(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022074428
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】冷却装置
(51)【国際特許分類】
F25D 11/00 20060101AFI20220511BHJP
F25D 17/08 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
F25D11/00 101Z
F25D17/08 319E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020184457
(22)【出願日】2020-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】512164643
【氏名又は名称】KE・OSマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098936
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100098888
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 明子
(72)【発明者】
【氏名】喜多 悠介
【テーマコード(参考)】
3L045
【Fターム(参考)】
3L045AA07
3L045BA01
3L045CA02
3L045DA02
3L045GA01
3L045HA03
3L045KA01
3L045PA04
(57)【要約】
【課題】作業場等において上面が解放された容器に入れた食品等の被冷却物を温度が上昇しないように冷却することが可能で、しかも送風機のように被冷却物に対し衛生面の悪影響を与えるおそれがなく、且つ食品の風味を低下させたりするおそれがなくて、更に作業員にとって過酷な環境となることがない冷却装置を提供する。
【解決手段】冷却筒19が冷却されると冷却筒内の空気が軽くなり、冷気が吐出口23から吐出され、これと共に流入口21から外気が冷却筒19内へ流入する。冷却筒19内へ流入した空気は冷却体27によって冷却されるので、吐出口23から冷気が連続的に吐出されることになる。吐出口23から吐出される冷気はいわば温度差によって送られるので極めて緩やかに流れる。更に、底部5、左右の側壁7、9及び前後の側壁11、13が冷却されることでバット49の底面、左右前後の側面からも食品Fが冷却される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に開口を有し被冷却物を収容する収容部を備えた本体部と、前記本体部の内側面を介して前記収容部内の被冷却物を冷却する内側面側冷却手段と、前記開口から前記収容部内へ冷気を供給する開口側冷却手段を具備し、前記開口側冷却手段は、上端側に空気の流入口を有し、下端側に前記開口に臨む吐出口を有する中空の冷却筒と、前記冷却筒の内部を冷却する冷却体を備え、前記冷却体によって前記冷却筒内を冷却することで前記流入口から前記冷却筒内へ空気を流入させて前記吐出口から冷気を前記開口へ吐出させることを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
請求項1に記載した冷却装置において、吐出口の幅寸法は開口の幅寸法と略同じ大きさに設定され、且つ前記吐出口は前記開口の上面の一端部に臨むように備えられていることを特徴とする冷却装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載した冷却装置において、吐出口は開口に向かって30°~50°の角度で傾斜していることを特徴とする冷却装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載した冷却装置において、冷却筒の内部に冷媒が通る冷媒通過部が備えられていることを特徴とする冷却装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載した冷却装置において、本体部は箱状で収容部は四角形の底部と左右前後の側壁によって囲まれた空間によって構成されていることを特徴とする冷却装置。
【請求項6】
