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特開2022-73929無段変速機付きギアボックスに適用される無段変速機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022073929
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】無段変速機付きギアボックスに適用される無段変速機
(51)【国際特許分類】
   F16H 15/42 20060101AFI20220510BHJP
   F16H 15/16 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
F16H15/42
F16H15/16
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021104050
(22)【出願日】2021-06-23
(31)【優先権主張番号】202011191846.X
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】521276087
【氏名又は名称】深▲セン▼市瑞鵬飛模具有限公司
【氏名又は名称原語表記】Shenzhen Rui Pengfei Mold Co., Ltd
【住所又は居所原語表記】Building A&B, No. 6, Xinfa East Road and Building A(Floor 1-3), B&C, No.171, Zhuangcun Road, XinEr Community, Xinqiao, Bao’ an, Shenzhen, Guangdong 518125, China,
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【弁理士】
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】其 格其
(72)【発明者】
【氏名】頼 澤鋒
【テーマコード(参考)】
3J051
【Fターム(参考)】
3J051AA03
3J051BA05
3J051BA09
3J051BB01
3J051BD02
3J051CA05
3J051CB04
3J051EC03
3J051EC06
3J051FA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】チェーンとスチールベルトタイプの駆動摩擦ペアをスチールリングの摩擦ペアに置き換え、コストと製造技術が大幅に削減され、無段変速機をより高性能応用領域に適用でき、すべてのATギアボックスをカバーする性能に到達することができる無段変速機付きギアボックスに適用される無段変速機を提供する。
【解決手段】変速機構と、締め付け機構と、速度調整機構とを備える。変速機構は、軸体に取り付けられ、軸体の両側に沿って動力入力機構と動力出力機構にそれぞれ接続し、締め付け機構は、軸体の軸方向に沿って配設され、且つ、変速機構の両側に配置され、締め付け機構は、変速機構が正常にトルクを伝達するために、第1の油圧システムによって加圧され、速度調整機構は、軸体の径方向端部に配置され、変速機構と組み合わされ、速度調整機構は、第2の油圧システムの加減速制御により変速機構の変速を実現する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変速機構(31)と、締め付け機構(32)と、速度調整機構(33)とを備えた無段変速機付きギアボックスに適用される無段変速機において、
前記変速機構(31)は、軸体(9)に取り付けられ、軸体(9)の両側に沿って動力入力機構と動力出力機構にそれぞれ接続され、
前記締め付け機構(32)は、軸体(9)の軸方向に沿って配設され、且つ、前記変速機構(31)の両側に配置され、前記締め付け機構(32)は、前記変速機構(31)が正常にトルクを伝達するために、第1の油圧システム(43)によって加圧されるように構成され、
