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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022073933
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】配車管理装置及び配車管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/30 20120101AFI20220510BHJP
   G08G 1/123 20060101ALI20220510BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20220510BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20220510BHJP
   G16Y 40/10 20200101ALI20220510BHJP
【FI】
G06Q50/30
G08G1/123 A
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021115250
(22)【出願日】2021-07-12
(31)【優先権主張番号】P 2020183785
(32)【優先日】2020-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】512200217
【氏名又は名称】株式会社Mobility Technologies
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 隆由
(72)【発明者】
【氏名】脇水 誠
(72)【発明者】
【氏名】足立 宏
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 貴敬
(72)【発明者】
【氏名】織田 拓磨
【テーマコード(参考)】
5H181
5L049
【Fターム(参考)】
5H181AA14
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB13
5H181FF13
5H181FF27
5H181FF33
5H181MA05
5H181MA08
5H181MA13
5L049CC42
(57)【要約】
【課題】1人のユーザから複数の配車依頼を受け付ける場合に、タクシーの運転手の労力が無駄になる事態を抑制できるようにする。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る配車管理装置1は、ユーザから指定日時及び指定位置に配車するための複数の配車依頼を受け付ける受付部131と、複数の配車依頼それぞれの指定日時において当該配車依頼の指定位置に配車するための配車要求を車両に対して送信する要求送信部134と、を有し、受付部は、ユーザから第1の配車依頼を受け付けた後にユーザから第2の配車依頼を受け付ける場合であって、第1の配車依頼の指定日時を基準とした所定の期間に第2の配車依頼の指定日時が含まれるときに、第2の配車依頼を受け付けず、期間に第2の配車依頼の指定日時が含まれないときに、第2の配車依頼を受け付ける。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザから指定日時及び指定位置に配車するための複数の配車依頼を受け付ける受付部と、
複数の前記配車依頼それぞれの前記指定日時において当該配車依頼の前記指定位置に配車するための配車要求を車両に対して送信する要求送信部と、
を有し、
前記受付部は、前記ユーザから第1の前記配車依頼を受け付けた後に前記ユーザから第2の前記配車依頼を受け付ける場合であって、第1の前記配車依頼の前記指定日時を基準とした所定の期間に第2の前記配車依頼の前記指定日時が含まれるときに、第2の前記配車依頼を受け付けず、前記期間に第2の前記配車依頼の前記指定日時が含まれないときに、第2の前記配車依頼を受け付ける、
配車管理装置。
【請求項2】
前記受付部は、前記配車管理装置を管理する管理者から、前記期間の設定を受け付ける、
請求項1に記載の配車管理装置。
【請求項3】
前記ユーザが使用するユーザ端末において前記指定日時の指定を受け付けている間に、前記指定日時が前記期間に含まれているか否かを示す情報を前記ユーザ端末に通知する通知部をさらに有する、
請求項1又は2に記載の配車管理装置。
【請求項4】
前記受付部は、第1の前記配車依頼の前記指定日時及び前記指定位置と、第2の前記配車依頼の前記指定日時及び前記指定位置と、が同一である場合に、前記期間に第2の前記配車依頼の前記指定日時が含まれるときであっても、第2の前記配車依頼を受け付ける、
請求項1から3のいずれか一項に記載の配車管理装置。
【請求項5】
前記受付部は、第1ユーザから前記第1ユーザに対して配車するための第1の前記配車依頼を受け付けた後に、前記第1ユーザから前記第1ユーザとは異なる第2ユーザに対して配車するための第2の前記配車依頼を受け付けた場合に、前記期間に第2の前記配車依頼の前記指定日時が含まれるときであっても、第2の前記配車依頼を受け付ける、
請求項1から4のいずれか一項に記載の配車管理装置。
【請求項6】
前記要求送信部は、前記配車依頼の前記指定日時より前に、前記ユーザに配車されている場合又は前記ユーザが乗車している場合に、当該配車依頼に対する前記配車要求を送信しない、
請求項1から5のいずれか一項に記載の配車管理装置。
【請求項7】
前記要求送信部は、前記配車依頼の前記指定日時より前に、前記ユーザが乗車しており、かつ前記ユーザが乗車している車両の位置又は目的地の少なくとも一方と、前記指定位置と、の関係が所定条件を満たす場合に、当該配車依頼に対する前記配車要求を送信しない、
請求項6に記載の配車管理装置。
【請求項8】
前記受付部は、前記ユーザから受け付けた複数の前記配車依頼のうち所定の数又は割合以上の前記配車依頼に基づいて配車された車両に前記ユーザが乗車しなかった場合に、当該ユーザから受け付けた複数の前記配車依頼のうち残りの前記配車依頼を取り消す、
請求項1から7のいずれか一項に記載の配車管理装置。
【請求項9】
複数の前記配車依頼それぞれの前記指定日時より前の時刻に、当該配車依頼の前記指定位置を基準とする所定の範囲内にいる複数の配車可能車両の中から、候補車両を選択する選択部をさらに有し、
前記要求送信部は、前記選択部が選択した前記候補車両に対して、前記配車要求を送信する、
請求項1から8のいずれか一項に記載の配車管理装置。
【請求項10】
前記選択部は、前記複数の配車可能車両それぞれが前記指定位置に到着する到着予測時刻を予測し、前記複数の配車可能車両の中から、前記到着予測時刻と前記指定日時との関係に基づいて、前記候補車両を選択する、
請求項9に記載の配車管理装置。
【請求項11】
プロセッサが実行する、
ユーザから第1指定日時及び第1指定位置に配車するための第1の配車依頼を受け付けるステップと、
前記ユーザから前記第1の配車依頼を受け付けた後に前記ユーザから第2指定日時及び第2指定位置に配車するための第2の配車依頼を受け付ける場合であって、前記第1指定日時を基準とした所定の期間に前記第2指定日時が含まれるときに、前記第2の配車依頼を受け付けず、前記期間に前記第2指定日時が含まれないときに、前記第2の配車依頼を受け付けるステップと、
前記第1指定日時において前記第1指定位置に配車するための第1配車要求を車両に対して送信するステップと、
前記第2指定日時において前記第2指定位置に配車するための第2配車要求を車両に対して送信するステップと、
を有する、配車管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タクシーの配車を管理する配車管理装置及び配車管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タクシーの配車を管理するシステムが知られている。例えば、特許文献1には、タクシーが空車であるか否かを示すタクシーの状態と、タクシーの位置情報とを管理し、タクシーのユーザから現在位置を受け付けると、当該現在位置の周辺のタクシーを検索し、検索結果をユーザに通知するシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-248848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
