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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022074370
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】機器取付け装置および油圧ユニット
(51)【国際特許分類】
   F16M 7/00 20060101AFI20220511BHJP
   H02K 7/10 20060101ALI20220511BHJP
   H02K 7/14 20060101ALI20220511BHJP
   H02K 5/00 20060101ALI20220511BHJP
   F16H 7/14 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
F16M7/00 A
F16M7/00 G
F16M7/00 P
F16M7/00 M
F16M7/00 R
F16M7/00 S
H02K7/10 D
H02K7/14 B
H02K5/00 A
F16H7/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020184341
(22)【出願日】2020-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】000204240
【氏名又は名称】株式会社TAIYO
(74)【代理人】
【識別番号】100125117
【弁理士】
【氏名又は名称】坂田 泰弘
(74)【代理人】
【識別番号】100086933
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】小川 雅也
(72)【発明者】
【氏名】金田 純平
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 裕考
【テーマコード(参考)】
3J049
5H605
5H607
【Fターム(参考)】
3J049AA01
3J049BA03
3J049BH02
5H605AA08
5H605BB05
5H605BB10
5H605BB17
5H605CC01
5H605CC09
5H605CC10
5H605DD09
5H605EA02
5H605EA19
5H605GG06
5H607AA11
5H607BB01
5H607BB05
5H607BB26
5H607CC03
5H607CC09
5H607DD03
5H607DD08
5H607EE28
5H607FF06
5H607JJ05
(57)【要約】
【課題】取付け寸法の互いに異なる機器を共通の基準位置に容易簡便に取り付ける。
【解決手段】取付けのための基板12に複数の長穴31A~Dが設けられており、それぞれの長穴31A~Dは、その周面が、規格の互いに異なる電動機13A、13Bに備えられた取付けブラケットに設けられたそれぞれの取付け穴に対して、それぞれの取付け穴に挿通されるボルト部材が挿通可能でありかつボルト部材の外周の位置を規制するように設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付け寸法の互いに異なる第1機器と第2機器とをこれらに共通の基準位置に対応して取り付けるための機器取付け装置であって、
取付けのための基板に複数の長穴が設けられており、
それぞれの前記長穴は、
その周面が、前記第1機器と第2機器に備えられた取付けブラケットに設けられたそれぞれの取付け穴に対して、それぞれの取付け穴に挿通されるボルト部材が挿通可能でありかつ前記ボルト部材の外周の位置を規制するように設けられている、
ことを特徴とする機器取付け装置。
【請求項2】
それぞれの前記長穴の前記周面は、
前記第1機器を取り付けるための前記ボルト部材と前記第2機器を取り付けるための前記ボルト部材とがそれらの外周の互いに反対側の位置が規制されるように設けられている、
請求項1記載の機器取付け装置。
【請求項3】
前記第1機器および前記第2機器は回転機器であって、
前記基準位置はそれら機器の回転軸の位置であり、
複数の前記長穴は、前記回転軸に対して平面視で対称位置に設けられている、
請求項1または2記載の機器取付け装置。
