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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022074248
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】箔転写装置
(51)【国際特許分類】
   B65C 9/26 20060101AFI20220511BHJP
   B65C 5/04 20060101ALI20220511BHJP
   B41F 16/00 20060101ALN20220511BHJP
【FI】
B65C9/26
B65C5/04
B41F16/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020184130
(22)【出願日】2020-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100195224
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 宏憲
(72)【発明者】
【氏名】大平 彩花
(72)【発明者】
【氏名】山本 智也
【テーマコード(参考)】
3E095
【Fターム(参考)】
3E095AA01
3E095DA48
3E095DA59
3E095EA24
3E095EA29
3E095FA12
3E095FA25
(57)【要約】
【課題】使い勝手を向上させることができる箔転写装置を提供する。
【解決手段】箔転写装置は、シートSの先端部を箔転写領域TAとして箔を転写する先端転写モード、シートSの中央部を箔転写領域TAとして箔を転写する中央転写モードをユーザからの指令により実行可能である。先端転写モードまたは中央転写モードの実行中に、シートSに箔を転写する場合、箔転写領域TAが加熱ローラ61と加圧ローラ51に挟持される箔転写位置に到達する前に加熱ローラ61を圧接させ、箔転写領域TAが箔フィルムFから剥離した後に加熱ローラ61を離間させる。先端転写モードまたは中央転写モードの実行中において、加熱ローラ61が加圧ローラ51から離れた後にシートSが停止したと推定される場合、加熱ローラ61を圧接させ、加熱ローラ61と加圧ローラ51、および、中間排出ローラ12Aを回転させてシートSを搬送し、排出する排出処理を実行する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
箔を含む箔フィルムにシートを重ねて、シート上のトナー像に箔を転写する箔転写装置であって、
加熱ローラと、
前記加熱ローラとの間で箔フィルムとシートを搬送するための加圧ローラと、
前記加熱ローラと前記加圧ローラの間を抜けた箔フィルムとシートを剥離するための剥離部材と、
シートを搬送するためのローラであって、シートの搬送方向において前記剥離部材の下流に配置された下流搬送ローラと、
前記加熱ローラおよび前記加圧ローラのうち一方のローラを、他方のローラに圧接した圧接位置と、前記他方のローラから離間した離間位置との間で移動させる圧接離間機構と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
シート上の箔を転写すべき領域であって、シートの前記搬送方向における一部の領域である箔転写領域をユーザからの指令により設定可能であり、
前記搬送方向においてシートの先端から第1長さまでの領域を前記箔転写領域としてシートに箔を転写する先端転写モード、および、前記搬送方向においてシートの先端から第2長さの位置から、第3長さまでの領域を前記箔転写領域としてシートに箔を転写する中央転写モード、の少なくとも一方を実行可能であり、
前記先端転写モードまたは前記中央転写モードの実行中に、
シートに箔を転写する場合、前記圧接離間機構を制御して、前記箔転写領域が前記加熱ローラと前記加圧ローラに挟持される箔転写位置に到達する前のタイミングで前記一方のローラを前記離間位置から前記圧接位置に移動させ、前記箔転写領域が箔フィルムから剥離した後のタイミングで前記一方のローラを前記圧接位置から前記離間位置に移動させ、
前記一方のローラが前記他方のローラから離れた後にシートが停止したと推定される場合、前記圧接離間機構を制御して、前記一方のローラを前記圧接位置に位置させ、前記加熱ローラおよび前記加圧ローラの少なくとも一方、並びに、前記下流搬送ローラを制御して、当該シートを排出する排出処理を実行することを特徴とする箔転写装置。
【請求項2】
シートを検知するセンサであって、前記搬送方向において前記箔転写位置の上流に配置された上流シートセンサと、
シートを検知するセンサであって、前記搬送方向において前記箔転写位置の下流に配置された下流シートセンサと、を備え、
前記制御部は、前記上流シートセンサがシートを検知しなくなってから第1時間が経過したときに前記下流シートセンサがシートを検知している場合、前記排出処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の箔転写装置。
【請求項3】
シートを検知するセンサであって、前記搬送方向において前記箔転写位置の上流に配置された上流シートセンサと、
シートを検知するセンサであって、前記搬送方向において前記箔転写位置の下流に配置された下流シートセンサと、を備え、
前記制御部は、前記上流シートセンサおよび前記下流シートセンサの両方がシートを検知している状態となってから第2時間が経過した場合、前記排出処理を実行することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の箔転写装置。
【請求項4】
シートを検知するセンサであって、前記搬送方向において前記箔転写位置の下流に配置された下流シートセンサを備え、
前記制御部は、前記排出処理の開始から第3時間が経過したときに前記下流シートセンサがシートを検知している場合、シートの搬送を停止することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の箔転写装置。
【請求項5】
シートを検知するセンサであって、前記搬送方向において前記箔転写位置の上流に配置された上流シートセンサと、
シートを検知するセンサであって、前記搬送方向において前記箔転写位置の下流に配置された下流シートセンサと、を備え、
前記制御部は、前記上流シートセンサがシートを検知してから第4時間が経過するまでに前記下流シートセンサがシートを検知しなかった場合、シートの搬送を停止することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の箔転写装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記箔転写領域が変更されてシートに箔を転写する場合、シートが前記箔転写位置に到達する前のタイミングで、箔フィルムを所定長さ搬送する箔送り処理を実行することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の箔転写装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記箔転写領域が変更されて複数のシートに連続して箔を転写する場合、1枚目のシートについてのみ、前記箔送り処理を実行することを特徴とする請求項6に記載の箔転写装置。
【請求項8】
前記圧接離間機構は、前記一方のローラを前記圧接位置と前記離間位置との間で移動させるカムを備えることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の箔転写装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箔を含む箔フィルムにシートを重ねて、シート上のトナー像に箔を転写する箔転写装置に関する。
【背景技術】
【0002】
箔転写装置として、加熱ローラと、加熱ローラとの間で箔フィルムとシートを搬送する加圧ローラと、加熱ローラと加圧ローラの間を抜けた箔フィルムとシートを剥離するための剥離ローラと、シートを搬送する下流搬送ローラと、加熱ローラを加圧ローラに圧接した圧接位置と加圧ローラから離間した離間位置との間で移動させる圧接離間機構とを備えるものが知られている(特許文献1)。この技術では、シートの全体に箔を転写可能な全面転写モードと、シートの先端部のみに箔を転写する先端転写モードと、シートの後端部のみに箔を転写する後端転写モードとを実行可能であり、各モードをユーザの操作によって選択することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-121467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、シートに箔を転写する場合、箔を転写する領域が加熱ローラと加圧ローラに挟持される位置に到達する前のタイミングで加熱ローラを圧接位置に移動させ、剥離ローラにより、シートの箔を転写する領域と箔フィルムとが剥離した後のタイミングで加熱ローラを離間位置に移動させることで、箔フィルムの無駄な搬送を抑制することができる。
