(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022074100
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】パワーモジュールおよびパワー電子装置
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20220510BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021176740
(22)【出願日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】10 2020 213 629.7
(32)【優先日】2020-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】521219051
【氏名又は名称】ヴァレオ、シーメンス、イーオートモーティブ、ジャーマニー、ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】VALEO SIEMENS EAUTOMOTIVE GERMANY GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100208188
【弁理士】
【氏名又は名称】榎並 薫
(72)【発明者】
【氏名】ベネディクト、ホルウェック
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン、ヘロルト
(72)【発明者】
【氏名】モンツァー、ライヤ
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770AA21
5H770BA02
5H770CA06
5H770DA03
5H770DA41
5H770PA12
5H770PA22
5H770PA42
5H770QA06
5H770QA08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】冷却装置を備えたパワーモジュール及びパワー電子装置を提供する。
【解決手段】パワーモジュールは、第1ベースプレート側面Aおよび反対側の第2ベースプレート側面を有するベースプレート4と、第1ベースプレート側面Aに配置されるか又はこれに少なくとも熱的に結合された制御可能な電子スイッチS1…S3’と、第2ベースプレート側面に取り付けられるか又はこれに少なくとも熱的に結合された複数の冷却装置と、を備えている。冷却装置は、連続的に配置された複数のループを各々有している。冷却装置の第1グループのループは、冷却装置の第2グループのループに対して傾斜および/または冷却装置の第1グループのループ及び冷却装置の第2グループのループは、第2ベースプレート側面から異なる距離で突出している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 第1ベースプレート側面(A)および反対側の第2ベースプレート側面(B)を有するベースプレート(4)と、
- 前記第1ベースプレート側面(A)に配置された、またはこれに少なくとも熱的に結合された制御可能な電子スイッチ(S、S1…S3’)と、
- 前記電子スイッチ(S、S1…S3’)に電気的に接続された入力(E1、E2)および出力(A1…A3)と、
- 前記第2ベースプレート側面(B)に取り付けられた、またはこれに少なくとも熱的に結合された複数の冷却装置(5)と、
を備えるパワー電子装置用、特にインバータ(2)用のパワーモジュール(1)において、
- 前記パワーモジュール(1)は、前記電子スイッチ(S、S1…S3’)によって、前記入力(E1、E2)に印加される入力電圧(U)を前記出力(A1…A3)に印加される出力電圧に変換するように設計され、
- 前記冷却装置(5)は、連続的に配置された複数のループ(6、6a、6b)を各々有し、
- 冷却装置(5)の第1グループの前記ループ(6a)は、冷却装置(5)の第2グループの前記ループ(6b)に対して傾斜している、および/または、冷却装置(5)の第1グループの前記ループ(6a)および冷却装置(5)の第2グループの前記ループ(6b)は、前記第2ベースプレート側面(B)から異なる距離で突出している、
パワーモジュール(1)。
【請求項2】
前記ループ(6、6a、6b)により形成される隣接する冷却装置(5)のアイは、前記冷却装置(5)の長手方向において互いにオフセットしている、
ことを特徴とする請求項1に記載のパワーモジュール(1)。
【請求項3】
前記ループ(6、6a、6b)により形成される全てのアイが同一方向を向いている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のパワーモジュール(1)。
【請求項4】
前記ループ(6、6a、6b)は、前記冷却装置(5)の前記長手方向に対してねじれている、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のパワーモジュール(1)。
【請求項5】
a)互いに傾斜した前記ループ(6、6a、6b)を有する隣接する冷却装置(5)の割合が、前記スイッチ(S、S1…S3’)のうちの第1スイッチ(S1、S1’)の領域において、前記スイッチ(S、S1…S3’)のうちの第2スイッチ(S2、S2’)の領域におけるよりも大きい、および/または、
b)前記冷却装置(5)の高さが、前記第1スイッチ(S1、S1’)の領域において、前記第2スイッチ(S2、S2’)の領域におけるよりも大きい、および/または、
c)前記冷却装置(5)の長手方向において互いにオフセットした前記ループ(6、6a、6b)を有する隣接した冷却装置(5)の割合が、前記第1スイッチ(S1、S1’)の領域において、前記2スイッチ(S2、S2’)の領域におけるよりも大きい、および/または、
