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特開2022-74091フィルタ処理された心電図測定値に基づく患者のベンチレーションの制御
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022074091
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】フィルタ処理された心電図測定値に基づく患者のベンチレーションの制御
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/00 20060101AFI20220510BHJP
   A61B 5/08 20060101ALI20220510BHJP
   A61B 5/33 20210101ALI20220510BHJP
   A61B 5/053 20210101ALI20220510BHJP
   A61M 16/16 20060101ALI20220510BHJP
   A61M 16/12 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
A61M16/00 310
A61B5/08
A61B5/33
A61B5/053
A61M16/16 Z
A61M16/12
A61M16/00 340
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021176316
(22)【出願日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】63/107,009
(32)【優先日】2020-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/306,425
(32)【優先日】2021-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・ゴバリ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレス・クラウディオ・アルトマン
(72)【発明者】
【氏名】イェフダ・アルガウィ
(72)【発明者】
【氏名】エラン・アハロン
【テーマコード(参考)】
4C038
4C127
【Fターム(参考)】
4C038ST09
4C038SX04
4C038SX07
4C127AA02
4C127AA06
4C127BB05
4C127FF02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】患者のベンチレーション方法及びシステムを提供する。
【解決手段】患者に人工呼吸を施すことを含む、推定される呼吸状態に基づいて患者の呼吸状態を検出及び制御するためのシステム、方法、及びソフトウェア製品であって、第1の位置の患者の胸部の第1のECG信号を生成する第1の電極と、第1の位置とは異なる第2の位置の第2のECG信号を生成する第2の電極と、プロセッサであって、第1のフィルタを第1のECG信号に適用して第1のフィルタ処理済信号を生成し、第2のフィルタを第2のECG信号に適用して第2のフィルタ処理済信号を生成することと、第1と第2のフィルタ処理済信号を比較することにより、患者の呼吸状態を示す第1と第2の電極との間の電気インピーダンスを推定することと、ベンチレーションシステムを制御して、推定された電気インピーダンスに応じてベンチレーションスキームを適用することと、を行うように構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に人工呼吸を施すシステムであって、
第1の位置において前記患者の胸部に連結され、第1の心電図(ECG)信号を生成するように構成された第1の電極と、
前記第1の位置とは異なる第2の位置において前記胸部に連結され、第2のECG信号を生成するように構成された第2の電極と、
プロセッサであって、(i)第1のフィルタを前記第1のECG信号に適用することによって第1のフィルタ処理済信号を生成し、第2のフィルタを前記第2のECG信号に適用することによって第2のフィルタ処理済信号を生成することと、(ii)前記第1のフィルタ処理済信号と前記第2のフィルタ処理済信号を比較することにより、前記第1の電極と前記第2の電極との間の電気インピーダンスを推定することであって、前記電気インピーダンスは、前記患者の呼吸状態を示す、ことと、(iii)推定された前記電気インピーダンスに応じて、酸素富化加湿空気(OHA)を前記患者に提供するためのベンチレーションスキームを適用するように前記ベンチレーションシステムを制御することと、を行うように構成されたプロセッサと、を備える、システム。
【請求項2】
前記プロセッサは、(i)第1の低域フィルタ(LPF)を前記第1のECG信号に適用することと、(i)第2のLPFを前記第2のECG信号に適用することと、を行うように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プロセッサは、推定された前記電気インピーダンスに応じて、1分当たりのベンチレーションサイクル数を調節するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
(i)1分当たり約15回のベンチレーションサイクルの呼吸での通常ベンチレーションモード(NVM)と、(ii)1分当たり約100回以上のベンチレーションサイクルのハイプベンチレーションモード(HVM)と、を更に含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記第1の電極と前記第2の電極との間で、追加の電気インピーダンスを測定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記プロセッサは、推定された前記電気インピーダンス、及び測定された前記追加の電気インピーダンスに基づいて、前記ベンチレーションシステムを制御するように構成されている、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