請求項5に記載した冷却装置において、底部と左右前後の側壁の内部に冷媒が通る冷媒通過部が備えられていることを特徴とする冷却装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載した冷却装置において、本体部に冷媒の熱交換を行う冷凍機が設けられ、前記冷凍機で冷却された冷媒は冷却筒内の冷媒通過部から底部の冷媒通過部、更に左右前後の側壁の内部の冷媒通過部を通り、前記冷凍機へ戻り再度冷却されて循環することを特徴とする冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は冷却装置に係り、特に上面が解放された容器に入れた食品等の被冷却物の冷却を行う冷却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば弁当を製造する工場において、弁当の材料となる惣菜等の食品は細菌の増殖を抑えるために極力低温で扱うことが求められる。そこで、食品の温度を低く保つために、例えば特許文献1に記載された冷蔵庫に食品を収容しておくことが行われている。また、送風機によって風を吹き掛けることで冷蔵庫から出した後の品温上昇を抑えたりすることも行われている。
ところで、弁当を製造する場合には、弁当箱を作業場に備えたコンベアによって搬送しながら、コンベアの脇に立つ作業員が食品を弁当箱に順次入れていく。この作業中に食品の温度上昇を抑えることによって弁当の消費期限を延ばすことができることから、温度管理は極めて重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、食品を冷蔵庫から出すと作業場の温度下に置かれることになり、温度が上昇してしまうことになる。
また、送風機によって風を吹き掛けると室内に浮遊する細菌や塵を付着させてしまうおそれもあり、衛生面等において悪影響を与えるおそれがある。更に、風を吹き掛けると、食品の種類によっては表面が乾燥してしまい、風味が低下してしまうものもある。
また、所定量ずつ食品を取って弁当に入れる作業を行うためには、食品を上面が解放された容器に入れる必要があり、このような容器に入れられた食品全体を冷却することには限界がある。そこで、作業場を低温にする場合もあるが、作業員にとって過酷な環境となってしまうという問題がある。
本発明は上記従来の問題点に着目して為されたものであり、作業場等において上面が解放された容器に入れた食品等の被冷却物を温度が上昇しないように冷却することが可能で、しかも送風機のように被冷却物に対し衛生面の悪影響を与えるおそれがなく、且つ食品の風味を低下させたりするおそれがなくて、更に作業員にとって過酷な環境となることがない冷却装置の提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、請求項1の発明は、上面に開口を有し被冷却物を収容する収容部を備えた本体部と、前記本体部の内側面を介して前記収容部内の被冷却物を冷却する内側面側冷却手段と、前記開口から前記収容部内へ冷気を供給する開口側冷却手段を具備し、前記開口側冷却手段は、上端側に空気の流入口を有し、下端側に前記開口に臨む吐出口を有する中空の冷却筒と、前記冷却筒の内部を冷却する冷却体を備え、前記冷却体によって前記冷却筒内を冷却することで前記流入口から前記冷却筒内へ空気を流入させて前記吐出口から冷気を前記開口へ吐出させることを特徴とする冷却装置である。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載した冷却装置において、吐出口の幅寸法は開口の幅寸法と略同じ大きさに設定され、且つ前記吐出口は前記開口の上面の一端部に臨むように備えられていることを特徴とする冷却装置である。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載した冷却装置において、吐出口は開口に向かって30°~50°の角度で傾斜していることを特徴とする冷却装置である。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれかに記載した冷却装置において、冷却筒の内部に冷媒が通る冷媒通過部が備えられていることを特徴とする冷却装置である。
【0009】
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれかに記載した冷却装置において、本体部は箱状で収容部は四角形の底部と左右前後の側壁によって囲まれた空間によって構成されていることを特徴とする冷却装置である。
【0010】
請求項6の発明は、請求項5に記載した冷却装置において、底部と左右前後の側壁の内部に冷媒が通る冷媒通過部が備えられていることを特徴とする冷却装置である。
【0011】
