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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022074373
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】駐車場管制システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/14 20060101AFI20220511BHJP
   G08G 1/005 20060101ALI20220511BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20220511BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20220511BHJP
   G16Y 40/10 20200101ALI20220511BHJP
【FI】
G08G1/14 A
G08G1/005
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020184346
(22)【出願日】2020-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100087723
【弁理士】
【氏名又は名称】藤谷 修
(74)【代理人】
【識別番号】100165962
【弁理士】
【氏名又は名称】一色 昭則
(74)【代理人】
【識別番号】100206357
【弁理士】
【氏名又は名称】角谷 智広
(72)【発明者】
【氏名】野村 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】浅井 彰司
(72)【発明者】
【氏名】田中 優
(72)【発明者】
【氏名】山本 陽香
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 幸紀子
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA21
5H181BB04
5H181BB05
5H181CC04
5H181FF04
5H181FF13
5H181FF14
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF32
5H181KK01
5H181KK06
5H181KK07
5H181MB01
(57)【要約】
【課題】案内対象車両を安全かつ効率的に誘導することができる駐車場管制システムを実現すること。
【解決手段】検出した非案内対象車両の近傍に、空き駐車ロットや交差点が存在するかどうかを検出する。空き駐車ロットや交差点が存在しない場合、あるいは、非案内対象車両の近傍に空き駐車ロットや交差点が存在し、非案内対象車両の速度がしきい値よりも高速である場合、行動情報決定部12は、案内対象車両は交差部の手前で停止し、非案内対象車両が交差部に進入して通過後に、案内対象車両が交差部に進入する旨を行動情報として生成する。空き駐車ロットや交差点が存在し、非案内対象車両の速度がしきい値よりも低速である場合、行動情報決定部12は、案内対象車両は交差部の手前で一時停止し、その後に交差部に進入する旨を行動情報として決定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交差部における車両の行動を示す行動情報を受信可能な案内対象車両と、前記行動情報を受信できない非案内対象車両とが混在した駐車場において、前記駐車場内の前記案内対象車両に対して前記行動情報を送信する駐車場管制システムであって、
前記駐車場の情報を検出する駐車場情報取得部と、
前記駐車場内の車両の位置および速度を検出する車両情報取得部と、
前記駐車場情報取得部により検出した前記駐車場の情報、および前記車両情報取得部により検出した前記非案内対象車両の位置および速度に基づき、前記行動情報を生成する行動情報決定部と、
前記行動情報を送信する行動情報送信部と、
を有する、
ことを特徴とする駐車場管制システム。
【請求項2】
前記行動情報決定部は、
前記案内対象車両近傍の前記非案内対象車両を検出し、前記非案内対象車両近傍の交差点または空き駐車ロットを検出し、
前記交差点または前記空き駐車ロットが存在しない場合、あるいは、前記交差点または前記空き駐車ロットが存在し前記非案内対象車両の速度がしきい値より大きい場合に、前記交差部の手前で停止し、前記非案内対象車両が前記交差部を通過後に、前記交差部に進入する旨を行動情報として生成し、
