(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022074220
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】電気電子機器収納用箱の冷却装置
(51)【国際特許分類】
H05K 7/20 20060101AFI20220511BHJP
H01L 23/38 20060101ALI20220511BHJP
H01L 23/467 20060101ALI20220511BHJP
G06F 1/20 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
H05K7/20 S
H05K7/20 H
H05K7/20 B
H05K7/20 G
H01L23/38
H01L23/46 C
G06F1/20 B
G06F1/20 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020184085
(22)【出願日】2020-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】特許業務法人なじま特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊東 佳信
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AA03
5E322AA11
5E322BA01
5E322BA03
5E322BB03
5E322DC01
5E322EA11
5F136CA01
5F136CA03
5F136JA03
(57)【要約】
【課題】ペルチェ素子を利用した電気電子機器収納用箱の冷却装置において、冷却装置を薄型にしながら、熱交換を適切に行えるようにすること。
【解決手段】ペルチェ素子11と、ペルチェ素子の一方側の面に接合される第一のヒートシンク12aと、ペルチェ素子の他方側の面に接合される第二のヒートシンク12bと、少なくとも第一のヒートシンク若しくは第二のヒートシンクの何れかを囲うケース13と、換気用ファン14と、を備え、前記ケースを構成する面であって、ペルチェ素子と第一のヒートシンクとの接合する面及び/又はペルチェ素子と第二のヒートシンクとの接合する面に対して垂直となる面に換気用ファンを備え、ケースの換気用ファンが取り付けられた面と対向する面に第一開口部131を備え、ケースの換気用ファンが取り付けられた面及び第一開口部を備えた面とは異なる面の少なくとも一つの面に第二開口部132を備えた構成とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペルチェ素子と、ペルチェ素子の一方側の面に接合される第一のヒートシンクと、ペルチェ素子の他方側の面に接合される第二のヒートシンクと、少なくとも第一のヒートシンク若しくは第二のヒートシンクの何れかを囲うケースと、換気用ファンと、を備えた電気電子機器収納用箱の冷却装置であって、前記ケースを構成する面であって、ペルチェ素子と第一のヒートシンクとの接合する面及び/又はペルチェ素子と第二のヒートシンクとの接合する面に対して垂直となる面に換気用ファンを備え、ケースの換気用ファンが取り付けられた面と対向する面に第一開口部を備え、ケースの換気用ファンが取り付けられた面及び第一開口部を備えた面とは異なる面の少なくとも一つの面に第二開口部を備えた電気電子機器収納用箱の冷却装置。
【請求項2】
第二開口部を、ケースを構成する面であって、ペルチェ素子と第一のヒートシンクとの接合する面及び/又はペルチェ素子と第二のヒートシンクとの接合する面に対して垂直となる面に備えた請求項1に記載の電気電子機器収納用箱の冷却装置。
【請求項3】
一つの面に位置する第二開口部は、第一開口部よりも開口面積が小さい請求項1又は2に記載の電気電子機器収納用箱の冷却装置。
【請求項4】
第二開口部を備えた面を複数備えた請求項1から3の何れかに記載の電気電子機器収納用箱の冷却装置。
【請求項5】
ケースの対向する面に各々設けられた第二開口部が、換気用ファンと第一開口部が並ぶ方向に延びる線に対して対称となるように位置する請求項4に記載の電気電子機器収納用箱の冷却装置。
【請求項6】
第二開口部を、第一開口部と換気用ファンとの間を流れる風路の風下側に寄せた位置に配置した請求項1から5の何れかに記載の電気電子機器収納用箱の冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気電子機器収納用箱の冷却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
