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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022073937
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】電子冷却マスク
(51)【国際特許分類】
   A62B 18/02 20060101AFI20220510BHJP
   A61L 2/00 20060101ALI20220510BHJP
   A41D 13/11 20060101ALI20220510BHJP
   A62B 18/08 20060101ALI20220510BHJP
   A61L 2/14 20060101ALN20220510BHJP
   A61L 2/16 20060101ALN20220510BHJP
【FI】
A62B18/02 C
A61L2/00
A41D13/11 Z
A41D13/11 M
A62B18/08 A
A61L2/14
A61L2/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021121138
(22)【出願日】2021-07-23
(31)【優先権主張番号】P 2020183385
(32)【優先日】2020-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021113946
(32)【優先日】2021-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】712013062
【氏名又は名称】伊原 正典
(72)【発明者】
【氏名】伊原 正典
【テーマコード(参考)】
2E185
4C058
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185CB09
2E185CB19
2E185CC32
2E185DA17
4C058AA30
4C058BB06
4C058BB07
4C058EE26
4C058JJ01
4C058KK06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】健康面での問題が生じないようにするために呼吸に伴う気体の冷却を効率的に行うことが可能なマスクを提供する。
【解決手段】マスクに電子冷却素子1001を取り付け、呼吸に伴う気体を冷却する際に、櫛状の構造を持つ電子冷却部3001等を設けることにより、呼吸に伴う気体の冷却を効率的に行う。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
日常保護用品の技術分野における、
健康を維持するための呼吸安全に用いる鼻腔及び口腔に用いるマスクであって、
マスクの内側とマスクの外側の熱交換を直接行う熱交換部品を具備し、
前記熱交換部品の内側に具備された冷却部において、呼吸における呼気がマスク内に体温の影響を受けた状態で残存し、
残存した体温の影響下にある呼気を前記冷却部で冷却することにより、
体温を帯びたままの呼気の再吸引を回避する構造で構成されるとともに、
前記マスクの内側に具備される櫛状及び若しくは柱状といった任意の凹凸状に構成された熱交換部品を、
鼻孔下及び口唇前部における身体とマスクとの隙間空間に具備することを特徴とする、
鼻腔及び口腔に用いる電子冷却マスク
【請求項2】
日常保護用品の技術分野における、
健康を維持するための呼吸安全に用いる鼻腔及び口腔に用いるマスクであって、
外側のマスク部と内側のフィルター部の間に、
櫛状をはじめとする任意の凹凸のある熱交換部を、
具備することを特徴とする、
鼻腔及び口腔に用いる電子冷却マスク
【請求項3】
日常保護用品の技術分野における、
健康を維持するための呼吸安全に用いる鼻腔及び口腔に用いるマスクであって、
外側のマスク部に具備された冷却部の一部を延長し、
体表を直接冷却することを特徴とする体表冷却部品を、
具備することを特徴とする、
鼻腔及び口腔に用いる電子冷却マスク
【請求項4】
請求項1及び若しくは請求項2及び若しくは請求項3のマスクであって、
マスク内側のマイクと外側のスピーカ及び若しくはイヤフォンとを用いて、
直接及び若しくは無線による
使用者間の通話を可能及び若しくは改善することにより、
ウイルスや細菌・毒物などの健康を害する環境への接触率を下げることを特徴とする、
鼻腔及び口腔に用いるマスク
【請求項5】
請求項1及び若しくは請求項2及び若しくは請求項3のマスクであって、
除菌・抗菌・抗ウイルス機能を、
具備することを特徴とする、
鼻腔及び口腔に用いるマスク
【請求項6】
請求項1及び若しくは請求項2及び若しくは請求項3のマスクであって、
マスク内で結露した水分を外部に導出させ、
導出した水分の蒸発に伴う熱放散によって、
マスク外部の熱放散を行くことを特徴とする、
鼻腔及び口腔に用いるマスク
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日常保護用品の技術分野に関し、特に呼吸のためのマスクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
マスクは、日常生活に広く適用され、鼻部と口部を遮り、花粉、微粒子、埃、ウィルスや病原菌などの空気における汚染物質を防いで健康維持のための保護機能を果たすものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本 実用新案 003227863
【特許文献2】日本 実用新案 003229764
【特許文献3】日本 特開2008-031581
【特許文献4】日本 特開2012-533327
【特許文献5】国際 WO/2010-047382
【特許文献6】国際 WO/2017-057168
【0004】
これら特許文献によれば、電子冷却で身体を冷却する方法や大型冷媒循環を用いた呼吸冷却が提案されている。
【非特許文献】
【0005】
2020年、外で涼むなら首掛けクーラー!「ネッククーラーNeo」の冷却効果をチェック!
