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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022073985
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】鋼材の接合構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/58 20060101AFI20220510BHJP
   E04B 1/24 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
E04B1/58 503G
E04B1/24 Q
E04B1/58 503F
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021157777
(22)【出願日】2021-09-28
(31)【優先権主張番号】P 2020181033
(32)【優先日】2020-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】516152952
【氏名又は名称】構法開発株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507011611
【氏名又は名称】株式会社進富
(74)【代理人】
【識別番号】100218062
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 悠樹
(74)【代理人】
【識別番号】100093230
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 利夫
(72)【発明者】
【氏名】大西 克則
【テーマコード(参考)】
2E125
【Fターム(参考)】
2E125AA13
2E125AB01
2E125AC15
2E125AG43
2E125BB02
2E125CA05
(57)【要約】
【課題】 従来の鋼材の接合構造と同様の接合強度を有するとともに、部品点数を少なくでき、接合施工が容易であり、さらに、フランジ表面をフラットにすることが可能な鋼材の接合構造を提供する。
【解決手段】 隣り合う少なくともフランジとウエッブを有する第1の鋼材と第2の鋼材の端部同士を接合する鋼材の接合構造であって、第1の鋼材のウエッブに接触せず、該ウエッブの表面に対して平行に配設され、第1の鋼材のフランジの端部裏面に溶接された伝達プレートと、第2の鋼材のウエッブに接触せず、該ウエッブの表面に対して平行かつ、第2の鋼材の端部から突出するように配設され、第2の鋼材のフランジの端部裏面に溶接された連結プレートとを備え、第1の鋼材の伝達プレート及び第2の鋼材の連結プレートが各々のウエッブを挟んで両側に設けられ、第1の鋼材の伝達プレートと第2の鋼材の連結プレートが、密着してボルト接合されていることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣り合う少なくともフランジとウエッブを有する第1の鋼材と第2の鋼材の端部同士を接合する鋼材の接合構造であって、
前記第1の鋼材のウエッブに接触せず、該ウエッブの表面に対して平行に配設され、前記第1の鋼材のフランジの端部裏面に溶接された伝達プレートと、
前記第2の鋼材のウエッブに接触せず、該ウエッブの表面に対して平行かつ、前記第2の鋼材の端部から突出するように配設され、前記第2の鋼材のフランジの端部裏面に溶接された連結プレートとを備え、
前記第1の鋼材の前記伝達プレート及び前記第2の鋼材の前記連結プレートが各々の前記ウエッブを挟んで両側に設けられ、
前記第1の鋼材の前記伝達プレートと前記第2の鋼材の前記連結プレートが、密着してボルト接合されていることを特徴とする鋼材の接合構造。
【請求項2】
隣り合う少なくともフランジとウエッブを有する第1の鋼材と第2の鋼材の端部同士を接合する鋼材の接合構造であって、
前記第1の鋼材のウエッブの片側において、前記ウエッブに接触せず、該ウエッブの表面に対して平行に配設され、前記第1の鋼材のフランジの端部裏面に溶接された伝達プレートと、ウエッブの他の片側において、前記ウエッブに接触せず、該ウエッブの表面に対して平行かつ、前記第1の鋼材の端部から突出するように配設され、前記第1の鋼材のフランジの端部裏面に溶接された連結プレートとを備えるとともに、
前記第2の鋼材のウエッブの片側において、前記ウエッブに接触せず、該ウエッブの表面に対して平行かつ、前記第2の鋼材の端部から突出するように配設され、前記第2の鋼材のフランジの端部裏面に溶接された連結プレートと、前記ウエッブの他の片側において、前記ウエッブに接触せず、該ウエッブの表面に対して平行に配設され、前記第2の鋼材のフランジの端部裏面に溶接された伝達プレートとを備え、
前記第1の鋼材の前記伝達プレートと前記第2の鋼材の前記連結プレート及び、前記第1の鋼材の連結プレートと前記第2の鋼材の前記伝達プレートの各々が、密着してボルト接合されていることを特徴とする鋼材の接合構造。
