(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022073938
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】タッチパネル
(51)【国際特許分類】
G06F 3/02 20060101AFI20220510BHJP
H01H 36/00 20060101ALI20220510BHJP
G06F 3/045 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
G06F3/02 440
H01H36/00 G
G06F3/045 G
G06F3/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021121591
(22)【出願日】2021-07-26
(31)【優先権主張番号】P 2020183690
(32)【優先日】2020-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020215062
(32)【優先日】2020-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】501398606
【氏名又は名称】富士通コンポーネント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】中村 優太
(72)【発明者】
【氏名】上野 豊
(72)【発明者】
【氏名】諸橋 正也
(72)【発明者】
【氏名】小澤 拓弥
(72)【発明者】
【氏名】萩原 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】牧内 祐仁
【テーマコード(参考)】
5B020
5G046
【Fターム(参考)】
5B020CC06
5B020DD01
5B020DD04
5G046AA11
5G046AB02
5G046AC32
5G046AD02
(57)【要約】
【課題】コストを削減可能なタッチパネルを提供する。
【解決手段】タッチパネルは、第1領域および第2領域を有し、第1領域と第2領域との間の少なくとも一部が除去されている第1導電膜10と、間に空隙を挟み前記第1導電膜に積層された第2導電膜と、第1導電膜から信号を出力する第1端子38aおよび第2端子38bと、第1導電膜に設けられ、第1端子に電気的に接続された第1電極12と、第1導電膜に設けられ、第1電極と第1領域を挟み対向する第2電極11と、第2領域における第1導電膜上に設けられ、第1導電膜内の第1抵抗領域を挟み対向し一方の電極が第2電極に電気的に接続され他方の電極が第2端子に電気的に接続された一対の電極を有する第1抵抗と、第2端子と第1抵抗との間に設けられ、第2領域において、第1導電膜と第2導電膜とを電気的に接続する第1スイッチ部と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1領域および第2領域を有し、前記第1領域と前記第2領域との間の少なくとも一部が除去されている第1導電膜と、
間に空隙を挟み前記第1導電膜に積層された第2導電膜と、
前記第1導電膜から信号を出力する第1端子および第2端子と、
前記第1導電膜に設けられ、前記第1端子に電気的に接続された第1電極と、
前記第1導電膜に設けられ、前記第1電極と前記第1領域を挟み対向する第2電極と、
前記第2領域における前記第1導電膜上に設けられ、前記第1導電膜内の第1抵抗領域を挟み対向し一方の電極が前記第2電極に電気的に接続され他方の電極が前記第2端子に電気的に接続された一対の電極を有する第1抵抗と、
前記第2領域において、前記第1導電膜と前記第2導電膜とを電気的に接続する第1スイッチ部と、
を備えるタッチパネル。
【請求項2】
前記第2領域に設けられ、前記第1導電膜内の第2抵抗領域を挟み対向し一方の電極が前記第1電極に電気的に接続され他方の電極が前記第1端子に電気的に接続された一対の電極を有する第2抵抗と、
前記第1端子と前記第2抵抗との間に設けられ、前記第1導電膜と前記第2導電膜とを電気的に接続する第2スイッチ部と、
を備える請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項3】
前記第2領域に設けられ、前記第1導電膜内の第3抵抗領域を挟み対向する一対の電極を有し、前記第2電極と前記第2端子との間において前記第1抵抗と直列接続された第3抵抗を備え、
前記第1スイッチ部は、前記第1抵抗と前記第3抵抗との間に位置する請求項1または2に記載のタッチパネル。
【請求項4】
前記第2領域に設けられ、前記第1導電膜内の第4抵抗領域を挟み対向する一対の電極を有し、前記第1端子と前記第2端子との間において前記第1抵抗および前記第1領域と並列接続された第4抵抗と、
前記第2端子と前記第4抵抗とに間に設けられ、前記第1抵抗および前記第1領域と並列接続され、前記第1導電膜と前記第2導電膜とを電気的に接続する第3スイッチ部と、
を備える請求項1から3のいずれか一項に記載のタッチパネル。
【請求項5】
第1領域および第2領域を有し、前記第1領域と前記第2領域との間の第3領域において少なくとも一部が除去されている第1導電膜と、
間に空隙を挟み前記第1導電膜に積層された第2導電膜と、
前記第1導電膜に設けられ、第1端子に電気的に接続された第1電極と、
前記第1導電膜に設けられ、前記第1領域と前記第2領域の配列方向において、前記第1電極と前記第1領域および前記第2領域を挟み対向し、第2端子に電気的に接続された第2電極と、
前記第2領域に設けられ、前記第1導電膜と前記第2導電膜とを電気的に接続する複数のスイッチ部と、
を備えるタッチパネル。
【請求項6】
前記第1領域と前記第3領域との間に設けられ、前記第1電極と前記第1領域を挟み対向する第3電極と、
一端が前記第2電極に他端が前記第3電極に接続された抵抗と、
を備える請求項5に記載のタッチパネル。
【請求項7】
互に電気的に分離された第1領域、第2領域および第3領域を有する第1導電膜と、