d)隣接する冷却装置(5)のループ(6、6a、6b)のオフセットが、前記第1スイッチ(S1、S1’)の領域において、前記第2スイッチ(S2、S2’)の領域におけるよりも小さい、および/または、
e)異なる方向を向く前記アイを有する隣接する冷却装置(5)の割合が、前記第1スイッチ(S1、S1’)の領域において、前記第2スイッチ(S2、S2’)の領域におけるよりも大きい、および/または、
f)隣接する冷却装置(5)のループ(6、6a、6b)のねじれが、前記第1スイッチ(S1、S1’)の領域において、前記第2スイッチ(S2、S2’)の領域におけるよりも大きい、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のパワーモジュール(1)。
【請求項6】
装置ハウジングと、その内部に配置された請求項1~5のいずれか一項に記載のパワーモジュール(1)と、を備えるパワー電子装置であって、
前記パワーモジュール(1)の前記ベースプレート(4)は、前記第2ベースプレート側面(B)で前記デバイスハウジングにおいてレセプタクル(7)に載置されており、
冷却チャネル(K)が形成されており、
- 前記冷却チャネル(K)は、前記第2ベースプレート側面(B)により部分的に制限され、
- 前記冷却チャネル(K)は、前記冷却装置(5)を受容し、
- 前記冷却チャネル(K)は、冷却回路に接続するための入口(8)であって前記冷却流体の流入のための入口(8)を有し、
- 前記冷却チャネル(K)は、前記冷却回路に接続するための出口(9)であって前記冷却流体の流出のための出口(9)を有し、
- 動作中に、冷却流体が、主流れ方向(F)において、前記入口(8)から前記出口(9)に前記冷却チャネル(K)を通過して流れる、
パワー電子装置。
【請求項7】
前記冷却装置(5)の長手方向は、前記冷却流体の前記主流れ方向(F)に対して横方向に配向され、
前記ループ(6、6a、6b)により形成されるアイは、前記冷却流体の前記主流れ方向(F)において開いている、
ことを特徴とする請求項6に記載のパワー電子装置。
【請求項8】
前記第1スイッチ(S1、S1’)は、前記冷却流体の前記主流れ方向(F)において、前記第2スイッチ(S2、S2’)に対して下流に配置されている、
ことを特徴とする請求項6または7に記載のパワー電子装置。
【請求項9】
前記インバータ(2)のハーフブリッジに割り当てられた第1スイッチ(S1、S1’)のグループについてポイントa)~f)で採用される前記手段は、前記インバータ(2)の別のハーフブリッジに割り当てられた第2スイッチ(S2…S3’)のグループについてポイントa)~f)で採用される手段と異なるが、あるグループ内ではポイントa)~f)で採用される手段に違いはなく、前記第1スイッチ(S1、S1’)は、前記冷却流体の前記主流れ方向(F)において、前記第2スイッチ(S2…S3’)に対して下流に配置されている、
ことを特徴とする請求項8に記載のパワー電子装置。
【請求項10】
前記装置ハウジングに配置されるとともに前記パワーモジュール(1)の前記入力(E1、E2)に電気的に接続されたDCリンクコンデンサ(C)を有するインバータとして設計された請求項6~9のいずれか一項に記載のパワー電子装置において、
前記パワーモジュール(1)は、前記入力(E1、E2)に印加されるDC電圧を前記出力に印加されるAC電圧に変換するように構成されているパワー電子装置。
【請求項11】
請求項10に記載のインバータ(2)と、前記パワーモジュール(1)の前記出力(A1…A3)に接続された電気機械(M)と、を備える電気駆動装置(3)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワー電子装置用のパワーモジュール、このようなパワーモジュールを有するパワー電子装置、および電気駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パワー電子装置の一例としてのインバータの動作中に、定格出力に依存して多量の廃熱が発生し得る。廃熱は、インバータを許容動作範囲内に維持するために放散させる必要がある。特に、パワーモジュールの電子スイッチは、比較的高度に発熱する。この熱の一部は、液体冷却媒体すなわち伝熱媒体によって放散される。従来技術によれば、廃熱をパワーモジュールから放散可能とするように、ループ状の冷却装置を冷却剤流に配置することが知られている。これでは、十分な範囲は一部のみであり、インバータの定格出力が大幅に制限されてしまう。また、パワーモジュールのスイッチは一般的に異なる程度で冷却されるが、十分に冷却されないスイッチが早期に故障して、パワーモジュールやインバータの全面的な故障を引き起こすという別の問題もある。
【発明の概要】
【0003】
したがって、本発明の1つの目的は、インバータ等のパワー電子装置用の改良されたパワーモジュール、例えばパワーコンバータ、特にインバータである改良されたパワー電子装置、および改良された電気駆動装置を規定することである。特に、パワーモジュールの冷却性を、より少ない技術的労力で改善すべきである。
【0004】
本発明の目的は、
- 第1ベースプレート側面および反対側の第2ベースプレート側面を有するベースプレートと、
- 前記第1ベースプレート側面に配置された、またはこれに少なくとも熱的に結合された制御可能な電子スイッチと、
- 前記電子スイッチに電気的に接続された入力および出力と、
- 前記第2ベースプレート側面に取り付けられた、またはこれに少なくとも熱的に結合された複数の冷却装置と、
を備えるパワー電子装置用のパワーモジュールであって、
- 前記パワーモジュールは、前記電子スイッチによって、前記入力に印加される入力電圧を前記出力に印加される出力電圧に変換するように設計され、
- 前記冷却装置は、連続的に配置された複数のループを各々有し、
- 冷却装置の第1グループの前記ループは、冷却装置の第2グループの前記ループに対して傾斜している、および/または、冷却装置の第1グループの前記ループおよび冷却装置の第2グループの前記ループは、前記第2ベースプレート側面から異なる距離で突出しているパワーモジュールによって達成される。
