(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022074319
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】ジグヘッドユニットおよびそれに用いられる係止具
(51)【国際特許分類】
A01K 85/00 20060101AFI20220511BHJP
A01K 95/00 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
A01K85/00 B
A01K85/00 Z
A01K95/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020184261
(22)【出願日】2020-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】520432082
【氏名又は名称】山下 伸吾
(74)【代理人】
【識別番号】100111132
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 浩
(72)【発明者】
【氏名】山下 伸吾
【テーマコード(参考)】
2B307
【Fターム(参考)】
2B307BA35
2B307BA69
2B307BA70
2B307JA05
(57)【要約】
【課題】ジグヘッドに釣り糸をつないだまま装飾部材を付加したり、水中での沈降速度の調整を行ったりすることが容易なジグヘッドユニットを提供する。
【解決手段】ジグヘッド2と、このジグヘッド2に着脱可能に取設される係止具4と、からなるジグヘッドユニット1であって、ジグヘッド2は、錘となる固形状のヘッド2aと、このヘッド2aに突設され釣り糸3を連結するためのアイ2bと、ヘッド2aに突設される針2cと、を備え、係止具4は、伸縮性を有する膜からなり、その外形が環状をなす本体4aと、この本体4aをヘッド2aに係止した際に本体4aの厚み方向に針2cの軸2dを挿通させるための孔4bと、を備え、ジグヘッド2のアイ2bはヘッド2aに係止具4の本体4aを係止した際に、本体4aと干渉しない位置に取設されているジグヘッドユニット1による。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジグヘッドと、このジグヘッドに着脱可能に取設される係止具と、からなるジグヘッドユニットであって、
前記ジグヘッドは、
錘となる固形状のヘッドと、
このヘッドに突設され釣り糸を連結するためのアイと、
前記ヘッドに突設される針と、を備え、
前記係止具は、
伸縮性を有する膜からなり、その外形が環状をなす本体と、
この本体を前記ヘッドに係止した際に前記本体の厚み方向に前記針の軸を挿通させるための孔又は細管と、を備え、
前記ジグヘッドの前記アイは前記ヘッドに前記係止具の前記本体を係止した際に、前記本体と干渉しない位置に取設されていることを特徴とするジグヘッドユニット。
【請求項2】
前記針又は前記ヘッドに取設され、前記係止具により前記ジグヘッドに着脱可能に固定される釣り用部品を備えていることを特徴とする請求項1に記載のジグヘッドユニット。
【請求項3】
前記釣り用部品は、浮力調整部材であることを特徴とする請求項2に記載のジグヘッドユニット。
【請求項4】
前記浮力調整部材は、前記針に挿通されていることを特徴とする請求項3に記載のジグヘッドユニット。
【請求項5】
前記浮力調整部材は前記ヘッドに取設され、
前記浮力調整部材と前記ヘッドの接触部分は、係合構造を備えていることを特徴とする請求項3に記載のジグヘッドユニット。
【請求項6】
前記係合構造は、
前記ヘッドの表面に突設される凸部と、
前記浮力調整部材に形成され、前記凸部を収容する凹部、又は、前記凸部に挿通される挿通孔、を備えることを特徴とする請求項5に記載のジグヘッドユニット。
【請求項7】
前記係止具は、前記本体に一体に設けられる操作用つまみを備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のジグヘッドユニット。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のジグヘッドユニットに用いられる係止具であって、
前記係止具は、
前記本体と、前記孔又は前記細管と、を備えていることを特徴とする係止具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装飾部材の交換や、錘の重量の増減の調整、並びに浮力の調整を簡単に行うことができるジグヘッドユニットおよびそれに用いられる係止具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ルアーフィッシングでは、生餌に比べ匂いもなく集魚性の低い擬餌(ルアー)が用いられる。このため、釣り人がルアーを用いて釣果を上げるには、魚の習性等を考慮し、ルアーを如何にして生餌であると魚に思わせるように見せるかが重要となる。このようなルアーには様々な種類があり、このうちジグヘッドに小魚等の形に成形された軟質樹脂製のワーム、魚皮といった「装飾部材」が装着されたルアーは、従来から釣り人の間で多用されている。
【0003】
このジグヘッドとは錘(ヘッド)に針と釣り糸を係合する環状部(アイ)とが設置されたものであり、針に上述する装飾部材を装着するだけで簡単にルアーを作製することができる。したがって、様々なワームを試したい場合には、ワームを針から外して別のワームに付け替えるだけで良い。また、ヘッドの重量が異なるジグヘッドを複数所有していれば、釣り人は狙うポイントまでの距離に合わせてジグヘッドを選定することもできるようになる。すなわち、ヘッドの重量の異なる複数のジグヘッドと、複数の装飾部材を所有していれば、それぞれの数の積に等しい組み合せの数でルアーを作製できることになる。
このようにジグヘッドを用いたルアーは、初心者でも扱い易く、ジグヘッドと装飾部材の組み合わせの数だけ重さ・装飾の異なるルアーを作製できるという自由度の高さも相俟って、近年特に人気が出てきている。
【0004】
しかしながら、最近では一層の釣果の向上を狙い、ジグヘッドを用いるルアーに対して改良を求める声も強くなっている。特に、ワーム等の装飾部材の着脱が容易かつスピーディに行えることに加え、ジグヘッド自体の重さおよびジグヘッドの水中での沈降速度を細かく調整できることも求められるようになっている。このような要望のある中、ジグヘッドに関連する先願として以下のような発明が開示されている。
【0005】
特許文献1には「ワームのジグヘッド取付構造」という名称で、ルアーフィッシングで使用するワームに関し、特にワームに釣り針やジグヘッドを取り付けるための構造に関する発明が開示されている。
特許文献1に開示される発明であるワームのジグヘッド取付構造は、同文献中の
図5に記載される符号をそのまま用いて説明すると、ワーム本体(1)は、弾性および伸縮性を有する樹脂素材からなり、ワーム本体(1)の先端部(1a)に固定穴(2a)を開孔した固定部(2)が形成され、ワーム本体(1)の平面側にワーム本体(1)の長手方向に沿って、有底のスリット(1d)が開孔形成されていることを特徴とするものである。
上記構成の特許文献1に開示される発明によれば、ワーム本体(1)にジグヘッド(3)のフック(3b)を正確に位置決め固定することができ、初心者や熟練者に関わらず誰でも正確かつ容易にワーム本体(1)にジグヘッド(3)を装着することができる。
【0006】
次に、特許文献2には「ジグヘッド及びそれを備えた擬餌」という名称で、釣り用のジグヘッドとそれを用いた擬餌に関し、特に多数の足状部を有したタコ、イカ等に似せた擬餌に関する発明が開示されている。
特許文献2に開示される発明であるジグヘッドおよびそれを備えた擬餌は、同文献中の
図1および