前記交差点または前記空き駐車ロットが存在し前記非案内対象車両の速度がしきい値以下である場合に、前記交差部の手前で一時停止後、前記交差部に進入する旨を行動情報として生成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の駐車場管制システム。
【請求項3】
歩行者が保持し、交差部における前記歩行者の行動を示す行動情報を受信可能な受信端末と、前記行動情報を受信できない非案内対象車両とが混在した駐車場において、前記駐車場内の前記歩行者が保持する前記受信端末に対して前記行動情報を送信する駐車場管制システムであって、
前記駐車場の情報を検出する駐車場情報取得部と、
前記駐車場内の車両の位置および速度を検出する車両情報取得部と、
前記駐車場情報取得部により検出した前記駐車場の情報、および前記車両情報取得部により検出した前記非案内対象車両の位置および速度に基づき、前記行動情報を生成する行動情報決定部と、
前記行動情報を送信する行動情報送信部と、
を有する、
ことを特徴とする駐車場管制システム。
【請求項4】
前記行動情報決定部は、
前記歩行者近傍の前記非案内対象車両を検出し、前記非案内対象車両近傍の交差点または空き駐車ロットを検出し、
前記交差点または前記空き駐車ロットが存在しない場合、あるいは、前記交差点または前記空き駐車ロットが存在し前記非案内対象車両の速度がしきい値より大きい場合に、前記交差部の手前で停止し、前記非案内対象車両が前記交差部を通過後に、前記交差部に進入する旨を行動情報として生成し、
前記交差点または前記空き駐車ロットが存在し前記非案内対象車両の速度がしきい値以下である場合に、前記交差部の手前で一時停止後、前記交差部に進入する旨を行動情報として生成する、
ことを特徴とする請求項3に記載の駐車場管制システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場内の車両に対して走行を案内する駐車場管制システムに関する。また本発明は、駐車場内の歩行者に対して歩行を案内する駐車場管制システムに関する。
【背景技術】
【0002】
駐車場内の車両に対して走行ルートなどの走行案内情報を送信して、安全かつ効率的に車両を誘導するシステムが検討されている。また、駐車場内での車両の運転を自動化することも検討されている。この場合、システム導入初期には、自動運転に対応した車両(自動運転車両)と対応していない車両(手動運転車両)とが混在することになる。
【0003】
特許文献1には、駐車場内の自動運転車両を誘導する駐車支援装置が記載されている。この駐車支援装置では、車両が出庫の途中であるか入庫の途中であるかを特定する走行目的情報と、入庫または出庫のための自動運転を開始した日時を特定する日時情報とを取得し、駐車場内の交差点に複数の車両が進入する際に、走行目的情報と日時情報に基づいて、交差点を通過する優先順位を決定し、その優先順位に従って自動運転車両を誘導することが記載されている。また、その優先順位は、出庫を目的とする車両が入庫を目的とする車両よりも上であることが記載されており、その理由は、出庫のための乗員の待機時間を短くするためであることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-43509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1は自動運転車両のみが存在する駐車場を対象としており、自動運転車両と手動運転車両が混在する駐車場には適用することができない。手動運転車両の経路を事前に知ることができず、交差点で優先順位をつけられないためである。
【0006】
また、特許文献1は、通路が交差する交差点のみを対象としており、駐車ロットと通路の接続部には適用することができない。仮に駐車ロットと通路の接続部を交差点と見立てて特許文献1の方法を適用すると、通路上を走行する車両よりも駐車ロットから出庫する車両の方が優先となる。しかしこれは、道路交通法25条の2第1項に準じた解釈「通路上の車両が出庫車両よりも優先」と矛盾してしまう。そのため、車両が駐車ロットから出庫して通路に合流する場合に、車両を安全かつ効率的に誘導することができない。
【0007】
そこで本発明の目的は、駐車場内の案内対象車両を安全かつ効率的に誘導することができる駐車場管制システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、交差部における車両の行動を示す行動情報を受信可能な案内対象車両と、行動情報を受信できない非案内対象車両とが混在した駐車場において、駐車場内の案内対象車両に対して行動情報を送信する駐車場管制システムであって、駐車場の情報を検出する駐車場情報取得部と、駐車場内の車両の位置および速度を検出する車両情報取得部と、駐車場情報取得部により検出した駐車場の情報、および車両情報取得部により検出した非案内対象車両の位置および速度に基づき、行動情報を生成する行動情報決定部と、行動情報を送信する行動情報送信部と、を有することを特徴とする駐車場管制システムである。