プログラム命令が記憶された非一時的コンピュータ可読媒体を含むコンピュータソフトウェア製品であって、前記命令が、患者の胸部の外部に連結された少なくとも第1の電極及び第2の電極とともに使用されるベンチレータシステム用のプロセッサによって読み取られたとき、前記プロセッサは、
(i)前記少なくとも第1の電極及び第2の電極から受信される、第1のフィルタ処理済信号及び第2のフィルタ処理済信号を生成する工程と、
(ii)前記第1のフィルタ処理済信号と前記第2のフィルタ処理済信号を比較することにより、前記少なくとも第1の電極と第2の電極との間の電気インピーダンスの指標を推定する工程と、(iii)推定された前記電気インピーダンスに応じて、ベンチレーションスキーム又はベンチレーションモードを適用するように前記ベンチレーションシステムを制御する工程と、を行うようにプログラムされている、コンピュータソフトウェア製品。
【請求項8】
(i)1分当たり約15回のベンチレーションサイクルの呼吸での通常ベンチレーションモード(NVM)と、(ii)1分当たり約100回以上のベンチレーションサイクルのハイプベンチレーションモード(HVM)と、を更に含む、請求項7に記載のコンピュータソフトウェア製品。
【請求項9】
方法であって、
酸素富化加湿空気(OHA)を患者に提供するためのベンチレーションシステムによって少なくとも部分的に人工呼吸を施された患者の胸部に連結することであって、前記システムは、第1の位置にある第1の電極を含む、こと、及び前記第1の位置とは異なる第2の位置において、第2の電極を前記胸部に連結することと、
前記第1の電極からの第1の心電図(ECG)信号、及び前記第2の電極からの第2のECG信号を受信することと、
(i)第1のフィルタを前記第1のECG信号に適用することによって第1のフィルタ処理済信号を生成し、(ii)第2のフィルタを前記第2のECG信号に適用することによって第2のフィルタ処理済信号を生成することと、
前記第1のフィルタ処理済信号と前記第2のフィルタ処理済信号を比較することにより、前記第1の電極と前記第2の電極との間の電気インピーダンスを推定することであって、前記電気インピーダンスは、前記患者の呼吸状態を示す、ことと、
推定された前記電気インピーダンスに応じて、前記OHAのベンチレーションスキームを適用するように前記ベンチレーションシステムを制御することと、を含む、方法。
【請求項10】
前記第1のフィルタ及び前記第2のフィルタを適用することは、第1の低域フィルタ(LPF)を前記第1のECG信号に適用することと、第2のLPFを前記第2のECG信号に適用することと、を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ベンチレーションシステムを制御することは、推定された前記電気インピーダンスに応じて、1分当たりのベンチレーションサイクル数を調節することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の電極と前記第2の電極との間で、追加の電気インピーダンスを測定することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
推定された前記電気インピーダンス、及び測定された前記追加の電気インピーダンスに基づいて、前記ベンチレーションシステムを制御することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ベンチレーションシステムの前記OHAのガス混合、圧力、及び湿度のうちの少なくとも1つについて、予め割り当てられた閾値を設定することを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
酸素比率が約21%~100%であるガス混合について、予め割り当てられた閾値を更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
約0Pa(約0CmH2O)~9.81kPa(100CmH2O)の圧力について、予め割り当てられた閾値を更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
約40%~100%の前記OHAの湿度について、予め割り当てられた閾値を更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ベンチレーションシステムのベンチレーション回数の頻度を制御することを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項19】
前記患者の呼吸サイクルを示す前記ベンチレーション回数の前記頻度を制御することを更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
複数のベンチレーションモードを備えるベンチレーションスキームを更に含み、各ベンチレーションモードは、異なるベンチレーション回数である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
(i)1分当たり約15回のベンチレーションサイクルの呼吸での通常ベンチレーションモード(NVM)と、(ii)1分当たり約100回以上のベンチレーションサイクルのハイプベンチレーションモード(HVM)と、を更に含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ベンチレーションシステムについて、ハイパーベンチレーションモード(HVM)と前記通常ベンチレーションモード(NVM)との間で切り替えを行うことを更に含む、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年10月29日に出願された米国仮特許出願第63/107,009号に関連し、かつその優先権を主張し、その開示は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、全般的には患者のベンチレーション方法及びシステムに関し、特に、患者から取得されたフィルタ処理済心電図信号間を比較することによって患者の呼吸状態を推定するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