図2に記載される符号をそのまま用いて説明すると、ジグヘッドは錘部(1)と針部(2)とからなり、錘部(1)は針部(2)が突出している側に向けて径が大きくなるようなスカート部(1b)を有している。そして、擬餌は空洞の頭皮部(3b)と、この頭皮部(3b)と連続する複数の足状部(3a)とを有するソフトベイト(3)がジグヘッドに被せるように取り付けられ、ジグヘッドのスカート部(1b)によりソフトベイト(3)の足状部(3a)が 外側に広げられていることを特徴とするものである。
【0007】
上記構成の特許文献2に開示される発明によれば、ジグヘッドにソフトベイト(3)を被せるように取り付けられることで、ジグヘッドの錘部(1)の頭部(1a)はソフトベイトの頭皮部(3b)の内側の空洞に挿入されるため、外部に露出することがない。このため、特許文献2に開示される発明は魚に警戒され難く、ソフトベイト(3)もジグヘッドから抜け落ち難くすることができる。加えて、スカート部(1b)がソフトベイト(3)の足状部(3a)の付け根部分の内側に位置するため、足状部(3a)はスカート部(1b)に沿って外側に広げられる。このため、特許文献2に開示される発明によれば、上述する効果に加えて、足状部(3a)が水流を受けて自然な動きをするため、魚に対してより現実の餌のように見せることができる。
【0008】
さらに、特許文献3には「釣針」という名称で、主にサビキ仕掛用として用いられる釣針に関する考案が開示されている。
特許文献3に開示される考案である釣針は、同文献中の
図1および
図2に記載される符号をそのまま用いて説明すると、釣針本体(1)の基端部に、括れ部(2)′を裾部に備えた光輝性粉末入りの色つき硬質プラスチックからなる小玉状のカグラ(2)が固定され、このカグラ(2)には釣り糸を結着させる結着用孔(3)と、釣針本体(1)を隠すようにしながら裾部の括れ部(2)′を利用して結着糸(5)により係止されている魚皮製の擬餌部材(4)とを有することを特徴としている。
【0009】
上記構成の特許文献3に開示される考案によれば、釣針本体(1)の基端部に係止されたカグラ(2)の裾部に、魚皮、鳥毛、薄いゴム片、薄く柔軟な合成樹脂片、もしくはこれらと同等の集魚性を有する小片等の擬餌部材(4)を、釣針本体(1)を隠すように巻き付けることで作製できる。
したがって、特許文献3に開示される発明である釣針は極めて簡単かつ容易に作製することができる。そして、従来から使用される鉛製のカグラを固着した釣針に比べて軽く水中での動きが良いため、集魚効果を向上させるという効果も有する。さらに、カグラ(2)の色等を変更したり、カグラ(2)に巻き付ける擬餌部材(4)を変更したりすることで、釣針に様々な装飾を施すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2020-80864号公報
【特許文献2】特開平11-289922号公報
【特許文献3】実願昭58-92922号(実開昭60-1274号)の願書に添付した明細書および図面の内容を撮影したマイクロフィルム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述の特許文献1に開示される発明の場合、ジグヘッド(3)のフック(3b)の所望の位置にワーム本体(1)を簡単に係止することができるものの、ワーム本体(1)を係止するための固定部(2)はウェイト(3a)の表面を覆うように構成されていないため、ウェイト(3a)の表面を装飾部として利用することができないという課題があった。
また、特許文献1に開示される発明の場合、ジグヘッドの重量、水中での沈降速度の調整について考慮しておらず、これらの調整を幅広く行うことができないという課題があった。
【0012】
一方、特許文献2に開示される発明の場合、ソフトベイト(3)は錘部(1)に被せられるように設置されるため、錘部(1)の表面を装飾することは可能だが、釣りの最中にソフトベイト(3)を着脱する場合には錘部(1)に直接係合されている釣り糸を一度切断しなければならない。このため、特許文献2に開示される技術内容を参照する場合は、錘部(1)に糸をつないだままの状態でソフトベイト(3)をスピーディに着脱することができないという課題があった。
また、特許文献2に開示される発明では、ジグヘッドの重量、水中での沈降速度の調整を幅広く行うことができないという課題もあった。
【0013】
特許文献3に開示される考案の場合、錘であるカグラ(2)の色を変える等の装飾は可能であるものの、その際にはカグラ(2)自体を交換する、すなわち釣針自体を交換しなければならず、作業に手間がかかり煩雑であるという課題があった。
一方、擬餌部材(4)の交換に関しても、擬餌部材(4)が釣針本体(1)に巻き付けられて結着糸(5)により固定されているため、擬餌部材(4)の着脱は煩雑なものとなり、スピーディに作業ができないという課題もあった。また、ジグヘッドの重量、水中での沈降速度の調整を行うことを考慮した構成ではなく、これらの調整をするには所望の仕様で作製された釣針に交換しなければならなかった。
【0014】
本発明はかかる従来の課題に対処してなされたものであり、その目的は錘であるヘッドに釣り糸がつながった状態のまま、ヘッドの表面を装飾可能な係止具を容易に着脱できるジグヘッドユニットを提供することにある。
さらに本発明は、上記目的に加えて、ジグヘッドの外観の変更、又はヘッドの重量の変更、又はヘッドの水中での沈降速度の調整を容易に行うことができるジグヘッドユニットおよびそれに用いられる係止具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するための第1の発明であるジグヘッドユニットは、ジグヘッドと、このジグヘッドに着脱可能に取設される係止具と、からなるジグヘッドユニットであって、ジグヘッドは、錘となる固形状のヘッドと、このヘッドに突設され釣り糸を連結するためのアイと、ヘッドに突設される針と、を備え、係止具は、伸縮性を有する膜からなり、その外形が環状をなす本体と、この本体をヘッドに係止した際に本体の厚み方向に針の軸を挿通させるための孔又は細管と、を備え、ジグヘッドのアイはヘッドに係止具の本体を係止した際に、本体と干渉しない位置に取設されていることを特徴とするものである。
【0016】
上記構成の第1の発明であるジグヘッドユニットにおいて、ジグヘッドは装飾等が施されることで魚を誘引するルアーとして作用する。
より詳細には、ジグヘッドにおけるヘッドは、錘であり、ジグヘッドユニットに重量を付加するという作用を有する。そして、このヘッドに突設されるアイは、釣り糸がその環に挿通されて結着されることで、釣り糸を介して竿とジグヘッドとが連結され、竿の動きをジグヘッドユニットに伝えるという作用を有する。また、針はジグヘッドユニットにより誘き寄せられる魚を捕らえるという作用を有する。
【0017】
さらに、ジグヘッドユニットでは、針が必要に応じて、ジグヘッドユニットと別体に設けられる釣り用部品(例えば、装飾部材、浮力調整部材から選択される少なくとも1種類)に挿通されて、下記係止具と協働して釣り用部品をジグヘッドに保持するという作用を有する。なお、ここでの装飾部材とは上述したようにワーム、魚皮等の部材を指す。一方、浮力調整部材とは、ジグヘッドユニットに加わる重力と浮力を調整でき、水中での沈降速度も調整できる部品を指す。このような浮力調整部材として、例えば金属製の錘や樹脂製の浮体が挙げられる。この浮力調整部材の定義は、本願明細書中において共通して用いるものとする。
【0018】
次に、係止具は、伸縮性を有する膜からなる本体の厚み方向に設けられる孔又は細管に針の軸を挿通させた後、上記本体をヘッドに係止することで、この本体によりヘッドの表面を被覆して装飾するという作用を有する。
さらに、上記係止具は、必要に応じて針又はヘッドに設けられる別体の釣り用部品を保持するという作用も有する。例えば、上記釣り用部品が浮力調整部材である場合には、浮力調整部材がヘッドに係止された係止具とヘッドとの間に挟まれながらヘッドに保持され、これによりジグヘッドユニットの重量、水中での沈降速度が任意に調整されるという作用も付与する。
【0019】