配電盤、通信装置、サーバ等の箱体内部に配置した電気電子機器から発生する熱を箱体外部へ放出するため、箱体に冷却装置を備えることが知られている。冷却装置としては、ルーバーや換気扇を使用して箱体内部を換気して冷却する方法もあるが、屋外で使用する場合、風雨や外気中のダストの影響を防ぐため、防水防塵性能が求められている。また、屋内で使用する場合であっても、粉塵やオイルミストが多い場所では屋外と同様であり、箱体内部を換気して冷却する方法は不向きである。
【0003】
このような状況下においては、特許文献1のような電子式クーラーを冷却装置として使用することがある。特許文献1のような電子式クーラーは、箱体の取付面を中心として内側と外側にペルチェ素子を挟んでそれぞれ吸熱/放熱ヒートシンクを配設し、さらにペルチェ素子と吸熱/放熱ヒートシンクとの接合面と平行に換気用ファンを備えており、電子式クーラーの厚さが大きくなってしまい、箱体内部の収納スペースを圧迫してしまう。また、屋外で使用する場合は、箱体内部の電気電子機器から発生する熱のみに限らず、直射日光による箱体内部の温度上昇も問題となっている。こうした場合、特許文献2のような遮光板を箱体に取り付けることが知られている。特許文献1のように電子式クーラーの厚さが大きくなってしまうと、箱体外部に突出するため遮光板の設置が困難となる虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-239168号公報
【特許文献2】特開平10-224049号公報
【0005】
このような問題を解決する手段として冷却装置の厚さを小さく、すなわち薄くすることが求められる。そのような冷却装置とするには、ペルチェ素子とヒートシンクとの接合面と平行に換気用ファンを配置するのは、好ましくない。このため、ペルチェ素子とヒートシンクとの接合面とは垂直となる方向にヒートシンクと換気用ファンを並べて配置することが考えられる。しかし、単にこのような配置にするだけでは、均一な風量を維持できず、熱交換の効率が低下する虞がある。均一な風量を維持するため、ヒートシンクをケースで覆うことが考えられるが、吸気と排気の距離が長くなるほど熱交換効率が低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本件の発明者は、この点について鋭意検討することにより、解決を試みた。本発明が解決しようとする課題は、ペルチェ素子を利用した電気電子機器収納用箱の冷却装置において、冷却装置を薄型にしながら、熱交換を適切に行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、ペルチェ素子と、ペルチェ素子の一方側の面に接合される第一のヒートシンクと、ペルチェ素子の他方側の面に接合される第二のヒートシンクと、少なくとも第一のヒートシンク若しくは第二のヒートシンクの何れかを囲うケースと、換気用ファンと、を備えた電気電子機器収納用箱の冷却装置であって、前記ケースを構成する面であって、ペルチェ素子と第一のヒートシンクとの接合する面及び/又はペルチェ素子と第二のヒートシンクとの接合する面に対して垂直となる面に換気用ファンを備え、ケースの換気用ファンが取り付けられた面と対向する面に第一開口部を備え、ケースの換気用ファンが取り付けられた面及び第一開口部を備えた面とは異なる面の少なくとも一つの面に第二開口部を備えた電気電子機器収納用箱の冷却装置とする。
【0008】
また、第二開口部を、ケースを構成する面であって、ペルチェ素子と第一のヒートシンクとの接合する面及び/又はペルチェ素子と第二のヒートシンクとの接合する面に対して垂直となる面に備えた構成とすることが好ましい。
【0009】
また、一つの面に位置する第二開口部は、第一開口部よりも開口面積が小さい構成とすることが好ましい。
【0010】
また、第二開口部を備えた面を複数備えた構成とすることが好ましい。
【0011】
また、ケースの対向する面に各々設けられた第二開口部が、換気用ファンと第一開口部が並ぶ方向に延びる線に対して対称となるように位置する構成とすることが好ましい。
【0012】
