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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022073914
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】微細気泡発生装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 23/20 20220101AFI20220510BHJP
   B01F 25/40 20220101ALI20220510BHJP
【FI】
B01F3/04 Z
B01F5/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083300
(22)【出願日】2021-05-17
(62)【分割の表示】P 2020183796の分割
【原出願日】2020-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】508200078
【氏名又は名称】オオノ開發株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】神野 浩
(72)【発明者】
【氏名】神野 太郎
【テーマコード(参考)】
4G035
【Fターム(参考)】
4G035AB04
4G035AC26
4G035AE17
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、微細気泡の発生効率を向上することができる微細気泡発生装置を得ることである。
【解決手段】本発明の微細気泡発生装置100は、微細気泡を発生する装置であって、液体Lに気体Gを混合して気液GLの旋回流を生成する気液生成部100aと、気液生成部100aで生成された気液GLを吐出する気液吐出部13と、気液吐出部13から吐出された気液の気泡を微細化する気泡微細化部100bとを備え、気泡微細化部100bは、気液吐出部13に対して隙間を介して対向配置されたバッフル板11と、バッフル板11を支持する軸部を有するバッフル板支持体12とを含み、気泡微細化部100bの内腔Cとバッフル板11との間に間隙Sが形成されており、バッフル板11は、中心に位置する中心貫通孔11aと、中心以外に位置する1以上の貫通孔11bとを有し、中心貫通孔11aにはバッフル支持体12の軸部12aが挿入されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本件明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体中に気体を導入して得られた気泡を微細化してマイクロバブル、ナノバブルなどの微細気泡を発生させる微細気泡を発生する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から液体と気体とを混合して気泡を含む液体(気液)を発生する気液発生装置が知られており、例えば、特許文献1にはこのような気液発生装置の一例として微細気泡発生装置が開示されている。
【0003】
特許文献1に開示の微細気泡発生装置は、円錐形状あるいは円錐台形状のスペースを含む容器を備えている。この微細気泡発生装置では、液体の旋回半径が徐々に小さくなるように液体を容器内で旋回させながら容器の一端側から他端側に移動させつつ、容器の一端側から液体の旋回中心に向けて空気を導入することにより、容器の他端側に形成されている気液出口から微細気泡を含む液体(気液)が排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4725707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に開示の微細気泡発生装置では、微細気泡の発生量がピーク状態になると、気液出口の近傍部分で容器内の液圧が容器外部の液圧より低くなって液体が逆流する。その結果、微細気泡の発生をピーク状態に持続させることができず、微細気泡の発生量がピーク状態よりも少ない状態で定常状態に落ち着くこととなり、微細気泡の発生を効果的に行うことができないという問題があった。
【0006】
本発明は、微細気泡の発生効率を向上することができる微細気泡発生装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の項目を提供する。
【0008】
(項目1)
微細気泡を発生する装置であって、
液体に気体を混合して気液の旋回流を生成する気液生成部と、
前記気液生成部で生成された気液を吐出する気液吐出部と、
前記気液吐出部から吐出された気液の気泡を微細化する気泡微細化部と
を備え、
前記気泡微細化部は、前記気液吐出部に対して隙間を介して対向配置されたバッフル板と、前記バッフル板を支持する軸部を有するバッフル板支持体とを含み、前記気泡微細化部の内腔と前記バッフル板との間に間隙が形成されており、
前記バッフル板は、中心に位置する中心貫通孔と、中心以外に位置する1以上の貫通孔とを有し、前記中心貫通孔には前記バッフル支持体の前記軸部が挿入されている、微細気泡発生装置。
【0009】
(項目2)
前記バッフル板は、前記気液吐出部から吐出される流量によって前記バッフル板支持体の前記軸方向に移動可能である、項目1に記載の微細気泡発生装置。
【0010】
(項目3)
前記バッフル板は略円板であり、前記1以上の貫通孔は、前記略円板の中心の周りに配置された複数の貫通孔である、項目1または2に記載の微細気泡発生装置。
【0011】
(項目4)
前記1以上の貫通孔の中心は、前記略円板の中心と外周縁との間の中心よりも前記中心側に位置にする、項目3に記載の微細気泡発生装置。
【0012】
(項目5)
前記1以上の貫通孔の形状は、略円形である、項目1~4のいずれか一項に記載の微細気泡発生装置。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、微細気泡の発生効率を向上することができる微細気泡を発生する装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の微細気泡発生装置10を説明するための概念図である。
図2A図2Aは、本発明の第1のタイプの微細気泡発生装置100を説明するための図である。
