(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022074124
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】はんだ付けされる電子部品を備えるチップカードモジュールを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
H01L 25/18 20060101AFI20220510BHJP
G06K 19/077 20060101ALI20220510BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
H01L25/04 Z
G06K19/077 196
G06K19/077 244
H01L21/92 604E
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021177763
(22)【出願日】2021-10-29
(31)【優先権主張番号】2011177
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】512063092
【氏名又は名称】リンゼンス・ホールディング
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・マチュー
(72)【発明者】
【氏名】ギヨーム・ガンベール
(57)【要約】
【課題】従来生産されたチップに加えて部品を備えるチップカードモジュールを製造するための方法を改善することに少なくとも部分的に貢献すること。
【解決手段】本発明はチップカードモジュールを製造するための方法に関する。当該方法は、誘電体基板(9)の背面に配置される導電性材料の層に形成された接続パッド(16)上に溶融可能なはんだが堆積され、かつはんだをリフローすることによって少なくとも1つの電子部品がこれら接続パッド(16)に接続される1つ以上の工程を含む。本発明は、この方法を使用して得られたチップカードモジュールに関する。本発明はそうしたモジュールを備えるチップカードに関する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップカード(1)のためのモジュール(2)を製造するための方法であって、
誘電体基板(9)を提供するステップであって、前記誘電体基板(9)は、前記誘電体基板(9)の第1の主要面(10)上に導電性材料の第1の層(21)を担持しかつ前記誘電体基板(9)の第2の主要面(11)上に導電性材料の第2の層(23)を担持する、ステップと、
前記誘電体基板(9)の前記第1の主要面(10)の側において、前記誘電体基板(9)に少なくとも1つの集積回路(5)を固定し、かつ少なくとも1つの前記集積回路(5)を第1の接続パッド(15)に接続するステップと、
を含み、
導電性材料の前記第1の層(21)に形成される第2の接続パッド(16)上に溶融可能なはんだ(25)を堆積し、かつ前記はんだ(25)をリフローすることによって、少なくとも1つの電子部品(7)を前記第2の接続パッド(16)に接続する1つ以上の工程をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記はんだ(25)がリフローされる前に、はんだマスク(20)が前記誘電体基板(9)の前記第1の主要面(10)に堆積される工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記はんだ(25)をリフローする工程は、前記集積回路(5)が前記第1の接続パッド(15)に接続される工程の前に実施されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記はんだ(25)をリフローする工程は、前記集積回路(5)を前記第1の接続パッド(15)に接続する工程の後に実施されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記集積回路(5)は、ワイヤ(17)を使用して、前記第1の接続パッドに接続されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記はんだ(25)は、130℃から250℃の融点を有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記はんだ(25)は、ジェット、接触分注、ピン転写、およびスクリーン印刷のリストから選択された技術を使用して堆積されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