【0009】
本発明において、行動情報決定部は、案内対象車両近傍の非案内対象車両を検出し、非案内対象車両近傍の交差点または空き駐車ロットを検出し、交差点または空き駐車ロットが存在しない場合、あるいは、交差点または空き駐車ロットが存在し非案内対象車両の速度がしきい値より大きい場合に、交差部の手前で停止し、非案内対象車両が交差部を通過後に、交差部に進入する旨を行動情報として生成し、交差点または空き駐車ロットが存在し非案内対象車両の速度がしきい値以下である場合に、交差部の手前で一時停止後、交差部に進入する旨を行動情報として生成してもよい。
【0010】
他の本発明は、歩行者が保持し、交差部における歩行者の行動を示す行動情報を受信可能な受信端末と、行動情報を受信できない非案内対象車両とが混在した駐車場において、駐車場内の歩行者が保持する受信端末に対して行動情報を送信する駐車場管制システムであって、駐車場の情報を検出する駐車場情報取得部と、駐車場内の車両の位置および速度を検出する車両情報取得部と、駐車場情報取得部により検出した駐車場の情報、および車両情報取得部により検出した非案内対象車両の位置および速度に基づき、行動情報を生成する行動情報決定部と、行動情報を送信する行動情報送信部と、を有することを特徴とする駐車場管制システムである。
【0011】
他の本発明において、行動情報決定部は、歩行者近傍の非案内対象車両を検出し、非案内対象車両近傍の交差点または空き駐車ロットを検出し、交差点または空き駐車ロットが存在しない場合、あるいは、交差点または空き駐車ロットが存在し非案内対象車両の速度がしきい値より大きい場合に、交差部の手前で停止し、非案内対象車両が交差部を通過後に、交差部に進入する旨を行動情報として生成し、交差点または空き駐車ロットが存在し非案内対象車両の速度がしきい値以下である場合に、交差部の手前で一時停止後、交差部に進入する旨を行動情報として生成してもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、駐車場内の通路の交差点や駐車ロットと通路との接続部において案内対象車両あるいは歩行者を安全かつ効率的に誘導することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例1の駐車場管制システムの構成を示した図。
図2】実施例1の駐車場管制システムの動作を示したフローチャート。
図3】行動情報の決定の具体例を示した図。
図4】行動情報の決定の具体例を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の具体的な実施例について図を参照に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【実施例0015】
図1は、実施例1の駐車場管制システムの構成を示した図である。図1のように、実施例1の駐車場管制システムは、駐車場情報取得部10と、車両情報取得部11と、行動情報決定部12と、行動情報送信部13と、駐車場地図記憶部14と、カメラ15と、によって構成されている。
【0016】
実施例1の駐車場管制システムは、駐車場内の案内対象車両に対して走行ルート、車間距離、車両速度、行動情報などの走行案内情報を送信し、走行案内車両を誘導するシステムである。行動情報は、駐車場内の交差部における走行案内車両の行動を規定した情報である。本明細書において交差部は、駐車場内の通路の交差点と、駐車ロットと通路との接続部とを含む概念とする。
【0017】
駐車場内には、案内対象車両と非案内対象車両が混在するものとする。案内対象車両は、駐車場管制システムからの走行案内情報を受信可能な車両であり、非案内対象車両は、走行案内情報を受信できない車両である。案内対象車両は、駐車場内における車両の運転が自動化された自動運転車両であってもよいし、手動運転車両であってもよい。自動運転車両の場合、走行案内情報に基づき車両の走行ルート、速度、車間距離などが自動で制御される。手動運転車両の場合、車載のディスプレイなどに走行案内情報を表示し、運転者にその表示内容に沿った運転を促す。
【0018】
次に、実施例1の駐車場管制システムの各構成について説明する。
【0019】
駐車場情報取得部10は、駐車場内の駐車ロット、通路、交差点などの位置を取得し、空き駐車スロットの位置を取得する装置である。駐車場情報取得部10は、駐車場地図記憶部14に記憶された地図情報と、カメラ15によって撮影した駐車場の画像や動画から、空き駐車スロットの位置を検出する。
【0020】
車両情報取得部11は、カメラ15によって撮影した駐車場の画像や動画から、駐車場内の各車両の位置、および速度を取得する装置である。
【0021】
