(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022073944
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】品質検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/892 20060101AFI20220510BHJP
【FI】
G01N21/892 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021130618
(22)【出願日】2021-08-10
(31)【優先権主張番号】63/108,542
(32)【優先日】2020-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000109200
【氏名又は名称】ダックエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100163577
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 正人
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 啓太
(72)【発明者】
【氏名】関口 真那人
(72)【発明者】
【氏名】岡本 宏巳
(72)【発明者】
【氏名】氷上 好孝
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA34
2G051AB11
2G051AC21
2G051BB01
2G051CA03
2G051CA04
2G051CB01
2G051EB01
2G051EB05
(57)【要約】
【課題】事前の登録等の準備が不要又は簡易に済ませることができ、異なるバーコードを多く印刷する場合も、使用するメモリー量(記憶容量)を大幅に抑えることができる品質検査装置を提供せんとする。
【解決手段】取得されたバーコード画像からコード表示作成情報を読み取る情報読み取り手段3と、読み取ったコード表示作成情報に基づき、本来表示されるべき基準となるバーコード画像を生成する基準画像生成手段43と、撮像手段2で取得されたバーコード画像と、基準画像生成手段43で生成された基準となるバーコード画像とを比較し、比較値の差があらかじめ設定された許容範囲を超えた場合に、当該許容範囲を超えた箇所をバーコード表示の欠陥部として検出する欠陥検出手段44とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーコード表示を含む印刷物の印刷面を撮像し、少なくともバーコード画像を含む画像データを取得する撮像手段と、
前記取得されたバーコード画像からコード表示作成情報を読み取る情報読み取り手段と、
読み取ったコード表示作成情報に基づき、本来表示されるべき基準となるバーコード画像を生成する基準画像生成手段と、
前記撮像手段で取得された前記バーコード画像と、前記基準画像生成手段で生成された前記基準となるバーコード画像とを比較し、比較値の差があらかじめ設定された許容範囲を超えた場合に、当該許容範囲を超えた箇所をバーコード表示の欠陥部として検出する欠陥検出手段と、
よりなることを特徴とする品質検査装置。
【請求項2】
前記撮像手段が取得する前記画像データに、前記印刷物のバーコード画像に沿って表示される目視可能文字の画像を含み、
前記取得された目視可能文字の画像から目視可能文字のフォントを判別する判別手段と、
前記判定されたフォントで前記目視可能文字の本来表示されるべき基準となる目視可能文字の画像を生成する基準文字画像生成手段と、
前記撮像手段で取得された前記目視可能文字の画像と、前記基準文字画像生成手段で生成された前記基準となる目視可能文字の画像とを比較し、比較値の差があらかじめ設定された許容範囲を超えた場合に、当該許容範囲を超えた箇所を目視可能文字表示の欠陥部として検出する文字欠陥検出手段と、
を更に備える請求項1記載の品質検査装置。
【請求項3】
バーコード表示を含む印刷物の印刷面を撮像し、少なくともバーコード画像を含む画像データを取得する撮像手段と、
前記印刷の基となる印刷用画像データから、バーコード画像を抽出する基準画像抽出手段と、
前記撮像手段で取得された前記バーコード画像と、前記基準画像抽出手段で抽出された基準となるバーコード画像とを比較し、比較値の差があらかじめ設定された許容範囲を超えた場合に、当該許容範囲を超えた箇所をバーコード表示の欠陥部として検出する欠陥検出手段と、
よりなることを特徴とする品質検査装置。
【請求項4】
前記撮像手段が取得する前記画像データに、前記印刷物のバーコード画像に沿って表示される目視可能文字の画像を含み、
前記印刷用画像データから、目視可能文字の画像を抽出する基準文字画像抽出手段と、
前記撮像手段で取得された前記目視可能文字の画像と、前記基準文字画像抽出手段で抽出された基準となる目視可能文字の画像とを比較し、比較値の差があらかじめ設定された許容範囲を超えた場合に、当該許容範囲を超えた箇所を目視可能文字表示の欠陥部として検出する文字欠陥検出手段と、
を更に備える請求項3記載の品質検査装置。
【請求項5】
前記バーコードの内容と前記目視可能文字とが対応しているか否か判定する判定手段を更に備える、請求項2又は4記載の品質検査装置。
【請求項6】
文字表示を含む印刷物の印刷面を撮像し、少なくとも前記文字の画像を含む画像データを取得する撮像手段と、
前記取得された文字の画像から文字のフォントを判別する判別手段と、
前記判定されたフォントで前記文字の本来表示されるべき基準となる文字の画像を生成する基準文字画像生成手段と、