【請求項3】
前記伝達プレートが、前記連結プレートの厚み分の間隔を空けて2枚配設されており、
前記連結プレートが、前記2枚の伝達プレートの間に挟持され、ボルト接合されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の鋼材の接合構造。
【請求項4】
前記伝達プレート又は前記連結プレートの少なくともいずれかにスチフナが接続されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の鋼材の接合構造。
【請求項5】
前記第1の鋼材及び前記第2の鋼材が、H形鋼、T形鋼、溝形鋼、I形鋼のいずれか、又はこれらの組み合わせであることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の鋼材の接合構造。
【請求項6】
少なくともフランジとウエッブを有する鋼材と、構造物を接合する鋼材の接合構造であって、
前記鋼材のウエッブに接触せず、かつ、前記ウエッブの表面に対して平行に配設されるとともに、フランジの端部裏面に溶接された伝達プレートと、
前記構造物から突出するように、前記鋼材に設けられた伝達プレートと接続可能に設けられた、連結プレートとを備え、
前記鋼材の前記伝達プレートと、前記構造物の前記連結プレートが、密着してボルト接合されていることを特徴とする鋼材の接合構造。
【請求項7】
少なくともフランジとウエッブを有する鋼材と、構造物を接合する鋼材の接合構造であって、
前記鋼材のウエッブの片側において、前記鋼材のウエッブに接触せず、かつ、前記ウエッブの表面に対して平行に配設されるとともに、フランジの端部裏面に溶接された伝達プレートと、ウエッブの他の片側において、前記ウエッブに接触せず、該ウエッブの表面に対して平行かつ、前記鋼材の端部から突出するように配設され、前記鋼材のフランジの端部裏面に溶接された連結プレートとを備えるとともに、
前記構造物から突出するように、前記鋼材に設けられた伝達プレートと接続可能に設けられた連結プレートと、を備えるとともに、前記鋼材に設けられた連結プレートと接続可能に設けられた伝達プレートとを備え、
前記鋼材の前記伝達プレートと前記構造物の前記連結プレート及び、前記鋼材の前記連結プレートと前記構造物の前記伝達プレートの各々が、密着してボルト接合されていることを特徴とする鋼材の接合構造。
【請求項8】
前記鋼材に設けられた前記伝達プレートにスチフナが接続されていることを特徴とする請求項6又は7に記載の鋼材の接合構造。
【請求項9】
前記鋼材及び/又は前記構造物に設けられた前記伝達プレートが、前記構造物及び/又は前記鋼材に設けられた前記連結プレートの厚み分の間隔を空けて2枚配設されており、
前記連結プレートが、前記2枚の伝達プレートの間に挟持され、ボルト接合されていることを特徴とする請求項6から8のいずれか一項に記載の鋼材の接合構造。
【請求項10】
前記鋼材が、H形鋼、T形鋼、溝形鋼、I形鋼のいずれかであり、前記構造物が、H形鋼、溝形鋼、Z形鋼、I形鋼、角形鋼管、基礎定着板のいずれかであることを特徴とする請求項6から9のいずれか一項に記載の鋼材の接合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼材の接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ビル等の建築物では、その骨組に鉄骨等の構造材が使用されている。このような構造材としては、曲げ剛性や曲げ強度等の観点から一般的にH形鋼が多く用いられており、これらを建築物の設計に応じて組むことで建築用構造体としている。
【0003】
建築用構造体の施工においてH形鋼を接合する場合、従来より、図19に示すような接合構造が用いられている。この接合構造では、隣り合うH形鋼40、41の端部にかかる曲げモーメントが主にフランジ12断面に軸力となって伝達するため、H形鋼40、41のフランジ12同士を軸力方向に軸力が伝達するように、フランジ12の表裏面に各々添え板8を当てて挟み込み、ボルト6とナット7で締付けて2面の摩擦面で摩擦接合している。
【0004】
また、H形鋼40、41にかかる剪断力が主にウエッブ13断面に鉛直方向のせん断力となって伝達するため、隣り合うH形鋼40、41のウエッブ13に剪断力が伝達するように、ウエッブ13の両面に各々添え板9を当てて挟み込み、ボルト6とナット7で締付けて2面の摩擦面で摩擦接合している。さらに、H形鋼40、41にかかる軸力はフランジ12同士、ウエッブ13同士の両方の接合で伝達している。
【0005】
このような従来の接合構造で、隣り合うH形鋼40、41の高い接合強度を保持させるためには、多数の添え板8、9と、各々の添え板8、9を固定するための多くのボルト6及びナット7が必要となる。そのため、使用する部品点数が非常に多くなりコストがかかるとともに、接合するのに多大な手間がかかるという問題があった。
【0006】
