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特開2022-74255着色漂白組成物、カビ取り剤、及びカビ汚れの除去方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022074255
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】着色漂白組成物、カビ取り剤、及びカビ汚れの除去方法
(51)【国際特許分類】
   C11D 7/54 20060101AFI20220511BHJP
   C11D 3/395 20060101ALI20220511BHJP
   C11D 7/34 20060101ALI20220511BHJP
   C11D 3/34 20060101ALI20220511BHJP
   C11D 3/37 20060101ALI20220511BHJP
   C11D 1/04 20060101ALI20220511BHJP
   C11D 1/29 20060101ALI20220511BHJP
   C11D 1/22 20060101ALI20220511BHJP
   C11D 1/12 20060101ALI20220511BHJP
   C11D 1/14 20060101ALI20220511BHJP
   C11D 1/74 20060101ALI20220511BHJP
   C11D 1/75 20060101ALI20220511BHJP
   B08B 3/08 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
C11D7/54
C11D3/395
C11D7/34
C11D3/34
C11D3/37
C11D1/04
C11D1/29
C11D1/22
C11D1/12
C11D1/14
C11D1/74
C11D1/75
B08B3/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020184145
(22)【出願日】2020-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】397056042
【氏名又は名称】セッツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 馨也
(72)【発明者】
【氏名】清水 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】村上 拡
【テーマコード(参考)】
3B201
4H003
【Fターム(参考)】
3B201AA31
3B201AB51
3B201BB92
3B201CD43
4H003AB03
4H003AB13
4H003AB19
4H003AB27
4H003AB31
4H003AC12
4H003AC15
4H003BA12
4H003DA05
4H003DA06
4H003DA07
4H003DA08
4H003DB01
4H003DC02
4H003EA21
4H003EB22
4H003EB28
4H003EB33
4H003EB34
4H003EB36
4H003EB38
4H003EE08
4H003FA04
4H003FA12
4H003FA28
4H003FA30
4H003FA34
4H003FA36
4H003FA44
(57)【要約】
【課題】高温環境における保存安定性に優れた着色漂白組成物を提供する。
【解決手段】
以下の(a)~(f)の組成を有する、着色漂白組成物。
(a)次亜塩素酸アルカリ金属塩が0.1~4.0質量%
(b)有機系増粘剤が0.1~10.0質量%
(c)アルカリ剤が遊離アルカリとして0.1~4.0質量%
(d)電子供与基を有する芳香族スルホン酸化合物またはそのアルカリ金属塩が0.1~10.0質量%
(e)ハロゲン化されていてもよいフタロシアニン系顔料が0.0001~0.01質量%
(f) 下記一般式(I)で表される化合物が0.1~3.0質量%
HO-(AO)n-OR (I)
(式(I)中、Rは水素原子またはCm2m+1を示し、mは1~4の整数を示し、Aは炭素数1~4の直鎖又は分岐アルキレン基を示し、nは3~300の整数を示す。)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(a)~(f)の組成を有する、着色漂白組成物。
(a)次亜塩素酸アルカリ金属塩が0.1~4.0質量%
(b)有機系増粘剤が0.1~10.0質量%
(c)アルカリ剤が遊離アルカリとして0.1~4.0質量%
(d)電子供与基を有する芳香族スルホン酸化合物またはそのアルカリ金属塩が0.1~10.0質量%
(e)ハロゲン化されていてもよいフタロシアニン系顔料が0.0001~0.01質量%
(f) 下記一般式(I)で表される化合物が0.1~3.0質量%
HO-(AO)n-OR (I)
(式(I)中、Rは水素原子またはCm2m+1を示し、mは1~4の整数を示し、Aは炭素数1~4の直鎖又は分岐アルキレン基を示し、nは3~300の整数を示す。)
【請求項2】
さらに、成分(g)として、スルホン酸基を有する水溶性ポリマーを0.001~3.0質量%含有する、請求項1に記載の着色漂白組成物。
【請求項3】
前記成分(g)が、スルホン酸基を有する芳香族化合物のホルムアルデヒド縮合物、スルホン酸基を有するアルキレン化合物のホルムアルデヒド縮合物、及びスルホン酸基を有する芳香族化合物とスルホン酸基を有するアルキレン化合物とのホルムアルデヒド縮合物からなる群より選択される少なくとも1種のスルホン酸基を有する水溶性ポリマーである、請求項2に記載の着色漂白組成物。
【請求項4】