前記撮像手段で取得された前記文字の画像と、前記基準文字画像生成手段で生成された前記基準となる文字の画像とを比較し、比較値の差があらかじめ設定された許容範囲を超えた場合に、当該許容範囲を超えた箇所を文字表示の欠陥部として検出する文字欠陥検出手段と、
よりなることを特徴とする品質検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷物の品質検査装置に係り、とくに可変QRコード(登録商標)やマイクロQRコード(登録商標)などのバーコード表示や文字表示の印刷の品質検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バーコード表示の印刷の品質検査は、コードを読み込むことができることの検査と、コードを読み込むことができ、且つコードの表示に欠けや汚れが無いことの検査の2通りがある。特に後者の検査の場合、バーコードが印字された印刷物をカメラで撮像し、品質検査を行っている。このようなバーコード表示の欠けや汚れの検査には、カメラで撮像したバーコードの画像について、基準となるマスターのバーコード画像と濃度レベルを比較し、レベル差が予め設定した許容値以上となった箇所を欠陥(汚れや欠け等)と判定する方法が広く用いられている(特許文献1参照)。
【0003】
ここで、基準とするマスターの画像は、事前にプリンタ(印刷機)で印字される情報を検査装置に登録し、検査する手法が一般的である。これは、予め印字されるバーコードの画像、もしくは印字する情報のCSVファイルから、プリンタと同じ条件でバーコード画像を生成し、事前に登録する。
【0004】
しかし、バーコードは、読み取られるコードの中身であるデータが同じ内容であっても、内容以外のパラメータの違いにより、印字されるコードの大きさやドット配列が異なる場合が多い。このため、上記マスター画像は、プリンタの印字データを使用したり、同じアプリケーションを使用したりして、各バーコードごとに各々生成する必要があった。
【0005】
このため、プリンタ側から検査装置にデータを転送する仕組みづくりや、事前に印字されている画像すべてを登録しておく必要があり、余分な作業や工程が発生するとともに、可変印刷されるバーコードなど印字されるバーコードの量が多くなると事前登録のためのメモリー資源を多く消費し、保有するメモリー量を超えてしまって登録できないといったことも生じていた。これはバーコード以外の文字情報についても同様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、事前の登録等の準備が不要又は簡易に済ませることができ、異なるバーコードや文字情報を多く印刷する場合であっても、使用するメモリー量(記憶容量)を大幅に抑えることができる品質検査装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、かかる現況に鑑み、鋭意検討した結果、バーコード表示の印刷に欠陥や汚れ等が生じていても、当該表示から各種パラメータの読み取ることが可能である場合が殆どであることに着目し、当該パラメータから本来表示されるべきバーコード表示を生成すれば、これを基準(マスター)として比較することにより、印刷された当該バーコード表示の印刷品質を検査することができ、予め基準の画像情報を準備しておく必要もなくなり、必要なメモリ容量も大幅に削減できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、以下の発明を包含する。
(1) バーコード表示を含む印刷物の印刷面を撮像し、少なくともバーコード画像を含む画像データを取得する撮像手段と、前記取得されたバーコード画像からコード表示作成情報を読み取る情報読み取り手段と、読み取ったコード表示作成情報に基づき、本来表示されるべき基準となるバーコード画像を生成する基準画像生成手段と、前記撮像手段で取得された前記バーコード画像と、前記基準画像生成手段で生成された前記基準となるバーコード画像とを比較し、比較値の差があらかじめ設定された許容範囲を超えた場合に、当該許容範囲を超えた箇所をバーコード表示の欠陥部として検出する欠陥検出手段と、よりなることを特徴とする品質検査装置。
【0010】
(2) 前記撮像手段が取得する前記画像データに、前記印刷物のバーコード画像に沿って表示される目視可能文字の画像を含み、前記取得された目視可能文字の画像から目視可能文字のフォントを判別する判別手段と、前記判定されたフォントで前記目視可能文字の本来表示されるべき基準となる目視可能文字の画像を生成する基準文字画像生成手段と、前記撮像手段で取得された前記目視可能文字の画像と、前記基準文字画像生成手段で生成された前記基準となる目視可能文字の画像とを比較し、比較値の差があらかじめ設定された許容範囲を超えた場合に、当該許容範囲を超えた箇所を目視可能文字表示の欠陥部として検出する文字欠陥検出手段と、を更に備える(1)記載の品質検査装置。
【0011】
(3) バーコード表示を含む印刷物の印刷面を撮像し、少なくともバーコード画像を含む画像データを取得する撮像手段と、前記印刷の基となる印刷用画像データから、バーコード画像を抽出する基準画像抽出手段と、前記撮像手段で取得された前記バーコード画像と、前記基準画像抽出手段で抽出された基準となるバーコード画像とを比較し、比較値の差があらかじめ設定された許容範囲を超えた場合に、当該許容範囲を超えた箇所をバーコード表示の欠陥部として検出する欠陥検出手段と、よりなることを特徴とする品質検査装置。
【0012】
(4) 前記撮像手段が取得する前記画像データに、前記印刷物のバーコード画像に沿って表示される目視可能文字の画像を含み、前記印刷用画像データから、目視可能文字の画像を抽出する基準文字画像抽出手段と、前記撮像手段で取得された前記目視可能文字の画像と、前記基準文字画像抽出手段で抽出された基準となる目視可能文字の画像とを比較し、比較値の差があらかじめ設定された許容範囲を超えた場合に、当該許容範囲を超えた箇所を目視可能文字表示の欠陥部として検出する文字欠陥検出手段と、を更に備える(3)記載の品質検査装置。