このような問題に対して、H形鋼のフランジの内側面とウエッブの側面に当接して接合するL形材を用い、ボルトにより接合する方法が提案されている(特許文献1を参照)。この提案によれば、接合強度を維持したまま添え板の枚数を減らすことはできるが、使用するボルトの数は従来と同程度であるためコストがかかり、施工性も従来と同様に低いものであった。
【0007】
一方、図19に示す隣り合うH形鋼40、41のフランジ12の表面と裏面を2枚の添え板で挟み込み、ボルト6とナット7により締付けて接合する従来の接合構造では、必然的にフランジ12の表面側にボルト6の頭やナット7、添え板8が突出する。ここで、このような接合構造において接合部のフランジ12表面側に、床など他部位の施工をする場合には、突出したボルト6の頭やナット7、添え板8が邪魔になり、これらを避けるための設計が必要となるため、フランジ12の表面側はフラットであることが望まれていた。
【0008】
このような問題に対して、上記特許文献1では、フランジ裏側の添板とウエッブ添板の半分を一体化し、L型にしているが、フランジの添板として兼用しているので、フランジとのボルトの接合は必須になっており、フランジ外面へのボルト突起は解決されていない。
【0009】
そこで、接合するH形鋼の端面にエンドプレートを溶接し、エンドプレート同士をボルトとナットで固定する提案がなされている(特許文献2を参照)。この提案によれば、部品点数を少なくし、作業性に優れ、フランジ表面にボルトの頭やナットの突出がない構造とすることができる。
【0010】
また、フランジ表面からの突起を無くすための他の方法として、上フランジの先端に厚く、ボルト頭を沈める凹みを加工した部品を完全溶け込み溶接でフランジと一体に形成し、現地でフランジの力を伝達する相応の添板をフランジ内側に配置して貫通ボルトで接合する提案もなされている(特許文献3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平7-34551号公報
【特許文献2】特開平5-179703号公報
【特許文献3】特開平6-173340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記特許文献2の提案のH形鋼の端部に設けたエンドプレート同士をボルトで接合する方法では、ボルトの軸方向がエンドプレートの面外方向であるため、厚板にして変形を少なくしても微少な変形は避けられず、また高力ボルトの引張接合における微少変形も加わり、図19に示す従来の添板方式のような完全剛接合は困難であった。
【0013】
また、特許文献3の提案では、厚く凹加工した部品が高価であること、部品とH形鋼フランジの完全溶け込み溶接が高コストであること、また、添板との摩擦面が1面剪断摩擦接合であるため、従来の2面剪断摩擦接合にくらべてボルトの本数が2倍近く必要であること等の問題があった。
【0014】
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、従来の鋼材の接合構造と同程度の接合強度を有するとともに、部品点数を少なくでき、接合施工が容易であり、さらに、フランジの表面側をフラットにすることが可能な鋼材の接合構造を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の鋼材の接合構造は、上記の技術的課題を解決するためになされたものであって、以下のことを特徴としている。
第1に、本発明の鋼材の接合構造は、隣り合う少なくともフランジとウエッブを有する第1の鋼材と第2の鋼材の端部同士を接合する鋼材の接合構造であって、
前記第1の鋼材のウエッブに接触せず、該ウエッブの表面に対して平行に配設され、前記第1の鋼材のフランジの端部裏面に溶接された伝達プレートと、
前記第2の鋼材のウエッブに接触せず、該ウエッブの表面に対して平行かつ、前記第2の鋼材の端部から突出するように配設され、前記第2の鋼材のフランジの端部裏面に溶接された連結プレートとを備え、
前記第1の鋼材の前記伝達プレート及び前記第2の鋼材の前記連結プレートが各々の前記ウエッブを挟んで両側に設けられ、
前記第1の鋼材の前記伝達プレートと前記第2の鋼材の前記連結プレートが、密着してボルト接合されていることを特徴とする。
第2に、本発明の鋼材の接合構造は、隣り合う少なくともフランジとウエッブを有する第1の鋼材と第2の鋼材の端部同士を接合する鋼材の接合構造であって、
前記第1の鋼材のウエッブの片側において、前記ウエッブに接触せず、該ウエッブの表面に対して平行に配設され、前記第1の鋼材のフランジの端部裏面に溶接された伝達プレートと、ウエッブの他の片側において、前記ウエッブに接触せず、該ウエッブの表面に対して平行かつ、前記第1の鋼材の端部から突出するように配設され、前記第1の鋼材のフランジの端部裏面に溶接された連結プレートとを備えるとともに、
前記第2の鋼材のウエッブの片側において、前記ウエッブに接触せず、該ウエッブの表面に対して平行かつ、前記第2の鋼材の端部から突出するように配設され、前記第2の鋼材のフランジの端部裏面に溶接された連結プレートと、前記ウエッブの他の片側において、前記ウエッブに接触せず、該ウエッブの表面に対して平行に配設され、前記第2の鋼材のフランジの端部裏面に溶接された伝達プレートとを備え、
