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特開2022-74206蛍光検出光学装置および蛍光検出光学装置の使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022074206
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】蛍光検出光学装置および蛍光検出光学装置の使用方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/64 20060101AFI20220511BHJP
   G02B 21/00 20060101ALI20220511BHJP
   G02B 21/06 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
G01N21/64 Z
G02B21/00
G02B21/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020184054
(22)【出願日】2020-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】518161916
【氏名又は名称】ピンポイントフォトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】715008975
【氏名又は名称】木島 公一朗
(72)【発明者】
【氏名】木島 公一朗
【テーマコード(参考)】
2G043
2H052
【Fターム(参考)】
2G043AA03
2G043AA06
2G043BA16
2G043EA01
2G043FA02
2G043HA01
2G043HA09
2H052AA09
2H052AC04
2H052AC14
2H052AC18
2H052AC29
2H052AC33
2H052AD34
2H052AD35
(57)【要約】
【課題】LEDを光源として用いる蛍光検出光学装置においては、LEDは発光点の面積が大きいので、小型の蛍光検出光学系を構築すると励起光が浅い角度でエミッションフィルターに入射する成分が生じ励起光が光検出器に入射してしまうという問題があった。
【解決手段】
蛍光光の光軸を含む平面を有する遮光板を光検出器と蛍光試薬との間に配置することにより、光源にLEDを用いたことにより生じるエミッションフィルターに浅い角度で入射する光を遮光し、エミッションフィルターのブロッキング特性の劣化を防止することができる。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から出射した光を蛍光試薬に照射し、蛍光試薬が発光する蛍光光を光検出器で受光する蛍光検出光学装置において、
光源と蛍光試薬との間には、蛍光試薬に照射される光の波長帯域を制限するエキサイトフィルターが配置され、
蛍光試薬と光検出器の間には、光検出器に入射する蛍光光の波長を制限するエミッションフィルターが配置され、
蛍光試薬が発光し光検出器に入射する蛍光光の光軸を含む平面を有する遮光部材が蛍光試薬と光検出器との間に配置されていることを特徴とする蛍光検出光学装置。
【請求項2】
上記蛍光検出光学装置において、光源は複数存在し、複数の光源から出射した光を個々の光源に対応する複数の蛍光試薬に照射し、蛍光試薬が発光する蛍光光を個々の蛍光試薬に対応する複数の光検出器で受光することを特徴とする請求項1に記載の蛍光検出光学装置。
【請求項3】
上記蛍光検出光学装置において、光源はLED(Light Emitting Diode)であることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の上記蛍光検出光学装置。
【請求項4】
上記蛍光検出光学装置において、蛍光試薬が発光し光検出器に入射する蛍光光の光軸を含む平面を有する部材は複数である請求項1より3のいずれかに記載の蛍光検出光学装置。
【請求項5】
上記蛍光検出光学装置において、エキサイトフィルターは、同一部材により複数の光源から出射され、各光源に対応する蛍光試薬に照射される光の波長帯域を制限することを特徴とする請求項2より4のいずれかに記載の蛍光検出光学装置。
【請求項6】