1人のユーザから複数の配車依頼を受け付けるようにすると、ユーザは意図せず配車日時が互いに近い複数の配車依頼をしてしまい、いずれかの配車依頼においてユーザが配車地点に現れない状況(いわゆるノーショウ)が発生する場合がある。このような場合に、タクシーの運転手が配車地点まで移動する労力が無駄になってしまい、運転手の不利益になるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、1人のユーザから複数の配車依頼を受け付ける場合に、タクシーの運転手の労力が無駄になる事態を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の配車管理装置は、ユーザから指定日時及び指定位置に配車するための複数の配車依頼を受け付ける受付部と、複数の前記配車依頼それぞれの前記指定日時において当該配車依頼の前記指定位置に配車するための配車要求を車両に対して送信する要求送信部と、を有し、前記受付部は、前記ユーザから第1の前記配車依頼を受け付けた後に前記ユーザから第2の前記配車依頼を受け付ける場合であって、第1の前記配車依頼の前記指定日時を基準とした所定の期間に第2の前記配車依頼の前記指定日時が含まれるときに、第2の前記配車依頼を受け付けず、前記期間に第2の前記配車依頼の前記指定日時が含まれないときに、第2の前記配車依頼を受け付ける。
【0007】
前記受付部は、前記配車管理装置を管理する管理者から、前記期間の設定を受け付けてもよい。
【0008】
前記配車管理装置は、前記ユーザが使用するユーザ端末において前記指定日時の指定を受け付けている間に、前記指定日時が前記期間に含まれているか否かを示す情報を前記ユーザ端末に通知する通知部をさらに有してもよい。
【0009】
前記受付部は、第1の前記配車依頼の前記指定日時及び前記指定位置と、第2の前記配車依頼の前記指定日時及び前記指定位置と、が同一である場合に、前記期間に第2の前記配車依頼の前記指定日時が含まれるときであっても、第2の前記配車依頼を受け付けてもよい。
【0010】
前記受付部は、第1ユーザから前記第1ユーザに対して配車するための第1の前記配車依頼を受け付けた後に、前記第1ユーザから前記第1ユーザとは異なる第2ユーザに対して配車するための第2の前記配車依頼を受け付けた場合に、前記期間に第2の前記配車依頼の前記指定日時が含まれるときであっても、第2の前記配車依頼を受け付けてもよい。
【0011】
前記要求送信部は、前記配車依頼の前記指定日時より前に、前記ユーザに配車されている場合又は前記ユーザが乗車している場合に、当該配車依頼に対する前記配車要求を送信しなくてもよい。
【0012】
前記要求送信部は、前記配車依頼の前記指定日時より前に、前記ユーザが乗車しており、かつ前記ユーザが乗車している車両の位置又は目的地の少なくとも一方と、前記指定位置と、の関係が所定条件を満たす場合に、当該配車依頼に対する前記配車要求を送信しなくてもよい。
【0013】
前記受付部は、前記ユーザから受け付けた複数の前記配車依頼のうち所定の数又は割合以上の前記配車依頼に基づいて配車された車両に前記ユーザが乗車しなかった場合に、当該ユーザから受け付けた複数の前記配車依頼のうち残りの前記配車依頼を取り消してもよい。
【0014】
前記配車管理装置は、複数の前記配車依頼それぞれの前記指定日時より前の時刻に、当該配車依頼の前記指定位置を基準とする所定の範囲内にいる複数の配車可能車両の中から、候補車両を選択する選択部をさらに有し、前記要求送信部は、前記選択部が選択した前記候補車両に対して、前記配車要求を送信してもよい。
【0015】
前記選択部は、前記複数の配車可能車両それぞれが前記指定位置に到着する到着予測時刻を予測し、前記複数の配車可能車両の中から、前記到着予測時刻と前記指定日時との関係に基づいて、前記候補車両を選択してもよい。
【0016】
本発明の第2の態様の配車管理方法は、プロセッサが実行する、ユーザから第1指定日時及び第1指定位置に配車するための第1の配車依頼を受け付けるステップと、前記ユーザから前記第1の配車依頼を受け付けた後に前記ユーザから第2指定日時及び第2指定位置に配車するための第2の配車依頼を受け付ける場合であって、前記第1指定日時を基準とした所定の期間に前記第2指定日時が含まれるときに、前記第2の配車依頼を受け付けず、前記期間に前記第2指定日時が含まれないときに、前記第2の配車依頼を受け付けるステップと、前記第1指定日時において前記第1指定位置に配車するための第1配車要求を車両に対して送信するステップと、前記第2指定日時において前記第2指定位置に配車するための第2配車要求を車両に対して送信するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、1人のユーザから複数の配車依頼を受け付ける場合に、タクシーの運転手の労力が無駄になる事態を抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態に係る配車管理システムの概要を説明するための図である。
図2】実施形態に係る配車管理システムのブロック図である。
図3】配車依頼画面を表示しているユーザ端末の模式図である。
図4】配車依頼確定画面を表示しているユーザ端末の模式図である。
図5】選択部が候補車両を選択する方法を説明するための模式図である。
図6】配車要求画面を表示している乗務員端末の模式図である。
図7】通知画面を表示しているユーザ端末の模式図である。
図8】実施形態に係る配車管理装置が実行する例示的な配車管理方法のフローチャートを示す図である。
図9】配車依頼一覧画面を表示しているユーザ端末の模式図である。
図10】配車依頼画面を表示しているユーザ端末の模式図である。
図11】変形例に係る配車管理装置が実行する例示的な配車管理方法のうち配車依頼を受け付ける処理のフローチャートを示す図である。
図12】変形例に係る配車管理装置が実行する例示的な配車管理方法のうち配車要求を送信する処理のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1実施形態>
[配車管理システムの概要]
図1は、本実施形態に係る配車管理システムの概要を説明するための図である。配車管理システムは、タクシーの配車を管理するシステムであり、配車管理装置1と、ユーザ端末2と、乗務員端末3とを備える。配車管理システムは、その他のサーバ、端末等の機器を含んでもよい。
【0020】
配車管理装置1は、タクシーの配車を管理するサーバ等のコンピュータである。配車管理装置1は、ユーザから指定日時及び指定位置に配車するための配車依頼を受け付け、配車依頼に対して配車可能な車両を選択して配車要求を行う。配車依頼は、タクシーを利用するユーザ(利用客又は乗客ともいう)がタクシーの配車をする事業者に対して配車を希望することを伝えることができる任意の形式の情報を含んでよい。配車管理装置1は、インターネット等の通信ネットワークを介して複数のユーザ端末2及び複数の乗務員端末3と接続されている。
【0021】
ユーザ端末2は、ユーザが使用するスマートフォン、タブレット端末等の情報端末である。ユーザ端末2は、情報を表示可能な液晶ディスプレイ等の表示部と、人間による操作を受け付け可能なタッチパネル等の操作部とを有する。ユーザ端末2は、ユーザからタクシーの配車条件の入力を受け付ける配車アプリケーションプログラム(以下、「配車アプリケーション」という)がインストールされている。
【0022】
乗務員端末3は、タクシーの乗務員(運転手ともいう)が利用するスマートフォン、タブレット端末等の情報端末であり、タクシーに配備されている。乗務員端末3は、カーナビゲーションシステムのように車両と一体化された装置であってもよい。乗務員端末3は、情報を表示可能な液晶ディスプレイ等の表示部と、人間による操作を受け付け可能なタッチパネル等の操作部とを有する。乗務員端末3は、乗務員に対して配車要求を表示したり、乗務員から配車の承諾を受け付けたりする乗務員用アプリケーションプログラム(以下、「乗務員用アプリケーション」という)がインストールされている。
【0023】
本実施形態に係る配車管理システムが実行する処理の概要を以下に説明する。ユーザ端末2は、配車アプリケーションを実行し、ユーザの操作に応じて、タクシーの配車を依頼するための、将来の指定日時及び指定位置に配車するための配車依頼を配車管理装置1に送信する。
【0024】