封入材料(26)を前記集積回路(5)上に、前記電子部品(7)を前記封入材料(26)でカバーすることなく、堆積する工程を含むことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の接続パッド(16)は、400±50μmに等しい長さ(X)と、300±50μmに等しい幅(Y)とを有しており、かつ前記第2の接続パッド(16)間の距離(S)は300±50μmに等しいことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
誘電体基板(9)を備えるチップカードモジュールであって、前記誘電体基板(9)は、前記誘電体基板(9)の第1の主要面(10)上に導電性材料の第1の層(21)を担持しかつ前記誘電体基板(9)の第2の主要面(11)上に導電性材料の第2の層(23)を担持しており、集積回路(5)が、前記誘電体基板(9)の前記第1の主要面(10)の側において前記誘電体基板(9)にしっかりと固定されかつ第1の接続パッド(15)に接続されており、
少なくとも1つのはんだ付け可能な電子部品(7)をさらに備えており、前記電子部品(7)は、導電性材料の前記第1の層(21)に形成された第2の接続パッド(16)に対して、前記第2の接続パッド(16)上に堆積されかつリフローされる溶融可能なはんだ(25)を使用して、接続されていることを特徴とするチップカードモジュール。
【請求項11】
前記電子部品(7)は受動素子であることを特徴とする請求項10に記載のチップカードモジュール。
【請求項12】
前記はんだ(25)は、ビスマス、スズ、銀および銅のリストから少なくとも2つの成分を含む合金であることを特徴とする請求項10または請求項11に記載のチップカードモジュール。
【請求項13】
封入材料(26)は、前記電子部品(7)をカバーすることなく、前記集積回路(5)を取り囲むことを特徴とする請求項10から請求項12のいずれか一項に記載のチップカードモジュール。
【請求項14】
前記電子部品(7)は、2つの長手方向端部と、前記長手方向端部の各々にはんだ付けされる端子とを有しており、前記端子間の距離は、それぞれの前記接続パッド(16)間の距離(S)以上であることを特徴とする請求項10から請求項13のいずれか一項に記載のチップカードモジュール。
【請求項15】
前記第2の接続パッド(16)は、400±50μmに等しい長さ(X)と、300±50μmに等しい幅(Y)とを有しており、
前記第2の接続パッド(16)間の距離(S)は300±50μmに等しいことを特徴とする請求項14に記載のチップカードモジュール。
【請求項16】
カード本体(6)と、請求項10から請求項14のいずれか一項に記載のチップカードモジュールが収容されるキャビティと、を備えることを特徴とするチップカード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップカードの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
チップカードは、一般的に、チップつまり集積回路を備えるモジュールが内部に収容されるプラスチックカード本体から形成されており、チップは、接触してあるいは非接触でカードリーダと通信することを目的として、複数の接点および/またはアンテナに電気的に接続される。アンテナと、チップを備えるモジュールとは別に、他の電気回路要素および/または他の電子部品がカード本体に組み込まれてもよい。これは特に、セキュリティを強化するためまたはチップカードの使用法を簡略化するために指紋を読み取るための生体認証センサーが使用される場合に当てはまる。
【0003】
しかしながら、チップカードの本体への電子部品の組み込みは、カード本体の様々な構成層を積層する間に問題を引き起こすことがある。具体的には、発生する可能性のある問題には、例えばこれら部品の劣化、これら層の間に1つ以上の部品を挿入した結果として生じ得る外観を悪くする膨れ、および電子部品の接続を意図された接続領域の位置における積層後の不正確さが含まれる。
【0004】
1つの解決法は、チップをすでに備えるかまたはチップを受け入れるよう意図されたモジュール内に少なくとも特定の部品を組み込むことを含む(例えばモジュール上に複数の部品を備えるチップカードの例に関して、特許文献1、特許文献2および特許文献3を参照されたい。)具体的には、このモジュールはキャビティに収容されており、当該キャビティは基本的にカードの構成層を積層した後にカードの本体をフライス加工することによって形成される。そのため例えばこれら部品は積層工程を経ていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2019/294943号明細書