また、第二開口部を、第一開口部と換気用ファンとの間を流れる風路の風下側に寄せた位置に配置した構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、ペルチェ素子を利用した電気電子機器収納用箱の冷却装置において、冷却装置を薄型にしながら、熱交換を適切に行える。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態における冷却装置を電気電子機器収納用箱に取り付けた例を示す概念図である。ただし、熱交換前の空気と熱交換後の空気において、温かい側の空気の流れを黒塗りの矢印で、冷たい側の空気の流れを白抜きの矢印で表している。また、ペルチェ素子と第一のヒートシンクとの接合する面及び/又はペルチェ素子と第二のヒートシンクとの接合する面に対して垂直となる面の方向を一点鎖線で表している。
【
図2】冷却装置に備える冷却ユニットの例を示す斜視図である。ただし、ペルチェ素子と第一のヒートシンクとの接合する面及び/又はペルチェ素子と第二のヒートシンクとの接合する面に対して垂直となる面の方向を一点鎖線で表している。
【
図3】
図2に示す冷却ユニットの分解斜視図である。ただし、ペルチェ素子と第一のヒートシンクとの接合する面及び/又はペルチェ素子と第二のヒートシンクとの接合する面に対して垂直となる面の方向を一点鎖線で表している。
【
図4】
図2に示す冷却ユニットで使用している放熱ユニットの分解斜視図である。
【
図5】
図2に示す冷却ユニットの放熱ユニット部分の斜視図である。
【
図8】第二開口部を第一開口部寄りに配置した例を示す図である。
【
図9】第二開口部が第一開口部側にも換気用ファン側にも位置する例を示す図である。
【
図10】筐体の内側に位置することになる部分だけ、厚みを薄くできるようにした例を示す図である。
【
図11】筐体の外側に位置することになる部分だけ、厚みを薄くできるようにした例を示す図である。
【
図12】放熱ユニットに用いられる換気用ファンと吸熱ユニットに用いられる換気用ファンが非並列配置となるようにした例を示す図である。
【
図13】ベースと平行する面に第二開口部を設けた例である。ただし、第二開口部は第一開口部寄りに配置している。
【
図14】ベースと平行する面に第二開口部を設けた例である。ただし、第二開口部は換気用ファン寄りに配置している。
【
図15】ベースと平行する面に第二開口部を設けた例である。ただし、第二開口部を複数配置している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に発明を実施するための形態を示す。
図1乃至
図5に示されていることから理解されるように、本実施形態の電気電子機器収納用箱8の冷却装置1は、ペルチェ素子11と、ペルチェ素子11の一方側の面に接合される第一のヒートシンク12aと、ペルチェ素子11の他方側の面に接合される第二のヒートシンク12bと、少なくとも第一のヒートシンク12a若しくは第二のヒートシンク12bの何れかを囲うケース13と、換気用ファン14と、を備えている。また、この電気電子機器収納用箱8の冷却装置1は、前記ケース13を構成する面であって、ペルチェ素子11と第一のヒートシンク12aとの接合する面及び/又はペルチェ素子11と第二のヒートシンク12bとの接合する面に対して垂直となる面に換気用ファン14を備え、ケース13の換気用ファン14が取り付けられた面と対向する面に第一開口部131を備え、ケース13の換気用ファン14が取り付けられた面及び第一開口部131を備えた面とは異なる面の少なくとも一つの面に第二開口部132を備えている。このため、ペルチェ素子11を利用した電気電子機器収納用箱8の冷却装置1において、冷却装置1を薄型にしながら、熱交換を適切に行うことが可能となる。
【0016】
実施形態の電気電子機器収納用箱8の冷却装置1は、固定設置される電気電子機器収納用箱8の一側面に取り付けて箱体81の内部を冷却する装置である。
図1に示す例においては、電気電子機器収納用箱8の天井面に冷却装置1を取り付けている。なお、この冷却装置1はペルチェ素子11を利用した冷却ユニットを備えている。
【0017】
実施形態の冷却ユニットは、ペルチェ素子11、放熱ユニット101、吸熱ユニット102からなり、ペルチェ素子11の発熱面に放熱ユニット101を接合し、ペルチェ素子11の吸熱面に吸熱ユニット102を接合している。冷却装置1を電気電子機器収納用箱8に取り付けるときには、放熱ユニット101の部分を箱体81の外側に配置し、吸熱ユニット102の部分を箱体81の内側に配置する。このようにすることで、冷却装置1を用いて箱体81の内部を冷却することができる。
【0018】
次に、放熱ユニット101と吸熱ユニット102について説明を行うが、
図2に示す冷却装置1に備えられた放熱ユニット101と吸熱ユニット102は、基本的に同様の構成となっている。そこで、本発明における最も特徴的な部分の説明は、
