】2021-04-20
(31)【優先権主張番号】10-2020-0144396
(32)【優先日】2020-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 卓
(72)【発明者】
【氏名】キム、キモク
(72)【発明者】
【氏名】オー、マンジュ
(72)【発明者】
【氏名】ユン、ヒョンクン
(72)【発明者】
【氏名】ベ、ヒョチャン
(72)【発明者】
【氏名】イ、サンシン
【テーマコード(参考)】
3L211
【Fターム(参考)】
3L211AA12
3L211AA13
3L211BA04
3L211BA22
3L211BA23
3L211CA16
3L211CA18
3L211CA19
3L211DA26
3L211DA28
3L211DA29
(57)【要約】
【課題】電子駆動部、高電圧バッテリー及び室内空間の効果的な空調が独立的に制御可能であり、統合的な熱管理によって車両の全体的なエネルギー効率を上昇させることができるようにする車両の統合熱管理システムを提供する。
【解決手段】第1冷却ラインと、第2冷却ラインと、冷媒ラインと、第2冷却ラインから分岐されてチラーに連結されることにより、第2ラジエーターをバイパスして高電圧バッテリーとチラーとの間で冷却水が循環するようにするバイパスラインとを含む車両の統合熱管理システムを提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子駆動部と第1ラジエーターとの間で冷却水が循環するようにする第1冷却ラインと、
高電圧バッテリーと第2ラジエーターとの間で冷却水が循環するようにする第2冷却ラインと、
圧縮機、室内空調装置の内部コンデンサー及び車両外部の室外コンデンサーの順に冷媒が流れるようにし、室外コンデンサーから吐き出された冷媒が室内空調装置の蒸発器又はチラーを通過してから圧縮機に流入するようにする冷媒ラインと、
第2冷却ラインから分岐されてチラーに連結されることにより、第2ラジエーターをバイパスして高電圧バッテリーとチラーとの間で冷却水が循環するようにするバイパスラインと、を含む、車両の統合熱管理システム。
【請求項2】
チラーの冷媒入口には第1膨張バルブが設けられ、蒸発器の冷媒入口には第2膨張バルブが設けられることを特徴とする、請求項1に記載の車両の統合熱管理システム。
【請求項3】
第2冷却ラインには、高電圧バッテリーの下流地点に水加熱ヒーターが設けられることを特徴とする、請求項1に記載の車両の統合熱管理システム。
【請求項4】
第1冷却ラインと第2冷却ラインは統合レザボアに一緒に連結され、一部の冷却水が混合されることを特徴とする、請求項1に記載の車両の統合熱管理システム。
【請求項5】
第1ラジエーターと第2ラジエーターは互いに結合されて一体型に構成されることを特徴とする、請求項1に記載の車両の統合熱管理システム。
【請求項6】
室内空調装置では内部コンデンサーを通過した空気が電気ヒーターを通過することを特徴とする、請求項1に記載の車両の統合熱管理システム。
【請求項7】
冷媒ラインには、室外コンデンサーをバイパスする補助ラインが連結されることを特徴とする、請求項1に記載の車両の統合熱管理システム。
【請求項8】
ヒートポンプモードで室外コンデンサーの着霜の際には、冷媒ラインの冷媒が補助ラインを通して室外コンデンサーをバイパスしてチラーに流れることを特徴とする、請求項7に記載の車両の統合熱管理システム。
【請求項9】
冷媒ラインには、内部コンデンサーを流れた冷媒が分岐されて室外コンデンサーをバイパスして蒸発器に流入するようにする除湿ラインが連結されることを特徴とする、請求項1に記載の車両の統合熱管理システム。
【請求項10】
冷媒ラインには除湿ラインの分岐点の上流地点に第3膨張バルブが設けられ、除湿モードでは第3膨張バルブによって膨張した冷媒がチラーに供給されると同時に除湿ラインを通して蒸発器に供給され、チラーと蒸発器を通過した冷媒が合流して圧縮機と内部コンデンサーに供給されることを特徴とする、請求項9に記載の車両の統合熱管理システム。
【請求項11】