【請求項4】
前記長穴は、前記回転軸に対して直角方向に長くなるように設けられており、
前記第1機器および前記第2機器は、前記長穴の前記周面によって前記回転軸の方向における位置が規制され、かつ前記長穴の長手方向の空間によって前記回転軸に対して直角方向における位置調整が可能となっている、
請求項3記載の機器取付け装置。
【請求項5】
前記長穴は4つ設けられており、前記長穴の前記空間による位置調整および前記周面による規制における余裕によって、前記回転軸の位置および平行度が調整可能となっている、
請求項3または4記載の機器取付け装置。
【請求項6】
前記基板には、前記回転軸の位置および平行度を調整するための調整部材が設けられており、
前記調整部材は、
前記ボルト部材が挿通する穴が設けられた連結部材と、
前記連結部材と一体的に接続されたネジ部と、
前記基板に対して固定的に設けられ前記ネジ部を前記長穴の長手方向に位置調整可能に支持する調整台と、を有する、
請求項3ないし5のいずれかに記載の機器取付け装置。
【請求項7】
前記第1機器および前記第2機器は、前記回転軸に取り付けられるプーリを介して他の機器をベルトによって回転駆動するものである、
請求項3ないし6のいずれかに記載の機器取付け装置。
【請求項8】
前記回転機器である電動機と、前記電動機によって回転駆動される油圧ポンプとを含み、
請求項3ないし7のいずれかに記載の機器取付け装置によって前記電動機が取り付けられてなる油圧ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、規格の異なる電動機などのように取付け寸法の互いに異なる第1機器と第2機器とを、これらに共通の基準位置に取り付けるための機器取付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、油圧ポンプの吐出流量を制御して乗りかごの上昇時又は下降時の速度を制御するようにした油圧エレベータが用いられている。油圧エレベータに使用される油圧ユニット(油圧パワーユニット)では、通常、インバータによって回転速度が制御された電動機によって油圧ポンプを回転駆動し、流量の調整された油圧を発生させる。電動機として3相誘導電動機がしばしば用いられる(特許文献1)。また、特許文献2~4には電動機の取り付け構造が示されている。
【0003】
ところで、2015年以降に市販される0.75kWを越える3相誘導電動機は、高効率規制によって効率クラスが標準効率のIE1形および高効率のIE2形からプレミアム効率のIE3形に取って変わられるようになった。
そうすると、例えばIE1形の電動機を使用した油圧ユニットが故障した場合に、電動機をIE3形に変更しなければならないことが起こり得る。
【0004】
因みに、起動停止を頻繁に繰り返す油圧エレベータ用の電動機としては始動電流値の低いIE1形の方が効率や設備費などの点で却って有利となることがある。そのためIE1形の電動機の使用が好まれてきたが、IE1形の電動機は将来的に入手不可能となることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-148583号公報
【特許文献2】実開昭49-135703号公報
【特許文献3】実開昭48-48080号公報
【特許文献4】実開昭57-45256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来から油圧ユニットに用いられてきたIE1形の電動機は防滴保護形であり、IE3形に変更する場合に市場にIE3形の防滴保護形がなく、IE3形は全閉外扇形になる。防滴保護形と全閉外扇形とでは取付け寸法が互いに異なるので、そのままではIE3形の全閉外扇形電動機を取り付けることはできない。
【0007】
つまり、特許文献2~4の取付け構造のいずれの従来技術においても、IE1形の防滴保護形電動機をIE3形の全閉外扇形電動機に変更する場合には新たな穴を設けたりブラケットの交換などを行う必要がある。
【0008】
また、交換用の電動機を取り付ける際に、電動機の回転軸の位置が変更されないよう同じ位置に取り付ける必要があるので、そのための位置合わせまたは芯合わせが面倒である。
【0009】