配車管理装置1は、ユーザ端末2から、指定日時及び指定位置に配車するための配車依頼を受け付ける。配車管理装置1は、指定日時より前の時刻に、指定位置を基準とする所定の範囲内にいる複数の配車可能車両の中から、候補車両を選択する。指定位置を基準とする所定の範囲は、例えば指定位置から所定の距離内の範囲、又は指定位置に配車可能なエリアとして予め設定された範囲である。指定位置を基準とする所定の範囲は、ユーザが配車依頼をした日時と指定日時との差の最小値として設定された時間内に指定位置まで移動することができるエリアとして予め設定された範囲であってもよい。また、指定位置を基準とする所定の範囲は、指定位置に対応する他の位置に基づいて設定された範囲であってもよい。この場合、指定位置を基準とする所定の範囲は、例えば、指定位置が含まれる所定の領域内の基準位置に関連付けられた範囲である。
【0025】
配車管理装置1は、例えば、指定日時の迎車手配時間前の時刻に候補車両を選択する。迎車手配時間は、配車可能な車両が、ユーザ端末2を利用するユーザの位置まで迎車に行くために必要だと想定される時間である。迎車手配時間は、例えば、指定位置の周辺にいる配車可能車両に対して配車要求をした後に当該配車可能車両が指定位置に到達可能な時間として想定される最長の時間である。一例として、迎車手配時間は、上記の所定の範囲において指定位置から最も遠い位置の車両が指定位置に移動するために要すると想定される最長の時間であり、例えば10分間~20分間である。
【0026】
配車管理装置1は、選択した候補車両に対して、指定位置に配車するための配車要求を送信する。候補車両に配備された乗務員端末3は、乗務員用アプリケーションを実行し、乗務員の操作に応じて、配車の承諾を配車管理装置1に送信する。
【0027】
配車管理装置1は、候補車両の乗務員端末3から配車の承諾を受け付けると、当該候補車両をユーザに配車する配車車両として決定し、配車車両の乗務員端末3に対して配車指示を送信する。
【0028】
このように、配車管理装置1は、指定日時より前の時刻に、指定位置の周辺にいる配車可能車両の中からユーザに対して配車する候補車両を選択し、配車要求を送信する。これにより、タクシーの運転手は、指定日時が近付いたタイミングで適宜ユーザに対する配車を引き受けることができるため、指定位置の周辺でタクシーの運行を調整したり、長時間待機したりする必要がない。したがって、配車管理装置1は、タクシーの運転手の負担を軽減しながら、ユーザによって指定された指定日時及び指定位置にタクシーを配車できる。
【0029】
[配車管理システムの構成]
図2は、本実施形態に係る配車管理システムのブロック図である。図2において、矢印は主なデータの流れを示しており、図2に示したもの以外のデータの流れがあってよい。図2において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、図2に示すブロックは単一の装置内に実装されてよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてよい。ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてよい。
【0030】
配車管理装置1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを有する。配車管理装置1は、2つ以上の物理的に分離した装置が有線又は無線で接続されることにより構成されてもよい。また、配車管理装置1は、コンピュータ資源の集合であるクラウドによって構成されてもよい。
【0031】
通信部11は、インターネット等の通信ネットワークを介してユーザ端末2及び乗務員端末3と通信を行うための通信インターフェースである。記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを予め記憶している。記憶部12は、配車管理装置1の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部13との間でデータの授受を行ってもよい。
【0032】
制御部13は、受付部131と、算出部132と、選択部133と、要求送信部134と、配車指示部135と、通知部136と、を有する。制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、受付部131、算出部132、選択部133、要求送信部134、配車指示部135及び通知部136として機能する。制御部13の機能の少なくとも一部は電気回路によって実行されてもよい。また、制御部13の機能の少なくとも一部は、制御部13がネットワーク経由で実行されるプログラムを実行することによって実現されてもよい。
【0033】
受付部131は、指定日時及び指定位置に配車するための配車依頼を受け付ける。ユーザ端末2は、ユーザが指定日時及び指定位置に配車するための配車依頼を入力するための配車依頼画面を表示部上に表示する。図3は、配車依頼画面Aを表示しているユーザ端末2の模式図である。
【0034】
配車依頼画面Aは、ユーザがタクシーの配車を受ける際の出発地である指定位置を入力するための指定位置欄A1と、ユーザがタクシーの配車を受ける日時である指定日時を入力するための指定日時欄A2とを含む。指定位置欄A1は、配車依頼画面Aに含まれている地図上でユーザにより指定された位置を指定位置として受け付けてもよく、ユーザにより入力された住所を指定位置として受け付けてもよい。
【0035】
図3の例では、ユーザ端末2は、指定位置の入力を受け付けた後に指定日時の入力を受け付けているが、各情報の入力を受け付ける際の順序や入力方式は限定されない。さらに配車依頼画面Aは、ユーザがタクシーの配車を受けた後の目的地、ユーザがタクシーの料金の支払いに用いる決済方法等、配車依頼に関するその他の情報の入力を受け付けてもよい。
【0036】
ユーザ端末2は、配車依頼画面Aにおいてユーザにより入力された情報を、配車依頼として配車管理装置1に送信する。配車依頼は、例えば、指定日時及び指定位置を含む情報である。配車管理装置1において、一例として、受付部131は、ユーザ端末2から、指定日時及び指定位置を含む配車依頼を受信する。この時点では、受付部131は、受信した配車依頼を確定しない。
【0037】
また、受付部131は、ユーザ端末2とは異なる端末から指定日時及び指定位置を示す情報を受信した後、ユーザ端末2から指定日時及び指定位置を含まない配車依頼を受信してもよい。この場合に、受付部131は、例えば、ユーザ端末2を利用するユーザを識別するためのユーザ識別情報(以下、ユーザID)が設定されたユーザ端末2から受信した配車依頼と、当該ユーザIDが設定された他の端末から受信した指定日時及び指定位置と、を関連付ける。
【0038】
算出部132は、配車管理装置1が、指定日時における配車依頼を受け付けるか否かを決定するために使用される、ユーザが指定した時刻に配車ができる確率である配車成功確率を算出する。算出部132は、例えば、指定位置を基準とする所定の範囲内にいる車両による過去の配車の実績に関する情報に基づいて、配車成功確率を算出する。算出部132は、配車成功確率を算出するために、一例として指定位置を含む周辺領域における過去の配車可能車両の数に対応する統計情報を取得する。周辺領域は、例えば、タクシーが業務として走行可能な指定位置を含む営業区域や、指定位置を中心とした所定範囲(例えば、半径2kmの円)の領域等の所定領域である。
【0039】
統計情報は、例えば、周辺領域においてタクシーの平均供給数と、過去の配車に要した実績配車時間とを含む。平均供給数は、例えば、時間帯ごと、曜日ごと、日付ごと等の区分で集計された、配車可能なタクシーの数の平均値である。実績配車時間は、例えば、地図上の網状領域(メッシュ)ごとに、時間帯ごと、曜日ごと、日付ごと等の区分で集計された、所定確率(例えば、95パーセンタイル)で配車に掛かった時間である。
【0040】
算出部132は、統計情報が含む平均供給数及び実績配車時間に基づいて、タクシーが指定位置に到達するために要すると推定される時間である推定所要時間を算出する。算出部132は、例えば、統計情報が含む平均供給数と、算出された推定所要時間とに基づいて、指定日時において指定位置に配車できる配車成功確率を算出する。配車成功確率は、所定の迎車手配時間内に配車可能なタクシーが確保でき、かつ当該タクシーが指定位置に到着できる確率である。
【0041】
算出部132は、例えば、指定日時の時間帯、曜日又は日付と同じ区分の平均供給数を用いて、迎車手配時間から推定所要時間を引いた時間内に、一又は複数のユーザから既に受け付けた配車依頼の数より多い数のタクシーが確保できる確率を、配車成功確率として算出する。
【0042】
また、算出部132は、統計情報に代えて、指定位置を基準とする所定の範囲における過去の配車の実績を用いて、指定日時において指定位置に配車できる配車成功確率を算出してもよい。算出部132は、推定所要時間及び配車成功確率を算出するために、ここに示した具体的な方法に限定されず、過去の配車の実績に関する情報に基づいたその他の方法を用いてもよい。