【0005】
また、本発明の目的は、装置ハウジングと、その内部に配置された本発明によるパワーモジュールと、を備えるパワー電子装置によって達成される。この場合、前記パワーモジュールの前記ベースプレートは、前記第2ベースプレート側面で前記デバイスハウジングにおいてレセプタクルに載置されており、以下の冷却チャネルが形成されている。
- 前記冷却チャネルは、前記第2ベースプレート側面により部分的に制限される、
- 前記冷却チャネルは、前記冷却装置を受容する、
- 前記冷却チャネルは、冷却回路に接続するための入口であって前記冷却流体の流入のための入口を有する、
- 前記冷却チャネルは、前記冷却回路に接続するための出口であって前記冷却流体の流出のための出口を有する、
- 動作中に、冷却流体が、主流れ方向において、前記入口から前記出口に前記冷却チャネルを通過して流れる。
【0006】
パワー電子装置は、例えばパワーコンバータ、特にインバータとして設計され、DCリンクコンデンサを備えている。前記DCリンクコンデンサは、前記装置ハウジングに配置されるとともに前記パワーモジュールの前記入力に電気的に接続されている。前記パワーモジュールは、前記入力に印加されるDC電圧を前記出力に印加されるAC電圧に変換するように構成されている。
【0007】
最後に、本発明の目的は、本発明によるインバータと、前記パワーモジュールの前記出力に接続された電気機械と、を備える電気駆動装置によって達成される。
【0008】
パワーモジュールは、一般に、入力に印加される入力電圧を出力に印加される出力電圧に変換するために設けられる。入力電圧は特にDC電圧であり、この結果、入力は特にDC電圧入力である。また、出力電圧は特にAC電圧であり、この結果、出力はAC電圧出力である。
【0009】
動作中に冷却流体が冷却チャネルを流れる結果、冷却装置、特にそのループは、冷却流体すなわち伝熱媒体と接触する。提案された手段により、冷却媒体の乱流が増加するため、冷却性能が向上する。特に、局所的に設けられる手段によって、異なるスイッチの冷却能力を互いに一致させることができるため、パワーモジュールのスイッチが均等に冷却される。この結果、特に、ある1つのスイッチが非常に早期に故障することでパワーモジュールの全面的な故障が引き起こされるという事態を回避することができる。
【0010】
制御可能な電子スイッチは、特に、例えばIGBTなどの制御可能な半導体スイッチである。これらは、一般的に知られた方法で、DC電圧入力に印加されるDC電圧、一般的には入力に印加される入力電圧を、AC電圧出力に印加されるAC電圧、一般的には出力に印加される出力電圧に変換する。AC電圧は、特に、多相AC電圧、好ましくは三相AC電圧である。
【0011】
インバータのDCリンクコンデンサは、パワーモジュールのDC電圧を平滑化するために設けられる。DC電圧は、例えば、電池、特に二次電池により供給される。
【0012】
ここで、第1グループのループおよび第2グループのループが異なる方向に傾斜している、すなわち、両者とも傾斜していることが想定され得る。換言すれば、冷却装置の異なるグループのループは、この場合、第2ベースプレート側面の法線に対して異なる方向に傾斜している。ただし、第1グループのループが直立している、すなわち傾斜していなく、第2グループのループのみが傾斜していることも想定され得る。換言すれば、この場合、第2グループのループのみが、第2ベースプレート側面の法線に対して傾斜している。他方で、第1グループのループは、第2ベースプレート側面に対して垂直に配向されている。第1および/または第2グループのループの傾斜は、特に、少なくとも3°、特に少なくとも5°、好適には少なくとも10°の顕著な傾斜であり得る。ただし、傾斜は、好適には60°未満であるため、顕著な傾斜とは、特に3°~60°である。これらの傾斜角度は、第2ベースプレート側面の法線に対するものである。
【0013】
これに加えて、またはこれに代えて、第1グループの前記ループおよび第2グループの前記ループは、前記第2ベースプレート側面から異なる距離で突出し得る。換言すれば、第2ベースプレート側面に対して垂直にまたは直角に測定した異なるグループの高さは、互いに異なっている。
【0014】
ループは、冷却装置の適切な形状を有する金属ストリップにより形成され得る。冷却装置は、冷却装置の長手方向に連続的に設けられる複数のループを形成するような形状とされた金属ストリップによって形成され得る。例えば、金属ストリップは、ベースプレートにはんだ付けされ得る、または溶接され得る。また、金属ストリップは、集積回路の配線にも利用される「ボンディングプロセス」の一部としてベースプレートに取り付けられることが多い。
【0015】
冷却装置は、一般に、第2ベースプレート側面に対して垂直に測定された高さ、当該高さに対して垂直に測定された長さ、並びに当該高さおよび当該長さに対して垂直に測定された幅を有しており、幅は長さより小さい。
【0016】
例えば、バッテリまたはアキュムレータがDC電圧入力に接続され得る。また、電気機械、例えば、永久励磁型の同期機や非同期機が、AC電圧出力に接続され得る。これらは、好適には、三相機械として、すなわち三相式に設計される。
【0017】
また、DCリンクコンデンサが、バッテリまたはアキュムレータにより供給されたDC電圧を平滑化する(例えば電力ピークを補う)ように、DC電圧入力に設けられ得る。
【0018】
電子スイッチは、特にペアをなすように直列に接続されて複数のハーフブリッジを形成し得る。この場合、DC電圧入力は、ハーフブリッジの外側極に接続され、AC電圧出力はハーフブリッジの中間極に接続される。特に、AC電圧出力は三相式に設計され得る。一般に知られている適切なハーフブリッジの作動により、DC電圧入力に印加されるDC電圧を、AC電圧出力に印加されるAC電圧に変換することができる。
【0019】
また、パワーモジュールは、電子スイッチを収容するとともに、それらを周囲の影響から保護するハウジングを有し得る。
【0020】