【特許文献2】カナダ国特許出願公開第2503688号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2019/340398号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、この状況に対処し、かつそうしたモジュールによって従来生産されたチップに加えて部品を備えるチップカードモジュールを製造するための方法を改善することに少なくとも部分的に貢献することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、本発明によれば、チップカードのためのモジュールを製造するための方法が提供され、当該方法は:
- 誘電体基板の第1の主要面上に導電性材料の第1の層を担持しかつ基板の第2の主要面上に導電性材料の第2の層を担持する誘電体基板を提供するステップ、および、
- 基板の第1の主要面の側において集積回路を基板に固定し、かつこの集積回路を第1の接続パッドに接続するステップと、
からなる工程を含む。
【0008】
この方法は、導電性材料の第1の層に形成された第2の接続パッド上に溶融可能なはんだが堆積され、かつ第2の接続パッドに事前に堆積されたはんだをリフローすることによって少なくとも1つの電子部品が第2の接続パッドに接続される1つ以上の工程をさらに含む。
【0009】
したがって、本発明のおかげで、チップカードモジュールの製造において積層に影響を受けやすい電子部品を使用することが可能となる。集積回路は、ワイヤボンディングまたはフリップチップ技術を使用して接続されてもよい。チップがフリップチップ技術を使用して接続される場合、その接続は、導電性ペーストを使用して、あるいはさらに溶融はんだを使用して溶融はんだをリフローする工程(任意選択的には1つ以上の他の電子部品を接続できるようにする工程と同じ工程)を用いてなされてもよい。当業者は、ワイヤボンディングに先立つリフローステップがワイヤボンディング用の接続パッドを汚染する傾向があると確信しあるいは対照的にチップが事前に接続されている場合はリフロー温度がチップを劣化させ得ると確信しており、チップがワイヤボンディングを使用して接続される場合、所定のキャリア上における2つの接続技術つまりワイヤボンディングおよびリフローはんだ付けを組み合わせることは当業者のそうした先入観に合わない。
【0010】
チップカードモジュールを製造するためのこの方法は、任意選択的に、以下の特徴のうちの1つ以上を備えるが、各々の特徴は他の特徴とは独立しているかまたは各々の特徴は他の1つ以上の他の特徴と組み合わせられると考えられる:
- 前記方法は、はんだがリフローされる前に、はんだマスクが基板の第1の主要面上に堆積される工程を含む;
- はんだをリフローする工程は、集積回路が第1の接続パッドに接続される工程の前に実施され;代替的には、はんだ材料をリフローする工程は、集積回路が第1の接続パッドに接続される工程の後に実施される;
- 集積回路は、ワイヤを使用して、第1の接続パッドに接続される;
- はんだ130から250°Cの融点を有する;
- はんだは、ジェット、接触分注、ピン転写、およびスクリーン印刷のリストから選択される技術を使用して堆積される;
- 上記方法は、集積回路上に封入材料を堆積する工程を含んでおり、この封入材料で電子部品をカバーすることなく、ワイヤがこの集積回路を第1の接続パッドに接続する。
【0011】
さらに別の態様によれば、本発明はチップカードモジュールに関し、当該チップカードモジュールは、基板の第1の主要面上に導電性材料の第1の層を担持しかつ基板の第2の主要面上に導電性材料の第2の層を担持する誘電体基板と、第1の主要面の側において基板にしっかりと固定される集積回路であって、任意選択的にワイヤを使用して第1の接続パッドに接続される集積回路と、を備える。このモジュールは、はんだ接続第2のパッド上に堆積されかつリフローされる溶融可能なはんだを使用して、導電性材料の第1の層に形成された第2の接続パッドに接続された少なくとも1つのはんだ付け可能な電子部品をさらに備える。
【0012】
このチップカードモジュールは、任意選択的に、以下の特徴の1つおよび/または別の特徴を備えており、各々の特徴は他の特徴とは独立しているかまたは各々の特徴は他の1つ以上の他の特徴と組み合わせられると考えられる:
- 電子部品は受動素子である;
- はんだは、ビスマス、スズ、銀および銅のリストからの少なくとも2つの成分を含む所定の合金であり得る合金である;
- 封入材料は、電子部品をカバーすることなく、集積回路を取り囲む。
【0013】
さらに別の態様によれば、本発明は、カード本体と、本発明に基づく方法を使用して製造されたモジュールが収容されるキャビティと、を備えるチップカードに関する。
【0014】