さらに、成分(h)として、下記式(1)~(7)で表される界面活性剤の少なくとも1種を0.1~5.0質量%含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の着色漂白組成物。
(1)R1COOM
(2)R2O-(AO)n-SO
(3)R3-Ph-SO
(4)R4SO
(5)R5OSO
(6)R6O-(AO)n-R7COOM
(式(1)~(6)中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、それぞれ炭素数6~22の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、Aは炭素数1~4の直鎖又は分岐のアルキル基を示し、R7は炭素数1~4のアルキレン基を示し、nは、それぞれ0.5~100の数を示し、Mはアルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原子を示す。)
【化1】
(式(7)中、R8は、炭素数4~18の直鎖又は分岐のアルキル基を示し、R9は、炭 素数4~18の直鎖又は分岐のアルキル基であるか、炭素数1~3の直鎖又は分岐のア ルキル基を示し、R10は、炭素数1~3の直鎖又は分岐のアルキル基を示す。)
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の着色漂白組成物を含み、対象物に対して塗布して使用する、カビ取り剤。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか1項に記載の着色漂白組成物を含むカビ取り剤を対象物のカビ汚れに塗布する工程1、
前記着色漂白組成物がカビ汚れに塗られた状態を60分間以上維持する工程2、及び
前記着色漂白組成物を水ですすぐ工程3
を備える、カビ汚れの除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色漂白組成物、カビ取り剤、及びカビ汚れの除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
次亜塩素酸アルカリ金属塩を主基材とする漂白組成物は、その漂白効果の高さから、トイレ、台所、浴室等の床、壁、天井、目地あるいはシール材等の硬質材料に発生するカビの除去に使用されている。
【0003】
漂白組成物は、より高い漂白効果、安定性、安全性を得るために、各種の界面活性剤やキレート剤を添加したり、pHや不純物をコントロールしたりする等の様々な工夫がなされている。
【0004】
例えば、特許文献1(特開2007-137930号公報)では、硬質材料や垂直な壁や天井部分等に発生したカビを除去するに際してより高い漂白効果を得るために、漂白組成物の流失を防止し、かびとの接触時間を長くさせるための工夫として、増粘された漂白組成物が提案されている。この増粘漂白組成物は、液体状の漂白組成物と比較して、飛散が少なく、局所的な使用が容易であり、安全性かつ利便性の点で優れた特徴を有している。
【0005】
しかしながら、次亜塩素酸アルカリ金属塩は強力な酸化力を有するため、その取扱いには依然として十分な注意が必要である。そのため、さらなる安全性や使用感の向上のために、漂白組成物を着色し、その適用部位を明確にする試みがなされている。
【0006】
たとえば、次亜塩素酸アルカリ金属塩を主成分とする塩素系漂白剤の着色に際しては、通常の染料や顔料といった色素では経時的に分解されて、褪色しやすいため、適切な着色剤の選定が極めて重要となってくる。
【0007】
塩素系漂白組成物の着色方法としては、例えば、特許文献2(特開昭53-8604号公報)では、銅フタロシアニン系顔料による着色、特許文献3(特開昭54-88889号公報)では、ウルトラマリンブルーによる着色が提案されているが、未だ満足する着色安定性及び保存安定性を有するには至っていない。
【0008】
そこで、着色された漂白組成物の保存安定性を向上させるために、数多くの試みが提案されている。例えば、特許文献4(特開平7-305099号公報)では、液体系の着色漂白組成物に、式:MOSO(AO)nSOM、式:R-(AO)nSOMで表される化合物(これらの式中、Aは炭素数1~4の直鎖又は分岐アルキレンの1種又は2種以上を示し、Rは多価アルコール残基を示し、Pは1以上の数であって前記Rの多価アルコール残基の酸素原子の数と同じかそれ未満の数を示し、nは3~200の数を示し、Mはアルカリ金属原子等を示す。)と、スルホン酸基を有する芳香族化合物のホルムアルデヒド縮合物又はその塩からなるポリマーを含有させた、安定な次亜塩素酸アルカリ金属塩の着色漂白組成物が提案されている。また、特許文献5(特開平7-331294号公報)では、増粘された着色漂白組成物にスルホン酸基を有する水溶性ポリマーを含有させることによりその保存安定性を向上させることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007-137930号公報
【特許文献2】特開昭53-8604号公報
【特許文献3】特開昭54-88889号公報
【特許文献4】特開平7-305099号公報
【特許文献5】特開平7-331294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述の各文献に記載された技術では、次亜塩素酸アルカリ金属塩の強い酸化力のため、高温環境における保存では、着色安定性、粘度安定性及びその他製品安定性などの保存安定性を必ずしも保持できないという問題がある。
【0011】