間に空隙を挟み前記第1導電膜に積層された第2導電膜と、
前記第1導電膜に設けられ、第1端子に電気的に接続された第1電極と、
前記第1導電膜に設けられ、前記第1電極と前記第1領域を挟み対向し第2端子に電気的に接続された第2電極と、
前記第2領域に設けられ、前記第1導電膜と前記第2導電膜とを電気的に接続する第1スイッチ部と、
前記第3領域に設けられ、前記第1導電膜と前記第2導電膜とを電気的に接続する第2スイッチ部と、
前記第2領域に設けられ、第3端子と電気的に接続された第3電極と、
前記第3領域に設けられ、第4端子と電気的に接続された第4電極と、
を備えるタッチパネル。
【請求項8】
前記第2導電膜上に設けられた透明な基板と、
前記基板の周縁において前記第1導電膜と前記第2導電膜とを接合する透明な接合層と、
前記基板の周縁部における前記第2導電膜と前記接合層との間に設けられた第1不透明層と、
前記基板の周縁部において前記第2導電膜と前記第1不透明層が除去された除去部と、
上方からみて前記除去部と重なり、前記接合層と前記第1導電膜との間に設けられた第2不透明層と、
を備え、
前記第1導電膜および前記第2導電膜は透明である請求項1から7のいずれか一項に記載のタッチパネル。
【請求項9】
前記第1端子と前記第2端子との間に電圧を印加し、前記第2導電膜の電位が所定値より前記第1端子の電位に近いとき、前記第2導電膜の電位に基づき前記第1領域内の前記第1電極と前記第2電極の配列方向における前記第1導電膜と前記第2導電膜との接触位置を検出し、
前記第1端子と前記第2端子との間に電圧を印加し、前記第2導電膜の電位が前記所定値より前記第2端子の電位に近いとき、前記第2導電膜の電位に基づき前記第1スイッチ部のオンオフを検出する検出部を備える請求項1から4のいずれか一項に記載のタッチパネル。
【請求項10】
前記第2導電膜に設けられ、前記第1電極と前記第2電極との配列方向に交差する方向において前記第1領域を挟み対向する一対の第4電極と、
前記第1端子と前記第2端子との間に電圧を印加し、前記第2導電膜の電位が所定値より前記第1端子の電位に近いとき、前記第2導電膜の電位に基づき前記第1領域内の前記配列方向における前記第1導電膜と前記第2導電膜との接触位置を検出し、
前記第1端子と前記第2端子との間に電圧を印加し、前記第2導電膜の電位が前記所定値より前記第2端子の電位に近いとき、前記一対の第4電極の間に電圧を印加し、前記第1導電膜の前記第2領域の電位に基づき前記複数のスイッチ部のオンオフを検出する検出部と、
を備える請求項5または6に記載のタッチパネル。
【請求項11】
前記第2導電膜に設けられ、前記第1電極と前記第2電極との配列方向に交差する方向において前記第1領域を挟み対向する一対の第5電極と、
前記第1端子と前記第2端子との間に電圧を印加し、前記第2導電膜の電位が所定範囲の間のとき、前記第2導電膜の電位に基づき前記第1領域内の前記配列方向における前記第1導電膜と前記第2導電膜との接触位置を検出し、
前記第1端子と前記第2端子との間に電圧を印加し、前記第2導電膜がオープンのとき、前記一対の第5電極の間に電圧を印加し、前記第3端子および第4端子の電位に基づき前記第1スイッチ部および前記第2スイッチ部のオンオフを検出する検出部と、
を備える請求項7に記載のタッチパネル。
【請求項12】
第1方向に配列されて設けられた第1領域および第2領域を有する第1導電膜と、
前記第1導電膜に設けられた第1電極と、
前記第1導電膜に設けられ、前記第1電極と第1方向に交差する第2方向において前記第1領域を挟むように対向する第2電極と、
前記第1導電膜に設けられ、前記第2電極と前記第2方向において前記第2領域を挟むように対向する第3電極と、
間に空隙を挟み前記第1導電膜に積層された第2導電膜と、
を備え、
前記第1電極と前記第3電極との間において前記第1領域および前記第2領域は直列に接続されているタッチパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
対向する一対の導電膜を用いた4線式タッチパネルにおいて、タッチ入力領域とボタン等のスイッチとを設けることが知られている(例えば特許文献1~3)。タッチ入力領域とスイッチを直列に接続することが知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-48559号公報
【特許文献2】特開2005-251105号公報
【特許文献3】特開2002-23955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように、タッチ入力領域とスイッチを直列に接続することにより、スイッチ用の引き回し回路などを削減できる。しかし、特許文献1では、タッチ入力領域の電極とスイッチとの間に抵抗が接続されていない。このため、タッチ入力領域の導電膜とスイッチとの電位の差が小さく、タッチ入力領域への入力と、スイッチへの入力を誤検出する可能性がある。この誤検出を抑制する一例として、上下の基板の両方において、タッチ入力領域における導電膜に直列にスイッチおよび抵抗が接続されている。このため、上下の基板の両方に、導電膜とスイッチとを接続する配線と、抵抗と、が設けられている。このように、誤検出を抑制するためコストが増加してしまう。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、コストを削減可能なタッチパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態は、第1領域および第2領域を有し、前記第1領域と前記第2領域との間の少なくとも一部が除去されている第1導電膜と、間に空隙を挟み前記第1導電膜に積層された第2導電膜と、前記第1導電膜から信号を出力する第1端子および第2端子と、前記第1導電膜に設けられ、前記第1端子に電気的に接続された第1電極と、前記第1導電膜に設けられ、前記第1電極と前記第1領域を挟み対向する第2電極と、前記第2領域における前記第1導電膜上に設けられ、前記第1導電膜内の第1抵抗領域を挟み対向し一方の電極が前記第2電極に電気的に接続され他方の電極が前記第2端子に電気的に接続された一対の電極を有する第1抵抗と、前記第2領域において、前記第1導電膜と前記第2導電膜とを電気的に接続する第1スイッチ部と、を備えるタッチパネルである。