図2B図2Bは、本発明の第2のタイプの微細気泡発生装置200を説明するための図である。
図3図3は、本発明の微細気泡発生装置で用いられるバッフル板11を説明するための平面図である。
図4図4は、本発明の実施形態1による微細気泡発生装置1000を説明するための図である。
図5図5は、図4に示す微細気泡発生装置1000におけるバッフル板115およびバッフル板支持体12を含む気泡微細化部100bの要部を説明するための斜視図である。
図6図6は、図4に示す微細気泡発生装置1000を構成する部品を説明するための図である。
図7図7は、図4に示す微細気泡発生装置1000の動作を説明するための縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を説明する。本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
【0016】
本明細書において、「約」とは、後に続く数字の±10%の範囲内をいう。
【0017】
本発明の微細気泡発生装置は、微細気泡の発生効率を向上することができる微細気泡発生装置を得ることを課題とし、微細気泡を発生する装置であって、液体に気体を混合して気液の旋回流を生成する気液生成部と、気液生成部で生成された気液を吐出する気液吐出部と、気液吐出部から吐出された気液の気泡を微細化する気泡微細化部とを備え、気泡微細化部は、気液吐出部に対して隙間を介して対向配置されたバッフル板と、バッフル板を支持する軸部を有するバッフル板支持体とを含み、気泡微細化部の内腔とバッフル板との間に間隙が形成されており、バッフル板は、中心に位置する中心貫通孔と、中心以外に位置する1以上の貫通孔とを有し、中心貫通孔にはバッフル支持体の軸部が挿入されている、装置を提供することにより、上記の課題を解決したものである。
【0018】
図1は、本発明の微細気泡発生装置10を説明するための概念図である。
【0019】
本発明の装置10は、図1に示すように、少なくとも、気液の旋回流を生成する気液生成部100aと、生成された気液を吐出する気液吐出部13と、吐出された気液の気泡を微細化する気泡微細化部100bとを備え、気泡微細化部100bは、気液吐出部に対して隙間を介して対向配置されたバッフル板11と、バッフル板を支持する軸部12aを有するバッフル板支持体12とを含み、気泡微細化部100bの内腔Cとバッフル板11との間に間隙Sが形成されており、バッフル板11は、中心に位置する中心貫通孔11aと、中心以外に位置する1以上の貫通孔11bとを有し、中心貫通孔11aにはバッフル支持体12の軸部12aが挿入されているものであれば、その他の構成は、特に限定されるものではない。
【0020】
例えば、気液生成部は、気泡を含む液体である気液の旋回流を生成するものであれば、任意の形態であり得る。例えば、液体の旋回流を形成した状態で、液体の旋回流に気体を導入することにより気液の旋回流を生成するもの(第1のタイプの微細気泡発生装置)でもよいし、あるいは、液体と気体とを混合して得られた気液を旋回させることにより気液の旋回流を発生するもの(第2のタイプの微細気泡発生装置)でもよい。
【0021】
旋回流の生成方法も気液生成部内部に設けた旋回ファンの駆動により生成してもよいし、液流体が、吐出部に向かって螺旋状に旋回するように、断面視環状の接線方向に沿って液流体を導入するようにしてもよい。
【0022】
バッフル板11は、その略中心に形成された中心貫通孔11aと、その略中心の周りに形成された中心周りの貫通孔11bとを有するものであればよい。
【0023】
ここで、バッフル板11の略中心は、バッフル板11の重心の位置であり、バッフル板11が回転する場合はこの重心の位置を中心として回転する。
【0024】
中心貫通孔11aは、中心貫通孔11aにバッフル板支持体12の軸部12aが挿入されるためのものであり得る。中心貫通孔11aは、バッフル板11が軸部12aに対して位置が固定される程度大きさであってもよいし、バッフル板支持体12の中心軸Aに垂直な方向のバッフル板11の移動が一定範囲内に規制されるような大きさであってもよい。例えば、バッフル板11の中心貫通孔11aの大きさはバッフル板支持体12の軸部12aの外周よりも大きくなっており、バッフル板11は、気液吐出部13から吐出される気液の流量によって、バッフル板支持体12の中心軸Aの方向に移動可能であり、かつ、バッフル板支持体12の中心軸Aの方向に垂直な方向には、一定範囲内で移動可能であり得る。
【0025】
中心周り貫通孔11bは、バッフル板11の一方の面(バッフル板11の気液吐出部13とは反対側の面、例えば、上面)側と、その他方の面(バッフル板11の気液吐出部13側の面、例えば、下面)側で流体(例えば、気液)の圧力差が生じた場合に、気液がバッフル板11を通り抜けてバッフル板11の一方の面側から他方の面側へ移動するようにするための孔である。
【0026】
例えば、気泡微細化部100bでは、バッフル板11の下面側でその上面側より気液の圧力が低下した場合、気体吐出部13から吐出された気液がバッフル板11の外縁よりも外側を通ってバッフル板11の下面側から上面側に移動した流体の一部が、中心周り貫通孔11bを通ってバッフル板11の下面側に戻ることとなる。この場合、バッフル板11の下面側に戻った気液は、再度バッフル板11により乱されることとなり、気液の気泡のさらなる微細化が行われる。特に、旋回流である気液中の気泡サイズが小さいものは気泡微細部の内腔の外周側に集まるが、気泡サイズが大きいものは内腔の中心側に集まるため、そのような気泡サイズの大きいものが存在する気液は中心周りの貫通孔11bを通ってバッフル板11の下面側に戻ることとなる。気泡サイズの大きいものを効率的に下面側に戻すために、中心周りの貫通孔11bは、可能な限り内腔の中心側に設けることが好ましい。
【0027】
なお、中心貫通孔11aは、中心貫通孔11aにバッフル板支持体12の軸部12aが挿入された状態でも中心貫通孔11aとバッフル板支持体12の軸部12aとの間には隙間があるので、バッフル板11の上面側から下面側への気液の流路とはなっているが、中心貫通孔11aにはバッフル板支持体12が挿入されることから、中心貫通孔11aの開口の一部はバッフル板支持体12の軸部12aで塞がれている。このため、中心貫通孔11aの流路の断面積は、完全に開口している中心周り貫通孔11bに比べると著しく狭く、気液のさらなる微細化のためにバッフル板11の一方の面から他方の面へ向けて気液を通過させる通路は、実質的には、中心貫通孔11aではなく、中心周り貫通孔11bによって形成されている。