本発明は、室温さらには、高温環境における保存安定性に優れた着色漂白組成物を提供することを主な目的とする。また、本発明は、当該着色漂白組成物を用いた、カビ取り剤及びカビ汚れの除去方法を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記のような課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、次亜塩素酸アルカリ金属塩、有機系増粘剤、アルカリ剤、電子供与基を有する芳香族スルホン酸化合物またはそのアルカリ金属塩、ハロゲン化されていてもよいフタロシアニン系顔料、及び下記一般式(I)で表される化合物をそれぞれ所定量配合することにより、高温環境における保存安定性に優れた着色漂白組成物が得られることを見出した。本発明は、このような知見に基づき、さらに検討を重ねることにより、完成された発明である。
HO-(AO)n-OR (I)
(式中、Rは水素原子またはCm2m+1を示し、mは1~4の整数を示し、Aは炭素数1~4の直鎖又は分岐アルキレン基を示し、nは3~300の整数を示す。)
【0013】
すなわち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 以下の(a)~(f)の組成を有する、着色漂白組成物。
(a)次亜塩素酸アルカリ金属塩が0.1~4.0質量%
(b)有機系増粘剤が0.1~10.0質量%
(c)アルカリ剤が遊離アルカリとして0.1~4.0質量%
(d)電子供与基を有する芳香族スルホン酸化合物またはそのアルカリ金属塩が0.1~10.0質量%
(e)ハロゲン化されていてもよいフタロシアニン系顔料が0.0001~0.01質量%
(f) 下記一般式(I)で表される化合物が0.1~3.0質量%
HO-(AO)n-OR (I)
(式(I)中、Rは水素原子またはCm2m+1を示し、mは1~4の整数を示し、Aは炭素数1~4の直鎖又は分岐アルキレン基を示し、nは3~300の整数を示す。)
項2. さらに、成分(g)として、スルホン酸基を有する水溶性ポリマーを0.001~3.0質量%含有する、項1に記載の着色漂白組成物。
項3. 前記成分(g)が、スルホン酸基を有する芳香族化合物のホルムアルデヒド縮合物、スルホン酸基を有するアルキレン化合物のホルムアルデヒド縮合物、及びスルホン酸基を有する芳香族化合物とスルホン酸基を有するアルキレン化合物とのホルムアルデヒド縮合物からなる群より選択される少なくとも1種のスルホン酸基を有する水溶性ポリマーである、項2に記載の着色漂白組成物。
項4. さらに、成分(h)として、下記式(1)~(7)で表される界面活性剤の少なくとも1種を0.1~5.0質量%含有する、項1~3のいずれか1項に記載の着色漂白組成物。
(1)R1COOM
(2)R2O-(AO)n-SO
(3)R3-Ph-SO
(4)R4SO
(5)R5OSO
(6)R6O-(AO)n-R7COOM
(式(1)~(6)中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、それぞれ炭素数6~22の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、Aは炭素数1~4の直鎖又は分岐のアルキル基を示し、R7は炭素数1~4のアルキレン基を示し、nは、それぞれ0.5~100の数を示し、Mはアルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原子を示す。)
【化1】
(式(7)中、R8は、炭素数4~18の直鎖又は分岐のアルキル基を示し、R9は、炭 素数4~18の直鎖又は分岐のアルキル基であるか、炭素数1~3の直鎖又は分岐のア ルキル基を示し、R10は、炭素数1~3の直鎖又は分岐のアルキル基を示す。)
項5. 項1~4のいずれか1項に記載の着色漂白組成物を含み、対象物に対して塗布して使用する、カビ取り剤。
項6. 項1~4のいずれか1項に記載の着色漂白組成物を含むカビ取り剤を対象物のカビ汚れに塗布する工程1、
前記着色漂白組成物がカビ汚れに塗られた状態を60分間以上維持する工程2、及び
前記着色漂白組成物を水ですすぐ工程3
を備える、カビ汚れの除去方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、高温環境における保存安定性に優れた着色漂白組成物を提供することができる。さらに、本発明によれば、当該着色漂白組成物を用いた、カビ取り剤及びカビ汚れの除去方法を提供することもできる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の着色漂白組成物、カビ取り剤、及びカビ汚れの除去方法について、詳述する。なお、本明細書において、「~」で結ばれた数値は、「~」の前後の数値を下限値及び上限値として含む数値範囲を意味する。複数の下限値と複数の上限値が別個に記載されている場合、任意の下限値と上限値を選択し、「~」で結ぶことができるものとする。
【0016】
本発明の着色漂白組成物は、以下の(a)~(f)の組成を有することを特徴としている。本発明の着色漂白組成物は、このような特徴を備えることにより、高温環境における保存安定性に優れている。
(a)次亜塩素酸アルカリ金属塩が0.1~4.0質量%
(b)有機系増粘剤が0.1~10.0質量%
(c)アルカリ剤が遊離アルカリとして0.1~4.0質量%
(d)電子供与基を有する芳香族スルホン酸化合物またはそのアルカリ金属塩が0.1~10.0質量%
(e)ハロゲン化されていてもよいフタロシアニン系顔料が0.0001~0.01質量%
(f) 下記一般式(I)で表される化合物が0.1~3.0質量%
HO-(AO)n-OR (I)
(式(I)中、Rは水素原子またはCm2m+1を示し、mは1~4の整数を示し、Aは炭素数1~4の直鎖又は分岐アルキレン基を示し、nは3~300の整数を示す。)
【0017】