本発明のさらなる態様、目的および利点は、非限定的な例を目的として与えられる添付の図面を参照して、以下の詳細な説明を読むことで明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】
図1に例示されるようなチップカード内の回路および部品の機構の一例を概略的に示す図である。
【
図3】本発明に基づくモジュールの一実施形態の例に対応するプリント回路基板の一部分の、その前面から見た概略立面図である。
【
図4】
図3に例示されるモジュールの一実施形態の例に対応するプリント回路基板の一部分の、その背面から見た概略立面図である。
【
図6】本発明に基づくチップカードモジュールを製造するための方法の一例のさまざまなステップを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に基づくチップカード1の一例を
図1に示す。この例では、チップカード1はID-1形式の銀行カードである。このチップカード1は、コネクタ3と第2のモジュール4とを備える第1のモジュール2を備える。第1のモジュール2は、例えば、ISO7810の規格に適合するEMVモジュール(EMVはユーロペイマスターカードビザを意味する)である。コネクタ3は、電子チップ5とカードリーダとの間でデータを交換することを目的として、第1のモジュール2に取り付けられた電子チップ5(
図6参照)をカードリーダに電気的に接続することができる。
【0017】
デュアルインターフェースチップカード1、つまり接触してあるいは非接触で読み取ることができるチップカードの場合、アンテナがチップカード1の本体6に組み込まれている。このアンテナは、例えば、第1のモジュール2内に配置されるチップに接続されている。このアンテナは、チップ5と非接触型カードリーダとの間で非接触式のデータ交換を可能にする。このアンテナ、またはカード本体6に配置される電気回路の別の部分は、チップカード1に組み込まれる第2のモジュール4に電気的に接続されてもよい。第2のモジュール4は、例えば生体認証モジュールである。続いてこの第2のモジュール4は、例えば、指紋を認識するための生体認証センサーを備える。第2のモジュール4は例えば、生体認証センサーによって読み取られた指紋がこのチップカード1を使用する権限を与えられているユーザの指紋に対応しているかどうかを特定できる。この場合、チップ5とリーダーとの間の非接触通信が許可され得る。他の部品(例えば発光ダイオード)が任意選択的にカード本体6に収容されている。
【0018】
図2に例示されるように、第1および第2のモジュール2、4は、誘電体キャリアを使用して形成されたインレイ(嵌め込み要素)上に形成された電気回路を介して通信する。この電気回路は、誘電体キャリアに埋め込まれた1つ以上の導線を使用して、または実際に、誘電体キャリアとともに積層された導電性材料の層にエッチングされた導電性トラックを使用して、もしくは、誘電体キャリアに対して積層される前に導電性材料の層から切り出した導電性トラックを使用して、作成されてもよい。次に、インレイおよびその電気回路は、カード本体6を形成するために、さまざまなプラスチック層(1つ以上の補償層、1つ以上の仕上げ層、1つ以上の印刷層など)で積層される。公知のように、キャビティはカード本体6におけるフライス加工によって作成される。第1および第2のモジュール2、4はこれらキャビティに組み込まれており、これらのキャビティ内では第1および第2のモジュール2、4は、カード本体6に事前に組み入れられた電気回路に接続されている。
【0019】
本発明の1つの利点は、カード本体6に配置しないことが好ましい1つ以上の電子部品7を、第1のモジュール2内にまとめることができることである。このため、第1のモジュール2は特定の方法で製造される。
【0020】
図3から
図5は、プリント回路基板8の一部分を示す。この部分は、プリント回路基板8のうちモジュールを形成するよう意図された領域に対応しているが、プリント回路基板8は、
図3から
図5に示されている領域と多くの同一または類似の領域を備えている。これら領域は、プリント回路基板ストリップの幅にわたって所定のピッチで繰り返され、かつ任意選択的には、このプリント回路基板ストリップの長さにわたって別のピッチで繰り返される。ストリップは、所定の方法を使用してオープンリール式で連続的に処理され、その例示の1つが以下に説明される。
【0021】
第1のモジュール2は、誘電体キャリアまたは基板9を備える。この誘電体基板9は2つの主要面:「背面」または「結合面」と称される第1の面10と、「前面」または「接触面」と称される第2の面11と、を有する。導電性ランド12は、以下で説明する方法を使用して、第1および第2の面10、11の各々に作成される。第2の面11(前面)において、導電性ランド12は、カードリーダとの接触を介して一時的な通信を確立するよう意図された接点13に本質的に対応している。第1の面10(背面)において、導電性ランド12は、トラック14と接続パッド15、16とに対応している。接続パッド15、16は、チップ5と、第1の面10に固定される1つ以上の電子部品7とを接続するのに役立つ。第1の接続パッド15のいくつかは、導電性の接続ワイヤ17(