冷却チャネルは、直方体、または少なくとも直方体状に設計され得る。冷却チャネルの高さは、第2ベースプレート側面に対して垂直または直角に測定される。冷却チャネルの長さは、冷却チャネルの幅よりも大きい。
【0021】
また、パワー電子装置又はインバータは、電子スイッチ用のドライバーステージを収容する装置ハウジング、および必要であればドライバーステージ用の制御装置も有し得る。ドライバーステージは、通常、パワーモジュールの一部ではないが、少なくとも部分的にパワーモジュールに内蔵され得る。装置ハウジングは、他の構造ユニットを冷却するようにさらなる冷却チャネルも有し得る。制御装置は、インバータとパワーモジュールのAC電圧出力に接続された電気機械とを備える駆動装置用の調整システムも実装し得る。
【0022】
パワーモジュール用の冷却チャネルは、好適には、少なくとも部分的にインバータハウジングに組み込まれる。
【0023】
装置ハウジングは、好適には、アルミニウム等の金属から構成される。
【0024】
また、電気駆動装置は、ドライバーステージ用の制御装置または電気駆動装置用の調整システムを収容するハウジングも有し得る。電気機械用の調整システムが存在する場合、電気駆動装置は、調整された電気駆動装置である。電気駆動装置は、電気機械に接続された歯車機構も備え得る。上述のように、電気駆動装置は、具体的には車両を駆動するように使用され得る。
【0025】
本発明のさらに有利な実施形態および改良点は、従属請求項および図面と併せて考察される説明から明らかになる。
【0026】
前記ループにより形成される隣接する冷却装置のアイ(eye)は、有利には、前記冷却装置の長手方向において互いにオフセットしている。この結果、ループの領域における冷却媒体の乱流がさらに増加するため、冷却装置の冷却効果がさらに向上し得る。ただし、冷却装置のループをマトリックス状に配置することも想定可能である。
【0027】
また、前記ループにより形成される全てのアイが同一方向を向いていると有利である。この結果、冷却装置の流れ抵抗が低く維持される。ただし、冷却装置のループにより形成されるアイが全て異なる方向を向くことも想定可能である。また、全ての冷却装置のループのアイが同一方向を向き得る、または、異なる冷却装置のループのアイが異なる方向を向き得る。
【0028】
また、前記ループは、前記冷却装置の前記長手方向に対してねじれていると有利である。特に、このことは、第2ベースプレート側面に対して垂直に延びる冷却装置の鉛直軸を中心として、ループが冷却装置の長手方向に対してねじれ得るということを意味する。すなわち、それらは、第2ベースプレート側面の法線に対しても傾斜し得る。ループが冷却装置の適切な形状を有する金属ストリップによって形成されている場合、2つの採用可能な主要選択肢がある。例えば、ループの間にある金属ストリップのセクションを、冷却装置の横方向において、互いに横方向にオフセットさせ得る。これにより、ループが自動的にねじれる。または、ループは、金属ストリップの横方向オフセットなくねじられる。ループをねじることで、ループの領域における冷却媒体の乱流がさらに増加するため、冷却装置の冷却効果がさらに向上し得る。
【0029】
また、以下のようであれば特に有利である。
a)互いに傾斜した前記ループを有する隣接する冷却装置の割合が、前記スイッチのうちの第1スイッチの領域において、前記スイッチのうちの第2スイッチの領域におけるよりも大きい、および/または、
b)前記冷却装置の高さが、前記第1スイッチの領域において、前第2記スイッチの領域におけるよりも大きい、および/または、
c)前記冷却装置の長手方向において互いにオフセットした前記ループを有する隣接した冷却装置の割合が、前記第1スイッチの領域において、前記第2スイッチの領域におけるよりも大きい、および/または、
d)隣接する冷却装置のループのオフセットが、前記第1スイッチの領域において、前記第2スイッチの領域におけるよりも小さい、および/または、
e)異なる方向を向く前記アイを有する隣接する冷却装置の割合が、前記第1スイッチの領域において、前記第2スイッチの領域におけるよりも大きい、および/または、
f)隣接する冷却装置のループのねじれが、前記第1スイッチの領域において、前記第2スイッチの領域におけるよりも大きい。
【0030】
上記の文脈において、第1スイッチが、冷却流体の主流れ方向において、第2スイッチに対して下流に配置されていれば有益である。換言すれば、第1スイッチは冷却チャネルの出口により近く、第2スイッチは冷却チャネルの入口により近い。したがって、以下が提供され得る。
i)互いに傾斜したループを有する隣接する冷却装置の割合が、冷却流体の主流れ方向に基づいて、下流におけるよりも上流において小さい、または、互いに傾斜したループを有する隣接する冷却装置の割合が、冷却チャネルの出口付近におけるよりも冷却チャネルの入口付近において小さい、および/または、
ii)冷却装置の高さが、冷却流体の主流れ方向に基づいて、下流におけるよりも上流において低い、または、冷却装置の高さが、冷却チャネルの出口付近におけるよりも冷却チャネルの入口付近において低い、および/または、
iii)冷却装置の長手方向において互いにオフセットしたループを有する隣接した冷却装置の割合が、冷却流体の主流れ方向に基づいて、下流におけるよりも上流において小さい、または、冷却装置の長手方向において互いにオフセットしたループを有する隣接した冷却装置の割合が、冷却チャネルの出口付近におけるよりも冷却チャネルの入口付近において小さい、および/または、
iv)隣接する冷却装置のループのオフセットが、冷却流体の主流れ方向に基づいて、上流におけるよりも下流において小さい、または、隣接する冷却装置のループのオフセットが、冷却チャネルの入口付近におけるよりも冷却チャネルの出口付近において小さい、および/または、
v)異なる方向を向くアイを有する隣接する冷却装置の割合が、下流におけるよりも上流において小さい、または、異なる方向を向くアイを有する隣接する冷却装置の割合が、冷却チャネルの出口付近におけるよりも冷却チャネルの入口付近において小さい、および/または、
