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特開2022-73954カルベジロールを有効成分として含む皮膚美白用組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022073954
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】カルベジロールを有効成分として含む皮膚美白用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/49 20060101AFI20220510BHJP
   A61Q 19/02 20060101ALI20220510BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20220510BHJP
【FI】
A61K8/49
A61Q19/02
A23L33/10
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021140084
(22)【出願日】2021-08-30
(31)【優先権主張番号】10-2020-0143603
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】521383411
【氏名又は名称】ジーエムイーエックス(グローバル メディカル シナプス)
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン, ソン ウン
(72)【発明者】
【氏名】ソン, ヨン ソプ
(72)【発明者】
【氏名】ユ, ハン チュ
【テーマコード(参考)】
4B018
4C083
【Fターム(参考)】
4B018MD07
4B018ME14
4C083AC851
4C083AC852
4C083EE10
4C083EE16
(57)【要約】
【課題】カルベジロール(Carvedilol)を有効成分として含む皮膚美白用組成物の提供。
【解決手段】本発明は、皮膚美白用組成物に関し、より具体的には、カルベジロール(Carvedilol)を有効成分として含む、皮膚美白用皮膚局所製剤あるいは化粧料または健康機能食品組成物に関する。本発明によるカルベジロールを有効成分として含有する組成物は、ヒトメラニン細胞(normal human melanocytes,NHMs)でCREBのリン酸化を抑制することによって、MITFを減少させて、メラニン合成遺伝子の発現を阻害して美白効果を示し、時間が経過するにつれて徐々に細胞チロシナーゼ活性を弱化させて、色素沈着の副作用のリスクが低いので、安全かつ効果的に化粧品および健康機能食品などの素材開発および関連産業に有用に用いられることが期待される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)のカルベジロール(Carvedilol)を有効成分として含む、皮膚美白用組成物。
【化1】
【請求項2】
前記組成物は、メラニン生成、MITF発現およびチロシナーゼ活性を含むMITF下部シグナルを抑制することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物は、CREB(cAMP response element-binding protein)のリン酸化の抑制を通じてMITF(microphthalmia-associated transcription factor)の発現を低減させることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物は、化粧料組成物であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物は、健康機能食品組成物であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物は、薬学的組成物であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚美白用組成物に関し、より具体的には、カルベジロール(Carvedilol)を有効成分として含む、皮膚美白用薬学的組成物、化粧料組成物、皮膚外用剤組成物、健康機能食品、または医薬部外品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
色素性皮膚疾患が増えており、全身および局所製剤を含む多様な治療方法およびレーザー療法が開発されている。しかし、色素沈着(post-inflammatory hyperpigmentation(PIH))のような副作用が相対的に多く、治療費用が多くかかるという問題点が発生している。
【0003】