前記第1の鋼材の前記伝達プレートと前記第2の鋼材の前記連結プレート及び、前記第1の鋼材の連結プレートと前記第2の鋼材の前記伝達プレートの各々が、密着してボルト接合されていることを特徴とする。
第3に、上記第1又は第2の発明の鋼材の接合構造において、前記伝達プレートが、前記連結プレートの厚み分の間隔を空けて2枚配設されており、
前記連結プレートが、前記2枚の伝達プレートの間に挟持され、ボルト接合されていることが好ましい。
第4に、上記第1から第3の発明の鋼材の接合構造において、前記伝達プレート又は前記連結プレートの少なくともいずれかにスチフナが接続されていることが好ましい。
第5に、上記第1から第4の発明の鋼材の接合構造において、前記第1の鋼材及び前記第2の鋼材が、H形鋼、T形鋼、溝形鋼、I形鋼のいずれか、又はこれらの組み合わせであることが好ましい。
第6に、本発明の鋼材の接合構造は、少なくともフランジとウエッブを有する鋼材と、構造物を接合する鋼材の接合構造であって、
前記鋼材のウエッブに接触せず、かつ、前記ウエッブの表面に対して平行に配設されるとともに、フランジの端部裏面に溶接された伝達プレートと、
前記構造物から突出するように、前記鋼材に設けられた伝達プレートと接続可能に設けられた、連結プレートとを備え、
前記鋼材の前記伝達プレートと、前記構造物の前記連結プレートが、密着してボルト接合されていることを特徴とする。
第7に、本発明の鋼材の接合構造は、少なくともフランジとウエッブを有する鋼材と、構造物を接合する鋼材の接合構造であって、
前記鋼材のウエッブの片側において、前記鋼材のウエッブに接触せず、かつ、前記ウエッブの表面に対して平行に配設されるとともに、フランジの端部裏面に溶接された伝達プレートと、ウエッブの他の片側において、前記ウエッブに接触せず、該ウエッブの表面に対して平行かつ、前記鋼材の端部から突出するように配設され、前記鋼材のフランジの端部裏面に溶接された連結プレートとを備えるとともに、
前記構造物から突出するように、前記鋼材に設けられた伝達プレートと接続可能に設けられた連結プレートと、を備えるとともに、前記鋼材に設けられた連結プレートと接続可能に設けられた伝達プレートとを備え、
前記鋼材の前記伝達プレートと前記構造物の前記連結プレート及び、前記鋼材の前記連結プレートと前記構造物の前記伝達プレートの各々が、密着してボルト接合されていることを特徴とする。
第8に、上記第6又は第7の発明の鋼材の接合構造において、前記鋼材に設けられた前記伝達プレートにスチフナが接続されていることが好ましい。
第9に、上記第6から第8の発明の鋼材の接合構造において、前記鋼材及び/又は前記構造物に設けられた前記伝達プレートが、前記構造物及び/又は前記鋼材に設けられた前記連結プレートの厚み分の間隔を空けて2枚配設されており、
前記連結プレートが、前記2枚の伝達プレートの間に挟持され、ボルト接合されていることが好ましい。
第10に、上記第6から第9の発明の鋼材の接合構造において、前記鋼材が、H形鋼、T形鋼、溝形鋼、I形鋼のいずれかであり、前記構造物が、H形鋼、溝形鋼、Z形鋼、I形鋼、角形鋼管、基礎定着板のいずれかであることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の鋼材の接合構造によれば、従来の鋼材の接合構造と同程度の接合強度を有するとともに、部品点数を少なくでき、接合施工が容易であり、さらに、フランジの表面側をフラットにすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の鋼材の接合構造の第1実施形態の接合状態を示す斜視図である。
図2図1に示す第1実施形態のA-A断面図である。
図3図1に示す第1実施形態のB-B断面図である。
図4】本発明の鋼材の接合構造の第2実施形態を示す垂直断面図である。
図5】本発明の鋼材の接合構造の第3実施形態を示す垂直断面図である。
図6】本発明の鋼材の接合構造の第3実施形態を示す水平断面図である。
図7】本発明の鋼材の接合構造の第4実施形態を示す垂直断面図である。
図8】第4実施形態の他の実施形態を示す垂直断面図である。
図9】第4実施形態の他の実施形態を示す垂直断面図である。
図10】本発明の鋼材の接合構造の第5実施形態を示す水平断面図である。
図11】第5実施形態の他の実施形態を示す水平断面図である。
図12】本発明の鋼材の接合構造の第6実施形態を示す水平断面図である。
図13】第7実施形態を示す垂直断面図である。
図14図13に示す第7実施形態の水平断面図である。
図15】本発明の鋼材の接合構造の第8実施形態の接合状態を示す斜視図である。
図16図15に示す第8実施形態のB-B断面図である。
図17】本発明の鋼材の接合構造の第9実施形態を示す正面断面図である。
図18】第10実施形態を示す垂直断面図である。