【0005】
一方で、例えば、先端転写モードを実行したときに、箔を転写する領域の、シートの搬送方向における下流にトナー像があった場合、シートの当該トナー像がある部分と箔フィルムとがくっついた状態のまま、加熱ローラが離間位置に移動してしまう可能性がある。このとき、下流搬送ローラによる搬送力が足りないと、シートが装置内で停止してしまうので、停止したシートを取り除く処理などを行う必要が生じ、箔転写装置の使い勝手の面で問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、使い勝手を向上させることができる箔転写装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した目的を達成するため、箔転写装置は、箔を含む箔フィルムにシートを重ねて、シート上のトナー像に箔を転写する箔転写装置であって、加熱ローラと、加熱ローラとの間で箔フィルムとシートを搬送するための加圧ローラと、加熱ローラと加圧ローラの間を抜けた箔フィルムとシートを剥離するための剥離部材と、シートを搬送するためのローラであって、シートの搬送方向において剥離部材の下流に配置された下流搬送ローラと、加熱ローラおよび加圧ローラのうち一方のローラを、他方のローラに圧接した圧接位置と、他方のローラから離間した離間位置との間で移動させる圧接離間機構と、制御部と、を備える。
制御部は、シート上の箔を転写すべき領域であって、シートの搬送方向における一部の領域である箔転写領域をユーザからの指令により設定可能である。
制御部は、搬送方向においてシートの先端から第1長さまでの領域を箔転写領域としてシートに箔を転写する先端転写モード、および、搬送方向においてシートの先端から第2長さの位置から、第3長さまでの領域を箔転写領域としてシートに箔を転写する中央転写モード、の少なくとも一方を実行可能である。
制御部は、先端転写モードまたは中央転写モードの実行中に、シートに箔を転写する場合、圧接離間機構を制御して、箔転写領域が加熱ローラと加圧ローラに挟持される箔転写位置に到達する前のタイミングで一方のローラを離間位置から圧接位置に移動させ、箔転写領域が箔フィルムから剥離した後のタイミングで一方のローラを圧接位置から離間位置に移動させる。
制御部は、先端転写モードまたは中央転写モードの実行中に、一方のローラが他方のローラから離れた後にシートが停止したと推定される場合、圧接離間機構を制御して、一方のローラを圧接位置に位置させ、加熱ローラおよび加圧ローラの少なくとも一方、並びに、下流搬送ローラを制御して、当該シートを排出する排出処理を実行する。
【0008】
このような構成によれば、箔転写領域の下流にトナー像があり、シートの当該トナー像がある部分と箔フィルムとがくっついていて、加熱ローラと加圧ローラが離れた後に下流搬送ローラによる搬送力が足りずにシートが停止した場合でも、加熱ローラと加圧ローラを再び圧接させてシートを送ることで、シート詰まりが発生したとはせず、シートを排出することができる。これにより、箔転写装置の使い勝手を向上させることができる。
【0009】
前記した箔転写装置は、シートを検知するセンサであって、搬送方向において箔転写位置の上流に配置された上流シートセンサと、シートを検知するセンサであって、搬送方向において箔転写位置の下流に配置された下流シートセンサと、を備え、制御部は、上流シートセンサがシートを検知しなくなってから第1時間が経過したときに下流シートセンサがシートを検知している場合、排出処理を実行する構成とすることができる。
【0010】
前記した箔転写装置は、シートを検知するセンサであって、搬送方向において箔転写位置の上流に配置された上流シートセンサと、シートを検知するセンサであって、搬送方向において箔転写位置の下流に配置された下流シートセンサと、を備え、制御部は、上流シートセンサおよび下流シートセンサの両方がシートを検知している状態となってから第2時間が経過した場合、排出処理を実行する構成とすることができる。
【0011】
前記した箔転写装置は、シートを検知するセンサであって、搬送方向において箔転写位置の下流に配置された下流シートセンサを備え、制御部は、排出処理の開始から第3時間が経過したときに下流シートセンサがシートを検知している場合、シートの搬送を停止する構成とすることができる。
【0012】
これによれば、加熱ローラと加圧ローラを再び圧接させてシートを送る動作をしているのにシートが下流シートセンサの位置で止まっているということであり、実際にシート詰まりが発生した可能性があるので、シートの搬送を停止することで、ユーザに異常を気付かせることができる。
【0013】
前記した箔転写装置は、シートを検知するセンサであって、搬送方向において箔転写位置の上流に配置された上流シートセンサと、シートを検知するセンサであって、搬送方向において箔転写位置の下流に配置された下流シートセンサと、を備え、制御部は、上流シートセンサがシートを検知してから第4時間が経過するまでに下流シートセンサがシートを検知しなかった場合、シートの搬送を停止する構成とすることができる。
【0014】
これによれば、シートが供給されたのに下流シートセンサに到達しないということであり、実際にシート詰まりが発生した可能性があるので、シートの搬送を停止することで、ユーザに異常を気付かせることができる。
【0015】
前記した箔転写装置において、制御部は、箔転写領域が変更されてシートに箔を転写する場合、シートが箔転写位置に到達する前のタイミングで、箔フィルムを所定長さ搬送する箔送り処理を実行する構成とすることができる。
【0016】
箔転写領域の下流にトナー像があり、当該トナー像付近で一方のローラが他方のローラから離れると、トナーが箔フィルムに付着する可能性がある。この場合、次のシートに箔転写を実行して、箔転写位置でシートの途中部分と、箔フィルムのトナーが付着した部分とが圧接されると、シートに箔フィルムに付着したトナーが転写されてしまう。そこで、箔転写領域が変更されてシートに箔を転写する場合に箔送り処理を実行することで、箔転写位置でシートの途中部分と、箔フィルムのトナーが付着する可能性がある部分とが圧接しなくなるので、シートに箔フィルムに付着したトナーが転写されるのを抑制することができる。
【0017】
前記した箔転写装置において、制御部は、箔転写領域が変更されて複数のシートに連続して箔を転写する場合、1枚目のシートについてのみ、箔送り処理を実行する構成とすることができる。
【0018】
これによれば、シートに箔フィルムに付着したトナーが転写されるのを抑制しつつ、箔フィルムの無駄を減らすことができる。
【0019】
前記した箔転写装置において、圧接離間機構は、一方のローラを圧接位置と離間位置との間で移動させるカムを備える構成とすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、箔転写装置の使い勝手を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態に係る箔転写装置を示す図(a)と、箔フィルムの構成を示す断面図(b)である。
図2】カバーを開いた状態の箔転写装置を示す図である。
図3】箔転写装置の構成を簡略化して示す図(a),(b)である。
図4】各転写モードの処理を説明する図(a)~(d)である。
図5】排出処理を説明する図(a)~(c)である。
図6】箔送り処理を説明する図(a)~(d)である。
図7】制御部の動作を示すフローチャートである。
図8】全面転写処理を示すフローチャートである。
図9】先端転写処理の前半を示すフローチャートである。
図10】先端転写処理および中央転写処理の後半を示すフローチャートである。
図11】中央転写処理の前半を示すフローチャートである。
図12】後端転写処理の前半を示すフローチャートである。
図13】後端転写処理の後半を示すフローチャートである。
図14】箔送り処理を示すフローチャートである。
図15】エラーチェック処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。以下の説明において、方向は、図1(a)に示す方向で説明する。すなわち、図1(a)の右側を「前」とし、左側を「後」とし、紙面手前側を「左」とし、紙面奥側を「右」とする。また、図1(a)の上下を「上下」とする。
【0023】