前記速度調整機構(33)は、前記軸体(9)の径方向端部に配置され、前記変速機構(31)と組み合わされ、前記速度調整機構(33)は、第2の油圧システム(44)の加減速制御により前記変速機構(31)の変速を実現することを特徴とする、無段変速機付きギアボックスに適用される無段変速機。
【請求項2】
前記変速機構(31)は、中間転動体(34)と、入力摩擦リング(3)と、出力摩擦リング(6)と、軸体(9)に取り付けられた入力フランジ(2)と、出力フランジ(7)とを備え、
前記入力摩擦リング(3)の径方向端面は、前記中間転動体(34)の径方向端面と前記入力フランジ(2)に設けられた環状溝(35)の間に挟まれ、
前記出力摩擦リング(6)の径方向端面は、前記中間転動体(34)の径方向端面と前記出力フランジ(7)に設けられた環状溝(35)との間に挟まれ、
前記入力摩擦リング(3)と前記出力摩擦リング(6)は、前記締め付け機構(32)により、前記入力フランジ(2)及び前記出力フランジ(7)の前記環状溝(35)と前記中間転動体(34)の間に押し込まれていることを特徴とする、請求項1に記載の無段変速機付きギアボックスに適用される無段変速機。
【請求項3】
前記中間転動体(34)は、入力ダイヤモンドコーンジャイロ(4)と出力ダイヤモンドコーンジャイロ(5)とスプライン付きシリンダスリーブ(17)とを具備する分割構造であり、
前記入力ダイヤモンドコーンジャイロ(4)と出力ダイヤモンドコーンジャイロ(5)の内壁には、リング状のキーティース(36)が設けられ、前記キーティース(36)は、入力側と出力側のコーンホイールが一体となるように、スプラインスリーブ(17)に接続することを特徴とする、請求項2に記載の無段変速機付きギアボックスに適用される無段変速機。
【請求項4】
前記入力フランジ(2)と前記出力フランジ(7)のそれぞれに設けられた環状溝(35)の直径は等しく、
前記入力摩擦リング(3)と接触する入力ダイヤモンドコーンジャイロ(4)の円錐断面の外径は、前記出力摩擦リング(6)と接触する出力ダイヤモンドコーンジャイロ(5)の円錐断面の外径よりも小さいことを特徴とする、請求項3に記載の無段変速機付きギアボックスに適用される無段変速機。
【請求項5】
前記締め付け機構(32)は、加圧ビン(22)と、軸体(9)に取り付けられたプレッシャーディスク(11)とを備え、
前記加圧ビン(22)は、前記プレッシャーディスク(11)が前記出力フランジ(7)に気密に組み付けられて構成され、スラストベアリングとベアリングナット(13)により固定され、
前記加圧ビン(22)は、前記軸体(9)の径方向の壁に設けられた油圧ポート(21)に連通し、前記油圧ポート(21)は、前記軸体(9)のシャフトコアに設けられた貫通孔(37)を通過して、前記貫通孔(37)に設けられた油圧制御ポート(20)に連通し、前記油圧制御ポート(20)は、第1の油圧システム(43)により制御されることを特徴とする、請求項2に記載の無段変速機付きギアボックスに適用される無段変速機。
【請求項6】
スラスト軸受は、軸本体(9)に取り付けられ、左スラスト軸受(10)と右スラスト軸受(12)を備え、前記左スラスト軸受(10)は、前記入力フランジの端部で制限され、前記右スラスト軸受(12)は、軸受ブラケット(38)によりプレッシャーディスク(11)端に取り付けられ、軸受ナット(13)により固定されることを特徴とする、請求項5に記載のCVTギアボックスに適用される無段変速機。
【請求項7】
前記速度調整機構(33)は、外側リングブラケット(14)と、内側ハブブラケット(15)と、ピストンシャフト(16)と、を備え、
前記内側ハブブラケット(15)は軸体(9)に取り付けられ、前記外側リングブラケット(14)はハウジング(30)に取り付けられ、前記ピストンシャフト(16)は中間転動体(34)のシャフトコアを通過し、前記外側リングブラケット(14)と前記内側ハブブラケット(15)の間にボルト(19)で固定され、前記外側リングブラケット(14)と前記内側ハブブラケット(15)の間に傘枠の形状で分布することを特徴とする、請求項2に記載のCVTギアボックスに適用される無段変速機。
【請求項8】
前記ピストンシャフト(16)は、カムシャフトタイプの構造を有し、前記中間転動体(34)の内部は減速制御ビン(23)と加速制御ビン(24)に分離され、