【0007】
本発明の実施形態は、第1領域および第2領域を有し、前記第1領域と前記第2領域との間の第3領域において少なくとも一部が除去されている第1導電膜と、間に空隙を挟み前記第1導電膜に積層された第2導電膜と、前記第1導電膜に設けられ、第1端子に電気的に接続された第1電極と、前記第1導電膜に設けられ、前記第1領域と前記第2領域の配列方向において、前記第1電極と前記第1領域および前記第2領域を挟み対向し、第2端子に電気的に接続された第2電極と、前記第2領域に設けられ、前記第1導電膜と前記第2導電膜とを電気的に接続する複数のスイッチ部と、を備えるタッチパネルである。
【0008】
本発明の実施形態は、互に電気的に分離された第1領域、第2領域および第3領域を有する第1導電膜と、間に空隙を挟み前記第1導電膜に積層された第2導電膜と、前記第1導電膜に設けられ、第1端子に電気的に接続された第1電極と、前記第1導電膜に設けられ、前記第1電極と前記第1領域を挟み対向し第2端子に電気的に接続された第2電極と、前記第2領域に設けられ、前記第1導電膜と前記第2導電膜とを電気的に接続する第1スイッチ部と、前記第3領域に設けられ、前記第1導電膜と前記第2導電膜とを電気的に接続する第2スイッチ部と、前記第2領域に設けられ、第3端子と電気的に接続された第3電極と、前記第3領域に設けられ、第4端子と電気的に接続された第4電極と、を備えるタッチパネルである。
【0009】
本発明の実施形態は、第1方向に配列されて設けられた第1領域および第2領域を有する第1導電膜と、前記第1導電膜に設けられた第1電極と、前記第1導電膜に設けられ、前記第1電極と第1方向に交差する第2方向において前記第1領域を挟むように対向する第2電極と、前記第1導電膜に設けられ、前記第2電極と前記第2方向において前記第2領域を挟むように対向する第3電極と、間に空隙を挟み前記第1導電膜に積層された第2導電膜と、を備え、前記第1電極と前記第3電極との間において前記第1領域および前記第2領域は直列に接続されているタッチパネルである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、コストを削減可能なタッチパネルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施例1に係るタッチパネルの平面図である。
【
図2】(a)および(b)は実施例1における導電膜の平面図である。
【
図3】実施例1における
図2(a)および
図2(b)のA-A断面図である。
【
図4】実施例1において導電膜10のうち領域42付近を拡大した平面図である。
【
図5】実施例1におけるタッチパネルの概念図である。
【
図6】実施例1における導電膜10の等価回路である。
【
図7】実施例1における直列経路内の位置に対する電位を示す図である。
【
図8】実施例1における制御部の処理を示すフローチャートである。
【
図9】実施例1の変形例1において導電膜10のうち領域42付近を拡大した平面図である。
【
図10】実施例1の変形例1における導電膜10の等価回路である。
【
図11】実施例1の変形例2において導電膜10のうち領域42付近を拡大した平面図である。
【
図12】実施例1の変形例2における導電膜10の等価回路である。
【
図13】実施例1の変形例3において導電膜10のうち領域42付近を拡大した平面図である。
【
図14】実施例1の変形例3における導電膜10の等価回路である。
【
図15】実施例2において導電膜10のうち領域42付近を拡大した平面図である。
【
図16】実施例2における導電膜10の等価回路である。
【
図17】実施例2における制御部の処理を示すフローチャートである。
【
図18】実施例2の変形例1において導電膜10のうち領域42付近を拡大した平面図である。
【
図19】(a)は、実施例2の変形例1における導電膜10の等価回路、(b)は、実施例2の変形例1における直列経路内の位置に対する電位を示す図である。
【
図20】実施例2の変形例2において導電膜10のうち領域42付近を拡大した平面図である。
【
図21】実施例3において導電膜10のうち領域42付近を拡大した平面図である。
【
図22】実施例3におけるタッチパネルの概念図である。
【
図23】実施例3における制御部の処理を示すフローチャートである。
【
図24】(a)は、実施例4における導電膜10の平面図、(b)は、(a)のA-A断面図である。
【
図25】(a)は、実施例4の変形例1における導電膜10の平面図、(b)は、(a)のA-A断面図である。
【
図26】(a)および(b)は、実施例5における導電膜の平面図である。
【
図28】(a)および(b)は、実施例5の変形例1における導電膜の平面図である。
【
図30】実施例6に係るタッチパネルの平面図である。
【
図31】(a)および(b)は実施例6における導電膜の平面図である。
【
図32】実施例6におけるタッチパネルの断面図である。
【
図33】実施例6における電極14の拡大図である。
【
図34】実施例6におけるタッチパネルの概念図である。
【
図35】実施例6における導電膜10の等価回路である。
【
図36】実施例6における直列経路内の位置に対する電位を示す図である。
【
図37】実施例6における制御部の処理を示すフローチャートである。
【
図39】実施例6の変形例1におけるタッチパネルの平面拡大図である。
【
図40】実施例6の変形例1におけるタッチパネルの断面図である。
【
図41】実施例6の変形例2における導電膜10の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照し、本発明の実施例を説明する。
【実施例0013】
図1は、実施例1に係るタッチパネルの平面図である。