上記蛍光検出光学装置において、エミッションフィルターは、同一部材により複数の蛍光試薬が発光し各蛍光試薬に対応する光検出器に入射する蛍光光の波長を制限することを特徴とする請求項2より5のいずれかに記載の蛍光検出光学装置。
【請求項7】
光源から出射した光を蛍光試薬に照射し、蛍光試薬が発光する蛍光光を光検出器で受光する蛍光検出光学装置において、
光源と蛍光試薬との間には、蛍光試薬に照射される光の波長帯域を制限するエキサイトフィルターが配置され、
蛍光試薬と光検出器の間には、光検出器に入射する蛍光光の波長を制限するエミッションフィルターが配置され、
蛍光試薬が発光し光検出器に入射する蛍光光の光軸を含む平面を有する遮光部材が蛍光試薬と光検出器との間に配置することにより、エキサイトフィルターを透過し蛍光試薬に照射された光が、エミッションフィルターを透過することを防止することを特徴とする蛍光検出光学装置の使用方法。
【請求項8】
上記蛍光検出光学装置の使用方法において、光源は複数存在し、複数の光源から出射した光を個々の光源に対応する複数の蛍光試薬に照射し、蛍光試薬が発光する蛍光光を個々の蛍光試薬に対応する複数の光検出器で受光することを特徴とする請求項7に記載の蛍光検出光学装置の使用方法。
【請求項9】
上記蛍光検出光学装置の使用方法において、光源はLED(LightEmitting Diode)であることを特徴とする請求項7あるいは8に記載の上記蛍光検出光学装置の使用方法。
【請求項10】
上記蛍光検出光学装置の使用方法において、蛍光試薬が発光し光検出器に入射する蛍光光の光軸を含む平面を有する部材は複数である請求項7より9のいずれかに記載の蛍光検出光学装置の使用方法。
【請求項11】
上記蛍光検出光学装置の使用方法において、エキサイトフィルターは、同一部材により複数の光源から出射され、各光源に対応する蛍光試薬に照射される光の波長帯域を制限することを特徴とする請求項8より10のいずれかに記載の蛍光検出光学装置の使用方法。
【請求項12】
上記蛍光検出光学装置の使用方法において、エミッションフィルターは、同一部材により複数の蛍光試薬が発光し各蛍光試薬に対応する光検出器に入射する蛍光光の波長を制限することを特徴とする請求項8より11のいずれかに記載の蛍光検出光学装置の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
人類が免疫を有していないウィルスなどが蔓延すると、社会に深刻な影響を与えるので、ウィルスの蔓延を阻止することは重要である。ウィルスの蔓延を阻止するための手法として感染している人あるいは動物などを迅速に隔離することは重要である。
ウィルスに感染している人あるいは動物を迅速に隔離するためには、ウィルスに感染しているかどうかの判断を簡便にかつ正確に行う必要がある。ウィルスに感染しているかどうかの判断を簡便にかつ正確に行うためには、ウィルスに感染しているかどうかの診断装置の台数を増やすことが必要となり、診断装置には小型化・低価格化が求められている。
ウィルスに感染しているかどうかを診断するための手法として、PCR法(ポリメラーゼ連鎖反応)を用いて遺伝子を増幅した後、蛍光顕微鏡装置により診断する方法が一般的に用いられている。しかしながら、従来の蛍光顕微鏡装置の蛍光光学系は高価であるとともに大きいので、診断装置の小型化・低価格化のためには蛍光光学系の小型化・低価格化が望まれる。そこで、本発明は、増幅された遺伝子の検出が可能となる小型・低価格の蛍光検出光学装置およびその使用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の蛍光顕微鏡装置の光学系構成を図1に示す。蛍光顕微鏡光学系1においては、光源であるランプ9より発光した光はレンズ12によりほぼ平行光をされた後に蛍光フィルターキューブ20に入射する。蛍光フィルターキューブ20内には、観察試料6にて観察を行いたい蛍光試料の励起波長を選択的に透過するエキサイトフィルター21と、エキサイトフィルター21により透過した光を対物レンズ13に入射させるように反射し、蛍光試料が発光する蛍光波長を透過するダイクロイックミラー22、さらに蛍光試料が発光する蛍光波長を透過し、エキサイトフィルター21を透過し試料に照射した励起光をブロックするエミッションフィルター23が配置されている。ランプ光源9を出射し観察試料6に至る蛍光励起光束を39aに示すが、対物レンズ13は、エキサイトフィルター21を透過した励起光を観察試料6の観察を行いたい場所に照射する。
【0003】