なお、エピネフリンとノルエピネフリンで構成されるカテコールアミンは、神経伝達物質と内分泌ホルモンとして作用するシグナル分子であり、皮膚でカテコールアミンの生合成と分解がヒト角質細胞で発生するが、メラニン細胞でカテコールアミンが合成されることはよく知られていない。カテコールアミンは、Gタンパク質結合受容体(GPCR)を介して作用し、カテコールアミンとGPCRの結合は、ATPから3’,5’-環状アデノシン一リン酸(cAMP)を合成する細胞内アデニル酸シクラーゼの活性化を誘発し、cAMPは、タンパク質キナーゼA(PKA)のRサブユニットに結合して活性を発揮してcAMP反応要素結合タンパク質(CREB)のリン酸化を招くことが知られており、GPCRは、グルカゴン、副甲状腺ホルモン、セクレチンおよびカルシトニンを含むアミンとペプチドにより活性化する。
【0004】
アドレナリン性受容体拮抗剤は、α受容体およびβ受容体拮抗剤で構成され、α受容体拮抗剤は、非選択的、α1選択的およびα2選択的製剤に細分される反面、β受容体拮抗剤は、非選択的、β1選択的およびβ2選択的に細分化される。プロプラノロール、チモロール、ナドロールのような1世代の非選択的β受容体拮抗剤とは異なって、カルベジロール(Carvedilol)は、α1を遮断して血管拡張作用をも有する3世代の非選択的β遮断剤として知られている。カルベジロールは、他のβ遮断剤と同様に、高血圧と鬱血性心臓疾患を調節するための経口用薬物として使用されることが一般的である。また、皮膚科分野においては、毛細血管拡張抑制、抗酸化、抗炎症作用が知られていて、たびたび紅斑毛細血管拡張型酒さ(erythematotelangiectatic rosacea)を治療するために経口製剤に使用されている(特許文献1)。
【0005】
しかし、カルベジロールの皮膚疾患または美白効能を確認した研究は極めて少なく、特にアドレナリン受容体を抑制することではない他のシグナル伝達過程については知られたことがないので、これに関する研究が求められているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国登録特許第1468827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のような問題点を改善するために、本発明者らは、カルベジロールを用いてメラニン合成シグナル伝達を研究した結果、カルベジロールが、ヒトメラニン細胞でCREB(cAMP response element-binding protein)のリン酸化を抑制することによって、MITF(microphthalmia-associated transcription factor)を減少させ、メラニン合成遺伝子の発現を阻害して、美白効果を示すことを確認することによって本発明を完成した。
【0008】
これより、本発明は、カルベジロール(Carvedilol)を有効成分として含む、皮膚美白用組成物を提供することを目的とする。
【0009】
しかし、本発明が達成しようとする技術的課題は、以上で言及した課題に限らず、言及されていない他の課題は、以下の記載から当業者が明確に理解できる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述のような本発明の目的を達成するために、本発明は、下記式(1)のカルベジロール(Carvedilol)を有効成分として含む、皮膚美白用組成物を提供する。
【0011】
【化1】
【0012】
本発明の一具現例において、前記組成物は、メラニン生成、MITF発現およびチロシナーゼ活性を含むMITF下部シグナルを抑制できる。
【0013】
本発明の他の具現例において、前記組成物は、CREB(cAMP response element-binding protein)のリン酸化の抑制を通じてMITFの発現を低減させることができる。
【0014】
本発明のさらに他の具現例において、前記組成物は、化粧料組成物、健康機能食品組成物または薬学的組成物でありうる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によるカルベジロールを有効成分として含有する組成物は、ヒトメラニン細胞(normal human melanocytes,NHMs)でCREB(cAMP response element-binding protein)のリン酸化を抑制することによって、MITF(microphthalmia-associated transcription factor)を減少させて、メラニン合成遺伝子の発現を阻害する美白効果を示し、時間が経過するにつれて徐々に細胞チロシナーゼ活性を弱化させて、色素沈着の副作用のリスクが低いので、安全かつ効果的に化粧品および健康機能食品などの素材開発および関連産業に有用に用いられることが期待される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1a】ヒトメラニン細胞(NHMs)で濃度別カルベジロール処理によるメラニン生成抑制効果を確認した図であって、濃度別カルベジロール処理による細胞生存率を示す図である。
図1b】ヒトメラニン細胞(NHMs)で濃度別カルベジロール処理によるメラニン生成抑制効果を確認した図であって、濃度別カルベジロール処理によるメラニン生成抑制活性を確認した図である。