患者の呼吸状態を推定するための様々な手法が特許文献に公開されている。
【0004】
例えば、米国特許第8,790,270号は、被験者の肺換気をモニタする方法を記載している。方法は、被験者の胸部の複数の検知場所からの信号を記録することを含み、信号の少なくとも一部分は、それぞれの検知場所における胸部の局所運動を示すものである。方法は、データ処理システムを動作させて、換気の状態を判定することなど信号を分析することにより、被験者の肺換気をモニタすることを更に含む。
【0005】
米国特許第10,092,721号には、流行(エピデミック)又は全世界的な流行(パンデミック)状態の疾病の発病に起因する呼吸困難に対処するベンチレータシステムが記載されている。具体的には、最小限の技能要件で迅速に製造することができ、かつ、流行の呼吸器疾患の病状に応じて迅速に使用することができる、ベンチレータシステムが記載されている。
【0006】
米国特許第10,070,804号には、正常な呼吸中に呼気のサンプルを収集するための装置が記載されている。装置は、流れ発生器と、経口挿入型の呼気受容器と、鼻腔を隔離するためのデバイスと、吸込みから吐出しへの変化を表すパラメータの変化を検出して、当該変化を信号として送信するためのセンサと、当該信号を受信し、鼻腔を隔離するための当該デバイスを制御するように適合された制御ユニットと、を備える。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に記載される本発明の一実施形態は、患者の臨床状態、特に、患者の呼吸能力の変化に応じて、ベンチレーション処置を調節するように、患者の呼吸状態を推定するためのシステムを提供する。例えば、ベンチレーションシステムは、(i)1分当たり約15回のベンチレーションサイクルの通常ベンチレーションモード(normal-ventilation mode、NVM)及び/若しくは自然呼吸、又は(ii)1分当たり約100回以上のベンチレーションサイクルのハイプベンチレーションモード(hype-ventilation mode、HVM)などであるが、これらに限定されない、複数のベンチレーション回数で動作するように構成されている。本開示の文脈において、用語「ベンチレーション回数」は、ベンチレーションシステムによって患者に適用された1分当たりのベンチレーションサイクル数(又は任意の他の所与の時間)を意味する。
【0008】
いくつかの実施形態では、患者の呼吸状態を推定又は更には予測するように構成されているそのようなベンチレーションシステムを、医療処置中に患者を治療するために使用してもよい。例えば、患者の心臓内で、又は胸部外科手術中に行われる電気生理学的(electrophysiology、EP)処置の間、胸部は静止していなければならない。他の事例では、そのようなシステムは、コロナウイルス病(COVID-19)とも呼ばれる、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(severe acute respiratory syndrome coronavirus、SARS-Cov)などであるが、これらに限定されない、患者の呼吸器系に影響を与える感染症に苦しむ患者に人工呼吸を施すために使用することができる。
【0009】
いくつかの実施形態では、患者の呼吸状態を推定するためのシステムは、第1及び第2の電極と、患者に人工呼吸を施すベンチレーションシステムに接続されたプロセッサと、を備える。第1の電極及び第2の電極は、第1及び第2のそれぞれの位置において患者の胸部の皮膚に(例えばパッチを使用して)連結され、第1及び第2の心電図(ECG)信号をそれぞれ生成するように構成されている。
【0010】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、(i)第1のフィルタを第1のECG信号に適用することによって第1のフィルタ処理済信号を生成し、第2のフィルタを第2のECG信号に適用することによって第2のフィルタ処理済信号を生成することと、(ii)第1のフィルタ処理済信号と第2のフィルタ処理済信号を比較することにより、第1の電極と第2の電極との間の電気インピーダンスを示すパラメータを推定することであって、電気インピーダンスは、患者の呼吸状態を示す、ことと、(iii)推定された電気インピーダンスに応じて、ベンチレーションスキーム又はベンチレーションモードを適用するようにベンチレーションシステムを制御することと、を行うように構成されている。
【0011】
いくつかの実施形態では、第1及び第2のECG信号にそれぞれ適用された第1のフィルタ及び第2のフィルタは、任意の好適な種類の低域フィルタ(low-pass filter、LPF)を含んでもよい。例えば、LPFは、患者の心拍数を示す周波数を遮断し、呼吸サイクルを示す周波数を通過させるように構成されている。それぞれ1分当たり約15回と1分当たり60回の通常の呼吸数及び心拍数に基づいて、LPFは、(1分当たり約48回の呼吸よりも少ない呼吸数に対応する)約0.8Hzより低い周波数、又は更には心拍数が1分当たり約70拍(beats per minute、bpm)を超える患者を治療する場合は、約1Hzよりも低い周波数を通過させるように構成されている。なお、約60bpm未満の心拍数を有する患者の場合、LPFは、約0.6Hz又は0.7Hzよりも高い周波数を遮断するように設定され得ることに留意されたい。第1及び第2のLPFは、第1及び第2のECG信号に応じて、(例えば、ハードウェア及び/若しくは周波数カットオフ設定が)互いに異なってもよく、又は同様であってもよい。
