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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022074174
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】回転角度検出装置及び回転シフタ
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/244 20060101AFI20220511BHJP
   G01D 5/245 20060101ALI20220511BHJP
   G01B 7/30 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
G01D5/244 K
G01D5/245 110L
G01B7/30 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2019050296
(22)【出願日】2019-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】菅原 大作
【テーマコード(参考)】
2F063
2F077
【Fターム(参考)】
2F063AA35
2F063BA30
2F063CA08
2F063DA01
2F063DA05
2F063GA52
2F063LA01
2F077AA03
2F077DD05
2F077JJ01
2F077JJ09
2F077JJ23
2F077TT21
2F077TT66
(57)【要約】      (修正有)
【課題】外乱による回転角度の誤検出を十分に抑制することができる回転角度検出装置及び回転シフタを提供する。
【解決手段】回転角度検出装置は、操作に伴って回転する回転部材110と、回転部材110の回転に伴って回転する第1の磁石121及び第2の磁石122と、第1の磁石121が発する第1の磁界の方向を検出する第1の磁気検出素子131と、第2の磁石122が発する第2の磁界の方向を検出する第2の磁気検出素子132と、第1の磁気検出素子131の検出結果及び第2の磁気検出素子132の検出結果に基づいて回転部材110の回転角度を特定する回転角度特定部142と、第1の磁気検出素子131の検出結果及び第2の磁気検出素子132の検出結果に基づいて外部からの磁気の侵入の判定を行う判定部141とを有し、第1の磁石121と第2の磁石122は同じ方向に同じ角度の回転をし、第1の磁界の向きと第2の磁界の向きとが逆向きである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作に伴って回転する回転部材と、
前記回転部材の回転に伴って回転する第1の磁石及び第2の磁石と、
前記第1の磁石が発する第1の磁界の方向を検出する第1の磁気検出素子と、
前記第2の磁石が発する第2の磁界の方向を検出する第2の磁気検出素子と、
前記第1の磁気検出素子の検出結果及び前記第2の磁気検出素子の検出結果に基づいて、前記回転部材の回転角度を特定する回転角度特定部と、
前記第1の磁気検出素子の検出結果及び前記第2の磁気検出素子の検出結果に基づいて、外部からの磁気の侵入の判定を行う判定部と、
を有し、
前記第1の磁石と前記第2の磁石とは、同じ方向に同じ角度の回転をし、
前記第1の磁界の向きと前記第2の磁界の向きとが逆向きであることを特徴とする回転角度検出装置。
【請求項2】
前記回転部材の回転を前記第1の磁石に伝達する第1のギアと、
前記回転部材の回転を前記第2の磁石に伝達する第2のギアと、
を有し、
前記第1のギアの歯の数と前記第2のギアの歯の数とが一致していることを特徴とする請求項1に記載の回転角度検出装置。
【請求項3】
前記第1のギアと前記第2のギアとの間に、奇数個の第3のギアが繋がっていることを請求項2に記載の回転角度検出装置。
【請求項4】
前記第1の磁気検出素子及び前記第2の磁気検出素子は磁気抵抗センサであることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項に記載の回転角度検出装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の回転角度検出装置と、
前記回転部材と一体に回転するシフトノブと、
を有し、
前記回転角度特定部により特定された前記回転部材の回転角度に応じて、前記シフトノブに入力されたシフトポジションを検出することを特徴とする回転シフタ。
【請求項6】
前記回転部材は前記第1の磁気検出素子及び前記第2の磁気検出素子に対して無制限に回転可能であり、
前記回転部材の回転可能な範囲を制限する制限機構を有することを特徴とする請求項5に記載の回転シフタ。
【請求項7】
前記回転部材は、前記シフトノブの回転に対する負荷を一定の周期で変化させるクリック機構を有し、
前記負荷の変化の周期と同一の周期で、前記シフトポジションが変化することを特徴とする請求項5又は6に記載の回転シフタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、回転角度検出装置及び回転シフタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、自動車等の車両に搭載される操作装置として、シフトノブによる回転操作によって、変速機のシフトチェンジを電気的に制御することが可能な回転シフタが知られている。回転シフタにおいては、回転操作の角度検出が行われる。