一方、上記係止具は、その本体と一体に設けられる釣り用部品(例えば、装飾部材、浮力調整部材から選択される少なくとも1種類)を備えていてもよい。この場合は、ジグヘッドに係止具を装着するだけで、ジグヘッドに対して、さらなる装飾性を付加したり、所望の重量を付加したり、水中での沈降速度を調整したりするなどの各作用を単独でまたは組み合わせて使用することができる。例えば、係止具における細管に、装飾部材である魚皮が糸等で巻き付けられて一体に固定される場合、ジグヘッドが魚皮により装飾されるという作用を有する。
さらに、第1の発明であるジグヘッドユニットにおいて、ヘッドに係止具の本体を係止した際に、本体と干渉しない位置にアイが突設されていることで、アイとの接触により本体に穴が開く、あるいは破れる等の損傷の発生を防ぐという作用を有する。
【0020】
第2の発明であるジグヘッドユニットは、上述の第1の発明であって、針又はヘッドに取設され、係止具によりジグヘッドに着脱可能に固定される釣り用部品を備えていることを特徴とするものである。
上記構成の第2の発明は、上述する第1の発明による作用と同じ作用を有する。
加えて、第2の発明において、釣り用部品をヘッドに接触させて設ける場合は、引き伸ばされた本体とヘッドの間で釣り用部品が挟持されてジグヘッドユニットに固定される。
また、第2の発明において、釣り用部品に針を挿通して設ける場合も、引き伸ばされた本体とヘッドの間で釣り用部品が挟持されてジグヘッドユニットに固定される。
なお、上述する釣り用部品が装飾部材であり、特にワームである場合は、ヘッドに係止された係止具とヘッドとの間にワームが挟まれながらヘッドに保持される。装飾部材が特に魚皮である場合も、ヘッドに係止された係止具とヘッドとの間に魚皮が挟まれながらヘッドに保持される。
【0021】
第3の発明であるジグヘッドユニットは、上述の第2の発明であって、釣り用部品は、浮力調整部材であることを特徴とするものである。
上記構成の第3の発明は、上述の第2の発明による作用と同じ作用を有する。加えて、第3の発明では、釣り用部品が浮力調整部材であることで、所望の比重および/又はサイズの浮力調整部材が係止具により保持されることにより、ジグヘッドユニットの水中での沈降速度が任意に調整されるという作用を有する。
より具体的には、浮力調整部材が「錘」である場合は、ジグヘッドユニットに加わる重力の増加が大きく、水中での沈降速度を上昇させるという作用を有する。また、浮力調整部材が「浮体」である場合は、浮力の増加が大きいためジグヘッドユニットの水中での沈降速度を低下させるという作用を有する。
【0022】
第4の発明であるジグヘッドユニットは、上述の第3の発明であって、浮力調整部材は、針に挿通されていることを特徴とするものである。
上記構成の第4の発明は、上述の第3の発明による作用と同じ作用を有する。加えて、第4の発明では、浮力調整部材に針が挿通されることで、針が挿通されない場合とは異なり、浮力調整部材がジグヘッドから外れ難くなるという作用を有する。
【0023】
第5の発明であるジグヘッドユニットは、上述の第3の発明であって、浮力調整部材はヘッドに取設され、浮力調整部材とヘッドの接触部分は、係合構造を備えていることを特徴とするものである。
上記構成の第5の発明は、上述の第3の発明による作用と同じ作用を有する。加えて、第5の発明では、浮力調整部材とヘッドの接触部分に形成される係合構造により、浮力調整部材がヘッドに直接係止されるという作用を有する。また、この係合構造により係止された浮力調整部材が上述の係止具に保持されることで、ジグヘッドから浮力調整部材を外れ難くするという作用も有する。
さらに、第5の発明では、浮力調整部材に針を挿通させる必要がなくなるため、針の軸の一部が浮力調整部材により占有されてしまうのを防ぐという作用を有する。
【0024】
第6の発明であるジグヘッドユニットは、上述の第5の発明であって、係合構造は、ヘッドの表面に突設される凸部と、浮力調整部材に形成され、凸部を収容する凹部、又は、凸部に挿通される挿通孔、を備えることを特徴とするものである。
上記構成の第6の発明は、上述の第5の発明による作用と同じ作用を有する。
そして、第6の発明おける係合構造が、ヘッドの表面に突設される凸部と、この凸部を収容可能に浮力調整部材側に形成される凹部とからなる場合は、ヘッド側の凸部と浮力調整部材側の凹部が嵌合して、ヘッドの表面上に浮力調整部材が着脱可能に係止されるという作用を有する。
【0025】
一方、係合構造が、ヘッドの表面に突設される凸部と、この凸部を収容可能に浮力調整部材側に形成される挿通孔とからなる場合は、ヘッド側の凸部が浮力調整部材側の挿通孔に挿入されることで、ヘッドの表面上に浮力調整部材が着脱可能に係止されるという作用を有する。さらに、第6の発明では、ヘッドの表面上に着脱可能に係止される浮力調整部材が、係止具によってもヘッドに固定される。このため、第6の発明の使用時にヘッドから浮力調整部材が一層外れ難くなる。
【0026】
第7の発明であるジグヘッドユニットは、上述の第1乃至第6のいずれかの発明であって、係止具は、本体に一体に設けられる操作用つまみを備えていることを特徴とするものである。
上記構成の第7の発明は、上述の第1乃至第6のいずれかの発明による作用と同じ作用を有する。加えて、第7の発明では、本体に一体に設けられている操作用つまみを指先で摘まんで操作することで、係止具の本体を容易に引き伸ばすことが可能になる。これにより、ジグヘッドのヘッドに対する係止具の着脱作業を容易にするという作用を有する。さらに、第7の発明では、操作用つまみ自体も装飾部材として作用する。よって、第7の発明によれば、一層の集魚効果も期待できる。
【0027】
第8の発明である係止具は、上述の第1乃至第7のいずれかの発明に用いられる係止具であって、この係止具は、本体と、孔又は細管と、を備えていることを特徴とするものである。
第8の発明は、上述の第1乃至第7のそれぞれの発明から、係止具のみを抽出して物の発明として特定したものである。したがって、第8の発明である係止具による作用は、上述の第1乃至第7のそれぞれの発明における係止具による作用と同じである。
【発明の効果】
【0028】
上述のような第1の発明によれば、ジグヘッドのヘッドが、係止具を構成する本体により被覆されることで、ヘッド自体の装飾性が増す。これにより、ジグヘッドユニットをルアーとして用いる際の集魚効果が向上されて、釣果の向上も期待できる。加えて、第1の発明によれば、ジグヘッドに釣り糸を連結したままの状態で係止具を着脱することができるので、使用者は釣りの途中で必要に応じて係止具を着脱できて便利である。
【0029】
また、第1の発明によれば、本体の厚み方向に設けられた孔又は細管にジグヘッドの針の軸を挿通させ、次いで本体を引き伸ばしてヘッドの表面を被覆しながら係止される係止具を用いることで、ジグヘッドユニットを装飾したり、ジグヘッドユニットに作用する重力、浮力を調整したりすることが簡単にできる。
具体的には、第1の発明は、係止具とは別体に設けられる釣り用部品(必要に応じて針に挿通される釣り用部品も含む)を係止具とヘッドの間に挟んで保持することで、ジグヘッドユニットを装飾したり、ジグヘッドユニットの水中での沈降速度を調整したりすることができる。これによれば、所望の釣り用部品をジグヘッドユニットに着脱することで、ジグヘッドユニットの外観の変更や、ジグヘッドユニットの水中での沈降速度の調整を容易に行うことができるため、ジグヘッドユニットの集魚性を一層高めることができる。
加えて、第1の発明が、上述のように係止具と別体に釣り用部品を備える場合は、ジグヘッドに釣り用部品を簡単に着脱可能なため、釣りの最中に、ジグヘッドに糸が連結されたままの状態で、所望の釣り用部品を着脱することができる。つまり、第1の発明によれば、釣りの状況に応じてルアーの装飾性や、ルアーの水中での沈降速度を自在に変更できるので、釣果の向上が期待できる。
【0030】