冷媒ラインには、内部コンデンサーを流れた冷媒が分岐されて室外コンデンサーをバイパスし、蒸発器又はチラーに連結される補助ライン、及び室外コンデンサーをバイパスし、蒸発器に流入するようにする除湿ラインが連結されることを特徴とする、請求項1に記載の車両の統合熱管理システム。
【請求項12】
第1冷却ラインには第1ポンプが設けられ、第2冷却ラインには第2ポンプが設けられることを特徴とする、請求項1に記載の車両の統合熱管理システム。
【請求項13】
第2冷却ラインとバイパスラインの分岐地点には3方バルブが設けられ、第2ポンプは3方バルブと高電圧バッテリーとの間に設けられることを特徴とする、請求項12に記載の車両の統合熱管理システム。
【請求項14】
第1ポンプ、第2ポンプ、3方バルブ及びチラーは互いに結合されてモジュールが構成されることを特徴とする、請求項13に記載の車両の統合熱管理システム。
【請求項15】
第1冷却ラインと第2冷却ラインは統合レザボアに一緒に連結されて一部の冷却水が混合され、統合レザボアは第1ポンプ、第2ポンプ、3方バルブ及びチラーと結合されてモジュールが構成されることを特徴とする、請求項13に記載の車両の統合熱管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子駆動部、高電圧バッテリー及び室内空間の効果的な空調が独立的に制御可能であり、統合的な熱管理によって車両の全体的なエネルギー効率を上昇させることができるようにする車両の統合熱管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、環境に優しい自動車の普及拡大政策と優れた燃費の車両の選好が結合して電気車などの環境に優しい自動車の登録台数が増加している趨勢である。環境に優しい自動車の一つである電気自動車又は燃料電池自動車は石油燃料とエンジンを使わず、電気バッテリーと電気モーターを使って運行する自動車である。電気自動車は、高電圧バッテリーに蓄積された電力によってモーターが回転して自動車を駆動させるシステムを有しているので、有害物質の排出がなく、騷音が小さく、エネルギー効率が高い利点がある。
【0003】
既存のエンジン動力を使う自動車の場合、エンジンの廃熱を用いて車内暖房システムを稼動したが、電気自動車はエンジンがないので、電気を使ってヒーターを稼動するシステムを有している。したがって、電気自動車は暖房の際に走行距離が大きく減少する問題点がある。
【0004】
また、バッテリーモジュールは最適の温度環境で使うときに最適の性能と長い寿命を維持することができる。しかし、駆動中に発生する熱と外部の温度変化によって最適の温度環境で使いにくい実情である。
【0005】
このような問題点を解決するために、電気自動車の空調システムと熱管理システムを有機的に結合する方案が活発に論議されている実情である。
【0006】
前記背景技術として説明した事項は本発明の背景に対する理解増進のためのものであるだけで、当該技術分野で通常の知識を有する者に既に知られた従来技術に相当することを認めるものとして受け入れてはいけないであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国特許登録第10-1558611B1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこのような問題点を解決するために提案されたもので、電子駆動部、高電圧バッテリー及び室内空間の効果的な空調が独立的に制御可能であり、統合的な熱管理によって車両の全体的なエネルギー効率を上昇させることができるようにする車両の統合熱管理システムを提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するための本発明による車両の統合熱管理システムは、電子駆動部と第1ラジエーターとの間で冷却水が循環するようにする第1冷却ラインと、高電圧バッテリーと第2ラジエーターとの間で冷却水が循環するようにする第2冷却ラインと、圧縮機、室内空調装置の内部コンデンサー及び車両外部の室外コンデンサーの順に冷媒が流れるようにし、室外コンデンサーから吐き出された冷媒が室内空調装置の蒸発器又はチラーを通過してから圧縮機に流入するようにする冷媒ラインと、第2冷却ラインから分岐されてチラーに連結されることにより、第2ラジエーターをバイパスして高電圧バッテリーとチラーとの間で冷却水が循環するようにするバイパスラインとを含む。