https://kaden.watch.impress.co.jp/docs/column_review/kdnreview/1259705.html
スポーツのお供にも。フィリップスから息がしやすい電動ファン内蔵マスクが登場
https://www.gizmodo.jp/2020/12/philips-face-mask.html
2020年12月03日調査
【0006】
非特許文献によれば、一つ目のリンクは首に直接ペルチェ素子の冷却面を接触させて、外部電源からの九電で猛暑を乗り切ろうとするための商品が開発されている。また、適当な先行特許文献は国内では検索できなかった。また、二つ目のリンクは呼吸を楽にするために電動ファンで空気の吸引を行い、呼吸を楽にする製品が開発されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
昨今のコロナウイルスの蔓延により、真夏の暑い時期でもマスクをする必要が生じているが、呼吸における熱気がマスク内に滞留し、マスク内の気体が体温相当もしくはそれ以上の温度と高湿度となるため、呼吸による体内温度や温度の調整を目的とした熱排出ができないという課題が生じており、熱中症や熱射病などの健康被害が懸念されている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
真夏の屋外で、安定的に体温より低い気体の吸気を行わないことには、前記健康被害の懸念を払拭することはできない。このため、本課題を解決するために想到可能な方法として、上述の先行文献における非特許文献で参照されるサイト情報と同様に、ペルチェ素子を具備したマスクで内側と外側の熱交換を行い、内側にペルチェ素子の冷却面を備えるように構成することが検討できる。
更には、近年開発された特殊塗装による冷却効果などのある塗料を用いるなどの方法によって実現してもよい。
暑さ対策にも効果アリ、地球上で最も白い塗料ができました(2021.04.24確認)
https://www.gizmodo.jp/2021/04/white-paint-for-global-warming.html
【0009】
しかしながら、発明者が実際に作成してみたところ、内側にペルチェ素子の冷却面を向けても、呼吸における十分な温度低下。特に呼吸において生じる気体の温度はどうしても体温相当となり、呼気排気に伴う蒸散効果による体の上昇温抑制を十分には行えないという課題がさらに見つかるという結果を得ることになった。
【0010】
このような状況において、呼吸排気に伴う体温かかる廃熱において蒸散効果を含め、より呼吸に伴う廃熱効率を改善するためには、冷却部における呼気気体の接触面積をより広くする必要があると考えに至り、ペルチェ素子の冷却面に呼吸中の空気との接触面を広げることのできる櫛状の熱交換部品を更に設けることで、呼吸時の気体が口腔部とマスクの内側に滞留する部分を設けるとともに、冷却面と口腔部の間に櫛状の追加冷却部を設けることで、課題の効率的な解決を行った。
【0011】
加えて、呼気の湿気が呼気の冷却に伴い、本件の櫛状冷却部に結露するため、結露した水分をドレインホースなどにより外側に排出し、排出された水分を本件の発熱廃熱面に導出させることにより、廃熱面上の内部に結露した水分を蒸散させることで、放熱効率を結露水分の気化に伴う蒸散廃熱効果を利用し、より高性能な廃熱若しくは冷却効率の改善を実現できるようにしてもよい。
【0012】
さらには、無線通信機能などによりウィルスや細菌、化学毒、粉塵などへの人体の暴露を減らすことで、呼吸を安全にできるように構成できる。
【発明の効果】
【0013】
上述の非特許文献1にあるネッククーラーのように単純な面冷却ではなく高さが0.3cm-5cm程度ある櫛状の熱交換部品をペルチェ素子の冷却面に具備することで、呼気及び吸気の温度を外気温や呼気温度より下げることができるという効果が確認された。
【0014】
さらに、実用新案003227863に対しては、通常マスクにおけるマスク抗菌性に関し、“抗菌処理を施した布”と記載されている。本発明においては熱交換金属部などによる金属イオンによる抗菌設計がなされているため、一般的な抗菌処理をした布とは抗菌設計が根本的に異なるため特段の効果がある。
【0015】