【0028】
なお、バッフル板11の材質は任意の材質であり得る。例えば、プラスチックであってもよいし、アルミ、鉄、ステンレスなどの金属であってもよい。バッフル板11の厚さおよび重さは限定されるものではなく、求められる気液GLの吐出量や微細気泡の大きさなどにより任意の厚さおよび重さに調整し得る。
【0029】
また、バッフル板11の形状は任意であり得る。例えば、外周形状は略円形、略三角形、略四角形、略多角形(五角形以上)であってもよい。
【0030】
また、バッフル板11の中心周りの貫通孔11bの形状も任意であり得る。例えば、外周形状は略円形、略三角形、略四角形、略多角形(五角形以上)であってもよい。
【0031】
また、中心周りの貫通孔11bの配置についても任意であり得る。複数設けられる貫通孔11bは中心貫通孔11a周りに均等に配置されていてもよいし、ランダムに配置されていてもよい。好ましくは、中心周りの貫通孔11bは、その中心がバッフル板11の中心と外周縁との間の中央よりもバッフル板11の中心側に配置される。このようにすることで、中心側に寄りがちな気泡サイズの大きい気液が通過しやすくなる。
【0032】
なお、図1、3などに示す形態において、中心周りの貫通孔11bは、中心と外周縁との間の中央または、中央より中心側のみ設けられているが、本発明はこれに限定されない。中心周りの貫通孔11bを外周側にも同様に設けてもよい。
【0033】
また、中心周りの貫通孔11bの大きさおよび数も任意であり得る。好ましくは、貫通孔11bの大きさは大きく、かつ数を多く設ける。それにより、貫通孔11bを通過する気液を増やすことが可能となり、微細気泡をより効率的に発生させることが可能となる。
【0034】
例えば、バッフル板11の大きさは、約10mm~約300mm、好ましくは、約20mm~約200mmであり得る。また、例えば、中心周りの貫通孔11bの大きさは約φ2~10mm、好ましくは、約φ3mm~5mmであり得る。例えば、中心周りの貫通孔11bの数は約4個~約16個、好ましくは、約8個~約12個であり得る。例えば、中心周りの貫通孔11bは、バッフル板11の中心と外周縁との間の中心から約0.5mm~約3mm中心側、好ましくは、約1mm~約2mm中心側に位置している。しかし、これはあくまで一例であって、それ以外の数値範囲であってもよい。バッフル板11の大きさを約100mm以上(例えば、約150mm)とすることにより水質の関係で詰まりを解消することが可能となる。
【0035】
また、液体および気体は限定されるものではなく、任意であり得る。例えば、液体は、水でもよいし、水以外の液体(例えば、アルコール、油、液体燃料など)でもよい。気体は、空気でもよいし、空気以外の気体(例えば、炭酸ガス、窒素ガス、酸素ガス、水素ガス、ヘリウムガスなど)でもよい。
【0036】
以下、本発明の微細気泡発生装置10のより具体的な例として、第1のタイプの微細気泡発生装置100と第2のタイプの微細気泡発生装置200とを説明する。
【0037】
〔第1のタイプの微細気泡発生装置100〕
図2Aは、本発明の第1のタイプの微細気泡発生装置100を説明するための図であり、図2A(a)は、この微細気泡発生装置を概念的に示す図であり、図2A(b)は、図2A(a)に示す微細気泡発生装置の外観を模式的に示す斜視図である。
【0038】
この微細気泡発生装置100は、気液生成部100aと、気液吐出部13と、バッフル板11およびバッフル板支持体12を含む気泡微細化部100bと、気液排出部100cとを有する。ここで、バッフル板支持体12は、気液生成部100aに気体を供給する気体吐出ノズルとしての機能も有している。この微細気泡発生装置100は、陸上(空気中)で使用するものであり、気液生成部100aと気液排出部100cとの間に位置する気泡微細化部100bが密封空間内に収容されるように、気液生成部100aと気液排出部100cとの間の空間が周壁14により密閉されている。この空間は、気泡微細化部100bの内腔Cとなっており、内腔Cとバッフル板11との間には隙間Sが形成されている。
【0039】
(気液生成部100a)
気液生成部100aは、例えば、液体貯留部4から配管2を介してポンプ3で圧送されてきた液体を一時的に貯留して旋回させ、得られた液体の旋回流に気体吐出ノズル12から吐出された気体を導入して気液の旋回流を発生させる。なお、気液生成部100aに供給する液体は水でもよく、液体の圧力として水道水の圧力で目的とする気液の発生が可能である場合には、図2Aの二点鎖線で示すように、気液生成部100aには、水道栓2b1が設けられた水道管2bを接続して、水道管2bから液体として水が供給されるようにしてもよい。
【0040】
(気液吐出部13)
気液吐出部13は、気液生成部100aで生成された液体の旋回流をバッフル板11に向けて吐出する部分であり、例えば、気液吐出ノズル13で構成されている。
【0041】
(気泡微細化部100b)
気泡微細化部100bは、バッフル板11およびバッフル板支持体12を含み、バッフル板11は、気液の旋回流の吐出量によって気液吐出部13に近づいたり気液吐出部13から離れたりするようになっている。従って、気泡微細化部100bは、気液生成部100aの気液吐出部13から吐出された気液の旋回流をバッフル板11で乱して気液中の気泡を微細化する部分(乱流発生部)となっている。
【0042】
また、バッフル板11は、例えば、その中心に形成された第1の貫通孔(中心貫通孔)11aと、中心周りに形成された一対の第2の貫通孔(中心周り貫通孔)11bとを有する。バッフル板支持体12は、その先端部である軸部12aがバッフル板11の中心貫通孔11aに挿入されることにより、バッフル板11の中心がバッフル板支持体12の中心軸Aから所定距離以上離れないようにバッフル板11を支持する。この場合、バッフル板11は、気液吐出部13から吐出される気液の流量によってバッフル板支持体12の中心軸Aの方向に移動可能である。また、バッフル板11の中心周り貫通孔11bは、気液吐出部13から吐出されてバッフル板11の周縁を越えて(すなわち、気泡微細化部100bの内腔Cとバッフル板11との隙間Sを流れて)気液排出部100cに向かう気液GLの旋回流の一部を気液吐出部13側に戻す還流経路を形成するものである。気液吐出部13から吐出される気液と、中心周り貫通孔11bを介して還流経路により気液吐出部13側に戻る気液とが衝突することにより、さらに乱流が発生し気泡の微細化が向上する。さらに、気液GLの旋回流の一部が中心周り貫通孔11bを通って気液吐出部13側に戻ることにより、移動するバッフル板11によって気液GLの旋回流の一部が乱されて内部の気泡がさらに微細化される。したがって、気液吐出部から吐出された気液がバッフル板に衝突しつつ、気泡微細化部100bの内腔Cとバッフル板11との隙間Sに流れ、そのまま気液排出部100cに流れていく装置に対して、本発明の装置は、バッフル板の中心周り貫通孔の存在により、より効率的に気泡の微細化を図ることができる点で有用である。
