(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022074249
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】白杖利用入構者駅員報知システム
(51)【国際特許分類】
B61L 23/00 20060101AFI20220511BHJP
G08B 21/02 20060101ALI20220511BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20220511BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20220511BHJP
B61B 1/02 20060101ALI20220511BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
B61L23/00 Z
G08B21/02
G08B25/04 K
G08B25/00 510M
B61B1/02
H04N7/18 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020184133
(22)【出願日】2020-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】591177015
【氏名又は名称】株式会社エクシオテック
(74)【代理人】
【識別番号】100090044
【弁理士】
【氏名又は名称】大滝 均
(72)【発明者】
【氏名】松村 孝好
【テーマコード(参考)】
3D101
5C054
5C086
5C087
5H161
【Fターム(参考)】
3D101AD10
5C054DA09
5C054FC12
5C054FF06
5C054HA18
5C054HA26
5C086AA22
5C086BA30
5C086CA28
5C086CB36
5C086DA08
5C086DA14
5C086DA33
5C086FA02
5C086FA06
5C086FA12
5C087AA12
5C087AA32
5C087AA37
5C087AA60
5C087BB74
5C087DD03
5C087DD49
5C087EE05
5C087EE07
5C087EE14
5C087EE18
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087FF19
5C087GG02
5C087GG10
5C087GG17
5C087GG66
5C087GG83
5H161AA01
5H161MM01
5H161MM15
5H161NN10
5H161PP06
5H161PP07
5H161PP11
5H161QQ03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】駅改札口を利用者する白杖利用者が他者と区別されて一人で通過する時点で白杖利用者の白杖を把握し、この時点での白杖利用者の入構情報を駅構内の駅員に報知し、ホーム転落事故などを未然に防止する白杖利用入構者駅員報知システムを提供する。
【解決手段】白杖利用入構者駅員報知システム1において、鉄道駅改札口近傍構内天井に設置され、駅構内ネットワークに接続される白杖検知カメラ2は、白杖利用者の白杖を検知する。白杖検知表示盤3は、白杖検知カメラの白杖検知信号に基づき、音声基板を介して内蔵スピーカー8a及び外部スピーカー8bに予め記憶した音声を流し、内蔵視認装置9a及び外部視認装置9bを点灯し、内蔵モニタ7a及び外部モニタ7bに白杖利用入構者状況映像と入構改札口情報を表示させる制御基板5を有する。駅構内の適宜の箇所に設置したリセットボタン12は、白杖利用者の状況を確認した駅員が白杖検知信号の解除する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道等駅改札口近傍構内天井に設置される白杖利用者の白杖を検知し、駅構内ネットワークに接続される白杖検知カメラと、
駅構内ネットワークに接続され、白杖検知カメラの白杖検知信号に基づき、音声基板を介して内蔵スピーカー及び外部スピーカーに予め記憶した音声を流し、内蔵視認装置である表示灯及び外部視認装置である回転灯又は表示灯を点灯し、白杖利用入構者状況を映す内蔵モニタ及び外部モニタ並びに外部録画装置への信号伝達を行う制御基板を有する駅務室に設置する白杖検知表示盤と、
白杖利用者の状況を確認した駅員が白杖検知信号の解除するリセットボタンと、
を有することを特徴とする白杖利用入構者駅員報知システム。
【請求項2】
