(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022007427
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】マイク用シールドおよびマイク用シールドの組み立て方法
(51)【国際特許分類】
H04R 1/08 20060101AFI20220105BHJP
G10K 15/04 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
H04R1/08
G10K15/04 302D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020110401
(22)【出願日】2020-06-26
(71)【出願人】
【識別番号】516276100
【氏名又は名称】日加商工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132137
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】加藤 暢利
【テーマコード(参考)】
5D017
5D208
【Fターム(参考)】
5D017BE10
5D208CA04
(57)【要約】
【課題】マイク使用時に飛沫が拡散することを抑制する。
【解決手段】マイク用シールド10は、可撓性を有するフィルム状の基材で形成される。マイク用シールド10用の基材の端部から所定の間隔で並行して延在する第1の切り込み部20および第2の切り込み部30が形成されている。第1の切り込み部20に対して、第1の切り込み部20と第2の切り込み部30とで挟まれた矩形領域とは反対側に位置する領域に係止用スリット50が設けられている。また、第2の切り込み部30の途中の位置から延在する係止用切り込み部60が設けられている。矩形領域の手前側において、係止用スリット50が設けられた領域の裏面側から表面側に向けて、係止用スリット50に係止用切り込み部60を差し込んだとき、マイクのハンドル部を挿入可能な開口が形成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有するフィルム状の基材で形成されたマイク用シールドであって、
前記基材の端部から所定の間隔で並行して延在する第1の切り込み部および第2の切り込み部と、
前記第1の切り込み部に対して、前記第1の切り込み部と前記第2の切り込み部とで挟まれた矩形領域とは反対側に位置する領域に設けられた係止用スリットと、
前記第2の切り込み部の途中の位置から延在する係止用切り込み部と、
を備え、
前記矩形領域の手前側において、前記係止用スリットが設けられた領域の裏面側から表面側に向けて、前記係止用スリットに係止用切り込み部を差し込んだとき、マイクのハンドル部を挿入可能な開口が形成されることを特徴とするマイク用シールド。
【請求項2】
前記基材は、透明性を有する請求項1に記載のマイク用シールド。
【請求項3】
前記基材の端部と反対側に位置する、第1の切り込み部20の端部および第2の切り込み部30の端部に、それぞれ面積を有するくり抜き部が設けられている請求項1または2に記載のマイク用シールド。
【請求項4】
前記係止用切り込み部の少なくとも一方の端部に、面積を有するくり抜き部が設けられている請求項1乃至3のいずれか1項に記載のマイク用シールド。
【請求項5】
可撓性を有するフィルム状の基材で形成されたマイク用シールドを用いたマイク用シールドの組み立て方法であって、
前記マイク用シールドは、
前記基材の端部から所定の間隔で並行して延在する第1の切り込み部および第2の切り込み部と、
前記第1の切り込み部に対して、前記第1の切り込み部と前記第2の切り込み部とで挟まれた矩形領域とは反対側に位置する領域に設けられた係止用スリットと、
前記第2の切り込み部の途中の位置から延在する係止用切り込み部と、
を備え、
前記矩形領域の手前側において、前記係止用スリットが設けられた領域の裏面側から表面側に向けて、前記係止用スリットに前記係止用切り込み部を差し込むことで、マイクのハンドル部を挿入可能な開口が形成する工程を含むことを特徴とするさマイク用シールドの組み立て方法。
【請求項6】
前記係止用切り込み部をスライドさせて、前記係止用切り込み部に前記係止用スリットの延在方向に沿って、前記係止用スリットの端部から先に位置する部分を前記係止用切り込み部で挟み込む工程をさらに含む、請求項5に記載のマイク用シールドの組み立て方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイク用のシールドおよびその組み立て方法に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の感染予防の観点から、飛沫拡散防止のための衛生用品に関する感心が高まっている。このような衛生用品の一つとして、カラオケや講演会などでマイクを使用する場合に飛沫の拡散を防止できる衛生用品への要求が高まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、マイクを使用する者(以下、マイク使用者という)の飛沫がマイクの頭部に付着することを抑制することができるが、マイク使用者の前方に飛沫が拡散することを効果的に抑制することができない。
【0005】