【0010】
チラーの冷媒入口には第1膨張バルブが設けられ、蒸発器の冷媒入口には第2膨張バルブが設けられることができる。
【0011】
第2冷却ラインには、高電圧バッテリーの下流地点に水加熱ヒーターが設けられることができる。
【0012】
第1冷却ラインと第2冷却ラインは統合レザボアに一緒に連結され、一部の冷却水が混合されることができる。
【0013】
第1ラジエーターと第2ラジエーターは互いに結合されて一体型に構成されることができる。
【0014】
室内空調装置では内部コンデンサーを通過した空気が電気ヒーターを通過することができる。
【0015】
冷媒ラインには、室外コンデンサーをバイパスする補助ラインが連結されることができる。
【0016】
ヒートポンプモードで室外コンデンサーの着霜の際には、冷媒ラインの冷媒が補助ラインを通して室外コンデンサーをバイパスしてチラーに流れることができる。
【0017】
冷媒ラインには、内部コンデンサーを流れた冷媒が分岐されて室外コンデンサーをバイパスして蒸発器に流入するようにする除湿ラインが連結されることができる。
【0018】
冷媒ラインには除湿ラインの分岐点の上流地点に第3膨張バルブが設けられ、除湿モードでは第3膨張バルブによって膨張した冷媒がチラーに供給されると同時に除湿ラインを通して蒸発器に供給され、チラーと蒸発器を通過した冷媒が合流して圧縮機と内部コンデンサーに供給されることができる。
【0019】
冷媒ラインには、内部コンデンサーを流れた冷媒が分岐されて室外コンデンサーをバイパスし、蒸発器又はチラーに連結される補助ライン、及び室外コンデンサーをバイパスし、蒸発器に流入するようにする除湿ラインが連結されることができる。
【0020】
第1冷却ラインには第1ポンプが設けられ、第2冷却ラインには第2ポンプが設けられることができる。
【0021】
第2冷却ラインとバイパスラインの分岐地点には3方バルブが設けられ、第2ポンプは3方バルブと高電圧バッテリーとの間に設けられることができる。
【0022】
第1ポンプ、第2ポンプ、3方バルブ及びチラーは互いに結合されてモジュールが構成されることができる。
【0023】
第1冷却ラインと第2冷却ラインは統合レザボアに一緒に連結されて一部の冷却水が混合され、統合レザボアは第1ポンプ、第2ポンプ、3方バルブ及びチラーと結合されてモジュールが構成されることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の車両の統合熱管理システムによれば、電子駆動部、高電圧バッテリー及び室内空間の効果的な空調が独立的に制御可能であり、統合的な熱管理によって車両の全体的なエネルギー効率を上昇させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施例による車両の統合熱管理システムのモード別動作を示す図である。
【
図2】本発明の一実施例による車両の統合熱管理システムのモード別動作を示す図である。
【
図3】本発明の一実施例による車両の統合熱管理システムのモード別動作を示す図である。
【
図4】本発明の一実施例による車両の統合熱管理システムのモード別動作を示す図である。
【
図5】本発明の一実施例による車両の統合熱管理システムのモード別動作を示す図である。
【
図6】本発明の一実施例による車両の統合熱管理システムのモード別動作を示す図である。
【
図7】本発明の一実施例による車両の統合熱管理システムのモード別動作を示す図である。
【
図8】本発明の一実施例による車両の統合熱管理システムのモード別動作を示す図である。
【
図9】本発明の一実施例による車両の統合熱管理システムのモード別動作を示す図である。
【
図10】本発明の一実施例による車両の統合熱管理システムのモード別動作を示す図である。
【
図11】本発明の一実施例による車両の統合熱管理システムのモード別動作を示す図である。
【
図12】本発明の一実施例による車両の統合熱管理システムのモード別動作を示す図である。
【
図13】本発明の一実施例による車両の統合熱管理システムのモード別動作を示す図である。
