(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022074264
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/13357 20060101AFI20220511BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20220511BHJP
【FI】
G02F1/13357
F21S2/00 411
F21S2/00 419
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020184169
(22)【出願日】2020-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】大田 隆
【テーマコード(参考)】
2H391
3K244
【Fターム(参考)】
2H391AA18
2H391AA19
2H391AB04
2H391AB34
2H391AC09
2H391AC10
2H391AC13
2H391AC23
2H391AD55
2H391AD58
2H391CB13
2H391EA13
3K244AA01
3K244BA18
3K244BA23
3K244BA31
3K244CA02
3K244DA01
3K244DA13
3K244EA02
3K244EA16
3K244FA14
3K244GA01
3K244GA02
3K244GA03
3K244GA04
3K244GA05
3K244GA10
3K244LA10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】正確なローカルディミングによって、高精細で、コントラストの高い表示装置を実現する。
【解決手段】表示パネル及びバックライトを有する表示装置であって、バックライトは光源と光学シート群を有し、光源は、光源基板61と光源基板に配置したLED60を有し、光源は、平面で視てセグメントに分割され、セグメントには、少なくとも1個のLEDが存在し、光源基板は、LEDを除いて保護フィルム63によって覆われ、セグメントは、樹脂で形成された仕切り板70によって壁状に仕切られており、仕切り板は、保護フィルムの上に載置されていることを特徴とする表示装置。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネル及びバックライトを有する表示装置であって、
前記バックライトは光源と光学シート群を有し、
前記光源は、光源基板と前記光源基板に配置したLEDを有し、
前記光源は、平面で視てセグメントに分割され、
前記セグメントには、少なくとも1個の前記LEDが存在し、
前記光源基板は、前記LEDを除いて保護フィルムによって覆われ、
前記セグメントは、樹脂で形成された仕切り板によって壁状に仕切られており、
前記仕切り板は、前記保護フィルムの上に載置されていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記光学シート群と前記仕切り板との間には、導光板が配置し、前記仕切り板は前記導光板と接していることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記LEDの発光部分は、前記保護フィルムの上面よりも、前記光学シート群側に存在していることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記仕切り板で囲まれた領域は空間であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記仕切り板は白色PET樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記保護フィルムは、白色の樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記LEDは、青色LEDであり、前記光学シート群は色変換シートを含むことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項8】
前記セグメント内には、LEDが1個のみ存在し、前記光学シート群は拡散シートを含むことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項9】
前記光学シート群は、プリズムシート、色変換シート、及び拡散シートを含むことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項10】
前記仕切り板で囲まれた空間は、透明樹脂で充填されていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項11】
前記透明樹脂の屈折率は、前記仕切り板の屈折率よりも大きいことを特徴とする請求項10に記載の表示装置。
【請求項12】
前記透明樹脂には、色変換素子としての蛍光体が分散していることを特徴とする請求項10に記載の表示装置。