図1(a)に示すように、箔転写装置1は、箔を含む箔フィルムFにシートSを重ねて、シートS上のトナー像に箔を転写するための装置である。箔転写装置1は、例えば、レーザプリンタなどの画像形成装置によってシートS上に形成されたトナー像の上にアルミニウムなどの箔を転写することで、シートSに箔の画像を形成する。箔転写装置1は、筐体2と、シートトレイ3と、シート搬送部10と、フィルム供給部30と、転写部50とを備えている。
【0024】
筐体2は、樹脂などからなり、筐体本体21と、カバー22とを備えている。
筐体本体21は、上部に開口21A(図2参照)を有している。開口21Aは、筐体本体21に後述するフィルムユニットFUを着脱するための開口である。
カバー22は、開口21Aを開閉するための部材である。カバー22の後端部は、筐体本体21に回動可能に支持されている。カバー22は、開口21Aを塞ぐ閉位置と、開口21Aを開放する開位置(図2参照)との間で回動可能である。
【0025】
シートトレイ3は、用紙、OHPフィルムなどのシートSが載置されるトレイである。シートトレイ3は、筐体2の後部に設けられている。シートSは、トナー像が形成された面を下向きにしてシートトレイ3上に載置される。
【0026】
シート搬送部10は、シート供給機構11と、シート排出機構12とを備えている。
シート供給機構11は、シートトレイ3上のシートSを1枚ずつ転写部50に向けて搬送する機構である。シート供給機構11は、ピックアップローラ11Aと、リタードローラ11Bと、フィードローラ11Cとを備えている。
【0027】
ピックアップローラ11Aは、シートトレイ3上のシートSを転写部50に向けて供給するためのローラである。
【0028】
リタードローラ11Bは、ピックアップローラ11Aによって搬送されるシートSを1枚に分離するためのローラである。リタードローラ11Bは、ピックアップローラ11Aの上に配置されている。リタードローラ11Bは、ピックアップローラ11Aで送り出されるシートSの上に重なっているシートSをシートトレイ3に向けて戻す方向に回転可能となっている。
【0029】
フィードローラ11Cは、ピックアップローラ11Aで送り出されるシートSを転写部50に向けて搬送するためのローラである。フィードローラ11Cは、一対のローラからなり、一対のローラの間でシートSを挟んだ状態で各ローラが回転することで、シートSを搬送可能となっている。フィードローラ11Cは、シートSの搬送方向において、転写部50の上流に配置されている。詳しくは、フィードローラ11Cは、ピックアップローラ11Aと転写部50との間に配置されている。
【0030】
シート排出機構12は、転写部50を通過したシートSを筐体2の外部に排出する機構である。シート排出機構12は、下流搬送ローラの一例としての中間排出ローラ12Aと、排出ローラ12Bとを備えている。中間排出ローラ12Aおよび排出ローラ12Bは、シートSを搬送するためのローラである。中間排出ローラ12Aおよび排出ローラ12Bは、それぞれ、一対のローラからなり、一対のローラの間でシートSを挟んだ状態で各ローラが回転することで、シートSを搬送可能となっている。
【0031】
中間排出ローラ12Aは、転写部50から送り出されるシートSを排出ローラ12Bに向けて搬送する。中間排出ローラ12Aは、搬送方向において、転写部50の下流に配置されている。また、中間排出ローラ12Aは、シートSの搬送方向において、後述する第2案内軸42の下流に配置されている。なお、以下の説明では、シートSの搬送方向を、単に「搬送方向」ともいう。
【0032】
排出ローラ12Bは、中間排出ローラ12Aで送り出されるシートSを筐体2の外に向けて排出する。排出ローラ12Bは、搬送方向において、中間排出ローラ12Aの下流に配置されている。
【0033】
フィルム供給部30は、シート供給機構11から搬送されたシートSに重ねるように箔フィルムFを供給する部分である。フィルム供給部30は、フィルムユニットFUと、メインモータ80を備えている。
【0034】
フィルムユニットFUは、図2に示すように、筐体本体21に上から着脱可能となっている。フィルムユニットFUは、供給リール31と、巻取リール35と、第1案内軸41と、剥離部材の一例としての第2案内軸42と、第3案内軸43とを備えている。フィルムユニットFUの供給リール31には、箔フィルムFが巻回されている。
【0035】
図1(b)に示すように、箔フィルムFは、支持層F1と、被支持層F2とを有する。
支持層F1は、高分子材料からなるテープ状の透明な基材であり、被支持層F2を支持している。
【0036】
被支持層F2は、剥離層F21と、転写層F22と、接着層F23とを有する。剥離層F21は、支持層F1から転写層F22を剥離しやすくするための層であり、支持層F1と転写層F22との間に配置されている。剥離層F21は、支持層F1から剥離しやすい透明な材料、例えば、ワックス系樹脂を含んでいる。
【0037】
転写層F22は、トナー像に転写される層であり、箔を含んでいる。箔とは、金、銀、銅、アルミニウムなどの薄い金属である。また、転写層F22は、金色、銀色、赤色などの着色材料と、熱可塑性樹脂とを含む。転写層F22は、剥離層F21と接着層F23との間に配置されている。
【0038】
接着層F23は、転写層F22をトナー像に接着しやすくするための層である。接着層F23は、転写部50によって加熱されたトナー像に付着しやすい材料、例えば、塩化ビニル系樹脂やアクリル系樹脂を含んでいる。
【0039】
図1(a)に示すように、供給リール31は、樹脂などからなり、箔フィルムFが巻回される供給軸部31Aを有している。巻取リール35は、樹脂などからなり、箔フィルムFを巻き取るための巻取軸部35Aを有している。供給リール31には、図示せぬ負荷付与機構が設けられている。この負荷付与機構は、供給リール31を回転可能に支持する供給ケース32との間で摩擦力を発生させることで供給リール31に負荷トルクを付与する機構である。供給リール31に負荷トルクが付与されることで、巻取リール35で箔フィルムFを巻き取ると、箔フィルムFに張力がかかる。
【0040】
なお、図1(a)などにおいては、便宜上、供給リール31および巻取リール35の両方に箔フィルムFが最大に巻回された状態を図示することとする。実際には、フィルムユニットFUが新品の状態においては、供給リール31に巻回されたロール状の箔フィルムFの径は最大となっており、巻取リール35には箔フィルムFが巻回されていない、もしくは、巻取リール35に巻回されたロール状の箔フィルムFの径は最小となっている。また、フィルムユニットFUの寿命時(箔フィルムFを使い切ったとき)においては、巻取リール35に巻回されたロール状の箔フィルムFの径は最大となり、供給リール31には箔フィルムFが巻回されていない、もしくは、供給リール31に巻回されたロール状の箔フィルムFの径は最小となる。
【0041】
第1案内軸41、第2案内軸42および第3案内軸43は、箔フィルムFの進行方向を変更するためのローラ状の軸である。第1案内軸41、第2案内軸42および第3案内軸43は、SUS(ステンレス鋼)などからなっている。
【0042】
第1案内軸41は、シートSの搬送方向において、転写部50の上流に位置する。第1案内軸41は、供給リール31から引き出される箔フィルムFの進行方向を、シートSの搬送方向と略平行となるように変更する。第1案内軸41によって案内される箔フィルムFは、被支持層F2(図1(b)参照)を上に向けた状態で、転写部50に向けて搬送される。また、シートSは、被支持層F2が上に向いた状態の箔フィルムFの上に重ねられて、箔フィルムFとともに転写部50に向けて搬送される。
【0043】
第2案内軸42は、転写部50(後述する加圧ローラ51と加熱ローラ61の間)を抜けた箔フィルムFとシートSを剥離するための部材である。第2案内軸42は、シートSの搬送方向において、転写部50の下流に位置する。第2案内軸42は、転写部50を通過した箔フィルムFの進行方向をシートSの搬送方向とは異なる方向に変更することで、箔フィルムFをシートSから剥離させる。
【0044】
第3案内軸43は、第2案内軸42によって変更される箔フィルムFの進行方向を規定する部材である。詳しくは、第3案内軸43は、シートSから箔フィルムFを剥離させるときの箔フィルムFの角度である剥離角度を規定している。ここで、剥離角度は、箔フィルムFのうち、第1案内軸41と第2案内軸42の間で張架される部分と、第2案内軸42と第3案内軸43の間で張架される部分とのなす角である。第3案内軸43は、第2案内軸42で案内された箔フィルムFの進行方向を変更して巻取リール35に案内する。
【0045】