白杖検知カメラは、カメラ本体内に画像認識手段を有し、撮像画像中に、(1)利用者が手に持つ白い棒状物であること、(2)白い棒状物が1m内外の長さであること、(3)白い棒状物の直径が10mm内外であることをディープラーニング手法により合致・不合致を記憶させ、その結果をAI(人工知能)による数値化して画像フィルタリング処理により判別するカメラであることを特徴とする請求項1に記載の白杖利用入構者駅員報知システム。
【請求項3】
白杖検知カメラの撮像画像のディープラーニング手法による合致・不合致の記憶結果に基づきAI(人工知能)による数値化画像フィルタリング処理のため、白杖検知カメラ設置位置が、駅改札口から構内側約2.5m離れ、かつ、高さ約3m位置で、かつ、白杖が撮影される位置であることを特徴とする請求項2に記載の白杖利用入構者駅員報知システム。
【請求項4】
駅務室に設置する白杖検知表示盤は、駅構内の複数の改札口に設置された白杖検知カメラの白杖検知信号に基づき、信号が発せられた特定の改札口の分割区画をフラッシュ点灯する多分割表示灯を有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の白杖利用入構者駅員報知システム。
【請求項5】
駅務室に設置する白杖検知表示盤は、請求項4に記載のフラッシュ点灯する多分割表示灯に替え、画面上に駅構内の複数の改札口に設置された白杖検知カメラの白杖検知信号が発せられた特定の改札口を表示する多分割表示モニタを有し、白杖検知信号が発せられた特定の改札口を表示する分割区画色が変わるフラッシュ表示をする多分割表示モニタ又は白杖検知信号が発せられた特定の改札口を色を変えてフラッシュ表示をする多分割表示モニタであることを特徴とする請求項4に記載の白杖利用入構者駅員報知システム。
【請求項6】
複数の改札口に設置される白杖検知カメラが、駅員が常駐しない無人駅の改札口に設置される白杖検知カメラであることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の白杖利用入構者駅員報知システム。
【請求項7】
請求項1に記載の駅構内の適宜の箇所に設置した外部モニタ7b、外部スピーカー8b、外部視認装置(赤色フラッシュ表示)9bに替え及び/又は駅員各自が所持する携帯端末に白杖検知カメラの検知情報を送信することを特徴とする請求項1に記載の白杖利用入構者駅員報知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、白杖を保持する白杖利用視覚障害者が鉄道等駅構内に入構した際にその白杖利用者の入構を駅員に報知する白杖利用入構者駅員報知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の駅構内の報知システムとしては、例えば、特開2018-197023号公報に開示のものが知られている。
特開2018-197023号公報の開示は、発明名称「駅の警報装置」に係り、「駅のホームから線路内への転落防止をより確実に行ったり、意図的な線路内への侵入を検知したりすることで、駅構内での安全を図ることができる駅の警報装置を提供する」ことを目的とし(同公報明細書段落番号0006参照)、「駅構内を移動する移動体の位置を検知する位置検知部と、前記位置検知部での検知情報に基づいて駅構内の状況判断をする状況判断部と、前記状況判断部における判断結果に応じて警報度を変化させた報知をする報知部とを備える」構成とすることにより(同公報特許請求の範囲請求項1の記載等参照)、「・・駅構内を移動する移動体としての人や盲導犬、車椅子、ベビーカー、シルバーカー等が、駅構内において、より危険な側に向かって移動しているのか、より安全な側に向かって移動しているのかを、移動体である歩行者自身や、駅員等に認知させることができる。すなわち、より確実に線路内への転落防止等を行うことができ、駅構内での安全を図ることができる。また、警報度の変化のさせ方によっては、例えば意図的にホームから線路内に侵入しようとする者の存在を駅員等に対して報知することも可能になる」等の効果を奏するもののようである(同公報明細書段落番号0008~0019参照)。
【0003】
図7(A)(B)は、特開2018-197023号公報に
図1(A)(B)として添付される第1実施形態に係る駅の警報装置の設置環境について説明するための図である。
図7(A)(B)において、符号100は、警報装置、110は、撮像部、120は、スピーカー、130は、在線確認センサー部、150は、主制御装置、A0-A3,Axは、領域、BBは、点字ブロック、BDは、境界、CDは、通信装置、CRは、乗務員、D1は、距離、DAは、ディスプレイ表示部、EPは、最端側部分、FLは、床面、MBは、移動体、PAは、駅員用スピーカー、PFは、ホーム、SAは、駅員、SOは、駅務室、STは、駅、TKは、線路、TRは、列車、USは、利用者である(なお、数字符号は、先行技術であることを明らかにするために、本願出願人において、数字100以外は3桁に変更して説明し、その余のアルファベット符号はそのまま使用して説明した。)