【請求項13】
前記バックライトはローカルディミング動作が可能であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項14】
前記表示パネルは液晶表示パネルであることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックライトを有する表示装置に係り、特に、ローカルディミングを用いて高コントラスト画面を可能とする表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置では画素電極および薄膜トランジスタ(TFT)等がマトリクス状に形成されたTFT基板と、TFT基板に対向して、対向基板が配置され、TFT基板と対向基板の間に液晶層が挟持されている。そして液晶分子による光の透過率を画素毎に制御することによって画像を形成している。
【0003】
一方、有機EL表示装置では、有機EL層による発光素子、駆動TFT、スイッチングTFT等を有する画素がマトリクス状に形成され、画素毎に有機EL層の発光強度を制御して画像を形成している。有機EL表示装置は自発光素子なので、画像のコントラストが優れている。
【0004】
しかし、画素の大きさは液晶表示装置のほうが小さくできるので、精細度は液晶表示装置のほうが優れている。そこで、液晶表示装置のコントラストを向上させる方式としてローカルディミングが開発されている。ローカルディミングに関する先行技術として、例えば特許文献1が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
VR(Virtual Reality)用表示装置、医療用表示装置では、より高精細で、よりコントラストの高い画像が必要とされる。このような表示装置でローカルディミングを用いる場合、ローカルディミングについても、より細かい制御が必要である。
【0007】
このような表示装置で、より効果的にローカルディミングを行い、コントラストを向上させるためには、例えば、ローカルディミングの単位となるセグメントの面積を小さくし、かつ、各セグメントの光が隣接するセグメントに及ばないようにする必要がある。
【0008】
また、セグメントの面積を小さくすると、セグメントに複数のLEDを配置することが難しくなる。一方、各セグメントに1個のみLEDを配置した場合、輝度分布の均一化が問題となり、画面側からLEDが見えてしまうという問題を生ずる。これを対策するために、例えば、拡散シートを配置すると、拡散シートの影響によって、各セグメントの光が隣接するセグメントに漏れるという問題を生ずる。
【0009】
本発明の課題は、このような問題を解決し、ローカルディミングを効果的に行い、バックライトを有する表示装置において、高精細で高コントラストの画面を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記課題を解決するものであり、主な具体的な手段は次のとおりである。
【0011】
(1)表示パネル及びバックライトを有する表示装置であって、前記バックライトは光源と光学シート群を有し、前記光源は、光源基板と前記光源基板に配置したLEDを有し、前記光源は、平面で視てセグメントに分割され、前記セグメントには、少なくとも1個の前記LEDが存在し、前記光源基板は、前記LEDを除いて保護フィルムによって覆われ、前記セグメントは、樹脂で形成された仕切り板によって壁状に仕切られており、前記仕切り板は、前記保護フィルムの上に載置されていることを特徴とする表示装置。
【0012】
(2)前記光学シート群と前記仕切り板との間には、導光板が配置され、前記仕切り板は前記導光板と接していることを特徴とする(1)に記載の表示装置。
【0013】
(3)前記LEDの発光部分は、前記保護フィルムの上面よりも、前記光学シート群側に存在していることを特徴とする(1)に記載の表示装置。
【0014】
(4)前記仕切り板で囲まれた領域は空間であることを特徴とする(1)に記載の表示装置。
【0015】
(5)前記仕切り板は白色PET樹脂で形成されていることを特徴とする(1)に記載の表示装置。
【0016】
(6)前記保護フィルムは、白色の樹脂で形成されていることを特徴とする(1)に記載の表示装置。
【0017】
(7)前記LEDは、青色LEDであり、前記光学シート群は色変換シートを含むことを特徴とする(1)に記載の表示装置。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図3】液晶表示装置におけるローカルディミング動作の場合のセグメントの例を示す平面図である。
【
図4】セグメントにLEDを4個配置した場合の比較例1の平面図である。
【
図5】セグメントにLEDを4個配置した場合の比較例1の断面図である。
【
図6】セグメントにLEDを1個配置した場合の比較例2の平面図である。
【
図7】セグメントにLEDを1個配置した場合の比較例2の断面図である。
【
図13】仕切り板を導光板に取り付け、これを光源基板に載置する状態を示す断面図である。