前記ピストンシャフト(16)の一端に、カートリッジ弁(18)を取り付けるための取り付け穴が設けられ、前記カートリッジ弁(18)の内部通路は、前記減速制御ビン(23)と連通し、前記カートリッジ弁(18)と前記取り付け穴との間の加速制御チャンネル(27)は、前記加速制御ビン(24)と連通することを特徴とする、請求項7に記載の無段変速機付きギアボックスに適用される無段変速機。
【請求項9】
外輪支持体(14)の外壁には、加速制御ビン(24)と連通する加速制御油圧ポート(26)と、減速制御ビン(23)と連通する減速制御油圧ポート(25)が設けられ、
各中間転動体(34)は一つの加速制御油圧ポート(26)及び一つの減速制御油圧ポート(25)に対応しており、制御油圧ポートはリング状に分布することを特徴とする、請求項8に記載の無段変速機付きギアボックスに適用される無段変速機。
【請求項10】
前記外輪支持体(14)の外壁に2つの環状凹部(39)が設けられ、前記2つの環状凹部(39)は、前記ハウジング(30)の内壁との間で3つのシール(40)によって互いに隔離され、
前記2つの環状凹部(39)は、環状に配置された加速制御油圧ポート(26)及び減速制御油圧ポート(25)のそれぞれに対応しており、前記ハウジング(30)には、2つの環状凹部(39)のそれぞれと連通する加速制御流体インターフェース(41)及び減速制御流体インターフェース(42)が設けられ、加速制御流体インターフェース(41)及び減速制御流体インターフェース(42)は、第2の油圧システム(44)によって制御されることを特徴とする、請求項9に記載の無段変速機付きギアボックスに適用される無段変速機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無段変速機に関し、特に無段変速機(CVT)付きギアボックスに適用される無段変速機に関する。
【背景技術】
【0002】
現在のCVT機構は、機械式の無段変速機構である。機械式CVTには様々な種類があるが、通常、機械式無段変速機構のトランスミッションは、伝達機構、加圧装置、及び速度調整機構という3つの部分から構成されている。それぞれ必要な機能を実現する機構となっており、無段階変速、加圧、速度調整という3つの機能を実現する。本発明は、既存のCVTの欠点(低伝達トルク、低寿命、ギア比が限られたなどの欠点)を改善・解決しつつ、CVT付きギアボックスに特に適用したCVTの機能を実現するために発明されたものである。 これらの欠点は、主にCVTの変速機構の故障モードに関連している。
【0003】
既存のCVTの主な故障モードは、CVTの伝達機構の摩耗によるものである。このような摩耗には、表面接触疲労、粘着による摩耗(接着を含む)、砥粒による摩耗がある(通常、製品の初期の慣らし運転期間にある。CVTの非主故障モード)。
【0004】
摩擦ペア構造は、非構造的要因(作業条件、粗さ、硬さ、潤滑、温度などの要因)を除けば、接触応力(静的、動的)、転がり(滑り)線速度、応力サイクル数、不連続接触、接線力は、摩耗破壊に関連する構造的要因である。その中でも、接触応力の大きさは最も重要であり、接触応力の値を小さくすることは、伝達トルクと寿命の向上を追求する上で最も重要な目標である。接触応力を低減するために構造的な改良ができない場合、実際の製品設計では、製品寿命を確保するために伝達トルクを小さくする、すなわち、摩擦ペアの接触応力を小さくすることが一般的である。これがCVTの伝達トルクを大きくすることが難しい最大の理由である。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、先行技術の課題を克服し、CVT付きギアボックスに適用される無段変速機を提供するものことである。当該無段変速機は、入力トルクが小さく、変速範囲が限られ、コストが高いなどの既存のCVTの構造的な問題を解決できる。チェーンとスチールベルトタイプの駆動摩擦ペアに置き換えて、スチールリングの摩擦ペアを採用することにより、コストと製造技術を大幅に削減し、CVTをより高性能の応用領域に駆動でき、すべてのATギアボックスをカバーする性能範囲に到達することができる。