さらに、実用新案003229764に対しては、ファンによる外気吸入による気体を電子冷却する。該当新案は本発明のような滞留した気体に熱交換を行うのではなく、ファンによる強制吸気と強制冷却を行っているため相対的に新案と本発明において同一時間あたりに冷却部と接触する空間における気体の滞留時間に差が生じ、本発明よりも新案の方の滞留時間が減少してしまうため冷却性能が著しく低下してしまう問題がある。本発明は強制吸気ファンによる動的吸気冷却ではなく人の自然呼吸若しくは単なるファン吸気でのマスク内に滞留した気体の温度を下げることが目的であり、体温相当温度でマスク内に滞留している気体を十分に冷却する特段の効果がある。
【0016】
特開2008-031581に対しては、半導体素子により冷媒を冷却し衣服との接触部で熱交換することで衣服に装着された冷却部品を冷却し、体温を下げることが記載されている。本発明は呼気に対し冷媒等を使わず直接冷却することにより、体表ではなく体内の肺に吸引される気体の温度を下げることで、体内からの冷却を促し肺におけるガス交換と同時に血液の熱交換に伴う血液冷却によって生じる身体の血液循環に伴った身体冷却効率などの改善という効果がある。
【0017】
特開2012-533327に対しては、出願内容の0053セクションによるとマスク内洗浄を水で行う際にファンなどの電気的可動部品に悪影響を与える可能性が指摘されている。本発明は洗浄部に電気的可動部などがないため記載されているような問題は起きないという特段の効果がある。
【0018】
国際出願WO/2010-047382に対しては、冷媒を冷やすことにより身体に装着するパッド内に冷媒を循環させて身体冷却を行う。本発明は冷却媒体を使わないためポンプなどが必要なくなり電力効率が改善するとともに肺における血液の熱交換によって体温を下げる効果がある。
【0019】
国際出願WO/2017-057168に対しては、水による冷却媒体により口部と鼻孔部を覆う部品で部品内の気体を冷却し呼吸気体の温度を下げるとともに、弁を用いた部品により呼気を排気することで部品内の呼気による熱が留まらないように構成されている。本発明は国際出願のような冷媒を用いないため冷媒循環ポンプなどが必要なくなり電力効率が改善するとともに、非常にコンパクトな構成となる。
この際、口唇部前部と鼻孔下部というマスクと身体の隙間という非常に狭い空間に熱交換部を構成し収めることが可能な小型熱交換部を具備することで、従来品と比較して非常に小さな単位容積あたりの空気冷却を可能とするとともに、特に体温で上昇した呼気を効率的に冷却することにより、周辺温度が体温程度もしくはそれ以上に高い場所であっても身体への悪影響を回避することを可能とする。
特に本国際先願に関し冷媒が水であるため氷点下以下への冷却が事実上不可能な構成(食塩水であっても-4℃程度)であるため、冷媒を用い冷媒循環を行う冷却部と比較して、本発明においては直接熱交換を行う電子冷却部により十分に低いマイナス温度を提供することができるが、冷媒に安全のために水などを用いる冷却マスクでは吸気気体温度を十分に下げることは不可能という課題を解決する効果がある。
【0020】
すなわち、上述されるすべての先行事例はマスク単体の内側と外側とがフィルタにより確実に分離された設計における熱交換において、冷媒を用いずに直接熱交換を行う構成にはなっておらず、冷媒を介してマスク内側の熱を別段の設置による専用の冷媒冷却装置部で冷却する構成であり、特に冷媒の搬送にポンプなどを用いる形となっているため電力効率が非常に悪いという課題がある。もしくは強制吸入される気体を直接冷却する構成となっているため熱交換構造が非常に非効率であるものばかりとなっている。更には冷媒を用いずに大型ファンを駆動するため電力効率や容積率が大幅に悪化しているものもある。加えて、フィルタが冷却部とフェイスラインの間にある冷却構造となっていることで、呼気がフィルタ通過後に冷却され、使用者が罹患している場合でも外排気に対しても充分に汚染された呼気を輩出しない構成となっている。更には、右に吸気ファン、中央に冷却部、左側に排気ファンという構成にすることで、呼気の循環性を上げるようにすることもできる。
【0021】
本発明は容積率や電力効率を改善し、ポンプなどの機械系の故障の生じる可能性の低減や、ファンによる強制吸引で多量の空気を強制的に冷却している訳ではないので、大型吸気ファンによる強制吸気において単位時間当たりの冷却性能を極端に上げる必要がなくなり、十分に低い電力で呼吸に必要な量の空気の温度を下げることが可能となるばかりではなく、呼気のフィルタリングも充分に行うことができ、ファンの循環によりマスクの外側のメッシュが荒くても罹患者の呼気をフィルタリングして排気できるという特徴がある。
【0022】