【
図14】比較例2におけるLED付近の光源基板の断面図である。
【
図15】実施例1におけるLED付近の光源基板の断面図である。
【
図17】実施例2のバックライトのセグメント部分の断面図である。
【
図18】実施例3のバックライトのセグメント部分の断面図である。
【
図19】実施例4のバックライトのセグメント部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
【実施例0020】
図1は液晶表示装置の1例を示す平面図である。
図1において、TFT基板100と対向基板200がシール材16によって接着し、内部に液晶が挟持されている。TFT基板100と対向基板200がオーバーラップした部分に表示領域14が形成されている。表示領域14には、走査線11が横方向(x方向)に延在し、縦方向(y方向)に配列している。また、映像信号線12が縦方向に延在して横方向に配列している。走査線11と映像信号線12で囲まれた領域に画素13が形成されている。
【0021】
図1において、TFT基板100が対向基板200とオーバーラップしていない部分は端子領域15となっている。端子領域15には、液晶表示パネルに電源や信号を供給するためにフレキシブル配線基板17が接続している。液晶表示パネルを駆動するドライバICはフレキシブル配線基板17に搭載されている。TFTの背面には、
図2に示すようにバックライトが配置している。
【0022】
図2は液晶表示装置の断面図である。
図2において、液晶表示パネル10の背面にバックライト20が配置している。液晶表示パネル10は次のような構成になっている。すなわち、画素電極、コモン電極、TFT、走査線、映像信号線等が形成されたTFT基板100に対向して、ブラックマトリクスやカラーフィルタが形成された対向基板200が配置している。TFT基板100と対向基板200は周辺において、シール材16によって接着し、内部に液晶300が封入されている。
【0023】
液晶分子は、TFT基板100及び対向基板200に形成された配向膜によって、初期配向している。画素電極とコモン電極の間に電圧が印加されると、液晶分子が回転し、画素毎にバックライト20からの光を制御することによって画像を形成する。液晶300は、偏向光のみ制御することが出来るので、TFT基板100の下に下偏光板101を配置して、偏向光のみを液晶300に入射する。液晶300で変調された光は、上偏光板201において、検光され、画像が視認される。
【0024】
図2において、液晶表示パネルの背面にバックライト20が配置している。バックライト20は光源30の上に導光板40が配置し、その上に光学シート群50が配置している構成である。表示装置のバックライト20には、発光素子である発光ダイオード(LED)等の光源が導光板の側面に配置するサイドライト方式と、LED等の光源が導光板の下面に配置する直下型とが存在するが、本発明では、直下型方式のバックライトを使用する。
【0025】
図2において、光源30の上には導光板40が配置している。導光板40は透明な樹脂で形成されている。
図2における導光板40は、導光板40に入射した光を界面において反射させることによって、点光源であるLEDからの光を均一化させる役割を有する。
【0026】
導光板40の上には光学シート群50が配置している。光学シート群50には、プリズムシート、拡散シート等が用いられる。この他に、光源に青色LED等を用いて白色光を得るために、樹脂シート内に蛍光体を分散した、色変換シートや、量子ドットを使った色変換シートが用いられることもある。また、バックライト20からの光の利用効率を向上させるために、偏向反射シートが用いられることもある。どのような光学シートを用いるか、あるいは、このような光学シートを何枚用いるかは表示装置によって決められる。
【0027】
液晶表示装置に画像を表示する場合、明るい部分はバックライトを透過し、暗い部分は、バックライトを遮蔽する。画像のコントラストは、明るい部分と暗い部分の比によって定義される。液晶表示装置は、暗い部分は、液晶によってバックライトからの光を遮蔽することによって形成する。しかし、液晶によるバックライトの遮蔽は、完全ではなく、若干の光が漏れる。これによってコントラストが低下することになる。
【0028】
ローカルディミングは、暗い部分には、バックライトを照射しないことによって、深い黒表示を可能とする。したがって、高いコントラストを実現することが出来る。
図3はローカルディミングの形態を示す液晶表示装置の例である。
図3は液晶表示装置の平面図であり、構成は
図1で説明したのと同様である。
図3において、表示領域14はセグメント141によって分割されている。
図3における点線は、セグメント141の境界であるが、これは便宜上記載したものであり、液晶表示パネルにこのような境界があるわけではない。バックライトにおける光源が各セグメントに対応する位置に配置されている。
【0029】