【0003】
例えば、特許文献1には、永久磁石及び磁気感応素子を用いて回転操作の角度を検出する回転角度検出センサにおいて、外乱の影響を抑制するためにシールドを設ける技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-47426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術によっても外乱による回転角度の誤検出を十分に抑制することができない。
【0006】
本開示は、外乱による回転角度の誤検出を十分に抑制することができる回転角度検出装置及び回転シフタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一形態によれば、操作に伴って回転する回転部材と、前記回転部材の回転に伴って回転する第1の磁石及び第2の磁石と、前記第1の磁石が発する第1の磁界の方向を検出する第1の磁気検出素子と、前記第2の磁石が発する第2の磁界の方向を検出する第2の磁気検出素子と、前記第1の磁気検出素子の検出結果及び前記第2の磁気検出素子の検出結果に基づいて、前記回転部材の回転角度を特定する回転角度特定部と、前記第1の磁気検出素子の検出結果及び前記第2の磁気検出素子の検出結果に基づいて、外部からの磁気の侵入の判定を行う判定部と、を有し、前記第1の磁石と前記第2の磁石とは、同じ方向に同じ角度の回転をし、前記第1の磁界の向きと前記第2の磁界の向きとが逆向きである回転角度検出装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、外乱による回転角度の誤検出を十分に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係る回転角度検出装置の構成を示す模式図である。
図2】第1の状態において、第1の磁気検出素子により検出される磁界の向きと、第2の磁気検出素子により検出される磁界の向きとを示す図である。
図3】第1の実施形態に係る回転角度検出装置の第2の状態を示す模式図である。
図4】第2の状態において、第1の磁気検出素子により検出される磁界の向きと、第2の磁気検出素子により検出される磁界の向きとを示す図である。
図5】角度θ1と角度θ2との関係を示す図である。
図6】第1の実施形態に係る回転角度検出装置の第3の状態を示す模式図である。
図7】第3の状態において、第1の磁気検出素子により検出される磁界の向きと、第2の磁気検出素子により検出される磁界の向きとを示す図である。
図8】演算部の構成を示すブロック図である。
図9】第1の実施形態における演算部による処理の内容を示すフローチャートである。
図10】参考例に係る回転角度検出装置の構成を示す模式図である。
図11】参考例の第3の状態において、第1の磁気検出素子により検出される磁界の向きと、第2の磁気検出素子により検出される磁界の向きとを示す図である。
図12】角度θ1と角度θ2と許容範囲との関係を示す図である。
図13】第1の実施形態の変形例における演算部による処理の内容を示すフローチャートである。
図14】第2の実施形態に係る回転シフタの外観を示す図である。
図15】第2の実施形態に係る回転シフタの内部の構成を示す斜視図である。
図16】第2の実施形態に係る回転シフタの内部の構成を示す分解斜視図である。
図17】第2の実施形態に係る回転シフタにおける、内歯車及びプランジャの関係を示す斜視図である。
図18】第2の実施形態に係る回転シフタにおける、第1の磁石、第2の磁石、第1の磁気検出素子及び第2の磁気検出素子の関係を示す斜視図である。
図19】第2の実施形態における演算部による処理の内容を示すフローチャートである。
図20】シフトポジションの検出処理に用いられる角度θ1と角度θ2と許容範囲との関係を示す図である。
図21】角度範囲とシフトポジションとの関係を示す模式図(その1)である。
図22】角度範囲とシフトポジションとの関係を示す模式図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について添付の図面を参照しながら具体的に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。また、本開示において、磁石の向きとは、当該磁石のN極からみてS極がある方向をいい、角度の単位は度(°)とする。
【0011】
(第1の実施形態)
先ず、第1の実施形態について説明する。第1の実施形態は回転角度検出装置に関する。図1は、第1の実施形態に係る回転角度検出装置の構成を示す模式図である。
【0012】
第1の実施形態においては、X11-X12方向、Y11-Y12方向、Z11-Z12方向を相互に直交する方向とする。また、X11-X12方向及びY11-Y12方向を含む面をXY面と記載し、Y11-Y12方向及びZ11-Z12方向を含む面をYZ面と記載し、Z11-Z12方向及びX11-X12方向を含む面をZX面と記載する。なお、便宜上、Z11-Z12方向を上下方向とする。また、平面視とは、Z11側から対象物を見ることをいう。また、特に断らない限り、回転の基準方向を回転中心からY11を向く方向とする。
【0013】
図1に示すように、回転角度検出装置100は、回転部材110、第1の磁石121、第2の磁石122、第1の磁気検出素子131、第2の磁気検出素子132及び演算部140を有する。演算部140は、判定部141及び回転角度特定部142を有する。