図2における放熱ユニット101を例に挙げて説明をするものとする。
【0019】
図3及び
図4に示すことから理解されるように、ペルチェ素子11に接合するヒートシンク12は、ペルチェ素子11に接合するベース121と、ベース121から延びる複数のフィン122を備えている。なお、実施形態におけるフィン122は、棒状のピンフィンであるが、例えば板状のストレートフィンなど、ピンフィンとは異なる形状でもよい。
【0020】
冷却装置1に使用されるヒートシンク12として、ペルチェ素子11の一方側の面に接合される第一のヒートシンク12aと、ペルチェ素子11の他方側の面に接合される第二のヒートシンク12bが明確に区別されるが、実施形態では、放熱ユニット101側のヒートシンク12を第一のヒートシンク12aとし、吸熱ユニット102側の面に接合される第二のヒートシンク12bとしている。
【0021】
実施形態においてはヒートシンク12を囲うようにケース13が配置されている。このケース13は概略、ヒートシンク12のベース121を除く面をケース13で取り囲むこととなる。このケース13は、外郭に複数の面を備えた構成であるが、ペルチェ素子11と第一のヒートシンク12aとの接合する面及びペルチェ素子11と第二のヒートシンク12bとの接合する面の双方に対して垂直となる面に換気用ファン14を備えている。言い換えると、ケース13のペルチェ素子11に対して垂直となる面、又はベース121に対して垂直となる一つの面を換気用ファン14の取付面としている。
【0022】
実施形態のケース13は、換気用ファン14の取付面と対向する面に第一開口部131を備えている。なお、
図5に示すことから理解されるように、実施形態では、換気用ファン14の取付面と対向する面の全体を開口させて第一開口部131としている。また、実施形態の換気用ファン14はヒートシンク12側から吸気するファンとなっている。
【0023】
一般的にヒートシンク12を囲うケース13は、機能上必須のものでは無い。しかし、ケース13を備えるようにすることで、換気用ファン14の近くから多くの吸気が行われることで、換気用ファン14から離れた部分の風量が減少することを抑制することができるため、ヒートシンク12全体に一定の風量が維持できず熱交換効率が低下するといった問題を抑制することができる。
【0024】
実施形態では、換気用ファン14はヒートシンク12側から吸気するものとしているため、ケース13の第一開口部131から吸気された空気がヒートシンク12に備えられた複数のフィン122に接するように通過して、換気用ファン14から排出される。なお、
図3から
図7に示すことから理解されるように、実施形態におけるケース13は、ヒートシンク12と概略同程度の大きさとしており、ケース13内を移動する空気とヒートシンク12との間で効率よく熱の移動が行えるようにしている。
【0025】
ところで、ケース13が第一開口部131のみを備えた形態の場合、第一開口部131と換気用ファン14との間を流れる風路において、風下側に進むにつれて熱交換効率が低下するといった問題、例えば放熱ユニット101では、第一開口部131から取り入れた外気がペルチェ素子11の発熱面と接合したヒートシンク12を通過するにつれて温められ換気用ファン14から排気されるが、風下側に進むにつれて通過する外気の温度が上昇するため、十分な熱交換が行えなくなるといった問題が生じ得る。
【0026】
そこで、実施形態のケース13は、換気用ファン14の取付面や第一開口部131を形成した面とは異なる面に、第二開口部132を備えている。このような位置に第二開口部132を形成することで、第一開口部131と換気用ファン14との間を流れる風路の途中で外気を吸気することができ、熱交換効率を保つことができる。
【0027】
なお、実施形態の第二開口部132は、細長に形成した孔を複数並べた形状、すなわちスリットの集合体のような形態としているが、これ以外にもさまざまなものを使用することができる。例えば、実施形態における複数の孔の集合体に相当する程度の大きさの開口としてもよい。また、孔の形状などについても様々なものを採用できる。
【0028】
ところで、
図3に示す例においては、第二開口部132は、ケース13を構成する面であって、ペルチェ素子11と第一のヒートシンク12aとの接合する面及びペルチェ素子11と第二のヒートシンク12bとの接合する面の双方に対して垂直となる面、言い換えると、第一のヒートシンク12aと第二のヒートシンク12bが並ぶ方向に向けて延びる面に設けられている。このような面に第二開口部132を設けることで、ペルチェ素子11の発熱面と接合するベース121の近傍に第二開口部132を配置することができ、効果的に熱交換を行うことができる。