vi)隣接する冷却装置のループのねじれが、冷却流体の主流れ方向に基づいて、下流におけるよりも上流において小さい、または、隣接する冷却装置のループのねじれが、冷却チャネルの出口付近におけるよりも冷却チャネルの入口付近において小さい。
【0031】
提案された手段は、ターゲットを絞って異なるスイッチの冷却効果に影響を及ぼすように利用され得る。例えば、冷却媒体の温度は異なるが、冷却能力は全てのスイッチで同じにすることができる。ポイントa)~f)またはi)~vi)に開示された手段は、徐々に、または急激に変化し得る。換言すれば、ポイントa)~f)またはi)~vi)に開示された手段は、冷却装置によって異なり得る、または、2つの隣接する冷却装置の間で比較的極端な変化があり、その後、手段は複数の冷却装置に亘って一定である。特に、スイッチの1つの領域で採用される手段は同一のままであり得るが、一部または全部のスイッチで採用される手段には違いがある。
【0032】
前記冷却装置の長手方向は、前記冷却流体の前記主流れ方向に対して横方向に配向され、前記ループにより形成されるアイは、前記冷却流体の前記主流れ方向において開いていれば有益である。この結果、冷却装置の流れ抵抗が低く維持される。
【0033】
最後に、前記インバータのハーフブリッジに割り当てられた第1スイッチのグループについてポイントa)~f)またはi)~iv)で採用される前記手段は、前記インバータの別のハーフブリッジに割り当てられた第2スイッチのグループについてポイントa)~f)またはi)~iv)で採用される手段と異なるが、あるグループ内ではポイントa)~f)またはi)~iv)で採用される手段に違いはなく、前記第1スイッチは、前記冷却流体の前記主流れ方向において、前記第2スイッチに対して下流に配置されていれば、特に有利である。換言すれば、特に、ポイントa)~f)またはi)~vi)で採用される手段に関して、最も下流に配置されたハーフブリッジのスイッチのみが、全ての他のハーフブリッジのスイッチと異なるということが提供され得る。従来技術によれば、最も下流に配置されたハーフブリッジのスイッチは、冷却媒体が上流に配置されたスイッチにより既に加熱されているため、不十分にしか冷却されないことが多い。しかしながら、提案された手段では、これを補うことができる。すなわち、冷却媒体の温度が異なっていても、全てのスイッチについて冷却能力を同一とすることができる。
【0034】
本発明の上述の実施形態および改良点は、任意に組み合わせられ得る。
【0035】
本発明の例示的な実施形態を添付の概略図面に例として示す。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】
図1は、パワーモジュール、パワー電子装置の例としてのインバータ、および電気駆動装置の基本的な電気回路図を示す。
【
図2】
図2は、パワーモジュールを上方から見た概略斜視図を示す。
【
図3】
図3は、
図2のパワーモジュールを上方から見た分解斜視図を示す。
【
図4】
図4は、
図2のパワーモジュールを下方から見た分解斜視図を示す。
【
図5】
図5は、互いに対して傾斜するループを有する冷却装置の正面図を示す。
【
図6】
図6は、反対方向に傾斜するループを有する冷却装置の正面図を示す。
【
図7】
図7は、ベースプレートから異なる距離で突出するループを有する冷却装置の正面図を示す。
【
図8】
図8は、シングルオフセットのループを有する冷却装置の正面図を示す。
【
図9】
図9は、ダブルオフセットのループを有する冷却装置の正面図を示す。
【
図10】
図10は、高さの異なる傾斜したオフセットループを有する冷却装置の正面図を示す。
【
図11】
図11は、金属ストリップの横方向オフセットなしでねじれたループを有する冷却装置の平面図を示す。
【
図12】
図12は、金属ストリップの横方向オフセットありでねじれたループを有する冷却装置の平面図を示す。
【
図13】
図13は、第2ベースプレート側面の平面図であって、冷却装置5が矢印として概略的に示され、ループ用手段が均等に分散配置された平面図を示す。
【
図14】
図14は、
図13と同様の図であるが、第1スイッチのグループと第2スイッチのグループの領域でループが異なった態様で傾斜していることを示す。
【
図15】
図15は、
図13と同様の図であって、第1スイッチのグループと第2スイッチのグループの領域でループが異なった態様で傾斜していることを示す。
【
図16】
図16は、
図13と同様の図であるが、第1スイッチのグループと第2スイッチのグループの領域でループが異なった態様で傾斜してオフセットしていることを示す。
【
図17】
図17は、
図13と同様の図であるが、第1スイッチのグループと第2スイッチのグループの領域でループが異なった態様で傾斜してねじれていることを示す。
【
図18】
図18は、概略的に図示された提案されるタイプの電気駆動装置を有する車両を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
まず、異なる実施形態における同一の部品は、同じ参照符号または同じ部品呼称を有するが、場合により異なる指標を有することを述べておく。本明細書に含まれる部品の開示は、同じ参照符号または同じ部品呼称を有する別の部品に適切に転移され得る。また、本明細書で選択された位置情報、例えば、「上/上方」、「下/下方」、「後/後方」、「前/前方」、「横/側方」等は、直接記述ないし描写された図面に関するものであり、位置変更の際には、それに応じて新しい位置に転移されるべきである。
【0038】
図1は、インバータ2用のパワーモジュール1、インバータ2、および電気駆動装置3の基本的な電気回路図である。パワーモジュール1は、複数の制御可能な電子スイッチS1…S3’、並びに、電子スイッチS1…S3’に電気的に接続されたDC電圧入力E1、E2およびAC電圧出力A1…A3’を備えている。インバータ2は、パワーモジュール1と、パワーモジュール1のDC電圧入力E1、E2に電気的に接続されたDCリンクコンデンサCと、を備えている。また、DC電圧Uを供給するバッテリまたはアキュムレータがDC電圧入力E1、E2に接続されている。電気機械MがAC電圧出力A1…A3に接続されている。インバータ2および電気機械Mは、電気駆動装置3を形成している。インバータ2は、電子スイッチS1…S3’用のドライバーステージと、ドライバーステージ用の制御装置CTRLも有し得る。