【0012】
場合によっては、推定された電気インピーダンスは、ベンチレーションプロセス中に、例えば、患者が意識不明又は感覚消失状態から意識がある状態に移行したときに変化する場合がある。いくつかの実施形態では、プロセッサは、推定された電気インピーダンスに応じて、1分当たりのベンチレーションサイクル数及び他のベンチレーションパラメータを調節するように構成されている。例えば、当初推定された電気インピーダンスが意識不明又は感覚消失状態を示し、その後推定された電気インピーダンスが患者が意識を取り戻していることを示しているか、又はそれを予測している場合、プロセッサは、ベンチレーションシステムによって供給される酸素富化加湿空気(oxygen-enriched humidified air、OHA)のベンチレーション回数及び流量などの1つ以上のベンチレーションパラメータを調節することができる。
【0013】
他の実施形態では、プロセッサは、第1の電極と第2の電極との間で、ECG信号に関係しない電気インピーダンスを測定するように構成されている。例えば、プロセッサは、(i)第1の電極と第2の電極との間に電圧勾配を適用するように電源を制御することと、(ii)第1の電極と第2の電極との間の電気インピーダンスを測定することと、を行うように構成されている。
【0014】
本発明者らは、上記の両方のモニタ方法において、インピーダンスが変わることは、患者の意識の状態の変化を示すことができるか、又は更には予測することができる、患者の胸部及び/又は患者の隔膜における筋収縮を示していることを見出した。
【0015】
いくつかの実施形態では、ベンチレーションシステムは、(i)圧縮器及び加湿器によって生成されたOHAを患者の肺に向かって流すように構成されているOHA管、(ii)肺から吐き出された排空気を病院の排気システム(air evacuation system、AES)に流すように構成されている排気管、及び(iii)肺とOHA管及び排気管との間でOHA及び排空気を流すように構成されている挿管チューブを備える。挿管チューブは、患者の気管に挿入されるように構成されている遠位端と、OHA管及び排気管に接続されるように構成されている近位端と、を備える。本開示及び特許請求の範囲の文脈において、用語「排空気」は、肺から病院の排気システムに流入する空気を指す。用語「吐き出された」は、患者が肺から空気を吐き出すことができるときに適用可能であり、それができない場合には、「吐き出された」という用語は、典型的には空気の一部を、患者の肺から吸引することを指す、「吸引された」という用語で置き換えられてもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、ベンチレーションシステムは、患者の肺に流入するOHAのパラメータ及び患者の肺から吐き出された排空気を制御するための追加のデバイスを備えてもよい。このようなデバイスとしては、プロセッサによって制御されるセンサ、弁、及び流量調整器が挙げられ得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、変更済みの推定された電気インピーダンスに応じて、プロセッサは、圧縮器及び加湿器がOHAを生成する頻度を制御することによって、NVMモードとHVMモードとの間で切り替えを行うように構成されている。例えば、推定された電気インピーダンスが既定の閾値を超える場合、プロセッサは、ベンチレーションモードの間で切り替わることができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、本発明はまた、プログラム命令が記憶された非一時的コンピュータ可読媒体を含むコンピュータソフトウェア製品に関し、命令が、患者の胸部の外部に連結された少なくとも第1の電極及び第2の電極とともに使用されるベンチレータシステム用のプロセッサによって読み取られたとき、プロセッサは、(i)少なくとも第1の電極及び第2の電極から受信される、第1のフィルタ処理済信号及び第2のフィルタ処理済信号を生成する工程と、(ii)第1のフィルタ処理済信号と第2のフィルタ処理済信号を比較することにより、少なくとも第1の電極と第2の電極との間の電気インピーダンスの指標を推定する工程と、(iii)推定された電気インピーダンスに応じて、ベンチレーションスキーム又はベンチレーションモードを適用するようにベンチレーションシステムを制御する工程と、を行うようにプログラムされている、コンピュータソフトウェア製品に関する。本発明によるいくつかの実施形態では、コンピュータソフトウェア製品は、(i)1分当たり約15回のベンチレーションサイクルの呼吸での通常ベンチレーションモード(NVM)と、(ii)1分当たり約100回以上のベンチレーションサイクルのハイプベンチレーションモード(HVM)と、を更に含む。
【0019】
開示技術は、患者の呼吸状態の変化に対するベンチレーションシステムの応答性及び更には予測を改善するため、患者の命を救い、かつ/又は患者の呼吸器系及び/若しくは患者の心臓に対して行われる医療処置の質を改善することができる。
【0020】
本発明は、以下の「発明を実施するための形態」を図面と併せて考慮することで、より完全に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態による、患者の呼吸状態を検出するためのサブシステムを有するベンチレーションシステムの概略的な描画図である。
図2】本発明の実施形態による、患者の推定された呼吸状態に基づいてベンチレーションを制御するための方法を概略的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
概論