【0006】
本発明の目的は、以下の技術手段によって達成される。本発明の無段変速機は、変速機構と、締め付け機構と、速度調整機構とを備え、前記変速機構は、軸体に取り付けられ、軸体の両側に沿って動力入力機構と動力出力機構にそれぞれ接続され、前記締め付け機構は、軸体の軸方向に沿って配設され、且つ、前記変速機構の両側に配置され、前記締め付け機構は、前記変速機構が正常にトルクを伝達するように、第1の油圧システムによって加圧されるように構成され、前記速度調整機構は、前記軸体の径方向端部に配置され、前記変速機構と組み合わされ、前記速度調整機構は、前記第2油圧システムの加減速制御により前記変速機構の変速を実現するように構成される。
【0007】
好ましくは、前記変速機構は、中間転動体と、入力摩擦リングと、出力摩擦リングと、軸体に取り付けられた入力フランジと、出力フランジとを備え、前記入力摩擦リングは、その径方向端面が、前記中間転動体の径方向端面と前記入力フランジに設けられた環状溝の間に挟まれており、前記出力摩擦リングは、その径方向端面が、前記中間転動体の径方向端面と前記出力フランジに設けられた環状溝との間に挟まれており、前記入力摩擦リングと前記出力摩擦リングは、前記締め付け機構によって、前記入力フランジ及び前記出力フランジの前記環状溝と前記中間転動体の間に押し込まれている。
【0008】
好ましくは、前記中間転動体は、入力ダイヤモンドコーンジャイロと出力ダイヤモンドコーンジャイロとスプライン付きシリンダスリーブとを具備する分割構造であり、前記入力ダイヤモンドコーンジャイロと出力ダイヤモンドコーンジャイロの内壁には、リング状のキーティースが設けられており、前記キーティースは、入力側と出力側のコーンホイールが一体となるように、スプラインスリーブに接続されている。
【0009】
好ましくは、前記入力フランジと前記出力フランジのそれぞれに設けられた環状溝の直径は等しく、前記入力摩擦リングと接触する入力ダイヤモンドコーンジャイロの円錐断面の外径は、前記出力摩擦リングと接触する出力ダイヤモンドコーンジャイロの円錐断面の外径よりも小さい。
【0010】
好ましくは、前記締め付け機構は、加圧ビンと、軸体に取り付けられたプレッシャーディスクとを備え、前記加圧ビンは、前記圧力ディスクが前記出力フランジに気密に組み付けられて構成され、スラストベアリングとベアリングナットによって固定されており、前記加圧室は、前記軸体の径方向の壁に設けられた油圧ポートに連通しており、前記油圧ポートは、前記軸体のシャフトコアに設けられた貫通孔を通過して、前記貫通孔に設けられた油圧制御ポートに連通しており、前記油圧制御ポートは、第1の油圧システムによって制御される。
【0011】
好ましくは、前記スラスト軸受は、軸本体に取り付けられ、左スラスト軸受と右スラスト軸受を備え、前記左スラスト軸受は、前記入力フランジ端で制限され、前記右スラスト軸受は、軸受ブラケットによってプレッシャーディスク端に取り付けられ、軸受ナットによって固定される。
【0012】
好ましくは、前記速度調整機構は、外側リングブラケットと、内側ハブブラケットと、ピストンシャフトとを備え、前記内側ハブブラケットは軸体に取り付けられ、前記外側リングブラケットはハウジングに取り付けられ、前記ピストン軸は中間転動体のシャフトコアを通過し、前記外側リングブラケットと前記内側ハブブラケットの間にボルトで固定され、前記外側リングブラケットと前記内側ハブブラケットの間に傘枠の形状で分布している。
【0013】
好ましくは、前記ピストンシャフトは、カムシャフトタイプの構造を有し、前記中間転動体の内部は減速制御ビンと加速制御ビンに分離され、前記ピストン軸の一端に、カートリッジ弁を取り付けるための取り付け穴が設けられて、前記カートリッジ弁の内部通路は、前記減速制御ビンと連通し、前記カートリッジ弁と前記取り付け穴との間の前記加速制御通路は、前記加速制御ビンと連通している。
【0014】
好ましくは、前記外輪支持体の外壁には、加速制御ビンと連通する加速制御油圧ポートと、減速制御ビンと連通する減速制御油圧ポートが設けられ、各中間転動体は一つの加速制御油圧ポート及び一つの減速制御油圧ポートに対応しており、制御油圧ポートはリング状に分布している。