図1において、ドライバーステージは、別個に図示されず、制御装置CTRLの一部として図示されている。制御装置CTRLは、電気駆動装置3用の調整システムも実装し得る。このシステムは、電気機械Mから離間する測定線によって示されている。この場合、電気駆動装置3は、調整された電気駆動装置である。電気駆動装置3は、電気機械Mに接続された歯車機構も備え得る。電気駆動装置3は、具体的には車両を駆動するように使用され得る(
図18も参照)。電気機械Mは、例えば、永久に励起される同期機または非同期機として設計され得る。これは、好適には、三相機械、すなわち三相式に設計される。
【0039】
パワーモジュール1およびインバータ2は、
図1に図示しない固有のハウジングを各々有している。パワーモジュール1のハウジングは、電子スイッチS1…S3’を収容し得るとともに、それらを周囲の影響から保護し得る。また、インバータ2のハウジングは、電子スイッチS1…S3’用のドライバーステージ、および必要であれば制御装置CTRLを収容し得る。ドライバーステージは、通常、パワーモジュール1の一部ではないが、少なくとも部分的にパワーモジュール1に内蔵され得る。
【0040】
一般的に知られたハーフブリッジの適切な作動により、DC電圧入力E1、E2に印加されるDC電圧Uは、AC電圧出力A1…A3’に印加されるAC電圧に変換され得る。この目的のために、本例では、電子スイッチS1…S3’は、ペアをなすように直列に接続されて複数のハーフブリッジを形成している。この場合、DC電圧入力E1、E2はハーフブリッジの外側極に接続され、AC電圧出力A1…A3’はハーフブリッジの中間極に接続される。DCリンクコンデンサCは、ここでは、バッテリまたはアキュムレータにより供給されたDC電圧Uを平滑化する、例えば、電力ピークを補うように使用される。
【0041】
この場合、パワーモジュール1は三相設計であるが、異なる個数の相を設けることも可能である。
【0042】
図2~
図4は、パワーモジュール1の概略図を示す。
図2は上方から見た斜視図であり、
図3は上方から見た分解斜視図であり、
図4は下方から見た分解斜視図を示す。
【0043】
パワーモジュール1は、第1ベースプレート側面Aおよび反対側の第2ベースプレート側面Bを有するベースプレート4を備えている。制御可能な電子スイッチS1…S3’は、第1ベースプレート側面Aに配置されている、またはこれに少なくとも熱的に結合されている。
【0044】
複数の冷却装置5が、第2ベースプレート側面Bに配置されている、またはこれに少なくとも熱的に結合されている。冷却装置5は、連続的に配置された複数のループ6を各々備えている。ループ6は、冷却装置5の適切な形状を有する金属ストリップにより形成され得る。換言すれば、冷却装置5は、冷却装置5の長手方向に連続的に設けられる複数のループ6を形成するような形状とされた金属ストリップによって形成され得る。金属ストリップは、特に「ボンディングプロセス」の一部として、ベースプレート4にはんだ付けされ得る、または溶接され得る。
【0045】
インバータ2は、インバータハウジング内にレセプタクル7を有している。レセプタクル7上に、ベースプレート4が第2ベースプレート側面Bで載置される。インバータハウジングは、
図2~
図4において概略的に示されるのみであるか、パワーモジュール1と相互作用する部分のみ示されている。インバータハウジングは、特に、図示のものより大きくすることができる、かつ異なる形状とすることができる。ベースプレート4をレセプタクル7に配置することにより、冷却チャネルKが形成されている。冷却チャネルKは、第2ベースプレート側面Bにより部分的に制限されて冷却装置5を収容する。また、冷却チャネルKは、冷却回路に接続するための入口8であって冷却流体の流入のための入口8、ならびに冷却回路に接続するための出口9であって冷却流体の流出のための出口9を有している。動作中に、冷却流体は、矢印で示す主流れ方向Fにおいて、入口8から出口9に冷却チャネルKを通過して流れる。この結果、冷却装置5は、冷却流体すなわち伝熱媒体と直接接触する。インバータ2における冷却は、パワーモジュール1に限定されず、インバータハウジングは他の構造ユニットを冷却するようにさらなる冷却チャネルも有し得る。
【0046】
冷却チャネルKは、
図2~
図4に示すように、直方体であり得る。または、例えば、丸みを帯びた隅部や縁部を有することで直方体状の設計を有し得る。冷却チャネルKの高さは、一般に、第2ベースプレート側面Bに対して垂直または直角に測定される。冷却チャネルKの長さは、冷却チャネルKの幅よりも大きい。
【0047】
図5~
図10は、冷却装置5またはループ6の種々の配置を、各々正面図において、すなわち冷却流体の主流れ方向Fから見た方向において示す。ここで、冷却装置5の第1グループのループ6aを黒で示し、第2グループのループ6bを白で示す。
【0048】
図5に示す例において、第1グループのループ6aは直立している、すなわち傾斜していない。第2グループのループ6bのみが傾斜している。換言すれば、この場合、第2グループのループ6bのみが、第2ベースプレート側面Bの法線nに対して傾斜している。他方で、第1グループのループ6aは、第2ベースプレート側面Bに対して垂直に配向されている。
【0049】
図6に示す例において、第1グループのループ6aと第2グループのループ6bとは、異なる方向に傾斜している。すなわち、両者とも傾斜している。換言すれば、冷却装置5の異なるグループのループ6a、6bは、この場合、第2ベースプレート側面Bの法線nに対して異なる方向に傾斜している。冷却装置5の異なるグループのループ6a、6bは、同一方向に傾斜しているが、異なる傾斜角度を有していることも想定され得る。