【0004】
しかしながら、特開2018-197023号公報に開示の警報装置100は、いわば、「・・人のほか、盲導犬、車椅子、ベビーカー、シルバーカー等のように、駅構内を人とともにあるいは単独で移動し、線路内に入り得る種々のもの(US)」を対象として(段落番号0022参照)、かつ、それらの対象(US)が駅構内、特に駅ホーム(PF)上を移動する動きを捉えて報知する装置であり、本願発明が対象とする白杖を持つ視覚障害者に特化したものではない。このため、駅ホーム(PF)や駅構内で白杖をもつ視覚障害者がカメラ等で捉えられたとしても、この時は「時すでに遅し」でホーム転落することがある。また、駅構内の防犯カメラから白杖を検出して案内放送することも考えられるが、混雑した空間または広い空間から白杖を検知することは困難であり、混雑した状況では案内放送が自分に対するものか判断不可能であったり聞こえないこともある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本願発明においては、駅改札口を利用者する白杖利用者が他者と区別されて一人で通過する時点で白杖利用者の白杖を把握し、この時点での白杖利用者の入構情報を駅構内の駅員に報知し、白杖利用者へのサポートを的確に行うようにしてホーム転落事故などを未然に防止するとともにサービス向上のために白杖利用入構者駅員報知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本願請求項1に係る発明は、鉄道等駅改札口近傍構内天井に設置される白杖利用者の白杖を検知し、駅構内ネットワークに接続される白杖検知カメラと、駅構内ネットワークに接続され、白杖検知カメラの白杖検知信号に基づき、音声基板を介して内蔵スピーカー及び外部スピーカーに予め記憶した音声を流し、内蔵視認装置である表示灯及び外部視認装置である回転灯又は表示灯を点灯し、白杖利用入構者状況を映す内蔵モニタ及び外部モニタ並びに外部録画装置への信号伝達を行う制御基板を有する駅務室に設置する白杖検知表示盤と、白杖利用者の状況を確認した駅員が白杖検知信号の解除するリセットボタンと、を有することを特徴とする。
また、本願請求項2に係る発明は、請求項1に記載の白杖利用入構者駅員報知システムにおいて、白杖検知カメラは、カメラ本体内に画像認識手段を有し、撮像画像中に、(1)利用者が手に持つ白い棒状物であること、(2)白い棒状物が1m内外の長さであること、(3)白い棒状物の直径が10mm内外であることをディープラーニング手法により合致・不合致を記憶させ、その結果をAI(人工知能)による数値化して画像フィルタリング処理により判別するカメラであることを特徴とする。
さらに、本願請求項3に係る発明は、請求項2に記載の白杖利用入構者駅員報知システムにおいて、白杖検知カメラの撮像画像のディープラーニング手法による合致・不合致の記憶結果に基づきAI(人工知能)による数値化画像フィルタリング処理のため、白杖検知カメラ設置位置が、駅改札口から構内側約2.5m離れ、かつ、高さ約3m位置で、かつ、白杖が撮影される位置であることを特徴とする。
そして、本願請求項4に係る発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の白杖利用入構者駅員報知システムにおいて、駅務室に設置する白杖検知表示盤は、駅構内の複数の改札口に設置された白杖検知カメラの白杖検知信号に基づき、信号が発せられた特定の改札口の分割区画をフラッシュ点灯する多分割表示灯を有することを特徴とする。
また、本願請求項5に係る発明は、請求項4に記載の白杖利用入構者駅員報知システムにおいて、駅務室に設置する白杖検知表示盤は、請求項4に記載のフラッシュ点灯する多分割表示灯に替え、画面上に駅構内の複数の改札口に設置された白杖検知カメラの白杖検知信号が発せられた特定の改札口を表示する多分割表示モニタを有し、白杖検知信号が発せられた特定の改札口を表示する分割区画色が変わるフラッシュ表示をする多分割表示モニタ又は白杖検知信号が発せられた特定の改札口を色を変えてフラッシュ表示をする多分割表示モニタであることを特徴とする。
そして、本願請求項6に係る発明は、請求項4又は請求項5に記載の白杖利用入構者駅員報知システムにおいて、複数の改札口に設置される白杖検知カメラが、駅員が常駐しない無人駅の改札口に設置される白杖検知カメラであることを特徴とする。
