(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022074201
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】衣類密封用袋、衣類密封体及び衣類密封方法
(51)【国際特許分類】
B65D 85/18 20060101AFI20220511BHJP
【FI】
B65D85/18 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020184047
(22)【出願日】2020-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】593085417
【氏名又は名称】株式会社オンワードホールディングス
(71)【出願人】
【識別番号】000106715
【氏名又は名称】ザ・パック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小河原 弘晴
(72)【発明者】
【氏名】堀川 卓哉
【テーマコード(参考)】
3E068
【Fターム(参考)】
3E068AA13
3E068AA15
3E068AB02
3E068CC22
3E068CE02
3E068CE03
3E068EE40
(57)【要約】
【課題】二酸化炭素排出量を削減することができる衣類密封用袋、衣類密封体及び衣類密封方法を提供する。
【解決手段】
衣類密封用袋200は、衣類Cを密封する際に外面側に配置される表層101と、衣類Cを密封する際に内面側に配置される裏層102と、を備え、表層101は紙で形成され、裏層102は熱可塑性樹脂によって形成されている。また、衣類密封体300は、衣類密封用袋200によって、圧縮された衣類Cが密封されていることを特徴とする。また、衣類密封方法は、衣類密封用袋200により衣類Cを覆う被覆工程と、衣類Cを圧縮する圧縮工程と、圧縮工程において圧縮された状態で衣類Cを密封する密封工程と、を含むことを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類を密封する際に外面側に配置される表層と、
衣類を密封する際に内面側に配置される裏層と、
を備え、
前記表層は紙で形成され、
前記裏層は熱可塑性樹脂によって形成されていることを特徴とする衣類密封用袋。
【請求項2】
前記表層は、上質紙で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の衣類密封用袋。
【請求項3】
前記表層の坪量は、50.0g/m2以上、127.9g/m2以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の衣類密封用袋。
【請求項4】
前記裏層は、ポリエチレンで形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の衣類密封用袋。
【請求項5】
前記裏層の厚さは、20μm以上、60μm以下であることを特徴とする請求項4に記載の衣類密封用袋。
【請求項6】
前記表層と、前記裏層との間に位置する中間層を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の衣類密封用袋。
【請求項7】
前記中間層は、ナイロンで形成されていることを特徴とする請求項6に記載の衣類密封用袋。
【請求項8】
前記中間層の厚さは、15μm以上、25μm以下であることを特徴とする請求項7に記載の衣類密封用袋。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の衣類密封用袋によって、圧縮された衣類が密封されていることを特徴とする衣類密封体。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか一項に記載の衣類密封用袋により衣類を覆う被覆工程と、
前記衣類を圧縮する圧縮工程と、
前記衣類を密封する密封工程と、
を含むことを特徴とする衣類密封方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類密封用袋、衣類密封体及び衣類密封方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
衣類は、その重量に対する体積が大きいことから、そのままの状態で輸送すると、徒に積載量が増加し、輸送コストがかさむこととなる。そこで、衣類を圧縮の上密封することで、その体積を小さくし、輸送コストを削減することを目的とした装置が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】ヤマトミシン製造株式会社ホームページ、[令和2年5月28日検索]、インターネット<URL:https://www.yamato-sewing.com/ja/product/pack_runner/pack-runner/>、ホーム/製品案内/風合い圧縮パックアパレル物流システム/パックランナー