さらに、第1の発明が、ジグヘッドのヘッドに係止される係止具に、上述のものと同様の釣り用部品を一体に備えている場合は、ジグヘッドに係止具を係止するだけで、ジグヘッドユニットを装飾したり、ジグヘッドユニットの水中での沈降速度を調整したりすることができる。つまり、装飾部材と一体となった係止具をヘッドに係止すれば、ジグヘッドユニットの外観を容易に変更することができる。また、浮力調整部材と一体となった係止具をヘッドに係止すれば、ジグヘッドユニットの水中での沈降速度を簡単に調整できる。
【0031】
このように、第1の発明では、上記の釣り用部品と一体となった係止具を用いることで、係止具自体の交換により、ジグヘッドユニットの外観や、沈降速度を簡単に変更することができる。
なお、第1の発明に係る係止具は、装飾部材、浮力調整部材のそれぞれを単独で備えていてもよく、これらを同時に備えていてもよい。釣り用部品と一体となった係止具は簡単にジグヘッドに着脱でき、釣りの最中に係止具を交換するだけで、ジグヘッドに対する装飾効果および/又は浮力調整効果を容易に変更することができる。この結果、釣果の向上も期待できる。
【0032】
第2の発明は、上述の第1の発明による効果と同じ効果を有する。さらに、第2の発明によれば、釣り用部品がジグヘッドの針に挿通された状態で保持される場合は、第2の発明の使用中にジグヘッドから釣り用部品が外れて紛失するのを防ぐことができる。
また、第2の発明において、釣り用部品がジグヘッドの針に挿通されることなくヘッドに設けられる場合は、使用中にジグヘッドから釣り用部品が外れて紛失するリスクがやや高まるものの、ジグヘッドの針が釣り用部品で占有されてしまうのを防ぐことができる。この場合、魚の口等への針のかかりを良好にできるので、釣果の向上が期待できる。
【0033】
第3の発明は、上述の第2の発明による効果と同じ効果を有する。さらに、第3の発明によれば、釣り用部品を錘又は浮体からなる浮力調整部材に特定し、かつジグヘッドユニットに装着される浮力調整部材のサイズ又は数量を調整することで、ジグヘッドユニットの水中での沈降速度を任意に調整することができる。そして、水中でのジグヘッドユニットの沈降速度が調整されることで、使用者が釣ろうとしている魚毎に、あるいは釣り場の環境に応じて最適なジグヘッドの沈降速度を実現できるようになる。この結果、ジグヘッドユニットの集魚性をより高めることができる。
【0034】
第4の発明は、上述の第3の発明による効果と同じ効果を有する。さらに、第4の発明によれば、浮力調整部材が針に挿通された状態で保持されることで、ジグヘッドユニットが水中に投下された際に、浮力調整部材が水の抵抗を受けて位置ずれしたり、ジグヘッドユニットから外れたりし難くなる。この結果、ジグヘッドユニットの使用中にその重心位置が変化しないため、ジグヘッドユニットの水中での動きが安定化するという効果もある。
また、ジグヘッドユニットから浮力調整部材が外れ難くなるため、浮力調整部材を紛失するリスクを大幅に低減することができる。
【0035】
第5の発明は、上述の第3の発明による効果と同じ効果を有する。さらに、第5の発明では、浮力調整部材が係合構造並びに係止具によりジグヘッドに保持されることで、浮力調整部材がジグヘッドの針に挿通されない場合でも、浮力調整部材は水中での移動時に水の抵抗を受けて位置がずれたり、ジグヘッドユニットから外れたりし難くなる。この結果、ジグヘッドユニットの使用中にその重心位置が変化しないため、ジグヘッドユニットの水中での動きが安定化するという効果もある。
また、ジグヘッドユニットから浮力調整部材が外れ難くなるため、浮力調整部材を紛失するリスクを大幅に低減することができる。
さらに、第5の発明では、浮力調整部材をジグヘッドに装着する際に、針の軸に浮力調整部材を挿通させる必要がなく、針の軸に生餌、ワームといった疑似餌を取り付けることも容易になる。この結果、ジグヘッドユニットの外観調整の自由度を上げることができ、ジグヘッドユニットの集魚性を一層高めることができる。
【0036】
第6の発明は、上述の第5の発明による効果と同じ効果を有する。さらに、第6の発明では、係合構造がヘッドの表面に突設された凸部と、この凸部を収容可能に浮力調整部材に形成された凹部とからなる場合は、ヘッド側の凸部と浮力調整部材側の凹部を篏合させるだけで、煩雑な作業を行うことなく簡単にヘッドと浮力調整部材を係合させることができる。
一方、係合構造がヘッドの表面に突設された凸部と、この凸部を収容可能に浮力調整部材に形成されている挿通孔とからなる場合も、ヘッド側の凸部を浮力調整部材側の挿通孔に挿入するだけで簡単にヘッドと浮力調整部材を係合させることができる。
さらに、上述した係合構造は単純な構造であり製造し易く、破損もし難い。すなわち、第6の発明が係合構造を有することで、第6の発明の生産コストを低減できるとともに、製品寿命も延ばすことができる。
【0037】
第7の発明は、上述の第1乃至第6のそれぞれの発明による効果と同じ効果を有する。さらに、第7の発明では、ジグヘッドのヘッドに対する係止具の着脱作業を効率良く行うことができるようになる。このため、第7の発明を用いる場合は、釣りの最中に使用者が集魚効果を高めるべく、ジグヘッドに装飾性を付加したり、ジグヘッドの水中における沈降速度を所望に調節したりする作業が容易に行えるようになる。さらに、第7の発明によれば、操作用つまみ自体が水流に合わせて揺動して魚を誘引するため、集魚性を一層高めることができる。
【0038】
第8の発明は、上述の第1乃至第7のそれぞれの発明から、係止具のみを抽出して物の発明として特定したものである。したがって、第8の発明である係止具による効果は、上述の第1乃至第7のそれぞれの発明における係止具による効果と同じである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本実施形態に係るジグヘッドユニットに関し、(a)はジグヘッドの側面図であり、(b)は係止具の外観斜視図であり、(c)は同図(a)のジグヘッドに同図(b)の係止具を取り付けた際の側面図である。
【
図2】
図1(c)に示すジグヘッドユニットに釣り用部品を取り付ける手順を示す図である。
【
図3】(a)は
図1(b)に示す係止具の変形例を示す外観斜視図であり、(b)は
図1(a)に示すジグヘッドに同図(a)の係止具を取り付けた際のジグヘッドユニットの側面図である。
【
図4】(a)は本実施形態に係るジグヘッドユニットにおいて係止具が装飾部材を一体に備える場合の側面図であり、(b)は同ジグヘッドユニットにおいて係止具が装飾部材を一体に備える他の例を示す側面図である。
【
図5】(a)は
図1(b)に示す係止具が浮力調整部材と一体化された際の外観斜視図であり、(b)は同図(a)の平面図である。
【
図6】
図1(b)に示す係止具と別体に設けられた装飾部材をジグヘッドに保持させた際のジグヘッドユニットの側面図である。
【
図7】本実施形態に係るジグヘッドユニットに形成された係合構造を説明する図であり、(a)はジグヘッドユニットのヘッド周辺の側面図であり、(b)は同図(a)のジグヘッドに用いるジグヘッドと浮力調整部材の外観斜視図である。
【
図8】本実施形態に係るジグヘッドユニットに形成された係合構造を説明する図であり、(a)はジグヘッドユニットのヘッド周辺の側面図であり、(b)は同図(a)のジグヘッドに用いるジグヘッドと浮力調整部材の外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
[1;本発明の基本構成について]
[1-1;基本構成の構造について]
本実施形態に係るジグヘッドユニットについて
図1乃至
図8を参照しながら詳細に説明する。初めに、
図1を参照しながら、本実施形態に係るジグヘッドユニットを構成する要素について説明する。
図1は本実施形態に係るジグヘッドユニットに関し、
図1(a)はジグヘッドの側面図であり、
図1(b)は係止具の外観斜視図であり、
図1(c)は
図1(a)のジグヘッドに
図1(b)の係止具を取り付けた際の側面図である。なお、
図1はジグヘッドユニット1の例として挙げたものであり、後述する本件発明の作用・効果を奏する範囲内であれば、構成要素の形状等を任意に決めることが可能である。この点については、本願明細書に記載される他の実施形態においても同様である。