【0015】
好ましくは、前記外輪支持体の外壁に2つの環状凹部が設けられ、前記2つの環状凹部は、前記ハウジングの内壁との間に設置された3つのシールによって互いに隔離され、前記2つの環状凹部は、環状に配置された加速制御油圧ポートおよび減速制御油圧ポートのそれぞれに対応しており、前記ハウジングには、2つの環状凹部のそれぞれと連通する加速制御流体インターフェースおよび減速制御流体インターフェースが設けられており、これらのインターフェースは、第2の油圧システムによって制御される。
本発明の有益な効果は、次のとおりである。
【0016】
1.従来のCVTのパラレルシャフトに比べ、ストレートシャフトタイプの変速機構を採用することで、同じギア比であればよりコンパクトになるというメリットがある。
【0017】
2.変速機構の鋼製リング式の均一リング式機構は、既存のCVTの摩擦ペア(チェーン及びスチールベルト)に比べて構造がシンプルなので、コストが安く、製造プロセスや技術がシンプルで、耐接触疲労性や耐糊性が高く、寿命が長い。
【0018】
3.速度調整機構では、既存のCVTと比較して、独立した制御と速度調整が可能であるため、制御がシンプルで電力制御を最適化することが容易であり、締め付けと速度調整が互いに干渉することなく、信頼性が高く、速度調整圧力をさらに低減できる。
【0019】
4.速度調整機構は、既存のCVTと比較して、独立した締め付け装置を採用して締め付けるため、より信頼性の高い正確な制御と加圧を行うことができ、さらに無効な接触応力を低減し、製品寿命を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の無段変速機の三次元構造の一例を示す斜視図である。
図2】本発明の無段変速機の断面構造の一例を示す模式図である。
図3】本発明の無段変速機の速度調整機構の正面断面構造の一例を示す模式図である。
図4】本発明の無段変速機の中間転動体の分解構造の一例を示す模式図である。
図5】本発明の無段変速機の第1の油圧制御および第2の油圧制御を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して本発明を詳細に説明する。図1図5に示すように、本発明の無段変速機は、変速機構31と、締め付け機構32と、速度調整機構33とを備える。前記変速機構31は、軸体9に取り付けられる。前記変速機構31は、軸体9の両側に沿って動力入力機構と動力出力機構にそれぞれ接続し、前記締め付け機構32は、軸体9の軸方向に沿って配設され、且つ、前記変速機構31の両側に配置され、前記締め付け機構32は、前記変速機構31が正常にトルクを伝達するように、第1の油圧システム43によって加圧されるように構成される。前記速度調整機構33は、前記軸体9の径方向端部に配置され、前記変速機構31と組み合わされ、前記速度調整機構33は、前記第2油圧システム44の加減速制御により前記変速機構31の変速を実現する。当該無段変速機は、入力トルクが小さく、変速範囲が限られ、コストが高いなどの既存のCVTの構造的な問題を解決できる。また、チェーンとスチールベルトタイプの駆動摩擦ペアに置き換えて、スチールリングの摩擦ペアを採用することにより、コストと製造工程が大幅に削減され、CVTをより高性能の応用領域で駆動でき、すべてのATギアボックスをカバーする性能に到達することができる。速度調整機構は、第1の油圧制御システムおよび第2の油圧制御システムにより、既存のCVTと比較して、独立した制御と速度調整である。このため、制御がシンプルで電力制御を最適化することが容易であり、締め付けと速度調整が互いに干渉することなく、信頼性が高く、速度調整圧力をさらに低減できる。また、独立した締め付け装置を採用して締め付けるため、より信頼性の高い正確な制御と加圧を行うことができ、さらに無効な接触応力を低減し、製品寿命を向上させることができる。
【0022】