【0043】
その結果、従来の装置では加圧用のデバイスなどを使用しないと達成できなかった微細化された気泡(または大きなサイズの気泡が少ない)を含む気液を、例えば水道水の水圧でも生成することが可能となった
(気液排出部100c)
気液排出部100cは、気液吐出ノズル12を支持する円柱状部材などの柱状部材であり、内部には、気泡微細化部100bで気泡の微細化が行われた気液を装置外部に排出するための気液排出路101cが形成されている。また、気液排出部100cの周壁面には、気体導入口102cが形成されており、気体導入口102cは、気液排出部100cの内部に形成された気体導入路103cを介して気液吐出ノズル12の先端開口12a(図5(b)参照)に繋がっている。
【0044】
なお、気液排出部100cは、気泡微細化部100bを通過した気液を装置外部に排出する部分であればよく、具体的な構成は特に限定されるものではない。従って、気液排出部100cは、円柱状部材で構成されたものに限定されず、角柱状部材で構成されたものでもよい。
【0045】
また、微細気泡発生装置100を液中で使用する場合は、気液排出部100cおよび周壁14は不要であり、微細気泡発生装置100には、柱状部材で構成された気液排出部100cの代わりに気体吐出ノズル12を支持するアームなどの支持部材が設けられていればよい。この場合、気泡微細化部100bの内腔Cとバッフル板11との隙間Sは、バッフル板11の外縁よりも外側の領域を囲むように、バッフル板11の周囲に予め存在する液体により形成されることとなる。
【0046】
〔第2のタイプの微細気泡発生装置200〕
図2Bは、本発明の第2のタイプの微細気泡発生装置200を説明するための図であり、図2B(a)は、この微細気泡発生装置を概念的に示す図であり、図2B(b)は、図2B(a)に示す微細気泡発生装置の外観を模式的に示す斜視図である。
【0047】
この第2のタイプの微細気泡発生装置200は、液体Lに気体Gを混合して得られた気液を旋回させることにより気泡の微細化を行って微細気泡を発生させる点で、液体Lを旋回させている状態で液体Lの旋回流に気体を導入して微細気泡を発生させる第1のタイプの微細気泡発生装置100(図2A参照)と異なる。
【0048】
すなわち、この第2のタイプの微細気泡発生装置200は、第1のタイプの微細気泡発生装置100と同様に、気液生成部200aと、気液吐出部13と、バッフル板11およびバッフル板支持体22を含む気泡微細化部200bと、気液排出部200cとを備えているが、気液生成部200a、気泡微細化部200b、および気液排出部200cはそれぞれ、第1のタイプの微細気泡発生装置100における対応する気液生成部100a、気泡微細化部100b、および気液排出部100cとは一部の構成が異なっている。
【0049】
(気液生成部200a)
すなわち、この微細気泡発生装置200では、気液生成部200aは、微細気泡発生装置100の配管2とは異なる構造の配管2aを有しており、この配管2aは、主配管2a1を流れる液体Lに枝管2a2から吸い込まれた気体Gが混入される構造となっている。気液生成部200aは、微細気泡発生装置100の気液生成部100aに代わる流体旋回部201aを有しているが、流体旋回部201aと気液生成部100aとは、流体旋回部201aでは導入される流体が気液GLであるのに対し、気液生成部100aでは導入される流体が液体Lである点で異なるのみであり、流体旋回部201aは気液生成部100aと同じ構造を有する。
【0050】
(気泡微細化部200b)
この微細気泡発生装置200の気泡微細化部200bは、微細気泡発生装置100の気泡微細化部100bにおける気体吐出ノズルとしての機能を有するバッフル板規制体12に代えて、気体吐出ノズルとしての機能は持たず、単にバッフル板11の移動範囲を規制するバッフル板支持体22を有する点でのみ、微細気泡発生装置100の気泡微細化部100bとは異なる。
【0051】
(気液排出部200c)
気液排出部200cには、微細気泡発生装置100の気液排出部100cにおける気体導入口102cおよび気体導入路103cは設けられておらず、この点でのみ、気液排出部200cは微細気泡発生装置100の気液排出部100cとは異なる。従って、気液排出部200cには、気液排出部100cと同様に、気泡微細化部200bで気泡が微細化された気液を装置外部に排出するための気液排出路201cが形成されている。
【0052】
従って、この第2のタイプの微細気泡発生装置200の配管2aでは、液体Lは、主管2a1により液体貯留部4から吸い上げられ、気体Gは、枝管2a2から吸引され、主管2a1と枝管2a2とのつなぎ目で液体Lと気体Gとが混合されて気液が生成される。
【0053】
配管2aで生成された気液は、流体旋回部201aに導入されると、旋回させられて気液の旋回流が生成され、気液GLの旋回流が気液吐出部13からバッフル板11に向けて吐出される。
【0054】
バッフル板11は、微細気泡発生装置100におけるものと同様、その中心に形成された第1の貫通孔11aと、第1の貫通孔11aを挟むようにその両側に形成された一対の第2の貫通孔11bとを有するので、この微細気泡発生装置200においても、気液吐出部13から吐出されてバッフル板11の周縁を越えて(すなわち、気泡微細化部100bの内腔Cとバッフル板11との隙間Sを流れて)気液排出部200cに向かう気液GLの旋回流の一部が、第2の貫通孔11bを介して気液吐出部13側に戻る。気液吐出部13から吐出される気液と、中心周り貫通孔11bを介して還流経路により気液吐出部13に還流した気液とが衝突することにより、さらに乱流が発生し気泡の微細化が向上する。さらに、気液GLの旋回流の一部が、第2の貫通孔11bを介して気液吐出部13側に戻ることにより、その内部に含まれる気泡がさらに微細化される。