【0041】
本実施形態に係るジグヘッドユニット1は、
図1(c)に示すように、ジグヘッド2と、このジグヘッド2に連結される釣り糸3と、ジグヘッド2に着脱可能に取設される係止具4とからなる。
ここで、
図1(a)に示すように、ジグヘッド2は錘となる固形状のヘッド2aと、上記釣り糸3とを連結するためにヘッド2aに突設されているアイ2bと、ヘッド2aに突設される針2cとを備えている。加えて、係止具4は、
図1(b)に示すように、伸縮性を有する膜からなり、その外形が環状をなす本体4aと、この本体4aをヘッド2aに係止した際に本体4aの厚み方向に針2cの軸2dを挿通させるための孔4b又は細管8b(
図3(a)を参照)とを備えている。さらに、
図1(c)に示すように、ジグヘッド2のアイ2bは、ヘッド2aに係止具4の本体4aを係止した際に、本体4aと干渉しない位置に取設されている。
【0042】
また、この係止具4の本体4aは、
図1(b)、(c)に示すように、必要に応じて操作用つまみ4cを備えていてもよい(任意)。なお、この操作用つまみ4cについては後段において詳細に説明する。
なお、上述のような本実施形態に係るジグヘッドユニット1におけるジグヘッド2は、従来公知の市販品であるジグヘッドを支障なく使用できる。また、ジグヘッドユニット1における係止具4の製造方法については後段において説明する。
【0043】
[1-2;基本構成の使用方法について]
次に、
図2を参照しながら、本実施形態に係るジグヘッドユニット1の使用方法について説明する。
まず、本実施形態に係るジグヘッド2への係止具4の装着手順について説明する。
図2は、
図1(c)に示すジグヘッドユニットに釣り用部品を取り付ける手順を示す図である。また、
図1に記載された構成要素と同一のものについては同一符号を付し、その構成要素についての説明は省略する。
初めに、
図1(b)に示す係止具4の本体4aの厚み方向に設けられた孔4bに、
図2(a)に示すように、ジグヘッド2の釣り用部品5が挿通されている針2cの軸2dを挿通させる(
図2(b)参照)。そして、
図2(c)に示すように、係止具4における本体4aの縁を摘まみながら本体4aを引き伸ばしてヘッド2aの表面を被覆することで、係止具4をジグヘッド2のヘッド2aに係止することができる。したがって、本実施形態に係るジグヘッドユニット1によれば、ジグヘッド2に釣り糸3が連結された状態であっても、簡単にジグヘッド2に係止具4を係止することができる。
【0044】
なお、上述するジグヘッド2に係止具4が装着されたジグヘッドユニット1(
図2(c)を参照)の使用方法は下記の通りである。
すなわち、このような本実施形態に係るジグヘッドユニット1をそのまま水中に投下してもよい。この場合は、係止具4で被覆されたヘッド2aが、魚を誘き寄せる装飾部材として作用する。また、
図2(c)に示すジグヘッドユニット1の針2cに、さらに生餌や疑似餌を装着してから水中に投下してもよい。この場合は、上述するヘッド2aの作用に加え、生餌および疑似餌も魚を誘き寄せる装飾部材として作用するため、釣果を一層向上させることができる。
【0045】
[1-3;本発明の基本構成による作用・効果について]
上述のような本実施形態に係るジグヘッドユニット1によれば、ジグヘッド2のヘッド2aが、係止具4を構成する本体4aにより被覆されることで、ヘッド2a自体の装飾性が増すことになる。この結果、ジグヘッド2をルアーとして用いる際に、その集魚効果が増すことで釣果の向上が期待できる。
加えて、本実施形態に係るジグヘッドユニット1によれば、ジグヘッド2に釣り糸3が連結したままの状態であっても係止具4を着脱することができるため、使用者は釣りの途中で必要に応じて係止具4を着脱する、あるいは交換することができて便利である。この結果、使用者は係止具4の着脱に手を煩わされることなく釣りを楽しむことができる。
【0046】
[1-4;係止具の製造方法について]
ここで、ジグヘッドユニット1の構成要素の1つである係止具4(
図1(b)を参照)の製造方法について説明する。
係止具4を作製するには、例えば、ゴム膜からなり所望の直径を有する円筒体をその長手方向において所望の間隔で切断することで、伸縮性を有し外形が環状の膜体を得ることができる。この切断された膜体の厚み方向に
図1(b)に示すような孔4bを形成することで、係止具4が完成する。また、上記膜体は、ゴム膜のシートを無端状に加工することでも得ることが可能である。上記製法によれば、容易にかつ安価に係止具4を量産することができる。
なお、係止具4の本体4aを構成する膜体の素材として、ここではゴムを用いた例を示しているが、伸縮性を有する膜状の素材であればゴム以外を用いてもよい。例えば、薄肉で伸縮性のある筒状の織物を用いることも可能である。
【0047】
[1-5;係止具の細部構造について]
[1-5-1;操作用つまみについて]
ここで、本実施形態に係る係止具4の本体4aは、
図1(b)、(c)に示すように、必要に応じて操作用つまみ4cを備えていてもよい。より詳細には、操作用つまみ4cは、本体4aにおいて孔4bから最も離れた位置で、かつ本体4aの端面に突設しておいてもよい。
係止具4が操作用つまみ4cを備えている場合、この操作用つまみ4cを指先で摘まんで操作することで、係止具4の本体4aを容易に引き伸ばしてヘッド2aに係止することが可能になる。
これにより、ジグヘッド2のヘッド2aに対する係止具4の着脱作業が容易となり、釣りの最中に使用者が必要に応じて係止具4を着脱する、あるいは交換する作業をより簡単に行うことができる。また、操作用つまみ4c自体も水流に合わせて揺動して魚を誘引するため、集魚性を一層高めることができる。
【0048】
[1-5-2;係止具の色/模様について]
加えて、係止具4の本体4aは、その表面に色および/又は模様を有していてもよい。つまり、係止具4の本体4aを構成する材質は、透視性を有するものでなければよい。この場合、係止具4をジグヘッド2のヘッド2aに係止することで、本体4aが覆うヘッド2aの表面に本体4aの色および/又は模様が付された状態になる。この結果、ヘッド2a自体が魚を誘き寄せる要素になり、ジグヘッドユニット1の集魚性を一層高めることができる。
【0049】
[1-5-3;係止具の厚さについて]
さらに、係止具4の本体4aに孔4bが形成されている場合は、孔4bの周囲の膜厚を厚くしておいてもよい。この場合、本体4aの孔4bの周囲の膜が厚くなることで、孔4bの周囲の膜の破断強度を高めることができ、孔4bの周縁を起点とする材料破壊が発生し難くなる。この結果、係止具4の耐久性が向上し、係止具4の製品寿命を延ばすことができる。
【0050】
[1-6;係止具の変形例の構成について]
ここで、本実施形態に係る係止具の変形例について
図3を参照しながら説明する。
図3(a)は
図1(b)に示す係止具の変形例を示す外観斜視図であり、
図3(b)は
図1(a)に示すジグヘッドに
図3(a)の係止具を取り付けた際のジグヘッドユニットの側面図である。なお、
図1、
図2に記載された構成要素と同一のものについては同一符号を付し、その構成要素についての説明は省略する。
図3(a)に示すように、変形例に係る係止具8は、所望形状に切り抜いたシートを二つ折りにしてなる本体8aと、この本体8aの折り返し部分と反対に位置する端部寄りの重なり部分の間に収容される細管8bと、これらの重なり部分を緊縛して一体化する固定糸8cにより構成されてもよい。なお、上述の変形例に係る係止具8において細管8bが、上述の係止具4における孔4bに対応する構成要素である。
このような変形例に係る係止具8では、二つ折りされた本体8aと細管8bが固定糸8cにより一体化されることで、係止具8の外形は環状となる。
なお、
図3(a)、
図3(b)に示すように、この係止具8の本体8aは、必要に応じて操作用つまみ8dを備えていてもよい。この操作用つまみ8dについては、上述した操作用つまみ4cと同様の作用・効果を有する。
【0051】
[1-7;変形例の装着手順について]
このような構造の係止具8であれば、先の