図1に示すように、領域50の長辺の延伸する方向をX方向(第1方向)、短辺の延伸する方向をY方向(配列方向、第1方向に交差する第2方向)、領域50の法線方向をZ方向とする。タッチパネル100には額縁部56が設けられている。額縁部56に囲まれた領域には画像が表示される。ユーザが領域50内の任意の箇所を指等の被接触部によりタッチすることで、領域50の座標をタッチパネル100が設けられた装置に入力することができる。額縁部56には、領域52が設けられている。領域52はボタン54a~54c(スイッチ部)が設けられている。ユーザがボタン54a~54cのいずれかにタッチすることで、タッチパネル100が設けられた装置に、ボタン54a~54cのいずれにタッチしたかの情報を入力する。FPC(Flexible printed circuits)37は、タッチパネル100から信号を出力する。
【0014】
図2(a)および
図2(b)は、実施例1における導電膜の平面図である。
図3は、実施例1における
図2(a)および
図2(b)のA-A断面図である。
図2(a)から
図3に示すように、
図1の領域50および52は、
図2の領域40および42にそれぞれ対応する。基板15の上面(+Z側の面)に導電膜10(第1導電膜)が設けられている。領域40と42とはY方向に配列されている。導電膜10の上面に電極11、12、13a、13b、14mおよび14nが設けられている。FPC37に端子38a(第1端子)および38b(第2端子)が設けられている。
【0015】
電極11(第2電極)は導電膜10の+Y側の辺に沿ってX方向に延伸する。電極12は領域40と42との間に設けられ、X方向に延伸する。電極12(第1電極)は、電極11とY方向において対向し、電極11と12とは領域40(第1領域)を挟むように設けられている。領域42(第2領域)には電極14mおよび14nが設けられている。電極14mは後述する複数の電極を備えており、一端は端子38aに接続され、他端は電極13aを介し電極12に接続されている。電極14nは後述する複数の電極を備えており、一端は端子38bに接続され、他端は電極13bを介し電極11に接続されている。領域40と42との間、領域40と電極13bとの間、電極14mと14nとの間には、導電膜10が除去されたスリット18が設けられている。スリット18は例えばレーザ光を照射することにより形成する。端子38aと38bとの間に電圧を印加すると、太線矢印の直列経路46のように電流は端子38a、電極14m、電極13a、電極12、領域40、電極11、電極13bおよび電極14nを介し端子38bに流れる。
【0016】
基板15の上方(+Z方向)に基板25が設けられている。基板25の下面(-Z側の面)に導電膜20(第2導電膜)が設けられている。導電膜20は、導電膜10のうち少なくとも領域40および42と空隙を挟み積層されている。導電膜20の下面に加飾層23が設けられている。加飾層23は、
図1の額縁部56に対応する。加飾層23の下面に電極21、22、23a、23bおよび24a~24cが設けられている。FPC37に端子38cおよび38dが設けられている。電極21および22はY方向に延伸し、領域40を挟むように設けられている。電極21は導電膜20の+X側の辺に沿って設けられ、電極22は-X側の辺に沿って設けられている。FPC37に端子38cおよび38dが設けられている。端子38cは電極23aを介し電極21に接続される。端子38dは電極23bを介し電極22に接続される。
【0017】
導電膜10の周縁と加飾層23の周縁とは接合層28により接合される。接合層28は例えば両面テープ等の樹脂である。接合層28は、導電膜10の上面に設けられた絶縁層と、加飾層23の下面に設けられた絶縁層と、を接合する両面テープでもよい。接合層28により、導電膜10と20との間、導電膜10と加飾層23との間に空隙が形成される。基板15は、例えばガラス基板であり、透明であり剛性を有する。基板25は、例えばPET(Polyethylene terephthalate)等の樹脂膜であり透明であり可撓性を有する。導電膜10および20は例えばITO(Indium Tin Oxide)であり、透明であり導電性を有する。電極11、12、13a、13b、14m、14n、21、22、23aおよび23bは、例えば銀層、金層または銅層等の金属層であり、導電膜10および20より電気伝導率の高い材料からなる。電極24a~24cは金属層またはカーボンなどの導電性を有する材料であり、導電膜10および20の電気伝導率に近いまたは導電膜10および20より電気伝導率の高い材料からなる。なお、電極24a~24cを銀層などで形成した場合、マイグレーションが生じる懸念がある。電極24a~24cをカーボンとすることにより、この懸念を解消することが可能である。加飾層23は、例えばカーボン等を含む樹脂であり、不透明であり可撓性および導電性を有する。加飾層23の上面には、文字、記号および模様等の装飾が施されている。
【0018】
基板15の下方(-Z方向)には例えばディスプレイ44が設けられている。ユーザがタッチパネル100を上方からみると、領域40および50では、ディスプレイ44の画像が視認できる。領域42および52では、加飾層23の上面が視認できる。電極11、12、13a、13b、14m、14n、21、22、23aおよび23bは加飾層23に隠れ視認することができない。基板25は可撓性を有するため、ユーザが領域40内の基板25の上面にタッチすると、導電膜10と20とが接触する。ユーザが
図1の領域52内のボタン54a~54cのいずれかのボタンをタッチすると、導電膜10と電極24a~24cのいずれかとの電極とが接触する。
【0019】
図4は、実施例1において導電膜10のうち領域42付近を拡大した平面図である。
図4では、
図2(a)に比べ領域42付近をY方向に拡大している。