ベンチレーションシステムは、患者が自らの力で適切に呼吸できないときに、自律呼吸を機械的に支援したり、あるいは自律呼吸を置き換えたりするために使用される。このようなシステムは、以下に記載されるように、患者の臨床状況に従って様々なベンチレーションモードで動作され得る。実際には、患者が呼吸を試みるとき、このような呼吸の試みに抵抗しないことが重要である。例えば、ベンチレーションシステムが空気を供給し、患者が咳をする場合、ベンチレータは、空気供給を停止し、患者が咳を止め、かつ/又はベンチレーションを必要とした後に再開するように制御されるべきである。したがって、患者が自力で呼吸を試みているか、又はすぐに試みるかを特定又は更には予測することが重要である。
【0023】
システムの説明
図1は、本発明の実施形態による、ベンチレーションシステム11の概略的な描画図である。
【0024】
いくつかの実施形態では、ベンチレーションシステム11は、空気圧縮器23及び加湿器25を含む、酸素富化加湿空気(OHA)供給サブシステム(OHA supply subsystem、OHAS)24を備える。空気圧縮器23は、予め割り当てられたガス混合物を、以下に記載する、予め割り当てられた圧力に圧縮するように構成されている。
【0025】
いくつかの実施形態では、ベンチレーションシステム11は、OHAS24と病院の供給部16との間に接続された管18を含む。本実施例では、空気圧縮器23は、病院の供給部16に設けられた出口21を介して、酸素(O)及び空気を受け入れて、予め割り当てられた(例えば、体積百分率で定義された)混合及び予め割り当てられた圧力で、前述のOHAを生成するように構成されている。本実施例では、生成されたOHAは、約21%~100%の典型的な酸素比率を有し、かつ、約0CmHO(水柱センチメートル)(患者10が自力で呼吸している場合)~50CmHOの予め割り当てられた圧力を有している。
【0026】
いくつかの実施形態では、加湿器25は、OHAの予め割り当てられた湿度を設定するように、環境から水分を獲得するか、又は任意の他の好適な供給源から水分を受け取るように構成されている。例えば、加湿器25は、約40%~100%の選択された湿度レベル、又は任意の他の好適な湿度のOHAを供給するように構成されている。本実施例では、OHAS24は、再利用可能な空気圧縮器23及び加湿器25を含むが、これらは、異なる患者10に対する人工呼吸の適用がなされる間に、最小限の洗浄又は滅菌を受けなければならなくてもよく、あるいは全く洗浄又は滅菌を受けなくてもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、システム11は、患者10の気管12に挿入されるように構成されている遠位端13と、分岐アダプタ20に接続された近位端17と、を有する、挿管チューブ22を備える。
【0028】
いくつかの実施形態では、ベンチレーションシステム11はOHA管30を備え、そのOHA管30は、分岐アダプタ20とOHAS24との間に連結され、かつ空気圧縮器23及び加湿器25、又はOHAS24によって生成されたOHAを、患者10の肺14に向かって、挿管チューブ22を介して流すように構成されている。肺14は、図1の描画においては露出状態となっており、より明瞭に示されている。しかし、患者10の胸腔内の肺14は、図1では概念的明瞭さを優先させて省略されている自然組織(例えば、胸膜、骨、筋肉、皮膚など)で覆われていることに留意されたい。
【0029】
いくつかの実施形態では、システム11は、分岐アダプタ20と病院の排気システム(AES)42との間に連結された排気管32を更に備える。排気管32は、肺14から吐き出された排空気を、挿管チューブ22を通ってAES42に向かって流すように構成されている。
【0030】
用語「吐き出され(る)」は、患者10が自ら、肺14からの空気の少なくとも一部を吐き出すことができる場合に適用可能であるということに留意されたい。そのように吐き出すことができない場合には、「吐き出され(る)」という用語は、患者10の肺14から典型的には空気の一部を「吐く」、排出する、吸い出す、又は吸引すること指す、「呼気」、「排出された」、「吸い出された」、又は「吸引された」という用語に置き換えられてもよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、ベンチレーションシステム11は、複数のパッチ、本実施例では、患者10の胸部41の外部、例えば、皮膚に連結された2つのパッチ37A及び37Bを含む。各パッチは、1つ以上の電極を含み、本実施例では、パッチ37Aは、電極35Aを含み、パッチ37Bは、電極35Bを含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、電極35Aは、第1の心電図(ECG)信号を生成するように構成され、電極35Bは、第2のECG信号を生成するように構成されている。
【0033】
いくつかの実施形態では、ベンチレーションシステム11は、ベンチレーション回数、ガス混合(例えば、酸素)、流量(例えば、1分当たり約10リットル(liter per minute、LPM)~60LPM、又は任意の他の好適な流量で)、及び肺14の中へ流れるOHAの湿度などが挙げられるが、これらに限定されないベンチレーションプロセスのパラメータをモニタ及び制御するように構成されている制御ユニット33を備える。本実施例では、制御ユニット33は、とりわけ、OHAS24に対して、電気リード線39(又は適切なケーブル)を介して電気的に接続されているプロセッサ44と、ディスプレイ15と、電極35A及び35Bと、ベンチレーションシステム11を制御するためのセンサ及びバルブなどの追加のデバイス(図示せず)と、を含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、プロセッサ44は、(約21%~100%の酸素比率を有する)ガス混合、(約0CmH~100CmHの)圧力、及びOHAの(例えば、約40%~100%の)湿度などの、予め割り当てられた閾値を設定することによって、かつ圧縮器23によって実行されるベンチレーション回数の頻度を制御することによって、OHAS24の空気圧縮器23及び加湿器25を制御するように構成されている。
【0035】