観察試料6から撮像素子7に至るに蛍光光束を39bに示すが、対物レンズ13は、観察試料6内の蛍光試料が発光する蛍光を集光する。蛍光試料が発光する蛍光は、フィルターキューブ20内のエミッションフィルター23を透過し、結像レンズ8により撮像素子7に結像することにより、撮像素子7により観察試料6の蛍光観察像を取得する光学系となっている。
【0004】
一般の蛍光顕微鏡の結像レンズ8の焦点距離は200mm程度あること、対物レンズ13の長さも30~40mm程度あること、エキサイトフィルター21およびエミッションフィルター23の径も約25mm程度あることにより、蛍光顕微鏡光学系1における観察試料6から撮像素子7までの距離は少なくとも400mm程度と大きくなっている。
ここで、観察試料6から撮像素子7までの距離が400mm程度と大きいことは、エミッションフィルター23を透過し撮像素子7に至る蛍光光は、特許文献1に示す例と同様に、エミッションフィルター23をほぼ平行光としてエミッションフィルター23を透過することを示している。また、エミッションフィルター23によりブロックされる励起光もほぼ平行光としてエミッションフィルター23に入射していることとなる。エミッションフィルター23は多層誘電体膜により構成され、その透過波長特性はミッションフィルターに入射する角度により変化するので、エミッションフィルターに入射する光がほぼ平行光であることは、透過波長特性を容易に選択できることを示している。
【0005】
次に図2に、光ファイバーの出射端などを光源として用いた小型蛍光検出光学系2を示す。この光学系2は、検査溶液17の蛍光診断を行う装置に用いられる光学系である。この光学系は、発光点に光ファイバーの出射端10を配置し、光ファイバーを導光してくる光を励起用の光源とした光学系である。励起光の光路を光束40aとして図2中に示すが、光源10を出射した光は、レンズ12によりほぼ平行光をされた後、エミッションフィルター21に入射する。エミッションフィルター21を透過することにより検査溶液17の検査に適した蛍光励起波長が選択透過され、ダイクロイックミラー22により反射され、対物レンズ13によりチャンバー16に格納されている検査溶液17内に集光する。ここで、小型蛍光検出光学系2においては、光源が面積の小さい光ファイバーの出射端10であるので、検査溶液17内の励起光の集光点は、比較的小さい領域となる。
【0006】
図3に光ファイバーの出射端などを光源として用いた小型蛍光検出光学系2における蛍光の光路を示す。蛍光光の光路を光束40bとして図3中に示すが、検査溶液17内の励起光の集光点は、小さい体積であるので、発光した蛍光光は、対物レンズ13により集光されることによりほぼ平行な光束となりエミッションフィルター23を透過した後、集光レンズ14により受光素子15に入射される。ここで、図2図3に示した小型蛍光検出光学系2においては、蛍光光は、図1に示した蛍光顕微鏡光学系1の場合と同様に、ほぼ平行な光束となりエミッションフィルター23を透過していることとなるので、前述したように、エミッションフィルターに入射する光がほぼ平行光であることは、透過波長特性を容易に選択できることを示している。
【0007】
次に、低コスト化と小型化の両方の特性を持たせるために、図2図3に示した小型蛍光検出光学系の光源をLED光源とした光学系を図4に示す。図4に示したLED光源を用いた小型蛍光検出光学系3における、励起光の光路を光束41aとして図4中に示すが、LED光源11は図2に示した光学系2における光ファイバーの出射端10と異なり発光点が大きく、例えば1辺の長さが1mmの正方形などの形状であるため、レンズ12を用いてもほぼ平行光とすることができない。そのため、光束41aはエキサイトフィルター21を角度ばらつきがある状態で入射するとともに、対物レンズ13を用いてもチャンバー16内に格納されている検査溶液17内の小さい点に集光することはできず、図4に示すように広い部分に照射される。
【0008】