図19】従来の鋼材の接合構造を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の鋼材の接合構造の実施形態について図面に基づいて以下に詳述する。本発明の鋼材の接合構造は、隣り合う少なくともフランジとウエッブを有する第1の鋼材及び第2の鋼材の端部同士を接合する鋼材の接合構造である。そして、第1の鋼材のウエッブに接触せず、該ウエッブの表面に対して平行に配設され、第1の鋼材のフランジの裏面に溶接された伝達プレートと、第2の鋼材のウエッブに接触せず、該ウエッブの表面に対して平行かつ、第2の鋼材の端部から突出するように配設され、第2の鋼材のフランジの裏面に溶接された連結プレートとを備えている。そして、第1の鋼材の伝達プレート及び第2の鋼材の連結プレートは、各々のウエッブを挟んで両側に設けられており、さらに、第1の鋼材の伝達プレートと、第2の鋼材の連結プレートが、密着してボルト接合されている。
【0019】
<第1実施形態>
図1は、本発明の鋼材の接合構造の第1実施形態を示す斜視図であり、図2図1の実施形態の接合後のA-A断面図、図3はB-B断面図である。本第1実施形態の鋼材の接合構造では、第1の鋼材及び第2の鋼材として、隣り合う2本のH形鋼の端部同士を接合している。
【0020】
本第1実施形態の鋼材の接合構造における第1の鋼材としてのH形鋼10は、上下のフランジ12と、各フランジ12の断面中央部を垂直に繋ぐ1本のウエッブ13から構成されている。また、接合する第2の鋼材としてのH形鋼11は、H形鋼10とほぼ同じ断面のH形状を有している。このようなH形鋼10、11同士の接合は、例えば、梁や柱、また、筋交い等の直線的な接合に用いることができる。
【0021】
本第1実施形態の鋼材の接合構造において、H形鋼10に設けられる伝達プレート2は、ウエッブ13と接触せず、所定の間隔をおいてフランジ12の端部裏面に長手方向に沿って、H形鋼10の端部から突出しないように、かつ、上下のフランジ12を繋ぐように配設されて溶接されている。また、本第1実施形態における伝達プレート2は、連結プレート3の厚み分の間隔を空けて2枚配設されており、さらに、H形鋼のウエッブ13を挟んで両側に設けられている。なお、伝達プレート2とフランジ12の溶接は、伝達プレート2の縁部とフランジ12の相互に力が伝わるように溶接されている。
【0022】
また、本第1実施形態では、伝達プレート2の表面に連結プレート3を密着して設ける構成であるため、伝達プレート2とフランジ12の溶接部21が伝達プレート2の縁に沿って盛り上がる所謂ビードが突出しないように溶接されていることが望ましい。このような溶接状態とするために、例えば、予め伝達プレート2の溶接部21の縁に面取部を形成させておくことが好ましい。溶接は、通常、面取部内を埋めるように部分溶け込み溶接するが、余盛り部分はカットすることで伝達プレート2と連結プレート3を密着して設けることが可能となる。また、密着させる連結プレート3の縁に面取部を形成してビードの盛り上がりとの接触を逃がすこともできる。フランジ12と伝達プレート2の溶接形態は特に限定されるものではないが、上記のことを考慮した場合、部分溶け込み溶接で余盛りカットを施すのが望ましい。
【0023】
また、H形鋼11に設けられる連結プレート3は、ウエッブ13と接触せず、所定の間隔をおいて、伝達プレート2と接合可能な位置に、フランジ12の端部裏面に長手方向に沿ってH形鋼11の端部から突出するように溶接されている。また、連結プレート3の厚みは、H形鋼10に設けられた2枚の伝達プレート2の間隔の厚みに設定されており、接合に際しては、H形鋼10の伝達プレート2が設けられている端部と、H形鋼11の連結プレート3が設けられている端部とを突き合わせて、連結プレート3が伝達プレート2に挟持されてボルト6により接合される。即ち、伝達プレート2と連結プレート3との接合はボルト6による剪断接合となっている。なお、連結プレート3と連結プレート2の隙間は、ボルトで密着できる程度の隙間を空けておくと挿入し易く、具体的なクリアランスとしては1mm程度が考慮される。
【0024】
伝達プレート2と連結プレート3のボルト6による接合は、伝達プレート2と連結プレート3が重なり合う範囲の所定の位置に、連結プレート3及び伝達プレート2を同軸に貫通する貫通孔5を設け、該貫通孔5にボルト6を挿通してナット7で締め付けて接合する。このとき、連結プレート3の強度とボルト接合は、接合部にかかる曲げモーメントと軸力及び剪断力の合力に対する強度が必要になる。
【0025】
なお、ボルト6とナット7による締め付けにおいて、2枚の伝達プレート2と、挟持される連結プレート3の位置関係から、内側(ウエッブ13側)の伝達プレート2の裏側のナット7の固定が困難な場合には、予め貫通孔5の位置にナット7を溶接してお0くことによりボルト6の締め付けを容易かつ確実にすることができる。また、内側の伝達プレート2の貫通孔5に、ボルト6の仕様に対応する雌ねじを形成しておくことにより締結させることもできる。
【0026】
ボルト6は、必要な強度に応じてボルト6の太さと強度及び本数を決めることができる。また、ボルト6のピッチや本数を変えることで伝達プレート2の長さと厚さを設計することができる。なお、伝達プレート2が長い方がフランジ12の接合部から伝達される強度が大きくなるとともにフランジ12との溶接長が多くとれるので溶接サイズが小さく伝達プレート2を薄くすることができる。また、ボルト6の長さを短くすることができるため経済的である。