図2に示すように、変速機構31は、中間転動体34と、入力摩擦リング3と、出力摩擦リング6と、軸体9に取り付けられた入力フランジ2と、出力フランジ7とを備える。入力フランジ2は入力スプライン1に接続し、入力スプライン1は軸体9に取り付けられ、出力フランジ7は出力スプライン8に接続し、出力スプライン8は軸体9に取り付けられる。前記入力摩擦リング3は、その径方向端面が、前記中間転動体34の径方向端面と前記入力フランジ2に設けられた環状溝35の間に挟まれ、前記出力摩擦リング6は、その径方向端面が、前記中間転動体34の径方向端面と前記出力フランジ7に設けられた環状溝35との間に挟まれる。すなわち、入出力摩擦リングの外径は、対応する入出力フランジの環状溝35に接触して溝内を転がりながら運動し、入出力摩擦リングの内径は、対応する中間転動体34のテーパ面に接触して固定断面の等価直径に巻き付けられる。前記入力摩擦リング3と前記出力摩擦リング6は、前記締め付け機構32によって、前記入力フランジ2及び前記出力フランジ7の前記環状溝35と前記中間転動体34の間に押し込まれ、且つ、入力摩擦リング3は、出力摩擦リング6よりも小径であり、非接触でリング内を交差している。
【0023】
図4に示すように、前記中間転動体34は、入力ダイヤモンドコーンジャイロ4と出力ダイヤモンドコーンジャイロ5とスプライン付きシリンダスリーブ17とを具備する分割構造である。前記入力ダイヤモンドコーンジャイロ4と出力ダイヤモンドコーンジャイロ5の内壁には、リング状のキーティース36が設けられ、前記キーティース36は、入力側と出力側のコーンホイールが一体となるように、スプラインスリーブ17に接続する。等間隔に配置された中間ローラ34の数は固定ではなく、入力トルクと可変速比、外輪支持部14の最小許容外径に応じて決定される。
【0024】
前記入力フランジ2と前記出力フランジ7のそれぞれに設けられた環状溝35の直径は等しい。つまり、入力側と出力側の摩擦リングの転動径が等しく、且つ同軸であれば、締め付け力が作用しても中間転動体のオーバーターン力は発生しない。前記入力摩擦リング3と接触する入力ダイヤモンドコーンジャイロ4の円錐断面の外径は、前記出力摩擦リング6と接触する出力ダイヤモンドコーンジャイロ5の円錐断面の外径よりも小さい。
【0025】
上述の変速機構は、従来の可変速対称型から昇速型の機構に変更する(すなわち、中間転動体を非対称構造に変更する)ことで改善され、以下の効果を得ることができる。
1. 昇速型の機構は、同一ギア比、同一出力トルクの条件で、入力トルク(CVTのコア性能パラメータ)を1.5倍以上に大きく向上させることができる。
2、スチールリングの摩擦ペア(入力と出力の摩擦リング)は、異なるサイズのクロス構造であり、中間圧延体の非対称構造を介してスチールリングの内径と中間圧延体の外径を変更することにより、サイズがさらに近く、(a)接触応力が低減して伝達トルクを向上させ、(b)同時に応力サイクルの数を減らし、圧延速度を低減して抗接着剤性と抗接触疲労性を向上させ、(c)同じ構造の空間条件では、より高いギア比を得ることができる。
【0026】
変速機構の主な役割は、摩擦によって動力を駆動することであり、伝達トルクと変速比を変化させることができる。本発明の変速機構の構造は、ダイヤモンドコーン鋼製リングディスク型であることを特徴としており、伝達は中心軸線と上昇速度型であることを特徴としている。
【0027】
動力伝達順序:入力スプライン1→入力フランジ2→入力摩擦リング3→入力ダイヤモンドコーンジャイロ4→出力ダイヤモンドコーンジャイロ5→出力摩擦リング6→出力フランジ7→出力スプライン8。
【0028】
変速メカニズム:入力ダイヤモンドコーンジャイロ4と出力ダイヤモンドコーンジャイロ5とスプラインシリンダースリーブ17は、ピストン軸16を中心に回転し、軸方向に移動可能な中間転動体を構成する。入力摩擦リング3と出力摩擦リング6にそれぞれ挟み込んで接触し、中間転動体のテーパ面接触の等価半径の比が当該変速機構の変速比となる。
【0029】
前記締め付け機構32は、加圧ビン(加圧室)22と、軸体9に取り付けられたプレッシャーディスク11とを備える。前記加圧ビン22は、前記プレッシャーディスク11が前記出力フランジ7に気密に組み付けられて構成され、スラストベアリングとベアリングナット13によって固定される。前記加圧ビン22は、前記軸体9の径方向の壁に設けられた油圧ポート21に連通し、前記油圧ポート21は、前記軸体9のシャフトコアに設けられた貫通孔37を経由して、前記貫通孔37に設けられた油圧制御ポート20に連通し、前記油圧制御ポート20は、第1の油圧システム43によって制御される。