本発明の着色漂白組成物は、成分(a)としての次亜塩素酸アルカリ金属塩を、濃度0.1~4.0質量%で含む。次亜塩素酸アルカリ金属塩は、着色漂白効果、カビ除去性を発揮する。
【0018】
次亜塩素酸アルカリ金属塩において、アルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム等が挙げられ、いずれかを単独で用いてもよいし、これらの2種以上を混合して用いてもよい。次亜塩素酸アルカリ金属塩は、入手の容易性や漂白組成物の安定性の観点から、次亜塩素酸のナトリウム塩又はカリウム塩であることが好ましい。
【0019】
本発明の効果をより好適に発揮し、さらに人体等への影響を抑制して安全性を確保する観点から、本発明の着色漂白組成物中の次亜塩素酸アルカリ金属塩の濃度は0.1~4.0質量%であり、好ましくは0.5~3.0質量%である。
【0020】
本発明の着色漂白組成物は、成分(b)としての有機系増粘剤を、濃度0.1~10.0質量%で含む。有機系増粘剤は、着色漂白組成物の保存安定性を高めるほか、硬質材料表面に対する着色漂白組成物の付着効果を高めることができる。また、有機系増粘剤を配合することにより、飛散や次亜塩素酸アルカリ金属塩特有のにおいを抑制する効果や、スポット的な塗布を容易とする効果も得られる。また、有機系増粘剤は、後述する成分(c)であるアルカリ剤との中和反応によって増粘効果が向上する。
【0021】
有機系増粘剤としては、例えば分子中に水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、エーテル基、アミノ基を有する水溶性高分子化合物が挙げられ、具体的には、(i)ポリアクリル酸ホモポリマーまたはアクリル酸と共重合可能なモノマーとのコポリマーであるポリアクリル酸誘導体及び該ポリアクリル酸ホモポリマー又は該ポリアクリル酸誘導体を架橋したもの、(ii)ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリアルキレングリコール及びその誘導体等が例示できる。水溶性高分子化合物のうち、増粘効果の持続性の観点から上記(i)及び(ii)からなる群より選択される少なくとも1種以上が好ましく、(i)がより好ましい。これらの有機系増粘剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いることもできる。
【0022】
本発明の効果を好適に発揮する観点から、本発明の着色漂白組成物中の有機系増粘剤の濃度は0.1~10.0質量%であり、好ましくは0.5~5.0質量%である。本発明の着色漂白組成物の室温25℃環境における粘度は、好ましくは10000~100000mPa/s、より好ましくは15000~100000mPa/s、さらに好ましくは20000~100000mPa/sである。有機系増粘剤を配合することにより、本発明の着色漂白組成物の粘度をこれらの範囲に好適に調整することができる。なお、粘度の測定において、粘度計はBL型粘度計を用い、ローターNO.2~4、回転数は6rpmで測定する。
【0023】
本発明の着色漂白組成物は、成分(c)としてのアルカリ剤を、遊離アルカリとして濃度0.1~4.0質量%で含む。アルカリ剤は、着色漂白組成物のpHを11~14にするために用いられる。後述のとおり、本発明の効果をより好適に発揮する観点から、本発明の着色漂白組成物のpHは、11~14が好ましい。
【0024】
アルカリ剤としては、特に制限されず、例えば水酸化アルカリ(苛性アルカリ)、炭酸塩、及び珪酸塩などが挙げられる。また、水酸化アルカリとしては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸塩としては炭酸ナトリウム、珪酸塩としては珪酸ナトリウムなどが挙げられる。アルカリ剤は、保存安定性の観点から無機カリウム塩が好ましく、さらに入手の容易性から水酸化カリウムがより好ましい。
【0025】
また、本発明の着色漂白組成物中のアルカリ剤の濃度が低すぎると、充分な有効塩素濃度、粘度及び着色の保存安定性が得られず、また濃度が高すぎると安全性の観点からも好ましくないので、その濃度は、遊離アルカリとして0.1~4.0質量%であり、好ましくは0.2~2.5質量%である。
【0026】
本発明の着色漂白組成物は、成分(d)としての電子供与基を有する芳香族スルホン酸化合物またはそのアルカリ金属塩を、濃度0.1~10.0質量%で含む。電子供与基を有する芳香族スルホン酸化合物及びそのアルカリ金属塩は、好ましくは、下記一般式(II)で表されるスルホン酸化合物である。
R-SO-M (II)
【0027】
式(II)中、Rは芳香環を含んでいる。Rは、炭素数4~18であることが好ましい。また、Rは、直鎖型、分岐型いずれでもよく、メトキシ基、アミノ基、ニトロ基、水酸基等の官能基を含んでもよい。Mはアルカリ金属を表し、カリウム、ナトリウム等が挙げられる。芳香族スルホン酸化合物またはそのアルカリ金属塩を配合することにより、着色漂白組成物の保存安定性、着色残存性,粘性及びすすぎ性が向上する。芳香族スルホン酸化合物としては、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、メトキシベンゼンスルホン酸、エトキシベンゼンスルホン酸が好ましく、またこれらのアルカリ金属塩(例えば、メトキシベンゼンスルホン酸ナトリウムなど)も好ましい。
【0028】
本発明の着色漂白組成物において、芳香族スルホン酸化合物またはそのアルカリ金属塩は、その濃度が低すぎると充分な安定化効果が得られず、また濃度が高すぎる場合は系の増粘が困難となり保存安定性も低下する。よって、その濃度は0.1~10.0質量%であり、好ましくは0.5~5.0質量%である。
【0029】