図5にLED光源11を光源として用いた小型蛍光検出光学系3における蛍光の光路を示す。蛍光光の光路を光束41bとして図5中に示すが、検査溶液17内の励起光の集光点は、小さい体積ではないので、発光した蛍光光は、対物レンズ13による集光を行ってもほぼ平行光とみなせる光束とはならず、エミッションフィルター23を透過した後、集光レンズ14により受光素子15に入射される。ここで、図6にエミッションフィルターに入射する光の角度が最も浅い場合の光路、すなわち垂直入射からの最も離れた入射角の光路を光路41cとして示すが、その光路41cは、対物レンズ13と集光レンズ14との間で光路がクロスするような光路、すなわち、対物レンズ13を透過する位置と集光レンズ14を透過する位置が対角の位置となる光路となっている。なお、図3に示した光学系においても、検査溶液17内の励起光の集光点は、数学的に体積がゼロとみなすことのできる集光点ではなく、ある程度の体積を有する集光点であるので、対物レンズ13と集光レンズ14との間で光路がクロスするような光路となる成分も有するが、エミッションフィルターに入射する光の角度は図6の光路41cに示した光路とは異なり、顕著に浅くなることはない。
【0009】
診断装置に用いられている蛍光試薬の蛍光特性は、励起波長よりも蛍光発光波長は長波長側にあり、それらの波長分布は重なっていることが一般的である。したがって、より大きな信号を得るためには、エキサイトフィルターの透過波長特性とエミッションフィルターの透過波長特性とを、励起光のブロックキング特性が得られる範囲で近づけることが望ましい。
【0010】
図6に光路41cとして示した光束がエミッションフィルターに入射する角度は、図3に示した場合対してエミッションフィルター23への入射角度が浅くなっているので、図3に示した光学系のエミッションフィルター23と同等の励起光に対するブロック特性を得ることができないこととなる。図4図5図6に示したLED光源を用いた小型蛍光検出光学系において、ブロッキング特性を高める手法としてエミッションフィルターの透過波長特性とエキサイトフィルターの透過波長特性との間隔を広げるという手法もあるが、上述したように、診断装置に用いられている蛍光試薬の蛍光励起波長の特性と蛍光発光波長の特性の波長分布は重なっているので、それらの透過波長特性との間隔を広げるという手法は、光検出器に入射する光量を減らすこととなるので、望ましくない。一方、光源に発光エネルギの大きな光源を用いるという手法もあるが、発光エネルギの大きな光源を用いることは、光源の高コスト化をもたらしてしまうという欠点となる。
【0011】
さらに、低コスト・小型化の特性を有する蛍光検出光学装置においては、同時に複数の検体を処理することができる能力が求められるため、蛍光検出光学装置においては、検査溶液が蓄えられるチャンバーが複数配列された構造が望ましい。液体の検査溶液の検査機器においては、9mmピッチあるいは4.5mmピッチにて溶液を配列する容器がほぼ標準化されているので、蛍光検査光学系は9mmピッチあるいは4.5mmピッチにて配列が可能な光学系であることが望ましい。光学系を複数装置内に配列し具備すること、デバイスとして用いる部品コストへの小型化および低価格化への要求はさらに厳しくなるので、光源としては小型で安価なLEDを用いることがより望まれる。1辺の長さが1mmの正方形の形状の発光部を有するLEDのデバイスサイズは、約4mm以下の正方形のチップ形状であることが多いので、1辺の長さが1mmの正方形の形状の発光部を有するLEDを光源として用いた光学系は9mmピッチあるいは4.5mmピッチにて配列された検査溶液の検査が可能な蛍光検出光学装置に適している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第9080978号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、光源としてLED光源を用いて、増幅された遺伝子の検出が可能となる小型・低価格の蛍光検出光学装置を製作する際に、エミッションフィルターのブロッキング特性が低下するという問題を解決する蛍光検出光学装置および蛍光検出光学装置の使用方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
かかる課題を解決するため本発明の蛍光検出光学装置および蛍光検出光学装置の使用方法は、蛍光光の光軸を含む平面を有する遮光板を光検出器と蛍光試薬との間に配置することにより、光源にLEDを用いたことにより生じるエミッションフィルターに浅い角度で入射する光を遮光し、エミッションフィルターのブロッキング特性の劣化を防止することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明の蛍光検出光学装置および蛍光検出光学装置の使用方法は、エミッションフィルターの透過波長特性とエキサイトフィルターの透過波長特性との間隔を広げることなく、光源に低価格なLED光源を用いることができるので、小型・低価格の蛍光検出光学装置を得ることができる。光源にLEDを用いた小型・低価格の蛍光検出光学装置の実現は、例えば9mmピッチあるいは4.5mmピッチに複数配列された検査溶液の検査を同時に行う装置を小型化・低価格化できることとなり、可搬性および経済的に大きな効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】従来技術としての蛍光顕微鏡の光学系の概略構成図である。