【0027】
連結プレート3は、必要な強度に応じて材料強度と断面積を決定することができる。このとき、連結プレート3の厚さを薄く設定した方がボルト6の長さを短くすることができるため経済的である。
【0028】
なお、一般的に、ボルト剪断接合においては、剪断面が多いほど接合強度は大きくなる。第1実施形態の鋼材の接合構造では、1枚の連結プレート3を2枚の伝達プレート2により両側から挟持してボルト6で接合するので、H形鋼10とH形鋼11のボルト接合は2面剪断接合となる。
【0029】
本第1実施形態では、H形鋼10の上下のフランジ12の裏面4カ所に溶接した伝達プレート2に伝わった力は、溶接21からフランジ12に伝わるが、伝達プレート2と連結プレート3をボルト6で共締めしているので、伝達プレート2に伝わった力は連結プレート3に伝達されて、H形鋼11の連結プレート3の接合部からフランジ12に力が伝わる。
【0030】
上記のように、第1実施形態の鋼材の接合構造では、フランジ12の裏面に伝達プレート2を溶接しているため、ボルト6による突起や添え板等による段差のないフラットな面とすることができ、フランジ12の表面側への施工性を向上させることができる。
【0031】
なお、伝達プレート2と連結プレート3の接合位置は、できるだけフランジ12の縁側に設けるのが好ましい。これにより、接合したH形鋼10、11の弱軸方向の強度に優れた接合構造とすることができる。
【0032】
<第2実施形態>
本発明においては、図4に示すような第2実施形態の鋼材の接合構造とすることもできる。第2実施形態では、H形鋼10に設けられる伝達プレート2は、ウエッブ13と接触せず、所定の間隔をおいてフランジ12の端部裏面に長手方向に沿って、H形鋼10の端部から突出しないように、かつ、上下の各々のフランジ12に対して各々別に、連結プレート3の厚み分の間隔を空けて2枚ずつ配設されている。さらに、伝達プレート2は、H形鋼10のウエッブ13を挟んで両側に設けられている。
【0033】
また、H形鋼11に設ける連結プレート3は、ウエッブ13と接触せず、所定の間隔をおいて、伝達プレート2と接合可能な位置で、フランジ12の端部裏面に長手方向に沿って、H形鋼の端部から突出するように、かつ、上下の各々のフランジ12に対して各々分割して溶接されている。
【0034】
第2実施形態の構成においても、上記第1実施形態の構成と同様に、連結プレート2枚をウエッブ13の両側からボルト6及びナット7でボルト接合しているので、ウエッブ13の両側で、各々2面の剪断面となり、第1実施形態の接合構造と同様の効果を奏するこことが可能となる。
【0035】
<第3実施形態>
本発明の鋼材の接合構造においては、上記第1実施形態、第2実施形態の他、図5図6に示すように、1枚の連結プレートを2枚の伝達プレート2で挟持せず、伝達プレート2と連結プレート3を上下のフランジ12を繋ぐように接合し、1枚の伝達プレート2と1枚の連結プレート3の面を合わせてボルト接合する構成とすることもできる。
【0036】
<第4実施形態>
また、図7に示すように、第3実施形態において、上記第2実施形態のように、伝達プレート2と連結プレート3を上下のフランジ12各々に分割して接合する構成とすることや、図8に示すように、伝達プレート2のみを上下のフランジ12を繋ぐように接合し、連結プレート3を分割して接合する構成、また、図9に示すように、連結プレート3のみを上下のフランジ12を繋ぐように接合し、伝達プレート2を分割して接合する構成とすることもできる。
【0037】
<第5実施形態>
また、上記第1実施形態及び第2実施形態では、伝達プレート2をH形鋼10の端部から突出しないように溶接し、連結プレート3をH形鋼11の端部から突出するように溶接しているが、図10に示すように、伝達プレート2をH形鋼10の端部から突出するように溶接し、連結プレート3をH形鋼11の端部から突出しないように溶接してもよい。さらに、図11に示すように、伝達プレート2と連結プレート3を共にH形鋼10、11の端部から突出するように溶接して接合する構成としてもよい。この場合、隣り合うH形鋼10及びH形鋼11の各々の端部でボルト接合することができる。
【0038】
<第6実施形態>
また、本発明の鋼材の接合構造においては、図12に示すように、H形鋼10、11のウエッブ13に対して垂直方向で、伝達プレート2と連結プレート3にスチフナ19を溶接することができる。なお、図12では、上記第1実施形態の接合構成に対してスチフナ19を接続しているが、上記第2~5実施形態の接合構造に対してもスチフナ19を接続することができる。
【0039】
これにより、H形鋼10、11のウエッブ13にかかる剪断力が、各々に取り付けたスチフナ19から伝達プレート2と連結プレート3を各々介してH形鋼10、11に伝達される。なお、本発明の鋼材の接合構造において、鋼材の接合条件等で、鋼材の接合箇所に剪断力がかからないような場合には、上記第1~第5実施形態のようにスチフナ19を省略することができる。