一般に、油圧エレベータは建物の狭い空間に設置され、油圧ユニットは乗りかごの昇降通路の地下空間や上部空間などの奥まった場所に設置されることが多いので、電動機の交換作業ができるだけ容易簡便に行えるような取付け構造であることが望まれる。
【0010】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、取付け寸法の互いに異なる機器を共通の基準位置に容易簡便に取り付けるための機器取付け装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る装置は、取付け寸法の互いに異なる第1機器と第2機器とをこれらに共通の基準位置に対応して取り付けるための機器取付け装置であって、取付けのための基板に複数の長穴が設けられており、それぞれの前記長穴は、その周面が、前記第1機器と第2機器に備えられた取付けブラケットに設けられたそれぞれの取付け穴に対して、それぞれの取付け穴に挿通されるボルト部材が挿通可能でありかつ前記ボルト部材の外周の位置を規制するように設けられている。
【0012】
好ましくは、それぞれの前記長穴の前記周面は、前記第1機器を取り付けるための前記ボルト部材と前記第2機器を取り付けるための前記ボルト部材とがそれらの外周の互いに反対側の位置が規制されるように設けられる。
【0013】
また、前記第1機器および前記第2機器は回転機器であって、前記基準位置はそれら機器の回転軸の位置であり、複数の前記長穴は、前記回転軸に対して平面視で対称位置に設けられている。
【0014】
また、前記長穴は、前記回転軸に対して直角方向に長くなるように設けられており、前記第1機器および前記第2機器は、前記長穴の前記周面によって前記回転軸の方向における位置が規制され、かつ前記長穴の長手方向の空間によって前記回転軸に対して直角方向における位置調整が可能となっている。
【0015】
また、前記長穴は4つ設けられており、前記長穴の前記空間による位置調整および前記周面による規制における余裕によって、前記回転軸の位置および平行度が調整可能となっている。
【0016】
また、前記基板には、前記回転軸の位置および平行度を調整するための調整部材が設けられており、前記調整部材は、前記ボルト部材が挿通する穴が設けられた連結部材と、前記連結部材と一体的に接続されたネジ部と、前記基板に対して固定的に設けられ前記ネジ部を前記長穴の長手方向に位置調整可能に支持する調整台と、を有する。
【0017】
また、前記第1機器および前記第2機器は、前記回転軸に取り付けられるプーリを介して他の機器をベルトによって回転駆動するものである。
【0018】
前記回転機器である電動機と、前記電動機によって回転駆動される油圧ポンプとを含み、
請求項3ないし7のいずれかに記載の機器取付け装置によって前記電動機が取り付けられてなる油圧ユニット。
【0019】
また、本発明に係る油圧ユニットは、前記回転機器である電動機と、前記電動機によって回転駆動される油圧ポンプとを含み、前記機器取付け装置によって前記電動機が取り付けられる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、取付け寸法の互いに異なる機器を共通の基準位置に容易簡便に取り付けるための機器取付け装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態の機器取付け装置を用いた油圧ユニットの例を示す平面図である。
図2】油圧ユニットの正面図である。
図3図2の油圧ユニットの取付け装置を拡大して示す図である。
図4図3におけるIV-IV線矢視断面図である。
図5】取付け装置の長穴の部分を拡大して示す図である。
図6】第1機器としての電動機の例を示す平面図である。
図7】第2機器としての電動機の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は本発明の実施形態の機器取付け装置を用いた油圧ユニットの例を示す平面図、図2は油圧ユニットの正面図、図3図2の取付け装置を拡大して示す図、図4図3におけるIV-IV線矢視断面図、図5は取付け装置の長穴の部分を拡大して示す平面図である。
【0023】
これらの図に示すように、油圧ユニット(油圧パワーユニット)1は、全体の骨組みとなるフレーム11、基板12、電動機(モータ)13、油圧ポンプ14、配管フランジ15、および図示しないタンクおよびバルブなどを備える。
【0024】