【
図14】本発明の一実施例による車両の統合熱管理システムのモード別動作を示す図である。
【
図15】本発明の一実施例による車両の統合熱管理システムのモード別動作を示す図である。
【
図16】本発明の他の実施例による車両の統合熱管理システムのモード別動作を示す図である。
【
図17】本発明の他の実施例による車両の統合熱管理システムのモード別動作を示す図である。
【
図18】本発明の他の実施例による車両の統合熱管理システムのモード別動作を示す図である。
【
図19】本発明の他の実施例による車両の統合熱管理システムのモード別動作を示す図である。
【
図20】本発明の他の実施例による車両の統合熱管理システムのモード別動作を示す図である。
【
図21】本発明の他の実施例による車両の統合熱管理システムのモード別動作を示す図である。
【
図22】本発明の他の実施例による車両の統合熱管理システムのモード別動作を示す図である。
【
図23】本発明の他の実施例による車両の統合熱管理システムのモード別動作を示す図である。
【
図24】本発明の他の実施例による車両の統合熱管理システムのモード別動作を示す図である。
【
図25】本発明の他の実施例による車両の統合熱管理システムのモード別動作を示す図である。
【
図26】本発明の他の実施例による車両の統合熱管理システムのモード別動作を示す図である。
【
図27】本発明の他の実施例による車両の統合熱管理システムのモード別動作を示す図である。
【
図28】本発明の他の実施例による車両の統合熱管理システムのモード別動作を示す図である。
【
図29】本発明の他の実施例による車両の統合熱管理システムのモード別動作を示す図である。
【
図30】本発明の他の実施例による車両の統合熱管理システムのモード別動作を示す図である。
【
図31】本発明の他の実施例による車両の統合熱管理システムのモード別動作を示す図である。
【
図32】本発明の他の実施例による車両の統合熱管理システムのモード別動作を示す図である。
【
図33】本発明の他の実施例による車両の統合熱管理システムのモード別動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1~
図15は本発明の一実施例による車両の統合熱管理システムのモード別動作を示す図、
図16~
図33は本発明の他の実施例による車両の統合熱管理システムのモード別動作を示す図である。
【0027】
まず、
図1~
図15は本発明の一実施例による車両の統合熱管理システムのモード別動作を示す図であり、この場合はヒートポンプの原理を使わない場合に相当する。
【0028】
本発明による車両の統合熱管理システムは、電気自動車又は燃料電池自動車などのバッテリーとモーターによって駆動される車両に適用可能である。本発明の統合熱管理システムは、モーター、インバーター、コンバーターなどから構成される電子駆動部の冷却と高電圧バッテリーの冷暖房及び室内空調装置の冷暖房を遂行することができる。
【0029】
具体的に、本発明の統合熱管理システムは、電子駆動部120と第1ラジエーター100との間で冷却水が循環するようにする第1冷却ライン10と、高電圧バッテリー220と第2ラジエーター200との間で冷却水が循環するようにする第2冷却ライン20と、圧縮機330、室内空調装置Hの内部コンデンサー340及び車両外部の室外コンデンサー300の順に冷媒が流れるようにし、室外コンデンサー300から吐き出された冷媒が室内空調装置Hの蒸発器310又はチラーCを通過してから圧縮機330に流入するようにする冷媒ライン30と、第2冷却ライン20から分岐されてチラーCに連結されることにより、第2ラジエーター200をバイパスして高電圧バッテリー220とチラーCとの間で冷却水が循環するようにするバイパスライン25とを含む。
【0030】
第1冷却ライン10は電子駆動部120と第1ラジエーター100との間で冷却水が循環するようにする。電子駆動部120は高温の条件でも比較的安定的であるから冷却水の循環のみでも必要な冷却を具現することができる。第2冷却ライン20は高電圧バッテリー220と第2ラジエーター200との間で冷却水が循環するようにする。高電圧バッテリー220がマイルドな条件の冷却が必要な場合には、まずこのように冷却水によって冷却を遂行する。一方、バイパスライン25が第2冷却ライン20から分岐されてチラーCに連結されることにより、第2ラジエーター200をバイパスして高電圧バッテリー220とチラーCとの間で冷却水が循環するようにすることも可能である。