図2において示した係止具4と同様の方法によりジグヘッド2に係止具8を係止することができる。すなわち、初めに係止具8の細管8bにジグヘッド2の針2cの軸2dを挿通させる。次いで、係止具8における本体8aの縁を摘まみながら本体8aを引き伸ばしてヘッド2aの表面を被覆することで、
図3(b)に示すジグヘッドユニット1Aのように係止具8をジグヘッド2のヘッド2aに係止することができる。
なお、変形例に係る係止具8の釣り具としての使用方法は、先の
図1、
図2に示す係止具4の使用方法と同じである。
【0052】
[1-8;変形例の製造方法について]
次に、変形例に係る係止具8の製造方法について説明する。
上述のような変形例に係る係止具8を作製するには、例えば、線対称の形状に切り抜かれた本体8aとなるゴム膜をその対称軸に沿って折り曲げるとともに、長手方向が対称軸側に向く細管8bを、折り曲げられたゴム膜の間に挟みながら設置する。そして、ゴム膜により挟まれた細管8bと、この細管8bを挟んでいるゴム膜の重なり部分を固定糸8cにより巻回して固定する。これにより、
図3(a)に示すように、本体8aと細管8bが固定糸8cにより一体化されてなるものの外形が環状をなす係止具8を得ることができる。なお、固定糸8cによる固定方式ではなく、例えば樹脂による固定や、接着剤を用いた固定方式が採られてもよい。
このような製造方法は、従来から用いられているフライフィッシング用の擬餌針を作製する手法とも共通する。このため、フライフィッシング用の擬餌針を作製するための装置並びに工具を活用すれば、係止具8を容易にかつ安価に量産することができる。
なお、係止具8の本体8aを構成する素材として、ここでは膜状のゴムを用いたが、上述した係止具4と同様に伸縮性を有する膜状の素材であれば、ゴム以外を用いてもよい。
【0053】
[1-9;変形例の作用・効果について]
このような変形例に係る係止具8を用いたジグヘッドユニット1Aは、上述した係止具4を用いたジグヘッドユニット1と同様の作用・効果を有する。
なお、
図3(a)において示す係止具8は、本体8aの端部が細管8bから紐状に伸びるように形成されているが、当該端部が細管8bから伸び出さないように形成されていてもよい。これについては使用者が任意に設定することができる。
また、細管8bの端部から紐状に伸びた2本の本体8aの端部の長さは、必ずしも同じである必要はない。
なお、変形例に係る係止具8において細管8bの端部から紐状に伸びた2本の本体8aの端部は、係止具8自体の装飾性を向上させるという効果を奏する。
【0054】
上述してきたように、本実施形態ではジグヘッドユニット1(又はジグヘッドユニット1A)をジグヘッド2と係止具4(又は係止具8)により構成しているが、このようなジグヘッドユニット1(又はジグヘッドユニット1A)に用いられる係止具4(又は係止具8)は、それのみでも独立した発明として成立する。
なお、本発明を係止具4(又は係止具8)のみとして特定した場合の作用・効果は、上述したジグヘッドユニット1(又はジグヘッドユニット1A)における係止具4(又は係止具8)の作用・効果と同じである。
【0055】
[2;本発明の細部構造について]
[2-1;釣り用部品を一体に備える係止具について]
[2-1-1;別体の装飾部材を固定して係止具に一体化する場合]
上述の本実施形態に係るジグヘッドユニット1(又はジグヘッドユニット1A)における、係止具4(又は係止具8)は、その本体4a(又は本体8a)と一体に設けられる釣り用部品5(装飾部材、浮力調整部材から選択される少なくとも1種類)を備えていてもよい。そのような係止具の例について、
図4および
図5を用いながら説明する。
図4(a)は本実施形態に係るジグヘッドユニットにおいて係止具が装飾部材を一体に備える場合の側面図であり、
図4(b)は同ジグヘッドユニットにおいて係止具が装飾部材を一体に備える他の例を示す側面図である。なお、
図4において、
図1乃至
図3に記載された構成要素と同一のものについては同一符号を付し、その構成要素についての説明は省略する。
【0056】
図4(a)に示すように、係止具8′は、例えば上述した係止具8において細管8bが収容されている本体8aの部分を装飾部材6(例えば魚皮等)により外側から覆い、細管8bの収容されている部分を固定糸8cにより緊縛して一体化したものであってもよい。これにより、
図4(a)に示すように、本体8aと細管8b、さらに装飾部材6の3つの部材が固定糸8cにより一体化されてなる係止具8′を得ることができる。
なお、
図4(a)では、細管8b上に配される本体8a上に装飾部材6を配置する場合を例に挙げているが、装飾部材6は、細管8bと本体8aの間に介設してもよい。
【0057】
このような係止具8′であれば、上述する係止具8を用いた場合と同様の作用・効果を有する。さらに、装飾部材6と一体となった係止具8′をヘッド2aに係止するだけで、ジグヘッドユニット1Aの外観を容易に変更することができる。
加えて、係止具8′は、本体8aとは異なる材質の装飾部材6であっても本体8aに固定することができる。すなわち、ワームといった人工物による装飾だけでなく、魚皮のような生物由来の材料をそのまま用いた装飾も容易に行うことができる。この結果、
図4(a)に示すような係止具8′であれば、固定する装飾部材6の選択の自由度を高めることができる。したがって、上述のような変形例に係る係止具8′によれば、様々な形態および/又は材質からなる装飾部材6を備えた係止具を製造して提供することができる。
【0058】
そして、装飾部材6が上述する魚皮であれば、係止具8′はジグヘッドユニット1Aをより魚に近い外観とすることができる。また、魚皮が発する魚臭によって、魚を一層誘き寄せ易くすることができる。
なお、本実施形態では、装飾部材6の一例として魚皮を用いる場合を例に挙げて説明しているが、装飾部材6は必ずしも魚皮である必要はなく、魚皮と同様の作用・効果を奏するものであれば、魚皮以外のものも装飾部材6として支障なく使用できる。より具体的には、スルメや、貝類のヒモや貝柱を原料とする水産乾物を用いる場合であり、同様の作用・効果が期待できる。
【0059】
[2-1-2;係止具の本体と装飾部材を同じ材質により形成する場合]
また、
図4(b)に示す別形態の係止具4′のように、上述した係止具4の孔4bの周囲に、本体4aと同じ材質からなる装飾部材6(紐状のワーム)が形成されているものであってもよい。
このような係止具4′であれば、上記係止具4を用いた場合と同様の作用と効果を有する。加えて、装飾部材6と本体4aが同じ材質からなる係止具4′をヘッド2aに係止することで、ジグヘッドユニット1の外観を容易に変更することができる。また、装飾部材6が本体4aと同じ材質からなるため、先の
図4(a)に示す係止具8′のように、本体4aと別に装飾部材6を準備する必要がない。また、
図4(b)示す別形態の係止具4′によれば、従来からある成形方法を用いて本体4aと装飾部材6を一度で一体的に成形することが可能である。これにより、別形態の係止具4′の生産スピードが向上し、安価かつ大量に生産することができる。
【0060】
[2-1-3;係止具と一体に浮力調整部材を備える場合について]
図5(a)は
図1(b)に示す係止具が浮力調整部材と一体化されている係止具の外観斜視図であり、
図5(b)は
図5(a)の平面図である。なお、
図5において、
図1乃至
図4に記載された構成要素と同一のものについては同一符号を付し、その構成要素についての説明は省略する。
図5(a)、
図5(b)に示すように、係止具4″は、本体4aの厚み部分に破線により示す浮力調整部材7を内包するとともに、この浮力調整部材7と本体4aの両者を貫通するように形成される孔4bを備えていてもよい。
ここで、浮力調整部材7は、例えば鉛等の金属からなる錘であってもよく、発泡樹脂からなる浮体であってもよい。前者の場合は、ジグヘッドユニット1に加わる重力を増加させて水中でのジグヘッドユニット1の沈降速度を速めるという効果を有する。一方、後者の場合は、ジグヘッドユニット1に加わる浮力を増加させ、ジグヘッドユニット1の水中での沈降速度を低下させるという効果を有する。