本発明の着色漂白組成物は、成分(e)としてのハロゲン化されていてもよいフタロシアニン系顔料を、濃度0.0001~0.01質量%で含む。ハロゲン化されていてもよいフタロシアニン系顔料は、本発明の着色漂白組成物を視認するための着色剤として用いられ、好ましくは下記一般式(III)で表すことができる。
32(16-z)z8M (III)
(式中、zは0~16の数、Xはハロゲン原子、Mは金属原子を示す。)
【0030】
ハロゲン原子Xとしては、塩素、臭素、ヨウ素原子が挙げられ、そのうち1種又は2種以上の組み合わせが好ましく、特に塩素原子が好ましい。金属原子Mとしては、鉄、コバルト、銅原子が挙げられ、そのうち1種又は2種以上の組み合わせが好ましく、特に銅原子が好ましい。ハロゲン置換数を表すzは、0~16であり、特に8~16のものが好ましい。また、ハロゲン化されていてもよいフタロシアニン系顔料の濃度が低すぎると、充分な視認性が得られず、また濃度が高すぎると、着色漂白組成物の充分な有効塩素濃度、粘度及び着色の保存安定性や分散安定性が得られないため、その濃度は0.0001~0.01質量%であり、好ましくは0.0008~0.008質量%である。
【0031】
本発明の着色漂白組成物は、成分(f)としての下記一般式(I)で表される化合物を、濃度0.1~3.0質量%で含む。成分(f)は、安定化剤として機能する。
HO-(AO)n-OR (I)
【0032】
式(I)中、Rは水素原子またはCm2m+1を示し、mは1~4の整数を示し、Aは炭素数1~4の直鎖又は分岐アルキレン基を示し、nは3~300の整数を示す。
【0033】
一般式(I)で表される化合物としては、ポリアルキレングリコールや、片側末端をアルキル基で置換したポリエチレングリコールモノアルキルエーテルなどが挙げられる。より具体的には、一般式(I)中のRとして、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。これらのうち、ポリエチレングリコールの片側末端をメチルキャップして得られるメチルポリエチレングリコールのうち分子量100~3000のものが好ましいが、本発明の増粘された系では、分子量300~7000のポリエチレングリコールが次亜塩素酸アルカリ金属塩の安定化効果や、コスト面においてより優れており、特に好ましい。本来であれば、ポリアルキレングリコールはその両末端にヒドロキシ基を有するために、次塩素酸アルカリ金属塩の分解を促進してしまうのが一般的である。しかし、本発明に係る増粘された系では、ヒドロキシ基の影響はほとんど無視できる。
【0034】
本発明の着色漂白組成物において、一般式(I)で表される化合物の濃度が低すぎると、充分な安定化効果が得られず、また濃度が高すぎると、充分な有効塩素濃度、粘度及び着色の保存安定性が得られないため、その濃度は0.1~3.0質量%であり、好ましくは0.2~2.0質量%である。
【0035】
本発明の効果をより一層好適に発揮する観点から、本発明の着色漂白組成物は、成分(g)として、スルホン酸基を有する水溶性ポリマーを、濃度0.001~3.0質量%でさらに含むことが好ましい。成分(g)は、特に、前記成分(e)であるハロゲン化されていてもよいフタロシアニン系顔料をより分散安定化させる目的及び、着色漂白組成物の保存安定性をさらに向上させる目的で、好ましくは配合される。特に、上記一般式(I)で表される成分(f)と組み合わせることにより、相乗効果を発揮し、着色漂白組成物の保存安定性は著しく向上する。
【0036】
成分(g)の具体例としては、スルホン酸基を有する芳香族化合物のホルムアルデヒド縮合物、スルホン酸基を有するアルキレン化合物のホルムアルデヒド縮合物、及びスルホン酸基を有する芳香族化合物とスルホン酸基を有するアルキレン化合物とのホルムアルデヒド縮合物からなる群より選択される少なくとも1種のスルホン酸基を有する水溶性ポリマーが好ましい。より詳しくは、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物アルカリ金属塩、ブチルナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物アルカリ金属塩、ブチルナフタレンスルホン酸・ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物アルカリ金属塩、メタクレゾールメチレンスルホン酸ホルマリン縮合物アルカリ金属塩、メタクレゾールメチレンスルホン酸-シェファー酸ホルマリン縮合物アルカリ金属塩、クレオート油スルホン酸ホルマリン縮合物アルカリ金属塩等が挙げられる。
【0037】
本発明の着色漂白組成物において、成分(g)を配合する場合、成分(g)の濃度が低すぎると、充分な安定化向上効果が得られず、また濃度が高すぎると、充分な有効塩素濃度、粘度及び着色の保存安定性が得られないため、その濃度は0.001~3.0質量%であり、好ましくは0.01~1.5質量%である。
【0038】
本発明の効果をより一層好適に発揮する観点から、本発明の着色漂白組成物は、成分(h)として、下記式(1)~(7)で表される界面活性剤の少なくとも1種を0.1~5.0質量%含有することが好ましい。
(1)R1COOM
(2)R2O-(AO)n-SO
(3)R3-Ph-SO
(4)R4SO
(5)R5OSO
(6)R6O-(AO)n-R7COOM
【0039】
式(1)~(6)中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、それぞれ炭素数6~22の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、Aは炭素数1~4の直鎖又は分岐のアルキル基を示し、R7は炭素数1~4のアルキレン基を示し、nは、それぞれ0.5~100の数を示し、Mはアルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原子を示す。