【0031】
このような冷却ラインの循環のために、第1冷却ライン10には第1ポンプ110が設けられ、第2冷却ライン20には第2ポンプ210が設けられることができる。そして、第2冷却ライン20とバイパスライン25の分岐地点には3方バルブV1が設けられ、第2ポンプ210は3方バルブV1と高電圧バッテリー220との間に設けられることができる。3方バルブV1の動作によって冷却水は高電圧バッテリー220と第2ラジエーター200との間で循環することもでき、高電圧バッテリー220とチラーCとの間で循環することもできる。高電圧バッテリー220がマイルドな冷却が必要な場合には、第2ラジエーター200によって冷却し、高い冷却が要求される場合には、チラーCによって冷却を遂行するものである。
【0032】
このような第1ポンプ110、第2ポンプ210、3方バルブV1及びチラーCは互いに結合されてモジュールが構成されることができる。そして、第1冷却ライン10と第2冷却ライン20は統合レザボアRに一緒に連結されて一部の冷却水が混合され、統合レザボアRは、第1ポンプ110、第2ポンプ210、3方バルブV1及びチラーCが結合されてモジュールを構成することができる。統合レザボアRの場合、電子駆動部120の冷却水と高電圧バッテリー220の冷却水の管理温度が互いに異なるから、内部で隔壁などによって区別して分離保管する必要がある。ただ、冷却水の補充又はその他の場合、一部の混合も可能である。そして、第2冷却ライン20には高電圧バッテリー220の下流地点に水加熱ヒーター230が設けられ、高電圧バッテリー220の高い加熱が必要な場合には水加熱ヒーター230を稼動する。
【0033】
そして、第1ラジエーター100と第2ラジエーター200は互いに結合して一体型に構成されることができる。すなわち、それぞれのラジエーターは別途の独立した流路を有しており、互いに熱交換しないように断熱材などを備えた状態で締結されて一体に構成されることができる。これにより、よりコンパクトなレイアウトを具現することができる。
【0034】
一方、冷媒ライン30は、圧縮機330、室内空調装置Hの内部コンデンサー340及び車両外部の室外コンデンサー300の順に冷媒が流れるようにする。室外コンデンサー300から吐き出された冷媒は室内空調装置Hの蒸発器310又はチラーCを選択的に又は同時に全部通過してから合流し、アキュムレーター320を通して圧縮機330に流入するようにする。
【0035】
そして、チラーCの冷媒入口には第1膨張バルブX1が設けられ、蒸発器310の冷媒入口には第2膨張バルブX2が設けられることができる。これにより、それぞれ冷媒の膨張と蒸発を可能にする。
【0036】
一方、室内空調装置Hでは内部コンデンサー340を通過した空気が電気ヒーターH10を通過することができる。これにより、車両室内の独立的な暖房が可能である。
【0037】
図1~
図15は本発明の一実施例による車両の統合熱管理システムのモード別動作を示す図である。
図1は電子駆動部120を第1ラジエーター100によって冷却を遂行する場合である。
図2は電子駆動部120を第1ラジエーター100によって冷却し、高電圧バッテリー220は第2ラジエーター200によって冷却する場合である。
【0038】
図3は電子駆動部120を冷却し、高電圧バッテリー220はチラーCによって冷却する場合である。この場合、室内空調装置Hではブロアが稼動されないようにして、内部コンデンサー340の廃熱が室内に流入しないようにする。
【0039】
図4は電子駆動部120を冷却し、同時に室内を蒸発器310によって冷却する場合である。この場合、室内空調装置Hのブロアは駆動されるが、内部の温度調節ドアによって内部コンデンサー340には空気が通過しないようにすることにより、室内には冷たい空気のみ流入するようにする。もしくは、温度調節ドアによって温度をミキシングして吐き出すことも可能であろう。この場合には、第1膨張バルブX1を閉鎖し、冷媒が蒸発器310にのみ流入するようにする。