【0040】
また、上記第1実施形態から第6実施形態における隣り合うH形鋼10は、H形鋼11と異なった断面形状でもよく、各々が長尺のH形鋼や、片方が梁状又は柱状の鋼材から鉛直や水平又は所定の角度をもって接合されている短尺のH形鋼であってもよい。さらに、本発明の接合構造における第1の鋼材10及び第2の鋼材11は、フランジ12とウエッブ13を有する鋼材であれば適用することができ、T形鋼、溝形鋼、I形鋼のいずれか、又はこれらの組み合わせの接合構成とすることができる。
【0041】
さらに、本発明の鋼材の接合構造では、隣り合う少なくともフランジ12とウエッブ13を有する、第1の鋼材10と第2の鋼材11の端部同士を接合する鋼材の接合構造において、第1の鋼材10のウエッブ13の片側に、ウエッブ13に接触せず、該ウエッブ13の表面に対して平行に配設し、フランジ12の端部裏面に溶接した伝達プレート2を設けるとともに、ウエッブ13の他の片側において、ウエッブ13に接触せず、該ウエッブ13の表面に対して平行かつ、第1の鋼材の端部から突出するように配設し、フランジ12の端部裏面に溶接した連結プレート3を設けた構成とすることもできる。
【0042】
また、第2の鋼材11のウエッブ13の片側においても、ウエッブ13に接触せず、該ウエッブ13の表面に対して平行かつ、第2の鋼材の端部から突出するように配設し、フランジ12の端部裏面に溶接された連結プレート3を設けるとともに、ウエッブ13の他の片側において、ウエッブ13に接触せず、該ウエッブ13の表面に対して平行に配設し、フランジ12の端部裏面に溶接された伝達プレート2とを備えた構成とすることができる。そして、第1の鋼材10の伝達プレート2と第2の鋼材11の連結プレート3及び、第1の鋼材10の連結プレート3と第2の鋼材11の伝達プレート2の各々を密着してボルト接合される。
【0043】
<第7実施形態>
具体的には、第7実施形態として図13図14に示すように、隣り合う第1の鋼材としてのH形鋼10と第2の鋼材としてのH形鋼11の端部同士を接合する接合構造において、第1の鋼材としてのH形鋼10のウエッブ13の片側に伝達プレート2を設け、ウエッブ13の他の片側に、H形鋼10の端部から突出するように連結プレート3を設ける。
【0044】
また、第2の鋼材としてのH型鋼11のウエッブ13の片側においても、H形鋼11の端部から突出するように連結プレート3を設けるとともに、ウエッブ13の他の片側に、伝達プレート2とを設ける。即ち、第1の鋼材としてのH型鋼10及び第2の鋼材としてのH型鋼11において、ウエッブ13の左右各々に、連結プレート3と伝達プレート2を設けた構成としている。
【0045】
そして、第1の鋼材としてのH型鋼10の伝達プレート2と第2の鋼材としてのH型鋼11の連結プレート3及び、第1の鋼材としてのH型鋼10の連結プレート3と第2の鋼材としてのH型鋼11の伝達プレート2の各々を密着させてボルト接合する。
【0046】
なお、第7実施形態においても、図13図14に示すように、H形鋼10、11のウエッブ13に対して垂直方向で、伝達プレート2又は連結プレート3の少なくともいずれかの端部にスチフナ19を溶接することができる。また、その際、特に高力ボルトにより接合する場合には、図14に示すように、伝達プレート2又は連結プレート3を設けた領域のウエッブを削除しておくのが好ましい。これにより内側から貫通孔5にボルト6を容易に挿入することが可能となる。
【0047】
また、第7実施形態では、連結プレート3と伝達プレート2の配設構成が各々一対ずつの、図5図6に示す第3実施形態の配設構成と同様の構成にしているが、連結プレート3及び伝達プレート2の配設構成を上記第1、第2、第4、第5の実施形態の配設構成とすることもできる。
【0048】
本発明の鋼材の接合構造では、さらに他の実施形態として、鋼材と構造物を接合する鋼材の接合構造とすることもできる。以下に、鋼材と構造物の接合構造について説明する。
【0049】
<第8実施形態>
第8実施形態では、図15図16に示すように、垂直に配設するH形鋼4の端部に、第1実施形態と同様に、伝達プレート2がH形鋼のウエッブ13に接触せず、ウエッブ13の表面に対して平行に、かつ、フランジ12の端部裏面に鋼材4の端部から突出しないように伝達プレート2が2枚ずつ設けられている。この2枚の伝達プレート2は、連結プレート3の厚み分の間隔を空けてフランジ12の裏面に溶接部21で溶接されている。
【0050】
また、連結プレート3は、水平に配設される構造物としてのH形鋼15の上側のフランジ12に設けた挿通孔14に挿通して設けられ、さらに上下のフランジ12に溶接されている。そして、H形鋼15のフランジ12から突出した連結プレート3を、H形鋼4端部の2枚の伝達プレート2で挟持し、ボルト6とナット7によりボルト接合している。
【0051】
本第8実施形態によれば、垂直に配設されるH形鋼4の端部において、上記第1実施形態と同様に、連結プレート3と2枚の伝達プレート2の接触面が2面の剪断面になり、この連結プレート2枚をウエッブ13の両側からボルト6とナット7でボルト接合しているので、伝達プレート2と連結プレート3は、ボルト6による2面剪断接合となる。これにより、構造物としてのH形鋼15と鋼材としてのH形鋼4を垂直方向に優れた接合強度で接合することが可能となる。