【0043】
また、算出部132は、指定日時における指定位置を基準とする所定の範囲の予測状況に応じて、配車依頼に掛かる手配料金を算出する。算出部132は、例えば、指定日時における指定位置を基準とする所定の範囲の天候状況を示す天気予報情報、及び指定日時における指定位置を基準とする所定の範囲の交通状況を示す交通予測情報を、外部のサーバから取得する。算出部132は、指定日時において既に受け付けた配車依頼の数、天気予報情報及び交通予測情報に基づいて、手配料金を算出する。
【0044】
算出部132は、例えば、天気予報情報が悪天候を示す場合に、そうでない場合よりも手配料金を高くしてもよい。算出部132は、例えば、交通予測情報が渋滞の発生を示す場合に、そうでない場合よりも手配料金を高くしてもよい。
【0045】
算出部132は、指定日時において既に受け付けた配車依頼の数が多いほど手配料金を高くしてもよい。算出部132は、指定日時以前の所定の期間内に受け付けた配車依頼の数が多いほど手配料金を高くしてもよい。当該期間は、1回の乗車時間の平均値に対応しており、例えば15分である。算出部132がこのように配車依頼の数に基づいて手配料金を決定することで、配車依頼が発生する頻度の平準化につながる。
【0046】
また、算出部132は、指定日時に加えて、指定日時を基準とする所定の期間における指定日時とは異なる一又は複数の候補日時(例えば、指定日時の10分前及び10分後)に対して、同様の方法で配車成功確率及び手配料金を算出する。算出部132は、算出した配車成功確率及び手配料金を受付部131に通知する。
【0047】
受付部131は、配車の指定日時をユーザに設定してもらうための配車依頼確定画面をユーザ端末2が表示させるために必要な情報をユーザ端末2に送信する。受付部131は、例えば、算出部132が算出した配車成功確率に基づいて決定した指定日時及び候補日時の選択可否、及び指定日時及び候補日時にタクシーを手配するために必要になる手配料金を含む情報を、ユーザ端末2に送信する。ユーザ端末2は、配車管理装置1から受信した情報に基づいて、ユーザが配車依頼を確定するための配車依頼確定画面を表示部上に表示する。図4(a)、図4(b)は、配車依頼確定画面Bを表示しているユーザ端末2の模式図である。
【0048】
図4(a)は、配車成功確率が所定の閾値(例えば、0.95、0.99等の所定値)以上である場合に表示される配車依頼確定画面Bを表している。一方、図4(b)は、配車成功確率が当該閾値未満である場合に表示される配車依頼確定画面Bを表している。
【0049】
配車依頼確定画面Bは、ユーザが指定日時を選択するための指定日時選択欄B1と、ユーザが候補日時を選択するための候補日時選択欄B2とを含む。指定日時選択欄B1は、ユーザが配車依頼画面Aで指定した指定日時と、指定日時の手配料金と、を表している。候補日時選択欄B2は、指定日時とは異なる一又は複数の候補日時(例えば、指定日時の10分前及び10分後)と、一又は複数の候補日時それぞれの手配料金と、を表している。候補日時選択欄B2は、配車成功確率が閾値未満の候補日時を表さず、配車成功確率が閾値以上の候補日時のみを表している。
【0050】
このように、配車管理装置1は、指定日時及び候補日時と、指定日時及び候補日時それぞれの手配料金とを関連付けてユーザに対して提示する。手配料金は配車依頼の混雑度、天気予報、交通予測等に応じて異なるように設定されているため、配車管理装置1は、特定の日時に配車依頼が集中することを抑制することができる。
【0051】
受付部131は、ユーザ端末2に表示された配車依頼確定画面Bにおいて指定日時又は候補日時のいずれかの選択を受け付ける。受付部131は、配車依頼確定画面Bにおいて選択された指定日時又は候補日時において、配車依頼画面Aにおいて指定された指定位置に配車するための配車依頼を、確定された配車依頼として受け付け、ユーザIDと関連付けて記憶部12に記憶させる。
【0052】
配車依頼確定画面Bにおいて、配車成功確率が閾値以上である場合に図4(a)のように指定日時選択欄B1は選択可能であり、配車成功確率が閾値未満である場合に図4(b)のように指定日時選択欄B1は選択不可能である。すなわち、受付部131は、配車成功確率が閾値以上であることを条件として、指定日時及び指定位置に配車するための配車依頼を受け付ける。このように、配車管理装置1は、統計情報に基づいて算出された指定日時の配車成功確率が高いことを条件として、指定日時における配車依頼を受け付けるため、指定日時の直前になってタクシーが手配できない確率を低下させ、ユーザに不利益が生じることを抑制できる。
【0053】
一方、受付部131は、配車成功確率が閾値未満である場合には、指定日時の配車依頼を受け付けず、選択された候補日時及び指定位置に配車するための配車依頼を受け付ける。このように、配車管理装置1は、統計情報に基づいて算出された指定日時の配車成功確率が低い場合には、指定日時とは異なる配車成功確率が高い候補日時をユーザに提案するため、ユーザの利便性を向上できる。
【0054】
また、受付部131は、配車成功確率に代えて又は加えて、指定日時において既に受け付けた配車依頼の数に基づいて、指定日時における配車依頼を受け付けるか否かを判定してもよい。この場合に、受付部131は、記憶部12に予め記憶された、日時ごとに配車依頼を受け付け可能な最大数を示す情報を取得する。
【0055】
最大数は、日時ごとに固定された値であってもよく、指定日時における指定位置を基準とする所定の範囲の天候状況又は交通状況の少なくとも一方に応じて決定される値であってもよい。受付部131は、例えば、配車管理システムを提供する事業者の端末において、最大数の値の設定を受け付ける。また、受付部131は、例えば、天候情報又は交通状況と、配車依頼を受け付け可能な数と、を予め関連付けたテーブルを用いて、指定日時における指定位置を基準とする所定の範囲の天候状況又は交通状況の少なくとも一方に関連付けられた数を、最大数の値として決定してもよい。
【0056】
また、受付部131は、指定位置を基準とする所定の範囲における過去の配車依頼数に基づいて、最大数を決定してもよい。この場合に、受付部131は、例えば、過去の配車依頼数が少ないほど最大数を大きくし、過去の配車依頼数が多いほど最大数を小さくする。
【0057】
受付部131は、指定日時において既に受け付けた配車依頼の数が最大数以上である場合に、指定日時に配車するための配車依頼を受け付けず、そうでない場合に配車依頼を受け付ける。これにより、配車管理装置1は、指定日時の直前になってタクシーが手配できない確率を低下させることができる。
【0058】
配車依頼確定画面Bにおいて、指定日時において既に受け付けた配車依頼の数が最大値未満である場合に図4(a)のように指定日時選択欄B1は選択可能であり、指定日時において既に受け付けた配車依頼の数が最大値以上である場合に図4(b)のように指定日時選択欄B1は選択不可能である。
【0059】
すなわち、受付部131は、指定日時において既に受け付けた配車依頼の数が最大値未満であることを条件として、指定日時及び指定位置に配車するための配車依頼を受け付ける。一方、受付部131は、指定日時において既に受け付けた配車依頼の数が最大値以上である場合には、指定日時の配車依頼を受け付けず、選択された候補日時及び指定位置に配車するための配車依頼を受け付ける。
【0060】
このように、配車管理装置1は、日時ごとに受付可能な配車依頼の数に応じて指定日時における配車依頼の受け付け可否を切り替えて別の候補日時を提案するため、指定日時の直前になってタクシーが手配できない確率を低下させ、ユーザに不利益が生じることを抑制できる。
【0061】
選択部133は、受付部131がユーザからの配車依頼を受け付けたことに応じて、指定日時より前の時刻に、配車を指示する車両を選択する。選択部133は、例えば、指定日時の迎車手配時間前の時刻に、受付部131が受け付けた配車依頼が含む指定日時及び指定位置に基づいて、指定位置を基準とする所定の範囲内にいる複数の配車可能車両の中から、配車要求を送信する対象の候補車両を選択する。上述したように、迎車手配時間は、指定位置の周辺にいる配車可能車両に対して配車要求をした後に当該配車可能車両が指定位置に到達可能な時間として想定される最長の時間であり、例えば10分間~20分間の所定の時間である。
【0062】