いくつかの実施形態では、システム11は、例えば、ディスプレイ15又は制御ユニット33のディスプレイ(図示せず)などであるが、これらに限定されない、1つ以上のディスプレイを備える。
【0036】
いくつかの実施形態では、プロセッサ44は、上述したように、管30及び管32内を流れるOHA並びに排空気の、ベンチレーション回数、流速、及び/又は湿度、及び/又は任意の他の好適なパラメータを示す1つ以上のパラメータを、例えば、ディスプレイ15上に表示するように構成されている。
【0037】
いくつかの実施形態では、電極35A及び電極35Bからそれぞれ受信された第1のECG信号及び第2のECG信号に基づいて、プロセッサ44は、第1の低域フィルタ(LPF)を第1のECG信号に適用することによって第1のフィルタ済み信号を生成し、第2のLPFを第2のECG信号に適用することによって第2のフィルタ処理済信号を生成するように構成されている。
【0038】
いくつかの実施形態では、LPFは、患者の心拍数を示す周波数を遮断し、呼吸サイクルを示す周波数を通過させるように構成されている。それぞれ、1分当たり約15回及び1分当たり60回の通常の呼吸数及び心拍数に基づいて、LPFは、(1分当たり約48回の呼吸よりも少ない呼吸数に対応する)約0.8Hzより低い周波数、又は更には心拍数が1分当たり約70拍(bpm)を超える患者を治療する場合は、約1Hzよりも低い周波数を通過させるように構成されている。なお、約60bpm未満の心拍数を有する患者の場合、LPFは、約0.6Hz又は0.7Hzよりも高い周波数を遮断するように設定され得ることに留意されたい。第1及び第2のLPFは、第1及び第2のECG信号に応じて、(例えば、ハードウェア及び/若しくは周波数カットオフ設定が)互いに異なってもよく、又は同様であってもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、プロセッサ44は、第1のフィルタ処理済信号と第2のフィルタ処理済信号を比較することにより、第1の電極と第2の電極との間の電気インピーダンスを推定するように構成されている。なお、推定された電気インピーダンスは、患者10の呼吸状態を示すことに留意されたい。
【0040】
いくつかの実施形態では、プロセッサ44は、推定された電気インピーダンスに応じて、ベンチレーションスキーム又はベンチレーションモードを適用するようにベンチレーションシステム11を制御するように構成されている。
【0041】
他の実施形態では、プロセッサ44は、前述の第1のLPF及び第2のLPFに加えて、又はこれらの代わりに、任意の他の好適なタイプのフィルタをECG信号に適用するように構成されている。
【0042】
場合によっては、推定された電気インピーダンスは、ベンチレーションプロセス中に、例えば、患者が意識不明又は感覚消失状態から意識がある状態に移行したときに変化する場合がある。いくつかの実施形態では、プロセッサ44は、推定された電気インピーダンスに応じて、ベンチレーション回数(つまり、1分当たりのベンチレーションサイクル数)及び他のベンチレーションパラメータを調節するように構成されている。例えば、最初に推定された電気インピーダンスが意識不明又は感覚消失状態を示し、後で推定された電気インピーダンスが患者10が意識を取り戻していることを示しているか、又は予測している場合、プロセッサ44は、OHAS24の圧縮器23によって供給されるOHAのベンチレーション回数などの1つ以上のベンチレーションパラメータを調節することができる。
【0043】
このような実施形態では、プロセッサ44は、ベンチレーションシステム11のハイパーベンチレーションモード(HVM)と通常ベンチレーションモード(NVM)との間で切り替えるように構成されている。換言すれば、推定された電気インピーダンスに基づいて、プロセッサ44は、患者10が意識を取り戻していることを検出又は更には予測するように構成されているので、ベンチレーション回数を1分当たり約100回のベンチレーションサイクルから1分当たり約15回のベンチレーションサイクルに減らすことができる。
【0044】
本開示の文脈において及び特許請求の範囲において、任意の数値や数値の範囲について用いられる「約」又は「およそ」という用語は、構成要素の部分又は構成要素の集合が、本明細書で述べるその意図された目的に沿って機能することを可能とする、適当な寸法の許容誤差を示すものである。
【0045】
いくつかの実施形態では、プロセッサ44は、OHAS24の空気圧縮器23及び加湿器25が、OHAS24によって生成されたOHAの指定された属性を生成する頻度を制御することによって、HVMモードとNVMモードとの間で切り替えを行うように構成されている。
【0046】
典型的に、プロセッサ44は、汎用プロセッサを含み、この汎用プロセッサは、本明細書に記載される機能を実行するように、ソフトウェアでプログラムされている。ソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して電子形式でプロセッサにダウンロードされてもよく、又は、ソフトウェアは、代替的に若しくは付加的に、磁気的、光学的、又は電子的メモリなどの非一時的な有形媒体上に提供及び/又は記憶されてもよい。
【0047】
ベンチレーションシステム11のこの特定の構成は、本発明の実施形態で対処する特定の問題を説明し、またこのようなシステムの性能の向上においてこれらの実施形態の適用性を実証するために、例として示される。しかしながら、本発明の実施形態は、この特定の種類の例示的なシステムにいかなる意味でも限定されることはなく、本明細書において説明される原理は、他の種類のベンチレーションシステムに、かつ/又は任意の医療処置を行うためのシステムのモジュールとして使用される、任意の他の種類のベンチレーションサブシステムに、同様に適用することができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、ベンチレーションシステムのプロセッサは、上記の操作を実行するように構成されたソフトウェアを、以下の図2に説明する方法で有してもよい。特に、ベンチレーションシステムのプロセッサは、(i)例えば、LPFを使用して、第1のフィルタ処理済信号及び第2のフィルタ処理済信号を生成することと、(ii)第1のフィルタ処理済信号と第2のフィルタ処理済信号を比較することにより、第1の電極と第2の電極との間の電気インピーダンスの指標を推定することと、(iii)ベンチレーションシステムを制御して、推定された電気インピーダンスに応じてベンチレーションスキーム又はベンチレーションモードを適用することと、を行うように構成されている。