【0040】
図5は
図4の場合において高電圧バッテリー220を追加的に冷却する場合を示す。そして、
図6は高電圧バッテリー220をより強く冷却する場合で、チラーCによって冷却する場合を示す。この場合は、第1膨張バルブX1と第2膨張バルブX2の両方で膨張するようにする。
【0041】
図7は高電圧バッテリー220を冷却水で冷却する場合であり、
図8は高電圧バッテリー220をチラーCによってより強く冷却する場合である。この場合は、第2膨張バルブX2を閉鎖して、蒸発器310に冷媒が流入しないようにする。
【0042】
図9は室内のみを蒸発器310で冷房する場合であり、同様に内部コンデンサー340側には空気が通過することができないようにする。
図10は
図9の状態で高電圧バッテリー220を冷却水で同時に冷却する場合であり、
図11は室内と高電圧バッテリー220の両者を冷媒で冷却する場合を示す。
【0043】
図12は高電圧バッテリー220を水加熱ヒーター230によって暖房する場合であり、室内の場合には電気ヒーターH10によって別途に暖房が可能である。
【0044】
図13は除湿モードを示すものであり、冷媒が蒸発器310と内部コンデンサー340を全部通過し、空気が蒸発器310を通過しながら絶対湿度を低め、内部コンデンサー340を通過しながら加熱されて相対湿度を低めることによって乾燥された空気を室内に吐き出し、これにより室内の除湿を可能にするものである。
【0045】
一方、基本的には本実施例の場合はヒートポンプを使わないシステムであるが、場合によって
図14のように高電圧バッテリー220を急速充電する場合、高熱を活用して内部コンデンサー340によって室内を一時的に暖房することも可能であろう。そして、この場合、
図15のように除湿を同時に具現することも可能であろう。
【0046】
図16~
図33は本発明の他の実施例による車両の統合熱管理システムのモード別動作を示す図であり、この場合はヒートポンプの原理を使う回路を示す。
【0047】
当該実施例の場合には、冷媒ライン30には室外コンデンサー300をバイパスする補助ライン32が連結されることができる。これにより、ヒートポンプモードの使用の際に室外コンデンサー300が過度に冷却されて着霜する現象を防止することができる。したがって、ヒートポンプモードで室外コンデンサー300の着霜の際には、冷媒ライン30の冷媒が補助ライン32を通して室外コンデンサー300をバイパスしてチラーCに流れることができる。
【0048】
また、冷媒ライン30には、内部コンデンサー340を流れた冷媒が分岐されて室外コンデンサー300をバイパスして蒸発器310に流入するようにする除湿ライン34が連結されることができる。そして、冷媒ライン30には除湿ライン34の分岐点の上流地点に第3膨張バルブX3が設けられる。したがって、除湿モードでは第3膨張バルブX3によって膨張した冷媒がチラーCに供給され、同時に除湿ライン34を通して蒸発器310に供給され、チラーCと蒸発器310を通過した冷媒が合流して圧縮機330と内部コンデンサー340に供給されることができる。
【0049】
具体的に、
図16の場合は電子駆動部120を第1冷却ライン10によって冷却する場合を示す。この場合、第2バルブV2を制御して冷却水がチラーCではなくて電子駆動部120を流れるようにする。
図17は電子駆動部120を第1ラジエーター100によって冷却し、高電圧バッテリー220は第2ラジエーター200によって冷却する場合である。
【0050】
図18は電子駆動部120を冷却し、高電圧バッテリー220はチラーCによって冷却する場合である。この場合、室内空調装置Hではブロアが稼動しないようにして、内部コンデンサー340の廃熱が室内に流入しないようにする。そして、第2膨張バルブX2は閉鎖して、冷媒がチラーCにのみ流れるようにする。また、第3膨張バルブX3は全部開放して、膨張作用が起こらないようにし、膨張は第1膨張バルブX1のみで起こるようにして、チラーCで冷媒が蒸発するようにするものである。
【0051】