【0040】
【化2】
【0041】
式(7)中、R8は、炭素数4~18の直鎖又は分岐のアルキル基を示し、R9は、炭素数4~18の直鎖又は分岐のアルキル基であるか、炭素数1~3の直鎖又は分岐のアルキル基を示し、R10は、炭素数1~3の直鎖又は分岐のアルキル基を示す。
【0042】
式(1)で表される化合物である、脂肪酸及びそのアルカリ金属塩としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸及びこれらのナトリウム塩やカリウム塩等が挙げられる。脂肪酸及びそのアルカリ金属塩は、可溶化力および漂白性の観点から、炭素数6~22の脂肪酸及びそのアルカリ金属塩であるのが好ましく、炭素数8~12がより好ましい。
【0043】
また、式(2)で表される化合物である、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩(炭素数6~22の直鎖又は分岐鎖アルキル基を有するもの)としては、式(2)において、R2が好ましくは8~18であり、より好ましくは10~14であるものが好ましい。Aは、エチレン基、プロピレン基又はブチレン基で、エチレン基が好ましく、n(付加モル数)が0.5~100、好ましくは1~20、更に好ましくは1~10であるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩が挙げられる。式(2)で表される化合物は、より詳細には、ポリオキシエチレン(n=2.5)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(n=4.0)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム等が挙げられる。
【0044】
また、式(3)で表される化合物である、アルキルベンゼンスルホン酸塩(炭素数6~22の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を有するもの)としてはデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム)などが挙げられるが、容易に入手可能な炭素数10~14程度のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸塩(特にナトリウム塩)の混合物が、通常用いられる。
【0045】
また、式(4)で表される化合物である、アルカンスルホネート(炭素数6~22の直鎖又は分岐鎖のアルカンスルホネート)としては、デシルスルホン酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム(ラウリルスルホン酸ナトリウム)が挙げられるが、容易に入手可能な炭素数10~14程度のアルキル基を有するアルカンスルホン酸ナトリウムの混合物が、通常用いられる。
【0046】
また、式(5)で表される化合物である、アルキル硫酸エステル塩(炭素数6~22の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を有するもの)としては、デシル硫酸エステルナトリウム、ドデシル硫酸エステルナトリウム(ラウリ硫酸エステルナトリウム)が挙げられるが、容易に入手可能な炭素数10~14のアルキル基を有するアルキル硫酸エステルナトリウムの混合物が好適に用いられる。
【0047】
また、式(6)で表される化合物である、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボキシレート(炭素数6~22の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を有するもの)は、式(6)のR6で示される炭素数6~22の直鎖又は分岐鎖のアルキル基としては、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等が挙げられ、特にドデシル基、テトラデシル基が好ましい。また、Aで示される炭素数1~4の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基としては、炭素数2~4のものが好ましく、例えば、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基等が挙げられ、特にエチレン基、イソプロピレン基が好ましい。また、R7で示される炭素数1~4の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基としては、メチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基等が挙げられ、特にメチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基が好ましい。また、Mで示されるアルカリ金属原子としては、例えば、ナトリウム原子、カリウム原子等が挙げられ、特にナトリウム原子が好ましく、アルカリ土類金属原子としては、カルシウム、マグネシウム等が挙げられる。また、nとしては、1~50、特に1~20の範囲のものが更に好ましい。
【0048】