このように従来の条件と比較して、本発明はマスク内に滞留する体温を帯びた呼気を冷却するとともに、容積の少ない冷却部を用いて呼吸に伴うマスク内に滞留する体温を帯びた気体を冷却することで、温度の高いマスク内の気体の冷却を実現し、呼吸に伴う呼気の滞留時間内に呼吸に必要な気体に充分な冷却を行うことを可能とする効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】マスクを装着した状態での外観
図2】マスクの外側
図3】マスクの内側 (a)フィルタ無し (b)フィルタ有り
図4】マスクの側面から見た場合の構造模式透視図例
図5】マスクの側面から見た場合のドレイン付き構造模式透視図例
図6】マスクの内側の気体強制循環の構成例(a)フィルタ無し(b)フィルタ有り
図7】マスクのバリエーション例(a)市販品利用(b)体表直接冷却
【発明を実施するための形態】
【実施例0024】
まず、図1に基づいて、外観側から説明する。この写真にあるマスクはウレタン製で多少の厚みがあるものの、冷却部品をマスクに固定するには、十分な強度が無いという課題があり、その課題を解決するために、マスクにスペーサー若しくはフレームとして樹脂などで構成された部品をマスクに具備させることで、冷却ユニットを保持できる強度を保てるように構成する。なお、ウレタンマスクに限らず適当なメッシュ素材で構成されたそれなりの強度のある繊維でマスクを構成してもよい。更には電子冷却部に電動ファンを適宜具備することで、冷却効率を改善できるように構成してもよい。
【0025】
外観としては、図1のように外部からUSB給電などにより冷却素子が動作するように構成され、電子冷却素子によってマスク一体型の冷却部を備えることができる。この給電は太陽電池などであってもよく、この冷却ユニットにはペルチェ素子などの電子熱交換部が具備され、簡便な構造にすることを可能としている。更には画像の様な空冷ではなく、より大きな、液冷などの熱交換部を備えてもいいが、重量的には軽量なペルチェ素子などが好ましい。
【0026】
このようにして構成された冷却部は、呼吸における気体を一時的に滞留するだけの容積が冷却部と顔面との間の隙間に存在する構成となっており、顔面部と冷却部の構造は側面から観察した場合、図4においてフェイスライン4000と櫛状冷却部3001の間にある隙間の構造が想定される。そして、マスクのフェイスライン4000に伴う口腔・鼻腔部と櫛状熱交換冷却部3001の間に、マスクに用いられるフィルタ部3002が構成されている。このフィルタ部の素材の違いによりマスクの性能自体は任意に設計できるものと考えることが好ましい。
【0027】
前述のように構成された櫛状冷却部によって、呼吸気体の滞留する容積を十分に確保することができる。この構成により、一呼吸の呼吸のタイミングの短い時間で、冷却に伴う熱交換に十分な容積を確保することができるため、呼吸に伴う身体的熱交換における吸気を十分に冷却できるようになり、呼気によって温度の上昇したままの気体を再度吸い込むという可能性が激減し、マスクを常用することによって呼吸に伴う廃熱効率が悪化しないようにすることが可能なフィルタ付きマスクを構成することができる。更には、通気性を改善するための構成として、マスク素材をメッシュ状の素材を用いたり、電動ファンを用いて内部を陽圧にしたりすることで呼吸における負荷が軽減されるように構成してもよい。
【0028】
図2は本発明の外観を表示している。マスクの構成として、通常のゴムひもなどによるマスクより強度のあるマスクと、必要であれば、それなりに重量のある電子クーラー1001を支えるために、樹脂などで構成された固定具1002(電子クーラーを固定することでクーラー付きマスクを実現する)と、によって電子冷却マスク1000は構成されており、マスク素材の強度が充分にあるならば、固定具1002は具備しない構成であってもよい。
【0029】
図3の(a)は本発明のマスクの内側に、櫛状熱交換冷却部3001が構成されている様子を示している。さらに、(b)は櫛状熱交換部の上にマスクの主たる機能であるフィルタが構成され固定されている。また、それぞれの図3(a)(b)の中央から見て左右に具備された円状の部分は、呼気(排気)する際に、弁状の構造物を持たせることで、呼気(排気)を楽に排出できるように構成されてるものと考えてもよい。また、マスクの性能は(b)に図示されるフィルタの性能によって、変化するものと考えてもよい。
【0030】
さらに、本発明の冷却部は結露することも十分考えられるため、外部に排水するためのドレインホースや、結露に伴う湿度上昇によって生じるカビや雑菌の増殖などへの対策のために、銀や銅などのイオンコートなどをはじめとする適切な抗菌・殺菌素材を用いることで、本発明に用いられる呼吸に伴う感染などのリスクを下げるように構成されたり、電気的なプラズマやイオンによる消臭や殺菌といった機能を、更に具備したりする構成であってもよい。