【0055】
図3は、本発明の微細気泡発生装置で用いられるバッフル板11を説明するための平面図であり、図3(a)は、図2Aあるいは図2Bで説明したバッフル板11を示し、図3(b)~図3(f)は、図2Aあるいは図2Bに示すバッフル板11とは形状が異なるバッフル板を示す。
【0056】
(バッフル板11)
図3(a)に示すバッフル板11では、バッフル板規制体12あるいは22の軸部(先端部)12aあるいは22aが挿入される第1の貫通孔(中心貫通孔)11aは、バッフル板11の中心に位置しており、気液GLの還流経路を形成する第2の貫通孔(中心周り貫通孔)11bは、バッフル板111の中心を中心とする円周C上であって、バッフル板11の中心を通る直線上に、第1の貫通孔11aを挟んで対称となるようにその両側に配置されていてもよい。ここで、第1の貫通孔11aおよび第2の貫通孔11bはいずれも円形形状を有する。好ましくは、第2の貫通孔11bの中心は、バッフル板11の外周縁と中心との間の中央に対してバッフル板11の中心側に配置される。
【0057】
ただし、バッフル板11に形成される第2の貫通孔の個数、配列、大きさ、形状は限定されるものではなく任意であり得る。例えば、中心周りの貫通孔の数は1個であってもよいし、図3(b)に示すように8個であっても良いし、それ以外の奇数および偶数であってもよい。また、図3(c)に示すように、複数の貫通孔のそれぞれの間隔を異ならせても良い。
【0058】
また、中心周りの貫通孔は、図3(d)に示すように、バッフル板112の中心からの距離が異なる位置に配置されていてもよい。
【0059】
また、バッフル板の形状は、図3(a)~(d)に示す円形に限らず、図3(e)に示すように、四角形などであってもよい。
【0060】
さらに、中心周りの貫通孔の形状も、図3(a)~(e)に示す円形に限らず、図3(f)に示すように、四角形などであってもよい。
【0061】
ただし、以下の実施形態では、微細気泡発生装置として、液体の旋回流に気体を導入することにより気液を生成する第1のタイプのもの(特に、気液生成部100aには水道管から液体として水を供給するもの)を挙げ、バッフル板としては、図3(b)に示すバッフル板115を挙げる。これは、後述する実験結果が示すように、他の加圧装置を使用せず水道の圧力のみで微細化された気液を効率的に生成することが可能となった。ここで、上水道の圧力は、約0.15MPa~約0.74MPaであり、好ましくは、水圧は、約0.2MPa~約0.39MPaであるが、蛇口での水圧は、上記の値から約0.1MPaほど減少した水圧(約0.1MPa~約0.29MPa)となり得る。
【0062】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0063】
(実施形態1)
図4は、本発明の実施形態1による微細気泡発生装置1000を説明するための図であり、図4(a)は、この微細気泡発生装置の外観を示す側面図であり、図4(b)は、図4(a)に示す微細気泡発生装置の縦断面図である。
【0064】
この実施形態1の微細気泡発生装置1000は、導入された液体L(例えば、水)に気体G(例えば、空気)を混入して気泡を含む液体(気液)を生成し、生成された気液の気泡を微細化して微細気泡を生成する微細気泡発生装置である。この実施形態では、液体は、例えば、水とし、気体は、例えば、空気としているが、本発明はこれに限定されず、液体および気体は任意であり得る。例えば、液体はアルコールでもよいし、気体は炭酸ガスでもよい。
【0065】
この微細気泡発生装置1000は、液体Lと気体Gとを混合して気液GLの旋回流を生成する気液生成部100aと、生成された気液GLの旋回流を吐出する気液吐出部13と、吐出された気液GLの旋回流を乱すことにより気液GLに含まれる気泡を微細化する気泡微細化部(乱流発生部)100bと、気液GLを装置外部に排出する気液排出部100cとを備えている。
【0066】
ここで、気液生成部100aは架台100d上に設けられ、気液生成部100a上には気液吐出部13を介して気泡微細化部100bが設けられ、さらに、気泡微細化部100b上には気液排出部100cが設けられている。気泡微細化部100bと気液生成部100aとの間には、気泡微細化部100bの内腔Cを形成する周壁14が設けられ、気泡微細化部100bの内腔Cには、気泡微細化部100bを構成するバッフル板11、および気液吐出部13としての気液吐出ノズルが配置されており、気泡微細化部100bの内腔Cとバッフル板11との間に隙間Sが形成されている。
【0067】
なお、架台100dは、気液生成部100aを支持する支持フランジ101と、支持フランジ101から下方に延びる架台脚部21とを有している。支持フランジ101には液体導入継手10aが取り付けられ、液体導入継手10aには水道栓2b1が設けられた水道管2bが接続され、気液生成部100aには水道管から液体である水が供給されるようになっている。なお、液体導入継手10aにはポンプ3を取り付けた配管2(図2A参照)を接続し、気液生成部100aには液体貯留部4からポンプ3で液体を吸い上げて気液生成部100aに圧送するようにしてもよい。なお、支持フランジ101には架台脚部21を挿入するための挿入孔101aが形成されている(図6参照)。
【0068】
まず、この微細気泡発生装置1000の特徴部分であるバッフル板115を含む気泡微細化部100bを具体的に説明する。
【0069】
図5は、図4に示す微細気泡発生装置1000におけるバッフル板115を含む気泡微細化部100bを説明するための斜視図であり、図5(a)は、気泡微細化部100bの外観を示し、図5(b)は、気泡微細化部100bを複数の部品に分解して示す。
【0070】
気泡微細化部100bは、気液吐出ノズル13から吐出される気液GLの旋回流の吐出量により気液吐出ノズル13の吐出口13bに対して近接あるいは離反するように移動可能に設けられたバッフル板115と、バッフル板115が一定範囲以上に移動しないようにバッフル板115を支持するバッフル板支持体12とを有する。
【0071】
