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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022074202
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】餌木
(51)【国際特許分類】
   A01K 85/00 20060101AFI20220511BHJP
【FI】
A01K85/00 301A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020184048
(22)【出願日】2020-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】520430491
【氏名又は名称】赤木 邦雄
(71)【出願人】
【識別番号】520430505
【氏名又は名称】衛藤 伸彦
(74)【代理人】
【識別番号】100189865
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 正寛
(74)【代理人】
【識別番号】100094215
【弁理士】
【氏名又は名称】安倍 逸郎
(72)【発明者】
【氏名】赤木 邦雄
(72)【発明者】
【氏名】衛藤 伸彦
【テーマコード(参考)】
2B307
【Fターム(参考)】
2B307BA14
2B307BA18
2B307BA20
2B307BA30
(57)【要約】      (修正有)
【課題】常には針先を隠しており、しゃくり動作により針先が露出してイカを引っ掛けることができる餌木を提供する。
【解決手段】餌木本体12に孔17を形成し、軸16を孔17に挿入する。軸16は孔内で可動だが、その一端部は孔17の開口18より突出しており、その突出端に半球殻状の受圧材14が固着される。軸16が突出する部分または本体12の尾部で開口18の近傍には針15が固定され、或いは可動に配置されている。海中に投下された餌木本体12はしゃくり動作を加えることにより半球の殻が水圧を受けて抵抗となり、餌木本体12の尾部から相対的には離れることとなる。この殻及び軸16がバネ19を縮めて移動すると、針先を隠して設けられていた針15が水中に露出することとなり、イカ釣りを効率よく行うことができる。針先は隠されているため、根がかりのおそれがなく、また投入などでの安全性が確保されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部または尾部のいずれか一方に釣り糸が連結され、残りの他方に針が配設される餌木本体と、
静止位置と突出位置との間で移動自在に設けられ、この餌木本体の水中移動時に水圧を受けてこの静止位置から餌木本体から相対的に離間した突出位置まで移動する受圧材と、
この受圧材を静止位置に向かって常時付勢する弾性材と、
水中で上記受圧材が餌木本体から離間したときにのみその針先が水中に露出する針とを備えた餌木。
【請求項2】
釣り糸が連結される頭部、針が配設される尾部を含む餌木本体と、
尾部に開口し、頭部に向かって延びる通路と、
この通路内でその延在方向に沿って往復動自在に設けられその一端部が通路の開口より突出する軸材と、
この軸材を頭部に向かって常時付勢する弾性材と、
この軸材の突出した一端部に固着され、水圧を受ける受圧材と、
この軸材の突出部分に固着され、餌木本体が静止状態では餌木本体の尾部においてその針先が隠された状態とされた針と、を備え、
釣り糸により水中において餌木本体が引っ張られたとき、餌木本体の動きに対して上記受圧材が抵抗となり、上記軸材が相対的に移動することにより、上記針の針先が水中に露出する餌木。
【請求項3】
上記受圧材は半球体の殻で形成されて、上記静止状態ではこの殻の内部に上記針がその針先まで包み込まれる請求項2に記載の餌木。
【請求項4】
上記静止状態での針は餌木本体の尾部の開口近傍に配置されてカバーにより針先が覆われるとともに、針は軸材に固着されており、受圧材の移動によりこのカバーから露出する請求項2または請求項3に記載の餌木。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は餌木、詳しくはイカ釣り用具として用いられる餌木の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のイカ釣り器については、例えば特許第33638号公報に記載のものが知られている。