図3において、セグメント(4、2)は明るい部分であり、セグメント(5、2)は暗い部分であるとする。ローカルディミングでは、セグメント(4、2)の部分の光源、すなわち、LEDを点灯し、セグメント(5、2)の部分の光源、すなわち、LEDは点灯しない。そうすると、セグメント(5、2)の部分に形成される黒は、深い黒表示となり、高いコントラストが実現される。
【0030】
しかし、セグメント間には境界があるわけではないので、例えばセグメントの輝度分布等によっては、セグメント(4、2)の光がセグメント(5、2)に及ぶ場合がある。そうすると、黒表示をするはずのセグメント(5、2)にもバックライトが照射されることになり、ローカルディミングの効果を十分に発揮できないことになる。
【0031】
図4及び
図5は、このような問題を軽減するためのバックライトの構成を示す比較例である。
図4は、バックライトにおいて、各セグメント141における、光源であるLED60の配置を示す平面図である。以後光源はLED60として表現する。
図4において、各セグメント141は点線で仕切られている。しかし、この点線は、便宜上のものであり、実際に仕切りがあるわけではない。各セグメントの大きさは4mm□以下であり、
図5の場合は、例えば2mm□である。以下の例におけるセグメント141の大きさも同様である。
【0032】
図4において、各セグメント141に4個のLED60が配置している。すなわち、セグメント141に4個LED60を配置することによって、各LEDの輝度は小さくすることが出来る。その結果、隣のセグメントに漏れ出る光の量も小さくすることが出来る。
【0033】
図5は、比較例1におけるバックライトの断面図である。
図5において、光源基板61の上にLED60が配置し、LED60を覆って透明樹脂62が形成されている。LED60には青色LEDが使用されている。透明樹脂62には、例えばアクリル樹脂あるいはシリコーン樹脂が使用される。透明樹脂62は、LED60、及び光源基板61に形成された電極及び配線を保護するためのものである。
図5の光源基板61に記載された点線は、便宜上セグメントの境界を示すものである。
【0034】
透明樹脂62の上に導光板40が配置している。導光板40は、透明であるが、導光板40に入射した光を界面において反射し、LED60からの光を均一化する働きを有する。導光板40の上に色変換シート51が配置している。色変換シート51は、透明樹脂シートに青色光を受けて黄色光を発色する蛍光体を分散させたものであり、色変換シート51を通過した光は、白色光となっている。色変換シート51の厚さは例えば50ミクロン乃至70ミクロンである。
【0035】
色変換シート51の上にはプリズムシート52が配置している。プリズムシート52は、断面が3角形状のプリズムがy方向に延在し、x方向に配列したものである。プリズムシート52の役割は、色変換シート51の主面から斜め方向に出射した光を、色変換シート51の主面と直角方向に向けることによって、光の利用効率を上げることである。
図5では、プリズムシート52は、1枚であるが、
図5のプリズムシート52のプリズムアレイと直角方向に延在するプリズムアレイを有するプリズムシートを加える場合もある。プリズムシートの厚さは、例えば、プリズムアレイの部分の厚さ(すなわち、プリズムの高さ)が50ミクロン、基材の部分の厚さが70ミクロンであり、合計120ミクロン程度である。
【0036】
図4及び
図5の構成では、1セグメントあたり、LED60は4個配置している。したがって、各LED60の輝度を小さくできるので、隣接するセグメントへの光もれを小さくすることが出来る。しかし、1セグメントあたり、4個のLED60を配置するのは、コスト的に問題になる場合がある。また、セグメントのサイズが小さくなった場合は、各セグメントに複数のLEDを配置することがスペース的に問題になる場合もある。
【0037】
図6及び
図7は、各セグメント141に1個のLED60を配置した場合の比較例2である。
図6は、バックライトにおいて、各セグメント141における、光源であるLED60の配置を示す平面図である。
図6において、各セグメント141は点線で仕切られている。しかし、この点線は、便宜上のものであり、実際に仕切りがあるわけではない。
【0038】
図6において、各セグメント141に1個のLED60が配置している。1個のLED60によって、セグメント141全体の輝度をカバーするので、比較例1の場合に比較して、LED60の輝度は非常に大きい。また、点光源であるLED60の輝度が大きいと、スクリーン側から見た場合、LEDに対応する部分に輝度が大きい部分が生ずる。これを対策するために、後で説明するように、光学シート群50に拡散シート53を配置する必要がある。
【0039】
図7は、比較例2におけるバックライトの断面図である。
図7において、光源基板61の上にLED60が配置し、LED60を覆って透明樹脂62が形成されている。光源の構成は、1セグメントあたりLED60が1個しか存在していないことを除いては、
図5の構成と同じである。
【0040】