【0031】
なお、冷却部の気体接触面積を広げるための櫛状熱交換金属部分は熱伝導率の高いモノであることがより効果的であり、接触面積を広げるために3mm程度の起伏による熱交換部から5cm程度の起伏による熱交換部といった、幅の広い設計が可能であり、熱力学的に、より、熱交換効率を高めるための工夫がなされていることが好まく、発明者は3mmから15mm程度の高さを持つ櫛状・フィン状・刺状・柱状とそれらの林立形状の熱交換部を用いて実験をしている。更には電子冷却素子を二枚重ねにするなど複数枚重ねることで、より利用者にとって効率的に十分な冷却を実現できるように構成することも可能である。
【0032】
更には、前述の結露で生じる水分をドレインホースでマスクの内側から外側に排出するとともに、外側に具備される電子部品などで構成される熱交換部の放熱部にドレインホースなどにより排出された結露に伴う水分を流入させることで、放熱部上で前記水分を蒸散させることにより、外側の放熱効率を改善させることにより本発明のマスクにおける全体的な冷却性能の改善を行ってもよい。
【0033】
更には、半導体冷却素子1004を挟む形で構成された冷却部と廃熱部の熱交換部の構造を図5のように内側から外側へ向けたドレインホース5001を用いて、熱交換部品の内側冷却面で結露した水分をマスク外側蒸散廃熱部5002に流すことで、結露水分の蒸散に伴う気化熱としての吸熱により廃熱効率をより改善することができるように構成することも可能である。
【0034】
更に、本発明におけるフィルタ部3002を任意の固定手段を用いてPM2.5対応やN95相当に交換可能とすることで利用目的に応じて性能を変化させたり、クーラー固定具1002部分にスプリングやラチェット機構などで取外し可能な機能を具備する固定機構を備えさせることによって電動ファン部や電動ファン付き冷却部1001を取り外し可能としたりすることで、本発明による製品の洗浄をより容易に行ったりすることができるようにしてもよい。
【0035】
更に、マスクフィルタやマスク製品の口腔よりの内側、例えばマスク外側の部品とフィルタの間やフィルタの内側、マスクにフィルタを固定するためのパーツの内側などの音を拾いやすい任意の場所にマイクを、マスク外側にスピーカを具備し、マスク内の声を外部に伝達したり、マイクで拾った音声信号とスピーカやイヤホンと連携した無線通信機能(より具体的にはWi-FiやBluetoothなど※登録商標含む)によって遠隔通話を実現したりしてもよく、マイク内で得た音声にボイスチェンジャーやイコライザー、ノイズキャンセラのような音及び若しくは音質を変化・改善させる回路やプログラムを通して、図4の4011、4012、4013といった部品構成により外部に聞こえる音声を最適に構成したり、ノイズリダクションを行ったりしてもよい。
【0036】
そして、このような機能をマスクに具備することにより、隔離状態の患者に本マスクを提供することで、患者との音声コミュニケーションの改善及び若しくは円滑化を図ることが可能となる。加えて、スマートフォンとの連動をするように構成してもよい。更には、電源供給用のUSB接続にデータリンク機能を持たせ、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)などのコンピュートモジュールを外部に持たせたり、バッテリーと合わせて持たせたりするように構成してもよい。
【0037】
更に、電子的殺菌デバイス(イオンやプラズマクラスタ、金属イオン発生器、オゾン発生器、次亜塩素酸などの発生器類※登録商標含む)により、吸気や呼気の殺菌を行えるように構成してもよい。そのような消毒された空気が適切に循環するように電動ファンを具備したり、前述のごとくマスク内が適切な陽圧になるような電動ファンを具備したり、排気性を高めるファンを具備するようにしてもよいし、湿度による雑菌の増加を回避するためにマスクに用いる部品類に抗菌処理を行ってもよい。このような電子殺菌デバイス類は、例えば排気弁側に持たせることで、患者の呼気をできるだけ消毒する構造にすることにより、患者からの呼気による感染リスクを低減するように構成してもよい。
【0038】
更には、太陽電池を用いることで、屋外などにおける使用中同時充電を可能としたり、電子熱交換部品の外側に液冷用の熱交換媒体循環部を更に備えることで冷却構造を二重化といった多重化構造を用いることで、核燃料再処理炉などで用いられるような二重媒体冷却構造での高温度熱交換効率化を実現したりすることも可能である。この二重媒体は、電子熱交換素子から液冷却やガス冷却の構造、電子熱交換素子からガス冷却、さらに加えて液冷却を行うような三重化などの多次冷却構成で実現されてもよい。なお、電源としてのバッテリーは内蔵しても、優先無線を問わず外部配線接続であっても、任意の方法で実装することが可能である。