候補車両の選択に用いる所定の範囲は、例えば、指定位置を含む周辺領域である。周辺領域は、例えば、タクシーが業務として走行可能な指定位置を含む営業区域や、指定位置を中心とした所定範囲(例えば、半径2kmの円)の領域等の所定領域である。また、候補車両の選択に用いる所定の範囲は、指定位置を含まず、指定位置を基準として定義される領域であって、指定位置を含まない領域(例えば、指定位置を中心としたドーナツ状の領域)であってもよい。所定の範囲の形状は円形に限らず、他の形状であってもよい。所定の範囲の境界線は、市区町村の境界線又はタクシー事業者の営業範囲の境界線により定められていてもよい。
【0063】
選択部133は、例えば、指定日時に指定位置に到着できる確率が高い候補車両を優先的に選択し、選択した候補車両が配車に応じることができない場合に、直前に選択した候補車両を除いた車両の中から指定日時に指定位置に到着できる可能性がある他の候補車両を選択する。選択部133は、例えば、直前に選択した候補車両よりも早く指定位置に到着できる可能性がある他の候補車両を次に選択する。選択部133は、選択した候補車両を要求送信部134に通知し、要求送信部134に、候補車両に対して配車要求を送信させる。
【0064】
要求送信部134は、選択部133が選択した候補車両に配備された乗務員端末3に対して、指定位置に配車するための配車要求を送信する。配車要求は、例えば、指定位置を含む情報である。配車要求は、指定位置に加えて、指定日時を含んでもよい。
【0065】
図5は、選択部133が候補車両を選択する方法を説明するための模式図である。図5は、指定位置を含む周辺領域Rを表している。周辺領域Rは、例えば、タクシーが業務として走行可能な指定位置を含む営業区域や、指定位置を中心とした所定範囲(例えば、半径2kmの円)の領域等の所定領域である。
【0066】
図5の例は、指定日時が17:00であり、迎車手配時間が12分に設定されているため、現在時刻である16:48に選択部133が候補車両の選択を開始した状況を表している。
【0067】
選択部133は、受付部131が受け付けた配車依頼が含む指定日時及び指定位置を取得する。また、選択部133は、複数のタクシーそれぞれに配備された乗務員端末3から、GPS(Global Positioning System)を用いて特定された当該タクシーの位置を示す位置情報を取得する。
【0068】
選択部133は、複数のタクシーそれぞれの位置情報に基づいて、指定位置を含む周辺領域R内にいる複数の配車可能車両を特定する。配車可能車両は、周辺領域R内に位置しており、かつ空車のタクシーである。選択部133は、特定した複数の配車可能車両それぞれが指定位置に到着する到着予測時刻を予測する。選択部133は、例えば、既知の経路探索方法を用いて、配車可能車両の位置から指定位置までの経路を探索し、所定速度の配車可能車両が探索された経路を走行して指定位置に到着する到着予測時刻を算出する。選択部133は、到着予測時刻を予測するために、ここに示した具体的な方法に限定されず、その他の方法を用いてもよい。
【0069】
選択部133は、複数の配車可能車両の中から、到着予測時刻と指定日時との関係に基づいていずれか1つの候補車両を選択し、要求送信部134に候補車両に対して配車要求を送信させる。選択部133は、例えば複数の配車可能車両の中から、到着予測時刻が指定日時の所定時間前(例えば2分前)の時刻に最も近い車両を、候補車両として選択する。これにより、配車管理装置1は、ユーザによって指定された指定日時よりも少し前にタクシーが指定位置に到着するように調整し、タクシーが長時間待機することなく指定日時に遅延することを抑制できる。
【0070】
後述のように候補車両が配車要求を承諾しなかった場合に、選択部133は、配車要求を承諾しなかった候補車両以外の複数の配車可能車両の中から、指定日時の所定時間前(例えば2分前)の時刻に最も近い到着予測時刻を有する車両を、候補車両として改めて選択し、要求送信部134に候補車両に対して配車要求を送信させる。また、選択部133は、配車要求を承諾しなかった候補車両よりも早い時刻に到着できる車両を、候補車両として選択してもよい。選択部133は、いずれかの候補車両が配車要求を承諾するまで、候補車両の選択を繰り返す。これにより、配車管理装置1は、タクシーの乗務員の意思を尊重しながら、ユーザに対して指定日時に配車できるタクシーを探すことができる。
【0071】
図5の例は、選択部133が、配車可能車両として車両V1、V2、V3を特定し、車両V1、V2、V3それぞれの指定位置Pへの到着予測時刻を予測した状況を表している。選択部133は、指定日時である17:00の2分前の時刻に最も近い到着予測時刻を有する車両V1を、候補車両として選択し、要求送信部134に車両V1に対して配車要求を送信させる。車両V1が配車要求を承諾しなかった場合には、選択部133は、指定日時である12:00の2分前の時刻に車両V1の次に近い到着予測時刻を有する車両V2を、候補車両として選択し、要求送信部134に車両V2に対して配車要求を送信させる。
【0072】
選択部133は、周辺領域R内にいる配車可能車両の数に応じて迎車手配時間を決定してもよい。この場合に、選択部133は、例えば、配車可能車両の数が多いほど迎車手配時間を短くし、配車可能車両の数が少ないほど迎車手配時間を長くする。これにより、配車管理装置1は、指定位置の周辺に空車のタクシーが少なく、タクシーが決定するまでに時間が掛かると見込まれる場合には、迎車手配時間を長くするため、ユーザに対して指定日時に配車できる確率を高めることができる。
【0073】
また、選択部133は、指定位置における天候状況又は交通状況に応じて迎車手配時間を決定してもよい。この場合に、選択部133は、外部のサーバから天気予報情報及び交通予測情報を取得する。算出部132は、例えば、天気予報情報が悪天候を示す場合に、そうでない場合よりも迎車手配時間を長くする。算出部132は、例えば、交通予測情報が渋滞の発生を示す場合に、そうでない場合よりも迎車手配時間を長くする。これにより、配車管理装置1は、悪天候によりタクシーの需要が高まる場合や、渋滞によりタクシーが指定位置に到着するまでに時間が掛かる場合には、迎車手配時間を長くするため、ユーザに対して指定日時に配車できる確率を高めることができる。
【0074】
乗務員端末3は、配車管理装置1から受信した配車要求に基づいて、乗務員が配車依頼を承諾するための配車要求画面を表示部上に表示する。図6は、配車要求画面Cを表示している乗務員端末3の模式図である。配車要求画面Cは、配車要求が含む指定位置と、乗務員端末3が配備されたタクシーの位置とを、地図上に表している。また、配車要求画面Cは、乗務員から配車要求を承諾する操作を受け付ける。
【0075】
候補車両が配車要求を承諾しなかった場合、すなわち乗務員端末3において乗務員による配車要求を承諾する操作が所定時間行われなかった場合に、配車管理装置1において、選択部133は、配車要求を承諾しなかった候補車両を除外して、図5に示した方法で候補車両を改めて選択する。
【0076】
候補車両が配車要求を承諾した場合に、配車指示部135は、配車要求を承諾した候補車両を配車車両として確定し、指定日時において指定位置に配車することを示す配車指示を配車車両に送信する。配車車両の乗務員は、配車管理装置1から受信した配車指示が示す指定日時及び指定位置に従って配車し、ユーザを乗車させる。
【0077】
また、選択部133は、複数の配車可能車両の中から、到着予測時刻と指定日時との関係に基づいて複数の候補車両を選択し、要求送信部134に複数の候補車両それぞれに対して配車要求を送信させてもよい。選択部133は、例えば指定位置を基準とする所定の範囲内のタクシーに一斉に配車要求を送信する。この場合に、配車指示部135は、複数の候補車両のうち、配車要求を承諾したいずれか1つの候補車両を配車車両として確定する。
【0078】
また、選択部133は、候補車両を選択する前に、指定日時において指定位置に配車できるか否かを判定し、通知部136は、選択部133が配車できないと判定した場合に所定の情報をユーザに通知してもよい。選択部133は、指定日時において指定位置に配車できるか否かを判定するために、例えば、指定日時の迎車手配時間前の時刻に、外部のサーバから天気予報情報及び交通予測情報を取得する。選択部133は、例えば、天気予報情報が悪天候を示す場合や、交通予測情報が渋滞の発生を示す場合に、指定日時において指定位置に配車できないと判定する。
【0079】