ここで、気液吐出ノズル13は、気液生成部100aで生成された気液GLの旋回流を吐出する気液吐出部である。気泡微細化部100bでは、気液生成部100aと気液排出部100cとの間の空間を密閉する周壁14により気泡微細化部100bの内腔Cが形成されており、内腔Cとバッフル板11との間には隙間Sが形成されている。バッフル板115は、円板形状を有し、その中心に形成された第1の貫通孔(中心貫通孔)115aと、中心周りに形成された8個の第2の貫通孔(中心周り貫通孔)115bとを有する。
【0072】
第1の貫通孔115aは、バッフル板支持体12を構成する気体吐出ノズルの先端部(すなわち、バッフル板支持体の軸部)12aが挿入される貫通孔である(図1図5参照)。バッフル板支持体12を構成する気体吐出ノズルの先端部12aがバッフル板115の中心貫通孔115aに挿入されることにより、バッフル板115の中心がバッフル板支持体12の中心軸A(図1参照)から所定距離以上離れないようにバッフル板115の移動範囲が規制される。この場合、バッフル板115は、気液吐出部13から吐出される気液の流量によって気体吐出ノズル12の中心軸Aの方向に移動可能である。
【0073】
また、バッフル板115の中心周りに位置する8個の第2の貫通孔115bは、正八角形の頂点に位置する貫通孔であり、これらの中心周り貫通孔115bは、気液吐出ノズル13の先端の気液吐出口13bから吐出されてバッフル板115の周縁を越えて(すなわち、気泡微細化部100bの内腔Cとバッフル板11との間の隙間Sを流れて)気液排出部100cに向かう気液GLの旋回流の一部を気液吐出ノズル13側に戻す還流経路を形成する貫通孔である。気液GLの旋回流の一部は中心周り貫通孔115bを通って気液吐出ノズル13の吐出口13b側に戻ることにより、気液吐出ノズル13に近づいたり離れたりするバッフル板11の往復運動によって旋回流の一部は再度攪乱されて内部の気泡がさらに微細化される。
【0074】
バッフル板115の材質は任意の材質であり得る。例えば、プラスチックであってもよいし、アルミ、鉄、ステンレスなどの金属であってもよい。
【0075】
バッフル板115の厚さおよび重さは、求められる気液GLの吐出量や微細気泡の大きさなどにより任意の厚さおよび重さに調整し得る。一般的には、厚さを薄くしたり軽い材料を用いたりしてバッフル板115の重さを軽くすれば、バッフル板115の往復運動が速くなるため、気液GLに含まれる気泡の微細化および混合する能力を高くできる。例えば、1つの具体的な実施形態においては、気液吐出ノズル13からの気液GLの吐出量が約300L/minの条件に対して、バッフル板115の厚さを約5mm、重さを約400gとしているが、本発明はこれに限定されない。
【0076】
なお、実施形態1の微細気泡発生装置1000は陸上に設置されるものであり、気液生成部100aと気液排出部100cとの間に位置する気泡微細化部(乱流発生部)100bが密封空間内に収容されるように、気液生成部100aと気液排出部100cとの間の空間が周壁14(図4参照)により密閉されている。この周壁14により、気泡微細化部100bの内腔Cとバッフル板115との間に気液を流す隙間Sが形成されている。ただし、微細気泡発生装置1000を水中で使用する場合は、気液排出部100cおよび周壁14は不要であり、微細気泡発生装置1000は、気液排出部100cおよび周壁14の代わりに気体吐出ノズル(バッフル板規制体)12を支持するロッドあるいはアームなどの支持フレームを有するものであればよい。この場合、気泡微細化部100bの内腔Cとバッフル板11との隙間Sに相当する、気液を流す領域は、バッフル板115の外縁よりも外側の領域を囲むようにバッフル板115の周囲に予め存在する液体と、バッフル板11とにより形成されることとなる。
【0077】
次に、実施形態1の微細気泡発生装置1000の各部の構造を図4図6を参照してより具体的に説明する。
【0078】
図6は、図4に示す微細気泡発生装置1000を構成する部品を説明するための図であり、図4(b)に示す微細気泡発生装置を複数の部品に分解して示す縦断面図である。
【0079】
〔気液生成部100a〕
気液生成部100aは、水道配2bから液体導入継手10aを介して導入された液体(水)Lを旋回させることにより液体Lの旋回流を生成する旋回流発生部110と、生成された液体Lの旋回流の旋回速度を高める旋回流発達部120と、液体Lの旋回流の旋回速度を加速的に高める旋回流加速部130とを有する。
【0080】
旋回流発生部110は、液体Lに旋回力を与える旋回ガイド羽根110aと、旋回ガイド羽根110aを支持する羽根支持体110bとを有する。旋回流発生部110は、支持フランジ101上に配置されている(図4参照)。
【0081】
旋回流発達部120は、内部を液体Lが流れる外側円筒体122と、外側円筒体122の上流側端に固定された上流側フランジ102と、外側円筒体122の下流側端に固定された下流側フランジ103と、外側円筒体122の内側に収容された内側円筒体121とを有する。
【0082】
ここで、上流側フランジ102の中央には液体の通路としての開口102aが形成され、上流側フランジ102の周縁部には架台脚部21を挿入する挿入孔102bが形成されている。下流側フランジ103の中央にも液体の通路としての開口103aが形成され、下流側フランジ103の周縁部には固定支柱22を挿入する挿入孔103bが形成されている。
【0083】
内側円筒体121の下流側端は下流側フランジ103に固定されており、内側円筒体121の上流側端には、旋回流発生部110の羽根支持体110bが固定されている。内側円筒体121と外側円筒体122とはこれらの間に、旋回流発生部110で生成された液体Lの旋回流が流れ込む流路が形成されるように所定の間隔を空けて配置されており、内側円筒体121の側壁には、内側円筒体121と外側円筒体122との間を流れる液体Lを内側円筒体121の内部に流入させるための側壁開口121aが形成されている。側壁開口121aには、内側円筒体121の内部に流入する液体Lの旋回流の旋回方向が反転するようにフィンなどのガイド部材(図示せず)が取り付けられている。
【0084】
このような構造の旋回流発達部120では、内側円筒体121と外側円筒体122との間を流れる液体Lが内側円筒体121内に流れ込むことにより旋回半径が小さくなって旋回速度が増大するとともに、旋回方向が反転することにより旋回流が攪乱される。また、内側円筒体121内には、気体吐出ノズル12から気体Gが導入されるので、内側円筒体121内での液体Lの旋回速度の増大および旋回流の攪乱が液体Lと気体Gとの混合を促進することとなる。