透明樹脂62の上に導光板40が配置している。導光板40の役割は比較例1で説明したのと同様である。導光板40の上に色変換シート51が配置している。色変換シート51の役割は比較例1で説明したのと同様である。
図7において、色変換シート51の上に拡散シート53が配置している。拡散シート53は、光源60からの光を拡散して輝度を均一化するためのものである。拡散シート53の厚さは、例えば、50ミクロン乃至200ミクロンである。
【0041】
すなわち、セグメント141には1個のLED60しかないので、セグメント141全体に十分な光を供給するために、LED60の輝度を大きくする必要がある。そうすると、画面において、LED60に対応する部分が点状に光って見える。以後この点状に光って見える部分を輝点ということもある。拡散シート53の役割は、光を拡散することによって、LED60に対応する輝点が見えないようにすることである。
【0042】
しかし、この拡散シート53は、光を拡散するので、LED60からの光を隣接するセグメントに拡散させる作用も有する。つまり、
図7の構成は、LED60からの光が、LED60を覆う透明樹脂62、導光板40、色変換シート51を介してのみでなく、拡散シート53を介して隣接するセグメントに漏れるという問題を有する。なお、
図7のプリズムシートの構成及び作用は
図5で説明したのと同様である。
【0043】
図8及び
図9は、以上のような問題を解決する、本発明の実施例1によるバックライトの構成である。
図8は、バックライトにおいて、各セグメント141における、光源であるLED60の配置を示す平面図である。本実施例においても、LED60は青色LEDである。
図8において、各セグメント141は仕切り板70によって仕切られている。仕切り板70は、
図10に示すように、樹脂による薄板を井桁状に組んだものである。各セグメント141の大きさは4mm□以下であり、例えば2mm□である。
【0044】
図8において、各セグメント141に1個のLED60が配置している。したがって、LED60の輝度は大きいが、実施例1の構成は、後で説明するように、LED60からの光が隣接するセグメントに漏れだす量は小さいので、比較例2の場合におけるLEDの輝度よりも小さくすることが出来る。
【0045】
図9は、実施例1におけるバックライトの断面図である。
図9において、光源基板61の上にLED60が配置している。LED60部分の構成は後で説明する。
図9において、光源基板61に形成された配線や電極を覆って保護フィルム63が形成されている。この構成は比較例1及び2とは大きく異なっている。すなわち、実施例1の構成は、LED60は透明樹脂62によって覆われておらず、LED60からの光の出射領域は、保護フィルム63よりも上側に存在している。したがって、保護フィルム63は透明である必要はない。つまり、実施例1では、比較例1及び2における透明樹脂62は存在しない。
【0046】
図9の構成では、保護シート63は例えば、白色の樹脂で形成し、反射率は高いほうがよい。このような樹脂は、例えばシリコーン樹脂で形成することが出来る。すなわち、LED60から出射した光は、一部が仕切り板70や導光板40で反射して、保護フィルム63側に入射するが、保護フィルム63の反射率が大きければこの光を再び反射して、液晶表示パネルの方向に向けることが出来る。
【0047】
図9において、セグメントの境界には、仕切り板70が存在しており、この仕切り板70は保護シート63の上に配置している。仕切り板70は白色PET(Polyethylene terephthalate)で形成されている。LED60から斜め方向に出射した光は、仕切り板70で反射して導光板40に向かう。仕切り板70の上には透明な導光板40が配置している。導光板40に入射した光は、導光板40内において反射し、仕切り板70の存在による輝度むらを軽減する。なお、仕切り板70は白色PETに代えて白色PC(Polycarbonate)を用いてもよい。また仕切り板70は一体成型したものを用いることもできるが、ブロック状に成型したものを複数並べて配置してもよい。
【0048】
比較例1及び2では、LED60からの光は、LEDを覆う透明樹脂62を伝って隣接するセグメントに漏れるが、実施例1では、
図9に示すように、LED60から出射した光は、仕切り板70によって反射し、隣接するセグメントには漏れないような構成となっている。
【0049】
図9において、導光板40の上には、色変換シート51が配置している。色変換シート51の構成及び作用は比較例1で説明したのと同様である。本実施例では蛍光体を用いた色変換シートを使用したが、量子ドットを用いた色変換シートを使用しても良い。色変換シートの厚さは材質によっても異なるが500μmの色変換シートでも良い。色変換シート51の上には、拡散シート53が配置している。拡散シート53の役割は、LED60による輝点を画面側から見えないようにすることである。しかし、LED60からの光は、拡散シート53によって拡散するので、この拡散光が隣接するセグメントに漏れる。ところで、