(5) 前記バーコードの内容と前記目視可能文字とが対応しているか否か判定する判定手段を更に備える、(2)又は(4)記載の品質検査装置。
【0013】
(6) 文字表示を含む印刷物の印刷面を撮像し、少なくとも前記文字の画像を含む画像データを取得する撮像手段と、前記取得された文字の画像から文字のフォントを判別する判別手段と、前記判定されたフォントで前記文字の本来表示されるべき基準となる文字の画像を生成する基準文字画像生成手段と、前記撮像手段で取得された前記文字の画像と、前記基準文字画像生成手段で生成された前記基準となる文字の画像とを比較し、比較値の差があらかじめ設定された許容範囲を超えた場合に、当該許容範囲を超えた箇所を文字表示の欠陥部として検出する文字欠陥検出手段と、よりなることを特徴とする品質検査装置。
なお、本発明で「文字」とは、漢字、ひらかな、カタカナ、アルファベット、その他の言語文字や、数字、記号等も含む。
【発明の効果】
【0014】
以上にしてなる本願発明に係る品質検査装置によれば、取得されたバーコード画像からコード表示作成情報を読み取る情報読み取り手段、及び読み取ったコード表示作成情報に基づき、本来表示されるべき基準となるバーコード画像を生成する基準画像生成手段を備え、撮像手段で取得されたバーコード画像と基準画像生成手段で生成された基準となるバーコード画像とを比較して欠陥部を検出するので、事前の基準となるバーコード画像の登録等の準備が不要であり、通信機能や機器が不要になる。使用するメモリー量も、理論上、撮像されたバーコード自体から読み取ったパラメータに基づき生成されるマスター画像1枚のみの記憶分で足りることが可能となる。
【0015】
また、たとえばオフライン検査(検査工程が印刷工程と別)の場合は、従来では、印刷工程で印字した内容、もしくは印字した画像を、すべて検査工程に事前に転送して準備しておく作業や機器が必要であったが、本発明では事前の情報の転送やその他の準備が一切不要になる。
【0016】
ここで、前記撮像手段が取得する前記画像データに、前記印刷物のバーコード画像に沿って表示される目視可能文字の画像を含み、前記取得された目視可能文字の画像から目視可能文字のフォントを判別する判別手段と、前記判定されたフォントで前記目視可能文字の本来表示されるべき基準となる目視可能文字の画像を生成する基準文字画像生成手段と、前記撮像手段で取得された前記目視可能文字の画像と、前記基準文字画像生成手段で生成された前記基準となる目視可能文字の画像とを比較し、比較値の差があらかじめ設定された許容範囲を超えた場合に、当該許容範囲を超えた箇所を目視可能文字表示の欠陥部として検出する文字欠陥検出手段と、を更に備えるものでは、バーコードに沿って表示される目視可能文字も、バーコードと同様、事前の基準となる文字画像の登録等の準備が不要であり、通信機能や機器が不要で、使用するメモリー量も大幅に抑えた記憶容量で対応可能となる。
【0017】
また、バーコード表示を含む印刷物の印刷面を撮像し、少なくともバーコード画像を含む画像データを取得する撮像手段と、前記印刷の基となる印刷用画像データから、バーコード画像を抽出する基準画像抽出手段と、前記撮像手段で取得された前記バーコード画像と、前記基準画像抽出手段で抽出された基準となるバーコード画像とを比較し、比較値の差があらかじめ設定された許容範囲を超えた場合に、当該許容範囲を超えた箇所をバーコード表示の欠陥部として検出する欠陥検出手段と、よりなることを特徴とする品質検査装置では、事前に印刷の基となる印刷用画像データを準備することは必要であるが、従来に比べて事前の登録等の準備は非常に簡易に済ませることができ、使用するメモリー量(記憶容量)も大幅に抑えることができる。
【0018】
また、前記バーコードの内容と前記目視可能文字とが対応しているか否か判定する判定手段を更に備えるものでは、印刷表示だけでなく内容的に(中身の情報)も正常な表示であることを確認することができる。
また、文字表示を含む印刷物の印刷面を撮像し、少なくとも前記文字の画像を含む画像データを取得する撮像手段と、前記取得された文字の画像から文字のフォントを判別する判別手段と、前記判定されたフォントで前記文字の本来表示されるべき基準となる文字の画像を生成する基準文字画像生成手段と、前記撮像手段で取得された前記文字の画像と、前記基準文字画像生成手段で生成された前記基準となる文字の画像とを比較し、比較値の差があらかじめ設定された許容範囲を超えた場合に、当該許容範囲を超えた箇所を文字表示の欠陥部として検出する文字欠陥検出手段と、よりなることを特徴とする品質検査装置では、バーコードではなく文字についても、バーコードの場合と同様、事前の基準となる文字画像の登録等の準備が不要であり、通信機能や機器が不要で、使用するメモリー量も大幅に抑えた記憶容量で対応可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】(a)は本発明の代表的実施形態にかかる品質検査装置の概略を示す説明図、(b)は取得されたバーコード表示のマスターとの比較の様子を示す説明図。
【
図2】同じく品質検査装置の構成を示すブロック図。
【
図3】同じく品質検査装置の処理手順を示すフロー図。
【
図4】(a)は変形例において一次元バーコード及び目視可能文字のマスターをそれぞれ生成する手順を示す説明、(b)は同じく変形例においてバーコード表示とそのマスターとの比較の様子、目視可能文字とそのマスターとの比較の様子をそれぞれ示す説明図。
【
図5】同じく変形例の品質検査装置の構成を示すブロック図。
【
図6】同じく変形例の品質検査装置の処理手順を示すフロー図。
【
図7】他の実施形態にかかる品質検査装置の概略を示す説明図、(b)は取得されたバーコード表示のマスターとの比較の様子を示す説明図。