【0014】
回転部材110は、操作に伴ってXY平面内で回転する。第1の磁石121及び第2の磁石122は、回転部材110の回転に伴ってXY平面内で回転する。第1の磁石121の回転方向と第2の磁石の回転方向は同一である。また、回転部材110の回転に伴う、第1の磁石121の回転角度と第2の磁石122の回転角度とは等しい。例えば、第1の磁石121が時計回り(clockwise:CW)に角度θxの回転をすれば、第2の磁石122は時計回りに角度θxの回転をする。第1の磁気検出素子131は第1の磁石121が発する第1の磁界の方向を検出し、第2の磁気検出素子132は第2の磁石122が発する第2の磁界の方向を検出する。第1の磁気検出素子131及び第2の磁気検出素子132は、例えば磁気抵抗(magneto resistance:MR)センサである。第1の磁石121の向きと第2の磁石122の向きとは逆向きである。判定部141は、第1の磁気検出素子131の検出結果及び第2の磁気検出素子132の検出結果に基づいて、外部からの磁気の侵入、すなわち外乱の判定を行う。回転角度特定部142は、第1の磁気検出素子131の検出結果及び第2の磁気検出素子132の検出結果に基づいて、回転部材110の回転角度を特定する。
【0015】
ここで、回転角度検出装置100の具体的な動作について説明する。図2は、図1に示す回転角度検出装置100の状態の一例(第1の状態)において、第1の磁気検出素子131により検出される磁界の向きと、第2の磁気検出素子132により検出される磁界の向きとを示す図である。図3は、回転角度検出装置100の状態の他の一例(第2の状態)を示す模式図である。図4は、第2の状態において、第1の磁気検出素子131により検出される磁界の向きと、第2の磁気検出素子132により検出される磁界の向きとを示す図である。
【0016】
第1の状態では、第1の磁石121がY12方向を向き、第2の磁石122がY11方向を向いている。このとき、第1の磁石121が発する第1の磁界H11は、図2(a)に示すように、Y12の方向を向く。また、第2の磁石122が発する第2の磁界H21は、図2(b)に示すように、Y11の方向を向く。従って、第1の磁気検出素子131が第1の磁界H11を検出し、回転角度特定部142が、第1の磁石121の向きを示す、回転中心O1の周りの基準方向からの時計回りの角度θ1として、180°を検出する。また、第2の磁気検出素子132が第2の磁界H12を検出し、回転角度特定部142が、第2の磁石122の向きを示す、回転中心O2の周りの基準方向からの時計回りの角度θ2として、360°又は0°を検出する。
【0017】
図3に示すように、第1の状態から回転部材110が時計回りに回転すると、第1の磁石121及び第2の磁石122は反時計回り(counter-clockwise:CWC)に回転する。第1の磁石121及び第2の磁石122の反時計回りの回転角度をθrとする。このとき、第1の磁石121が発する第1の磁界H12は、図4(a)に示すように、Y12の方向から反時計回りにθr回転した方向を向く。また、第2の磁石122が発する第2の磁界H22は、図4(b)に示すように、Y11方向から反時計回りにθr回転した方向を向く。従って、第1の磁気検出素子131が第1の磁界H12を検出し、回転角度特定部142が、第1の磁石121の向きを示す、回転中心O1の周りの基準方向からの時計回りの角度θ1として、180°-θrを検出する。また、第2の磁気検出素子132が第2の磁界H22を検出し、回転角度特定部142が、第2の磁石122の向きを示す、回転中心O2の周りの基準方向からの時計回りの角度θ2として、360°-θr又は0°-θrを検出する。
【0018】
このように、回転部材110の回転角度の大きさに関係なく、第1の磁気検出素子131が検出する第1の磁界の向きと、第2の磁気検出素子132が検出する第2の磁界の向きとの間には、絶対値が180°のずれがある。図5は、角度θ1と角度θ2との関係を示す図である。角度θ1と角度θ2との間には、図5中の直線L1で示す関係が成り立つ。つまり、角度θ1と角度θ2との間には、|θ1-θ2|-180=0の関係が成り立つ。
【0019】
第2の状態において、回転角度検出装置100の周囲に外乱が発生すると、第1の磁気検出素子131による磁界の検出結果、及び第2の磁気検出素子132による磁界の検出結果に変化が生じる。図6は、外乱の影響を受ける回転角度検出装置100の状態の一例(第3の状態)を示す模式図である。図7は、第3の状態において、第1の磁気検出素子131により検出される磁界の向きと、第2の磁気検出素子132により検出される磁界の向きとを示す図である。
【0020】
図6に示すように、第2の状態において、X12の方向を向く磁界の外乱9が生じたとする。外乱9が生じると、第1の磁石121及び第2の磁石122は、外乱9の磁界の影響で回転しようとする。ところが、第1の磁石121の向きと第2の磁石122の向きとは逆向きであるため、第1の磁石121が回転しようとする方向と第2の磁石122が回転しようとする方向とは反対方向となる。すなわち、第1の磁石121が時計回りに回転しようとすれば、第2の磁石122は反時計回りに回転しようとし、第1の磁石121が反時計回りに回転しようとすれば、第2の磁石122は時計回りに回転しようとする。回転角度検出装置100においては、第1の磁石121及び第2の磁石122は、いずれも回転部材110の回転に伴ってXY平面内で同じ方向に回転するものである。このため、第1の磁石121及び第2の磁石122が互いに逆方向に回転しようとしても、回転部材110により拘束されて第1の磁石121及び第2の磁石122は回転することができない。