フィルムユニットFUを箔転写装置1に装着した状態において、巻取リール35は、筐体2に設けられたメインモータ80によって図示反時計回りに回転駆動される。巻取リール35が回転すると、供給リール31に巻回された箔フィルムFが引き出され、引き出された箔フィルムFが各案内軸41~43で案内されて巻取リール35に巻き取られていく。詳しくは、箔転写中において、加圧ローラ51と加熱ローラ61によって箔フィルムFが送り出されることで、供給リール31から箔フィルムFが引き出される。そして、加圧ローラ51と加熱ローラ61から送り出された箔フィルムFが、巻取リール35に巻き取られていく。
【0046】
転写部50は、シートSと箔フィルムFを重ねた状態で加熱および加圧することで、シートSに形成されたトナー像の上に転写層F22を転写するための部分である。転写部50は、加圧ローラ51と、加熱ローラ61と、圧接離間機構70とを備えている。転写部50は、加圧ローラ51と加熱ローラ61のニップ部において、シートSと箔フィルムFを重ねて加熱および加圧する。
【0047】
加圧ローラ51は、加熱ローラ61との間で箔フィルムFとシートSを搬送するためのローラである。加圧ローラ51は、円筒状の芯金の周囲をシリコンゴムからなるゴム層で被覆したローラである。加圧ローラ51は、箔フィルムFの上側に配置され、シートSの裏面(トナー像が形成された面である表面と反対側の面)と接触可能となっている。加圧ローラ51は、両端部がカバー22に回転可能に支持されている。加圧ローラ51は、加熱ローラ61との間でシートSおよび箔フィルムFを挟み、メインモータ80によって回転駆動されることで加熱ローラ61を従動回転させる。
【0048】
加熱ローラ61は、円筒状に形成された金属管の内部にヒータを配置したローラであり、箔フィルムFおよびシートSを加熱している。加熱ローラ61は、箔フィルムFの下側に配置され、箔フィルムFと接触している。加熱ローラ61は、箔フィルムFおよびシートSを加熱する。
【0049】
圧接離間機構70は、加熱ローラ61および加圧ローラ51のうち一方のローラを、他方のローラに圧接した圧接位置と、他方のローラから離間した離間位置との間で移動させるための機構である。本実施形態において、圧接離間機構70は、加熱ローラ61を、加圧ローラ51に圧接した圧接位置と、加圧ローラ51から離間した離間位置(図3(b)参照)との間で移動させる構成となっている。
【0050】
このように構成された箔転写装置1では、シートSの表面を下向きにしてシートトレイ3に載置されたシートSが、シート供給機構11により1枚ずつ転写部50に向けて搬送される。シートSは、転写部50の搬送方向における上流側で、供給リール31から供給された箔フィルムFと重ねられ、シートSのトナー像と箔フィルムFの被支持層F2とが接触した状態で転写部50に搬送される。
【0051】
転写部50においては、シートSと箔フィルムFが加圧ローラ51と加熱ローラ61の間のニップ部を通過する際に、加熱ローラ61と加圧ローラ51により加熱および加圧され、トナー像の上に箔(被支持層F2)が転写される。
【0052】
箔が転写された後、シートSと箔フィルムFは貼り付いた状態で第2案内軸42まで搬送される。シートSと箔フィルムFが第2案内軸42を通過すると、箔フィルムFの搬送方向がシートSの搬送方向と異なる方向に変わるため、シートSから箔フィルムFが剥離、すなわち、トナー像に接着した被支持層F2が、箔フィルムFの支持層F1から剥離される。
【0053】
シートSから剥離され、シートS上のトナー像に接着した被支持層F2から剥離した支持層F1を含む箔フィルムFは、巻取リール35に巻き取られていく。一方、箔フィルムFが剥離されたシートSは、シート排出機構12によって、箔が転写された表面を下に向けた状態で、筐体2の外部に排出される。
【0054】
図3(a)に示すように、箔転写装置1は、上流シートセンサの一例としての後端検知センサSS1と、下流シートセンサの一例としての排出センサSS2と、接離モータ90と、操作部であるタッチパネルTPと、制御部100とをさらに備えている。なお、図3においては、箔転写装置1の構成を簡略化して示している。
【0055】
後端検知センサSS1および排出センサSS2は、シートSを検知するためのセンサである。ここで、後端検知センサSS1および排出センサSS2としては、例えば、シートSが接触することで回動するレバーと、レバーの位置を検知する光センサとからなるセンサを用いることができる。
【0056】
後端検知センサSS1は、シートSの搬送方向において、転写部50の箔転写位置の上流に配置されている。ここで、箔転写位置とは、シートSが加熱ローラ61と加圧ローラ51に挟持される位置である。箔転写装置1は、箔転写位置でシートSに箔を転写する。後端検知センサSS1は、搬送方向において、ピックアップローラ11Aと箔転写位置の間に配置されている。詳しくは、後端検知センサSS1は、搬送方向において、ピックアップローラ11Aとフィードローラ11Cの間に配置されている。
【0057】
排出センサSS2は、搬送方向において、箔転写位置の下流に配置されている。詳しくは、排出センサSS2は、搬送方向において、箔転写位置と排出ローラ12Bの間に配置されている。より詳しくは、排出センサSS2は、搬送方向において、中間排出ローラ12Aと排出ローラ12Bの間に配置されている。
【0058】
本実施形態において、後端検知センサSS1および排出センサSS2は、シートSを検知しているときにON信号を制御部100に出力し、シートSを検知していないときにOFF信号を制御部100に出力する。このため、制御部100に出力される信号がOFF信号からON信号に切り替わったときがシートSを検知したときとなり、制御部100に出力される信号がON信号からOFF信号に切り替わったときがシートSを検知しなくなったときとなる。
【0059】
メインモータ80は、巻取リール35および加圧ローラ51に駆動力を付与する他、シート搬送部10にも駆動力を付与する。制御部100は、加圧ローラ51の駆動と停止を制御する。制御部100は、シート搬送部10のピックアップローラ11Aの駆動と停止と、ピックアップローラ11A以外のリタードローラ11B、フィードローラ11C、中間排出ローラ12Aおよび排出ローラ12B(以下、「搬送ローラ11B~12B」ともいう。)の駆動と停止を個別に制御可能である。
【0060】
接離モータ90は、圧接離間機構70を駆動して、加熱ローラ61を、図3(a)に示す加圧ローラ51に圧接する圧接位置と、図3(b)に示す加圧ローラ51から離間する離間位置との間で移動させるためのモータである。図3(b)に示すように、圧接離間機構70は、可動フレーム71と、カム73と、カム73に押圧されるローラ75とを備えている。加熱ローラ61は、両端部が可動フレーム71に回転可能に支持されている。また、ローラ75は、可動フレーム71に支持されている。
【0061】
可動フレーム71は、筐体本体21(図1(a)参照)に、略上下にスライド移動可能に支持されている。カム73は、可動フレーム71をスライド移動させることで、加熱ローラ61を圧接位置と離間位置との間で移動させる部材である。カム73は、シャフト73Sを有し、シャフト73Sが筐体本体21に回転可能に支持されている。カム73は、シャフト73Sの回転に伴って、図3(b)に示すリリース位置と、図3(a)に示す押圧位置とに変位可能である。
【0062】
カム73は、シャフト73Sに接離モータ90から駆動力が付与され、リリース位置から押圧位置に変位することで加熱ローラ61を離間位置から圧接位置に移動させ、押圧位置からリリース位置に変位することで加熱ローラ61を圧接位置から離間位置に移動させる。圧接離間機構70の近傍には、加熱ローラ61の位置を検出する位置センサSAが設けられている。ここで、位置センサSAとしては、例えば、光センサなどを用いることができる。
【0063】
タッチパネルTPは、ユーザによって操作されるボタンなどを表示するパネルである。タッチパネルTPは、例えば、カバー22の上面に設けられている(図1(a)参照)。タッチパネルTPは、第1ボタンB1と、第2ボタンB2と、第3ボタンB3と、第4ボタンB4と、入力部B5と、スタートボタンB6とを表示する。
【0064】
第1ボタンB1は、全面転写モードを選択するためのボタンである。第2ボタンB2は、先端転写モードを選択するためのボタンである。第3ボタンB3は、中央転写モードを選択するためのボタンである。第4ボタンB4は、後端転写モードを選択するためのボタンである。入力部B5は、タッチパネルTPに表示される数値などを変更するための複数のボタンを有している。スタートボタンB6は、箔転写を実行するためのボタンである。
【0065】