【0085】
なお、上流側フランジ102は、一対のナット21a、21bにより架台脚部21の上端部分の雄ネジ部分に支持フランジ101とともに固定されている。
【0086】
旋回流加速部130は、旋回流発達部120からの気液GLの速度を加速的に増大させる部分であり、気液吐出ノズル13のうちの円錐台形状のスペース13aを含む部分により構成されている。この旋回流加速部130では、旋回流発達部120からの気液GLの旋回流が円錐台形状のスペース13aで旋回半径を徐々に小さくしながら気液吐出口13bに向かう。気液吐出ノズル13は、部品保持フランジ104により保持されており、部品保持フランジ104は、固定支柱22と、固定支柱の下端の雄ネジ部に螺合するナット22bとにより、下流側フランジ103に固定されている。なお、下流側フランジ103および部品保持フランジ104にはそれぞれ固定支柱22を挿入するための挿入孔103bおよび104bが形成されており、下流側フランジ103には気液GLの通路としての開口103aが形成され、部品保持フランジ104には気液吐出ノズル13を収容するための開口104aが形成されている。
【0087】
なお、気液生成部100aを構成する気液吐出ノズル13、円筒体121、122、フランジ101~104、固定支柱22などの部品の構成材料は、限定されるものではなく、鉄、ステンレスなどの金属でもよいし、アクリル、塩化ビニールなどの樹脂でもよい。
【0088】
〔気泡微細化部100b〕
気泡微細化部100bは、気液吐出ノズル13の吐出口13bと、吐出口13bからの気液GLの旋回流の吐出量により吐出口13bに近接および離反するように移動可能に設けられたバッフル板115と、バッフル板115が一定範囲以上に移動しないようにバッフル板115を支持するバッフル板支持体12と、バッフル板115および気液吐出ノズル13の吐出口13bが密閉された領域内に配置されるように、部品保持フランジ104と部品取付フランジ105との間に設けられた円筒状部材14とを有する。この円筒状部材14は、気液生成部100aと気液排出部100cとの間におけるバッフル板115が配置される密閉空間(気泡微細化部100bの内腔C)を形成する周壁となっている。
【0089】
この気泡微細化部100bでは、バッフル板115の第1の貫通孔(中心貫通孔11a)115aに気体吐出ノズル12の先端部(バッフル板支持体12の軸部12a)が挿入されることにより、バッフル板115が気液吐出ノズル13の吐出口13bの上の位置からずれないように、すなわち、バッフル板115の中心が気体吐出ノズル12の中心軸A(図1参照)から所定距離以上離れないように、バッフル板115の移動が規制される。
【0090】
ここで、円筒状部材(周壁)14は、その一端が部品保持フランジ104に密着し、その他端が部品取付フランジ105に密着するように、固定支柱22とその先端のネジ部に螺合するナット22aとにより、これらの2つのフランジの間に固定されている。
【0091】
気泡微細化部100bでは、気液生成部100aの気液吐出ノズル13から吐出された気液GLの旋回流がバッフル板115の往復運動によって乱されることにより気液GLに含まれる気泡が微細化される。さらに、気液吐出ノズル13先端の気液吐出口13bから吐出されてバッフル板115の周縁を越えて(すなわち、気泡微細化部100bの内腔Cとバッフル板115との隙間Sを流れて)気液排出部100cに向かう気液GLの旋回流の一部は、バッフル板115の第2の貫通孔(中心周り貫通孔11b)115bを介して気液吐出口13b側に戻ることにより、再度バッフル板115により攪乱されることとなる。これにより気泡微細化部100bでは、気液生成部100aで生成された気液GLに含まれる気泡が効果的に微細化される。
【0092】
なお、気泡微細化部100bを構成するバッフル板115、気体吐出ノズル12、円筒状部材14、フランジ105などの部品の構成材料は、限定されるものではなく、鉄、ステンレスなどの金属でもよいし、アクリル、塩化ビニールなどの樹脂でもよい。
【0093】
〔気液排出部100c〕
気液排出部100cは、気泡微細化部100bで微細化された微細気泡を含む気液GLを微細気泡発生装置1000の外部に排出する気液排出ヘッド150と、気液排出ヘッド150が取り付けられる部品取付フランジ105とを有する。
【0094】
部品取付フランジ105には固定支柱22を挿入する挿入孔105bが形成されており、部品取付フランジ105は、ナット22aにより、部品固定フランジ103に固定された固定支柱22に取付られている。
【0095】
また、部品取付フランジ105の中央部にはネジ穴105aが形成されており、気液排出ヘッド150の一端には雄ネジ部150aが形成されており、気液排出ヘッド150は、気液排出ヘッド150の一端の雄ネジ部150aが部品取付フランジ105の中央部のネジ穴105aに螺合することにより部品取付フランジ105に固定されている。
【0096】
この気液排出ヘッド150は、鉄、ステンレスなどの金属製あるいはアクリル、塩化ビニールなどの樹脂製の円柱体で構成されている。この円柱体の内部には、円柱体の軸方向に沿って気液排出路101cが形成され、気液生成部100aの気液吐出ノズル13から吐出された気液GLが気液排出ヘッド150の気液排出路101cを通って外部に排出されるようになっている。また、気液排出ヘッド150を構成する円柱体の外周面には気体導入口102cが形成され、円柱体のうちのバッフル板115側の端面には気体Gを吐出する気体吐出ノズル12が取り付けられており、気体吐出ノズル12の先端の開口(先端開口)12aは、図5(b)に示すように、気体導入路103cを介して気体導入口102cにつながっている。
【0097】
このような構造の気液排出ヘッド150では、気体導入口102cにポンプなどで圧送された気体Gは、気液排出ヘッド150の気体導入路103cを介して気体吐出ノズル12の先端開口102a(図5(b)参照)から吐出し、気液生成部100aの旋回流加速部130から旋回流発達部120に跨る領域に導入され、液体Lの旋回流に混入されることとなる。
【0098】
次に、実施形態1の微細気泡発生装置1000の動作を説明する。
【0099】
図7は、図4に示す微細気泡発生装置1000の動作を説明するための縦断面図であり、気泡微細化部100bにおけるバッフル板115の近傍部分での気液GLの流れを示す。
【0100】