【0021】
その一方で、第1の磁気検出素子131の周囲の磁界H13は、磁界H12と外乱9の磁界H9とを合成した磁界となり、第2の磁気検出素子132の周囲の磁界H23は、磁界H22と外乱9の磁界H9とを合成した磁界となる。磁界H13の向きの磁界H12の向きからの時計回りの回転角度をθdとすると、磁界H23の向きの磁界H22の向きからの反時計回りの回転角度がθdとなる。すなわち、磁界H13の向きの磁界H12の向きからの回転と、磁界H23の向きの磁界H22の向きからの回転との間では、回転角度の大きさがθdで等しく、回転方向が逆向きとなる。このため、第1の磁気検出素子131の周囲の磁界H13は、図7(a)に示すように、Y12の方向から反時計回りにθr回転し、更に時計回りにθd回転した方向を向く。また、第2の磁気検出素子132の周囲の磁界H21は、図7(b)に示すように、Y11の方向から反時計回りにθr回転し、更に反時計回りにθd回転した方向を向く。従って、回転角度特定部142が、第1の磁石121の向きを示す、回転中心O1の周りの基準方向からの時計回りの角度θ1として、180°-θr+θdを検出する。また、回転角度特定部142が、第2の磁石122の向きを示す、回転中心O2の周りの基準方向からの時計回りの角度θ2として、360°-θr-θd又は0°-θr-θdを検出する。
【0022】
このように、外乱9が生じると、第1の磁気検出素子131により検出される磁界の向きと、第2の磁気検出素子132により検出される磁界の向きとの間のずれの絶対値が、180°から2×θdだけ小さくなる。例えば、角度θrが30°、角度θdが20°の場合、角度θ1は170°、θ2は310°又は-50°となり、図5中に点dに示すように、直線L1から外れてしまう。
【0023】
判定部141は、第1の磁気検出素子131の検出結果及び第2の磁気検出素子132の検出結果に基づいて、外部からの磁気の侵入の判定、例えば、回転角度検出装置100に外乱の影響が及んでいるか否かの判定を行う。
【0024】
ここで、判定部141及び回転角度特定部142を含む演算部140について説明する。図8は、演算部140の構成を示すブロック図である。
【0025】
演算部140は、CPU(Central Processing Unit)41、ROM(Read Only Memory)42、RAM(Random Access Memory)43及び補助記憶部44を備える。CPU41、ROM42、RAM43及び補助記憶部44は、いわゆるコンピュータを構成する。演算部140の各部は、バス45を介して相互に接続されている。
【0026】
CPU41は、補助記憶部44に格納された各種プログラム(例えば、回転角度特定プログラム及び外乱判定プログラム)を実行する。
【0027】
ROM42は不揮発性の主記憶デバイスである。ROM42は、補助記憶部44に格納された各種プログラムを、CPU41が実行するために必要な各種プログラム、データ等を格納する。具体的には、ROM42は、BIOS(Basic Input/Output System)やEFI(Extensible Firmware Interface)等のブートプログラムなどを格納する。
【0028】
RAM43は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)等の揮発性の主記憶デバイスである。RAM43は、補助記憶部44に格納された各種プログラムがCPU41によって実行される際に展開される作業領域として機能する。
【0029】
補助記憶部44は、CPU41により実行される各種プログラム及び各種プログラムがCPU41によって実行されることで生成される各種データを格納する補助記憶デバイスである。
【0030】
演算部140は、このようなハードウェア構成を備えており、次のような処理を行う。図9は、第1の実施形態における演算部140による処理の内容を示すフローチャートである。
【0031】
先ず、判定部141が、第1の磁気検出素子131及び第2の磁気検出素子132に故障があるか確認する(ステップS101)。
【0032】
第1の磁気検出素子131及び第2の磁気検出素子132に故障があれば(ステップS101のYes)、故障検出処理を行い(ステップS110)、処理を終了する。故障検出処理としては、例えば、エラーコードを生成し、発光ダイオード(light emitting diode:LED)等の発光装置を用いた報知、又はブザー等の音響装置を用いた報知を行う。発光装置を用いた報知及び音響装置を用いた報知の両方を行ってもよい。
【0033】
第1の磁気検出素子131及び第2の磁気検出素子132に故障がなければ(ステップS101のNo)、||θ1-θ2|-180|>0となっているか否かの判定を行う(ステップS102)。
【0034】
||θ1-θ2|-180|>0となっていれば(ステップS102のYes)、外乱検出処理を行い(ステップS120)、処理を終了する。外乱検出処理としては、例えば、エラーコードを生成し、LED等の発光装置を用いた報知、又はブザー等の音響装置を用いた報知を行う。発光装置を用いた報知及び音響装置を用いた報知の両方を行ってもよい。