図6を参照)を使用して、チップ5を導電性トラック14に接続するために使用される。第2の接続パッド16のいくつかは、1つ以上の電子部品7を導電性トラック14にはんだ付けすることによって接続するために使用される。さらに、導電性トラック14は、第1および第2のパッド15、16を、カード本体6に組み込まれる電気回路に第1のモジュール2を接続するよう意図された接続ランド19に、または接点13との接続を基板9を通して可能にする接続ウェル18に、電気的に接続する。
【0022】
図4および
図5に例示されるように、はんだマスク20は、第2の接続パッド16の周りに配置される。はんだマスクは基板9上に堆積される。はんだマスク20は、第2の接続パッド16に接続された導電性トラック14を部分的にカバーするが、第2の接続パッド16はカバーされていないままにされる。NSMD構成(NSMDは非はんだマスク定義を意味する)では、例えば50μmから200μmの幅を備えるスペースが、第2の接続パッド16とはんだマスク20との間において第2の接続パッド16の周りに残されている。SMD構成(SMDははんだマスク定義を意味する)では、例えば50μmから200μmの幅を備えるオーバーラップの領域が、第2の接続パッド16をカバーする。
【0023】
SMT方法(SMTは表面実装技術を意味する)の実施中に、部品の端子をプリント回路基板パッドにはんだ付けするよう意図されたリフロー工程中に望ましくない影響が生じる可能性があることが知られている。この望ましくない影響は、トゥームストーン現象またはマンハッタン現象、あるいはさらにチップリフティングとして公知であり、部品をプリント回路基板の平面から離れるよう回転させる。回転される部品の端子の1つは、はんだによって接続されてもよいが、端子のもう1つは(リフローされたはんだから)切り離される。
図5は、第2の接続パッド16の付近におけるプリント回路基板の一部分を示す。これら接続パッド16は、長さXおよび幅Yを有しており、かつ距離Sによって離間されている。
【0024】
本発明者らは、Xの値が400μmに等しく、Yの値が400μmに等しく、かつ距離Sが400μmに等しい状態では、0201タイプ(国際EIAJ規格に準拠した体系化された形式:長さおよび幅は100分の1インチであり、コードの最初の2桁または3桁は長さを表し、かつ最後の2桁は幅を表す)の部品に関して、トゥームストーン現象が10%以上のケースで発生することを観測した。そのため、0201タイプの部品に関して、その寸法は:部品の長さは0.6±0.03mmであり、部品の幅は0.3±0.03mmであり、かつ当該長さに平行にはんだ付けされる端子の寸法は、0.15±0.05mmである。対照的に、本発明者らは、Xが400±50μmに等しく、Yが300±50μmに等しく、かつSが300±50μmに等しい場合、0201タイプの部品に関して、トゥームストーン現象は1%未満のケースでのみ発生することも見出した。そのため、有利なことに、本明細書で説明される実施形態の例では上述のX、Y、およびSの値が採用される。より一般的には、接続パッド16間の距離Sが、部品の長さから当該長さに平行にはんだ付けされる端子の寸法の2倍を引いたものに対応する距離以下であるかまたはそれに近い場合、トゥームストーン現象は減少する。言い換えると、電子部品7は、2つの長手方向端部と、各長手方向端部にはんだ付けされる端子とを有しており、端子間の距離は、それぞれの接続パッド16間の距離S以上であるかまたはそれに近い。さらに基本的な部品の寸法を以下に示す。任意選択的には、一方では距離Sが減少すると部品はリフローはんだ上にさらに載り、他方では接続パッド16の面積が減少すると部品を離れるよう回転させる傾向のある力が小さくなることが知られているように、X、YおよびSの値は場合により変更される。これら2つの影響のいずれかまたは両方は、トゥームストーン現象が発生する頻度を制限することができる。
【0025】
第1のモジュール2の実施形態の一例を製造するための方法の例を、
図6を参照して以下に説明する。
【0026】
この方法は、誘電体材料から作られた基板9を備える複合材料100を提供するステップを含み、当該基板9に、第1の層21または第1の導電性材料から作られるフォイルが積層される(
図6aを参照)。例えば、基板9の誘電体材料は、ポリイミドまたはエポキシガラス合成体であり、その厚さは、25ミクロンから100ミクロンであり、好ましくは100ミクロンに等しく、導電性材料の第1の層21は、銅または銅合金から作られており、その厚さは、12ミクロンから70ミクロンであり、好ましくは35ミクロンに等しい。