【0050】
第1および/または第2グループのループ6a、6bの傾斜は、一般的に、例えば3°度よりも大きい明確な傾斜であり得る。
【0051】
図7は、冷却装置5の第1グループのループ6aおよび冷却装置5の第2グループのループ6bが、第2ベースプレート側面Bから異なる距離で突出している例を示す。換言すれば、第2ベースプレート側面Bに対して垂直または直角に測定した異なるグループの高さは、互いに異なっている。
【0052】
図8および
図9は、ループ6a…6cにより形成される隣接する冷却装置5のアイが、冷却装置5の長手方向において互いにオフセットしている例を示す。
図8では、シングルオフセットが存在する。
図9では、ダブルオフセットが存在する。したがって、
図8のオフセットは
図9のよりも大きい。ただし、冷却装置5のループ6a、6bをマトリックス状に、すなわちオフセットさせずに配置することも想定可能である。
【0053】
特定された手段を任意の所望の組み合わせにおいて採用することもできる。すなわち、第1グループのループ6aおよび第2グループのループ6bは、傾斜するとともに異なる高さを有してもよいし、傾斜するとともにオフセットしてもよいし、異なる高さを有してオフセットしているとともに傾斜してもよいし、異なる高さを有してオフセットしてもよい。異なる高さを有して傾斜しオフセットしたループ6a、6bの例を
図10に示す。
【0054】
さらなる実施形態において、ループ6は、冷却装置5の長手方向に対してねじれている。特に、これは、第2ベースプレート側面に対して垂直に延びる冷却装置5の鉛直軸nを中心として、ループ6が冷却装置5の長手方向に対してねじれ得るということを意味する。ループ6が冷却装置5の適切な形状を有する金属ストリップによって形成されている場合、2つの採用可能な主要選択肢がある。例えば、
図11に示すように、ループ6の間にある金属ストリップのセクションを、金属ストリップの横方向オフセットなくねじることができる。ただし、
図12に示すように、ループ6の間にある金属ストリップのセクションの横方向のオフセットによって、ループ6のねじりが冷却装置5の横方向に実施されることも想定され得る。このオフセットにより、ループ6が自動的にねじれる。
【0055】
一般的に、ループ6により形成される全てのアイが同じ方向を向くことが想定され得る。ただし、冷却装置5のループ6により形成されたアイが全て異なる方向を向くことも想定可能である。また、すべての冷却装置5のループ6のアイが同じ方向を向き得る、または異なる冷却装置5のループ6のアイが異なる方向を向き得る。
【0056】
一般的に、冷却装置5の長手方向は、好適には、冷却流体の主流れ方向Fに対して横方向に配向され、ループ6により形成されるアイは、冷却流体の主流れ方向Fの方向において開口している。
【0057】
この点で、ループ6のねじれは、ループ6の傾斜、ループ6の異なる高さ、またはループ6のオフセットとの任意の所望の組み合わせにおいて利用され得ることに留意されたい。
【0058】
一般的に、提案された手段は、第2ベースプレート側面B全体に亘って、または、スイッチS1…S3’の領域において第2ベースプレート側面B全体に亘って均一に分散させた態様で適用され得る。
図13は、この例を第2ベースプレート側面Bの平面図で示す。ここでは、冷却装置5は、概略的に矢印で示されている。この場合、矢印は、ループ6a、6bの傾斜方向を指す。図示例において、隣接する冷却装置5のループ6a、6bは、
図6にも示すように、相互に傾斜している。
図13における矢印はループ6a、6bの傾斜を表すが、それらは同様にループ6a、6bの異なる高さ、ループ6a、6bのオフセット、またはループ6a、6bの異なるねじれ、ならびに提案された手段の任意の所望の組み合わせも示し得る。例えば、右を向く矢印はより高いループ6aを示し得るとともに、左を向く矢印はより低い高さを有するループ6bを示し得る(
図7も参照)。また、右を向く矢印は右にオフセットしたループ6aを示し得るとともに、左を向く矢印は左にオフセットしたループ6bを示し得る(
図8も参照)。また、右を向く矢印は右にねじれたループ6aを示し得るとともに、左を向く矢印は左にねじれたループ6bを示し得る(
図11および
図12も参照)。
【0059】
ただし、提案された手段を均一に分散させることは必須ではない。パワーモジュール1の場合、以下のようにすれば有利である。
a)互いに傾斜したループ6a、6bを有する隣接する冷却装置5の割合が、スイッチS1…S3’のうちの第1スイッチS1、S1’の領域において、スイッチS1…S3’のうちの第2スイッチS2、S2’の領域におけるよりも大きい、および/または、
b)冷却装置5の高さが、第1スイッチS1、S1’の領域において、第2スイッチS2、S2’の領域におけるよりも大きい、および/または、
c)冷却装置5の長手方向において互いにオフセットしたループ6a、6bを有する隣接した冷却装置5の割合が、第1スイッチS1、S1’の領域において、第2スイッチS2、S2’の領域におけるよりも大きい、および/または、
d)隣接する冷却装置5のループ6a、6bのオフセットが、第1スイッチS1、S1’の領域において、第2スイッチS2、S2’の領域におけるよりも小さい、および/または、
e)異なる方向を向くアイを有する隣接する冷却装置5の割合が、第1スイッチS1、S1’の領域において、第2スイッチS2、S2’の領域におけるよりも大きい、および/または、
f)隣接する冷却装置5のループ6a、6bのねじれが、第1スイッチS1、S1’の領域において、第2スイッチS2、S2’の領域におけるよりも大きい。
【0060】
第1スイッチS1、S1’は、好適には、冷却流体の主流れ方向Fにおいて、第2スイッチS2、S2’に対して下流に配置されている。換言すれば、第1スイッチS1、S1’は冷却チャネルKの出口9により近く、第2スイッチS2、S2’は冷却チャネルKの入口8により近い。したがって、以下が提供され得る。