本実施形態1の微細気泡発生装置1000では、図2Aに示すように水道配管2bから圧送された液体(水道水)Lが気液生成部100aの旋回流生成部110に供給されると、液体Lは旋回ガイド羽根110aにより旋回力を与えられて液体Lの旋回流が生成され、液体Lの旋回流は旋回流発達部120に導入される。
【0101】
旋回流発達部120では、図4(b)に示すように、内側円筒体121と外側円筒体122との間を流れる液体Lが内側円筒体121内に流れ込むことにより旋回半径が小さくなって旋回速度が増大するとともに、旋回方向が反転することにより旋回流が攪乱される。
【0102】
この状態で、気液排出ヘッド150では、気体導入口102cから導入された気体Gが気体導入路103cを通って気体吐出ノズル12に至り、気体吐出ノズル12の先端開口12aから気液吐出ノズル13の吐出口13aに向けて吐出される。これにより気体Gが気液生成部100aの旋回流加速部130から旋回流発達部120に跨る領域に導入され、気液生成部100aでは、旋回する液体Lに気体Gが混合されて、旋回する気液GLが生成される。
【0103】
そして、旋回流加速部130では、図7に示すように、気液GLの旋回流が気液吐出ノズル13の円錐台形状のスペース13aで旋回半径を徐々に小さくしながら気液吐出口13bに至り、気液GLの旋回流は気液吐出口13bからバッフル板115に向けて吐出される。
【0104】
バッフル板115は、気液GLの旋回流の吐出量に応じて気液吐出口13bに近づいたり離れたりする往復運動を繰り返すこととなる。これにより、気液吐出口13bから吐出される気液GLの旋回流の吐出量のピークが繰り返されることとなり、またこのようなバッフル板115の往復運動により気液GLが攪拌されることにより、気液GLに含まれる気泡が微細化される。
【0105】
さらに、このとき、気液吐出口13bから吐出されてバッフル板115の周縁を越えて(すなわち、気泡微細化部100bの内腔Cとバッフル板115との隙間Sを流れて)気液排出部100cに向かう気液GLの旋回流の一部GL2がバッフル板115の中心周り貫通孔11bを通って気液吐出ノズル13側に戻る。これにより、気液吐出ノズル13に近づいたり離れたりするバッフル板11の往復運動によって気液GLの旋回流の一部GL2は再度攪乱されて内部の気泡がさらに微細化される。気液吐出口13bから吐出されてバッフル板115の周縁を越えて気液排出部100cに向かう気液GLの旋回流の他の一部GL1は、気液排出ヘッド150の気液排出路101cに入る。
【0106】
このようにして気泡微細化部100bで微細化された気泡を含む気液GLは気液排出ヘッド150の気液排出路101cを通って微細気泡発生装置1000の外部に排出される。
【0107】
このように、本実施形態1では、微細気泡を発生する装置1000において、液体Lに気体Gを混合して気液GLの旋回流を生成する気液生成部100aと、気液生成部100aで生成された気液を吐出する気液吐出部13と、気液吐出部13に対して隙間を介して対向するバッフル板115とを備えたので、気液吐出部13から吐出される気液GLの旋回流の吐出量によりバッフル板115が気液吐出部13に近接したり離反したりすることとなり、気液GLの旋回流の吐出量のピークが繰り返されることとなる。これにより、微細気泡を含む気液の吐出量を増大させることができ、その結果、微細気泡の発生効率を向上させることができる。
【0108】
また、バッフル板115を、中心周りに形成された8個の貫通孔115bを有する構造としたので、気液吐出口13bから吐出されてバッフル板115の周縁を越えて(すなわち、気泡微細化部100bの内腔Cとバッフル板115との隙間Sを流れて)気液排出部100cに向かう気液GLの旋回流の一部が、バッフル板115の中心周り貫通孔11bを通って気液吐出ノズル13側に戻ることとなる。これにより、気液吐出部13から吐出された気液の旋回流の一部は再度バッフル板115により攪乱されて内部の気泡がさらに微細化される。その結果、微細気泡の発生効率をさらに向上させることができる。
【0109】
以下、微細気泡のサイズ、単位体積当たりの微細気泡の個数、単位時間当たりの気液の吐出量を、本発明の実施例のバッフル板に中心周りの貫通孔を有する装置で気液を生成した場合と、従来の比較例のバッフル板に中心周りの貫通孔を有さない装置で気液を生成した場合とで対比して説明する。
(実施例1)
外周φ20mm、中心周りの貫通孔の大きさφ約3mm、中心周りの貫通孔の個数が8個であるバッフル板を備えた本発明の微細気泡を発生する装置に、圧力約0.5MPaの水道水を供給することにより微細気泡を含む気液を発生させた。その結果、非常に微細な気泡を含む気液が大量に発生し、気液全体が白く濁った。また、同じ気体の供給量に対してφ100μm以上の大きな気泡の発生率が、比較例1に比べて少なくなった。
(比較例1)
中心周りの貫通孔を有さないバッフル板であること以外は、実施例1と同じ構成である微細気泡を発生する装置に、圧力約0.5MPaの水道水を供給することにより微細気泡を含む気液を発生させた。その結果、微細気泡は多少発生するが気液は濁ることは無く、透明であった。
【0110】
この結果から、中心周りの貫通孔を有するバッフル板を備えた実施例1の微細気泡を発生する装置を用いることにより、中心周りの貫通孔を有さないバッフル板を備える比較例の微細気泡を発生する装置に比べて、微細気泡を効率よく大量に発生させることができることが確認された。
【0111】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明は、微細気泡を発生する装置の分野において、微細気泡の発生効率を向上することができる微細気泡発生装置を得ることができるものとして有用である。
【符号の説明】
【0113】
10、100、200、1000 微細気泡発生装置
11、115 バッフル板
11a、115a 第1の貫通孔(中心貫通孔)
11b、115b 第2の貫通孔(中心周り貫通孔)
12 気体吐出ノズル(バッフル板支持体)
12a 先端開口
13 気液吐出部(気液吐出ノズル)
13a 気液吐出口
14 周壁(円筒体部材)
100a 気液生成部
100b 気泡微細化部(乱流発生部)
100c 気液排出部
G 気体
GL 気液
L 液体
S 空間(領域)
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7