このものは、縦長の本体の下端に針を固着し、その中央空洞にバネで下方に向かって付勢された心棒を設け、本体から突出した心棒の下端に針を外抱する皿を固着している。心棒の上端は本体から突出し、釣り糸に連結されており、さらに、この上端は本体とはピンで連結されて位置決めされている。
しゃくり動作でピンを破断すると、バネで皿が下方に突出して、針を露出させる構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第33638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の発明によれば、針のカバーである皿は同公報第1図に示すように縦方向に延びる多くの隙間を周方向に形成してあり、釣り器の持ち運びなででの安全のために針を単にカバーするだけであった。よって、水中での釣り動作である最初のしゃくりでピンを破断してその後はバネ力で皿は常に針より所定距離だけ離間している。この結果、イカが針に引っかかれば良しとするも、イカの習性により単に露出した針では釣果を期待することができないという不具合を生じていた。また、釣り動作での根がかりが多発することが予想される。
【0005】
そこで、本発明は、イカの習性を考慮した結果、常には針先を隠しており、しゃくり動作により針先が露出してイカを引っ掛けることができる餌木を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、頭部または尾部のいずれか一方に釣り糸が連結され、残りの他方に針が配設される餌木本体と、静止位置と突出位置との間で移動自在に設けられ、この餌木本体の水中移動時に水圧を受けてこの静止位置から餌木本体から相対的に離間した突出位置まで移動する受圧材と、この受圧材を静止位置に向かって常時付勢する弾性材と、水中で上記受圧材が餌木本体から離間したときにのみその針先が水中に露出する針とを備えた餌木である。
すなわち、餌木は、餌木本体、受圧材、弾性材および針を有している。例えば餌木本体は、所定長さであって一端部を頭部とし他端部を尾部とし、この頭部または尾部のいずれか一方に釣り糸係止部を有する。この餌木本体には、例えばその尾部に開口する軸孔が形成され、この軸孔に軸材が挿入されて軸孔内でその孔軸方向に往復動する。この軸材はその他端部がこの軸孔の外に突出しており、受圧材が固着されている。また、この軸孔の奥に向かってこの軸材は付勢材(例えばバネ)により付勢されている。さらに、上記軸孔の開口より外側でこの軸材の他端部には針が配設され、この針の針先は例えば餌木本体の尾部により外側に突出しないよう配設されている(隠されている)。受圧板は餌木本体が水中で移動するときその後端部(尾部)より後方に突出してこの動きに対する抵抗として作用する。水圧を受けて軸材は軸孔内で後方側に向かって相対的には移動する。
すなわち、上記餌木本体を水中に投入して釣り糸で餌木本体を引っ張るとき、その水圧で受圧材が餌木本体の尾部開口から離れる方向に相対的に移動したとき、軸の他端部に固着された針の針先が水中に露出するよう構成されている。
上記受圧材は半球殻形状であって、上記針先を内包するように形成することができる。
一方、針も餌木本体の尾部に配した針先カバーで、餌木本体が静止した状態では覆われるよう構成することができる。
なお、頭部に釣り糸が連結されて尾部に針が配設された擬似餌形状の餌木本体として説明できるが、これとは逆に頭部に針を配した構造とすることもできる。尾部に釣り糸が連結されて餌木本体は頭部に開口から突出した針および受圧材を有して引っ張られることとなる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、釣り糸が連結される頭部、針が配設される尾部を含む餌木本体と、尾部に開口し、頭部に向かって延びる通路と、この通路内でその延在方向に沿って往復動自在に設けられその一端部が通路の開口より突出する軸材と、この軸材を頭部に向かって常時付勢する弾性材と、この軸材の突出した一端部に固着され、水圧を受ける受圧材と、この軸材の突出部分に固着され、餌木本体が静止状態では餌木本体の尾部においてその針先が隠された状態とされた針と、を備え、水中において釣り糸により餌木本体が引っ張られたとき、餌木本体の動きに対して上記受圧材が抵抗となり、上記軸材が相対的に移動することにより、上記針の針先が水中に露出する餌木である。