基板12は、厚さが9mmほどの鉄板からなってフレーム11に固定されており、基板12に電動機13および油圧ポンプ14が取り付けられている。基板12は、電動機13を取り付けるための取付け装置3としての機能を果たす。取付け装置3は、取付け寸法の互いに異なる2種類の電動機13A、13Bを、これらに共通の基準位置2Kに対応して取り付けるための装置(機器取付け装置)である。
【0025】
本実施形態において、第1機器および第2機器は回転機器であって、基準位置2Kはそれら機器の回転軸13Jの位置である。
【0026】
本実施形態において、電動機13Aは、IE1形の防滴18.5kW4Pの電動機であり、電動機13Bは、IE3形の全閉18.5kW4Pの電動機である。電動機13Aは本発明における第1機器の例であり、電動機13Bは第2機器の例である。また、基準位置2Kは、2種類の電動機13A、13Bにおける回転軸13Jの平面視における位置に対応する。
【0027】
図1ないし図5において、取付け装置3は、取付けのための基板12に複数の長穴31A~Dが設けられており、それぞれの長穴31A~Dは、その周面31Sが、電動機13A、13Bに備えられた取付けブラケット131に設けられたそれぞれの取付け穴132に対して、それぞれの取付け穴132に挿通されるボルト部材32が挿通可能でありかつボルト部材32の外周の位置を規制するように設けられている。
【0028】
つまり、それぞれの長穴31A~Dの周面31Sは、第1機器である電動機13Aを取り付けるためのボルト部材32と第2機器である電動機13Bを取り付けるためのボルト部材32とがそれらの外周の互いに反対側の位置が規制されるように設けられている。
【0029】
これら複数の長穴31A~Dは、四角形の各頂点の位置に対応するように設けられ、長穴31A、Bと長穴C、Dとは回転軸13Jに対して平面視で対称位置に設けられている。
【0030】
長穴31A~Dは、回転軸13Jに対して直角方向に長くなるように設けられており、
電動機13A、13Bは、各長穴31A~Dの周面によって回転軸13Jの方向における位置が規制され、かつ長穴31A~Dの長手方向の空間によって回転軸13Jに対して直角方向における位置調整が可能となっている。
【0031】
長穴31A~Dによる位置調整および穴31A~Dの周面による規制によって、回転軸13Jの位置および平行度が調整可能となっている。
【0032】
図3図5によく示されるように、電動機13Aは、その取付けブラケット131が基板12の上に接触するように配置された状態で、ボルト部材32がワシャ部材35および連結部材52を挟んだ状態で長穴31Aおよび取付け穴132を挿通し、スプリングワシャ34とナット33によって締め付けて固定されている。他の長穴31B~Dにおいても同様にボルト部材32およびワシャ部材35を用いて固定されるが、長穴31C~Dにおいて連結部材52は用いられない。
【0033】
ワシャ部材35は、ボルト部材32の頭部が十分に基板12に係合するよう、長穴31A~Dの幅CAよりも十分に広い幅を有する。本実施形態では、ワシャ部材35は、鉄材などからなり、厚さが9mmで一辺が45mmの正方形の板状であり、中央にボルト部材32が挿通するための直径14.5mmの穴35aが設けられている。
【0034】
なお、ワシャ部材35の形状は、長方形状、円形状(円環状)などであってもよい。
【0035】
また、基板12には、回転軸13Jの位置および平行度を調整するための調整部材5が設けられている。
【0036】
調整部材5は、ボルト部材32が挿通する穴52aが設けられた連結部材52と、連結部材52と一体的に接続されたネジ部51と、基板12に対して固定的に設けられネジ部51を長穴31Aの長手方向に位置調整可能に支持する調整台53と、を有する。
【0037】
連結部材52は平面視が長方形状の鉄材からなり、同じく鉄材からなる丸棒状のネジ部51と溶接などにより一体的に連結されている。調整台53には、電動機13A、13Bの取付け穴の位置に対応して、ネジ部51を挿通する穴が設けられている。その穴にネジ部51が挿通された状態で、両側に螺合するナット54,55により位置調整が行われ、締め付けて固定される。その調整に当たって、ネジ部51は連結部材52と一体であるので、ネジ部51自体は回転することがなく、したがってネジ部51を別途の工具で回転しないように保持しなくても、ナット54,55を回転することにより容易に位置調整が可能である。