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような装置において衣類を密封するために使用する袋としては、ヒートシールにより衣類を密封することを可能とするため、従来、全体がポリエチレン等のいわゆるプラスチック材料により形成された袋が用いられていた。
しかしながら、近年、環境意識が高まり、二酸化炭素排出量の削減が重要となっている点に鑑みると、燃焼時の二酸化炭素の排出量が多いこのような袋の使用は好ましくなかった。
【0005】
本発明の課題は、二酸化炭素排出量を削減することができる衣類密封用袋、衣類密封体及び衣類密封方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、衣類密封用袋において、
衣類を密封する際に外面側に配置される表層と、
衣類を密封する際に内面側に配置される裏層と、
を備え、
前記表層は紙で形成され、
前記裏層は熱可塑性樹脂で形成されていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の衣類密封用袋において、
前記表層は、上質紙で形成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の衣類密封用袋において、
前記表層の坪量は、50.0g/m2以上、127.9g/m2以下であることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の衣類密封用袋において、
前記裏層は、ポリエチレンで形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の衣類密封用袋において、
前記裏層の厚さは、20μm以上、60μm以下であることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の衣類密封用袋において、
前記表層と、前記裏層との間に位置する中間層を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の衣類密封用袋において、
前記中間層は、ナイロンで形成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の衣類密封用袋において、
前記中間層の厚さは、15μm以上、25μm以下であることを特徴とする。
【0014】
請求項9に記載の発明は、衣類密封体において、
請求項1から8のいずれか一項に記載の衣類密封用袋によって、圧縮された衣類が密封されていることを特徴とする。
【0015】
請求項10に記載の発明は、衣類密封方法において、
請求項1から8のいずれか一項に記載の衣類密封用袋を用いて衣類を覆う被覆工程と、
前記衣類を圧縮する圧縮工程と、
前記衣類を密封する密封工程と、
を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、二酸化炭素排出量を削減することができる衣類密封用袋、衣類密封体及び衣類密封方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態に係る衣類密封用シートの斜視図である。
【
図3】実施形態に係る衣類密封用袋の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、
図1から
図4に基づいて説明する。ただし、本発明の技術的範囲は図示例に限定されるものではなく、以下説明する実施の形態には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更を加えることが可能である。
【0019】
[1 実施形態の構成]
まず、実施形態に係る衣類密封用シート100、衣類密封用袋200及び衣類密封体300の構成について説明する。
【0020】
[(1) 衣類密封用シート]
衣類密封用シート100は、衣類密封用袋200を作製するために用いられるシート状の部材であり、
図1に示すように、平面視矩形状に形成され、
図2に示すように、シートの表面に位置する表層101と、シートの裏面に位置する裏層102と、表層101と裏層102との間に位置する中間層103と、を備える。
【0021】
[a 表層]
表層101は、衣類密封用シート100の表面、すなわち、後述のように衣類密封用袋200を用いて衣類を密封する際に、衣類密封用袋200の外面側(衣類の密封時において衣類が存在するのと反対側の外部空間側)に配置される面に位置する層であり、紙によって形成されている。