さらに、本願請求項7に係る発明は、請求項1に記載の白杖利用入構者駅員報知システムにおいて、請求項1に記載の駅構内の適宜の箇所に設置した外部モニタ7b、外部スピーカー8b、外部視認装置(赤色フラッシュ表示)9bに替え及び/又は駅員各自が所持する携帯端末に白杖検知カメラの検知情報を送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る白杖利用入構者駅員報知システムによれば、白杖利用者が駅改札口を他と区別されて通過する時点で白杖利用者の白杖を把握し、この時点で白杖利用者の入構情報を駅構内の駅員に報知することができ、駅員が駅構内に存する白杖利用者へのサポートを的確に行うようにしてホーム転落事故などを未然に防止することができる等の効果を有することとなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明に係る白杖利用入構者駅員報知システムの実施例1に係る白杖利用入構者駅員報知システム1の概略図である。
【
図2】
図2(a)(b)(c)は、本実施例1に係る白杖利用入構者駅員報知システム1における白杖検知カメラ2の設置位置概略(検知条件)を示す図であり、このうち、
図2(a)は、駅改札と白杖検知カメラとの位置関係概略(条件)を、
図2(b)は、白杖利用者の白杖検知のカメラ取り付け高さ・角度概略(条件)を、
図2(c)は、白杖検知画面概略(条件)を示す図である。
【
図3】
図3は、駅員が構内状況把握のため、必ず駅員が滞在する駅務室(SO)に白杖検知表示盤3を配置する概略例を示す図である。
【
図4】
図4は、改札口が駅の一箇所ではなく、東西南北の4箇所に改札口が配置されている駅に本実施例1に係る白杖利用入構者駅員報知システム1を設置した実施例2に係る白杖利用入構者駅員報知システム20の系統概略図である。
【
図5】
図5(a)は、8分割モニタ画面23a1を、
図5(b)は、8分割モニタ画面23a1の特定の分割域の情報を文字表示するようにしたモニタ画面23a2を示す図である。
【
図6】
図6は、隣接する無人駅(A駅、B駅)での白杖利用者の白杖検知を中央駅(有人駅)に報知する実施例3に係る白杖利用入構者駅員報知システム30の系統図である。
【
図7】
図7(A)(B)は、特開2018-197023号公報に
図1(A)(B)として添付される第1実施形態に係る駅の警報装置の設置環境説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る白杖利用入構者駅員報知システムを実施するための一実施例を図面に基づき詳細に説明する。
【実施例0011】
図1は、本発明に係る白杖利用入構者駅員報知システムの実施例1に係る白杖利用入構者駅員報知システム1の概略図であり、
図2(a)(b)(c)は、本実施例1に係る白杖利用入構者駅員報知システム1における白杖検知カメラ2の設置位置概略(検知条件)を示す図であり、このうち、
図2(a)は、駅改札と白杖検知カメラとの位置関係概略(条件)を、
図2(b)は、白杖利用者の白杖検知のカメラ取り付け高さ・角度概略(条件)を、
図2(c)は、白杖検知画面概略(条件)を示す図である。
【0012】
図1、
図2(a)(b)(c)において、符号1は、実施例1に係る白杖利用入構者駅員報知システム、2は、白杖検知カメラ、3は、白杖検知表示盤、4は、ハブ(HUB)、5は、制御基板、6は、音声基板、7aは、白杖検知の白杖利用入構者状況を表示する表示盤内蔵モニタ、7bは、同白杖検知の白杖利用入構者状況及び入構改札口情報を表示する外部モニタ、8aは、白杖検知を音声で流す表示盤内蔵スピーカー、8bは、同白杖検知を音声で流す外部スピーカー、9aは、表示盤内蔵視認装置(赤色フラッシュ表示)、9bは、外部視認装置(赤色フラッシュ表示)、10は、外部録画装置、11は、電源、12は、リセットボタン、
図2(a)(b)(c)において、符号13a、13b、13c、13d、13eは、駅改札口、14は、白杖利用者、15は、同利用者が保持する白杖であり、矢印は、改札への歩行者の進行方向を、16a、16bは、白杖検知画面(
図3(c))における画面垂直仮想線を示している。
【0013】
図2(a)(b)(c)に示すように、本実施例1に係る白杖利用入構者駅員報知システム1における白杖検知カメラ2は、駅改札13a、13b、13c、13d、13eから約2.5m構内側で、高さ約3m位置、換言すれば、白杖検知カメラ2直下から約2.5m離れた位置で、白杖利用者14の白杖15の手元が俯角50度の位置に設置され(
図2(a)(b)参照)、また、白杖利用者14の正面撮像画像上で白杖15が画面高さの三分の一以上の長さで、かつ、画面の垂直線16a、16bとなす角度が左右60度以内の条件で設置されなければならない(
図2(c)参照)。
【0014】
本実施例1に係る白杖利用入構者駅員報知システム1における白杖検知カメラ2の設置条件を厳格にしなければならないのは、本実施例1に係る白杖利用入構者駅員報知システム1に使用される白杖検知カメラ2は、カメラ本体内に画像認識のための機構を備え、上記の条件で撮像された画像から白杖を認識し、白杖情報として出力するためものであり、白杖検知カメラ2における白杖認識は、撮像画像中に、(1)利用者が手に持つ白い棒状物であること、(2)白い棒状物が1m内外の長さであること、(3)白い棒状物の直径が10mm内外であること、などをディープラーニングにより合致・不合致を覚え込ませ(記憶し)、その結果に基づきAI(人工知能)による数値化画像フィルタリング処理により白杖15を判別するものである。