また、選択部133は、指定日時の迎車手配時間前の時刻に、指定位置を基準とする所定の範囲内の空車のタクシーの数を示す情報を外部のサーバから受信し、空車のタクシーの数が配車依頼の数よりも少ない場合に、指定日時において指定位置に配車できないと判定してもよい。また、選択部133は、指定位置を基準とする所定の範囲内の空車のタクシーの数に加えて、実車のタクシーであって指定位置を基準とする所定の範囲に到着する予定のタクシーの数を用いて、指定日時において指定位置に配車できるか否かを判定してもよい。この場合に、選択部133は、例えば、カーナビゲーションシステムに入力された目的地が指定位置を基準とする所定の範囲内であるタクシー、又は出発地から予測された到着地が指定位置を基準とする所定の範囲内であるタクシーを示す情報を外部のサーバから受信し、当該タクシーを指定位置を基準とする所定の範囲に到着する予定のタクシーとする。
【0080】
選択部133が配車できないと判定した場合に、通知部136は、指定日時において指定位置に配車できないことをユーザに通知する通知情報を生成し、ユーザ端末2に送信する。ユーザ端末2は、配車管理装置1から受信した通知情報を含む通知画面を表示部上に表示する。
【0081】
図7は、通知画面Dを表示しているユーザ端末2の模式図である。通知画面Dは、指定日時において指定位置に配車できないことをユーザに通知する通知情報を含む。また、通知画面Dは、配車依頼を続けること又は配車依頼を取り消すことを選択する操作をユーザから受け付ける。選択部133は、ユーザによって配車依頼を続けることが選択された場合に候補車両の選択を行い、ユーザによって配車依頼を取り消すことが選択された場合に候補車両の選択を行わない。これにより、配車管理装置1は、ユーザに対して時間通りに配車できない可能性を通知し、ユーザの意思に応じて候補車両の選択をするか否かを切り替えることができるため、ユーザの不満を軽減できる。
【0082】
[配車管理方法のフローチャート]
図8は、本実施形態に係る配車管理装置1が実行する例示的な配車管理方法のフローチャートを示す図である。配車管理装置1において、受付部131は、ユーザ端末2から、指定日時及び指定位置に配車するための配車依頼を受信する(S11)。算出部132は、統計情報に基づいて、指定日時において指定位置に配車できる配車成功確率を算出する(S12)。また、算出部132は、指定日時における指定位置を基準とする所定の範囲の予測状況に応じて、配車依頼に掛かる手配料金を算出する。また、算出部132は、指定日時前後の候補日時に対して、同様に配車成功確率及び手配料金を算出する。
【0083】
受付部131は、算出部132が算出した配車成功確率及び手配料金を含む情報を、ユーザ端末2に送信する。受付部131は、ユーザ端末2において指定日時又は候補日時のいずれかの選択を受け付ける(S13)。受付部131は、選択された指定日時又は候補日時において、指定位置に配車するための配車依頼を、確定された配車依頼として受け付ける。
【0084】
指定日時の迎車手配時間前の時刻になっていない場合(S14のNO)、選択部133は待機する。指定日時の迎車手配時間前の時刻になった場合(S14のYES)、選択部133は、受付部131が受け付けた配車依頼が含む指定日時及び指定位置に基づいて、配車要求を送信する対象の候補車両を選択する(S15)。
【0085】
要求送信部134は、選択部133が選択した候補車両に配備された乗務員端末3に対して、指定位置に配車するための配車要求を送信する(S16)。候補車両が配車要求を承諾しなかった場合に(S17のNO)、選択部133は、配車要求を承諾しなかった候補車両を除外して、ステップS15に戻って候補車両を改めて選択する。
【0086】
候補車両が配車要求を承諾した場合に(S17のYES)、配車指示部135は、配車要求を承諾した候補車両を配車車両として確定し、指定日時において指定位置に配車することを示す配車指示を配車車両に送信する(S18)。
【0087】
[実施形態の効果]
本実施形態に係る配車管理システムによれば、配車管理装置1は、指定日時より前の時刻に、指定位置の周辺にいる配車可能車両の中からユーザに対して配車する候補車両を選択し、配車要求を送信する。これにより、タクシーの運転手は、指定日時が近付いたタイミングで適宜ユーザに対する配車を引き受けることができるため、指定位置の周辺でタクシーの運行を調整したり、長時間待機したりする必要がない。したがって、配車管理装置1は、タクシーの運転手の負担を軽減しながら、ユーザによって指定された指定日時及び指定位置にタクシーを配車できる。
【0088】
<第2実施形態>
本実施形態において、配車管理システムは、1人のユーザから複数の配車依頼を受け付ける。本実施形態に係る配車管理システムは、例えば、図1及び図2に示した構成を有する。以下、第1実施形態とは異なる部分を主に説明する。
【0089】
ユーザから複数の配車依頼を受け付けるために、ユーザ端末2は、図3に例示した配車依頼画面Aを表示する前に、配車依頼一覧画面を表示部上に表示する。図9(a)、図9(b)は、配車依頼一覧画面Eを表示しているユーザ端末2の模式図である。ユーザがまだ配車依頼を行っていない場合に、配車依頼一覧画面Eは、新たな配車依頼を行うためのボタンE1を含む。
【0090】
ユーザが既に一又は複数の配車依頼を行った場合に、配車依頼一覧画面Eは、新たな配車依頼を行うためのボタンE1と、配車依頼情報E2と、を含む。配車依頼情報E2は、配車管理装置1の受付部131がユーザから受け付けた一又は複数の配車依頼それぞれに関する情報である。配車依頼情報E2は、例えば、指定日時、手配料金、指定位置(出発地)及び目的地を含む。
【0091】
ユーザ端末2は、配車依頼一覧画面EにおいてユーザによりボタンE1を選択する操作が行われた場合に、図3に例示した配車依頼画面Aを表示部上に表示する。ユーザ端末2は、配車依頼画面Aにおいてユーザにより入力された情報を、配車依頼として配車管理装置1に送信する。配車管理装置1において、受付部131は、ユーザ端末2から、例えば指定日時及び指定位置を含む配車依頼を受信する。このように、受付部131は、ユーザ端末2に表示された配車依頼一覧画面E及び配車依頼画面Aにおいて配車依頼を順次受け付けることによって、ユーザから指定日時及び指定位置に配車するための複数の配車依頼を受け付けることができる。
【0092】
受付部131は、ユーザから2つ目以降の配車依頼を受け付ける場合に、既に受け付けた配車依頼の指定日時と、新たな配車依頼の指定日時と、の関係に基づいて、新たな配車依頼を受け付けるか否かを判定する。2つ目以降の配車依頼は、指定日時が到来していない他の配車依頼が残っている状態でユーザが行う配車依頼である。1つ目の配車依頼は、指定日時が到来していない他の配車依頼が残っていない状態でユーザが行う配車依頼である。
【0093】
受付部131は、例えば、ユーザから第1の配車依頼を受け付けた後に当該ユーザから第2の配車依頼を受け付ける場合であって、第1の配車依頼の指定日時を基準とした除外期間に第2の配車依頼の指定日時が含まれるときに、第2の配車依頼を受け付けず、除外期間に第2の配車依頼の指定日時が含まれないときに、第2の配車依頼を受け付ける。第1の配車依頼は、例えば、ユーザから既に受け付けた一又は複数の配車依頼のうち、配車がまだ行われていない(すなわち、指定日時が到来していない)一又は複数の配車依頼それぞれである。これにより、受付部131は、複数の配車依頼の指定日時が互いに近い場合に配車依頼を受け付けないようにするため、ユーザが意図せず指定日時が互いに近い複数の配車依頼をしてしまうことを防ぎ、タクシーの運転手の労力が無駄になる事態を抑制できる。
【0094】
除外期間は、複数の配車依頼の指定日時が含まれることを許可しない期間である。除外期間は、例えば、30分、1時間、1日等の予め定められた時間によって表される。また、除外期間は、配車管理装置1を管理する管理者によって設定されてもよい。この場合に、受付部131は、管理者が使用するスマートフォン、タブレット端末等の情報端末において指定された期間を、除外期間として受け付ける。これにより、配車管理装置1は、複数の配車依頼において受け付け可能とする指定日時の間隔を容易に調整可能にできる。
【0095】
通知部136は、ユーザ端末2において指定日時の指定を受け付けている間に、指定日時が除外期間に含まれているか否かを示す情報をユーザ端末2に通知してもよい。受付部131は、例えば、ユーザ端末2において指定された指定日時を取得し、取得した指定日時を第2の配車依頼の指定日時として、第1の配車依頼の指定日時を基準とした除外期間に第2の配車依頼の指定日時が含まれるか否かを判定する。
【0096】
通知部136は、指定日時が除外期間に含まれている場合に、指定日時が除外期間に含まれていることを示す通知情報を、ユーザ端末2に送信する。ユーザ端末2は、配車管理装置1から受信した通知情報を、配車依頼画面A上に表示する。