【0035】
||θ1-θ2|-180|>0となっていなければ(ステップS102のNo)、すなわち、|θ1-θ2|-180=0となっていれば、回転角度特定部142が角度θ1及び角度θ2に基づいて回転部材110の回転角度を特定し(ステップS103)、処理を終了する。
【0036】
第1の実施形態によれば、外部からの磁気の侵入があった場合に、外乱が生じたことを高精度に検出することができる。従って、外乱に伴う回転角度の誤検出を抑制することができる。
【0037】
ここで、参考例について説明する。図10は、参考例に係る回転角度検出装置の構成を示す模式図である。この参考例に係る回転角度検出装置900では、第2の磁石122の向きが第1の磁石121の向きと一致している。他の構成は第1の実施形態と同様である。なお、図10には、回転部材110の回転に伴って第1の磁石121及び第2の磁石122が反時計回りに角度θr回転した上で、X12の方向を向く磁界の外乱9が生じた状態(参考例の第3の状態)を示している(図6参照)。
【0038】
図11は、参考例の第3の状態において、第1の磁気検出素子131により検出される磁界の向きと、第2の磁気検出素子132により検出される磁界の向きとを示す図である。
【0039】
第1の実施形態と同様に、第1の磁気検出素子131の周囲の磁界H13は、図11(a)に示すように、磁界H12と外乱9の磁界H9とを合成した磁界となり、第2の磁気検出素子132の周囲の磁界H23は、図11(b)に示すように、磁界H22と外乱9の磁界H9とを合成した磁界となる。但し、第1の実施形態とは異なり、磁界H13の向きの磁界H12の向きからの回転と、磁界H23の向きの磁界H22の向きからの回転との間では、回転角度の大きさがθdで等しく、回転方向が同じ向きとなる。従って、回転角度特定部142が、第1の磁石121の向きを示す、回転中心O1の周りの基準方向からの時計回りの角度θ1として、180°-θr+θdを検出する。また、回転角度特定部142も、第2の磁石122の向きを示す、回転中心O2の周りの基準方向からの時計回りの角度θ2として、180°-θr+θdを検出する。
【0040】
なお、外乱9が発生していない場合、回転角度特定部142は、第1の磁石121の向きを示す、回転中心O1の周りの基準方向からの時計回りの角度θ1として、180°-θrを検出し、第2の磁石122の向きを示す、回転中心O2の周りの基準方向からの時計回りの角度θ2として、180°-θrを検出する。
【0041】
このため、判定部141は、回転部材110に角度θ1及び角度θ2が180°-θr+θdとなる回転操作が行われたのか、回転部材110に角度θ1及び角度θ2が180°-θrとなる回転操作が行われた上で、外乱9の影響を受けているのかを区別することができない。つまり、この参考例は、回転部材110に角度θ1及び角度θ2が180°-θrとなる回転操作が行われた上で、外乱9の影響を受けている状態を、回転部材110に角度θ1及び角度θ2が180°-θr+θdとなる回転操作が行われたと誤検出する可能性がある。
【0042】
(第1の実施形態の変形例)
第1の実施形態では、||θ1-θ2|-180|>0となっているか否かに応じて外乱の影響の有無の判定を行っているが、第1の磁石121、第2の磁石122、第1の磁気検出素子131及び第2の磁気検出素子132が、組み立て誤差や製造誤差を含む可能性がある。また、回転角度検出装置100の用途によっては、若干の外乱を許容できる場合もある。そこで、厳密な||θ1-θ2|-180|>0に基づく判定に代えて、閾値θthを用いて、外乱の影響がないと判定する許容範囲を広げてもよい。
【0043】
図12は、角度θ1と角度θ2と許容範囲との関係を示す図である。例えば、図12に示すように、直線L1(|θ1-θ2|-180=0)を中心にした許容範囲R1を設定し、この許容範囲R1内にあれば、外乱の影響がないと判定してもよい。このような処理を行う判定部141を含む演算部140の処理の内容を図13に示す。図13は、第1の実施形態の変形例における演算部140による処理の内容を示すフローチャートである。
【0044】
この変形例では、図13に示すように、判定部141が、第1の磁気検出素子131及び第2の磁気検出素子132に故障がなければ、ステップS102の判定に代えて、||θ1-θ2|-180|>θthとなっているか否かの判定を行う(ステップS102A)。そして、||θ1-θ2|-180|>θthとなっていれば(ステップS102AのYes)、外乱検出処理を行う(ステップS120)。一方、||θ1-θ2|-180|>0となっていなければ(ステップS102AのNo)、回転角度特定部142が角度θ1及び角度θ2に基づいて回転部材110の回転角度を特定する(ステップS103)。他の構成は第1の実施形態と同様である。
【0045】
この変形例によっても、外部からの磁気の侵入があった場合に、外乱が生じたことを高精度に検出することができる。従って、外乱に伴う回転角度の誤検出を抑制することができる。
【0046】
なお、回転部材110の回転方向と、第1の磁石121及び第2の磁石122の回転方向との関係は限定されず、逆方向でも同方向でもよい。また、第1の磁石121の向きと第2の磁石122の向きとの間の「逆向き」とは、厳密な意味での逆向きを意味するものではなく、社会通念上、逆向きとみなすことができる程度に類似していればよく、厳密に逆向きでなくても、外乱による回転角度の誤検出の抑制という効果が得られる。