【0029】
例えば、ケース13のペルチェ素子11に対して平行となる面に第二開口部132を形成した場合、第二開口部132から吸気される外気は、ヒートシンク12の先端側を通過して排気されやすく、ヒートシンク12のベース121側に熱溜まりが生じやすくなる可能性があるが、ペルチェ素子11に対して垂直となる面に第二開口部132を形成した場合、ヒートシンク12のベース121側から先端側に広がる第二開口部132を形成することができるため、ヒートシンク12のフィン122の長さ方向に分散して吸気することができるようになり、熱溜まりが生じにくい効果的な熱交換を行うことができる。
【0030】
また、ケース13を構成する面であって、ペルチェ素子11と第一のヒートシンク12aとの接合する面及び/又はペルチェ素子11と第二のヒートシンク12bとの接合する面に対して垂直となる面において、当該面のペルチェ素子11と第一のヒートシンク12aとの接合する面及び/又はペルチェ素子11と第二のヒートシンク12bとの接合する面に対して垂直となる方向に見て中央部よりもペルチェ素子11側に、第二開口部132の少なくとも一部が位置するようにすると、ヒートシンク12のベース121側を冷却しやすくなる。
【0031】
なお、ペルチェ素子11と第一のヒートシンク12aとの接合する面及び/又はペルチェ素子11と第二のヒートシンク12bとの接合する面に対して垂直となる面において、当該面のペルチェ素子11と第一のヒートシンク12aとの接合する面及び/又はペルチェ素子11と第二のヒートシンク12bとの接合する面に対して垂直となる方向に見て中央部よりもペルチェ素子11側と、反ペルチェ素子11側の双方に、第二開口部132の少なくとも一部が位置すれば、ケース13内に導入された空気を、ケース13内の比較的広い範囲に分散させることができる。
【0032】
ところで、第一開口部131よりも換気用ファン14側に位置することになる第二開口部132の開口面積が大きくなると、換気用ファン14などの条件によっては第二開口部132から吸気される風量が多くなる。それにより第一開口部131側の風量が減少するため、熱交換の効率が低下し、第一開口部131側に熱溜まりが生じるおそれがある。このため、ケース13の一つの面に位置する第二開口部132は、第一開口部131よりも開口面積が小さいものであるのが好ましい。一つの面に設けた第二開口部132の開口面積をこのような大きさにすることで、第一開口部131から換気用ファン14に向かって流れる風路の風量を維持することができる。
【0033】
なお、第二開口部132の開口面積がこのようなものであることは必須では無く、一つの面に位置する第二開口部132の開口面積が大きくなりすぎないようにすれば、第一開口部131からの風量を一定に保ちながら、第二開口部132からも吸気ができ、効果的に熱交換を行うことができる。
【0034】
また、第二開口部132を備えた面を複数備えた構成とすることが好ましい。空気の出入りの方向性のバランスなどを考慮することができるからである。特に、ケース13の対向する面に各々設けられた第二開口部132が、換気用ファン14と第一開口部131が並ぶ方向に延びる線に対して対称となるように位置するようにするのが好ましい。風路に対して対称となるように第二開口部132を配置することで、バランスよく第二開口部132からの吸気が行え、ヒートシンク12全体への均一な風の提供を期待できる。
【0035】
また、第二開口部132を、第一開口部131と換気用ファン14との間を流れる風路の風下側に寄せた位置に配置するのが好ましい。例えば、放熱ユニット101では、第一開口部131から吸気された外気がヒートシンク12を通過して空気が温められると、換気用ファン14側では熱交換効率が低下するが、風下側の第二開口部132からも外気が吸気されるようにすれば、風下側での熱交換に貢献することができる。このため、ヒートシンク12全体で効果的に熱交換を行うことができる。
【0036】
なお、第二開口部132は、第一開口部131と換気用ファン14との間を流れる風路の風下側に寄せた位置に配置するだけに限らず、第一開口部131と換気用ファン14との間を流れる風路の風上側に寄せた位置に配置するようにしても良い。例えば、換気用ファン14がヒートシンク12側から吸気するのであれば、