図1c】ヒトメラニン細胞(NHMs)で濃度別カルベジロール処理によるメラニン生成抑制効果を確認した図であって、濃度別カルベジロール処理によるチロシナーゼ活性抑制を確認した図である。
図1d】ヒトメラニン細胞(NHMs)で濃度別カルベジロール処理によるメラニン生成抑制効果を確認した図であって、カルベジロール処理時間によるメラニン合成関連タンパク質の発現を確認した図である。
図2a】マウスメラニン細胞(mel-ab)でカルベジロールのメラニン生成抑制効果を確認した図であって、濃度別カルベジロール処理による細胞生存率を示す図である。
図2b】マウスメラニン細胞(mel-ab)でカルベジロールのメラニン生成抑制効果を確認した図であって、濃度別カルベジロール処理によるメラニン生成抑制活性を確認した図である。
図3a】FSKで刺激されたヒトメラニン細胞でカルベジロールの効果を確認した図であって、時間によるメラニン生成抑制活性を示す図である。
図3b】FSKで刺激されたヒトメラニン細胞でカルベジロールの効果を確認した図であって、FSK処理によるMITF mRNA発現を示す図である。
図3c】FSKで刺激されたヒトメラニン細胞でカルベジロールの効果を確認した図であって、カルベジロール処理によるMITF mRNA発現を示す図である。
図4a】カルベジロール処理によるex-vivo皮膚モデルの変化を確認した図であって、フォンタナ・マッソン染色を通じてメラノソームのレベルを確認した図である。
図4b】カルベジロール処理によるex-vivo皮膚モデルの変化を確認した図であって、カルベジロール処理の有無によるメラニン指数を比較した図である。
図4c】カルベジロール処理によるex-vivo皮膚モデルの変化を確認した図であって、メラニン合成関連酵素の変化を確認した図である。
図4d】カルベジロール処理によるex-vivo皮膚モデルの変化を確認した図であって、メラノサイト数の変化を確認した図である。
図4e】カルベジロール処理によるex-vivo皮膚モデルの変化を確認した図であって、メラノサイトの活性を意味するHMB45(+)メラノサイトの変化を確認した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明者らは、カルベジロールを用いてメラニン合成シグナル伝達を研究した結果、カルベジロールが、ヒトメラニン細胞でCREB(cAMP response element-binding protein)のリン酸化を抑制することによって、MITF(microphthalmia-associated transcription factor)を減少させて、メラニン合成遺伝子の発現を阻害して、美白効果を示すことを確認することによって本発明を完成した。
【0018】
これより、本発明は、カルベジロール(Carvedilol)を有効成分として含む、皮膚美白用組成物を提供する。
【0019】
本発明において、前記皮膚美白用組成物は、薬学的組成物、局所皮膚軟膏剤組成物、化粧品原料組成物、皮膚外用剤組成物、医薬部外品組成物または健康機能食品組成物を全部含むことができる。
【0020】
本発明において、「カルベジロール(Carvedilol)」は、化学式C2426で構成され、下記式(1)の構造を有する化合物を意味する。
【0021】
【化2】
【0022】
本発明において、「有効成分」とは、単独で目標とする活性を示すまたはそれ自体は活性がない担体とともに活性を示すことができる成分を意味する。
【0023】
本発明において使用される用語「美白」は、メラニンなどの色素の過多によって明度が減少した皮膚の明度を増加させるまたは皮膚の明度を一定のレベルに維持する方法、前記方法で形成された明度が増加した皮膚などを包括して意味し、具体的には、皮膚美白を意味する。「皮膚美白」は、メラニンの生成が阻害されることによる結果として理解されるが、具体的には、メラニンの生成が阻害されることによってメラニンの増加から始まる症状、例えばシミ、ソバカスの改善として理解できる。
【0024】
本発明の組成物は、メラニン生成またはチロシナーゼ活性を抑制し、具体的に、CREB(cAMP response element-binding protein)のリン酸化抑制機序を通じてMITF(microphthalmia-associated transcription factor)の発現を低減させることによって、美白活性を示すことができる。
【0025】
本発明は、具体的な実施例に基づいてカルベジロールを含む組成物がメラニン生成抑制およびメラニン関連タンパク質の発現を減少させることを確認することによって本発明を完成した。
【0026】
本発明の一実施例では、ヒトメラニン細胞にカルベジロールを濃度別に処理した結果、メラニン生成を抑制し、チロシナーゼ活性が抑制され、メラニン合成関連タンパク質の発現が減少することを確認した(実施例1参照)。
【0027】