本発明は上述のような課題を鑑みたものであり、マイク使用者の飛沫が拡散することを抑制することができるマイク用シールドに関する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、可撓性を有するフィルム状の基材で形成されたマイク用シールドであって、前記基材の端部から所定の間隔で並行して延在する第1の切り込み部および第2の切り込み部と、前記第1の切り込み部に対して、前記第1の切り込み部と前記第2の切り込み部とで挟まれた矩形領域とは反対側に位置する領域に設けられた係止用スリットと、前記第2の切り込み部の途中の位置から延在する係止用切り込み部と、を備え、前記係止用スリットに係止用切り込み部を差し込んだとき、マイクのハンドル部を挿入可能な開口が形成される。
【0007】
本発明の他の態様は、可撓性を有するフィルム状の基材で形成されたマイク用シールドを用いたマイク用シールドの組み立て方法であって、前記マイク用シールドは、前記基材の端部から所定の間隔で並行して延在する第1の切り込み部および第2の切り込み部と、前記第1の切り込み部に対して、前記第1の切り込み部と前記第2の切り込み部とで挟まれた矩形領域とは反対側に位置する領域に設けられた係止用スリットと、前記第2の切り込み部の途中の位置から延在する係止用切り込み部と、を備え、前記矩形領域の手前側において、前記係止用スリットが設けられた領域の裏面側から表面側に向けて、前記係止用スリットに前記係止用切り込み部を差し込むことで、マイクのハンドル部を挿入可能な開口が形成する工程を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、マイク使用者の飛沫が拡散することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係るマイク用シールドの平面図である。
【
図2】実施形態に係るマイク用シールドの組み付け方法を示す図である。
【
図3】実施形態に係るマイク用シールドの組み付け方法を示す図である。
【
図4】実施形態に係るマイク用シールドにマイクを装着した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。なお、本明細書中、数値範囲の説明における「a~b」との表記は、特に断らない限り、a以上b以下であることを表す。
【0011】
図1は、実施形態に係るマイク用シールド10の平面図である。
図1に示すマイク用シールド10の表面は、マイク使用者の飛沫を受け止める面となる。以下において、説明の便宜上、「上」、「下」、「左」、「右」は、それぞれ、
図1の紙面上における「上」、「下」、「左」、「右」に対応する。
【0012】
マイク用シールド10は、可撓性あるいは湾曲性を有するフィルム状の基材により形成される。当該基材の材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンなどのポリオレフィン類、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ABS樹脂、アクリロニトリルスチレン(AS)などのプラスチックが挙げられる。マイク用シールド10は、透明性を有することが好ましい。透明性とは、可視光(波長380~780nm)に対する透過率が50%以上となる特性をいう。マイク用シールド10が透光性を有することにより、マイク用シールド10を通して、マイク使用者と聞き手とが互いの様子を視認することができる。なお、マイク用シールド10に付着した飛沫を見えにくくする観点から、マイク用シールド10の基材は色味を持つことが好ましく、当該色味としては、青色、緑色、黄色、赤色などが挙げられ、この中では、青色および緑色が好ましい。
【0013】
マイク用シールド10の基材の厚さは、湾曲性や可撓性が得られれば特に限定されないが、加工性やコストの点から、0.1mm~1mmが好ましく、0.2mm~0.5mmがより好ましい。マイク用シールド10の基材の幅Wは、250mm~350mmが好ましく、300mm~320mmがより好ましい。マイク用シールド10の基材の高さLは、200mm~300mmが好ましく、230mm~240mmがより好ましい。マイク用シールド10の幅Wおよび高さLを上記範囲とすることにより、ハンドリング性を損なうことなく、マイク使用者の飛沫を十分に受け止めることができる。
なお、マイク用シールド10の基材は矩形状であってもよいが、
図1に示すように、下辺の両角は丸みを帯びていることが好ましい。これによれば、マイク用シールド10を組み立てたときの意匠性や安全性を高めることができる。
【0014】
マイク用シールド10には、基材の下辺(端部)から上方に並行して延在する一対の切り込み(第1の切り込み部20、第2の切り込み部30)が形成されている。第1の切り込み部20と第2の切り込み部30とは所定の間隔だけ離間しており、第1の切り込み部20と第2の切り込み部30とで挟まれる矩形状あるいは舌状の領域を矩形領域40とよぶ。第1の切り込み部20と第2の切り込み部30との間隔は、マイク用シールド10に装着するマイクのハンドル部分の径にもよるが、典型的には、60mm~70mmである。第1の切り込み部20の長さ、第2の切り込み部30の長さは、60mm~150mmが好ましく、70mm~80mmがより好ましい。
【0015】
第1の切り込み部20の上端部(マイク用シールド10の基材の下辺(端部)と反対側に位置する端部)に、略円状の形状(面積)を有するくり抜き部22が設けられている。同様に、第2の切り込み部30の上端部に、略円状の形状(面積)を有するくり抜き部32が設けられている。くり抜き部22、くり抜き部32を設けることにより、矩形領域40の左側および右側の領域を湾曲させたときに、第1の切り込み部20の上端部および第2の切り込み部30の上端部において干渉が生じにくくなり、マイク用シールド10の変形自由度を高めることができる。