【0030】
前記スラスト軸受は、軸本体9に取り付けられ、左スラスト軸受10と右スラスト軸受12を備える。前記左スラスト軸受10は、前記入力フランジ端で制限され、前記右スラスト軸受12は、軸受ブラケット38によりプレッシャーディスク端に取り付けられ、軸受ナット13により固定される。
締め付け機構の主な役割は、変速機構の伝達摩擦ペア間の滑りを防止し、変速機構によるトルクの正常な伝達を確保することである。
【0031】
圧力伝達の順序:油圧式圧力伝達:第1の油圧システムで制御される圧力→締め付け機構の油圧制御ポート20→加圧ビン22の油圧ポート21→加圧ビン22。
【0032】
入力端の圧力伝達:入力時の圧力伝達:加圧ビンの圧力22→プレッシャーディスク11→ベアリング12→ベアリングナット13→軸体9→左スラストベアリング10 →入力フランジ2→入力摩擦リング3→入力ダイヤモンドコーンジャイロ4。
出力端の圧力伝達:加圧ビンの圧力22→出力フランジ7→出力摩擦リング6→出力ダイヤモンドコーンジャイロ5。
【0033】
加圧原理:入力ダイヤモンドコーンジャイロ4と出力ダイヤモンドコーンジャイロ5にかかる力は、大きさが等しく、方向が逆で、内部はクローズドループのバランスによるクランプ力が生じる。その利点は、より確実で正確な制御と加圧が可能であり、非効率な接触ストレスを低減し、製品寿命を向上させることができることである。
【0034】
図3及び図4に示すように、前記速度調整機構33は、外側リングブラケット14と、内側ハブブラケット15と、ピストンシャフト16とを備える。前記内側ハブブラケット15は軸体9に取り付けられ、前記外側リングブラケット14はハウジング30に取り付けられ、前記ピストン軸16は中間転動体34のシャフトコアを通過し、前記外側リングブラケット14と前記内側ハブブラケット15の間にボルト19で固定され、前記外側リングブラケット14と前記内側ハブブラケット15の間に傘枠の形状で分布している。中間転動体34は、実際にはダブルロッドピストン型の油圧シリンダである。入力ダイヤモンドコーンジャイロ4と出力ダイヤモンドコーンジャイロ5は、スプラインシリンダースリーブ17と組み合わせてスプラインにより互いに接続し、シリンダ本体を形成し、入力摩擦リング3と出力摩擦リング6の間にクランプされて、内圧がかかっても崩壊しない密閉体のシリンダが形成される。シリンダは圧力を受けてピストン軸16の軸方向上下に移動し、且つ、ピストン軸16は中間転動体の回転軸でもある。
【0035】
前記ピストンシャフト16は、カムシャフトタイプの構造を有する。前記中間転動体34の内部は減速制御ビン23と加速制御ビン24に分離されており、減速制御ビン23側に位置するピストン軸16は、半径方向に減速制御ビン油圧ポート28が設けられ、加速制御ビン24側に位置するピストン軸16は、半径方向に加速制御ビン油圧ポート29が設けられている。前記ピストン軸16の一端に、カートリッジ弁18を取り付けるための取り付け穴が設けられ、前記カートリッジ弁18の内部通路は、前記減速制御ビン23と連通し、前記カートリッジ弁18と前記取り付け穴との間の前記加速制御通路27は、前記加速制御ビン24と連通する。
【0036】
前記外輪支持体14の外壁には、加速制御ビン24と連通する加速制御油圧ポート26と、減速制御ビン23と連通する減速制御油圧ポート25が設けられ、各中間転動体34は一つの加速制御油圧ポート26及び一つの減速制御油圧ポート25に対応し、制御油圧ポートはリング状に分布している。
【0037】
前記外輪支持体14の外壁に2つの環状凹部39が設けられ、前記2つの環状凹部39は、前記ハウジング30の内壁との間で3つのシール40によって互いに隔離され、前記2つの環状凹部39は、環状に配置された加速制御油圧ポート26および減速制御油圧ポート25のそれぞれに対応し、前記ハウジング30には、2つの環状凹部39のそれぞれと連通する加速制御流体インターフェース41および減速制御流体インターフェース42が設けられ、これらのインターフェースは、第2の油圧システム44にり制御される。