【0047】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、回転角度検出装置を備えた回転シフタに関する。図14は、第2の実施形態に係る回転シフタの外観を示す図である。図15は、第2の実施形態に係る回転シフタの内部の構成を示す斜視図である。図16は、第2の実施形態に係る回転シフタの内部の構成を示す分解斜視図である。図17は、第2の実施形態に係る回転シフタにおける、内歯車及びプランジャの関係を示す斜視図である。図18は、第2の実施形態に係る回転シフタにおける、第1の磁石、第2の磁石、第1の磁気検出素子及び第2の磁気検出素子の関係を示す斜視図である。
【0048】
第2の実施形態においては、X21-X22方向、Y21-Y22方向、Z21-Z22方向を相互に直交する方向とする。また、X21-X22方向及びY21-Y22方向を含む面をXY面と記載し、Y21-Y22方向及びZ21-Z22方向を含む面をYZ面と記載し、Z21-Z22方向及びX21-X22方向を含む面をZX面と記載する。なお、便宜上、Z21-Z22方向を上下方向とする。また、平面視とは、Z21側から対象物を見ることをいう。また、特に断らない限り、回転の基準方向を回転中心からY21を向く方向とする。
【0049】
第2の実施形態に係る回転シフタ200は、自動車等の車両の車内において、運転席の近傍に設置される回転シフタであって、車両に搭載された変速機のシフトチェンジを電気的に制御するための回転シフタである。回転シフタ200は、変速機を機械的に制御するものではなく、シフト操作に応じた制御信号を外部に出力することによって変速機を電気的に制御する、いわゆるシフトバイワイヤ方式を採用している。
【0050】
なお、回転シフタ200は、変速機のシフトチェンジ以外の目的に用いられてよく、車両以外の機器(例えば、航空機、鉄道車両、ゲーム機、リモコン等)に用いられてもよい。また、回転シフタ200は、実際には、シフト操作に応じた電気信号を出力するための電気的な構成を有しているが、本実施形態では、この電気的な構成についての図示及び説明を省略することとする。
【0051】
回転シフタ200は、直方体状を有するケース201と、ケース201の上面から突出した円柱状のシフトノブ211とを有する。シフトノブ211は、XY平面内で、時計回り及び反時計回りに回転操作することができる。
【0052】
回転シフタ200は、シフトノブ211による回転操作により、変速機のシフトポジションを、複数のシフトポジション(例えば、P、R、N、D、S等)のいずれかに切り替えることが可能である。Pはパーキング、Rはリア、Nはニュートラル、Dはドライブ、Sはセカンドである。ケース201の上面に、変速機のシフトポジションがどのシフトポジションに設定されているかを示す表示部202が設けられている。
【0053】
回転シフタ200は、内歯車212と、外歯車213と、シャフト214と、第1のギア261と、第2のギア262と、アイドルギア217と、プランジャ218とを有する。内歯車212は回転部材の一例である。
【0054】
内歯車212はシフトノブ211の内側に設けられ、シフトノブ211の回転操作に追随して、シフトノブ211と同方向に同角度回転する。逆の見方をすると、シフトノブ211は内歯車212と一体に回転する。内歯車212は複数の内歯212Aを有する。外歯車213は内歯212Aと噛み合う複数の外歯213Aを有する。外歯213Aの数は内歯212Aの数よりも少ない。例えば、内歯車212が30°回転するごとに、外歯車213が60°回転するように、内歯212Aの数及び外歯213Aの数が設定されている。また、内歯車212の回転軸と外歯車213の回転軸は互いからずれている。後述の電磁ブレーキが作動しない状態では、内歯車212は時計回り及び反時計回りに無制限に回転可能である。
【0055】
内歯車212の内周面で内歯212Aの上方に、内周面に沿って複数の谷部212B及びカム山212Cが交互に形成されている。本実施形態では、回転方向の30°毎(「一定の周期」の一例)に合計で12個の谷部212B及びカム山212Cが形成されている。プランジャ218は、先端が谷部212Bに入り込む2個の柱状部材218Aと、2個の柱状部材218Aを繋ぐコイルばね218Bとを有する。2個の柱状部材218AはXY平面内の一方向に延在し、2個の柱状部材218Aの間でコイルばね218Bが圧縮されている。2個の柱状部材218Aは、内歯車212の回転中心を挟んで対向する2個の谷部212Bに向けて付勢されている。プランジャ218はケース201に固定されており、内歯車212が回転しても回転しない。
【0056】
従って、シフトノブ211の回転操作に伴って内歯車212が回転すると、プランジャ218は伸縮を繰り返す。すなわち、プランジャ218は、柱状部材218Aの先端が当接する部分が谷部212Bからカム山212Cの頂部に至るまでの間は徐々に圧縮され、柱状部材218Aの先端が当接する部分がカム山212Cの頂部を越えると、コイルばね218Bの弾性復帰力により外側方向へ伸張する。プランジャ218はこのような動作を繰り返す。
【0057】
プランジャ218が徐々に圧縮されると、シフトノブ211の回転操作に対する負荷が徐々に増加する。その一方で、プランジャ218が伸張すると、プランジャ218はシフトノブ211の回転を付勢しつつ、谷部212Bに滑り込む。このとき、シフトノブ211の回転操作に対する負荷は、急激に減少する。そして、プランジャ218は、谷部212Bの底に達すると、シフトノブ211の回転を急停止させる。
