(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022074411
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】屋外スイッチギヤ
(51)【国際特許分類】
H02B 1/28 20060101AFI20220511BHJP
E04D 13/00 20060101ALI20220511BHJP
H02B 1/56 20060101ALI20220511BHJP
H02B 1/30 20060101ALI20220511BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
H02B1/28 E
E04D13/00 J
H02B1/56 A
H02B1/30 F
H05K5/02 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020184420
(22)【出願日】2020-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】宍戸 正典
【テーマコード(参考)】
4E360
5G016
【Fターム(参考)】
4E360AB64
4E360BA04
4E360BB12
4E360BB28
4E360BC05
4E360BD03
4E360CA02
4E360ED02
4E360ED12
4E360GA22
4E360GA29
4E360GA52
4E360GB94
5G016AA04
5G016CB01
5G016CG02
5G016CG21
(57)【要約】
【課題】
輸送時の解体や現地での組立て作業が不要となる、輸送時の高さ制限に対応したベンチレータ構造を有する屋外スイッチギヤを提供することを目的とする。
【解決手段】
屋根板上にベンチレータを設けた屋外スイッチギヤであって、ベンチレータは、通気口と、通気口の周囲を覆う防水カバーと、通気口の上部を覆う通気口カバーを有し、防水カバーは上下に分割可能な第1の防水カバーと第2の防水カバーからなり、第1の防水カバーと第2の防水カバーは、ヒンジを介して展開可能である構成とした。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根板上にベンチレータを設けた屋外スイッチギヤであって、
前記ベンチレータは、通気口と、該通気口の周囲を覆う防水カバーと、該通気口の上部を覆う通気口カバーを有し、
前記防水カバーは上下に分割可能な第1の防水カバーと第2の防水カバーからなり、
前記第1の防水カバーと前記第2の防水カバーは、ヒンジを介して展開可能であることを特徴とする屋外スイッチギヤ。
【請求項2】
請求項1記載の屋外スイッチギヤであって、
前記ヒンジは、前記第1の防水カバーと前記第2の防水カバーの側面よりも外側に突出する形状であることを特徴とする屋外スイッチギヤ。
【請求項3】
請求項1に記載の屋外スイッチギヤであって、
前記第1の防水カバーは固定座により屋根板に固定され、
前記第2の防水カバーは展開した際には前記屋根板に取り付けた受け金具で保持することを特徴とする屋外スイッチギヤ。
【請求項4】
請求項3に記載の屋外スイッチギヤであって、
前記第2の防水カバーはフランジを有し、該フランジが前記第1の防水カバーと重ねる時の接続部として利用することを特徴とする屋外スイッチギヤ。
【請求項5】
請求項4に記載の屋外スイッチギヤであって、
前記第1の防水カバーと前記第2の防水カバーを重ねる時は、前記第2の防水カバーの前記ヒンジと反対側に位置する前記フランジを使って前記第1の防水カバーに固定することを特徴とする屋外スイッチギヤ。
【請求項6】
請求項3に記載の屋外スイッチギヤであって、
前記防水カバー内に雨受けを有し、
前記雨受けは前記第2の防水カバーに固定されていることを特徴とする屋外スイッチギヤ。
【請求項7】
請求項1に記載の屋外スイッチギヤであって、
前記防水カバー内に、雨受けと、防じんフィルタと、止水板を有し、該止水板が前記屋根板に接合され、前記通気口カバーが前記防水カバーに通気口カバー保持金具で保持されていることを特徴とする屋外スイッチギヤ。
【請求項8】
屋根板上にベンチレータを設けた屋外スイッチギヤであって、
前記ベンチレータは、通気口と、該通気口の周囲を覆う防水カバーと、該通気口の上部を覆う通気口カバーを有し、
前記屋根板で構成される屋根の内部に前記ベンチレータを収納可能な構造を有することを特徴とする屋外スイッチギヤ。
【請求項9】
屋根板上にベンチレータを設けた屋外スイッチギヤであって、
前記ベンチレータは、通気口と、該通気口の周囲を覆う防水カバーと、該通気口の上部を覆う通気口カバーを有し、
前記防水カバーは前記通気口を構成する空間を狭めるように高さが可変である構造を有することを特徴とする屋外スイッチギヤ。
【請求項10】