この場合の通路は、直線状に延びるものであり、また例えば軸孔として、または軸方向に延びる溝(スリット)として構成することもできる。軸材は、棒状、杭状その他直線的に延びる素材であり、材質は金属、木材その他とする。
軸材を頭部または尾部に向かって付勢する弾性材は、例えばコイルスプリング、その他ではゴム、スポンジ材などで構成することもできる。
針は、通常、複数の針先が円形に配されたカンナと呼ばれるものであっても良いが、その他の形状の針も含むものとする。カンナでは複数の針先を被覆するには半球体形状(笠形状)のカバー(殻)が使用されることがある。水中において釣り糸により餌木本体が引っ張られたとき、餌木本体の動きに対して上記受圧材(例えば半球体で断面が本体側とされる)が抵抗となり、上記軸材が本体に対して相対的に移動することにより、上記針の針先が水中に露出する。
【0008】
請求項3に記載の発明は、上記受圧材は半球体の殻で形成されて、上記静止状態ではこの殻の内部に上記針がその針先まで包み込まれる請求項2に記載の餌木である。例えば椀形状の受圧材はどのような材料で形成してもよいが、プラスチック、金属などが使用されることがある。なお、発泡プラスチックの半球体を使用する場合は、きわめて軽量となる。なお、針が前後2段に形成されている場合、これらの針先を覆うためには、円筒体を長軸の半分で半割としたものなどを使用することもできる。
【0009】
請求項4に記載の発明は、上記静止状態での針は餌木本体の尾部の開口近傍に配置されてカバーにより針先が覆われるとともに、針は軸材に固着されており、受圧材の移動によりこのカバーから露出する請求項2または請求項3に記載の餌木である。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る餌木にあっては、不使用時は針、特に針先が本体またはkバーで隠されているため、取り扱いでの安全性が確保されるとともに、釣りではしゃくり動作のときだけ、針先が露出するため、イカ釣りにおいてはイカの習性にマッチして相当の釣果を期待することができる。また、しゃくり動作でのみ針先が露出し、この針先は動作終了で即隠れるため、根がかりのおそれを皆無とすることができる。これは水中、海底での放棄された餌木釣り糸の量を大幅に減ずることを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施例に係る餌木の一部を破断して示す模式図である。
図2】本発明の一実施例に係る餌木のしゃくり動作での状態を示す模式図である。
図3】本発明の一実施例に係る餌木の針とカバーとの関係を示す断面図である。
図4】本発明の他の実施例に係る餌木の主要部、特にその静止状態を示す模式図である。
図5】本発明の他の実施例に係る餌木の主要部、特にそのしゃくり動作での状態を示す模式図である。
図6】本発明のさらに他の実施例に係る餌木の主要部、特にその静止状態を示す模式図である。
図7】本発明のさらに他の実施例に係る餌木の主要部、特にそのしゃくり動作での状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1図3は、本発明の一実施例に係る餌木を示す概略図である。
【0013】
これらの図において示すように、イカ釣り具としての餌木11は、イカにとって餌となる小魚形状の餌木本体12を有している。餌木本体12は所定形状であって、頭部には釣り糸の連結用の環13が配設されているとともに、その尾部には受圧材である鼓形状の抵抗材14が配設されている。針15はこの尾部において抵抗材と軸16が一体に形成されている。軸16はその一端部が尾部の孔17内にその他端部が孔の開口18より外側に突出している。この突出部にカンナ(針)15,鼓形の抵抗材14が連続して(並んで)固着されている。弾性材であるバネ19はこの軸16を孔奥に向かって常時付勢している。20は頭部に配設固着されたオモリであり、21は目玉である。
なお、図3に示すように、軸16の突出端部に受圧材である受け皿状のケース22を固着してこれにより本体尾部に一体形成した皿状の針(カンナ)23を外側から包み込むように構成することもできる。24は軸16を孔内に保持する円筒ケースであり、スプリング19が軸16及び外筒ケース22を頭方向(孔の奥に向かって)に付勢している。しゃくりにより水圧が作用すると外筒ケース22および軸16はスプリング19を圧縮して尾部の外側に突出することとなる。その結果として爪状の針23が外部に露出することとなる。なお、スプリング19はケース22を軸16を介して孔奥に向かって常時付勢している。