【0097】
図10は、配車依頼画面Aを表示しているユーザ端末2の模式図である。配車依頼画面Aは、図3に例示した指定日時欄A2に加えて、通知情報A3を含む。通知情報A3は、例えば、指定日時が除外期間に含まれていることを示すメッセージを含む。これにより、配車管理装置1は、ユーザが指定している指定日時が除外期間か否かをユーザに通知し、ユーザが他の指定日時を指定するように促すことができる。
【0098】
第1実施形態と同様の方法で、算出部132は、配車成功確率及び手配料金を算出する。受付部131は、配車成功確率及び手配料金に基づいて、配車依頼確定画面をユーザ端末2が表示させるために必要な情報をユーザ端末2に送信する。ユーザ端末2は、配車管理装置1から受信した情報に基づいて、ユーザが配車依頼を確定するための配車依頼確定画面を表示部上に表示する。
【0099】
受付部131は、配車依頼確定画面において選択された指定日時又は候補日時において、配車依頼画面において指定された指定位置に配車するための配車依頼を、確定された配車依頼として受け付ける。確定された配車依頼は、図9(b)に例示した配車依頼一覧画面Eの配車依頼情報E2として表示される。
【0100】
選択部133は、一又は複数の配車依頼それぞれの指定日時より前の時刻に、配車を指示する車両を選択する。選択部133が1つの配車依頼に基づいて車両を選択する方法は、第1の実施形態と同様である。選択部133は、例えば、一又は複数の配車依頼それぞれの指定日時の迎車手配時間前の時刻に、当該配車依頼の指定位置を基準とする所定の範囲内にいる複数の配車可能車両の中から、候補車両を選択する。
【0101】
要求送信部134は、一又は複数の配車依頼それぞれの指定日時において当該配車依頼の指定位置に配車するための配車要求を、選択部133が選択した候補車両に対して送信する。要求送信部134が1つの配車依頼に基づいて配車要求を送信する方法は、第1の実施形態と同様である。
【0102】
候補車両が配車要求を承諾した場合に、配車指示部135は、配車要求を承諾した候補車両を配車車両として確定し、指定日時において指定位置に配車することを示す配車指示を配車車両に送信する。配車車両の乗務員は、配車管理装置1から受信した配車指示が示す指定日時及び指定位置に従って配車し、ユーザを乗車させる。
【0103】
配車指示部135が配車指示を送信した後、受付部131は、ユーザに対して配車されていること、ユーザが配車された車両に乗車していること、ユーザが乗車している車両の目的地、ユーザが配車された車両から降車したこと等を示す配車実績情報を、乗務員端末3から受信し、ユーザIDと関連付けて記憶部12に記憶させる。
【0104】
受付部131は、記憶部12に記憶された配車実績情報に基づいて、ユーザから受け付けた複数の配車依頼のうち所定の数又は割合以上の配車依頼に基づいて配車された車両に当該ユーザが乗車しなかった場合に、当該ユーザから受け付けた複数の配車依頼のうち残りの配車依頼を取り消す。受付部131は、例えば、記憶部12において、配車依頼を削除し、又は配車依頼に取り消されたことを示す情報(フラグ等)を関連付けることによって、配車依頼を取り消す。これにより、配車管理装置1は、配車依頼をしたにも関わらず乗車しないことが多いユーザの配車依頼を自動的に取り消し、乗務員に不利益が生じる確率を低減することができる。
【0105】
[配車管理方法のフローチャート]
図11は、本変形例に係る配車管理装置1が実行する例示的な配車管理方法のうち配車依頼を受け付ける処理のフローチャートを示す図である。配車管理装置1において、受付部131は、ユーザ端末2から、指定日時及び指定位置に配車するための配車依頼を受信する(S21)。
【0106】
受付部131は、ユーザ端末2から受信した配車依頼が2つ目以降の配車依頼であるか否か(すなわち、同一のユーザから既に配車依頼を受け付けたか否か)を判定する(S22)。受付部131が、受信した配車依頼がユーザの1つ目の配車依頼であると判定した場合に(S22のNO)、配車管理装置1は、ステップS25に進む。
【0107】
受付部131が、受信した配車依頼がユーザからの2つ目以降の配車依頼であると判定した場合に(S22のYES)、受付部131は、受け付けようとしている配車依頼を第2の配車依頼とし、既に受け付けた第1の配車依頼の指定日時を基準とした除外期間に第2の配車依頼の指定日時が含まれるか否かを判定する。第1の配車依頼は、例えば、ユーザから既に受け付けた一又は複数の配車依頼のうち、配車がまだ行われていない(すなわち、指定日時が到来していない)一又は複数の配車依頼それぞれである。
【0108】
第2の配車依頼の指定日時が除外期間に含まれると受付部131が判定した場合に(ステップS23のYES)、受付部131は、第2の配車依頼を受け付けず、通知部136は、指定日時が除外期間に含まれていることを示す通知情報を、ユーザ端末2に送信する(ステップS24)。配車管理装置1は、ステップS21に戻る。第2の配車依頼の指定日時が除外期間に含まれないと受付部131が判定した場合に(ステップS23のNO)、受付部131は、第2の配車依頼を受け付け、配車管理装置1は、ステップS25に進む。
【0109】
算出部132は、統計情報に基づいて、指定日時において指定位置に配車できる配車成功確率を算出する(S25)。また、算出部132は、指定日時における指定位置を基準とする所定の範囲の予測状況に応じて、配車依頼に掛かる手配料金を算出する。また、算出部132は、指定日時前後の候補日時に対して、同様に配車成功確率及び手配料金を算出する。
【0110】
受付部131は、算出部132が算出した配車成功確率及び手配料金を含む情報を、ユーザ端末2に送信する。受付部131は、ユーザ端末2において指定日時又は候補日時のいずれかの選択を受け付ける(S26)。受付部131は、選択された指定日時又は候補日時において、指定位置に配車するための配車依頼を、確定された配車依頼として受け付ける。
【0111】
ユーザから配車依頼の受け付けを終了していない場合に(S27のNO)、配車管理装置1は、ステップS21~S27を繰り返す。ユーザから配車依頼の受け付けを終了した場合に(S27のYES)、配車管理装置1は、処理を終了する。
【0112】
図12は、本変形例に係る配車管理装置1が実行する例示的な配車管理方法のうち配車要求を送信する処理のフローチャートを示す図である。図12のフローチャートに係る処理は、図11のフローチャートに係る処理の後に行われてもよく、図11のフローチャートに係る処理と並行して行われてもよい。
【0113】
ユーザから受け付けた一又は複数の配車依頼それぞれの指定日時の迎車手配時間前の時刻になっていない場合に(S31のNO)、選択部133は待機する。ユーザから受け付けた一又は複数の配車依頼のいずれかの指定日時の迎車手配時間前の時刻になった場合に(S31のYES)、選択部133は、当該配車依頼が含む指定日時及び指定位置に基づいて、配車要求を送信する対象の候補車両を選択する(S32)。
【0114】
要求送信部134は、選択部133が選択した候補車両に配備された乗務員端末3に対して、指定位置に配車するための配車要求を送信する(S33)。候補車両が配車要求を承諾しなかった場合に(S34のNO)、選択部133は、配車要求を承諾しなかった候補車両を除外して、ステップS32に戻って候補車両を改めて選択する。
【0115】
候補車両が配車要求を承諾した場合に(S34のYES)、配車指示部135は、配車要求を承諾した候補車両を配車車両として確定し、指定日時において指定位置に配車することを示す配車指示を配車車両に送信する(S35)。配車車両の乗務員は、配車管理装置1から受信した配車指示が示す指定日時及び指定位置に従って配車し、ユーザを乗車させる。
【0116】
配車指示部135が配車指示を送信した後、受付部131は、ユーザに対して配車されていること、ユーザが配車された車両に乗車していること、ユーザが乗車している車両の目的地、ユーザが配車された車両から降車したこと等を示す配車実績情報を、乗務員端末3から受信し、ユーザIDと関連付けて記憶部12に記憶させる。
【0117】
記憶部12に記憶された配車実績情報に基づいて、ユーザから受け付けた複数の配車依頼のうち所定の数又は割合以上の配車依頼に基づいて配車された車両に当該ユーザが乗車しなかった場合に(S36のYES)、受付部131は、当該ユーザから受け付けた複数の配車依頼のうち残りの配車依頼を取り消し(S37)、そうでない場合に(S36のNO)、配車管理装置1は、ステップS38に進む。配車管理装置1は、全ての配車依頼に対応する配車が終了した場合に(S38のYES)、処理を終了し、そうでない場合に(S38のNO)、ステップS31に戻る。