【
図8】同じく他の実施形態にかかる品質検査装置の構成を示すブロック図。
【
図9】同じく他の実施形態にかかる品質検査装置の処理手順を示すフロー図。
【
図10】更に他の実施形態にかかる品質検査装置の概略を示す説明図、(b)は取得された文字表示のマスターとの比較の様子を示す説明図。
【
図11】同じく更に他の実施形態にかかる品質検査装置の構成を示すブロック図。
【
図12】同じく更に他の実施形態にかかる品質検査装置の処理手順を示すフロー図。
【
図13】従来の品質検査装置の概略を示す説明図、(b)は取得されたバーコード表示のマスターとの比較の様子を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。
【0021】
本発明の品質検査装置1は、
図1に示すように、バーコード表示を含む印刷物の印刷面を撮像し、少なくともバーコード画像を含む画像データを取得する撮像手段2と、前記取得されたバーコード画像(例えば、図中のA002’)からコード表示作成情報を読み取る情報読み取り手段3と、読み取ったコード表示作成情報に基づき、本来表示されるべき基準となるバーコード画像(例えば、図中のA002)を生成する基準画像生成手段4と、前記撮像手段2で取得された前記バーコード画像(A002’)と、前記基準画像生成手段4で生成された前記基準となるバーコード画像(A002)とを比較することでバーコード表示の欠陥部を検出する欠陥検出手段5とを備えている。
【0022】
本発明における「バーコード」とは、一次元バーコード、及び二次元バーコードを含み、一次元バーコードは「CODE39」や「CODE128」,「ITF」,「NW-7」、その他種々の公知の一次元バーコードを含み、二次元バーコードは、「QRコード」(登録商標)や「データマトリクス」、「PDF417」、「マイクロQR」、その他種々の公知の二次元バーコードを含み、これら種々の「バーコード」表示の印刷品質を検査することができる。
【0023】
撮像手段2は、たとえばCCDやCMOS撮像素子を搬送方向に直交する横方向に複数並設したラインセンサカメラより構成されている。このようなラインセンサカメラを採用することでバーコード表示を含む印刷面の全幅にわたって撮像することが容易となる。ただし、カメラの数や配置はバーコード表示領域を撮像できるものであれば特に限定されず、ラインセンサカメラ以外にCCDやCMOS撮像素子を縦横方向に複数並設したエリアセンサカメラを単又は複数設けたものも好ましい。
【0024】
また、撮像手段2は、このようなセンサカメラ以外に、撮像のために印刷物をその横方向全幅に亘ってほぼ均一な照度で照明する図示しない照明手段も設けられることが好ましい。複数個のランプを横方向に列設したものや、横方向に長い直管状のランプを設けたものも好ましい。
【0025】
情報読み取り手段3、基準画像生成手段4及び欠陥検出手段5は、
図2に示すように、処理部10及び記憶手段11を備えたコンピュータ等の制御装置より構成されている。記憶手段11は、RAM、ROMなどの記憶メモリや装置内外のハードディスク等より構成され、処理部10における各種処理動作の手順を規定するプログラムや処理データが記憶される。処理部10は、マイクロプロセッサなどのCPUを主体に構成され、入出力部やバスラインを通じて撮像手段2の出力信号が入力される。処理部10は機能的に上記情報読み取り手段3、基準画像生成手段4及び欠陥検出手段5を少なくとも備え、これら機能は上記プログラムにより実現される。
【0026】
記憶手段11は、
図2に示すように、撮像手段2で撮像されたバーコード画像(例えば、
図1のA002’)を含む画像データを記憶する画像データ記憶部30と、前記情報読み取り手段3により読み取られたコード表示作成情報を記憶する作成情報記憶部31と、基準画像生成手段4により生成された基準となるバーコード画像(例えば、
図1のA002)を記憶するマスター画像記憶部32と、欠陥検出手段5により検出された欠陥部を含む欠陥画像や判定結果を記憶する判定結果記憶部33とを少なくとも備えている。
【0027】
処理部10は、更に、撮像手段2からバーコード画像を含む画像データを受信し、記憶手段11の画像データ記憶部30に記憶する撮像画像処理部40を備えている。撮像手段2から受信する撮像画像がラインセンサカメラからの画像データの場合、撮像画像処理部40がこれを被検査画像データに合成処理して画像データ記憶部30に記憶する。
【0028】
情報読み取り手段3は、バーコード画像からバーコード表示が示す情報を読み取る読み取り処理部41と、読み取り処理部41が読み取った情報から、コード作成に必要なコード表示作成情報を抽出し、作成情報記憶部31に記憶する抽出処理部42とを備えている。抽出処理部42が抽出するコード表示作成情報としては、たとえば「形状のタイプ」、「セルサイズ」、「実際に表示されるデータ内容」に関する情報等である。特に一次元バーコードの場合は「スタート・エンドビット」や「アスタリスク」、「スタートコードバー」、「ストップコードバー」、「チェックデジット」などの情報が該当する。
【0029】
より具体的には、たとえばバーコードが「QRコード」の場合は、「モデル」、「バージョン」、「実際に表示されるデータ内容」、「誤り訂正率」、「マスクパターン」などのパラメータが該当し、バーコードが「データマトリクス」の場合、「形状のタイプ」、「セルサイズ」、「実際に表示されるデータ内容」などのパラメータが該当し、また、「CODE39」や「NW-7」、「ITF」の場合は、「自己チェック機構」、「チェックデジット」などのパラメータが該当する。なお、これらコード表示作成に必要なパラメータが仮に抽出できなかった場合には、その時点で欠陥ありと判定すればよい。
【0030】