【0058】
このような構成により、シフトノブ211の回転操作に対する負荷が変化し、シフトノブ211の回転操作に対して操作感(いわゆるクリック感)が付与される。また、シフトノブ211の回転操作が終了すると、シフトノブ211の回転方向の位置は、いずれかの谷部212Bにプランジャ218が入り込む位置に保持される。内歯車212及びプランジャ218がクリック機構219に含まれる。
【0059】
シャフト214は外歯車213の下面の中央に取り付けられ、また、第1のギア261に連結されており、外歯車213の回転を第1のギア261に伝達する。
【0060】
第1のギア261、第2のギア262及びアイドルギア217はXY平面内で回転する。第1のギア261の回転方向と第2のギア262の回転方向とが互いに一致し、アイドルギア217の回転方向は、第1のギア261及び第2のギア262の回転方向とは逆方向である。アイドルギア217は、第1のギア261の歯215A及び第2のギア262の歯216Aと噛み合う歯217Aを有しており、第1のギア261の回転がアイドルギア217を介して第2のギア262に伝達される。第1のギア261の歯215Aの数と第2のギア262の歯216Aの数とが互いに一致している。アイドルギア217は第3のギアの一例である。第3のギアの数は奇数個であれば3以上であってもよい。また、第3のギアのいずれかにシャフト214が連結されていてもよい。
【0061】
回転シフタ200は、更に、第1の磁石221と、第2の磁石222と、第1の磁気検出素子231と、第2の磁気検出素子232と、半導体チップ240と、プリント配線基板250とを有する。
【0062】
第1の磁石221は、第1のギア261に取り付けられている。第2の磁石222は、第2のギア262に取り付けられている。第1の磁石221の向きと第2の磁石222の向きとは逆向きである。第1の磁気検出素子231は第1の磁石221が発する第1の磁界の方向を検出し、第2の磁気検出素子232は第2の磁石222が発する第2の磁界の方向を検出する。第1の磁気検出素子231及び第2の磁気検出素子232は、例えばMRセンサである。
【0063】
半導体チップ240は、第1の実施形態の演算部140と同様の演算部を含む。すなわち、半導体チップ240内の演算部は、第1の磁気検出素子231の検出結果及び第2の磁気検出素子232の検出結果に基づいて、内歯車212の回転角度を特定する回転角度特定部を含む。半導体チップ240内の演算部は、更に、第1の磁気検出素子231の検出結果及び第2の磁気検出素子232の検出結果に基づいて、外部からの磁気の侵入、すなわち外乱の判定を行う判定部を含む。第1の磁気検出素子231、第2の磁気検出素子232及び半導体チップ240はプリント配線基板250の上面に設けられている。
【0064】
ここで、半導体チップ240に含まれる演算部による処理の内容について説明する。図19は、第2の実施形態における演算部による処理の内容を示すフローチャートである。
【0065】
先ず、判定部が、第1の磁気検出素子231及び第2の磁気検出素子232に故障があるか確認する(ステップS201)。
【0066】
第1の磁気検出素子231及び第2の磁気検出素子232に故障があれば(ステップS201のYes)、故障検出処理を行う(ステップS210)。
【0067】
第1の磁気検出素子231及び第2の磁気検出素子232に故障がなければ(ステップS201のNo)、||θ1-θ2|-180|>θthとなっているか否かの判定を行う(ステップS202)。
【0068】
||θ1-θ2|-180|>θthとなっていれば(ステップS201のYes)、外乱検出処理を行う(ステップS220)。
【0069】
||θ1-θ2|-180|>θthとなっていなければ(ステップS201のNo)、回転角度特定部が角度θ1及び角度θ2に基づいて内歯車212及びシフトノブ211の回転角度を特定し、シフトノブ211に入力されているシフトポジションを検出する(ステップS203)。シフトポジションの検出処理の詳細については後述する。
【0070】
次いで、ステップS203で検出したシフトポジションが、直近に検出したシフトポジションから変化しているか否かの判定を行う(ステップS204)。
【0071】
シフトポジションが変化していなければ(ステップS204のNo)、そのまま処理を終了する。一方、シフトポジションが変化していれば(ステップS204のYes)、変速機のシフトポジションを変化後の新たなシフトポジションに更新する旨の出力を行い(ステップS205)、処理を終了する。
【0072】
ここで、第2の実施形態における、シフトポジションの検出処理について説明する。図20は、シフトポジションの検出処理に用いられる角度θ1と角度θ2と許容範囲との関係を示す図である。
【0073】