【0015】
白杖検知カメラ2での撮像画像だけで判別するため、白杖検知カメラ2は、駅改札13a、13b、13c、13d、13eから約2.5m構内側で、高さ約3m位置、換言すれば、白杖検知カメラ2直下から約2.5m離れた位置で、白杖利用者14の白杖15の手元が俯角50度の位置に設置され(
図2(a)(b)参照)、また、白杖利用者14の正面撮像画像上で白杖15が画面高さの三分の一以上の長さで、かつ、画面の垂直線16a、16bとなす角度が左右60度以内の条件で設置されなければならない(
図3(c)参照)のである。
【0016】
このような条件で白杖検知カメラ2を改札口天井に配置することにより、集団で入ることのない構内入口である改札口13で、一人一人をチェックしつつ、白杖を持つ者を白杖利用者14と判別することができるのである。
そして、白杖利用者14を白杖感知カメラ2が自動認識した後は、その情報(検知信号)は、構内ネットワーク(図示外)のハブ(HUB)4を介して白杖検知表示盤3の制御基板5に送られ、制御基板5から内蔵モニタ7a及び外部モニタ7bに映像出力すると共に、内蔵スピーカー8a及び外部スピーカー8bで「白杖利用者入構」等の音声案内をすると共に、内蔵視認装置(赤色フラッシュ表示)9a及び外部視認装置(赤色フラッシュ表示)9bを点灯させ、駅員に注意喚起を報知するようにしたものである。
【0017】
白杖検知表示盤3は、内蔵モニタ7a、内蔵スピーカー8a及び内蔵視認装置(赤色灯)9aを有し、駅構内の駅務室(SO)の適宜の場所に設置される。
駅務室(SO)は、駅構内の各所の状況を各所に設置されたカメラ等で表示・把握すると共に、把握した状況を適宜各所にいる駅員に適切な指示、情報提供等を一括して行うことができる部署である。
【0018】
図3は、駅員が構内状況把握のため、必ず駅員が滞在する駅務室(SO)に白杖検知表示盤3を配置する概略例を示す図である。
図3において、3は、白杖検知表示盤、7aは、内蔵モニタ、7bは外部モニタ、8aは、内蔵スピーカー、9aは、内蔵視認装置(表示灯)、12は、リセットボタン、17は、駅務室デスク、SOは、駅務室である。
駅務室(SO)に常時滞在する駅員は、駅務室デスク16に向かい、常時駅構内の状況を監視し、適切な指示等を行う。
【0019】
白杖利用者14が、駅改札口13から駅構内に入構すると、白杖検知カメラ2が、白杖15を検知し、白杖検知表示盤3の内蔵モニタ7a、外部モニタ7bにその改札通過映像を映し出すと共に、内蔵スピーカー8aから予め記憶された音声情報(例えば、「白杖利用者が改札を通過しました。」等)を流し、同時に内蔵視認装置(表示灯)を点灯して、白杖利用者14が駅構内にいることを報知する。
【0020】
駅務室(SO)に常時滞在する駅員は、白杖利用者14が入構したことが報知されれば、駅務室(SO)内の駅員は、それを内蔵モニタ7a、外部モニタ7bで確認すると共に、各所設けられたカメラ映像をモニタ等で追跡し、必要であれば、各所にいる駅員に適切な指示・情報を伝達し、各所の駅員は別途設けられる外部モニタ7b、外部スピーカー8b、外部視認装置(赤色灯)9bなどを通じて、白杖利用者14が構内にいることを認識でき、必要なサポートを白杖利用者14に与えることができる。
【0021】
したがって、本実施例1に係る白杖利用入構者駅員報知システム1によれば、従来のような駅ホーム(PF)近傍に設置された白杖認識設備や構内各所に設置されたカメラ等で白杖利用者14を捉え、それを構内放送を介して駅員への注意喚起などの迂遠な方法をとることなく、白杖利用者14一人一人が改札を通った際に個別に白杖15を判別するので、白杖利用者14が改札13を通った時点で白杖利用者14の存在を把握し、各所の駅員に注意を喚起することができ、駅員が白杖利用者14の存在を見過ごし、いつのまにか入構したか不用意のまま、駅ホーム(PF)からの転落事故等を防止することができることとなる。
もちろん、上記リセットボタン24が押されることにより、当該改札口のフラッシュ表示及び文字表示を解除する。なお、リセット処理は、当該文字表示がされている間にリセットボタン24を押すことにより、その該当する改札口のフラッシュ表示及び文字表示が解除される。
上記のような構成としたので、本実施例2に係る白杖利用入構者駅員報知システム20においては、一箇所の改札口のみならず、複数ある改札口13E~13Nのいずれかを白杖利用者14が通過した場合に、その保持する白杖15を白杖検知カメラ2a~2dで検知し、その検知を速やかに駅員に報知し、入構した白杖利用者14に適宜、適切な指示・情報提供等を行うことができることとなり、遠隔による転落事故等を未然に防止することができることとなる。