基準画像生成手段4としては、作成情報記憶部31に記憶された上記パラメータに基づき、本来表示されるべき基準となるバーコード画像(マスター)を生成し、マスター画像記憶部32に記憶する基準画像生成処理部43を備えている。
【0031】
欠陥検出手段5としては、撮像手段2で取得されて画像データ記憶部30に記憶されたバーコード画像と、基準画像生成手段4で生成されてマスター画像記憶部32に記憶された、基準となるバーコード画像とを比較し、比較値の差があらかじめ設定された許容範囲を超えた場合に、当該許容範囲を超えた箇所をバーコード表示の欠陥部として検出し、このような判定結果を判定結果記憶部33に記憶する欠陥検出処理部44を備えている。
【0032】
上記比較は、たとえば濃度レベルを比較して濃度レベル差が許容値を超えた場合に当該箇所を欠陥箇所として検出することや、その他の公知の方法を用いてもよい。すなわち、欠陥検出処理部44は、撮像されたバーコード画像の多階調エリア画像の各部の濃度レベルと、マスター画像の多階調エリア画像の各部の濃度レベルとを比較して濃度レベル差を求める比較処理部を備えている。
【0033】
ここで、印刷物Sの用紙ずれ等を補正するために、好ましくは撮像された画像若しくはマスター画像のいずれか一方又は両方を移動させることが行われる。この画像移動は水平方向、垂直方向への移動と回転移動を組み合わして行うことができる。例えば、画像の特徴点を認識させてこの特徴点を基準にして画像を移動する手法や、概略抽出した画像輪郭を基準にして画像を移動させる手法など公知の手法が採用できる。
【0034】
次に、
図3のフロー図に基づき、本実施形態の品質検査装置による検査の手順を説明する。
【0035】
先ず、撮像手段2により印刷物Sのバーコード表示を含む印刷面が撮像され(S101)、撮像画像処理部40によって、その画像データが記憶手段11の画像データ記憶部30に記憶される(S102)。次に、情報読み取り手段3の読み取り処理部41が、画像データ記憶部30の画像データのバーコード画像からバーコード表示が示す情報を読み取り(S103)、抽出処理部42が読み取った情報からマスターのバーコード表示を作成するのに必要なコード表示作成情報を抽出する(S104)。
【0036】
このS104で、必要なコード表示作成情報が抽出できない場合は、バーコード表示に欠陥があると判定し、処理を終了する(S105)。コード表示作成に必要な情報が抽出できれば、これを作成情報記憶部31に記憶する(S106)。
【0037】
次に、前記抽出されたコード表示作成情報に基づき、基準画像生成処理部43が本来表示されるべき基準となるバーコード画像(マスター)を生成し、マスター画像記憶部32に記憶する(S107)。次に、欠陥検出処理部44が、画像データ記憶部30に記憶されたバーコード画像と、マスター画像記憶部32に記憶された、当該バーコード画像に対応する基準となるバーコード画像(マスター)とを比較し、比較値の差があらかじめ設定された許容範囲を超えた場合に、当該許容範囲を超えた箇所をバーコード表示の欠陥部として検出し、このような判定結果を判定結果記憶部33に記憶する(S108)。
【0038】
この判定結果は、さらに図示しない表示手段のディスプレイに表示されることが好ましい。欠陥部が検出された場合には該欠陥部の画像も表示され、オペレータが欠陥の程度を確認できるようにすることが好ましい。
【0039】
次に、
図4に示すように、撮像手段2で取得される画像データに、バーコード画像とともに該バーコードに沿って表示される目視可能文字の画像が含まれる場合において、この目視可能文字についても、あらかじめマスターを記憶することなく、撮像された画像データからマスターを生成し、欠陥検査を行うことができる装置の変形例について説明する。なお、本変形例では、バーコードとして一次元バーコードの例を示しているが、二次元バーコードの場合も同様である。
【0040】
本変形例においては、処理部10は、
図5に示すように、上記代表的実施形態の構成に加えて、撮像手段2で取得された画像データに含まれる目視可能文字の画像から、目視可能文字のフォントを判別する判別処理部45(判別手段)と、判別処理部45で判定されたフォントで前記目視可能文字の本来表示されるべき基準となる目視可能文字の画像を生成する基準文字画像生成処理部46(基準文字画像生成手段)と、前記画像データに含まれる目視可能文字の画像と、基準文字画像生成処理部46で生成された基準となる目視可能文字の画像とを比較し、比較値の差があらかじめ設定された許容範囲を超えた場合に、当該許容範囲を超えた箇所を目視可能文字の欠陥部として検出する文字欠陥検出処理部47を備えている。
上記フォントを判別する判別処理部45は、公知の文字認識ソフトを用いて処理することができ、とくにAI(人工知能)付きのものを用いることが好ましい。複数の文字からなる場合は、一文字づつフォントを判別する。
また、基準文字画像生成処理部46は、記憶手段11に記憶されているフォントデータのうち判別処理部45で判別されたフォントを選択し、該フォントを用いて基準文字を生成する。この際、文字の大きさも撮像手段2で取得された画像データの文字の大きさに合わせて生成することが好ましい。複数の文字からなる場合は、一文字づつ生成することができる。
【0041】
処理部10の撮像手段2は、本変形例では、バーコード表示と目視可能文字を含む印刷物の印刷面を撮像し、少なくともバーコード画像と目視可能文字を含む画像データを取得する。また、情報読み取り手段3は、取得されたバーコード画像(例えば、
図4中のB002’)からコード表示作成情報を読み取る。
【0042】
基準画像生成手段4は、読み取ったコード表示作成情報に基づき、本来表示されるべき基準となるバーコード画像(例えば、