また、上、式(6)で表される化合物の具体例としては、ヘキシルポリオキシエチレンオキシ酢酸ナトリウム(o(酸化数エチレンの付加モル数)=3,8)、オクチルポリオキシエチレンオキシ酢酸ナトリウム(p=4.5)、ドデシルポリオキシエチレンオキシ酢酸ナトリウム(p=10)、ドデシルポリオキシプロピレンオキシ酢酸ナトリウム(p=2)、ドデシルポリオキシエチレンオキシプロピオン酸ナトリウム(p=5)、テトラデシルポリオキシエチレンオキシ酢酸ナトリウム(p=10)、ドデシルポリオキシエチレンオキシプロピオン酸ナトリウム(p=5)、テトラデシルポリオキシエチレンオキシ酢酸ナトリウム(p=10)、ノニルフェニルポリオキシエチレンオキシ酢酸ナトリウム(p=6.0)等が挙げられる。
【0049】
また、式(7)で表される化合物である、アミンオキサイド型界面活性剤としては、デシルジメチルアミンオキサイド、ラウリルジメチルアミンオキサイド等が挙げられる。分子中に炭素数4~18のアルキル基を1~2個有するアミンオキサイドを含有すると、かびの再発防止効果が更に向上することにもなり、好ましい。かびの再発防止効果の観点からは、分子中に炭素数4~18のアルキル基の個数は1以上であり、2以下であることが好ましく、アルキル基の炭素数は6~16がより好ましく、10~14が更に好ましい。本発明の着色漂白組成物にアミンオキサイド型界面活性剤を配合する場合、アミンオキサイド型界面活性剤の濃度が低すぎると、充分な可溶化の効果ができず、特に低温時には白濁する等して透明性が維持できず、界面活性剤としての効果が薄れて漂白効果も低下する。一方で、アミンオキサイド型界面活性剤の濃度が高すぎると、保存安定性が低下してしまう。このような観点から、本発明の着色漂白組成物中のアミンオキサイド型界面活性剤の濃度は、0.1~5.0%質量%とするのが好ましい。
【0050】
成分(h)の界面活性剤は、成分(a)である次亜塩素酸アルカリ金属塩の水溶液中において、安定かつアルカリ水溶液に溶解可能なものである。
【0051】
成分(h)としての式(1)~(7)で表される化合物は、単独または2種以上の混合物として使用することができる。本発明の着色漂白組成物に成分(h)を配合する場合、成分(h)の濃度が低すぎると、着色漂白組成物の充分な漂白性及び浸透性の向上効果が発揮さにくく、また、濃度が高すぎると、充分な有効塩素濃度、粘度及び着色の保存安定性の向上効果が発揮されにくいため、その濃度は、0.1~5.0質量%であり、好ましくは0.2~2.5質量%である。
【0052】
本発明の着色漂白組成物を対象物に好適に付着させる観点から、室温25℃環境における、本発明の着色漂白組成物の粘度は、前記の通り、好ましくは10000~100000mPa/s、より好ましくは15000~100000mPa/s、さらに好ましくは20000~100000mPa/sである。粘度の測定方法は前記の通りである。
【0053】
また、本発明の着色漂白組成物の効果をより好適に発揮する観点から、着色漂白組成物のpHは11~14であり、12~14が好ましく、12.5~14がより好ましく、12.9~13.9が特に好ましい。また、次亜塩素酸アルカリ金属塩の分解を抑える観点からすれば、着色漂白組成物のpHは11以上が好ましく、製造時や使用時における人体等に対する安全性を確保する観点から、pHは14以下が好ましい。着色漂白組成物のpHは、25℃環境において、市販のpHメータを用いて測定される値である。
【0054】
本発明の着色漂白組成物は、前記の成分(a)~(f)、さらには必要に応じて配合される成分(g)、(h)が、水に溶解または分散されたものである。すなわち、本発明の着色漂白組成物において、水の含有率は、例えば50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。
【0055】
本発明の着色漂白組成物は、前記の成分(a)~(f)、さらには必要に応じて配合される成分(g)、(h)と、水とを、各成分の濃度が前記の所定範囲となるように調整して、混合することにより製造することができる。
【0056】
本発明の着色漂白組成物を対象物に付着させることによって、対象物の着色漂白、カビ取りを行うことができる。本発明の着色漂白組成物を対象物に付着させる方法としては、特に制限されず、例えば、着色漂白組成物をスプレーにより噴霧して付着させる方法、スプレーにより泡状に付着させる方法、ノズルにより液を付着させる方法、刷毛により液を付着させる方法などが挙げられ、これらの中でも、ノズルにより液を付着させる方法が好ましい。
【0057】
本発明のカビ汚れの除去方法は、少なくとも、本発明の着色漂白組成物を含むカビ取り剤を対象物のカビ汚れに塗布する工程1、前記着色漂白組成物がカビ汚れに塗られた状態を60分間以上維持する工程2、及び前記着色漂白組成物を水ですすぐ工程3を備える。
【0058】
工程1において、本発明の着色漂白組成物を含むカビ取り剤をカビ汚れに塗布する方法は、前記の通り、例えば、着色漂白組成物をスプレーにより噴霧して付着させる方法、スプレーにより泡状に付着させる方法、ノズルにより液を付着させる方法、刷毛により液を付着させる方法などが挙げられ、これらの中でも、ノズルにより液を付着させる方法が好ましい。塗布量は、塗布面積100cm2に対して5~50mlであることが好ましく、10~30mLであることがより好ましい。工程2において、本発明の着色漂白組成物は、粘度が高く、塗布面に長時間付着することが可能なため、カビ汚れのひどい箇所には塗布された状態を3時間以上維持することが好ましい。工程3では、カビ取り剤を水ですすぐ。すすぎ水は、流水を用いることが好ましい。すすぎの終了は、カビ取り剤にされた着色が視認されなくなった時点とすることができる。
【0059】
本発明の着色漂白組成物は、前記の成分(a)~(f)、さらには必要に応じて配合される成分(g)、(h)、及び水に加えて、他の成分についても、本発明の効果を損ねない範囲で必要に応じて添加することができる。他の成分としては、例えば成分(h)とは異なる界面活性剤、研磨剤、溶剤、キレート剤、消泡剤、香料、着色剤等が挙げられる。本発明の着色漂白組成物に他の成分などを添加して、カビ取り剤とすることもできる。