i)互いに傾斜したループ6a、6bを有する隣接する冷却装置5の割合が、冷却流体の主流れ方向Fに基づいて下流におけるよりも上流において小さい、または、互いに傾斜したループ6a、6bを有する隣接する冷却装置5の割合が、冷却チャネルKの出口9付近におけるよりも冷却チャネルKの入口8付近において小さい、および/または、
ii)冷却装置5の高さが、冷却流体の主流れ方向Fに基づいて下流におけるよりも上流において低い、または、冷却装置5の高さが、冷却チャネルKの出口9付近におけるよりも冷却チャネルKの入口8付近において低い、および/または、
iii)冷却装置5の長手方向において互いにオフセットしたループ6a、6bを有する隣接した冷却装置5の割合が、冷却流体の主流れ方向Fに基づいて下流におけるよりも上流において小さい、または、冷却装置5の長手方向において互いにオフセットしたループ6a、6bを有する隣接した冷却装置5の割合が、冷却チャネルKの出口9付近におけるよりも冷却チャネルKの入口8付近において小さい、および/または、
iv)隣接する冷却装置5のループ6a、6bのオフセットが、冷却流体の主流れ方向Fに基づいて上流おけるよりも下流において小さい、または、隣接する冷却装置5のループ6a、6bのオフセットが、冷却チャネルKの入口8付近におけるよりも冷却チャネルKの出口9付近において小さい、および/または、
v)異なる方向を向くアイを有する隣接する冷却装置5の割合が、下流におけるよりも上流において小さい、または、異なる方向を向くアイを有する隣接する冷却装置5の割合が、冷却チャネルKの出口9付近におけるよりも冷却チャネルKの入口8付近において小さい、および/または、
vi)隣接する冷却装置5のループ6a、6bのねじれが、冷却流体の主流れ方向Fに基づいて下流におけるよりも上流において小さい、または、隣接する冷却装置5のループ6a、6bのねじれが、冷却チャネルKの出口9付近におけるよりも冷却チャネルKの入口8付近において小さい。
【0061】
ポイントa)~f)またはi)~vi)に開示された手段は、徐々に、または急激に変化し得る。換言すれば、ポイントa)~f)またはi)~vi)に開示された手段は、冷却装置5によって異なり得る、または、2つの隣接する冷却装置5の間で比較的極端な変化があり、その後、手段は複数の冷却装置5に亘って一定である。特に、スイッチS1…S3’の1つの領域で採用される手段は同一のままであり得るが、一部または全部のスイッチS1…S3’で採用される手段には違いがある。
【0062】
インバータ2のハーフブリッジに割り当てられた第1スイッチS1、S1’のグループについてポイントa)~f)またはi)~vi)で採用される手段は、好適には、インバータ2の別のハーフブリッジに割り当てられた第2スイッチS2…S3’のグループについてポイントa)~f)またはi)~vi)で採用される手段と異なるが、あるグループ内ではポイントa)~f)またはi)~vi)で採用される手段に違いはなく、第1スイッチS1、S1’は、冷却流体の主流れ方向Fにおいて第2スイッチS2…S3’に対して下流に配置されている。換言すれば、特に、ポイントa)~f)またはi)~vi)で採用される手段に関して、最も下流に配置されたハーフブリッジのスイッチS1、S1’のみが、全ての他のハーフブリッジのスイッチS2…S3’と異なるということが提供され得る。
【0063】
この点について、
図14は、第1スイッチS1、S1’のグループの領域におけるループ6aが左に傾斜し、第2スイッチS2…S3’のグループの領域におけるループ6bが右に傾斜している例を示す。
【0064】
図15は、第1スイッチS1、S1’のグループの領域におけるループ6aが左右に交互に傾斜し、第2スイッチS2…S3’のグループの領域におけるループ6bが右のみに傾斜している別の例を示す。
【0065】
同じく、
図14および
図15の矢印はループ6a、6bの傾斜を表すが、それらは同様にループ6a、6bの異なる高さ、ループ6a、6bのオフセット、またはループ6a、6bの異なるねじれ、ならびに提案された手段の任意の所望の組み合わせも示し得る。
図16および
図17は、この点に関してやや詳細な図を示す。ここでも、矢印の方向は、ループ6a、6bの傾斜方向を示すが、水平線がさらにループ6a、6bの位置および配向も示している。したがって、
図16は、第1スイッチS1、S1’のグループの領域におけるループ6aが左右に交互に傾斜するとともに互いにオフセットし、第2スイッチS2…S3’のグループの領域におけるループ6bは右にのみ傾斜して互いにオフセットしていない実施形態を開示している。また、
図17は、第1スイッチS1、S1’のグループの領域におけるループ6aが左右に交互に傾斜するとともに互いに対してねじれており、第2スイッチS2…S3’のグループの領域におけるループ6bは右にのみ傾斜して互いに対してねじれていない実施形態を開示している。
【0066】
最後に、
図18は、車両10に設置された電気駆動装置3を示している。車両10は、少なくとも2つの車軸を有し、そのうちの少なくとも一方が駆動される。具体的には、電気駆動装置3は、任意の歯車機構を介して後車軸の半車軸11に接続される。最後に、駆動ホイール12が半車軸11に装着される。車両10の駆動は、電気駆動装置3によって少なくとも部分的に、または一時的に提供される。これは、電気駆動装置3は、単独で車両10を駆動するように機能してもよいし、または、例えば内燃機関と組み合わせて設けられてもよい(ハイブリッド駆動)。
【0067】
最後に、保護範囲は、特許請求の範囲により定められることが制定されている。しかしながら、明細書および図面は、請求項を解釈するための参考となるべきである。図面に含まれる特徴は、任意に互いに交換したり組み合わせたりすることができる。特に、図示された装置は、実際には図示のものよりも多い、または少ない構成要素を備え得ることも制定されている。場合により、図示の装置、それらの構成要素は、縮尺通りに描かれていないことがあり得る、および/または、拡大および/または縮小されていることがあり得る。
【外国語明細書】