請求項9に記載の屋外スイッチギヤであって、
前記防水カバーは蛇腹構造であることを特徴とする屋外スイッチギヤ。
【請求項11】
請求項9に記載の屋外スイッチギヤであって、
前記防水カバーは入れ子構造であることを特徴とする屋外スイッチギヤ。
【請求項12】
請求項11に記載の屋外スイッチギヤであって、
前記防水カバーは上部が下部に比べてより小さい構成の入れ子構造であることを特徴とする屋外スイッチギヤ。
【請求項13】
請求項11に記載の屋外スイッチギヤであって、
前記防水カバーは上部が下部に比べてより大きい構成の入れ子構造であることを特徴とする屋外スイッチギヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外スイッチギヤに係り、輸送時の高さ制限に対応したベンチレータ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋外スイッチギヤ(開閉装置)は結露や雨水を考慮し、屋根の二重化や傾斜付きとする為、屋外スイッチギヤの高さが高くなる傾向にある。更に、特許文献1にあるように、屋外スイッチギヤの冷却の為、屋根にベンチレータ(換気口)を設ける必要があり、これにより、屋外スイッチギヤの全高がさらに高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
屋外スイッチギヤを納品の際には、一般道を利用しトラック等で輸送する必要がある。その際、道路交通法により、輸送高さが規定されている。道路交通法では、高さ制限3.8mを超える場合(4.1mまで)は、特殊車両通行許可証を提出することで走行可能であるが、その申請の為のリードタイム増加や輸送コストアップに繋がり、さらに、通行できるルートも限定されることになるので、極力、高さ制限3.8mを超えないようにするのが得策である。
【0005】
昨今、トラックはエアサス仕様車が増えているが、そのために荷台高さが高くなり、結果として、輸送できる積荷高さが、エアサス仕様車でない従来より低く制限される。例えば、従来のトラックの荷台高さが1mの場合、積み荷高さは2.8mが可能であったが、現在のトラックの荷台高さが1.1mとなった場合、積み荷高さは2.7mに制限される。従って、従来の全高2.8mの屋外スイッチギヤを輸送する場合は、例えば、屋外スイッチギヤから換気口を解体する必要がある。その場合、解体した換気口を梱包し別送し、現地で屋外スイッチギヤに再取付けして組立てる必要があり、工期やコストが増加するという課題があった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑み、輸送時の解体や現地での組立て作業が不要となる、輸送時の高さ制限に対応したベンチレータ構造を有する屋外スイッチギヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、その一例を挙げるならば、屋根板上にベンチレータを設けた屋外スイッチギヤであって、ベンチレータは、通気口と、通気口の周囲を覆う防水カバーと、通気口の上部を覆う通気口カバーを有し、防水カバーは上下に分割可能な第1の防水カバーと第2の防水カバーからなり、第1の防水カバーと第2の防水カバーは、ヒンジを介して展開可能である構成とした。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、輸送時の高さ制限に対応したベンチレータ構造を有する屋外スイッチギヤを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】従来の屋外スイッチギヤのベンチレータ解体前後の外観図である。
【
図2】従来の屋外スイッチギヤにおけるベンチレータの構成図である。
【
図3】実施例1におけるベンチレータの構成図である。
【
図4】実施例2におけるベンチレータの概念構成図である。
【
図5】実施例3におけるベンチレータの概念構成図である。
【
図6】実施例4におけるベンチレータの概念構成図である。
【
図7】実施例4におけるベンチレータの入れ子構造の具体的な構成例である。
【
図8】実施例5におけるベンチレータの概念構成図である。
【
図9】実施例5におけるベンチレータの入れ子構造の具体的な構成例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例につき、図面を用いて説明する。
【実施例0011】
まず、はじめに、本実施例の前提となる、従来の屋外スイッチギヤについて説明する。
【0012】
図1に、従来の屋外スイッチギヤのベンチレータ解体前後の外観図を示す。
図1において、(a)は、ベンチレータ解体前の屋外スイッチギヤ100の外観図であり、スイッチギヤの冷却の為に、屋根にベンチレータ110を設けている。なお、屋外スイッチギヤ100の、幅方向、奥行き方向、高さ方向をそれぞれ、X、Y、Zとしたとき、結露や雨水を配水するために、屋根は、幅方向Xに傾斜を持たせている。