ここで、全面転写モードは、シートSの全面に箔を転写可能なモードである。また、先端転写モード、中央転写モードおよび後端転写モードは、シートSの一部、具体的には、箔転写領域TAに箔を転写するモードである。箔転写領域TAは、シートS上の箔を転写すべき領域であって、シートSの搬送方向における一部の領域である。
【0066】
詳しくは、先端転写モードは、シートSの搬送方向における先端部を箔転写領域TAとして箔を転写するモードである。具体的には、先端転写モードでは、搬送方向においてシートSの先端から第1長さまでの領域を箔転写領域TAとしてシートSに箔を転写する。また、中央転写モードは、シートSの搬送方向における中央部を箔転写領域TAとして箔を転写するモードである。具体的には、中央転写モードでは、搬送方向においてシートSの先端から第2長さの位置から、第3長さまでの領域を箔転写領域TAとしてシートSに箔を転写する。また、後端転写モードは、シートSの搬送方向における後端部を箔転写領域TAとして箔を転写するモードである。具体的には、後端転写モードでは、搬送方向においてシートSの先端から第4長さ以降の領域を箔転写領域TAとしてシートSに箔を転写する。
【0067】
ユーザは、ボタンB1~B4を選択することで、転写モードを選択することが可能となっている。また、本実施形態では、ユーザは、入力部B5を操作することで、先端転写モード、中央転写モードおよび後端転写モードにおける箔転写領域TAの範囲、具体的には、前述した第1長さ、第2長さと第3長さ、第4長さを任意に設定することが可能となっている。箔転写装置1は、箔転写領域TAの範囲(搬送方向の長さ)を、例えば、ミリ単位で設定可能となっている。
【0068】
タッチパネルTPは、ボタンB1~B4が押されて転写モードが選択されたり、入力部B5が操作されて箔転写領域TAの範囲が設定されたり、スタートボタンB6が押されたりすると、転写モードや箔転写領域TAの範囲の情報、箔転写開始の指令などを制御部100に出力する。
【0069】
制御部100は、CPU、RAM、ROMおよび入出力回路を備えており、ROMなどに記憶されたプログラムやデータに基づいて各種演算処理を行うことによって、制御を実行する。制御部100は、タッチパネルTPからの出力に基づいて、箔転写を実行する。
【0070】
制御部100は、箔転写領域TAをユーザからの指令により設定可能である。詳しくは、制御部100は、ユーザがタッチパネルTPのボタンB2~B4を押して先端転写モード、中央転写モード、後端転写モードのいずれかを選択したり、先端転写モード、中央転写モードまたは後端転写モードを選択した上で、入力部B5を操作して箔転写領域TAの範囲を任意に設定したりすることにより、箔転写領域TAを設定可能である。
【0071】
制御部100は、前述した全面転写モード、先端転写モード、中央転写モードおよび後端転写モードを実行可能である。制御部100は、転写モードの選択が行われ、または、転写モードの選択と箔転写領域TAの範囲の設定が行われた後、ユーザがタッチパネルTPのスタートボタンB6を押して箔転写開始の指令が出力されると、ユーザの選択などに応じた箔転写を実行する。なお、箔転写装置1は、箔転写開始の指令を待つ待機状態にあるとき、加熱ローラ61が離間位置に位置している。
【0072】
図4(a)に示すように、全面転写モードを実行してシートSに箔を転写する場合、制御部100は、シートSの先端が加圧ローラ51と加熱ローラ61の間の箔転写位置に到達する前のタイミングで、各ローラ11A~12Bを停止させ、シートSの搬送を一時停止させる。その後、制御部100は、圧接離間機構70を制御して、加熱ローラ61を離間位置から圧接位置に移動させる。その後、制御部100は、各ローラ11A~12Bおよび加圧ローラ51を駆動させ、シートSと箔フィルムFを搬送し、箔転写位置でシートSに箔を転写する。
【0073】
なお、シートSの先端や後述するような箔転写領域TAが箔転写位置に到達する前にシートSを一時停止させるタイミングは、例えば、後端検知センサSS1がシートトレイ3から供給されたシートSを検知してからの経過時間により判定することができる。
【0074】
その後、図4(b)に示すように、制御部100は、シートSの後端が箔転写位置を通過した後のタイミングで、搬送ローラ11B~12Bおよび加圧ローラ51を停止させ、シートSおよび箔フィルムFの搬送を一時停止させる。その後、制御部100は、圧接離間機構70を制御して、加熱ローラ61を圧接位置から離間位置に移動させる。その後、制御部100は、搬送ローラ11B~12Bを駆動させ、シートSを筐体2の外に排出する。
【0075】
なお、シートSの後端が箔転写位置を通過した後にシートSなどを一時停止させるタイミングや、後述するような箔転写領域TAが箔フィルムFから剥離した後にシートSなどを一時停止させるタイミングは、例えば、加熱ローラ61を離間位置から圧接位置に移動させた後に、各ローラ11A~12B,51などの駆動を開始してからの経過時間により判定することができる。ピックアップローラ11Aは、シートSの後端がピックアップローラ11Aとリタードローラ11Bの間を抜けたタイミングで停止する。
【0076】
図4(a)に示すように、先端転写モードを実行してシートSに箔を転写する場合、制御部100は、シートSの先端(詳しくは、箔転写領域TA)が箔転写位置に到達する前のタイミングで、各ローラ11A~12Bを停止させ、シートSの搬送を一時停止させる。その後、制御部100は、圧接離間機構70を制御して、加熱ローラ61を離間位置から圧接位置に移動させる。その後、制御部100は、各ローラ11A~12Bおよび加圧ローラ51を駆動させ、シートSと箔フィルムFを搬送し、シートSに箔を転写する。
【0077】
その後、図4(c)に示すように、制御部100は、箔転写領域TAが箔フィルムFから剥離した後のタイミング、言い換えると、箔転写領域TAが第2案内軸42を通過した後のタイミングで、搬送ローラ11B~12Bおよび加圧ローラ51を停止させ、シートSおよび箔フィルムFの搬送を一時停止させる。その後、制御部100は、圧接離間機構70を制御して、加熱ローラ61を圧接位置から離間位置に移動させる。その後、制御部100は、搬送ローラ11B~12Bを駆動させ、シートSを筐体2の外に排出する。
【0078】
図4(d)に示すように、中央転写モードを実行してシートSに箔を転写する場合、制御部100は、箔転写領域TAが箔転写位置に到達する前のタイミングで、各ローラ11A~12Bを停止させ、シートSの搬送を一時停止させる。その後、制御部100は、圧接離間機構70を制御して、加熱ローラ61を離間位置から圧接位置に移動させる。その後、制御部100は、各ローラ11A~12Bおよび加圧ローラ51を駆動させ、シートSとともに箔フィルムFを搬送し、シートSに箔を転写する。その後、制御部100は、先端転写モードの場合(図4(c)参照)と同様に、加熱ローラ61を離間位置に移動させ、シートSを排出する制御を実行する。
【0079】
後端転写モードを実行してシートSに箔を転写する場合、制御部100は、中央転写モードの場合(図4(d)参照)と同様に、加熱ローラ61を圧接位置に移動させ、シートSに箔を転写する制御を実行する。その後、制御部100は、全面転写モードの場合(図4(b)参照)と同様に、加熱ローラ61を離間位置に移動させ、シートSを排出する制御を実行する。
【0080】
図5(a)に示すように、ユーザが先端転写モードまたは中央転写モードを選択した場合において、実際には、箔転写領域TAの搬送方向における下流、詳しくは、箔転写領域TAの後端から第5長さまでの領域にもトナー像TBがあった場合、シートSが筐体2内で停止する可能性がある。ここで、第5長さは、箔転写位置から第2案内軸42までの距離D5と略等しい長さである。
【0081】
詳しくは、この場合、シートSのトナー像TBがある部分と箔フィルムFとが第2案内軸42で剥離される前のくっついた状態のまま、加熱ローラ61が圧接位置から離間位置に移動するので、その後は、加圧ローラ51と加熱ローラ61の間でシートSを送り出すことができない。そして、この場合に、中間排出ローラ12Aなどによる搬送力が足りないと、シートSを送ることができず、シートSが筐体2内で停止する可能性がある。
【0082】
そこで、箔転写装置1において、制御部100は、先端転写モードまたは中央転写モードの実行中に、加熱ローラ61が加圧ローラ51から離れた後にシートSが停止したと推定される場合、排出処理を実行する。詳しくは、制御部100は、排出処理において、まず、加圧ローラ51と搬送ローラ11B~12Bを制御して、加圧ローラ51と加熱ローラ61、および、搬送ローラ11B~12Bを停止させる。
【0083】