【0038】
速度調整機構の主な役割は、中間圧延体の入出力端のテーパ接触等価半径を変化させることにより、可変速度機能を実現することである。
【0039】
速度調整の順序:油圧制御システムの順序:第2の油圧システム速度調整加速制御流体インターフェース41→加速制御油圧ポート26→第2の油圧システム速度調整減速制御流体インターフェース42→減速制御油圧ポート25。
加速度調整油圧:加速度調整油圧ポート26→加速度調整チャンネル27→加速度調整ビン油圧ポート29→加速度調整ビン24。
減速制御油圧:減速制御油圧ポート25→カートリッジバルブ18の内部通路→減速制御ビン油圧ポート28→減速制御ビン23。
【0040】
速度調整の原理:速度調整機構は、減速制御ビン23または加速制御ビン24の圧力により、中間転動体が入力摩擦リング3と出力摩擦リング6のクランプ力によって生成された摩擦力を克服するように構成する。ピストンシャフト16の軸方向に沿って対応する上下の動きの速度調整は、移動と同時に、入力ダイアモンドコーンホイールと出力ダイアモンドコーンホイールの接触回転の等価半径の変化に応じて速度を変化させるとともに、速度調整機構の外側リングホルダ14、内側リングホルダ15、及びピストン軸16は、軸体9の軸芯線方向に沿って左右方向にスライドする。
本発明の無段変速機の構造は、既存の無段変速機の構造と比較して、同等の機能で、構造が独創的で、性能が優れている。
機能比較:各構造の機能は同等で、無段階変速、加圧、速度調整の機能を一体として実現できる。
【0041】
機構比較:(1)伝達機構:既存のCVT伝達機構は平行軸、斜板プーリータイプ、対称型速度調整のものであり、伝達摩擦ペアがチェーンまたはスチールベルトである。一方、本発明の伝達機構は、同軸線、プラネタリコーン軌道ディスク型、増速型のものであり、伝達摩擦ペアが二重鋼リングである。(2)加圧装置:既存のCVTは、ダブルシリンダ、ばねと油圧の組み合わせによる加圧式のものである。一方で、本発明の加圧装置は、シングルシリンダ、油圧加圧式である。(3)速度調整機構:既存のCVTは、速度調整機構と加圧装置のハイブリッド油圧速度調整式である。一方、本発明の速度調整機構は、独立した多気筒同期油圧速度調整式である。
【0042】
性能比較:(1)入力トルク:既存のCVTでは280N.m以下であり、本発明のCVTでは470~700N.mである。(2)ギア比:既存のCVTでは7.6以下であり、本発明のCVTでは、最高の入力トルク状態で9.5に到達可能である。(3)寿命:既存のCVTでは300,000キロメートルであり、本発明のCVTでは、無限の寿命(すなわち、製品と同じ寿命)を有する。
【0043】
本発明は、上記の実施形態に限定されない。その形状または材料組成の変化に関係なく、本発明によって提供される構造設計は、本発明の変形であり、本発明の保護範囲に包含されるとみなされる。
【符号の説明】
【0044】
1 入力スプライン、2 入力フランジ、3 入力摩擦リング、4 入力ダイヤモンドコーンジャイロ、5 出力ダイヤモンドコーンジャイロ、6 出力フリクションリング、7 出力フランジ、8 出力スプライン、9 軸体、10 左スラストベアリング、11 プレッシャーディスク、12 右スラストベアリング、13 ベアリングナット、14 外側リングブラケット、15 内側ハブブラケット、16 ピストンシャフト、17 スプラインシリンダースリーブ、18 カートリッジバルブ、19 ボルト、20 油圧制御ポート、21 油圧ポート、22 加圧ビン、23 減速制御ビン、24、加速制御ビン、25、減速制御油圧ポート、26 加速制御油圧ポート、27 加速制御チャンネル、28 減速制御ビン油圧ポート、29 加速制御ビン油圧ポート、30 ハウジング、31 可変速度機構、32 締め付け機構、33 速度調整機構、34 中間転動体、35 環状溝、36 キーティース、37 貫通孔、38 ベアリングブラケット、39 環状凹部、40 シール、41 加速制御流体インターフェース、42 減速制御流体インターフェース、43 第1の油圧システム、44 第2の油圧システム

図1
図2
図3
図4
図5