図20に示すように、許容範囲R1内に、シフトポジションに応じて角度範囲11、12、13、14、15及び16が設定されている。例えば、角度範囲11はPのシフトポジションに割り当てられ、角度範囲12はRのシフトポジションに割り当てられ、角度範囲13はNのシフトポジションに割り当てられ、角度範囲14はDのシフトポジションに割り当てられ、角度範囲15はSのシフトポジションに割り当てられている。角度範囲16には、いずれのシフトポジションも割り当てられていない。角度範囲11は、例えば、50°≦θ1≦70°、230°≦θ2≦250°の範囲である。角度範囲12は、例えば、110°≦θ1≦130°、290°≦θ2≦310°の範囲である。角度範囲13は、例えば、170°≦θ1≦190°、350°≦θ2≦370°(10°)の範囲である。角度範囲14は、例えば、230°≦θ1≦250°、50°≦θ2≦70°の範囲である。角度範囲15は、例えば、290°≦θ1≦310°、110°≦θ2≦130°の範囲である。角度範囲16は、例えば、350°≦θ1≦370°(10°)、170°≦θ2≦190°の範囲である。許容範囲R1内で角度範囲11~16から外れる範囲は、例えば、プランジャ218がカム山212Cの頂点の近くに当接している範囲であり、この範囲内でシフトノブ211の位置が安定することはなく、シフトポジションが割り当てられていない。
【0074】
回転シフタ200には、外歯車213の回転範囲を制限する電磁ブレーキ(図示せず)が設けられており、内歯車212及びシフトノブ211の回転可能な範囲が制限されている。例えば、PのシフトポジションからNとは反対側への回転(例えば反時計回りの回転)が制限され、SのシフトポジションからDとは反対側への回転(例えば時計回りの回転)が制限されている。この場合、角度θ1と角度θ2との組み合わせが角度範囲16に遷移することが避けられる。また、外歯213Aの数が内歯212Aの数より少ないため、内歯車212及びシフトノブ211の回転を小さい電流で強固に拘束することができる。電磁ブレーキは制限機構の一例である。
【0075】
第2の実施形態では、上記のように、内歯車212が30°回転するごとに、外歯車213が60°回転する。従って、プランジャ218が入り込む谷部212Bが一つ遷移するたびに、第1のギア261及び第2のギア262が60°回転し、第1の磁石221及び第2の磁石222もXY平面内で60°回転する。このため、角度θ1と角度θ2との組み合わせも、角度範囲11~16の間で一つ遷移する。例えば、シフトポジションがパーキング(P)にある状態で、シフトノブ211が時計回りに90°回転操作されると、角度θ1と角度θ2との組み合わせが角度範囲11から角度範囲14へと遷移し、シフトポジションがドライブ(D)となったことを検出できる。
【0076】
第2の実施形態によれば、外部からの磁気の侵入があった場合に、外乱が生じたことを高精度に検出することができる。従って、外乱に伴うシフトチェンジの誤検出を抑制することができる。
【0077】
また、電磁ブレーキを用いて、プランジャ218が谷部212Bに収まり、シフトノブ211の位置が安定する範囲内で、シフトノブ211の回転方向の任意の位置にシフトポジションを割り当てることができる。例えば、図21に示すように、初期状態では、角度範囲11はPのシフトポジションに割り当てられ、角度範囲12はRのシフトポジションに割り当てられ、角度範囲13はNのシフトポジションに割り当てられ、角度範囲14はDのシフトポジションに割り当てられ、角度範囲15はSのシフトポジションに割り当てられることとする。この初期状態では、X22の方向から-60°~+60°の範囲21内にシフトノブ211の回転可能な範囲が制限される。
【0078】
その後、運転手がシフトノブ211のシフトポジションをPに戻さず、シフトポジションがDにある状態で回転シフタ200の電源を切ったとする。つまり、角度θ1と角度θ2との組み合わせが角度範囲14にある状態で電源が切られたとする。このまま、電源が投入されてシフトポジションがDであると回転シフタ200が出力すると、変速機のシフトポジションがDとなり、自動車が発進するおそれがある。
【0079】
しかし、図22に示すように、電源が投入されたときに、シフトポジションがPであると回転シフタ200が出力すれば、変速機のシフトポジションがPとなり、自動車の発進を防止することができる。この場合、電磁ブレーキにより、Y21の方向から-60°~+60°の範囲22内にシフトノブ211の回転可能な範囲が制限される。
【0080】
電磁ブレーキを用いることで、このように、シフトノブ211及び内歯車212の回転可能な範囲を任意に変更することができる。
【0081】
回転シフタ200がこのような処理を行うことで、運転手は、シフトポジションをPに移動させずに電源を切った場合でも、次に電源を投入したときには、Pのシフトポジションから回転シフタ200を起動することができる。また、シフトノブ211の回転可能な範囲が変更されたとしても、実際のシフトポジションは表示部202に表示されるため、運転手はどの角度範囲がどのシフトポジションに対応しているかを認識する必要はない。
【0082】
なお、第1の磁気検出素子及び第2の磁気検出素子として、ホール素子を用いることもできる。
【0083】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0084】
9 外乱
100 回転角度検出装置
110 回転部材
121、221 第1の磁石
122、222 第2の磁石
131、231 第1の磁気検出素子
132、232 第2の磁気検出素子
140 演算部
141 判定部
142 回転角度特定部
200 回転シフタ
201 ケース
202 表示部
211 シフトノブ
212 内歯車
213 外歯車
218 プランジャ
261 第1のギア
262 第2のギア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22