【0052】
<第9実施形態>
また、第9実施形態として図17に示すように、構造物15としての基礎16における構造物15の柱脚アンカーの基礎定着板18に、連結プレート3を垂直方向に向けて溶接し、これを鉄筋17などで囲み、コンクリートで強固に一体に設けることもできる。そして、基礎16から突出させた連結プレート3を、垂直に配設した、上記第8実施形態のH形鋼4と同様の構成のH形鋼4の伝達プレート2で挟持しボルト結合する。なお、この際、H形鋼4の伝達プレート2及び基礎16に埋込まれた構造物15である基礎定着板18に溶接された連結プレート3の配置構成は、設計等に応じて上記第1~6実施形態のいずれの構成とすることもできる。
【0053】
さらに、本発明の鋼材の接合構造では、少なくともフランジ12とウエッブ13を有する鋼材4と、構造物15を接合する接合構造において、鋼材4のウエッブ13の片側に、鋼材4のウエッブ13に接触せず、かつ、ウエッブ13の表面に対して平行に配設し、フランジ12の端部裏面に溶接した伝達プレート2を設けるとともに、ウエッブ13の他の片側において、ウエッブ13に接触せず、該ウエッブ13の表面に対して平行かつ、鋼材4の端部から突出するように配設し、鋼材4のフランジ12の端部裏面に溶接した連結プレート3とを設けた構成とすることもできる。
【0054】
また、構造物15から突出するように、鋼材4に設けられた伝達プレート2と接続可能に設けられた連結プレート3を設けるとともに、鋼材4に設けられた連結プレート3と接続可能に設けられた伝達プレート2とを設けた構成とすることができる。そして、鋼材4の伝達プレート2と構造物15の連結プレート3及び、鋼材4の連結プレート3と構造物15の伝達プレート2の各々を密着させてボルト接合される。
【0055】
<第10実施形態>
具体的には、第10実施形態として図18に示すように、鋼材としてのH型鋼4と、構造物としてのH型鋼15を接合する接合構造において、鋼材としてのH形鋼4のウエッブ13の片側に伝達プレート2を設け、ウエッブ13の他の片側に、H形鋼4の端部から突出するように連結プレート3を設ける。
【0056】
また、構造物としてのH型鋼15から突出するように、鋼材としてのH型鋼4に設けられた伝達プレート2及び連結プレート3と接続可能に設けられた、連結プレート3及び伝達プレート2を設けた構成とすることができる。
【0057】
そして、鋼材としてのH型鋼4の伝達プレート2と構造物としてのH型鋼15の連結プレート3及び、鋼材としてのH型鋼4の連結プレート3と構造物としてのH型鋼15の伝達プレート2の各々を密着させてボルト接合する。
【0058】
なお、第10実施形態においても、図18に示すように、H形鋼4のウエッブ13に対して垂直方向で、伝達プレート2と連結プレート3の端部にスチフナ19を溶接することができる。また、その際、特に高力ボルトにより接合する場合には、図18に示すように、伝達プレート2又は連結プレート3を設けた領域のウエッブ13を削除しておくのが好ましい。これにより内側から貫通孔5にボルト6を挿入することが可能となる。
【0059】
また、第10実施形態では、連結プレート3と伝達プレート2の配設構成を、各々一対ずつの構成にしているが、例えば、上記第8実施形態の接合構造の連結プレート3及び伝達プレート2の配設構成とすることもできる。
【0060】
以上、本発明のH形鋼の継手構造について実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において各種の変更が可能である。
【0061】
例えば、上記実施形態ではボルト6とナット7により剪断接合しているが、第3、第4実施形態のような1面剪断接合において高力ボルトによる摩擦接合にすることもできる。また、ボルト6は通常高力ボルトが用いられるが、超高力ボルトを用いることができ、これによりボルト6の本数を減らすことができる。
【0062】
また、上記第8実施形態、第9実施形態では、伝達プレート2を設けたH形鋼4を垂直に配設する構成としたが、伝達プレート2を設けたH形鋼4を水平に配設する等、設計に応じて種々の構成とすることができる。
【0063】
上記の構成を有する本発明の鋼材の接合構造によれば、従来のH形鋼の接合構造と同様の接合強度を有するとともに、部品点数を少なくでき、接合施工が容易であり、さらに、フランジ12表面をフラットにすることが可能となる。
【符号の説明】
【0064】
10 第1の鋼材(H形鋼)
11 第2の鋼材(H形鋼)
12 フランジ
13 ウエッブ
14 挿通孔
15 構造物(H形鋼)
16 基礎
17 鉄筋
18 基礎定着板
19 スチフナ
2 伝達プレート
21 溶接部
3 連結プレート
4 鋼材(H形鋼)
40、41 H形鋼
5 貫通孔
6 ボルト
7 ナット
8、9 添え板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19