次に、制御部100は、圧接離間機構70を制御して、図5(b)に示すように、加熱ローラ61を圧接位置に位置させる。その後、制御部100は、図5(c)に示すように、加圧ローラ51と搬送ローラ11B~12Bを制御して、加圧ローラ51と加熱ローラ61、および、搬送ローラ11B~12Bを回転させて当該シートSを搬送し、当該シートSを筐体2の外に排出する。排出処理を実行することで、シートSは、加圧ローラ51と加熱ローラ61により送り出されながら、加圧ローラ51と加熱ローラ61、および、中間排出ローラ12Aなどにより搬送され、第2案内軸42でトナー像TBの部分が箔フィルムFから剥離されて筐体2の外に排出される。
【0084】
本実施形態において、制御部100は、後端検知センサSS1がシートSを検知しなくなってから第1時間t1が経過したときに排出センサSS2がシートSを検知している場合に、シートSが停止していると推定されるので、排出処理を実行する。第1時間t1は、実験やシミュレーションなどにより設定され、搬送方向における長さが後端検知センサSS1から排出センサSS2までの距離以下のシートSを、後端検知センサSS1で検知しなくなってから筐体2の外に排出するのに十分な時間に設定されている。
【0085】
また、制御部100は、後端検知センサSS1および排出センサSS2の両方がシートSを検知している状態となってから第2時間t2が経過した場合にも、シートSが停止していると推定されるので、排出処理を実行する。第2時間t2は、実験やシミュレーションなどにより設定され、搬送方向における長さが箔転写装置1で箔転写可能な最大の長さのシート(以下、「最大長さシート」という。)Sを、センサSS1,SS2の両方が検知する状態となってから筐体2の外に排出するのに十分な時間に設定されている。
【0086】
図6(a)に示すように、ユーザが先端転写モードまたは中央転写モードを選択して箔転写を実行した場合において、実際には、箔転写領域TAの搬送方向における下流にトナー像TBがあり、トナー像TB付近で加熱ローラ61が加圧ローラ51から離れると、トナー像TBを形成するトナーの一部(トナーTF)が箔フィルムFに付着する可能性がある。この場合、図6(b)に示すように、次のシートSに、中央転写モードや後端転写モードで箔転写を実行して、加熱ローラ61と加圧ローラ51の間の箔転写位置でシートSの途中部分と、箔フィルムFのトナーTFが付着した部分とが圧接されると、シートSに箔フィルムFに付着したトナーTFが転写され、いわゆるゴーストとなって現れてしまう可能性がある。
【0087】
そこで、箔転写装置1において、制御部100は、箔転写領域TAが変更されてシートSに箔を転写する場合、シートSが箔転写位置に到達する前のタイミングで、箔フィルムFを所定長さ搬送する箔送り処理を実行する。ここで、箔転写領域TAが変更された場合とは、転写モードが先端転写モード、中央転写モードおよび後端転写モードの3つのモードのうちの一のモードから他のモードに変更された場合、または、先端転写モード、中央転写モードおよび後端転写モードにおける箔転写領域TAの範囲が変更された場合である。
【0088】
制御部100は、箔送り処理において、シートSが箔転写位置に到達する前のタイミング、本実施形態では、シートSをピックアップローラ11Aで供給する前のタイミングで、図6(c)に示すように、加熱ローラ61を離間位置から圧接位置に移動させる。その後、制御部100は、図6(d)に示すように、加圧ローラ51を制御して、加圧ローラ51と加熱ローラ61を回転させて箔フィルムFを搬送する。制御部100は、箔フィルムFを所定長さだけ搬送するため、加圧ローラ51と加熱ローラ61を予め設定された第5時間t5だけ回転させる。その後、制御部100は、加圧ローラ51と加熱ローラ61を停止させ、加熱ローラ61を圧接位置から離間位置に移動させる。
【0089】
なお、制御部100は、箔送り処理を実行する場合、箔フィルムF上のトナーTFが加圧ローラ51に付着しないように、加熱ローラ61のヒータを制御して、加熱ローラ61の温度を箔転写時よりも低くする。具体的には、制御部100は、箔送り処理を実行する場合、ヒータをOFFとしたり、ヒータの目標温度を箔転写時よりも低い温度としてヒータをONとしたりする。
【0090】
制御部100は、箔転写領域TAが変更されて複数のシートSに連続して箔を転写する場合、1枚目のシートSについてのみ、箔送り処理を実行する。すなわち、2枚目以降のシートSについては、箔送り処理を実行しない。
【0091】
制御部100は、排出処理の開始から第3時間t3が経過したときに排出センサSS2がシートSを検知している場合、排出処理を実行してシートSを排出する動作を実行しているのにシートSが停止していると推定されるので、シートSの搬送を停止する。本実施形態では、制御部100は、排出処理において、加熱ローラ61を圧接位置に位置させた後に、搬送ローラ11B~12Bと加圧ローラ51を駆動させてから第3時間t3が経過したときに排出センサSS2がシートSを検知している場合、搬送ローラ11B~12Bと、加圧ローラ51(および加熱ローラ61)を停止させる。第3時間t3は、実験やシミュレーションなどにより設定され、最大長さシートSを、排出処理を開始してから筐体2の外に排出するのに十分な時間に設定されている。
【0092】
また、制御部100は、後端検知センサSS1がピックアップローラ11Aにより送り出されたシートSを検知してから第4時間t4が経過するまでに排出センサSS2がシートSを検知しなかった場合、シートSの供給が開始されたのに排出センサSS2に到達していないということであり、シートSが停止していると推定されるので、シートSの搬送を停止する。具体的には、制御部100は、この場合、ピックアップローラ11Aと、搬送ローラ11B~12Bと、加圧ローラ51(および加熱ローラ61)を停止させる。第4時間t4は、実験やシミュレーションなどにより設定され、シートSが後端検知センサSS1で検知されてから排出センサSS2で検知されるのに十分な時間に設定されている。
【0093】
制御部100は、シートSの搬送を停止した後、ユーザに対し、シート詰まりが発生したことを示す内容のエラーメッセージを筐体2に設けられたタッチパネルTPなどの表示部や図示せぬスピーカなどから出力するようにしてもよい。また、制御部100は、ユーザがシートSを取り除く処理をしやすいように、シートSの搬送を停止した後、加熱ローラ61を圧接位置から離間位置に移動させる。
【0094】
次に、制御部100の動作について詳細に説明する。制御部100は、箔転写装置1の電源が投入された後、図7に示す処理を繰り返し実行している。
図7に示すように、制御部100は、全面転写モードが選択された状態で箔転写開始の指令(全面転写指令)があるか否かを判定する(S101)。全面転写指令がある場合(S101,Yes)、制御部100は、全面転写処理を実行する(S102)。
【0095】
ステップS101において全面転写指令がない場合(No)、制御部100は、先端転写モードが選択された状態で箔転写開始の指令(先端転写指令)があるか否かを判定する(S103)。先端転写指令がある場合(S103,Yes)、制御部100は、先端転写処理を実行する(S104)。
【0096】
ステップS103において先端転写指令がない場合(No)、制御部100は、中央転写モードが選択された状態で箔転写開始の指令(中央転写指令)があるか否かを判定する(S105)。中央転写指令がある場合(S105,Yes)、制御部100は、中央転写処理を実行する(S106)。
【0097】
ステップS105において中央転写指令がない場合(No)、制御部100は、後端転写モードが選択された状態で箔転写開始の指令(後端転写指令)があるか否かを判定する(S107)。後端転写指令がある場合(S107,Yes)、制御部100は、後端転写処理を実行する(S108)。ステップS107において後端転写指令がない場合(No)、制御部100は、今回の処理を終了する。
【0098】
次に、全面転写処理について説明する。
図8に示すように、制御部100は、箔転写開始の指令を受信すると、箔転写準備処理を実行する(S11)。制御部100は、箔転写準備処理において、例えば、加熱ローラ61のヒータの制御を開始したり、メインモータ80を駆動させたりする。箔転写準備処理が終了した後、制御部100は、搬送ローラ11B~12Bを駆動させる(S12)。その後、制御部100は、ピックアップローラ11Aを駆動させ、シートSの供給を実行する(S13)。
【0099】
その後、制御部100は、シートSの先端が箔転写位置の直前に到達したか否かを判定する(S21)。シートSの先端が箔転写位置の直前に到達した場合(S21,Yes)、制御部100は、ピックアップローラ11Aおよび搬送ローラ11B~12Bを停止させ(S23)、シートSの搬送を停止する。その後、制御部100は、加熱ローラ61を離間位置から圧接位置に移動させる(S24)。その後、制御部100は、ピックアップローラ11A、搬送ローラ11B~12Bおよび加圧ローラ51を駆動させる(S25)。これにより、シートSと箔フィルムFが搬送され、シートSへの箔転写が行われる。