【0013】
図1(b)は、ベンチレータ解体後の屋外スイッチギヤ100の外観図であり、ベンチレータ110を屋外スイッチギヤから解体し取り外すことで屋外スイッチギヤの全体の高さを低くし、輸送時の高さ制限内に収まるようにする。この場合、解体したベンチレータ110は梱包し別送し、現地で屋外スイッチギヤに再取付けして組立てる必要があり、工期やコストが増加するという課題があった。
【0014】
また、
図2に、従来の屋外スイッチギヤのベンチレータ110の構成図を示す。
図2において、(a)は、ベンチレータ110の上部から見た外観斜視図である。また、(b)は、ベンチレータ110の分解構成図である。(b)に示すように、ベンチレータ110は、通気口21を有し、ゴミ落下防止のための通気口21の上部を覆う通気口カバー20と、通気口21の周囲を覆う防水カバー23が屋根板27上に配置されている。また、防水カバー23内に、通気口21と雨受け24と防じんフィルタ25と止水板26を有し、止水板26が屋根板27に接合されている。また、通気口カバー保持金具22で通気口カバー20が防水カバー23に保持されている。
【0015】
図2(c)は、(a)のA-A断面図であり、ベンチレータ110の幅方向Xの断面を示す。前述したように、屋根は、幅方向Xに傾斜を持たせているので、屋根板27は傾斜しており、風雨によるベンチレータ110への侵入水は点線で示すように、雨受け24を介して隙間29から排水される。
【0016】
図2(d)は、(a)のB-B断面図であり、ベンチレータ110の奥行方向Yの断面を示す。屋外スイッチギヤ内の空気は、点線で示すように、防じんフィルタ25を介して通気口21から排気される。なお、固定座28により、防水カバー23が屋根板27に固定されている。
【0017】
このように、従来の、輸送時の高さ制限内に収まるように屋外スイッチギヤのベンチレータ110を解体することで生じる種々の課題を解消するために、本実施例では、防水カバーを上下に分割し、ヒンジを介して分割した防水カバーそれぞれを展開可能とする構成とした。以下、その詳細について説明する。
【0018】
図3は、本実施例におけるベンチレータの構成図である。
図3において、(a)は本実施例におけるベンチレータの構成の概念を示す図である。(a)に示すように、本実施例におけるベンチレータ120は、屋外スイッチギヤ100を輸送時には白抜き矢印の右側に示すように、防水カバーを上下に分割し、ヒンジを取り付け展開することで輸送時の高さを低減する構成とする。
【0019】
図3(b)は本実施例におけるベンチレータ120の使用時のベンチレータ110の幅方向Xの断面図である。
図3(b)において、
図2(c)と同じ構成は同じ符号を付し、その説明は省略する。
図3(b)において、
図2(c)と異なる点は、防水カバー23を31と32の上下に分割し、それらをヒンジ34で開閉可能に接続した点である。また、
図3(b)に示すように、防水カバー32にはフランジ33を設け、防水カバー31と32を重ねる時の接続部として利用し、防水性を確保する。なお、
図2(d)と同様に、防水カバー31は固定座28により屋根板27に固定されている。
【0020】
図3(c)は輸送時の防水カバー31と32を展開して開いた状態の幅方向Xの断面図である。
図3(c)に示すように、輸送時はヒンジ34を中心として防水カバー31と32を開き、防水カバー32側を屋根板27に取り付けた受け金具35で保持する。これにより、屋根傷防止を実現できる。なお、自重やトラック搭載時にはシートがある為、防水カバー32は固定しなくてもよい。
【0021】
また、ヒンジ34は、防水カバー31と32の側面よりも外側に突出する形状とすることで、ヒンジ34がフランジ33と干渉せず、また展開時に通気口カバー20が防水カバー31と干渉しない。
【0022】
また、雨受け24は、防水カバー31側に固定すると高さ寸法が目標オーバーとなる為、防水カバー32側に固定する。これは、防水カバー32は高くなっても、屋根板27の傾斜により、屋根板27の低い方向に防水カバー32を展開するので、その高さを吸収できるためである。
【0023】
また、防水カバー32のヒンジ34と反対側に位置するフランジ33の高さ方向の幅を広げることができるため、ヒンジ34と反対側に位置するフランジ33を使って使用時はボルトまたはスナップ錠などで固定する。
【0024】
また、新たな効果として、従来、防じんフィルタ25の清掃や交換の際は、ベンチレータを解体する必要があったが、本実施例における防水カバーのヒンジ展開の構成により、簡単に防じんフィルタ25の清掃や交換を行うことが可能となる。
【0025】
以上のように、本実施例によれば、輸送時の高さ制限に対応したベンチレータ構造を有する屋外スイッチギヤを提供できる。