【0038】
調整部材5は、長穴31Aおよび長穴31Bに対応した位置に合計2か所に設けられており、2か所の調整部材5A,5Bを調整することによって、電動機13A、13Bの位置および平行度が調整可能である。
【0039】
なお、基板12には、長穴31B、31Dの近傍に長穴31E,31Fが設けられており、これらの長穴31E,31Fを利用して、電動機13A、13Bとは取付け寸法の異なる別の電動機を取り付けることが可能である。長穴31E,31Fは、その幅寸法を他の長穴31A~Dのように広くする必要がなく、例えばボルト部材32が挿通可能な寸法、例えば15mm程度としてもよい。
【0040】
また、調整部材5Bの調整台53Bは、別の電動機が取り付けられた場合においても位置調整が可能なように、長穴31Eに対応した位置にネジ部51を挿通するための穴が設けられている。
【0041】
電動機13A、13Bは、回転軸13Jに取り付けられるプーリ22を介して、他の機器である油圧ポンプ14をベルト23によって回転駆動する。
【0042】
以下、さらに詳しく説明する。
【0043】
図6には第1機器としての電動機13Aの例が、図7には第2機器としての電動機13Bの例が、それぞれ示されている。なお、図6(B)では電動機13Aの背面が、図7(B)では電動機13Bの正面が、それぞれ示されている。
【0044】
これら電動機13A、13Bは、上に述べたように互いに同じ出力、同じ極数であり、回転駆動機能において互換性があるが、取り付け寸法(フレームサイズ)が互いに異なる。つまり、電動機13Aのフレームサイズは160Lであり、電動機13Bでは180Mである。因みに、長穴31E,31Fは、フレームサイズが180Lの電動機を取り付けるために用いられる。
【0045】
それぞれの電動機13A、13Bには、取付けブラケット131が備えられており、取付けのための合計4つのボルト用の穴が設けられている。本実施形態において、取付けブラケット131の穴の直径はいずれも14.5mmであり、M14のボルトを4本用いて取付けられる。
【0046】
取付けブラケット131の穴の間隔は、つまり取付け寸法は、軸方向の寸法が、電動機13AではAAであり、電動機13BではBAであり、それと直角方向の寸法が、電動機13AではACであり、電動機13BではBCである。本実施形態においては、AA=254mm、BA=241mm、AC=254mm、BC=279mmである。
【0047】
本実施形態の取付け装置3では、図に示す状態では電動機13Aが搭載されており、電動機13Aの故障などによって寸法の異なる電動機13Bに交換する場合にも、穴を新たに設けたりブラケットを交換したりまた位置変換用のブラケットを新設する必要がなく、長穴31A~Dを使用してそのまま容易にかつ簡便に、新しい電動機13Bを取り付けることができる。
【0048】
4つの長穴31A~Dは、互いに同じ形状寸法であり、回転軸13Jつまり基準位置2Kに対して平面視で対称位置に設けられているので、これらを代表して1つの長穴31Aについて、図5を用いて以下詳しく説明する。
【0049】
図5に示すように、長穴31Aは、その平面視が長円形であり、直線状の対抗する2つの直線周面31Sa、31Sbと、それらの両端を繋ぐ半円形状の2つの円周面31Sc、31Sdとによって、全体の周面31Sが形成されている。
【0050】
本実施形態において、直線周面31Sa、31Sbの間隔、すなわち長穴31Aの幅CAは、21.5mm、円周面31Sc、31Sdの間隔、すなわち長穴31Aの長さCBは、97mmである。
【0051】
電動機13A、13Bの軸方向の取付け寸法AA、BAがそれぞれ254mm、241mmであるので、これらの長穴31A内における差異は、(254-241)÷2=6.5(mm)である。つまり、電動機13A、13Bを取り付けるためのボルト部材32は、それらの中心位置が長穴31A内において軸方向に6.5mmの差異を有する。M14のボルト部材32の直径を14mmとすると、ボルト部材32の外周面の最大変位は、14+6.5=20.5(mm)となり、これは長穴31Aの幅CAの21.5mmに対して1mmの余裕となる。
【0052】