請求項7の発明は、請求項5または6に記載した冷却装置において、本体部に冷媒の熱交換を行う冷凍機が設けられ、前記冷凍機で冷却された冷媒は冷却筒内の冷媒通過部から底部の冷媒通過部、更に左右前後の側壁の内部の冷媒通過部を通り、前記冷凍機へ戻り再度冷却されて循環することを特徴とする冷却装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の冷却装置によれば、作業場等において上面が解放された容器に入れた食品等の被冷却物を温度が上昇しないように冷却することが可能となる。しかも送風機によって風を吹き掛ける場合と異なり、被冷却物に対し衛生面の悪影響を与えるおそれがなく、且つ食品の風味を低下させたりするおそれがない。更に低温の作業員にとって過酷な環境となることがない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施の形態に係る冷却装置の斜視図である。
【
図2】
図1の冷却装置の開口側冷却手段の構成を示す図であり、(a)は開口側冷却手段を正面側から見た図、(b)は右側面側から見た図、(c)は上面側から見た図である。
【
図3】
図1の冷却装置の底部と左右前後の側壁の内部に備えられた冷媒通過部の構成を示す図である。
【
図4】
図1の冷却装置によって冷却する食品を入れたバットとバットを載せる載置台の斜視図である。
【
図5】
図1の冷却装置に食品を入れたバットを収容した状態の斜視図である。
【
図6】
図1の冷却装置の開口側冷却手段の冷気の流れを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態に係る冷却装置1を図面にしたがって説明する。
符号3は本体部を示し、この本体部3は箱状に形成されている。本体部3の四角形の底部5と左右の側壁7、9と前後の側壁11、13によって囲まれた空間によって収容部15が構成されている。収容部15の上面には底部5に対向する開口17が設けられている。
【0015】
本体部3の後壁13には冷却筒19が取り付けられており、この冷却筒19は上端側に空気の流入口21を有し、下端側に開口17に臨む吐出口23を有している。流入口21には塵が冷却筒19内へ浸入するのを防止するネット25が備えられている。また、吐出口23の幅寸法N1は開口17の幅寸法N2より僅かに小さい大きさに設定されており、吐出口23は開口17の上面の一端部(後端部)に臨むように備えられている。また、吐出口23は開口17に向かって35°の角度で傾斜している。すなわち、吐出口23は開口17の前端部へ向くように35°の角度で傾斜する姿勢で設けられている(
図6参照)。
【0016】
図2(a)、(b)、(c)に示すように冷却筒19の内部に冷却体27が備えられている。この冷却体27の構成を説明する。
符号29、31は左右一対の主部を示し、主部29、31は断面が半円状の凹部を有する2枚の板状体を重ねて結合することで管状の冷媒通過部29a、31aが形成されている。冷媒通過部29a、31aは折り返すように湾曲する形状に形成されている。冷媒通過部29aの一端部には接続管29cが接続され、他端部には接続管29dが接続されている。また、冷媒通過部31aの一端部には接続管31cが接続され、他端部には接続管31dが接続されている。接続管29dと接続管31dは連結管33を介して連結されている。
【0017】
図3に示すように本体部3の底部5、左右の側壁7、9及び前後の側壁11、13の内部に銅管からなる冷媒通過部35a、35b、37a、37b、39a、39b、41a、41b、43a、43bがそれぞれ備えられている。冷媒通過部35a、35b、37a、37b、39a、39b、41a、41b、43a、43bは折り返すように湾曲する形状に形成されている。
接続管36は冷媒通過部35a、35bに連通するように接続されている。接続管38は冷媒通過部37a、37bに連通するように接続されている。接続管40は冷媒通過部39a、39bに連通するように接続されている。
【0018】
本体部3の底部5の下側の空間には圧縮式の冷凍機45が設けられており、この冷凍機45は接続管29cに接続されている(
図2参照)。また、接続管31cは、
図3に示す接続管36に接続されている。更に、冷媒通過部35aの他端部は接続管40に接続され、冷媒通過部35bの他端部は接続管38に接続されている。冷媒通過部37aの他端部は冷媒通過部43bの一端部に接続され、冷媒通過部37bの他端部は冷媒通過部41bの一端部に接続されている。また、冷媒通過部39aの他端部は冷媒通過部43aの一端部に接続され、冷媒通過部39bの他端部は冷媒通過部41aの一端部に接続されている。
更に、冷媒通過部41a、41b、43a、43bのそれぞれの他端部はポート47に連結され、ポート47は冷凍機45に連結されている。