【0016】
矩形領域40の左側の領域内に、係止用スリット50が設けられている。本実施形態では、係止用スリット50は幅を有する開口であるが、実質的に面積を有さない切断部であってもよい。
図1に示すように、係止用スリット50は、左下から右上に傾いて形成されることが好ましい。係止用スリット50の長さは、25mm~40mmが好ましく、33mm~36mmがより好ましい。係止用スリット50の長さを上記範囲とすることにより、マイクを装着可能な状態にマイク用シールド10を変形したときの強度を十分なものとすることができる。
【0017】
係止用スリット50の右端部の高さに対応する、第2の切り込み部30の所定位置から右下に向けて延在する、スリット状の係止用切り込み60が形成されている。係止用切り込み60の長さは、8mm~15mmが好ましく、10mm~12mmがより好ましい。係止用切り込み60の長さを上記範囲とすることにより、後述するように、係止用切り込み60および係止用スリット50を用いて係止状態を形成したときの強度を十分に保つことができる。
【0018】
係止用切り込み60の右端部に、略円状の形状(面積)をくり抜き部62が設けられている。くり抜き部62を設けることにより、係止用切り込み60および係止用スリット50を用いて係止状態を形成する際の組み付け性を高めることができる。
【0019】
また、第2の切り込み部30の所定位置を起点とする係止用切り込み60の左側端部に、略三角形状の形状(面積)を有する切り欠き部64が設けられている。切り欠き部64を設けることにより、係止用切り込み60および係止用スリット50を用いて係止状態を形成する際の組み付け性を高めることができる。なお、切り欠き部62および切り欠き部64は、いずれか一方のみが形成されていてもよい。
【0020】
係止用切り込み60の延長線上に位置するマイク用シールド10の下辺に、略三角形状の切り欠き70が形成されている。切り欠き70の右斜辺は、係止用切り込み60を延長した直線上にあることが好ましい。切り欠き70を設けることにより、係止用切り込み60および係止用スリット50を用いて係止状態を形成する際に、係止用スリット50に係止用切り込み60を入れやすくすることができ、また、切り欠き70がストッパーの役割を果たすことにより、係止状態が解除されにくくなる。
【0021】
係止用切り込み60および係止用切り込み60の延長線より左下に位置する略三角形の領域を係止片80とよぶ。
【0022】
(マイク用シールドの組み立ておよび取り付け方法)
実施形態に係るマイク用シールド10の組み立ておよび取り付け方法について説明する。
図2および
図3は、実施形態に係るマイク用シールドの組み付け方法を示す図である。
【0023】
図2に示すように、マイク用シールド10の表面が内側になるように、矩形領域40の左側の領域および矩形領域40の右側の領域を湾曲させる。このとき、矩形領域40の手前側において、係止用スリット50が形成された左側の領域が手前になり、係止用切り込み60が形成された右側の領域が奥側になるようにする。
【0024】
続いて、
図3に示すように、裏面側から表面側に向けて、係止用スリット50に係止片80(および係止用切り込み60)を差し込む。これにより、マイク用シールド10の中央部分にマイクのハンドル部を挿入可能な開口90が形成される。この後、係止用スリット50の延在方向に沿って係止片80をスライドさせ、延在方向に沿って係止用スリット50の右端部の先に位置する部分を係止用切り込み60に差し込む。これにより、マイク用シールド10の表面を内側にしてマイク用シールド10全体が湾曲し、マイク用シールド10の中央部分に開口が形成された状態で固定される。
【0025】
図4は、実施形態に係るマイク用シールド10にマイク100を装着した状態を示す図である。
図4に示すように、マイク用シールド10に形成された開口90にマイク100のハンドル部を差し込むことにより、マイク用シールド10にマイク100を装着することができる。装着されるマイク100のハンドル部の径に応じて、上記開口90の大きさを調節することにより、テープなどで固定することなく、マイク用シールド10にマイク100を装着した状態を保持することができる。
【0026】
以上説明したマイク用シールド10によれば、マイクを使用して話したり、歌ったりしたときに、マイク用シールド10によってマイク使用者の飛沫が効果的に受け止められるため、マイク使用者の飛沫が前方に飛散することを効果的に抑制することができる。
【0027】
本実施形態のマイク用シールド10は簡便に組み立てることができ、マイクに簡便に取り付けることができるため、たとえば、マイク使用者が交代する度に取り替えて使用することができる。
【0028】
また、マイク用シールド10にマイク100を装着したとき、矩形領域40がマイク100のハンドル部の裏面側を覆うため、マイク使用者が矩形領域40を持つことで、マイク100に直接触れずに済み、マイクの清潔さが保たれる。
【0029】
また、マイク用シールド10は、プラスチック材料で形成されたシートを打抜き加工することにより容易に製造することができ、ひいては製造コストの低減を図ることができる。
【0030】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0031】
10 マイク用シールド
20 第1の切り込み部
30 第2の切り込み部
40 矩形領域
50 係止用スリット
60 係止用切り込み
90 開口