図4に示すように、電極14nは、電極14a~14dを備えており、導電膜10を介して電気的に接続されている。電極14mは、電極14e~14gを備えており、導電膜10を介して電気的に接続されている。電極14aと14bとの間、電極14bと14cとの間、電極14cと14dとの間、電極14eと14fとの間、および電極14fと14gとの間に、それぞれギャップ34a、34b、34c、34dおよび34eが設けられている。ギャップ34aと34bとの間、ギャップ34bと34cとの間、およびギャップ34dと34eとの間は、それぞれ領域33a、33bおよび33cである。端子38aと端子38bとの間を流れる電流はギャップ34a~34eにおいて導電膜10を流れる。このため、導電膜10の抵抗成分により電圧降下が生じる。電極14a~14gの抵抗成分は導電膜10の抵抗成分に比べ十分低いため、電極14a~14gでは電圧降下はほとんど生じない。領域33a~33cにおいて、電極24a~24cが導電膜10に接触する箇所は、それぞれ電極14b、14cおよび14fに3辺が囲まれている。電極14b、14cおよび14fのそれぞれに囲まれた導電膜10の電位はそれぞれほぼ電極14b、14cおよび14fの電位となる。
図1のボタン54a~54cが押下されると、領域33a~33cにおいて電極24a~24cは導電膜10に接触する。なお、電極24a~24cはそれぞれ電極14b、14cおよび14fに接触してもよい。
【0020】
図5は、実施例1におけるタッチパネルの概念図である。
図5に示すように、タッチパネル装置102は、タッチパネル100、制御部30、スイッチSW1~SW4および検出器32を備えている。制御部30、スイッチSW1~SW4および検出器32は、例えば
図3のディスプレイ44より-Z方向に設けられている。端子38a~38dは、それぞれスイッチSW1~SW4と接続されている。スイッチSW1は端子38aを電位VDDの電源36および検出器32のいずれか一方に接続する。スイッチSW2は端子38bをグランド35に接続する。スイッチSW3は端子38cを電源36に接続する。スイッチSW4は端子38dをグランド35および検出器32のいずれか一方に接続する。検出器32は、端子38aおよび38dの電圧を検出する。制御部30は、スイッチSW1~SW4を制御し、検出器32から検出した電圧値を取得する。制御部30は、検出器32が検出した電圧値に基づき、領域40におけるユーザが基板25の上面をタッチした位置(タッチ位置)のX座標およびY座標、並びにボタン54a~54cのタッチを検出する。制御部30は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、ソフトウェアと協働し検出部として機能する。
【0021】
タッチ位置の検出方法について説明する。まず、領域40におけるタッチ位置のY座標およびボタン54a~54cのタッチの検出について説明する。制御部30は、スイッチSW1に端子38aと電源36とを接続させ、スイッチSW2に端子38bとグランド35とを接続させ、スイッチSW3に端子38cをフローティングさせ、スイッチSW4に端子38dを検出器32に接続させる。
【0022】
図6は、実施例1における導電膜10の等価回路である。
図2(a)における端子38aから38bに至る直列経路46の等価回路である。
図6に示すように、電源36とグランド35との間に抵抗R1~R6が直列に接続される。抵抗R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、それぞれギャップ34d、34e、領域40、ギャップ34a、34bおよび34cにおける導電膜10の抵抗成分に相当する。電源36と抵抗R1との間の線路は端子38aに、抵抗R1とR2との間の線路は電極14fおよび領域33cに、抵抗R2とR3との間の線路は電極12に、抵抗R3とR4との間の線路は電極11に、抵抗R4とR5との間の線路は電極14bおよび領域33aに、抵抗R5とR6との間の線路は電極14cおよび領域33bに、並びに抵抗R6とグランド35との間の線路は端子38bにそれぞれ対応する。
【0023】
図7は、実施例1における直列経路内の位置に対する電位を示す図である。
図7に示すように、端子38aの電位はVDDであり、端子38bの電位は0Vである。導電膜10の電気伝導率は電極11、12、13a、13bおよび14a~14gに比べ非常に低い(例えば1/100以下)ため、電圧降下はほとんど領域40およびギャップ34a~34eにおいて生じ、電極11、12、領域33a~33c並びに端子38aおよび38bでは電圧降下はほとんど生じていない。端子38a、領域33c、電極12、11、領域33a、33bおよび端子38bの電位はそれぞれVDD、Vc、V12、V11、Va、Vbおよび0Vとなる。
【0024】
図8は、実施例1における制御部の処理を示すフローチャートである。
図8に示すように、制御部30は、スイッチSW1~SW4を設定する(S10)。これにより、端子38aおよび38bはそれぞれ電源36およびグランド35に接続される。電極21および22はそれぞれフローティングおよび検出器32に接続される。制御部30は、検出器32に電極22の電圧(すなわち導電膜20の電位V)を検出させ、検出結果を取得する(S12)。制御部30は、電位Vが電位V12より低くかつ電位V11より高いかを判定する(S14)。Yesのとき、制御部30は、電位Vに基づき領域40におけるタッチ位置のY座標を算出する(S16)。
【0025】
S14においてNoの場合、制御部30は、誤差範囲内において電位Vが電位Vaかを判定する(S18)。Yesのとき、制御部30は、ボタン54aがタッチされたと判定する(S20)。ステップS18においてNoの場合、制御部30は、誤差範囲内において電位Vが電位Vbかを判定する(S22)。Yesのとき、制御部30は、ボタン54bがタッチされたと判定する(S24)。ステップS22においてNoの場合、制御部30は、誤差範囲内において電位Vが電位Vcかを判定する(S26)。Yesのとき、制御部30は、ボタン54cがタッチされたと判定する(S28)。S26においてNoのとき終了する。なお、ステップS14、S18、S22およびS26の順番は任意に設定できる。電位V11、V12、Va、VbおよびVcは、端子38aおよび38bをそれぞれVDDおよび0Vとしたときに、電極11、12領域33a~33cの電位としてあらかじめ設定されている所定値である。
【0026】