行動情報決定部12は、交差部における案内対象車両の行動を規定する情報(行動情報)を生成する装置である。
【0022】
駐車場情報取得部10、車両情報取得部11、および行動情報決定部12は、コンピュータ上のソフトウェアによって実現されている。
【0023】
行動情報送信部13は、行動情報決定部12において生成された行動情報を、案内対象車両に送信する装置である。
【0024】
駐車場地図記憶部14は、駐車場内の通路や駐車ロットの位置を示した地図情報を記憶した装置である。地図情報は、カメラ15によって撮影した画像や動画から生成してもよい。
【0025】
カメラ15は、駐車場内の様子を撮影する装置であり、駐車場内やその近傍に複数配置されている。撮影した画像や動画は、駐車場情報取得部10および車両情報取得部11に送られる。
【0026】
なお、空き駐車ロットや車両の位置、速度は、GPSやレーダーなどを用いて取得してもよい。
【0027】
次に、実施例1の駐車場管制システムの動作について、図2のフローチャートを参照に説明する。
【0028】
まず、駐車場情報取得部10は、駐車場地図記憶部14の地図情報およびカメラ15によって撮影した画像や動画から、駐車場内の各駐車ロットのうち車両が駐車していない駐車ロット(空き駐車スロット)の位置を取得する。また、車両情報取得部11は、カメラ15によって撮影した画像や動画から、各車両の位置および速度を取得する(図2のステップS1)。
【0029】
次に、行動情報決定部12は、車両情報取得部11により取得した各車両の位置、速度および駐車場地図記憶部14の地図情報に基づき、案内対象車両の近傍に存在し、その案内対象車両がこれから進入しようとしている交差部を検出する。そして、その交差部の通路上であって案内対象車両の近傍に存在する非案内対象車両を検出する(図2のステップS2)。案内対象車両の近傍とは、たとえば案内対象車両を中心に半径20mの範囲である。
【0030】
案内対象車両であるか非案内対象車両であるかの別は、たとえば以下のようにして検出することができる。駐車場管制システムにおいて案内対象車両のナンバーをあらかじめ登録しておく。そして、カメラ15により取得した画像や動画から車両のナンバープレートを読み取り、そのナンバーを登録されたナンバーと照会することで、案内対象車両であるかどうかを検出する。あるいは、駐車場に入場する際に案内対象車両側から駐車場管制システム側へID番号などを送信することで案内対象車両であることを識別してもよい。
【0031】
案内対象車両は、駐車場管制システムによって走行ルートが指示されるため、案内対象車両が交差部に進入する際に、周囲に他の案内対象車両が存在する場合には同時に交差部に進入しないように走行ルートを指示して安全に誘導することが可能である。一方、非案内対象車両は走行ルートを予測することができない。そのため、案内対象車両が交差部に進入する際に、周囲に非案内対象車両が存在する場合、その非案内対象車両も交差部に進入する可能性がある。
【0032】
そこで案内対象車両に交差部での行動を規定する行動情報を送信し、案内対象車両が安全かつ効率的に交差部に進入できるようにする。行動情報は、以下のようにして決定する。
【0033】
まず、行動情報決定部12は、検出した非案内対象車両の近傍に、空き駐車ロットや交差点が存在するかどうかを検出する(図2のステップS3)。非案内対象車両の近傍とは、たとえば非案内対象車両の現在位置を起点として、進行方向の通路沿いと、進行方向の通路と交差する通路に沿って、20mの範囲である。
【0034】
空き駐車ロットや交差点が存在しない場合、行動情報決定部12は、非案内対象車両が交差部に進入するものと判断する。そして、行動情報決定部12は、案内対象車両は交差部の手前で停止し、非案内対象車両が交差部に進入して通過後に、案内対象車両が交差部に進入する、という旨を行動情報として決定する(図2のステップS4)。
【0035】
次に、空き駐車ロットや交差点が存在する場合、行動情報決定部12は、非案内対象車両の速度がしきい値以下であるか、しきい値を超えているかを判断する(図2のステップS5)。しきい値は、車両が駐車する際の徐行速度付近に設定する。たとえば、3~5km/hの範囲のある値に設定する。
【0036】
非案内対象車両の速度がしきい値よりも大きい場合、行動情報決定部12は、非案内対象車両は空き駐車ロットに駐車せず、交差点もそのまま直進し、交差部に進入するものと判断する。そして、行動情報決定部12は、案内対象車両は交差部の手前で停止し、非案内対象車両が交差部に進入して通過後に、案内対象車両が交差部に進入する、という旨を行動情報として決定する(図2のステップS4)。
【0037】