【0061】
また、
図5(a)、
図5(b)では、係止具4″を構成する本体4aの厚み部分に浮力調整部材7を内包する場合を例に挙げて説明しているが、係止具4″における浮力調整部材7の配設位置は、上記形態に限定されない。より具体的には、係止具4″において、本体4aからなる環の内側又は外側に浮力調整部材7を接着剤等により貼付けて一体化させたものでもよい。また、係止具4″の本体4aを構成する樹脂に高比重のフィラーを混ぜたり、気泡を内在させたりして、本体4a自体の比重を所望に調整することによっても同様の作用・効果が発揮させることができる。
なお、係止具8′、係止具4′、係止具4″の釣り具としての使用方法は、先の
図1、2に示す係止具4の使用方法と同じである。
【0062】
[2-1-4;係止具と一体に浮力調整部材を備える係止具の製造方法]
図5(a)、
図5(b)に示すような上記係止具4″であれば、例えば係止具4″の形状のキャビティを有する金型を準備し、本体4aの厚み部分に当たる箇所に浮力調整部材7を予めセットして樹脂を射出成形する。その結果、孔4bの形成されていない本体4aと浮力調整部材7とが一体化した成形体が得られる。次いで、この成形体に対し、本体4aと浮力調整部材7とを貫通するように孔4bを形成することで、係止具4″が作製できる。
一方、係止具4″が
図5(a)、
図5(b)の形態とは異なり、本体4aからなる環の内側又は外側に浮力調整部材7を取設されてなるものである場合は、例えば本体4aの内側又は外側に浮力調整部材7を接着剤等で貼り付けて両者を一体化させて、その後本体4aと浮力調整部材7とを貫通する孔4bを形成することで作製できる。
【0063】
さらに、
図5(a)、
図5(b)で示す係止具4″の形態とは異なり、本体4aの厚み部分に高比重のフィラーを混ぜたり、気泡を内包させたりしてなる場合(図示せず)は、例えばフィラー、発泡剤を予め混合した樹脂原料を係止具4″の形状のキャビティを有する金型を用いて成形することで容易に製造できる。
なお、上述する係止具8′、係止具4′、係止具4″のように装飾部材6、浮力調整部材7のそれぞれを単独で備えているものでもよく、これらを同時に備えているものであってもよい。この場合は、本発明に係る係止具が上述の装飾部材6を備える場合の効果と、浮力調整部材7を備える場合の効果が同時に発揮される。
【0064】
[2-2;係止具と別体に設けられる釣り用部品を備える場合について]
[2-2-1;釣り用部品が装飾部材であり、かつ針に挿通されている場合について]
本実施形態に係るジグヘッドユニット1における係止具4は、その本体4aと別体に設けられる装飾部材6を備えていてもよい。ここで、その具体的態様について
図6を参照しながら説明する。
図6は
図1(b)に示す係止具と別体に設けられた装飾部材をジグヘッドに保持させた際のジグヘッドユニットの側面図である。なお、
図1乃至
図5に記載された構成要素と同一のものについては同一符号を付し、その構成要素についての説明は省略する。
図6に示すように、本実施形態に係るジグヘッドユニット1は、針2cに取設された装飾部材6を、係止具4の本体4aでヘッド2aの表面側に押圧して保持してなるものである。つまり、
図6に示す本実施形態に係るジグヘッドユニット1では、装飾部材6がヘッド2aと係止具4の間に挟持された状態で保持される。
【0065】
上述のようなジグヘッドユニット1によれば、係止具4のみ備える場合の作用・効果と同様の作用・効果を奏する。さらに、本実施形態に係るジグヘッドユニット1によれば、係止具4の操作により装飾部材6を簡単に着脱できるため、釣りの最中にジグヘッド2に釣り糸3が連結されたままの状態であっても、装飾部材6を着脱することができる。つまり、釣りの状況に応じてジグヘッドユニット1の装飾性を自在に変更できるため、釣果の向上が期待できる。また、装飾部材6が針2cに挿通されていることにより、ジグヘッドユニット1を使用している際にジグヘッド2から装飾部材6が外れて紛失するのを防ぐこともできる。
【0066】
なお、
図6では係止具4を用いたジグヘッドユニット1について示しているが、この係止具4の代わりに上述した係止具4′、係止具4″を用いてもよい。
さらに、係止具4の代わりに、上述したジグヘッドユニット1Aを構成する係止具8、係止具8′を用いてもよい。何れの場合も、各係止具(係止具4′、係止具4″、係止具8、係止具8′)を備えることによる効果と、この係止具(係止具4′、係止具4″、係止具8、係止具8′)と別体に設けられる装飾部材6を備える場合の効果を併せた効果を発揮させることができる。
【0067】
[2-2-2;釣り用部品が浮力調整部材であり、かつ針に挿通されている場合について]
先の
図2(c)に示すように、本実施形態に係るジグヘッドユニット1では、針2cに取設された浮力調整部材7が係止具4の本体4aでヘッド2aの表面側に押圧されながら保持されていてもよい。
このようなジグヘッドユニット1であれば、係止具4を備えることによる効果を発揮させることができる。そして、ジグヘッド2の針2cに取設された浮力調整部材7のサイズ又は数量を変更することで、ジグヘッドユニット1の水中での沈降速度を所望に調整することができる。この結果、先の
図2(c)に示すジグヘッドユニット1は、沈降速度を調整可能とすることで、本発明の使用者が対象とする魚毎に、あるいは釣り場の環境に応じて最適なジグヘッドユニット1の沈降速度を実現できるようになり、ジグヘッドユニット1の集魚性を一層高めることができる。また、浮力調整部材7に針2cが挿通されていることで、釣りの最中に浮力調整材7がジグヘッド2から外れて紛失するのを防ぐことができる。
【0068】
なお、浮力調整部材7は、例えば鉛等の金属からなる錘である場合と、例えば発泡樹脂からなる浮体である場合がある。前者の場合は、ジグヘッドユニット1全体の重量を大きくして、その沈降速度を速めるという効果が発揮される。後者の場合は、ジグヘッドユニット1全体としての比重を小さくすることで、その沈降速度を遅くするという効果が発揮される。
また、
図2(c)では係止具4を用いた例を示しているが、使用する係止具は係止具4と同じ作用・効果を生じるものであればよい。例えば、上述した係止具8、係止具8′、係止具4′、係止具4″も同様に使用することが可能である。
何れの場合も、各係止具(係止具4′、係止具4″、係止具8、係止具8′)を備えることによる効果とともに、この係止具(係止具4′、係止具4″、係止具8、係止具8′)と別体に設けられる浮力調整部材7を備える場合の効果を併せた効果を発揮させることができる。
【0069】
[2-2-3;釣り用部品が針に挿通されていない浮力調整部材である場合について]
釣り用部品5である浮力調整部材7に必ずしも針2cを挿通させる必要はなく、浮力調整部材7は係止具4によってのみジグヘッド2に保持されていてもよい。この点について
図7を参照にしながら説明する。
図7は本実施形態に係るジグヘッドユニットに形成された係合構造を説明する図であり、
図7(a)はジグヘッドユニットのヘッド周辺の側面図であり、
図7(b)は
図7(a)のジグヘッドに用いるジグヘッドと浮力調整部材の外観斜視図である。なお、
図1乃至
図6に記載された構成要素と同一のものについては同一符号を付し、その構成要素についての説明は省略する。
図7(a)に示すように、浮力調整部材7は、ジグヘッド2におけるヘッド2aの表面と、係止具4における本体4aの間に介設することで保持されてもよい。
このようなジグヘッドユニット1であれば、係止具4を備えることによる効果を発揮させることができる。そして、ジグヘッド2と係止具4により挟持された浮力調整部材7のサイズ又は数量を変更することで、ジグヘッドユニット1の水中での沈降速度を所望に調整することができる。この結果、
図7(a)に示すジグヘッドユニット1は、本発明の使用者が対象とする魚毎に、あるいは釣り場の環境に応じて最適なジグヘッドユニット1の沈降速度を実現できるようになる。この結果、ジグヘッドユニット1の集魚性を一層高めることができる。