【実施例0060】
以下に、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。なお、表1中の各成分の値は、質量%を意味する。
【0061】
実施例及び比較例で使用した各成分の詳細は、以下の通りである。
次亜塩素酸ナトリウム:東ソー株式会社製の製品名12%次亜塩素酸ソーダ
水酸化カリウム:AGC株式会社製の製品名48%液体苛性カリ
水酸化ナトリウム:要薬品株式会社製の製品名液体苛性ソーダ
カルボキシビニルポリマー(部分架橋物):Lubrizol社製の製品名カーボポール940
デシルジメチルアミンオキサイド:クラリアントジャパン株式会社製の製品名ゲナミノックスK‐10
ラウリルジメチルアミンオキサイド:花王株式会社製の製品名アンヒトール20N
ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム:花王株式会社製の製品名ネオペレックスG‐65
ラウリル硫酸エステルナトリウム:花王株式会社製の製品名エマール10PT
メトキシベンゼンスルホン酸ナトリウム:テイカ株式会社製の製品名テイカトックス6030
ポリエチレングリコール(Mw=1500):東邦化学工業株式会社製の製品名トーホーポリエチレングリコール1500
メチルポリエチレングリコール(Mw=2000):青木油脂工業株式会社製の製品名MP-2000
ブチルナフタレンスルホン酸・ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物Na塩:花王株式会社製の商品名デモールSNB
ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物Na塩:花王株式会社製の商品名デモールNL
【0062】
<実施例1~11及び比較例1~4>
表1に示した組成(質量%)になるように各成分を混合して、着色漂白組成物を得た。
【0063】
<保存安定性評価>
着色漂白組成物をポリエチレン製の300mL容の容器に300g分注し、密封して50℃4週間保管後に、表1に記載の各保存安定性を評価した。結果を表1に示す。
【0064】
保存安定性評価のうち、密封した容器の膨れ具合は、容器を目視で確認して評価した。また、粘度は、液垂れの有無を、地面に対して垂直なモルタル及びゴムパッキンに塗布して確認した。また、退色は、着色漂白組成物を目視で観察して確認した。また、有効塩素残存率は、以下に示す式により算出した。
有効塩素残存率(%)=(保管後の有効塩素濃度÷保管前の有効塩素濃度)×100
【0065】
それぞれの評価基準は、以下の通りである。
(容器の膨れ)
5:容器が全く膨れていない
4:容器が殆ど膨れていない
3:容器が少し膨れている
2:容器がやや大きく膨れている
1:容器が大きく膨れている
【0066】
(粘度)
5:全く垂れていない
4:殆ど垂れていない
3:少し垂れている
2:多く垂れている。
1:塗布後すぐに殆どが垂れる
【0067】
(退色)
5:保存前後で色が全く変化無し
4:保存前後で色が殆ど変化無し
3:保存前後で色が少し変化している
2:保存前後で色がやや大きく変化している
1:保存前後で色が大きく変化している
【0068】
また、カビ除去性は、モルタル及びゴムパッキン上に生育しているカビに、室温条件のもと、50℃4週間保管後の着色漂白組成物を塗布し、1時間静置後に流水で洗い流しカビの除去性を目視で確認した。評価基準は下記の通りである。
【0069】
(カビ除去性)
5:カビが全て除去された
4:カビが殆ど除去された
3:カビが概ね除去された
2:カビが少し除去された
1:カビが殆ど除去されない
【0070】
【表1】
【0071】
表1には、着色漂白組成物の各成分を配合した直後と、50℃で4週間後における、pHと粘度(測定環境はそれぞれ25℃)を示す。それぞれの測定方法は、前記の通りである。
【0072】
成分(f)である一般式(I)で表される化合物、さらには成分(g)であるスルホン酸基を有する水溶性ポリマーが含有されていない比較例1の着色漂白組成物は、経時的に保存安定性が著しく低下してしまい、カビ除去性にも課題がある。比較例2及び3では、それぞれ、成分(g)であるスルホン酸基を有する芳香族化合物のホルムアルデヒド縮合物、スルホン酸基を有する芳香族とアルキレン化合物のホルムアルデヒド縮合物を加えることにより、着色漂白組成物のある程度の保存安定性及びカビ除去性は認められたが、成分(f)である一般式(I)で表される化合物が含まれていないことから、保存安定性及びカビ除去性は充分なものとはいえない。比較例4では、成分(g)であるスルホン酸基を有する芳香族化合物とスルホン酸基を有するアルキレン化合物とのホルムアルデヒド縮合物と、成分(f)であるメチルポリエチレングリコール(MW=2000)を加えて保存安定性の向上を図った着色漂白組成物であるが、成分(d)である電子供与基を有する芳香族スルホン酸化合物またはそのアルカリ金属塩が含有されていないために、経時的に粘度が低下してしまい、それに伴って保存安定性に課題がある。
【0073】
一方、実施例1~11の着色漂白組成物は、保存安定性、カビ除去性に優れていることが確認された。特に、実施例6と比較例3との比較から、ポリエチレングリコールとスルホン酸基を有する芳香族とアルキレン化合物のホルムアルデヒド縮合物とを組み合わせることにより、相乗効果が生まれ、保存安定性の著しい向上が認められることが分かる。
【0074】
以上のとおり、本発明に係る着色漂白組成物について、実施の形態及び実施例に基づいて詳述したが、本発明は、この実験の形態や実施例に限定されるものではなく、その範囲を逸脱することなく本発明の趣旨に沿って種々の変更が可能である。