表層101を構成する紙としては、上質紙、すなわち、化学パルプの配合率が100%の洋紙を使用することが好ましく、例えば、坪量が52.3g/m2のもの、64.0g/m2のもの、81.4g/m2のもの、104.7g/m2のもの、127.9g/m2のものを使用することができるが、強度を維持しつつ極力薄くするため、50.0g/m2以上のものを使用することが好ましく、52.3g/m2のものを使用することが最も好ましい。なお、坪量は、JIS P 8124:2011に従って測定した値をいう。
【0022】
[b 裏層]
裏層102は、衣類密封用シート100の裏面、すなわち、後述のように衣類密封用袋200を用いて衣類を密封する際に、衣類密封用袋200の内面側(衣類の密封時において衣類が存在する側)に配置される面に位置する層である。
裏層102は、ポリエチレン、具体的にはLLDPE(Linear Low Density Polyethylene、直鎖状低密度ポリエチレン)を用いて形成されている。ポリエチレンは、表層を構成する紙と比較して、気密性が高く、かつ融点が低いことから、裏層102をポリエチレンを用いて形成することによって、後述のようにヒートシールにより衣類を密封することが可能となる。
また、裏層102の厚さは、20μm以上、130μm以下であればよいが、強度を維持しつつ極力薄くするため、20μm以上、60μm以下であることが好ましく、20μm以上、30μm以下であることがさらに好ましい。
【0023】
裏層102の材料としては、必ずしもポリエチレンには限られず、後述のようにヒートシールにより溶着させて衣類を密封することができるものであれば、その他の熱可塑性樹脂を用いることも可能であり、ポリエチレンの他には、例えば、CPP(無延伸ポリプロピレン)等の材料を用いることができる。ただし、シートの強度の観点からはポリエチレンを使用することが好ましい。
【0024】
[c 中間層]
中間層103は、表層101と、裏層102との間に位置する層である。
中間層103は、ナイロンを用いて形成されている。ナイロンは、融点が高くヒートシールが困難であるものの、ポリエチレンよりも強度、具体的には突刺し強さ(JIS Z 1707:2019)に優れることから、衣類密封用シート100が中間層103を備えることによって、密封後の輸送中等に衣類密封用シート100が破れるリスクを低減できる。
また、中間層103を構成するナイロンシートとしては、例えば、厚さが15μmのもの、18μmのもの、25μmのものを使用することができるが、強度を維持しつつ極力薄くするため、15μmのものを使用することが最も好ましい。
【0025】
中間層103の材料としては、必ずしもナイロンには限られないが、裏層102に使用されるポリエチレンよりも強度(突刺し強さ)に優れた合成樹脂であることが好ましく、ナイロンの他には、例えば、OPP(二軸延伸ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の材料を用いることができる。ただし、ナイロンを使用することが最も好ましい。
【0026】
[d 製造方法]
表層101としての上質紙に、中間層103としてのナイロンフィルムを、接着剤を用いて貼付した後、表層101に接着された中間層103に、裏層102としてのポリエチレンフィルムを、接着剤を用いて貼付する。接着剤としては、例えば、DICグラフィックス株式会社製の主剤LX―500及び硬化剤KR―90Sを用いることができる。
【0027】
[(2) 衣類密封用袋]
実施形態に係る衣類密封用袋200は、衣類密封用シート100によって形成された袋であり、
図3に示すように、2枚の矩形状の衣類密封用シート100を、衣類密封用袋200の内面側(衣類の密封時において衣類が存在する側)において裏層102同士が対向し、表層101が衣類密封用袋200の外面側(衣類の密封時において衣類が存在するのと反対側の外部空間側)に向くように配置した上で、3辺において裏層102同士をヒートシールによって溶着させ、衣類密封用シート100の裏層102同士が溶着した溶着部202とすることによって、一辺が開口部201となり、上衣を畳むことなく収納できる程度の大きさとなるように形成されている。
なお、一枚の衣類密封用シート100を折り畳むようにして衣類密封用袋200を形成してもよい。
【0028】
[(3) 衣類密封体]
実施形態に係る衣類密封体300は、
図4に示すように、衣類密封用袋200に衣類Cが収納されたものである。
衣類密封体300内の衣類Cは、衣類密封用袋200内の空気を抜くことにより圧縮されている。また、衣類密封用袋200の開口部201は、対向する衣類密封用シート100の裏層102同士を溶着させ、密封時溶着部203とすることによって閉塞されており、衣類Cは圧縮された状態で密封されている。
【0029】