また、本発明の他の実施例では、カルベジロールの美白効果がcAMP/PKA/CREBシグナル伝達と関連があることを確認するために、phospho-ERKおよびphospho-CREBの発現を比較した結果、phospho-ERKは変化がないが、phospho-CREBが時間の経過につれて減少することを確認することによって、カルベジロールがCREBを抑制することによって美白活性を示すことを確認した(実施例2参照)。
【0028】
したがって、本発明による組成物は、CREB抑制を通じてMITF(microphthalmia-associated transcription factor)を減少させ、メラニン細胞の活性抑制およびチロシナーゼ活性抑制、メラニン合成関連タンパク質発現を減少させることによって、美白効果があることを確認したところ、本発明によるカルベジロールを有効成分として含む組成物は、薬学的組成物、皮膚局所軟膏剤組成物、化粧品原料組成物、皮膚外用剤組成物、医薬部外品組成物または健康機能食品組成物として有用に用いられる。
【0029】
本発明による組成物が化粧料組成物の形態で用いられる場合、有効成分のカルベジロールまたはその分画物以外にも、皮膚美白効果を上昇または補強させることができるように皮膚美白効果があると知られた化合物や天然抽出物をさらに含んでもよい。ここで、美白効果があると知られた化合物や天然抽出物としては、メルカプトコハク酸、メルカプトデキストラン、テプレノン、ジヒドロキシイソキノリン、インドメタシン、3-ヒドロキシマヌール、ビタミンK、チアゾリドン、キヌレニン、レモン抽出物、キュウリ抽出物、桑の実抽出物、ローズマリー抽出物、アセロラ・チェリー抽出物、銀杏抽出物、ゼラニウム(geranium)抽出物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0030】
なお、本発明の美白用化粧料組成物において、その有効成分は、皮膚美白活性を示すことができる限り、用途、剤形、配合目的などによって任意の量(有効量)で含んでもよく、通常の有効量は、組成物の全体重量を基準として、0.001重量%~99.99重量%の範囲内で含んでもよい。ここで、「有効量」とは、美白効果を誘導できる有効成分の量をいう。このような有効量は、当業者の通常の能力範囲内で実験的に決定できる。
【0031】
本発明の化粧料組成物は、多様な形態で製造でき、例えば、本発明の皮膚局所剤あるいは化粧料組成物は、当業界において通常的に製造されるいずれの剤形でも製造でき、例えば、溶液、懸濁液、乳濁液、ペースト、ゲル、クリーム、軟膏、ローション、パウダー、石鹸、クレンジング、オイル、パウダーファンデーション、エマルジョンファンデーション、ワックスファンデーションおよびスプレーなどで剤形化できが、これらに限定されるものではない。また、具体的に、スキンローション、スキンソフトナー、スキントナー、アストリンゼント、ローション、ミルクローション、モイスチャーローション、栄養ローション、マッサージクリーム、栄養クリーム、モイスチャークリーム、ハンドクリーム、エッセンス、栄養エッセンス、パック、石鹸、シャンプー、クレジングフォーム、クレジングローション、クレンジングクリーム、ボディローション、ボディクレンザー、乳液、リップスティック、メイカップベース、ファンデーション、プレスパウダーおよびルースパウダーからなる群から選択される剤形を有することができるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
本発明の皮膚局所剤あるいは化粧料組成物は、その有効成分以外にも、皮膚局所製剤あるいは化粧料製剤において収容可能な担体を含んでもよい。ここで、「皮膚局所製剤あるいは化粧料製剤において収容可能な担体」とは、化粧品製剤に含まれてもよいすでに公知となって使用されている化合物または組成物であるか、将来開発される化合物または組成物であり、かつ、皮膚との接触時に人体が適応可能な以上の毒性、不安定性または刺激性がないものをいう。前記担体は、本発明の美白用皮膚局所製剤あるいは化粧料組成物にその全体重量に対して約1重量%~約99.99重量%、好ましくは、組成物の重量の約5重量%~約99重量%で含まれてもよい。
【0033】
しかし、前記割合は、本発明の皮膚局所製剤あるいは化粧料の製造される前述したような形態によって、また、その具体的な適用部位(顔や手)やその好ましい適用量などによって変わるので、いかなる観点でも本発明の範囲を制限するものと解されるべきではない。
【0034】
なお、前記担体としては、アルコール、オイル、界面活性剤、脂肪酸、シリコンオイル、湿潤剤、保湿剤、粘性変形剤、乳剤、安定剤、紫外線遮断剤、発色剤、香料などが例示できる。前記担体として使用できるアルコール、オイル、界面活性剤、脂肪酸、シリコンオイル、湿潤剤、保湿剤、粘性変形剤、乳剤、安定剤、紫外線遮断剤、発色剤、香料として使用できる化合物/組成物などは、すでに当業界において公知となっているので、当業者なら適切な当該物質/組成物を選択して使用できる。
【0035】