【0049】
患者の推定された呼吸状態に基づくベンチレーションの制御
図2は、本発明の実施形態による、患者10の推定される呼吸状態に基づいて、ベンチレーション回数を制御するための方法を概略的に示すフローチャートである。方法は、上記の図1に記載されているように、パッチ連結工程100において、電極35A及び電極35Bをそれぞれ有するパッチ37A及びパッチ37Bを、胸部41の皮膚上の異なる位置に連結することから開始する。
【0050】
ECG信号受信工程102において、プロセッサ44は、上記の図1に記載されているように、電極35Aから第1のECG信号を受信し、電極35Bから第2のECG信号を受信する。
【0051】
フィルタ処理済み信号生成工程104において、プロセッサ44は、第1のLPFを第1のECG信号に適用することによって第1のフィルタ処理済み信号を生成し、第2のLPFを第2のECG信号に適用することによって第2のフィルタ処理済み信号を生成するように構成されている。なお、プロセッサ44は、LPFに加えて、又はLPFの代わりに、任意の適切なフィルタをECG信号に適用することができ、第1のECG信号及び第2のECG信号の属性に応じて、第1のLPF及び第2のLPFは、同様であってもよく、又は互いに異なっていてもよい。
【0052】
電気インピーダンス推定工程106において、プロセッサ44は、第1のフィルタ処理済信号と第2のフィルタ処理済信号を比較することによって、患者10の呼吸状態を示す、電極35Aと電極35Bとの間の電気インピーダンスを推定するように構成されている。
【0053】
方法を完結するベンチレーション制御工程108において、プロセッサ44は、上記の図1に詳述されたように、推定された電気インピーダンスに応じて、ベンチレーションスキーム又はベンチレーションモードを適用するようにベンチレーションシステム11を制御するように構成されている。
【0054】
いくつかの実施形態では、プロセッサ44は、推定された電気インピーダンスに応じて、1分当たりのベンチレーションサイクル数を調節するように構成されている。例えば、推定された電気インピーダンスが患者10が意識を取り戻したことを示している場合、プロセッサ44は、ベンチレーション回数を1分当たり約100回のベンチレーションサイクルから1分当たり約15回のベンチレーションサイクルに低減するように構成されている。同様に、推定された電気インピーダンスが、患者10が自力で呼吸しようとしていることを示している場合、プロセッサ44は、ベンチレーションを停止させ、患者10が自身の呼吸器系を使用して自然に呼吸させるように構成されている。
【0055】
本明細書に記載される実施形態は、主に、患者の呼吸器系に影響を及ぼす感染症を有する患者を治療するために使用されるベンチレーションシステムに対処するが、本明細書に記載される方法及びシステムはまた、他の医療用途において使用することができる。例えば、上記の方法及びシステムは、患者の心臓に適用される電気生理学的(EP)処置において、患者の胸を不動にする必要がある胸部外科手術中の人工呼吸において、乳児の肺に人工呼吸を施すことに関連する処置、患者の呼吸器系に関連する他の好適な医療処置において使用されてもよい。
【0056】
したがって、上述の実施形態は、例として引用したものであり、本発明は、上記の明細書に具体的に示し、かつ説明したものに限定されないことが理解されよう。むしろ、本発明の範囲は、上記の明細書に記載される様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせの両方、並びに前述の説明を読むことで当業者に想到されるであろう、先行技術において開示されていないそれらの変形例及び修正例を含むものである。参照により本特許出願に援用される文献は、これらの援用文献において、いずれかの用語が本明細書において明示的又は暗示的になされた定義と矛盾して定義されている場合には、本明細書における定義のみを考慮するものとする点を除き、本出願の不可欠な部分と見なすものとする。
【0057】
〔実施の態様〕
(1) 方法であって、
酸素富化加湿空気(OHA)を患者に提供するためのベンチレーションシステムによって少なくとも部分的に人工呼吸を施された患者の胸部に連結することであって、前記システムは、第1の位置にある第1の電極を含む、こと、及び前記第1の位置とは異なる第2の位置において、第2の電極を前記胸部に連結することと、
前記第1の電極からの第1の心電図(ECG)信号、及び前記第2の電極からの第2のECG信号を受信することと、
(i)第1のフィルタを前記第1のECG信号に適用することによって第1のフィルタ処理済信号を生成し、(ii)第2のフィルタを前記第2のECG信号に適用することによって第2のフィルタ処理済信号を生成することと、
前記第1のフィルタ処理済信号と前記第2のフィルタ処理済信号を比較することにより、前記第1の電極と前記第2の電極との間の電気インピーダンスを推定することであって、前記電気インピーダンスは、前記患者の呼吸状態を示す、ことと、
推定された前記電気インピーダンスに応じて、前記OHAのベンチレーションスキームを適用するように前記ベンチレーションシステムを制御することと、を含む、方法。