図2】従来技術としての光ファイバーの端面を光源として用いた小型蛍光検出光学系の説明図である。
図3】従来技術としての光ファイバーの端面を光源として用いた小型蛍光検出光学系の説明図である。
図4】従来技術としてのLED光源を用いた小型蛍光検出光学系の説明図である。
図5】従来技術としてのLED光源を用いた小型蛍光検出光学系の説明図である。
図6】従来技術としてのLED光源を用いた小型蛍光検出光学系の説明図である。
図7】本発明のLED光源を用いた小型蛍光検出光学系の原理を示す説明図である。
図8】本発明の第1の実施例の蛍光検出光学装置の光学系の概略構成図である。
図9】本発明の第1の実施例の蛍光検出光学装置の光学系の概略構成図である。
図10】本発明の第2の実施例の蛍光検出光学装置の出光学系の概略構成図である。
図11】本発明の第2の実施例の蛍光検出光学装置の光学系の概略構成図である。
図12】本発明の第3の実施例の蛍光検出光学装置の光学系の概略構成図である。
図13】本発明の第3の実施例の蛍光検出光学装置の光学系の概略構成図である。
図14】本発明の第4の実施例の複数配列された検査溶液の同時検査が可能な蛍光検出光学装置の光学系の概略構成図である。
図15】本発明の第5の実施例の複数配列された検査溶液の同時検査が可能な蛍光検出光学装置の光学系の概略構成図である。
図16】本発明の第6の実施例の複数配列された検査溶液の同時検査が可能な蛍光検出光学装置の光学系の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明のLED光源を用いた小型蛍光検出光学系の原理を図7に示す。図7においては、図6において41cとして図示したエミッションフィルター23への入射角度が浅い光路を遮光するために、遮光板30を配置した光学系である。エミッションフィルター23への入射角が浅い光路は、図7に示す蛍光光の光軸60に対して大きな角度を有する光路であり、遮光板30は、蛍光光の光軸60を含む平面に配置することにより、図7の破線で示す部分の光路が遮断される。光軸を含む平面は、光軸に対して平行であることから、遮光板30は光軸と平行に進行する光を遮蔽しないので、信号光を大きく減少させることはない。その結果、エミッションフィルターの透過波長特性とエキサイトフィルターの透過波長特性との間隔を広げることなく、光源に低価格なLED光源を用いることができることとなる。ここで、蛍光光の光軸とは、蛍光光の光束の中心を示す直線であり、蛍光光を発光するエリアの中心である検査溶液内の励起光の集光スポットの中心と、集光レンズにより光検出器に集光される蛍光光の中心とを結んだ直線を示している。
【0018】
本発明の第1の実施の形態による蛍光検出光学装置51を図8図9に示す。図8は、対物レンズ13と集光レンズ14が重なる方向から見た図であり、図9は、図8と直交する方向から見た図であり、各構成要素部品がすべて見える図である。この蛍光検出光学装置51における構成部品は、図3図4図5に示したLED光源を用いた小型蛍光検出光学系に励起光遮光版31を加えた構成である。つまり、光源にはLED光源11を用い、LED光源11から出射した光は、レンズ12を介してエキサイトフィルター21に入射し、エキサイトフィルター21を透過した光は、ダイクロイックミラー22により反射された後、対物レンズ13により、チャンバー16内に格納された検査溶液17に照射され、検査溶液17を蛍光励起する。検査溶液17より蛍光発光した光は、対物レンズ13により集光された後、ダイクロイックミラー22、エミッションフィルター23を透過し、集光レンズ14により受光素子15に照射され、電気信号に変換される。そして、本発明の第1の実施の形態による蛍光検出光学装置51においては、図8に示すように蛍光光の光軸60を含む遮光板31が配置されている。この遮光板31は、エミッションフィルター23への入射角度が浅く入射し、本来エミッションフィルターにて吸収されるべき励起光が受光素子15に入射しないように遮光する機能を有する。遮光板31の構成は具体的には0.1mm~0.2mm程度の黒色のツヤケシアルマイト処理がなされたアルミ板などを用いる。