【0118】
[実施形態の効果]
本実施形態に係る配車管理システムによれば、配車管理装置1は、指定日時が互いに近い複数の配車依頼を受け付けないようにする。これにより、配車管理装置1は、ユーザが意図せず指定日時が互いに近い複数の配車依頼をしてしまうことを抑制し、ユーザが指定位置に現れない状況を発生しづらくすることができる。したがって、配車管理装置1は、1人のユーザから複数の配車依頼を受け付ける場合に、タクシーの運転手が指定位置まで移動する労力が無駄になる事態を抑制できる。
【0119】
[第1変形例]
ユーザから受け付けた配車依頼の指定日時の直前に、ユーザに対して配車中の場合又はユーザが乗車中の場合に、ユーザは配車依頼の指定位置に現れないおそれが大きい。このような場合に、本変形例に係る配車管理装置1は、配車要求を送信しない。
【0120】
要求送信部134は、ユーザから受け付けた一又は複数の配車依頼それぞれの指定日時より前の時刻に、ユーザに配車されているか否かと、ユーザが乗車しているか否かと、を判定する。要求送信部134が判定を行う時刻は、例えば、第1実施形態における、指定日時の迎車手配時間前の時刻である。また、要求送信部134が判定を行う時刻は、指定日時の10分前、30分前等、指定日時の所定時間前の時刻であってもよい。要求送信部134は、例えば、記憶部12に記憶された配車実績情報に基づいて、ユーザに配車されているか否かと、ユーザが乗車しているか否かと、を判定する。
【0121】
要求送信部134は、ユーザに配車されていると判定した場合又はユーザが乗車していると判定した場合に、当該配車依頼に対する配車要求を候補車両に送信しない。一方、要求送信部134は、配車依頼の指定日時より前の時刻に、ユーザに配車されておらず、かつユーザが乗車していないと判定した場合に、当該配車依頼に対する配車要求を候補車両に送信する。これにより、配車管理装置1は、配車中又は乗車中のユーザに対して配車をしないようにし、タクシーの運転手の労力が無駄になる事態を抑制できる。
【0122】
また、要求送信部134は、記憶部12に記憶された配車実績情報に基づいて、ユーザが乗車しており、かつユーザが乗車している車両の目的地と配車依頼の指定位置との関係が所定条件を満たすと判定した場合に、当該配車依頼に対する配車要求を送信しなくてもよい。目的地と指定位置との関係は、例えば、目的地と指定位置とが所定距離(10km、30km等)以上、離れていることである。ユーザが乗車している車両の目的地と、配車依頼の指定位置とが大きく離れている場合には、ユーザは配車依頼の指定位置に現れない確率が高い。要求送信部134は、乗車中の車両の目的地が指定位置から離れているユーザに対して配車要求を送信しないことで、タクシーの運転手の労力が無駄になる事態を抑制できる。
【0123】
また、要求送信部134は、ユーザが乗車している車両の目的地と指定位置との関係に加えて、ユーザが目的地に到着する予定の時刻と指定日時との関係に基づいて、配車依頼に対する配車要求を送信するか否かを判定してもよい。一例として、要求送信部134は、記憶部12に記憶された配車実績情報に基づいてユーザが乗車していることを特定した車両が走行中の位置を示す位置情報を、通信部11を介して取得する。要求送信部134は、ユーザが乗車している車両の位置と目的地との距離、及び車両の走行速度(例えば平均走行速度)に基づいて、目的地に到着する予定の時刻を算出する。さらに、要求送信部134は、目的地と指定位置との距離に基づいて目的地から指定位置までの移動に要する時間を算出し、ユーザが車両の位置から目的地を介して指定位置に最短で到着できると推定される時刻を算出する。要求送信部134は推定時刻が配車依頼の指定日時よりも後である場合に、配車要求を送信しない。要求送信部134がこのように動作することで、ユーザが指定日時までに指定位置に到着しないことを高い精度で検出できるので、タクシーの運転手の労力が無駄になる事態を抑制できる。
【0124】
要求送信部134は、記憶部12に記憶された配車実績情報に基づいてユーザが乗車していることを特定した車両が走行中の位置を示す位置情報を、通信部11を介して取得し、車両が走行中の位置と指定位置との距離が所定の条件を満たす場合に、配車要求を送信しないようにしてもよい。一例として、要求送信部134は、ユーザが乗車している車両の位置と指定位置との距離、及び車両の走行速度(例えば平均走行速度)に基づいて、車両が指定位置に到着できると推定される時刻を算出する。要求送信部134は推定時刻が配車依頼の指定日時よりも後である場合に、配車要求を送信しない。要求送信部134がこのように動作することで、ユーザが指定日時までに指定位置に到着しないことを高い精度で検出できるので、タクシーの運転手の労力が無駄になる事態を抑制できる。
【0125】
[第2変形例]
配車管理装置1は、1人のユーザから指定日時及び指定位置に同時に複数の車両を配車するための配車依頼を受け付ける場合がある。本変形例において、配車管理装置1は、ユーザが複数の車両を同時に配車することを希望する場合に、複数の配車依頼の指定日時の間の関係によらず、複数の配車依頼を受け付ける。
【0126】
受付部131は、例えば、ユーザ端末2から、同時に配車する複数の車両に対応する複数の配車依頼を受信する。また、受付部131は、1つの配車依頼とともに配車する車両の台数を受信し、当該台数が2台以上である場合に、当該配車依頼を当該台数に対応する複数の配車依頼として受け付けてもよい。
【0127】
受付部131は、例えば、複数の配車依頼のうち、第1の配車依頼の指定日時及び指定位置と、第2の配車依頼の指定日時及び指定位置と、が同一である場合に、除外期間に第2の配車依頼の指定日時が含まれるときであっても、第2の配車依頼を受け付ける。これにより、配車管理装置1は、ユーザが複数の車両の同時配車を希望する場合に、複数の配車依頼の指定日時が互いに近い場合であっても複数の車両を配車することを可能にし、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0128】
[第3変形例]
配車管理装置1は、あるユーザから別のユーザに対して配車するための配車依頼を受け付ける場合がある。本変形例において、配車管理装置1は、あるユーザが別のユーザに対して配車することを希望する場合に、複数の配車依頼の指定日時の間の関係によらず、複数の配車依頼を受け付ける。
【0129】
受付部131は、例えば、ユーザ端末2から、配車依頼とともに、配車先のユーザを識別するためのユーザIDを受信し、配車依頼と配車先のユーザのユーザIDとを関連付けて記憶部12に記憶させる。受付部131は、例えば、第1ユーザから第1ユーザに対して配車するための第1の配車依頼を受け付けた後に、第1ユーザから第1ユーザとは異なる第2ユーザに対して配車するための第2の配車依頼を受け付けた場合に、除外期間に第2の配車依頼の指定日時が含まれるときであっても、第2の配車依頼を受け付ける。
【0130】
第1ユーザが第2ユーザのために配車依頼をする状況においては、第1ユーザが行った複数の配車依頼の指定日時が近いことは、第1ユーザが指定位置に現れない要因にはなりづらい。そこで、本変形例に係る配車管理装置1は、第1ユーザが第2ユーザに対して配車を希望する場合に、第1ユーザに対して配車するための配車依頼の指定日時と、第2ユーザに対して配車するための配車依頼の指定日時とが互いに近い場合であっても、車両を配車することを可能にし、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0131】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【0132】
配車管理装置1のプロセッサは、図8図11図12に示す配車管理方法に含まれる各ステップ(工程)の主体となる。すなわち、配車管理装置1のプロセッサは、図8図11図12に示す配車管理方法を実行するためのプログラムを記憶部12から読み出し、該プログラムを実行することによって、図8図11図12に示す配車管理方法を実行する。図8図11図12に示す配車管理方法に含まれるステップは一部省略されてもよく、ステップ間の順番が変更されてもよく、複数のステップが並行して行われてもよい。
【符号の説明】
【0133】
1 配車管理装置
13 制御部
131 受付部
132 算出部
133 選択部
134 要求送信部
135 配車指示部
136 通知部

図1
図2
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