図8に示すような位置に配置することが例示できる。また、第二開口部132を、第一開口部131と換気用ファン14との間を流れる風路の風上側と風下側の双方に配置するようにしても良い。例えば、換気用ファン14がヒートシンク12側から吸気するのであれば、
図9に示すような位置に配置することが例示できる。これらのような場合でも、換気用ファン14の性能などによっては、熱交換の効率を十分に確保できる。
【0037】
ところで、
図2に示す例においては、吸熱ユニット102も放熱ユニット101も、同様の構成である。したがって、吸熱ユニット102も放熱ユニット101も、ケース13を構成する面であって、ペルチェ素子11と第一のヒートシンク12aとの接合する面及びペルチェ素子11と第二のヒートシンク12bとの接合する面の双方に対して垂直となる面に換気用ファン14を備え、ケース13の換気用ファン14が取り付けられた面と対向する面に第一開口部131を備え、ケース13の換気用ファン14が取り付けられた面及び第一開口部131を備えた面とは異なる面の少なくとも一つの面に第二開口部132を備えている。このような構成とすれば、冷却装置1を全体的に薄型にすることができるため、箱体81の内側及び外側への突出を減らすことができ、かつ、均一に風量維持しながら熱交換効率を適切に行えるため、好ましい。
【0038】
一方、
図10及び
図11に示すことから理解されるように、放熱ユニット101と吸熱ユニット102の何れかだけを上記した構成とするものであっても良い。この場合でも、放熱ユニット101側と吸熱ユニット102側のいずれか一方に対しては、上記したようなメリットを享受できるからである。つまり、箱体81の内部のスペースのみを確保したい場合は、吸熱ユニット102を薄型とし、放熱ユニット101は従来の構造として冷却装置1を構成することもできる。また、箱体81の外部のスペースのみを確保したい場合は、放熱ユニット101を薄型とし、吸熱ユニット102は従来の構造として冷却装置1を構成することもできる。
【0039】
ところで、
図2に示す例では、放熱ユニット101に備えられた換気用ファン14と吸熱ユニット102に備えられた換気用ファン14が並列するように配置しているが、
図12に示すことから理解されるように、それらが、非並列的に配置されるものであっても良い。この場合、それぞれの排気方向を反対向きにしても良いし、同じ向きにしても良い。なお、
図12に示す例ではそれぞれの排気方向を反対向きにしている。
【0040】
ところで
図2に示す例などでは、第二開口部132は、ケース13を構成する面であって、ペルチェ素子11と第一のヒートシンク12aとの接合する面及びペルチェ素子11と第二のヒートシンク12bとの接合する面の双方に対して垂直となる面に設けられているが、このような態様に限る必要は無い。
図13から
図15に示すことから理解されるように、ケース13を構成する面であって、ペルチェ素子11と第一のヒートシンク12aとの接合する面及び/又はペルチェ素子11と第二のヒートシンク12bとの接合する面に対して垂直となる面に対して直角方向に延びる面に設けるようにしても良い。ただし、この場合、上記したように、ベース121側に空気が流れにくい可能性もあるため、フィン122の形状や、邪魔板の配置の工夫により、ベース121側にも空気が流れやすいようにするのが好ましい。
【0041】
ケース13を構成する面であって、ペルチェ素子11と第一のヒートシンク12aとの接合する面及び/又はペルチェ素子11と第二のヒートシンク12bとの接合する面に対して垂直となる面に対して交差する方向に延びる面に第二開口部132を設ける場合、
図13に示すように、第一開口部131と換気用ファン14との間を流れる風路の風上側に寄せた位置に配置するようにしても良いし、
図14に示すように、第一開口部131と換気用ファン14との間を流れる風路の風下側に寄せた位置に配置するようにしても良い。また、
図15に示すように、一つの面に複数の第二開口部132を設けるようにしても良い。
【0042】
以上、実施形態を例に挙げて本発明について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。例えば、換気用ファン14の風向きは逆にすることも可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 冷却装置
8 電気電子機器収納用箱
11 ペルチェ素子
12 ヒートシンク
12a 第一のヒートシンク
12b 第二のヒートシンク
13 ケース
14 換気用ファン
131 第一開口部
132 第二開口部