図4中のB002)を生成する。より具体的には、作成情報記憶部31に記憶されたパラメータに基づき、本来表示されるべき基準となるバーコード画像(マスター、例えば上記B002)を生成し、マスター画像記憶部32に記憶する基準画像生成処理部43を備えている。欠陥検出手段5は、取得された前記バーコード画像(B002’)と、前記基準画像生成手段4で生成された前記基準となるバーコード画像(B002)とを比較することでバーコード表示の欠陥部を検出する。
【0043】
文字欠陥検出処理部47は、撮像手段2で取得されて画像データ記憶部30に記憶された目視可能文字の画像と、基準文字画像生成処理部46で生成されて第2のマスター画像記憶部35に記憶された、基準となる目視可能文字の画像(マスター)とを比較し、比較値の差があらかじめ設定された許容範囲を超えた場合に、当該許容範囲を超えた箇所を目視可能文字の表示の欠陥部として検出し、このような判定結果を第2の判定結果記憶部36に記憶するを備えている。
【0044】
上記比較は、バーコードの欠陥検出処理部44と同様、たとえば濃度レベルを比較して濃度レベル差が許容値を超えた場合に当該箇所を欠陥箇所として検出することや、その他の公知の方法を用いてもよい。
【0045】
記憶手段11は、上記した代表的実施形態の各記憶部に加えて、
図5に示すように、判別処理部45により判別された目視可能文字のフォント情報を記憶するフォント情報記憶部34と、基準文字画像生成処理部46で生成された基準となる目視可能文字の画像(例えば、
図4のC002)を記憶する第2のマスター画像記憶部35と、文字欠陥検出処理部47により検出された欠陥部を含む欠陥画像や判定結果を記憶する第2の判定結果記憶部36とを少なくとも備えている。
【0046】
また、記憶手段11の画像データ記憶部30は、撮像手段2で撮像されたバーコード画像(例えば、
図4のB002’)と目視可能文字(例えば、
図4のC002’)を含む画像データを記憶する。また、マスター画像記憶部32は、基準画像生成手段4により生成された基準となるバーコード画像(例えば、
図4のB002)を記憶する。
【0047】
本変形例では、たとえば可変印字された文字(数字・アルファベット)を撮像し、該当するフォントで印字された場合の理想の形をメモリー上にマスター画像として生成し、撮像した文字と比較検査を行う。フォントは上記したバーコードから読み取れるパラメータになく、再現できないので、上記のようにフォントを識別し、あらためてマスター画像として当該フォントの文字を生成することで検査できる。
【0048】
次に、
図6のフロー図に基づき、本変形例の検査手順を説明する。
【0049】
先ず、撮像手段2により印刷物Sのバーコード表示、目視可能文字を含む印刷面が撮像され(S101)、撮像画像処理部40によって、その画像データが記憶手段11の画像データ記憶部30に記憶される(S102)。次に、情報読み取り手段3の読み取り処理部41が、画像データ記憶部30の画像データのバーコード画像からバーコード表示が示す情報を読み取り(S103)、抽出処理部42が読み取った情報からマスターのバーコード表示を作成するのに必要なコード表示作成情報を抽出する(S104)。
【0050】
このS104で、必要なコード表示作成情報が抽出できない場合は、バーコード表示に欠陥があると判定し、処理を終了する(S105)。コード表示作成に必要な情報が抽出できれば、これを作成情報記憶部31に記憶する(S106)。
【0051】
次に、判別処理部45が、画像データ記憶部30の画像データの目視可能文字の画像から当該文字のフォントを判別する(S107)。このS107で、フォントが判別できない場合は、目視可能文字の表示に欠陥があると判定し、処理を終了する(S108)。フォントが判別できれば、これをフォント情報記憶部34に記憶する(S109)。
【0052】
次に、前記抽出されたコード表示作成情報に基づき、基準画像生成処理部43が本来表示されるべき基準となるバーコード画像(マスター)を生成し、マスター画像記憶部32に記憶する(S110)。また、前記判別されたフォント情報に基づき、基準文字画像生成処理部46が本来表示されるべき基準となる目視可能文字の画像(マスター)を生成し、第2のマスター画像記憶部35に記憶する(S111)。
【0053】
次に、欠陥検出処理部44が、画像データ記憶部30に記憶されたバーコード画像と、マスター画像記憶部32に記憶された、当該バーコード画像に対応する基準となるバーコード画像(マスター)とを比較し、比較値の差があらかじめ設定された許容範囲を超えた場合に、当該許容範囲を超えた箇所をバーコード表示の欠陥部として検出し、このような判定結果を判定結果記憶部33に記憶する(S112)。
【0054】
また、文字欠陥検出処理部47が、画像データ記憶部30に記憶された目視可能文字の画像と、第2のマスター画像記憶部35に記憶された、当該目視可能文字の画像に対応する基準となる目視可能文字の画像(マスター)とを比較し、比較値の差があらかじめ設定された許容範囲を超えた場合に、当該許容範囲を超えた箇所を目視可能文字の表示の欠陥部として検出し、このような判定結果を第2の判定結果記憶部36に記憶する(S113)。
【0055】
これらの判定結果は、図示しない表示手段のディスプレイに表示されることが好ましい。欠陥部が検出された場合には該欠陥部の画像も表示され、オペレータが欠陥の程度を確認できるようにすることが好ましい。
【0056】
また、本変形例において、さらにバーコードの内容と目視可能文字とが対応しているか否か判定する判定手段を備えたものが好ましい例である。すなわち、バーコードから情報を読み取ることで、これに目視可能文字の情報が含まれ、両者が合致していることを確認することで、両者が表示だけでなく内容的にも正常な表示であることを確認することができる。
【0057】