(2) 前記第1のフィルタ及び前記第2のフィルタを適用することは、第1の低域フィルタ(LPF)を前記第1のECG信号に適用することと、第2のLPFを前記第2のECG信号に適用することと、を含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記ベンチレーションシステムを制御することは、推定された前記電気インピーダンスに応じて、1分当たりのベンチレーションサイクル数を調節することを含む、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記第1の電極と前記第2の電極との間で、追加の電気インピーダンスを測定することを含む、実施態様1に記載の方法。
(5) 推定された前記電気インピーダンス、及び測定された前記追加の電気インピーダンスに基づいて、前記ベンチレーションシステムを制御することを含む、実施態様4に記載の方法。
【0058】
(6) 前記ベンチレーションシステムの前記OHAのガス混合、圧力、及び湿度のうちの少なくとも1つについて、予め割り当てられた閾値を設定することを更に含む、実施態様1に記載の方法。
(7) 酸素比率が約21%~100%であるガス混合について、予め割り当てられた閾値を更に含む、実施態様6に記載の方法。
(8) 約0Pa(約0CmH2O)~9.81kPa(100CmH2O)の圧力について、予め割り当てられた閾値を更に含む、実施態様7に記載の方法。
(9) 約40%~100%の前記OHAの湿度について、予め割り当てられた閾値を更に含む、実施態様8に記載の方法。
(10) 前記ベンチレーションシステムのベンチレーション回数(ventilation rate)の頻度を制御することを更に含む、実施態様1に記載の方法。
【0059】
(11) 前記患者の呼吸サイクルを示す前記ベンチレーション回数の前記頻度を制御することを更に含む、実施態様10に記載の方法。
(12) 複数のベンチレーションモードを備えるベンチレーションスキームを更に含み、各ベンチレーションモードは、異なるベンチレーション回数である、実施態様11に記載の方法。
(13) (i)1分当たり約15回のベンチレーションサイクルの呼吸での通常ベンチレーションモード(NVM)と、(ii)1分当たり約100回以上のベンチレーションサイクルのハイプベンチレーションモード(hype-ventilation mode)(HVM)と、を更に含む、実施態様12に記載の方法。
(14) 前記ベンチレーションシステムについて、ハイパーベンチレーションモード(HVM)と前記通常ベンチレーションモード(NVM)との間で切り替えを行うことを更に含む、実施態様13に記載の方法。
(15) 患者に人工呼吸を施すシステムであって、
第1の位置において前記患者の胸部に連結され、第1の心電図(ECG)信号を生成するように構成された第1の電極と、
前記第1の位置とは異なる第2の位置において前記胸部に連結され、第2のECG信号を生成するように構成された第2の電極と、
プロセッサであって、(i)第1のフィルタを前記第1のECG信号に適用することによって第1のフィルタ処理済信号を生成し、第2のフィルタを前記第2のECG信号に適用することによって第2のフィルタ処理済信号を生成することと、(ii)前記第1のフィルタ処理済信号と前記第2のフィルタ処理済信号を比較することにより、前記第1の電極と前記第2の電極との間の電気インピーダンスを推定することであって、前記電気インピーダンスは、前記患者の呼吸状態を示す、ことと、(iii)推定された前記電気インピーダンスに応じて、酸素富化加湿空気(OHA)を前記患者に提供するためのベンチレーションスキームを適用するように前記ベンチレーションシステムを制御することと、を行うように構成されたプロセッサと、を備える、システム。
【0060】
(16) 前記プロセッサは、(i)第1の低域フィルタ(LPF)を前記第1のECG信号に適用することと、(i)第2のLPFを前記第2のECG信号に適用することと、を行うように構成されている、実施態様15に記載のシステム。
(17) 前記プロセッサは、推定された前記電気インピーダンスに応じて、1分当たりのベンチレーションサイクル数を調節するように構成されている、実施態様15に記載のシステム。
(18) (i)1分当たり約15回のベンチレーションサイクルの呼吸での通常ベンチレーションモード(NVM)と、(ii)1分当たり約100回以上のベンチレーションサイクルのハイプベンチレーションモード(HVM)と、を更に含む、実施態様17に記載のシステム。
(19) 前記プロセッサは、前記第1の電極と前記第2の電極との間で、追加の電気インピーダンスを測定するように構成されている、実施態様15に記載のシステム。
(20) 前記プロセッサは、推定された前記電気インピーダンス、及び測定された前記追加の電気インピーダンスに基づいて、前記ベンチレーションシステムを制御するように構成されている、実施態様19に記載のシステム。
【0061】
(21) プログラム命令が記憶された非一時的コンピュータ可読媒体を含むコンピュータソフトウェア製品であって、前記命令が、患者の胸部の外部に連結された少なくとも第1の電極及び第2の電極とともに使用されるベンチレータシステム用のプロセッサによって読み取られたとき、前記プロセッサは、
(i)前記少なくとも第1の電極及び第2の電極から受信される、第1のフィルタ処理済信号及び第2のフィルタ処理済信号を生成する工程と、
(ii)前記第1のフィルタ処理済信号と前記第2のフィルタ処理済信号を比較することにより、前記少なくとも第1の電極と第2の電極との間の電気インピーダンスの指標を推定する工程と、(iii)推定された前記電気インピーダンスに応じて、ベンチレーションスキーム又はベンチレーションモードを適用するように前記ベンチレーションシステムを制御する工程と、を行うようにプログラムされている、コンピュータソフトウェア製品。
(22) (i)1分当たり約15回のベンチレーションサイクルの呼吸での通常ベンチレーションモード(NVM)と、(ii)1分当たり約100回以上のベンチレーションサイクルのハイプベンチレーションモード(HVM)と、を更に含む、実施態様21に記載のコンピュータソフトウェア製品。
図1
図2
【外国語明細書】