また、本発明による組成物が皮膚外用剤の形態で用いられてもよく、「皮膚外用剤」は、一般的に皮膚外用に使用する物質全般を含む包括的な概念であり、皮膚外用剤の剤形の非制限的な例としては、硬膏剤(PLASTERS)、ローション剤(LOTIONS)、リニメント剤(LINIMENTS)、液剤(LIQUIDS AND SOLUTIONS)、エアロゾル剤(AEROSOLS)、エキス剤(EXTRACTS)、軟膏剤(OINTMENTS)、流動エキス剤(FLUIDEXTRACTS)、乳剤(EMULSIONS)、懸濁剤(SUSPENSIONS)、カプセル剤(CAPSULES)、クリーム剤(CREAMS)、軟質、硬質ゼラチンカプセル、貼付剤、または徐放性製剤がある。本発明による皮膚外用剤は、常用の無機または有機の担体、賦形剤および希釈剤を加えて固体、半固体または液状の形態で製剤化した非経口投与剤でありうる。前記非経口投与のための製剤としては、点滴剤、軟膏、ローション、ゲル、クリーム、パッチ、スプレー、懸濁剤および乳剤からなる群から選択される経皮投与型剤形でありうるが、これらに制限されない。
【0036】
本発明による組成物が薬学的組成物の形態で用いられる場合、皮膚に沈着した色素を治療する機能を有することができ、皮膚にメラニン色素が過多沈着することを防止して皮膚色素沈着疾患の発生を抑制することによって、皮膚の美白を助ける機能を有することができる。本発明の薬学的組成物は、皮膚色素沈着を予防し治療するための通常の方法によって錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤、エアロゾル、滅菌注射溶液などの形態で剤形化が可能である。本発明による薬学的組成物の具体的な投与量は、製剤化の方法、患者の状態および体重、患者の性別、年齢、病気の程度、薬物の形態、投与経路および期間、排泄速度、反応感応性などのような要因によって当業者が多様に選択でき、投与量および回数は、いかなる面においても本発明の範囲を制限するものではない。
【0037】
本発明による組成物が健康機能食品組成物の形態で用いられる場合、本発明の健康機能食品は、多様な形態の剤形で製造でき、一般薬品とは異なって、食品を原料とするので、薬品の長期服用時に発生しうる副作用などがないという長所があり、携帯性に優れていて、本発明の健康機能食品は、皮膚美白効果を増進させるための補助剤として摂取が可能である。
【0038】
本発明による健康機能食品組成物は、特定の保健用食品、栄養供給の他にも、生体調節機能が効率的に現れるように加工された医学および医療効果が高い食品の形態で製造でき、前記食品は、場合によって、機能性食品、健康食品、健康補助食品として混用でき、有用な効果を得るために、錠剤、カプセル、粉末、顆粒、液状、丸剤などの多様な形態で製造できる。
【0039】
本発明の健康機能食品は、食品組成物に通常的に使用されて、臭い、味、視覚などを向上させることができる追加成分を含んでもよい。例えば、ビタミンA、C、D、E、B1、B2、B6、B12、ニアシン(niacin)、ビオチン(biotin)、葉酸(folate)、パントテン酸(panthotenic acid)などを含んでもよい。また、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、カルシウム(Ca)、クロム(Cr)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、銅(Cu)などのミネラルを含んでもよい。また、リシン、トリプトファン、システイン、バリンなどのアミノ酸を含んでもよい。また、防腐剤(ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、サリチル酸、ジヒドロ酢酸ナトリウムなど)、殺菌剤(さらし粉と高度さらし粉、次亜塩素酸ナトリウムなど)、酸化防止剤(ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)など)、着色剤(タール色素など)、発色剤(亜硝酸ナトリウム、亜酢酸ナトリウムなど)、漂白剤(亜硫酸ナトリウム)、調味料(MSGグルタミン酸ナトリウムなど)、甘味料(ズルチン、チクロ、サッカリン、ナトリウムなど)、香料(バニリン、ラクトン類など)、膨張剤(明礬、D-酒石酸水素カリウムなど)、強化剤、乳化剤、増粘剤(糊料)、被膜剤、ガム基礎剤、気泡抑制剤、溶剤、改良剤などの食品添加物(food additives)を添加することができる。前記添加物は、食品の種類によって選別し、適切な量で使用できる。
【0040】
本発明の健康機能食品を食品添加物として使用する場合、これをそのまま添加したり、他の食品または食品成分と共に使用したりでき、通常の方法によって適切に使用できる。
【0041】
本発明の健康機能食品において、カルベジロールの含有量は、特に制限されず、投与対象の状態、具体的な病症の種類、進行程度などによって多様に変更できる。必要な場合、食品の全体含有量で含んでもよい。
【実施例0042】
以下、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明する。しかし、下記の実施例は、本発明を例示的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。