この判定は、情報読み取り手段3でバーコードから当該目視可能文字の情報も読み取って記憶しておき、上記基準文字画像生成処理部46で生成される基準となる目視可能文字と前記記憶した目視可能文字の情報とを対比して判定することができる。また、別の方法としては、基準画像生成処理部43で生成された基準となるバーコード画像(マスター)から、別途の読み取り手段によって目視可能文字の情報を読み取り、基準文字画像生成処理部46で生成される基準となる目視可能文字と前記読み取った目視可能文字の情報とを対比して判定することもできる。
【0058】
次に、
図7~
図9に基づき、本発明の他の実施形態について説明する。
【0059】
本実施形態の品質検査装置1Aは、
図7に示すように、バーコード表示を含む印刷物の印刷面を撮像し、少なくともバーコード画像を含む画像データを取得する撮像手段2と、予め入力されて印刷用画像データ記憶部37に記憶された印刷の基となる印刷用画像データ(例えば、図中のX001~X005)から、バーコード画像(A001~A005)を抽出し、マスター画像記憶部32Aに記憶する基準画像抽出手段6と、前記撮像手段2で取得された前記バーコード画像(A002’)と、前記基準画像抽出手段6で抽出された基準となるバーコード画像(A002)とを比較することでバーコード表示の欠陥部を検出する欠陥検出手段5Aとを備えている。
【0060】
基準画像抽出手段6及び欠陥検出手段5Aは、
図8に示すように、処理部10A及び記憶手段11Aを備えたコンピュータ等の制御装置より構成されている。記憶手段11Aは、RAM、ROMなどの記憶メモリや装置内外のハードディスク等より構成され、処理部10Aにおける各種処理動作の手順を規定するプログラムや処理データが記憶される。処理部10Aは、マイクロプロセッサなどのCPUを主体に構成され、入出力部やバスラインを通じて撮像手段2の出力信号が入力される。処理部10Aは機能的に上記基準画像抽出手段6、及び欠陥検出手段5Aを少なくとも備え、これら機能は上記プログラムにより実現される。
【0061】
記憶手段11Aは、
図8に示すように、印刷の基となる印刷用画像データ(例えば、図中のX001~X005)を記憶する印刷用画像データ記憶部37と、撮像手段2で撮像されたバーコード画像(例えば、
図7のA002’)を含む画像データを記憶する画像データ記憶部30Aと、前記基準画像抽出手段6により抽出された基準となるバーコード画像(例えば
図7のA001~A005)を記憶するマスター画像記憶部32Aと、欠陥検出手段5Aにより検出された欠陥部を含む欠陥画像や判定結果を記憶する判定結果記憶部33Aとを少なくとも備えている。
【0062】
処理部10は、更に、撮像手段2からバーコード画像を含む画像データを受信し、記憶手段11の画像データ記憶部30に記憶する撮像画像処理部40Aと、予め入力された印刷の基となる印刷用画像データ(例えば、図中のX001~X005)を印刷用画像データ記憶部37に記憶する入力画像処理部48を備えている。撮像手段2から受信する撮像画像がラインセンサカメラからの画像データの場合、撮像画像処理部40Aがこれを被検査画像データに合成処理して画像データ記憶部30に記憶する。
【0063】
基準画像抽出手段6は、上記印刷用画像データから、バーコードの表示をパターン認識等の公知の技術を用いて抽出することで、当該抽出したバーコード表示を基準となるバーコード画像(マスタ)としてマスター画像記憶部32Aに記憶する。
【0064】
欠陥検出手段5Aとしては、撮像手段2で取得されて画像データ記憶部30に記憶されたバーコード画像と、マスター画像記憶部32Aに記憶された、基準となるバーコード画像とを比較し、比較値の差があらかじめ設定された許容範囲を超えた場合に、当該許容範囲を超えた箇所をバーコード表示の欠陥部として検出し、このような判定結果を判定結果記憶部33Aに記憶する欠陥検出処理部44Aを備えている。
【0065】
上記比較は、上述の代表的実施形態の場合と同様、たとえば濃度レベルを比較して濃度レベル差が許容値を超えた場合に当該箇所を欠陥箇所として検出することや、その他の公知の方法を用いてもよい。すなわち、欠陥検出処理部44Aは、撮像されたバーコード画像の多階調エリア画像の各部の濃度レベルと、マスター画像の多階調エリア画像の各部の濃度レベルとを比較して濃度レベル差を求める比較処理部を備えている。
【0066】
次に、
図9のフロー図に基づき、本実施形態の品質検査装置による検査の手順を説明する。
【0067】
先ず、準備工程になるが、プリンタ(印刷装置)へ印字データを送信するコンピュータから、同じ内容の印刷用画像データ(例えばPDF画像データや、1bitTIFF(白黒)画像データ、CMYK TIFF画像データ、RGB TIFF画像データなど)(プリンタの印刷内容)を検査装置に送り、バーコード部分の画像のみを抽出してマスター画像(検査時に比較対象になる良品の画像)として事前登録する。
【0068】
具体的には、予め入力された印刷の基となる印刷用画像データが、入力画像処理部48により、印刷用画像データ記憶部37に記憶される(S201)。次に、基準画像抽出手段6が、前記印刷用画像データからバーコード表示を抽出し(S202)、該抽出したバーコード表示を基準となるバーコード画像(マスタ)としてマスター画像記憶部32Aに記憶する(S203)。
【0069】
次に、撮像手段2により印刷物Sのバーコード表示を含む印刷面が撮像され(S204)、撮像画像処理部40Aによって、その画像データが記憶手段11Aの画像データ記憶部30Aに記憶される(S205)。次に、欠陥検出処理部44Aが、画像データ記憶部30Aに記憶されたバーコード画像と、マスター画像記憶部32Aに記憶された、当該バーコード画像に対応する基準となるバーコード画像(マスター)とを比較し、比較値の差があらかじめ設定された許容範囲を超えた場合に、当該許容範囲を超えた箇所をバーコード表示の欠陥部として検出し、このような判定結果を判定結果記憶部33Aに記憶する(S206)。
【0070】