【0100】
その後、制御部100は、シートSの後端が箔転写位置を通過したか否かを判定する(S31)。シートSの後端が箔転写位置を通過した場合(S31,Yes)、制御部100は、搬送ローラ11B~12Bおよび加圧ローラ51を停止させ(S33)、シートSの搬送を停止する。その後、制御部100は、加熱ローラ61を圧接位置から離間位置に移動させる(S34)。その後、制御部100は、搬送ローラ11B~12Bを駆動させる(S35)。これにより、シートSが筐体2の外に向けて搬送される。
【0101】
次に、制御部100は、箔転写すべき次のシートSがあるか否かを判定する(S41)。なお、次のシートSがあるか否かは、例えば、シートトレイ3に載置されたシートSを検知する図示せぬセンサがシートSを検知しているか否かにより判定することができる。次のシートSがある場合(S41,Yes)、制御部100は、ステップS13の処理を実行する。
【0102】
ステップS41において、次のシートSがない場合(No)、制御部100は、シートSが筐体2の外に排出されたか否かを判定する(S42)。なお、シートSが排出されたか否かは、例えば、排出センサSS2がシートSを検知しなくなってから排出ローラ12Bを抜けるのに十分な時間が経過したか否かにより判定することができる。シートSが排出された場合(S42,Yes)、制御部100は、搬送ローラ11B~12Bを停止させる(S43)。
【0103】
その後、制御部100は、箔転写終了処理を実行する(S44)。制御部100は、箔転写終了処理において、例えば、メインモータ80を停止させたり、加熱ローラ61のヒータを制御して加熱ローラ61の温度を下げたりする。箔転写終了処理が終了した後、制御部100は、本処理を終了する。
【0104】
次に、先端転写処理について説明する。なお、以下では、先に説明した転写処理と同様の処理については同一の符号を付して適宜説明を省略する。
【0105】
図9に示すように、制御部100は、箔転写開始の指令を受信すると、箔転写準備処理を実行する(S11)。その後、制御部100は、箔転写領域TAが変更されたか、具体的には、モードが中央転写モードもしくは後端転写モードから先端転写モードに変更されたか、または、箔転写領域TAの範囲が変更されたかを判定する(S51)。箔転写領域TAが変更されていない場合(S51,No)、制御部100は、ステップS12の処理を実行する。
【0106】
ステップS51において、箔転写領域TAが変更された場合(Yes)、制御部100は、箔送り処理を実行する(S52)。図14に示すように、箔送り処理において、制御部100は、加熱ローラ61を離間位置から圧接位置に移動させ(S53)、加圧ローラ51を駆動させる(S54)。これにより、加圧ローラ51と加熱ローラ61が回転し、箔フィルムFが搬送される。
【0107】
制御部100は、加圧ローラ51を駆動させてから第5時間t5が経過したか否かを判定する(S55)。第5時間t5が経過した場合(S55,Yes)、箔フィルムFが所定長さ搬送されたので、制御部100は、加圧ローラ51を停止させ(S56)、加熱ローラ61を圧接位置から離間位置に移動させる(S57)。図9に戻り、その後、制御部100は、ステップS12の処理を実行する。
【0108】
先端転写処理においては、ステップS25の処理の後、制御部100は、箔転写領域TAが第2案内軸42を通過したか否かを判定する(S32)。そして、箔転写領域TAが第2案内軸42を通過した場合(S32,Yes)、制御部100は、ステップS33の処理を実行する。
【0109】
制御部100は、搬送ローラ11B~12Bおよび加圧ローラ51を停止させ(S33)、加熱ローラ61を離間位置に移動させ(S34)、搬送ローラ11B~12Bを駆動させた後(S35)、図10に示すように、後端検知センサSS1がシートSを検知してONとなっているか否かを判定する(S61)。後端検知センサSS1がONとなっている場合(S61,Yes)、制御部100は、排出センサSS2がシートSを検知してONとなっているか否かを判定する(S62)。
【0110】
排出センサSS2もONとなっている場合(S62,Yes)、制御部100は、排出センサSS2がONとなってから、詳しくは、センサSS1,SS2の両方がONの状態となってから第2時間t2が経過したか否かを判定する(S63)。第2時間t2が経過していない場合(S63,No)、および、ステップS62において、排出センサSS2がシートSを検知しておらず、OFFとなっている場合(No)、制御部100は、ステップS61の処理を実行する。
【0111】
ステップS63において、センサSS1,SS2の両方がONの状態となってから第2時間t2が経過した場合(Yes)、シートSが停止していると推定されるので、制御部100は、ステップS71の処理を実行する。
【0112】
また、制御部100は、ステップS61において、後端検知センサSS1がシートSを検知しておらず、OFFとなっている場合(No)、後端検知センサSS1がOFFとなってから第1時間t1が経過したか否かを判定する(S64)。第1時間t1が経過した場合(S64,Yes)、制御部100は、排出センサSS2がONとなっているか否かを判定する(S65)。
【0113】
排出センサSS2がOFFとなっている場合(S65,No)、シートSは正常に搬送されているので、制御部100は、次のシートSがあるか否かを判定する(S41)。一方、ステップS65において、排出センサSS2がONとなっている場合(Yes)、シートSが停止していると推定されるので、制御部100は、ステップS71の処理を実行する。
【0114】
ステップS71において、制御部100は、加熱ローラ61を再び圧接位置に位置させるため、まず、搬送ローラ11B~12Bを停止させる。その後、制御部100は、加熱ローラ61を圧接位置に位置させる(S72)。その後、制御部100は、搬送ローラ11B~12Bおよび加圧ローラ51を駆動させ、排出処理を開始する(S73)。これにより、シートSは、箔フィルムFにくっついて止まっていた場合には、筐体2の外に向けて搬送されることになる。
【0115】
その後、制御部100は、排出センサSS2がOFFとなったか否かを判定する(S74)。排出センサSS2がOFFとなった場合(S74,Yes)、制御部100は、シートSが筐体2の外に排出されたか否かを判定する(S75)。シートSが排出された場合(S75,Yes)、制御部100は、搬送ローラ11B~12Bおよび加圧ローラ51を停止させる(S76)。その後、制御部100は、加熱ローラ61を圧接位置から離間位置に移動させる(S77)。
【0116】
次に、制御部100は、次のシートSがあるか否かを判定する(S78)。次のシートSがある場合(S78,Yes)、制御部100は、搬送ローラ11B~12Bを駆動させ(S79)、図9のステップS13の処理を実行する。また、ステップS78において、次のシートSがない場合(No)、制御部100は、箔転写終了処理を実行し(S44)、本処理を終了する。
【0117】
次に、中央転写処理について説明する。
図11に示すように、中央転写処理は、先端転写処理と略同様である。中央転写処理においては、ステップS13の処理の後、制御部100は、箔転写領域TAが箔転写位置の直前に到達したか否かを判定する(S22)。そして、箔転写領域TAが箔転写位置の直前に到達した場合(S22,Yes)、制御部100は、ステップS23の処理を実行する。
【0118】
次に、後端転写処理について説明する。
図12および図13に示すように、後端転写処理は、ステップS25までの処理は中央転写処理と同様であり、ステップS31以降の処理は全面転写処理と同様である。
【0119】
なお、先端転写処理、中央転写処理および後端転写処理のステップS41またはステップS78において、次のシートS(2枚目以降のシートS)がある場合(Yes)、制御部100は、箔送り処理(S52)を実行することなく、次のシートSの供給を実行する(S13)。
【0120】
次に、エラーチェック処理について説明する。制御部100は、箔転写開始の指令を受信して箔転写の実行を開始した後、図15に示す処理を繰り返し実行している。
図15に示すように、制御部100は、後端検知センサSS1がONとなってから第4時間t4が経過したか否かを判定する(S111)。第4時間t4が経過していない場合(S111,No)、制御部100は、今回の処理を終了する。第4時間t4が経過した場合(S111,Yes)、制御部100は、排出センサSS2がOFFとなっているか否かを判定する(S112)。
【0121】