図9では、仕切り板70によって、隣接するセグメントへの光漏れが防止されているので、LED60の光の強度を小さくでき、その分、拡散シート53で拡散される光による隣接セグメントへの影響を軽減することが出来る。
【0050】
図9において、拡散シート53の上にプリズムシート52が配置していることは比較例1、2と同様である。また、プリズムシート52の構成及び作用も比較例1、2で説明したのと同様である。なお、
図9における光学シート群は例であり、この他の光学シートを使用してもよい。
【0051】
図10は仕切り板70の斜視図である。仕切り板70は、厚さが0.2mm程度の白色PET板を井桁状に組み合わせたものである。仕切り板70で囲まれた領域にセグメント141が形成されている。セグメント141の大きさは例えば2mm□であり、仕切り板70の高さは例えば1mmである。
【0052】
図11は仕切り板70の平面図である。仕切り板70の板厚swは0.2mm程度である。セグメント141の大きさsx、syは、4mm以下であり、例えば2mm程度である。
図12は、
図11のA-A断面図である。仕切り板70の高さshは0.5mm乃至2mmであり、例えば1mmである。
【0053】
図10に示すように、仕切り板70は、薄い白色PET板を井桁状に組み合わせたものなので、形状が不安定である。そこで、
図13に示すように、まず、仕切り板70を導光板40に接着材等で固定し、その後、LED60や保護フィルム63が配置された光源基板61側と組み合わせるのが効率的である。
図13は、導光板40に取り付けられた仕切り板70を光源基板61側の保護フィルム63の上に配置する状態を示す断面図である。
【0054】
図13において、光源基板61の上にLED60が取り付けられ、光源基板61は、LED60以外は保護フィルム63によって覆われている。保護フィルム63は、反射フィルムとしての役割も有している。
図13において、LED60の平面は矩形であり、より好ましくは正方形であり、LED60の幅lxは0.1mm乃至0.5mmである。LED60の高さlhは例えば0.5mmである。また、保護フィルムの厚さfhは例えば0.3mmである。LED60での光の出射部分は保護フィルム63の上面よりも上側、すなわち、導光板40側に存在している。
【0055】
図14及び
図15は光源部分の断面図である。
図14は比較例2による光源部分の構成であり、
図15は実施例1による光源部分の構成である。
図14も
図15もLEDの構成は同じである。
図14と
図15が異なる点は、
図14では、LEDを覆って透明樹脂62が形成されているのに対し、
図15では、LED以外の部分を覆って白色保護フィルム63が形成されていることである。
【0056】
図14において、光源基板61は、例えば、エポキシ樹脂で形成されている。光源基板61の上に、LED60の陽極601と接続する電極パッド612、及び、LED60の陰極602と接続する電極パッド613が金属で形成されている。光源基板61上には、この他に種々の配線が形成されているが、
図14では省略されている。LED60は光源基板61の電極パッド612、613にフリップチップボンディングされている。LED60の電極端子601、602と光源基板61の電極パッド612、613を対向させて半田615で固定接続している。LED60は、p型半導体とn型半導体が接合したものである。LED60は、発光効率を上げるために、さまざまな層からが形成される。
【0057】
図14において、LED60は、透明樹脂62で覆われ、保護されている。LED60に電圧を印加すると、p型層とn型層の境界で発光する。光は、上方向のみでなく、横方向にも出射する。この様子を
図14において矢印で示す。
図14における構成の問題は、横方向に出射した光が透明保護樹脂62内を伝播して隣接するセグメントに入射するということである。したがって、正確なローカルディミングができなくなる。
【0058】
図15は実施例1における光源部分の断面図である。
図15における光源基板61の構成及びLED60の構成は、
図14で説明したものと同様である。
図15が
図14と異なる点は、
図15では、LED60全体を覆う透明樹脂は存在しておらず、LED60の発光面を覆わないが、光源基板61に形成された電極等を覆う、白色の保護フィルム63が形成されていることである。LED60の発光部分は保護フィルム63によって覆われていない。
【0059】
したがって、LED60からの光は、直接空間に出射することになる。
図15の矢印に示すように、LED60からの光は横方向にも出射するが、この光は、
図9に示すように、セグメントの境界に配置された仕切り板70によって反射されるので、隣接するセグメントには入射しない。一方、導光板40や仕切り板70から反射して、下方に向かう光は反射層としての役割を有する白色保護フィルム63によって反射し、再び導光板40側に向かう。このように、
図15に示す光源は、LED60の光の利用効率に優れ、かつ、隣接するセグメントに光が漏れ出さない構成となっているので、正確なローカルディミングが可能である。
【0060】