次に、領域40におけるタッチ位置のX座標の検出について説明する。制御部30は、スイッチSW1に端子38aと検出器32とを接続させ、スイッチSW2に端子38bをフローティングにさせ、スイッチSW3に端子38cを電源36に接続させ、スイッチSW4に端子38dをグランド35に接続させる。これにより、電極21から22にかけて導電膜20の電圧がリニアに減少する。制御部30は、検出器32の検出した電位に基づき、領域40内のタッチ位置におけるX座標を検出できる。
【0027】
実施例1によれば、
図6のように、抵抗R4(第1抵抗)の一端は電極11に接続され、抵抗R5(第3抵抗)の一端は抵抗R6を介し端子38bに接続されている。
図1のボタン54a(第1スイッチ部)および
図4の領域33aでは、抵抗R4(ギャップ34a)の他端と抵抗R5(ギャップ34b)の他端の間に位置する導電膜10と導電膜20とが電気的に接続可能である。このように、端子38aと38bとの間に領域40、抵抗R4、領域33aおよび抵抗R5が直列に接続されている。これにより、2つの端子38aおよび38bを設けることで、領域40におけるY座標およびボタン54aのオンオフの検出を行うことができる。電極11、12および14a~14gに電気的に接続される端子38aおよび38bを2個にできるため低コスト化が可能となる。電極11とボタン54aの間に抵抗R4が設けられていれば、領域40のタッチ入力であるかボタン54aのオンオフであるかを確実に検出することができる。
【0028】
特許文献1では、タッチ入力領域の電極とスイッチとの間に抵抗が電気的に接続されていない。すなわち、
図6の抵抗R4に相当する抵抗が設けられていない。このため、領域40のタッチ位置が電極11近傍である場合と、ボタン54aがタッチされた場合との導電膜20より検出された電位の差が小さく、誤検出する可能性がある。特許文献1では、誤検出の抑制のため上下の基板の両方において導電膜近傍に配線と抵抗を設けている。しかし、上下に配線と抵抗を設けるとコストが増加する。実施例1では、抵抗R4を導電膜10に設けることで、
図7のように、領域40と33aにおける導電膜10の電位を異ならせている。これにより、
図2(b)のように、基板25の下面には配線および抵抗を設けなくてもよい。よって、低コスト化が可能となる。
【0029】
図4および
図6のように、抵抗R4は、導電膜10に設けられ、導電膜10内のギャップ34aの領域(第1抵抗領域)を挟み対向する一対の電極14aおよび14bを備え、一方の電極14aは電極11に電気的に接続されている。抵抗R5は、導電膜10に設けられ、導電膜10内のギャップ34bの領域(第3抵抗領域)を挟み対向する一対の電極14bおよび14cを備え、一方の電極14cはギャップ34cの領域(抵抗R6)を介し端子38bに電気的に接続されている。また、抵抗R2(第2抵抗)は、導電膜10に設けられ、導電膜10内のギャップ34eの領域(第2抵抗領域)を挟み対抗する一対の電極14fおよび14gを備え、一方の電極14gは電極12に電気的に接続されており、他方の電極14fはギャップ34dの領域(抵抗R1)を介して端子38aに電気的に接続されている。このように、導電膜10と電極14a~14gを用い抵抗R4およびR2を形成することで、特許文献1のようなスイッチおよび抵抗を別途設ける場合に比べ、低コスト化が可能となる。
【0030】
図8のS10のように、制御部30(検出部)は、端子38aと38bとの間に電圧を印加する。S14およびS16のように、制御部30は、導電膜20の電位Vが電極11の電位V11より端子38aの電位VDDに近く電極12の電位V12より低いとき、導電膜20の電位Vに基づき領域40内のY方向における導電膜10と20との接触位置(すなわちタッチ位置)を検出する。これにより、タッチ位置のY座標を検出できる。S18~S24のように、制御部30は、導電膜20の電位Vが電位V11より端子38bの電位0Vに近いとき、導電膜20の電位に基づきボタン54aおよび54bのオンオフを検出する。S26~S28のように、導電膜20の電位Vが電位V12より電位VDDに近いとき、導電膜20の電位に基づきボタン54cのオンオフを検出する。すなわち、制御部30はボタン54a、54bおよび54cがオンかオフかを検出できる。これにより、ボタン54a、54bおよび54cのタッチを検出できる。なお、
図8における電極11および12の電位としては、電極11および12の電位に相当する所定値として予め定められた値を用いることができる。ボタン54a~54cは3個以上設けられていてもよい。また、ボタン54cを領域40の端子38b側に設けられていてもよい。
【0031】
図2(a)のように、電極12と電極14nおよび14mとの間、および領域40と電極13bとの間に導電膜10が設けられていないスリット18が設けられている。これにより、端子38aと38bとの間にボタン54a~54cを設けることができる。
図2(a)の直列経路46を介した端子38aと38bとの間を流れる電流が直列経路46以外を流れる電流(例えば電極12と電極14nおよび14mとの間を流れる電流)より十分に大きければよい。なお、導電膜20にスリットを設けると、上方からみた外観が損なわれる。例えば、スリットをレーザ光を用い設ける場合、加飾層23と導電膜20とに同時にスリットを設けることがある。この場合、上方からみた外観が損なわれる。そこで、スリット18を設けることが必要となる抵抗R1、R2、R4~R6のような構成は導電膜10に設けることが好ましい。導電膜10に設けられたスリット18および電極11、12、13a、13b、14nおよび14mは加飾層23と重なる。これにより、上方からみたときにスリット18および電極が視認できず、外観が良好となる。
【0032】
抵抗R1、R2、R4~R6の合計の抵抗値は、抵抗R3(領域40)の抵抗値以下であることが好ましい。これにより、
図7における電極11の電位V11と電極12の電位V12との差を大きくできる。よって、領域40におけるY座標の検出精度を向上できる。一方で、抵抗R1、R2、R4~R6の合計の抵抗値は、抵抗R3の抵抗値の1/10以上が好ましい。電位V11とV12の差が大きすぎると、ボタン54a~54cの検出精度が低下するためである。よって、抵抗R1、R2、R4~R6の合計の抵抗値は、抵抗R3の抵抗値以下かつ1/10以上が好ましい。