図19は電子駆動部120を冷却し、同時に室内を蒸発器310によって冷却する場合である。この場合、室内空調装置Hのブロアは駆動されるが内部の温度調節ドアによって内部コンデンサー340には空気が通過しないようにすることにより、室内には冷たい空気のみ流入するようにする。もしくは、温度調節ドアによって温度をミキシングして吐き出すことも可能であろう。この場合には、第1膨張バルブX1を閉鎖して、冷媒が蒸発器310にのみ流入するようにする。
【0052】
図20は
図19の場合において高電圧バッテリー220を追加的に冷却する場合を示す。そして、
図21は高電圧バッテリー220をより強く冷却する場合で、チラーCによって冷却する場合を示す。この場合は第1膨張バルブX1と第2膨張バルブX2の両方で膨張が起こるようにする。
【0053】
図22は高電圧バッテリー220を冷却水で冷却する場合であり、
図23は高電圧バッテリー220をチラーCによってより強く冷却する場合である。この場合は、第2膨張バルブX2を閉鎖して蒸発器310に冷媒が流入しないようにする。
【0054】
図24は室内のみを蒸発器310によって冷房する場合であり、同様に内部コンデンサー340側には空気が通過することができないようにする。
図25は
図24の状態で高電圧バッテリー220を冷却水で同時に冷却する場合であり、
図26は室内と高電圧バッテリー220の両者を冷媒で冷却する場合を示す。
【0055】
図27は室外の熱を室外コンデンサー300によって吸収し、これをヒートポンプの原理に適用して内部コンデンサー340によって室内を暖房する場合である。そして、
図28は高電圧バッテリー220の廃熱もチラーCによって吸収することにより、室内をより強く暖房する場合である。そして、
図29は室外と電子駆動部120の廃熱を全部活用して室内を暖房する場合である。そして、
図30は室外、高電圧バッテリー220、電子駆動部120の廃熱を全部活用して室内を暖房する場合である。このように、室外コンデンサー300を活用してヒートポンプの駆動によって暖房する場合には室外コンデンサー300で吸熱が必要であるので、第3膨張バルブX3では冷媒が膨張するようにする。
【0056】
一方、このような場合に室外コンデンサー300の過度な冷媒蒸発による着霜が発生する場合には、
図31のようにしばらく第3バルブV3を制御して室外コンデンサー300を補助ライン32を介してバイパスするようにすることにより、外部空気によって室外コンデンサー300の表面に凍結した氷が自然的に溶けるように誘導する。着霜が完了した場合には、また室外コンデンサー300を通過して外気によるヒートポンプの使用ができるようにする。追加的に、補助ライン32が設けられていない場合には、着霜が発生する場合、冷媒が室外コンデンサー300を通過するしかない。この場合には、第3膨張バルブX3を開放して膨張が起こらないようにし、その代わりに第1膨張バルブX1で膨張が起こるようにすることも可能であろう。
【0057】
図32は蒸発器310と内部コンデンサー340の両者を活用して除湿する場合である。この場合、内部コンデンサー340では室外コンデンサー300の吸熱を活用したヒートポンプの作動によって昇温されるようにする。この場合には、第4バルブV4又は第2膨張バルブX2又は第3バルブV3の制御によって蒸発器と室外コンデンサー300に流れる冷媒の量を分配することができる。そして、同様に着霜が発生する場合には、しばらく
図33のように制御することによって着霜を除去した後、また
図32のように除湿されるようにすることができる。
【0058】
本発明の車両の統合熱管理システムによれば、電子駆動部、高電圧バッテリー及び室内空間の効果的な空調が独立的に制御可能であり、統合的な熱管理によって車両の全体的なエネルギー効率を上昇させることができるようになる。
【0059】
本発明の特定の実施例について図示して説明したが、以下の特許請求範囲によって提供される本発明の技術的思想を逸脱しない範疇内で、本発明を多様に改良及び変化することができるというのは当該分野で通常の知識を有する者に明らかであろう。
【符号の説明】
【0060】
10 第1冷却ライン
20 第2冷却ライン
30 冷媒ライン
100 第1ラジエーター
200 第2ラジエーター
300 室外コンデンサー