【0027】
工業的な観点から高性能である本発明に基づく方法の実施を達成するために、この複合材料100は、有利なことにロールで提供され、その方法はオープンリール式で実施される。複合材料100は、被覆、例えば銅被覆の形態で提供されてもよい。代替的には、複合材料100は、誘電体基板9と、導電性材料の第1の層21と、誘電体基板と導電性材料の第1の層との間の接着剤(例えばエポキシ)の層と、を備える形態で提供されてもよい。例えば接着剤は、10ミクロンから25ミクロンの厚さを有する。この多層構造の複合材料100は積層工程を経る。接着剤は、場合により、堆積される時に配合物内に存在する溶剤を除去するために、連続乾燥工程を経る。そのため、接着剤の層は、導電性材料の第1の層を誘電体基板9の第1の面10に固定可能にする。場合により、積層の後に、接着剤を熱硬化させる工程が続いてもよい。(基板の第1の主要面10と導電性材料の第1の層21との間に接着剤の層がない状態で)層状の複合材料を使用することは、以下で説明するリフロー工程中の接着剤の流れに関する問題を回避し得るため、かつチップ5を接続パッドに接続する工程中の接続ワイヤ17の接着に関する問題を回避し得るため、好ましい。
【0028】
有利なことに、この方法はまた、接着剤の層(この層は、上述のように潜在的にすでに堆積された層とは異なる)が、例えば基板9の第2の主要面11上に10ミクロンから25ミクロンの厚さで堆積される工程(図示せず)を含む。この接着剤(例えばエポキシ)の層はまた、場合により、堆積される時に配合物内に存在する溶剤を除去するために、連続乾燥工程を経る。
【0029】
したがって、複合材料100は、有利なことに、基板9の第1の主要面10上に導電性材料の第1の層21を担持しかつ基板9の第2の主要面11上に接着材料の層を担持する誘電体基板9を備える。そのように形成された複合材料100は続いて、接続ウェル18(
図6bを参照)およびドライブ穴22(
図3および
図4を参照)を形成するために穿孔工程を経る(当該工程は有利なことに機械的工程であるが、当該工程は任意選択的にはレーザー切断によって実施されてもよい)。接続ウェル18およびドライブ穴22は、複合材料100(基板9、導電性材料の第1の層21、基板と導電性材料の第1の層21との間の任意選択的な接着剤の層、および接着剤の別の層)を通過する。
【0030】
そうして穿孔された複合材料100は、導電性材料の第2の層23を用いた積層工程を経る。この導電性材料の第2の層23は、止まり穴を形成する(
図6cを参照)ように、複数の接続ウェル18うち少なくとも特定の接続ウェル18を塞ぐ。
【0031】
次に、フォトリソグラフィー工程が続き、それによって、接続パッド15、16および接続トラック14を第1の主要面10上に作成することができ、かつ接点13を第2の主要面11上に作成することができる。これらステップは、例えば、乾燥フォトレジストフィルムを、基板9の第1および第2の主要面10、11をカバーする導電性材料の第1および第2の層21、23に対して積層する工程と、これらフォトレジストフィルムをマスクを通して露光させる工程と、フォトレジストを現像する工程と、接続パッド15、16、接続トラック14または他の任意のパターンを形成するために導電性材料の第1および第2の層21、23の特定の領域をエッチングする工程と、を含む。
【0032】
代替的に、接続パッド15、16および接続トラック14は、誘電体基板9の第1の主要面10に対して接続パッド15、16を積層する前に、導電性材料の第1の層21を切り出すかまたはエッチングすることによって製造される(リードフレーム技術)。
【0033】
有利なことに、(例えば銅、ニッケル、金、パラジウム、銀またはそれらの合金の)金属層24を電着する工程が、基板9の第1および第2の主要面10、11の両方/いずれかにおいて実施される。これらの電着工程は、例えば、接続パッド15、16への接続ワイヤ17のはんだ付けを容易にすることを意図している。
【0034】
次に、はんだマスク20が、はんだ25を受け入れるよう意図された第2の接続パッド16の周りに堆積される(
図6eおよび
図6fを参照)。有利なことに、はんだマスク20は、感光性エポキシ材料(photo-imageable epoxy material)から作られる。これによって、特にオープンリール式で、第2の接続パッド16を取り囲むパターンをより正確に作成することができる。はんだマスク20は、13ミクロンから58ミクロンの厚さ、好ましくは38ミクロンに等しい厚さを有する。
【0035】
次に、はんだマスク20によって取り囲まれかつ電子部品7に接続されるよう意図された第2の接続パッド16上にはんだ25を堆積する工程が続く(