[2 衣類の密封方法の説明]
続いて、実施形態に係る衣類密封用袋200を用い衣類Cを密封し、
図4に示す衣類密封体300とする際の手順について説明する。
【0030】
[(1) 乾燥工程]
衣類密封用袋200を用いて密封する衣類Cに、所定の乾燥装置を用いて熱乾燥処理を施す。この際の乾燥温度及び乾燥時間は、衣類の生地の材質等に応じて適宜設定される。
【0031】
[(2) 袋入れ工程]
乾燥工程において乾燥させた衣類Cに衣類密封用袋200を被せる。この際には、衣類Cにつき、梱包する際の状態となるように形状を整えた後、開口部201から衣類密封用袋200内に挿入するようにして、衣類密封用袋200を被せることとなる。
【0032】
[(3) 圧縮工程]
衣類密封用袋200が被せられた状態の衣類Cを、例えば非特許文献1に記載されているような所定の装置に投入し、衣類密封用袋200内の空気を抜いて、衣類Cを圧縮する。
【0033】
[(4) 密封工程]
圧縮工程と同様の装置を用いて、衣類密封用袋200の開口部201が形成されていた一辺をヒートシールにより溶着させ、衣類密封用シート100の裏層102同士が溶着した密封時溶着部203とすることによって、開口部201を閉塞し、
図4に示すように、圧縮工程において圧縮された状態で衣類Cを密封する。
【0034】
上記過程を経ることで、衣類密封用袋200を用いて、衣類Cを圧縮された状態で密封することができる。なお、密封後は、密封された衣類Cを衣類密封用袋200ごと折り畳んだ上で、所定の輸送用の箱に収納して、輸送すればよい。
【0035】
[3 実施形態の効果]
本実施形態に係る衣類密封用袋200によれば、従来、全体がポリエチレン等を材料とするプラスチックフィルムにより形成されていた衣類密封用袋を、表層101が紙によって形成された衣類密封用シート100によって形成された袋に置き換えることができる。
紙を燃焼させた場合も二酸化炭素は発生するものの、植物は二酸化炭素を吸収しながら成長することから、温暖化ガスのCO2カウントでは、燃焼時については、カーボンニュートラル(±0)として扱われる。
したがって、表層101がこのような植物に由来する紙に置き換えられた衣類密封用シート100によって形成された衣類密封用袋200を用いて衣類の密封を行うことで、衣類の密封を行うことによって生じる二酸化炭素の排出量を削減することができる。
【0036】
ただし、紙のみで形成されたシートを用いて衣類密封用袋を形成した場合、二酸化炭素排出量は実質的に0とできるものの、気密性が低く、かつ溶着させることもできないことから、衣類を圧縮の上密封することは不可能である。
この点、本実施形態に係る衣類密封用袋200によれば、衣類密封用袋200を形成する衣類密封用シート100の裏層102は、ポリエチレン等の裏層102同士を溶着させることができる熱可塑性樹脂を用いて形成されていることから、紙を使用して二酸化炭素の排出量を削減しつつ、衣類を圧縮の上密封することが可能となる。
【0037】
なお、全体がポリエチレン等を材料とするプラスチックフィルムにより形成されていた従来の衣類密封用袋につき、単にこれを形成するフィルムを薄くするのみでは、二酸化炭素の排出量は削減できても、袋の強度が大幅に低下し、密封状態で輸送するに足る強度を維持することが難しくなる。この点、本実施形態によれば、プラスチックフィルムが薄くなった分を紙によって置き換えることで、大幅な強度の低下を招くことはなく、密封状態で輸送するに足る強度を維持しつつ、二酸化炭素の排出量を削減することが可能となる。
【0038】
さらに、衣類密封用袋200を形成する衣類密封用シート100が、表層101と、裏層102との間に、ナイロンを用いて形成された中間層103を備えることで、袋の強度をさらに向上することができ、例えば、密封した衣類を衣類密封用袋200ごと折り畳んだ際や、密封した衣類に付けられたタグやボタン等の硬質な部分が衣類密封用袋200に当たった際等にも、衣類密封用袋200が破れ難くなる。
【0039】
また、衣類の密封時に、衣類密封用袋200の外面側に配置される表層101が紙によって形成されていることによって、密封された衣類を掴む際に滑り難くなると共に、静電気の発生が少なくなることから、密封された衣類同士がくっつき難くなり、梱包等の作業が容易となる。さらに、静電気の発生が少なくなることによって、埃の付着も抑制できる。
【0040】
[4 変形例]
上記実施形態においては、衣類密封用袋200を形成する衣類密封用シート100が、表層101と、裏層102と、中間層103と、の3層から構成される場合につき説明したが、強度が低下することから好ましくはないものの、紙で形成された表層と、ポリエチレン等の溶着させることができる熱可塑性樹脂で形成された裏層と、の2層によって形成された衣類密封用シートを用いて、衣類密封用袋を形成することも可能である。