この判定結果は、さらに図示しない表示手段のディスプレイに表示されることが好ましい。欠陥部が検出された場合には該欠陥部の画像も表示され、オペレータが欠陥の程度を確認できるようにすることが好ましい。
【0071】
次に、
図10~
図12に示すように、撮像手段2で取得される画像データに、文字画像が含まれる場合において、この文字についても、あらかじめマスターを記憶することなく、撮像された画像データからマスターを生成し、欠陥検査を行うことができる装置の実施形態について説明する。
【0072】
本実施形態の品質検査装置1Aは、
図10及び
図11に示すように、文字表示を含む印刷物の印刷面を撮像し、少なくとも前記文字の画像(例えば、図中のD002’)を含む画像データを取得する撮像手段2と、前記取得された画像データに含まれる文字の画像から文字のフォントを判別する判別手段7(判別処理部45)と、前記判定されたフォントで前記文字の本来表示されるべき基準となる文字の画像(例えば、図中のD002)を生成する基準文字画像生成手段8(基準文字画像生成処理部46)と、前記撮像手段2で取得された前記文字の画像(D002’)と、前記基準文字画像生成手段8で生成された前記基準となる文字の画像(D002)とを比較し、比較値の差があらかじめ設定された許容範囲を超えた場合に、当該許容範囲を超えた箇所を文字表示の欠陥部として検出する文字欠陥検出手段9(文字欠陥検出処理部47)とを備えている。
【0073】
判別手段7、基準文字画像生成手段8、及び文字欠陥検出手段9は、
図11に示すように、処理部10B及び記憶手段11Bを備えたコンピュータ等の制御装置より構成されている。記憶手段11Bは、RAM、ROMなどの記憶メモリや装置内外のハードディスク等より構成され、処理部10Bにおける各種処理動作の手順を規定するプログラムや処理データが記憶される。処理部10Bは、マイクロプロセッサなどのCPUを主体に構成され、入出力部やバスラインを通じて撮像手段2の出力信号が入力される。処理部10Bは機能的に上記判別手段7、基準文字画像生成手段8、及び文字欠陥検出手段9を少なくとも備え、これら機能は上記プログラムにより実現される。
【0074】
記憶手段11Bは、
図11に示すように、撮像手段2で撮像された文字画像(例えば、
図10のD002’)を含む画像データを記憶する画像データ記憶部30Bと、前記判別手段7により判別されたフォント情報を記憶するフォント情報記憶部34と、基準文字画像生成手段8により生成された基準となる文字画像(例えば
図10のD002)を記憶するマスター画像記憶部35と、文字欠陥検出手段9により検出された欠陥部を含む欠陥画像や判定結果を記憶する判定結果記憶部36とを少なくとも備えている。
【0075】
上記フォントを判別する判別処理部45は、公知の文字認識ソフトを用いて処理することができ、とくにAI(人工知能)付きのものを用いることが好ましい。複数の文字からなる場合は、一文字づつフォントを判別する。
また、基準文字画像生成処理部46は、記憶手段11に記憶されているフォントデータのうち判別処理部45で判別されたフォントを選択し、該フォントを用いて基準文字を生成する。この際、文字の大きさも撮像手段2で取得された画像データの文字の大きさに合わせて生成することが好ましい。複数の文字からなる場合は、一文字づつ生成することができる。
【0076】
文字欠陥検出処理部47による文字の画像(D002’)と基準となる文字の画像(D002)との比較は、たとえば濃度レベルを比較して濃度レベル差が許容値を超えた場合に当該箇所を欠陥箇所として検出することや、その他の公知の方法を用いてもよい。
【0077】
次に、
図12のフロー図に基づき、本変形例の検査手順を説明する。
【0078】
先ず、撮像手段2により印刷物Sの文字を含む印刷面が撮像され(S301)、撮像画像処理部40によって画像データ記憶部30Bに記憶される(S302)。判別処理部45が、画像データ記憶部30Bの画像データの文字画像から当該文字のフォントを判別する(S303)。
【0079】
このS303で、フォントが判別できない場合は、文字の表示に欠陥があると判定し、処理を終了する(S304)。フォントが判別できれば、これをフォント情報記憶部34に記憶する(S305)。次に、前記判別されたフォント情報に基づき、基準文字画像生成処理部46が本来表示されるべき基準となる文字の画像(マスター)を生成し、マスター画像記憶部35に記憶する(S306)。
【0080】
次に、文字欠陥検出処理部47が、画像データ記憶部30Bに記憶された文字の画像と、マスター画像記憶部35に記憶された、当該文字の画像に対応する基準となる文字の画像(マスター)とを比較し、比較値の差があらかじめ設定された許容範囲を超えた場合に、当該許容範囲を超えた箇所を文字の表示の欠陥部として検出し、このような判定結果を判定結果記憶部36に記憶する(S307)。
【0081】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0082】
1、1A、1B 品質検査装置
2 撮像手段
3 情報読み取り手段
4 基準画像生成手段
5、5A 欠陥検出手段
6 基準画像抽出手段
7 判別手段
8 基準文字画像生成手段
9 文字欠陥検出手段
10 処理部
10A、10B 処理部
11,11A、11B 記憶手段
30,30A、30B 画像データ記憶部
31 作成情報記憶部
32,32A マスター画像記憶部
33,33A 判定結果記憶部
34 フォント情報記憶部
35 マスター画像記憶部
36 判定結果記憶部
37 印刷用画像データ記憶部
40,40A 撮像画像処理部
41 読み取り処理部
42 抽出処理部
43 基準画像生成処理部
44,44A 欠陥検出処理部
45 判別処理部
46 基準文字画像生成処理部
47 文字欠陥検出処理部
48 入力画像処理部
S 印刷物