図16は、比較例1(1セグメント当たり4個のLED(4LEDs/Segment))、比較例2(1セグメント当たり1個のLED(1LED/Segment))と実施例1(1セグメント当たり1個のLED(1LED/Segment))の場合における、隣接するセグメントへの光の漏れ量を比較したグラフ及び表である。
図16におけるグラフと表のデータは同一である。
【0061】
図16のグラフにおいて、横軸の単位はセグメントである。
図16における横軸のゼロは、点灯しているセグメントの中央をいう。したがって、点灯しているセグメントと隣のセグメントの境界は0.5、あるいは、-0.5である。すなわち、
図16の表における「境界」は、
図16のグラフの横軸の0.5あるいは-0.5を示している。また、
図16の表における「1セグメント先境界」とは
図16のグラフの横軸の1.5あるいは-1.5を、
図16の表における「2セグメント先境界」とは
図16のグラフの横軸の2.5あるいは-2.5を示している。
【0062】
図16の表におけるチップ見えとは、画面において、LEDに対応する輝点が見えるか否かを示している。
図16の表における〇はLEDチップに対応する輝点は視認できないことを示している。つまり、LED1個の場合は、LEDに対応する輝点は生じやすいが、拡散シートを用いて光を拡散して輝点が生じないようにしている。一方、拡散シートの存在は、拡散シートによる拡散によって、光が隣接するセグメントに漏れるということを意味する。
【0063】
図16のグラフにおける縦軸は、相対輝度を示している。すなわち、各場合において、点灯しているセグメントの中央の輝度を1とした場合、各場所における輝度を表している。
図16のグラフ及び表において、理論的には、輝度は、セグメント中央を挟んで対称になるはずであるが、実験誤差等によって、非対称になっている。しかし、傾向は読み取ることが出来る。
【0064】
図16において、隣接セグメントへの光漏れは、1セグメント当たり4個のLEDを使用している比較例1が最も小さい。すなわち、比較例1では、4個のLEDを使用しているので、各LEDの輝度が小さいので、その分、LEDから遠くへ届く光の量も小さい。さらに、各LEDの輝度が小さいために、LEDの輝点は生じにくいため、拡散シートを使用していない。したがって、拡散シートによる光の拡散も生じない。しかしながら、比較例1は、LEDを複数用いることによるコスト増、および、セグメントを小さくした場合、スペース的に対応できない場合が生ずる。
【0065】
図16において、隣接するセグメントへの光漏れが最も大きい仕様は比較例2である。比較例2は、セグメント当たり、LEDが1個なので、発光強度の強いLEDを使用することになり、それだけ、光が遠くへ届くことになる。さらに、画面におけるチップ見えを解消するために、拡散シートを使用するので、拡散シートによる拡散効果によって、隣接セグメントに光が漏れる。
【0066】
図16において、実施例1は、セグメント当たり、LEDが1個であるが、隣接セグメントへの光漏れは比較例2に比較して大幅に小さくなっている。すなわち、実施例1では、
図9に示すように、仕切り板70によって、光源部における隣接セグメントへの光もれを防止している。また、
図15に示すように、LED60を覆う透明樹脂は使用しないので、透明樹脂を介しての隣接セグメントへの光漏れを防止できる。
【0067】
このように、光源部においては、隣接セグメントへの光漏れはほぼ防止できるが、導光板40あるいは光学シート群50を介しての隣接セグメントへの光漏れは存在する。また、LEDが1個であるので、画面におけるチップ見えを解消するために拡散シート53が必要であり、この拡散シート53での光の拡散による隣接セグメントへの光漏れを生ずる。
【0068】
しかし、実施例1では、例えば
図9、
図15等で説明したように、光源部における光の利用効率を向上させているので、その分LED60の輝度を小さくできる。したがって、導光板40、光学シート群50を介しての光漏れ、および、拡散シート53の拡散による光漏れを軽減することが出来る。
【0069】
このように、実施例1によれば、セグメント141あたり1個のLED60の場合においても、隣接セグメントへの光漏れを軽減することが出来る。したがって、必要コントラストを維持しつつ、セグメント141を小さくして、高精細制御に対応することが出来る。また、LED60の数を減らすことが出来るので、バックライトの製造コストを低減することが出来る。
この場合、充填透明樹脂71の屈折率は仕切り板70を構成するPETの屈折率とは異ならせる必要がある。屈折率が同じであれば、仕切り板70の効果がなくなるからである。仕切り板70で十分に反射させるためには、充填透明樹脂71と仕切り板70の屈折率の差は大きいほどよい。さらに、充填透明樹脂71の屈折率が仕切り板70の屈折率よりも大きければ、仕切り板70において、光が全反射する機会が増えるので、より好ましい。
実施例2では、仕切り板70を安定して光源基板61側に取り付けることが出来るので、画面において、仕切り板70の影等の影響がなければ導光板40を省略することも可能である。