このように、電動機13A、13Bを取り付けるボルト部材32の外周面は、直線周面31Sa、31Sbに対してそれぞれ0.5mm、つまり±0.5mm、合計で1mmの余裕を持って、軸方向の位置が規制されることとなる。
【0053】
同様に、他の長穴31B、31C、31Dにおいても、それぞれ±0.5mm、合計で1mmの余裕を持って、軸方向の位置が規制される。したがって、各電動機13A、13Bの全体が、長穴31A~Dによって±0.5mm、合計で1mmの余裕を持って、軸方向の位置が規制されることとなる。これにより、各電動機13A、13Bは、軸方向の位置が所定の位置となるように規制されるとともに、各回転軸13Jの油圧ポンプ14に対する平行度が調整されかつ規定される。
【0054】
なお、長穴31A~Dは、その長さCBがボルト部材32の軸部の外径に対して十分大きいので、長さCBの方向つまり軸方向と直角の方向には広い範囲で位置調整が可能であり、ベルト23の張り具合(テンション)が最適の状態となるよう調整することができる。なお、この調整のためには調整部材5が用いられる。
【0055】
このように、本実施形態においては、ボルト部材32の外周面は直線周面31Sa、31Sbによって±0.5mm、合計で1mmの余裕を持って規制されている。この規制の余裕は、この値に限定されることなく、1mm以下であっても1mm以上であってもよい。
【0056】
本実施形態の取付け装置3および油圧ユニット1によると、現時点で搭載されている電動機13Aが故障した場合などにおいて、同じフレームサイズの電動機が入手できなくても、フレームサイズの異なる代替品を、特別な工作を行うことなく、そのまま容易にかつ簡便に取り付けることができる。
【0057】
また、基板12に長穴31E,31Fを設けておくことによって、さらにフレームサイズの異なる電動機に取り換えることが可能である。
【0058】
基板12に形成する長穴31A~Dは4つであり、2つの電動機13A、13Bに共通に用いられるので、長穴の個数は4つのままで増えることがなく、かつ特別奇異な形状ではないので、その加工が容易である。しかも、長穴31A~Dの周面31Sによってボルト部材32の位置が規制され、これによって電動機13A、13Bが容易に所定の基準位置に取り付けられる。また、電動機13A、13Bによっては回転軸13Jの高さ位置が異なることがある。この場合でも、本実施形態では回転軸13Jに取り付けられるプーリ22を介してベルト23によって油圧ポンプ14を回転駆動するので、ベルト23の張り具合を調整することによって適切な駆動状態とすることができる。つまり、取付け装置3によると、回転軸13Jの高さ位置をも含めて取付け寸法の互いに異なる回転機器を容易簡便に取り付けることができる。
【0059】
調整部材5による位置調整に際しては、ボルト部材32とナット33を緩め、ナット54,55を回転させてネジ部51を移動させるだけであるから、容易に電動機13A、13Bの位置および平行度を調整することが可能である。
【0060】
上に述べた実施形態において、長穴31A~Fの形状は平面視が長方形などであってもよい。
【0061】
上に述べた実施形態において、基準位置2Kが回転軸13Jの位置である場合について説明したが、これに限ることなく、例えば、電動機13A、13Bのフランジ面や周面における特定の位置であってもよい。
【0062】
上に述べた実施形態において、第1機器および第2機器が電動機13A、13Bである場合について説明したが、これ以外に、発電機、ポンプ、ブロアーなどの回転機器、または回転機器ではない他の機器であってもよい。
【0063】
その他、油圧ユニット1、取付け装置3、および調整部材5などの各部または全体の構造、形状、寸法、材質、個数、連結方法などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0064】
1 油圧ユニット
2K 基準位置
3 取付け装置(機器取付け装置)
5、5A、5B 調整部材
12 基板
13A 電動機(第1機器)
13B 電動機(第2機器)
13J 回転軸
131 取付けブラケット
132 取付け穴
31A~D 長穴
31S 周面
32 ボルト部材
35 ワシャ
51 ネジ部材
52 連結部材
53 調整台
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7