【0043】
実施例1.メラニン細胞におけるカルベジロール処理による美白効果の確認
1-1.ヒトメラニン細胞(nomal human melanocytes,NHMs)におけるカルベジロール処理による美白効果の確認
ヒトメラニン細胞(normal human melanocytes,NHMs)にカルベジロールを2μM、4μM、6μM、8μMおよび10μMの各濃度別に処理し、5日間培養した後、細胞生存率、メラニン生成活性、チロシナーゼ活性、メラニン合成関連タンパク質の発現を確認した。
【0044】
その結果、細胞生存率の場合、図1aに示されたように、カルベジロールの濃度8μMまでは影響がなく、10μM処理した場合にのみ、細胞生存率が小幅に減少することを確認した。また、メラニン生成およびチロシナーゼ活性の場合、図1bおよび図1cに示されたように、カルベジロール処理によってメラニン生成が抑制され、チロシナーゼ活性が抑制されることを確認した。また、メラニン合成関連タンパク質発現の場合、図1dに示されたように、時間が経過するにつれて減少する傾向を確認した。
【0045】
1-2.マウスメラニン細胞(mel-ab)におけるカルベジロール処理によるメラニン生成抑制効果の確認
ヒトメラニン細胞における美白活性を示した実施例1の結果に加えて、マウスメラニン細胞mel-ab細胞にカルベジロールを処理し、メラニン抑制効果を確認した。
【0046】
その結果、図2aおよび図2bに示されたように、マウスメラニン細胞においても、カルベジロールの濃度8μMまでは細胞生存率に影響がなく、メラニン生成が抑制される効果を示すことを確認した。
【0047】
実施例2.FSKで刺激されたヒトメラニン細胞におけるカルベジロール処理による美白効果の確認
ヒトメラニン細胞をFSKで刺激し、カルベジロールを処理した後、phospho-CREBとphospho-ERKの発現量を測定して、MITF転写を調節するメラニン生成の細胞内シグナル伝達経路を調査した。
【0048】
その結果、図1dに示されたように、phospho-ERKは変化がないが、phospho-CREBは時間が経過するにつれて発現が減少したことを確認した。これより、カルベジロールがcAMP/PKA/CREBシグナル伝達経路を抑制することによってメラニン生成を抑制することを類推でき、cAMPを増加させるFSKを処理した後、カルベジロールのメラニン生成抑制効果をさらに確認した結果、図3aに示されたように、カルベジロールがメラニン生成を抑制させることを確認した。
【0049】
これに加えて、図3bに示されたように、細胞生存および生物学的機能に対する自体構造反応曲線を有するMITF mRNAをFSK 10μMで処理2時間後にヒトメラニン細胞においてMITFの転写が最も多く増加することを確認した。しかし、図3cに示されたように、カルベジロールを処理してから2時間後にヒトメラニン細胞においてMITFのmRNAレベルが最も多く減少することを確認した。
【0050】
実施例3.カルベジロール処理によるex-vivo皮膚モデル変化の確認
実際臨床適応を調べるために、ヒト皮膚組織ex-vivoモデルを活用して、UVで刺激を与えてメラニン合成を誘導した後、カルベジロールを処理して培養した後、切片を作製して、フォンタナ・マッソン(Fontana-masson)染色を行った。
その結果、図4aに示されたように、メラノソームが減少することを確認し、フォンタナ・マッソン染色領域の割合を計算した結果、図4bに示されたように、カルベジロールを処理した場合、メラニン指数が減少することを確認し、また、図4cに示されたように、チロシナーゼ、TRP1およびDCTなどのメラニン合成関連酵素がUVRにより増加し、カルベジロール処理によって減少したことを確認した。
【0051】
また、組織免疫染色結果を分析した結果、図4dに示されたように、カルベジロールは、UVR単独と比較して、Melan-A(+)細胞、すなわちメラノサイトの数に影響を与えないことを確認した。また、図4eに示されたように、メラノサイトの活性を意味するHMB45(+)メラノサイトは、UVR処理によって増加し、カルベジロール処理によって減少することを確認した。
【0052】
上記の結果からカルベジロールは、メラニン指数とメラニン生成関連タンパク質の発現を顕著に減少させて、UVRで刺激したヒト皮膚に対してメラニン生成抑制効果を示すことを確認することができた。
【0053】
前述した本発明の説明は、例示のためのものであり、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で容易に変形が可能であることを理解できる。したがって、以上で記述した実施例は、すべての面において例示的なものであり、限定的でないものと解されるべきである。
図1a
図1b
図1c
図1d
図2a
図2b
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図4c
図4d
図4e