排出センサSS2がOFFとなっている場合(S112,Yes)、制御部100は、シートSの搬送を停止する(S131)。具体的には、ピックアップローラ11A、搬送ローラ11B~12Bおよび加圧ローラ51を停止させる。その後、制御部100は、エラーメッセージを出力して(S132)、本処理を終了する。
【0122】
また、ステップS112において、排出センサSS2がONとなっている場合(No)、制御部100は、排出処理が実行中であるか否かを判定する(S121)。排出処理が実行中でない場合(S121,No)、制御部100は、今回の処理を終了する。
【0123】
ステップS121において、排出処理が実行中である場合(Yes)、制御部100は、排出処理開始(図10のステップS73参照)から第3時間t3が経過したか否かを判定する(S122)。第3時間t3が経過していない場合(S122,No)、制御部100は、今回の処理を終了する。第3時間t3が経過した場合(S122,Yes)、制御部100は、排出センサSS2がONとなっているか否かを判定する(S123)。
【0124】
排出センサSS2がOFFとなっている場合(S123,No)、制御部100は、今回の処理を終了する。ステップS123において、排出センサSS2がONとなっている場合(Yes)、制御部100は、シートSの搬送を停止する(S131)。具体的には、搬送ローラ11B~12Bおよび加圧ローラ51を停止させる。その後、制御部100は、エラーメッセージを出力して(S132)、本処理を終了する。
【0125】
以上説明した本実施形態によれば、図5(a)に示したように、箔転写領域TAの下流にトナー像TBがあり、シートSのトナー像TBがある部分と箔フィルムFとがくっついていて、加熱ローラ61と加圧ローラ51が離れた後に中間排出ローラ12Aなどによる搬送力が足りずにシートSが停止した場合でも、図5(b),(c)に示すように、加熱ローラ61と加圧ローラ51を再び圧接させてシートSを送ることで、シート詰まりが発生したとはせず、シートSを筐体2の外に排出することができる。これにより、ユーザがシートSを取り除く処理などを行う必要がないので、箔転写装置1の使い勝手を向上させることができる。
【0126】
また、ユーザが排出されたシートSを見て、ユーザ自身が設定した箔転写領域TAの外(トナー像TBの部分)に箔が転写されていることに気付いた場合には、ユーザに箔転写領域TAの設定が間違っていたことを気付かせることができる。これにより、ユーザに箔転写領域TAの設定の変更を促すことができる。
【0127】
また、排出処理の開始から第3時間t3が経過したときに排出センサSS2がONとなっている場合には、加熱ローラ61と加圧ローラ51を再び圧接させてシートSを送る動作をしているのにシートSが排出センサSS2の位置で止まっているということであり、実際にシート詰まりが発生した可能性がある。そこで、この場合に、シートSの搬送を停止することで、ユーザに異常を気付かせることができる。
【0128】
なお、搬送方向における長さが最大長さシートSよりも長いシート(以下、「長尺シート」という。)が使用された場合には、排出処理で正常に搬送が行われても、排出処理の開始から第3時間t3が経過したときに排出センサSS2はONとなる。そのため、箔転写装置1は、長尺シートが使用された場合にも、排出処理の開始後に搬送を停止することがある。長尺シートが使用された場合に、シート詰まりが発生して筐体2内で止まってしまうと、シート供給機構11によって搬送されることで長尺シートが筐体2内に押し込まれて、筐体2内で複雑に変形してしまうおそれがある。箔転写装置1によれば、長尺シートが使用された場合に搬送を停止できることで、シート詰まりが発生した場合において、長尺シートが筐体2内に押し込まれてしまうのを抑制することができる。
【0129】
また、後端検知センサSS1がシートSを検知してから第4時間t4が経過するまでに排出センサSS2がOFFのままである場合には、シートSが供給されたのに排出センサSS2に到達しないということであり、実際にシート詰まりが発生した可能性がある。そこで、この場合に、シートSの搬送を停止することで、ユーザに異常を気付かせることができる。
【0130】
また、箔転写領域TAが変更されてシートSに箔を転写する場合に箔送り処理を実行するので、図6(d)に示したように、箔フィルムFのトナーTFが付着する可能性がある部分を予め送っておくことができる。これにより、箔転写位置でシートSの途中部分と、箔フィルムFのトナーTFが付着する可能性がある部分とが圧接しなくなるので、シートSに箔フィルムFに付着したトナーTFが転写されるのを抑制することができる。
【0131】
また、箔転写領域TAが変更されて複数のシートSに連続して箔を転写する場合には、1枚目のシートSについてのみ箔送り処理を実行するので、シートSに箔フィルムFに付着したトナーTFが転写されるのを抑制しつつ、箔フィルムFの無駄を減らすことができる。
【0132】
以上、実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように適宜変形して実施することができる。
【0133】
例えば、前記実施形態では、箔転写装置1は、箔転写領域TAが変更されて複数のシートSに連続して箔を転写する場合、1枚目のシートSについてのみ、箔送り処理を実行する構成であったが、これに限定されない。例えば、箔転写装置は、複数のシートのすべてについて、箔送り処理を実行する構成であってもよい。また、箔転写装置は、箔送り処理を実行しないものであってもよい。
【0134】
また、前記実施形態では、圧接離間機構70が、加熱ローラ61を圧接位置と離間位置との間で移動させる構成であったが、これに限定されない。例えば、圧接離間機構は、加圧ローラを、加熱ローラに圧接した圧接位置と、加熱ローラから離間した離間位置との間で移動させる構成であってもよい。この場合、圧接離間機構は、加圧ローラを圧接位置と離間位置との間で移動させるカムを備える構成であってもよい。
【0135】
また、前記実施形態では、箔転写装置1は、加圧ローラ51が回転駆動することで、加熱ローラ61が従動回転する構成であったが、これに限定されない。例えば、箔転写装置は、加熱ローラが回転駆動することで、加圧ローラが従動回転する構成であってもよい。この場合、制御部は、排出処理において、加熱ローラおよび加圧ローラのうち一方のローラを圧接位置に位置させた後、加熱ローラと搬送ローラを制御してシートを排出する構成とすることができる。
【0136】
また、箔転写装置は、加熱ローラと加圧ローラの両方が回転駆動する構成であってもよい。この場合、制御部は、排出処理において、加熱ローラおよび加圧ローラのうち一方のローラを圧接位置に位置させた後、加熱ローラおよび加圧ローラ、並びに、搬送ローラを制御してシートを排出する構成とすることができる。
【0137】
また、前記実施形態では、箔転写装置1は、シートSの一部に箔を転写するモードとして、先端転写モード、中央転写モードおよび後端転写モードを実行可能であったが、これに限定されない。例えば、箔転写装置は、シートの一部に箔を転写するモードとして、先端転写モード、中央転写モードおよび後端転写モードの3つのモードのうち、先端転写モードおよび中央転写モードの少なくとも一方を含む2つのモードを実行可能な構成としてもよいし、先端転写モードまたは中央転写モードの一方のみ実行可能な構成としてもよい。また、箔転写装置は、シートの一部に箔を転写するモードとして、先端転写モードおよび中央転写モードの少なくとも一方を含む4つ以上のモードを実行可能な構成としてもよい。
【0138】
また、前記実施形態では、剥離部材として、ローラ状の軸である第2案内軸42を例示したが、これに限定されず、例えば、剥離部材は、板状のブレードなどであってもよい。
【0139】
また、前記実施形態では、シートSを検知するセンサSS1,SS2として、レバーと、レバーの位置を検知する光センサとからなるセンサを例示したが、これに限定されない。例えば、光センサのみからなるものであってもよい。
【0140】
また、前記実施形態では、4つの層を有する箔フィルムFを例示したが、これに限定されず、箔フィルムの層の数はいくつであってもよい。
【0141】
また、前記した実施形態および変形例で説明した各要素は、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0142】
1 箔転写装置
12A 中間排出ローラ
42 第2案内軸
51 加圧ローラ
61 加熱ローラ
70 圧接離間機構
73 カム
100 制御部
F 箔フィルム
S シート
SS1 後端検知センサ
SS2 排出センサ
TA 箔転写領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15