内側面側冷却手段は、冷媒通過部35a、35b、37a、37b、39a、39b、41a、41b、43a、43b、冷凍機45によって構成されている。
開口側冷却手段は、冷却筒19、冷却体27及び冷凍機45によって構成されている。
【0019】
次に、この冷却装置1の使用方法を説明する。
図4に示す容器としてのバット49に被冷却物としての食品Fが入れられている。同図に示す載置台51を収容部15の底部5に設置し、その上にバット49を載せて、バット49を収容部15に収容する(
図5参照)。バット49を載置台51に載せるのは、バット49の底面が底部5に水滴が凍結することで固着するのを防止するためである。
【0020】
次いで、冷凍機45を作動させ、冷媒を圧縮膨張させて温度を下げてから、
図2に示すように接続管29cを介して冷媒通過部29aへ送られ、更に接続管29d、連結管33、接続管31dを介して冷媒通過部31aへ送られる。そして、接続管31c、接続管36を介して冷媒通過部35a、35bへ送られる(
図3参照)。冷媒通過部35aを出た冷媒は接続管40を介して冷媒通過部39a、39bへ送られる。また、冷媒通過部35bを出た冷媒は接続管38を介して冷媒通過部37a、37bへ送られる。冷媒通過部37aを出た冷媒は冷媒通過部43bへ送られ、冷媒通過部37bを出た冷媒は冷媒通過部41bへ送られる。また、冷媒通過部39aを出た冷媒は冷媒通過部43aへ送られ、冷媒通過部39bを出た冷媒は冷媒通過部41aへ送られる。冷媒通過部41a、41b、43a、43bを出た冷媒はポート47へ送られ、更に冷凍機45へ送られて、冷媒を圧縮膨張させて温度を下げてから再度接続管29cを介して冷媒通過部29aへ送られる。このようにして冷媒が循環する。
【0021】
上記のように冷媒が循環することで、冷却筒19の内部が冷却され、底部5、左右の側壁7、9及び前後の側壁11、13が冷却される。
冷却筒19が冷却されると冷却筒内の空気が軽くなり、
図5、
図6において矢印で示すように冷気が吐出口23から吐出され、これと共に流入口21から外気が冷却筒19内へ流入する。冷却筒19内へ流入した空気は冷却体27によって冷却されるので、吐出口23から冷気が連続的に吐出されることになる。吐出口23から吐出される冷気はいわば温度差によって送られるので極めて緩やかに流れる。従って、送風機によって風を吹き掛ける場合と異なり、バット49内の食品Fに室内に浮遊する細菌や塵を付着させてしまうおそれがなく、衛生面等において悪影響を与えるのを防止することができる。更に、食品Fの表面が乾燥することはなく、風味が低下するのを防止することができる。
【0022】
また、
図6において矢印で示すように食品Fの上方に冷気の層ができるので、作業場内の暖気に食品Fが晒されるのを防止することができ、食品Fの上部全体を冷却することが可能となる。
更に、底部5、左右の側壁7、9及び前後の側壁11、13が冷却されることでバット49の底面、左右前後の側面からも食品Fが冷却されるので、上面が解放されたバット49内の食品F全体を均一に、しかも確実に冷却することができる。
また、作業場が低温になることはないので、作業員にとって過酷な環境となることはない。
【0023】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的構成は、この実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても発明に含まれる。
例えば、上記実施の形態では、吐出口23の傾斜角度を35°とした場合を示したが、30°~50°の範囲で適宜変更してもよい。
また、吐出口23の幅寸法N1は開口17の幅寸法N2より僅かに小さい大きさに設定した場合を示したが、吐出口23の幅寸法N1を開口17の幅寸法N2と同じにしてもよく、更に大きく設定してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、冷却装置製造業に、利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0025】
1…冷却装置 3…本体部 5…底部 7、9…左右の側壁
11、13…前後の側壁 15…収容部 17…開口 19…冷却筒
21…流入口 23…吐出口 25…ネット 27…冷却体 29、31…主部
29a、31a…冷媒通過部 29c、29d、31c、31d…接続管
33…連結管 35a、35b、37a、37b、39a、39b、41a、41b、43a、43b…冷媒通過部 36、38、40…接続管 45…冷凍機
47…ポート 49…バット 51…載置台
F…食品