【0014】
以上の構成に係る餌木11の使用方法を説明すると、水中に投下した餌木本体12はオモリにより水底まで沈み込む。そこで、しゃくりと呼ばれる動作を釣り人が行うと、餌木本体12は頭から引っ張られて上方に向かって移動する(ジャンプする)。このしゃくり動作によりイカは例えばエビと間違えて餌木本体12を包み込むと餌木本体12から針15,23が露出しており、この針15に引っかかる(突き刺さる)こととなる。針15の露出はしゃくり動作により上方に引き上げられたときの餌木本体12の尾部では受圧材14が水圧を受けて水底側にとどまろうとして相対的に本体12から離れることとなるからである。
このしゃくり動作が終われば、受圧材14はスプリング19の力により元の位置(静止したときの位置)である尾部に近接した位置に戻ることとなる。
なお、イカが針にひっかからないときは、水底(海底)にまで餌木本体12を沈めてしゃくり動作を再度行うこととなる。
すなわち、上記餌木本体12を水中に投入して釣り糸で餌木本体12を上に向かって引っ張るとき、その水圧で抵抗板14が餌木本体12の尾部の開口から離れる方向に相対的に移動したとき、軸16の他端部に固着された針14の針先が水中に露出するよう構成してある。
なお、環(ラインアイ)13は、ライン(釣り糸)を結ぶ部分で金属製のアイである。アイは縦型・横型・回転式とありますが、縦の動きに良いとされる縦型が現在は多い。
目玉はルアーでは重要なパーツであり、何も無いルアーに黒々とした目玉が付くだけで釣り人から見ても釣れそうなルアーに変化する。
なお、ハネ(羽根)、ヒレは、餌木本体に側面に固着されるが、イカが羽根を嫌い頭を避ける、餌木の動き(姿勢)を安定させるなどの効果があるとされている。
オモリ20は、エギの沈下のために取り付けられたオモリで、位置や重さで餌木の姿勢を調整する役目もある。オモリを追加したり削ったりで自分好みに調整することもできる。
針(カンナ)15は、イカを引っ掛ける部分であって、直線的なものや曲線的な針などある。通常は360度に複数の針が突き出たフックが2段(この実施例では1段)で取り付いている。
エギの重さもノーマルタイプ、シャロータイプ、シンキングタイプ、ヘビーシンキングタイプとあり、シャロータイプはゆっくり沈んでいき、浅場で使われる。餌木のサイズは、3.5号を基準として3.0号~4.0号が好ましい。基本的には小さいエギは小さい子イカ用、大きいエギは大きい親イカ用として使用する。エギのカラーはベースカラーとボディーカラーの2つから構成されている。エギは本体をベースカラーで覆い、その上を布地のボディーカラーで覆うという2層で構成されている。ベースカラーとはエギの下地に当たる色で、エギの下半分の色ではない。ボディーカラーはベースカラーを包む布地のカラーを指す。布地なので布の網目の隙間からベースカラーが見える。
【0015】
図4図5には他の実施例を示す。これ主要部のみを図示してある。
この実施例では、水圧を受けて本体の動きに対して抵抗となる受圧材が半球殻31で形成されている。この半球殻31は本体尾部に向けて開口した例えばプラスチック製の殻体である。軸32の基端部は筒内でスプリング33に付勢されてその奥壁に当接してあるが、水中移動時は、このバネ33を圧縮して軸32(芯棒)そのものが尾部孔の開口より突出してくる。このとき、針34は軸32の突出端部の途中に固着されており、軸32の相対的な移動によりそのカバー31から離脱して水中に露呈する。針先は尾部より後方に位置してイカを捕獲する。
その他の構成作用は上記実施例のそれと同等とする。
【0016】
図6図7は、針34が内筒端41に固着されており、これを半球殻である受圧体31で包み込むように構成した実施例である。針34そのものは移動せず、半球形状(ハーフカップ形状)の受圧体31で皿状に複数本が突出した針34を被包し、または露出させることとなる。なお、バネ33は常に受圧体31を引っ込める方向に付勢してある。その他の構成は上記各実施例と同等のものとする。また、しゃくりにより針を露出させる点でも同じ作用効果を発揮する。
【産業上の利用可能性】
【0017】
この発明は、イカ釣り用の釣り器である餌木の技術として有用である。
【符号の説明】
【0018】
11 餌木、
12 餌木本体、
14 受圧材、
15 針、
16 軸、
17 孔、
18 開口、
19 バネ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7