図6fおよび
図6gを参照)。例えば、はんだ25は、「SAC305」との名称で知られているスズ(96.5%)、銀(3%)および銅(0.5%)の合金で構成されており、その融点は約220℃である。はんだ25を堆積するこの工程は、例えば、接触分注によって、またはジェットによって、またはスクリーン印刷によって、またはピン転写によって実施される。電子部品7が小さなサイズのものである場合、部品の配置を実現可能にしかつ信頼できるようにするためにはんだ25の液滴のサイズは十分に小さくなければならないので、ジェットまたは接触分注による堆積は有利である。例えば、0201タイプまたは01005タイプの体系化された形式の部品の配置に関して、はんだ25の液滴の直径は200ミクロンを超えないことが望まれており、これは、スクリーン印刷を用いるよりもジェットまたは接触分注を用いてより容易に達成することができる。
【0036】
次に、1つ以上の電子部品7が、はんだ25の液滴が事前に堆積されている第2の接続パッド16上に堆積される(
図6gを参照)。1つ以上の電子部品7は例えば受動素子である。より具体的には、カード本体6内に存在しかつ第1のモジュール2に接続されているアンテナ回路の静電容量を一致させることができるコンデンサが論点となってもよい。例えば、そうした電子部品7は、0.4mmから1.0mmの全長を有しかつ、0.2mmから0.5mmの幅と0.2mmから0.5mmの高さとを有する、略平行六面体の形状を有する。これら平行六面体の各長手方向端部には、電子部品7の幅全体および高さ全体にわたって、かつこれら電子部品7の長さに対応する寸法の一部にわたって延在する導電性端子が形成されている。これら電子部品7は、ピックアンドプレース技術を使用して第2の接続パッド16上に配置される。一般的に、これらはんだ付け可能な電子部品7の実装は、ワイヤを使用して接続される電子部品7の実装と比べて低コストとなる。
図4には、接続パッド15の2つの領域26、27が示されている。第1の領域26では、2つの接続パッド15が、1つの電子部品7をそれらの間で接続することを目的として製造されている。第2の領域27には、2つの電子部品7を接続することを目的として、4つの接続パッド15が形成されている。したがって、必要に応じてさまざまな数の電子部品7を接続することができる。
【0037】
次に、事前に得られた回路は、第2の接続パッド16上に堆積されたはんだ25の液滴をリフローするために、温度プロファイルが250℃のピークを有するようにリフローされる。はんだマスク20は、リフロー工程中のはんだ25の液滴の広がりおよび高さを制御可能にする。
【0038】
次に、チップ5は、基板の第1の面上に堆積され、導電性ワイヤ17を使用して第2の接続パッド16に接続される。この接続は超音波によって達成される。
【0039】
次に、封入材料26(樹脂)が、チップ5およびワイヤ17を保護するために、チップ5およびワイヤ17上に堆積される。第1のモジュール2に過剰な厚さを追加しないために、封入材料26は、電子部品7上に堆積されなくてもよい。代替的には、封入材料26はまた、1つ以上の電子部品7上に堆積される。必要に応じて、第1のモジュール2を収容する必要のあるキャビティが、カード本体6においてより大きな深さまでフライス加工される。
【0040】
有利なことに、上述の工程すべては連続的にオープンリール式で実施される。
【0041】
上記説明では、チップ5を配置しかつ接続する工程は、電子部品7を配置しかつ接続する工程の後に実施される。一変形例によれば、これらの工程の順序は反対である。
【0042】
上記説明では、第1の導電性材料から作られた第1の層21またはフォイルが積層された誘電体材料で作られた基板9であって、当該基板9には接続ウェル18の穿孔後に導電性材料の第2の層23が基板に追加される基板9を備える複合材料100を提供するステップを含む方法が説明されている。代替的に、この方法は、誘電体基板またはキャリアを備える複合材料(図示せず)を提供するステップを含み、基板またはキャリアの各面には、導電性材料の第1および第2の層が積層される。次に、レーザービームを使用して、導電性材料の第1の層と基板とを通る接続ウェルが形成される。
【符号の説明】
【0043】
1 チップカード
2 第1のモジュール
3 コネクタ
4 第2のモジュール
5 集積回路
6 カード本体
7 電子部品
8 プリント回路基板
9 誘電体基板
10 第1の主要面
11 第2の主要面
12 導電性ランド
13 接点
14 接続トラック
15 第1の接続パッド
16 第2の接続パッド
17 接続ワイヤ
18 接続ウェル
19 接続ランド
20 マスク
21 第1の層
22 ドライブ穴
23 第2の層
24 金属層
26 第1の領域
27 第2の領域
100 複合材料
【外国語明細書】