【0033】
[実施例1の変形例1]
図9は、実施例1の変形例1において導電膜10のうち領域42付近を拡大した平面図である。
図9に示すように、電極12と端子38bとの間に、電極14nと電極14mが並列に接続されている。電極14nでは、電極12と端子38bとの間に電極14a、ギャップ34a、電極14b、ギャップ34b、電極14c、ギャップ34cおよび電極14dが直列に接続されている。電極14mでは、電極12と端子38aとの間に電極14f、ギャップ34e、電極14e、ギャップ34dおよび電極14dが直列に接続されている。電極11に接続される電極13bと端子38bとの間に電極14g、ギャップ34fおよび電極14hが直列に接続されている。電極14b、14cおよび14eに囲まれた領域は、それぞれ領域33a、33bおよび33cである。導電膜10には電極14nおよび14mを囲むようにスリット18が設けられている。その他の構成は実施例1の
図4と同じであり説明を省略する。導電膜20の平面図は実施例1の
図2(b)と同じである。
【0034】
図10は、実施例1の変形例1における導電膜10の等価回路である。
図10に示すように、電源36とグランド35との間において、3つの経路46a~46bが並列に接続されている。経路46aでは、抵抗R1およびR2が直列に接続されている。経路46bでは抵抗R3~R5が直列に接続されている。経路46cでは、抵抗R6およびR7が直列に接続されている。抵抗R1、R2、R3、R4,R5、R6およびR7は、それぞれ領域40、ギャップ34f、34a、34b、34c、34eおよび34dにおける導電膜10の抵抗成分に相当する。電源36と抵抗R1との間の線路は電極12に、抵抗R1とR2との間の線路は電極11に、抵抗R3とR4との間の線路は領域33aに、抵抗R4とR5との間の線路は領域33bに、並びに抵抗R6とR7との間の線路は領域33cにそれぞれ対応する。
【0035】
電極12、11、領域33a、33bおよび33cの電位をそれぞれ電位V12、V11、Va、VbおよびVcとする。このとき、電位Va、Vb、Vcが電位V11より低くなり、電位Va~Vcは製造誤差および測定誤差以上異なるように抵抗R2~R7の抵抗値を設定する。制御部30は、実施例1の
図8のフローチャートと同様に動作することで、領域40におけるY座標の検出およびボタン54a~54cのオンオフの検出が可能となる。
【0036】
[実施例1の変形例2]
図11は、実施例1の変形例2において導電膜10のうち領域42付近を拡大した平面図である。
図11に示すように、電極11に接続された電極13bと端子38bとの間に、電極14nが電気的に接続され、電極12と端子38bとの間に電極14mが電気的に接続されている。電極14nでは、電極13bと端子38bとの間に電極14a、ギャップ34a、電極14b、ギャップ34b、電極14c、ギャップ34cおよび電極14dが直列に接続されている。電極14mでは、電極12と端子38aとの間に電極14f、ギャップ34e、電極14e、ギャップ34dおよび電極14dが直列に接続されている。電極14b、14cおよび14eに囲まれた領域は、それぞれ領域33a、33bおよび33cである。導電膜10には電極14nおよび14mを囲むようにスリット18が設けられている。その他の構成は実施例1の
図4と同じであり説明を省略する。導電膜20の平面図は実施例1の
図2(b)と同じである。
【0037】
図12は、実施例1の変形例2における導電膜10の等価回路である。
図12に示すように、電源36とグランド35との間において、2つの経路46aおよび46bが並列に接続されている。経路46aでは、抵抗R1~R4が直列に接続されている。経路46bでは抵抗R5およびR6が直列に接続されている。抵抗R1、R2、R3、R4,R5およびR6は、それぞれ領域40、ギャップ34a、34b、34c、34eおよび34dにおける導電膜10の抵抗成分に相当する。電源36と抵抗R1との間の線路は電極12に、抵抗R1とR2との間の線路は電極11に、抵抗R2とR3との間の線路は領域33aに、抵抗R3とR4との間の線路は領域33bに、並びに抵抗R5とR6との間の線路は領域33cにそれぞれ対応する。
【0038】
電極12、11、領域33a、33bおよび33cの電位をそれぞれ電位V12、V11、Va、VbおよびVcとする。このとき、電位Va、Vb、Vcが電位V11より低くなり、電位Va~Vcは製造誤差および測定誤差以上異なるように抵抗R2~R6の抵抗値を設定する。制御部30は、実施例1の
図8のフローチャートと同様に動作することで、領域40におけるY座標の検出およびボタン54a~54cのオンオフの検出が可能となる。
【0039】
[実施例1の変形例3]
図13は、実施例1の変形例3において導電膜10のうち領域42付近を拡大した平面図である。
図13に示すように、電極12に接続された電極14aと端子38bに接続された電極14eとの間に電極14b~14dが並列に接続されている。電極14aと14bとの間、および電極14bと電極14eとの間に、それぞれギャップ34aおよび34bが設けられている。電極14aと14cとの間、および電極14cと電極14eとの間に、それぞれギャップ34cおよび34dが設けられている。電極14aと14dとの間に、および電極14dと電極14eとの間に、それぞれギャップ34eおよび34fが設けられている。電極14b、14cおよび14dに囲まれた領域は、それぞれ領域33a、33bおよび33cである。導電膜10には、領域33a~33cを各々囲むようにスリット18が設けられている。その他の構成は実施例1の変形例1の
図9と同じであり説明を省略する。導電膜20の平面図は実施例1の
図2(b)と同じである。
【0040】
図14は、実施例1の変形例3における導電膜10の等価回路である。