【0041】
また、上記実施形態においては、衣類の密封方法の説明において、衣類密封用シート100によって予め衣類密封用袋200を作成の上、衣類密封用袋200を用いて衣類を密封する場合につき説明したが、予め衣類密封用袋200を作成することなく、2枚の衣類密封用シート100を裏層102側によって衣類を挟むように配置するか、1枚の折り畳まれた衣類密封用シート100を裏層102側によって衣類を挟むように配置した上で、各辺を溶着させることによって、衣類を密封するようにしてもよい。
この場合も、衣類が密封された後の状態では、圧縮された衣類が衣類密封用シート100によって形成された袋によって密封されている点において、上記実施形態と変わるところはなく、衣類密封用シート100によって形成された衣類を密封するための袋である衣類密封用袋と、このような衣類密封用袋によって、圧縮された衣類が密封された衣類密封体と、が形成されていることとなる。
【実施例0042】
次に、本発明の実施例及び比較例に係る衣類密封用シートにつき、二酸化炭素排出量を算出した結果について説明する。
【0043】
[1 実施例及び比較例の構成]
以下の実施例及び比較例に係る衣類密封用シートを用意した。
【0044】
[(1) 実施例]
(大きさ)
680mm×1000mmの平面視矩形状(衣類密封用袋1枚分の大きさに該当する。)
(構成)
表層:上質紙、坪量52.3g/m2
中間層:ナイロンフィルム(ユニチカ株式会社製)、厚さ15μm
裏層:LLDPEフィルム(フタムラ化学株式会社製)、厚さ30μm
(製造方法)
表層の上質紙に、中間層のナイロンフィルムを、接着剤(DICグラフィックス株式会社製の主剤LX―500及び硬化剤KR―90S)で貼付した後、中間層のナイロンフィルムに、裏層のLLDPEフィルムを、接着剤(DICグラフィックス株式会社製の主剤LX―500及び硬化剤KR―90S)で貼付した。
【0045】
[(2) 比較例]
(大きさ)
710mm×1000mmの平面視矩形状(衣類密封用袋1枚分の大きさに該当する。)
(構成)
LLDPEフィルム(フタムラ化学株式会社製)、厚さ70μm
【0046】
[2 二酸化炭素排出量の算出]
上記実施例及び比較例の衣類密封用シートについて、年間10万枚使用するものと想定して、二酸化炭素排出量を算出した。
【0047】
[(1) 製品重量]
上記実施例及び比較例の製品重量は以下のようにして算出される。
【0048】
[a 実施例]
(上質紙)
0.68m×1.00m×52.3g/m2=35.56g
(ナイロン)
0.68m×1.00m×15×10-6m=1.02×10-5m3=10.2cm3
10.2cm3×1.15(g/cm3比重)=11.73g
(LLDPE)
0.68m×1.00m×30×10―6m=2.04×10―5m3=20.4cm3
20.4cm3×0.92(g/cm3比重)=18.77g
【0049】
[b 比較例]
(LLDPE)
0.71m×1.00m×70×10―6m=4.97×10―5m3=49.7cm3
49.7cm3×0.92(g/cm3比重)=45.72g
【0050】
[(2) 二酸化炭素排出量]
上記製品重量を基に、実施例及び比較例の二酸化炭素排出量は、下記表Iに示すように算出される。
原単位(算出係数)の出典は、以下のとおりであり、原料から生産については、ナイロン及びLLDPEにつき包装用軟質プラスチックフィルムとしての値(1.521kg-CO2/kg)を採用し、上質紙につき上級印刷紙(非塗工)としての値(1.316kg-CO2/kg)を採用している。また、燃焼時については、化学式からの計算による。
[a 原料~生産]
味の素株式会社「味の素グループ版「食品関連材料CO2排出係数データベース」、令和2年5月28日検索
<URL:https://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/activity/useful/pdf/lcco2.pdf>
[b 燃焼時]
Federal Aviation Administration "Heats of combustion of high temperature polymers"、令和2年5月28日検索
<URL:https://www.fire.tc.faa.gov/pdf/chemlab/hoc.pdf>
【0051】
【0052】
[3 評価]
実施例と比較例との比較から、比較例の従来使用されていた全体がLLDPEで形成された衣類密封用シートによって形成された衣類密封用袋を、実施例の表層が上質紙で形成された衣類密封用シートによって形成された衣類密封用袋に置き換えることで、年間使用数を10万枚とした場合、年間の二酸化炭素排出量を、21,310-17,946=3,364kg-CO2削減することができることが分かる。