【0039】
更に図6の(a)及び(b)によれば、吸気部孔6001からファンなどで吸引した空気を冷却部6002の櫛状冷却部を経由して排気部孔6003からファンなどで排気する構造とし、フィルタを別途6004などの固定具で冷却部などを覆うように固定するなどといった方法で、呼吸におけるフィルタ処理されている空気と強制循環されている空気とを分離することにより、利用者が罹患している場合であっても細菌類やウィルスなどが外排気されないように構成することもできる。もちろん、吸排気孔が無く強制的なファンによる強制循環なしでも、本発明の構成は実施可能と考えてもらいたいし、吸排気孔なしで、かつ、排気弁の無い状態での実施も可能であると考えてもらいたい。
【0040】
また、吸排気ファンとして記載されている仕様を両方とも吸気のみにしたり、排気のみにしたりする構成であってもよいし、マスク外装部としてのクーラー付きマスク(1001・3009)と交換可能な内側フィルタ部(3002)との間に冷却部3001が構成されていることは、冷却部がフィルタ部に対して非侵襲であるため、フィルタと冷却部の隙間などを考慮する必要がなくなるためフィルタ交換に影響を与えず、フィルタ交換を容易にするとともにマスクの安全性を担保・維持できる構成となるので、本発明の利用時において好ましい構造となると考えて良い。なお、吸排気孔の穴は必ずしも必要なわけではない。
【0041】
更には、図7のようにいくつかのバリエーションが考えられ、(a)であれば専用のフィルタを用いずに通常の市販マスク(7001)を内側のフィルタとして用いることによりフィルタ部を容易に調達できるようにしたり、(b)であれば、冷却部をマスクの内側に金属などの高熱伝導率の部品を用いて延長させた口部周辺冷却部品(7002)を装備することで、体表冷却部品としての口部周辺冷却部品を具備し、体表をじかに冷却することを可能とし、マスク装着時の冷感を改善したりすることも可能である。更には前述の口部周辺冷却部品をメッシュ状のパネルにすることで呼吸用の隙間面積を確保したり、半導体冷却部品からパイプ状の冷媒循環部品を用いて口唇部周辺を直接冷却したりすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
呼吸に伴う廃熱を阻害する要因となるマスク内の気体の温度を下げるために、接触面積を広げた櫛状の冷却部を備えることにより、十分冷却することを可能とし、夏季の口腔・鼻腔部に用いるマスクによる体温上昇を回避することで、熱射病や熱中症といった健康面での問題が生じないように配慮できるとともにフィルタ素材の性能によってはサージカルマスクレベルの電動電子冷却マスクを実現し、コロナなどのウィルス環境下であっても人の活動・運動環境をより快適化することが期待できるとともに電気回路を構成可能とすることで従来では、なしえなかった遠隔通話などが可能な利便性と安全性の高いマスクを実現することができる。更には、太陽電池を用いることで、屋外などにおける使用中同時充電を可能としたり、電子熱交換部品の外側に液冷用の熱交換媒体循環部を更に備えることで冷却構造を二重化するといった任意の多重化構造を用いることで、核燃料再処理炉などで用いられるような二重媒体冷却構造での高温度熱交換効率化を実現したりすることも可能である。また、呼気に対する電子消毒デバイスにより呼気を無毒化するように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1000 クーラー付きマスク外側
1001 電動ファン付き電子クーラー
1002 クーラー付きマスク固定具
1003 電子クーラー電源ケーブル
1004 半導体冷却素子
3000 クーラー付きマスク内側
3001 クーラー付きマスク内側櫛状熱交換部
3002 クーラー付きマスク内側防塵・防疫フィルタ
3003 排気弁
4000 フェイスライン
4011 マイク部
4012 スピーカ部
4013 コンピュータ及びWiFi部
5001 ドレインホース
5002 マスク外側蒸散廃熱部
6001 吸気部孔
6002 電子冷却部
6003 排気部孔
6004 フィルタ固定具
7001 市販マスク
7002 口部周辺冷却部品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7