非案内対象車両の速度がしきい値以下の場合、行動情報決定部12は、非案内対象車両はその空き駐車ロットに駐車したり、交差点を曲がるものと判断し、交差部には進入しないと判断する。そして、行動情報決定部12は、案内対象車両は交差部の手前で一時停止し、その後に交差部に進入する、という旨を行動情報として決定する(図2のステップS6)。
【0038】
行動情報決定部12による行動情報の決定について、具体例を図3、4を参照に説明する。図3、4のように、駐車場には駐車ロットP1~P6が並んで設けられており、駐車ロットP3とP4の間にT字路C1が設けられている。駐車ロットP1、P2には車両が駐車しており、駐車ロットP3、P5、P6は空いている。駐車ロットP4には案内対象車両が停車しており、駐車ロットP4を出て通路に進入しようとしている。この駐車ロットP4と通路との接続部をC2とする。
【0039】
このような場面において、行動情報決定部12は、案内対象車両の周囲に存在する走行中の非案内対象車両を探索する。そして、駐車ロットP2付近の通路を走行中の非案内対象車両が検出される。次に、行動情報決定部12は、非案内対象車両の周囲の空き駐車ロットや交差点を探索する。これにより、駐車ロットP3とT字路C1が検出される。
【0040】
次に、行動情報決定部12は、非案内対象車両の速度を検出し、その速度がしきい値を超えているかどうかを判断する。ここではしきい値が4kmに設定されているものとする。図3のように、非案内対象車両の速度が10kmであった場合、しきい値の4kmを超えている。そのため、行動情報決定部12は、非案内対象車両は通路をそのまま直進し、駐車ロットP3やT字路C1を通過して接続部C2に進入する、と判断する。そして、行動情報決定部12は、接続部C2の手前で停車して非案内対象車両が接続部C2を通過後、接続部C2に進入する、という行動を行動情報として決定する。
【0041】
一方、図4のように、非案内対象車両の速度が3kmであった場合、しきい値の4km以下である。そのため、行動情報決定部12は、非案内対象車両は駐車ロットP3に駐車するか、T字路C1を曲がり、接続部C2には進入しない、と判断する。そして、行動情報決定部12は、接続部C2の手前で一時停止後、接続部C2に進入する、という行動を行動情報として決定する。
【0042】
なお、案内対象車両の近傍に複数の非案内対象車両が存在する場合には、全ての非案内対象車両の速度がしきい値以下である場合に、案内対象車両は交差部の手前で一時停止し、その後に交差部に進入する、という旨を行動情報として決定する。非案内対象車両のうち一台でも速度がしきい値よりも大きければ、案内対象車両は交差部の手前で停止し、非案内対象車両が交差部に進入して通過後に、案内対象車両が交差部に進入する、という旨を行動情報として決定する。
【0043】
次に、行動情報送信部13は、行動情報決定部12により決定された行動情報を非案内対象車両に送信する(図2のステップS7)。
【0044】
行動情報送信部13からの行動情報を受信した案内対象車両は、次のように動作する。自動運転車両の場合、行動情報に基づき車両が自動で制御される。つまり、交差部に進入する前の動作が自動で制御される。行動情報は上記のように決定されているため、自動運転車両は安全かつ効率的に交差部に進入し通過することができる。一方、手動運転車両の場合、行動情報は車内のディスプレイなどに表示される。これにより、手動運転車両の運転者に対して行動情報に沿った運転を促す。運転者に適切な交差部への進入、通過方法を提示することができ、手動運転車両を安全かつ効率的に誘導することができる。
【0045】
以上、実施例1の駐車場管制システムによれば、駐車場内の交差部において案内対象車両を安全かつ効率的に誘導することができる。
【0046】
なお、実施例1の駐車場管制システムは、駐車場内の案内対象車両を誘導するものであったが、駐車場内の歩行者の誘導も同様にして行うことができる。その場合、歩行者の所持するスマートフォン、タブレット端末などの受信端末に案内情報を表示して、歩行者を誘導する。案内情報は、画像や動画として表示してもよいし、音声でもよい。あるいは、プロジェクションマッピングにより通路の路面などに直接表示してもよい。交差部において歩行者を安全かつ効率的に誘導することができる。もちろん、案内対象車両と歩行者の両方を誘導してもよい。案内対象車両と歩行者の両方を誘導する場合には、歩行者の通行を優先するとよい。
【0047】
また、本発明は、駐車場の通路が一方通行の場合だけでなく、対面通行の場合にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の駐車場管制システムは、ショッピングモールなどの大規模駐車場に特に有効である。
【符号の説明】
【0049】
10:駐車場情報取得部
11:車両情報取得部
12:行動情報決定部
13:行動情報送信部
14:駐車場地図記憶部
15:カメラ
図1
図2
図3
図4