【0019】
図9に示すように、第1の実施の形態による蛍光検出光学装置51に用いる遮光板31は、エミッションフィルター23とダイクロイックミラー22との間の遮光板31a、対物レンズ13とダイクロイックミラー22との間の遮光板31b、エミッションフィルター23と集光レンズ14との間の遮光板31cに分割された形状とされているが、いずれも蛍光光の光軸60を含む平板形状とされている。図9に示したように、遮光板31は連続した一体化構造である必要はない。
【0020】
本発明の第2の実施の形態による蛍光検出光学装置52を図10図11に示す。図10は、対物レンズ13と集光レンズ14が重なる方向から見た図であり、図11は、図10と直交する方向から見た図であり、各構成要素部品がすべて見える図である。第1の実施の形態による蛍光検出光学装置51と同様に、この蛍光検出光学装置52における構成部品は、図3図4図5に示したLED光源を用いた小型蛍光検出光学系に励起光遮光版32を加えた構成である。つまり、光源にはLED光源11を用い、LED光源11から出射した光は、レンズ12を介してエキサイトフィルター21に入射し、エキサイトフィルター21を透過した光は、ダイクロイックミラー22により反射された後、対物レンズ13により、チャンバー16内に格納された検査溶液17に照射され、検査溶液17を蛍光励起する。検査溶液17より蛍光発光した光は、対物レンズ13により集光された後、ダイクロイックミラー22、エミッションフィルター23を透過し、集光レンズ14により受光素子15に照射され、電気信号に変換される。そして、本発明の第2の実施の形態による蛍光検出光学装置52においては、図10に示すように蛍光光の光軸60を含む遮光板32が配置されている。この遮光板32は、エミッションフィルター23への入射角度が浅く入射し、本来エミッションフィルターにて吸収されるべき励起光が受光素子15に入射しないように遮光する機能を有する。
【0021】
図11に示すように、第2の実施の形態による蛍光検出光学装置52に用いる遮光板32は、エミッションフィルター23とダイクロイックミラー22との間の遮光板32a、対物レンズ13とダイクロイックミラー22との間の遮光板32b、エミッションフィルター23と集光レンズ14との間の遮光板32cに分割された形状とされているが、いずれも蛍光光の光軸60を含む平板形状とされている。図11に示したように、遮光板32は連続した一体化構造である必要はない。また、第1の実施の形態による蛍光検出光学装置51における遮光板31と第2の実施の形態による蛍光検出光学装置52における遮光板32とを比較すると角度が90度異なる方向での配置となっており、蛍光検出光学装置52における遮光板32bは、検査溶液17の励起光を遮らないように、蛍光検出光学装置51における遮光板31bよりも短い形状となっている。なお、遮光板31と同様に、遮光板32の構成は具体的には0.1mm~0.2mm程度の黒色のツヤケシアルマイト処理がなされたアルミ板などを用いる。
【0022】
本発明の第3の実施の形態による蛍光検出光学装置53を図12図13に示す。第3の実施の形態による蛍光検出光学装置53は、第1の実施の形態による蛍光検出光学装置51における遮光板31と第2の実施の形態による蛍光検出光学装置52における遮光板32をともに用いた例である。この遮光板31、遮光板32が、エミッションフィルター23への入射角度が浅く入射し、本来エミッションフィルターにて吸収されるべき励起光が受光素子15に入射しないように遮光する機能を有することは上述の蛍光検出光学装置51および蛍光検出光学装置52と同様である。
【0023】
蛍光検出光学装置53における遮光板31および遮光板32の機能および構成は、蛍光検出光学装置51における遮光板31および蛍光検出光学装置52における遮光板32の機能および構成と同様であるので、説明は省略する。
【0024】
本発明の第4の実施の形態による蛍光検出光学装置54を図14に示す。第4の実施の形態による蛍光検出光学装置54は、第3の実施の形態による蛍光検出光学装置53を、複数配列した例である。