図14に示すように、電源36とグランド35との間において、4つの経路46a~46dが並列に接続されている。経路46aでは、抵抗R1およびR2が直列に接続されている。経路46bでは、抵抗R3およびR4が直列に接続されている。経路46cでは、抵抗R5およびR6が直列に接続されている。経路46dでは、抵抗R7およびR8が直列に接続されている。抵抗R1、R2、R3、R4,R5、R6、R7およびR8は、それぞれ領域40、ギャップ34g、34a、34b、34c、34d、34eおよび34fにおける導電膜10の抵抗成分に相当する。電源36と抵抗R1との間の線路は電極12に、抵抗R1とR2との間の線路は電極11に、抵抗R3とR4との間の線路は領域33aに、抵抗R5とR6との間の線路は領域33bに、並びに抵抗R7とR8との間の線路は領域33cにそれぞれ対応する。
【0041】
電極12、11、領域33a、33bおよび33cの電位をそれぞれ電位V12、V11、Va、VbおよびVcとする。このとき、電位Va、Vb、Vcが電位V11より低くなり、電位Va~Vcは製造誤差および測定誤差以上異なるように抵抗R2~R8の抵抗値を設定する。制御部30は、実施例1の
図8のフローチャートと同様に動作することで、領域40におけるY座標の検出およびボタン54a~54cのオンオフの検出が可能となる。
【0042】
実施例1の変形例1の
図10のように、抵抗R2(第1抵抗)の一端は電極11に接続され、他端は端子38b(第2端子)に接続されている。抵抗R3(第4抵抗)の一端は端子38a(第1端子)に接続されている。抵抗R4の一端は端子38bに接続されている。
図1のボタン54aおよび
図9の領域33aでは、抵抗R3(ギャップ34a)の他端と抵抗R4(ギャップ34b)の他端との間に位置する導電膜10と導電膜20とが電気的に接続可能である。
図10のように、端子38aと38bとの間において、電極12、領域40、電極11および抵抗R1が設けられた経路46aと、抵抗R3、領域33aおよび抵抗R4が設けられた経路46bと、は並列に接続されている。これにより、2つの端子38aおよび38bを設けることで、領域40におけるY座標およびボタン54aのオンオフの検出を行うことができる。電極11、12および14a~14hに電気的に接続される端子38aおよび38bを2個にできるため低コスト化が可能となる。さらに、特許文献1のように上下に配線と抵抗を設けなくてもよい。よって、より低コスト化が可能となる。端子38aとボタン54aとの間に抵抗R3が設けられていれば、ボタン54aのオンオフを検出できる。
【0043】
さらに、抵抗R2は、導電膜10に設けられ、導電膜10内のギャップ34fの領域を挟み対向する一対の電極14gおよび14hを備え、一方の電極14gが電極11に接続され、他方の電極14hが端子38bに接続されている。抵抗R3は、導電膜10に設けられ、導電膜10内のギャップ34aの領域(第4抵抗領域)を挟み対向する一対の電極14aおよび14bを備え、一方の電極14aが端子38aに接続されている。抵抗R4は、導電膜10に設けられ、導電膜10内のギャップ34bの領域を挟み対向する一対の電極14bおよび14cを備え、一方の電極14cが端子38bに接続されている。このように、導電膜10と電極14a~14c、14gおよび14hを用い抵抗R1~R3を形成することで、特許文献1のようなスイッチおよび抵抗を別途設ける場合に比べ、低コスト化が可能となる。
【0044】
端子38aと38bの間に電圧を印加したとき、領域33aにおける導電膜10の電位Vaは、電極11の電位V11より端子38bの電位に近くなるように、抵抗R1~R4の抵抗値を設計する。これにより、実施例1の
図8と同じ方法により、タッチ位置のY座標、およびボタン54aのタッチを検出できる。スイッチ部を2個以上設ける場合、ボタン54bおよび54cはボタン54bと直列に設けてもよいし、並列に設けてもよい。
【0045】
実施例1およびその変形例1~3のように、領域40以外の抵抗R1~R8は、導電膜10に設けられ、導電膜10内のギャップ34a~34gの領域を挟み対向する一対の電極を各々備える。このように、導電膜10を用い抵抗を形成することで、低コスト化できる。抵抗R1~R8の抵抗値はギャップ34a~34gの幅(図示短手方向)および長さ(図示長手方向)を変えることで任意に設計できる。抵抗R1~R7の抵抗値を低く設定する場合にはギャップ34a~34gの電流が流れる方向の幅を小さくする。しかし、最小の幅は製造精度により決まり、一例では0.2mmである。ギャップ34a~34gの長さを大きくすると抵抗R1~R8の抵抗値を低くできる。しかし、例えば実施例1の
図4において、ギャップ34a~34eの長さを大きくすると領域42のY方向の寸法が大きくなる。このため、
図1の額縁部56のY方向の寸法が大きくなってしまう。そこで、ギャップ34a~34gの延伸方向を電流が流れる方向から傾ける。これにより、ギャップ34a~34gの抵抗値を低くすることができる。ギャップ34a~34gの延伸方向とY方向との角度は30°以上が好ましく、45°以下が好ましい。ギャップ34a~34gの平面形状はY方向に対し傾斜する直線状でもよく、W字状でもよい。また後述する
図39に示すように、V字状であってもよい。
Noのとき、制御部30は、スイッチSW1に端子38aと検出器32とを接続させ、スイッチSW2に端子38bをフローティングにさせ、スイッチSW3に端子38cを電源36に接続させ、スイッチSW4に端子38dをグランド35に接続させる(S34)。これにより、電極21から22にかけて導電膜20の電圧がリニアに減少する。制御部30は、検出器32に導電膜10の電位V´を検出させ、検出結果を取得する(S36)。制御部30は、導電膜10の電位V´に基づき、ボタン54a~54cのいずれが押下されたかを判断する(S38)。すなわち、制御部30は、電位V´が電極24a~24cの電位と判断したときそれぞれボタン54a~54cが押下されたと判断する。その後終了する。
実施例2では、領域40が押下されたか、ボタン54a~54cが押下されたかは、導電膜20の電位Vに基づき判定し、ボタン54a~54cのいずれが押下されたかは、導電膜10の電位V´に基づき判定することができる。