【0070】
上述する
図7(a)で示す場合は、浮力調整部材7に針2cが挿通されていないため、浮力調整部材7がジグヘッド2から外れて紛失してしまうリスクがやや高まるものの、ジグヘッド2における針2cの軸2dが浮力調整部材7に占有されてしまうのを防ぐことができる。この結果、魚の口等への針2cのかかりを良好にし、釣果の向上も期待できる。
なお、浮力調整部材7は例えば鉛等の金属からなる錘である場合と、例えば発泡樹脂からなる浮体である場合がある。これら浮力調整部材7の材質の違いによる作用・効果については、使用態様が略同一である先の
図2(c)における浮力調整部材7の作用・効果と同じである。
【0071】
また、
図7(a)では係止具4を用いた例を示しているが、使用する係止具は係止具4と同じ作用・効果を生じるものであればよい。例えば、上述した係止具8、係止具8′、係止具4′、係止具4″も同様に使用することが可能である。
何れの場合も、各係止具(係止具4′、係止具4″、係止具8、係止具8′)を備えることによる効果とともに、この係止具(係止具4′、係止具4″、係止具8、係止具8′)と別体に設けられる浮力調整部材7を備える場合の効果を併せた効果を発揮させることができる。
【0072】
[2-2-4;釣り用部品が浮力調整部材であり、ヘッドと係合構造により係合されている場合について]
次に、
図7(a)に示すように、ジグヘッドユニット1はヘッド2aと浮力調整部材7の接触部分に係合構造10を備えていてもよい(この場合のジグヘッドユニットをジグヘッドユニット1Bとする)。
図7(b)に示すように、係合構造10は、例えばヘッド2aの表面に形成される凹部2eを有するジグヘッド2と、凸部7aを有する浮力調整部材7により構成されてもよい。この場合、ヘッド2a側の凹部2eと、浮力調整部材7側の凸部7aが嵌合することで、ヘッド2a上における浮力調整部材7の位置ずれを好適に防止することができる。
【0073】
なお、係合構造10を構成するジグヘッド2および浮力調整部材7の作製方法としては、ジグヘッド2については、例えば凹部2eを有するヘッド2aと同じ形状のキャビティを有する型を準備し、この型に予め所定の位置に針2cをセットして溶融した金属等を流し込むことで成形する方法が挙げられる。また、凸部7aを有する浮力調整部材7も、この浮力調整部材7と同じ形状のキャビティを有する型を準備して、溶融した金属又は樹脂を型に流し込み成形することで作製可能である。すなわち、従来からある製造技術を活用することができるため、係合構造10を備えるジグヘッドユニット1Bを安価に量産することが可能である。
【0074】
図7(b)に示すような係合構造10を有するジグヘッドユニット1Bであれば、ヘッド2aの凹部2eに浮力調整部材7の凸部7aを収容することで、ヘッド2aは浮力調整部材7と嵌合する。そして、係止具4によって、浮力調整部材7がジグヘッド2に保持される(
図7(a)参照)。このように浮力調整部材7がジグヘッド2に着脱可能に保持されることで、浮力調整部材7に針2cが挿通されていない場合でも、ジグヘッドユニット1Bが水中で移動する際に浮力調整部材7の位置が水の抵抗を受けてずれたり、ジグヘッド2から外れたりし難くなる。
【0075】
上記係合構造10を有するジグヘッドユニット1Bは、係止具4を備えることによる効果を発揮させることができる。そして、ジグヘッド2に保持された浮力調整部材7のサイズ又は数量を変更することで、ジグヘッドユニット1Bの水中での沈降速度を所望に調整することができる。この結果、ジグヘッドユニット1Bは、本発明の使用者が対象とする魚毎に、あるいは釣り場の環境に応じて最適な沈降速度に調整できるようになり、ジグヘッドユニット1Bの集魚性を一層高めることができる。
【0076】
さらに、浮力調整部材7をジグヘッド2に装着する際に、浮力調整部材7に針2cを挿通させる必要がないため、針2cに生餌、ワームといった疑似餌を取り付けることも容易になる。また、ジグヘッド2の浮力の調整と、生餌やワームといった疑似餌の取り付けの両者を、同時に針2cにおいて行う必要がなくなる。すなわち、ジグヘッド2における針2cを、ジグヘッド2の浮力調整以外の目的に使用することができる。したがって、
図7(a)に示すジグヘッドユニット1Bによれば、使用者のニーズに応じて自在にジグヘッド2を改変することができる。しかも、この改変作業を、ジグヘッド2のアイ2bに釣り糸3をつないだまま行うことができるので、本実施形態に係るジグヘッドユニット1Bの操作性および利便性を大幅に向上させることができる。この結果、使用者は簡単な作業で、容易に釣果を向上させることができる。
また、
図7(a)に示すジグヘッドユニット1Bによれば、係合構造10により使用中における浮力調整部材7の位置ずれを防止できるので、釣りの最中にジグヘッドユニット1Bの重心位置が変化しない。このため、ジグヘッドユニット1Bの水中での動きが安定化するという効果も期待できる。加えて、ジグヘッドユニット1Bから浮力調整部材7が外れ難くなるため、浮力調整部材7を紛失するリスクを大幅に低減することができる。
【0077】
なお、上記係合構造10は、
図7に示す以外の形態でもよい。
図8は本実施形態に係るジグヘッドユニットに形成された係合構造を説明する図であり、
図8(a)はジグヘッドユニットのヘッド周辺の側面図であり、
図8(b)は
図8(a)のジグヘッドに用いるジグヘッドと浮力調整部材の外観斜視図である。なお、
図1乃至
図7に記載された構成要素と同一のものについては同一符号を付し、その構成要素についての説明は省略する。
図8(b)に示すように、ここでの係合構造11はジグヘッド2のヘッド2aの表面に突設される凸部2fと、浮力調整部材7に形成されヘッド2a側の凸部2fを収容可能な挿通孔7bとから構成される。
このような凸部2fを備えるヘッド2aや、挿通孔7bを備える浮力調整部材7も、従来公知の成形技術を用いて容易に量産できる。
【0078】
上述の係合構造11を有するジグヘッドユニット1Cであれば、ヘッド2a側に形成される凸部2fを浮力調整部材7に形成される挿通孔7b内に挿入することで、ヘッド2aと浮力調整部材7は互いに係合されて固定される。そして、係止具4を用いることで本体4aとヘッド2aの間に浮力調整部材7を挟んだ状態で保持することができる(
図8(a)参照)。
このようなジグヘッドユニット1Cは、
図7に示す係合構造を有するジグヘッドユニット1Bと同じ作用・効果を奏する。
【0079】
なお、
図8(a)に示すように、係止具4の本体4aは、係止具4がヘッド2aに係止された際に凸部2fを挿通させる孔4dを有していてもよい。本体4aがこのような孔4dを有していることで、例えばジグヘッドユニット1Cの凸部2fが岩に接触した際に、係止具4が直接岩と接触するのを避けることができる。この場合、係止具4が破損し難くなり製品寿命を延ばすことができる。加えて、係止具4の孔4dに凸部2fを挿通させることで、係止具4は水の抵抗を受けても凸部2fに引っ掛かった状態が保たれるため、係止具4が位置ずれしたりヘッド2aから外れたりし難くなる。
また、浮力調整部材7に形成される挿通孔7bは、浮力調整部材7を貫通するものでなく、例えば凹部が形成されたものであってもよい。この場合の作用・効果は
図7に示す係合構造10と同じである。
【産業上の利用可能性】
【0080】
以上説明したように、本発明は釣りの最中でも簡単にジグヘッドに装飾を付加したり、水中での沈降速度を調整したりすることができるジグヘッドユニットであり、釣り具に関する技術分野において利用可能である。
【符号の説明】
【0081】
1,1A,1B,1C…ジグヘッドユニット 2…ジグヘッド 2a…ヘッド 2b…アイ 2c…針 2d…軸 2e…凹部 2f…凸部 3…釣り糸 4,4′,4″…係止具 4a…本体 4b,4d…孔 4c…操作用つまみ 5…釣り用部品 6…装飾部材 7…浮力調整部材 7a…凸部 7b…挿通孔 8,8′…係止具 8a…本体 8b…細管 8c…固定糸 8d…操作用つまみ 10,11…係合構造