光源11として用いているLED発光素子として、例えば1辺の長さが1mmの正方形の発光部を有するLED発光素子を用いるとすると、チップの大きさは4mm程度であるので、蛍光検出光学装置54は9.0mmピッチあるいは4.5mmピッチで配列されている検査溶液17の測定を行うように、蛍光検出光学装置53を複数配列することが可能である。そして、この遮光板31、遮光板32が、エミッションフィルター23への入射角度が浅く入射し、本来エミッションフィルターにて吸収されるべき励起光が受光素子15に入射しないように遮光する機能を有することは上述の蛍光検出光学装置51、蛍光検出光学装置52、および蛍光検出光学装置53と同様である。
【0025】
本発明の第5の実施の形態による蛍光検出光学装置55を図15に示す。第5の実施の形態による蛍光検出光学装置55は、第4の実施の形態による蛍光検出光学装置54において、配列方向に平行な主面を有する部材を一体化した構造である。蛍光検出光学装置54において、配列方向に平行な主面を有する部材とは、エキサイトフィルター21、ダイクロイックミラー22、エミッションフィルター23、遮光板32であり、蛍光検出光学装置55においては、これら部品が複数の検査溶液の光学系ごとの個々の部材ではなく一体化されたエキサイトフィルター26、ダイクロイックミラー27、エミッションフィルター28、遮光板33となっている。このように部品を一体化し部品点数の低減を行うことにより、第5の実施の形態による蛍光検出光学装置55は、第4の実施の形態による蛍光検出光学装置54に比較して低価格での製作が可能となる。この遮光板31、遮光板33が、エミッションフィルター28への入射角度が浅く入射し、本来エミッションフィルターにて吸収されるべき励起光が受光素子15に入射しないように遮光する機能を有することは上述の蛍光検出光学装置54と同様である。
【0026】
本発明の第6の実施の形態による蛍光検出光学装置56を図16に示す。第6の実施の形態による蛍光検出光学装置56は、第5の実施の形態による蛍光検出光学装置55より、遮光板31を省略した構成となっている。また、図10図11に示した第2の実施の形態による蛍光検出光学装置52を複数配列し、エキサイトフィルター21、ダイクロイックミラー22、エミッションフィルター23、遮光板32という配列方向に平行な主面を有する部材を、複数の検査溶液の光学系ごとの個々の部材ではなく一体化されたエキサイトフィルター26、ダイクロイックミラー27、エミッションフィルター28、遮光板33を用いた構成である。この遮光板33が、エミッションフィルター28への入射角度が浅く入射し、本来エミッションフィルターにて吸収されるべき励起光が受光素子15に入射しないように遮光する機能を有することは上述の蛍光検出光学装置52における遮光板32と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、ウィルスに感染しているかどうかを診断するためのPCR法(ポリメラーゼ連鎖反応)を行う蛍光検出光学装置において、LEDを光源として用いることを可能とする蛍光検出光学装置およびその使用方法に関するものであり、蛍光検出光学装置を小型化・低価格化を容易にするものである。
【符号の説明】
【0028】
1……蛍光顕微鏡光学系、2……小径光源を用いた小型蛍光検出光学系、3、4……LED光源を用いた小型蛍光検出光学系、6……観察試料、7……撮像素子、8……結像レンズ、9……ランプ、10……光ファイバーコネクタ、11……LED光源、12……レンズ、13……対物レンズ、14……集光レンズ、15……受光素子、16……チャンパー、17……検査溶液、20……フィルターキューブ、21、26……エキサイトフィルター、22、27……ダイクロイックミラー、23、28……エミッションフィルター、30、31、32、33……励起光遮光版、39a……ランプ光源を出射し観察試料に至る蛍光励起光束、39b……観察試料から撮像素子に至るに蛍光光光束、40a……光ファイバーコネクタを出射し検査溶液に至る蛍光励起光束、40b……検査溶液から受光素子に至るに光束、41a……LEDを出射し検査溶液に至る蛍光励起光束、41b……検査溶液から受光素子に至るに光束、41c……検査溶液から受光素子に至るに光束、51、52、53……蛍光検出光学装置、54、55、56……複数試薬対応蛍光検出光学装置、60……蛍光光の光軸
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