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特開2022-74482工作機械のチェーン式刃物マガジンの刃物棒保持及び刃物解除のための装置
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  • 特開-工作機械のチェーン式刃物マガジンの刃物棒保持及び刃物解除のための装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022074482
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】工作機械のチェーン式刃物マガジンの刃物棒保持及び刃物解除のための装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 3/157 20060101AFI20220511BHJP
【FI】
B23Q3/157 E
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020184562
(22)【出願日】2020-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】515207329
【氏名又は名称】聖杰國際股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Sanjet International Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.288-1,Desheng Rd. Daya District Taichung City 428,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】張 慶三
【テーマコード(参考)】
3C002
【Fターム(参考)】
3C002AA04
3C002HH06
3C002KK07
(57)【要約】
【課題】刃物棒の差し込み後の安定性を向上させるとともに刃物棒を容易に取り外すことができる工作機械のチェーン式刃物マガジンの刃物棒保持及び刃物解除のための装置を提供する。
【解決手段】工作機械のチェーン式刃物マガジンの刃物棒保持及び刃物解除のための装置において、各ケースの後端にはそれぞれロック部材が結合され、刃物棒をケースから不適切に離脱することを避けるように、ロック部材がケースに差し込んで実装した刃物棒の一端に当接する。刃物マガジンの所定位置に刃物解除機構が配置され、前記刃物解除機構が前記所定位置を通過するケースのロック部材に対してアンロックすることで、刃物棒をケースから容易に取り外すことができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械のチェーン式刃物マガジンの刃物棒保持及び刃物解除のための装置であって、前記チェーン式刃物マガジンは、直列に接続された複数の移動手段からなるチェーンを備え、前記移動手段毎に接続孔を有するケースが結合され、一端がヘッド部を形成する前記刃物棒が、前記ヘッド部が前記接続孔に位置合わせて挿入するように配置されており、
前記各ケースの後端には、それぞれ、ロック部材が結合され、前記ロック部材は、第一方向において第一位置と第二位置との間に移動可能な少なくとも一つの作用部材と、第二方向において第三位置と第四位置との間に移動可能な少なくとも一つの規制部材とを含み、前記作用部材位が第一位置に位置するとき、前記作用部材が前記規制部材を押し当て該規制部材を第三位置に保持させ、前記規制部材の一部を前記ヘッド部に当接させることによって、前記接続孔から前記刃物棒の退出を規制し、
前記チェーン式刃物マガジンの所定位置に配置されている刃物解除機構を備え、前記刃物解除機構は、前記規制部材が第三位置と第四位置との間に自由に移動できるように、前記作用部材を駆動して第一位置から第二位置まで移動させるように制御されるアンロック部材を含み、前記規制部材が第四位置に位置するとき、前記刃物棒が接続孔を自由に出入り可能である、
工作機械のチェーン式刃物マガジンの刃物棒保持及び刃物解除のための装置。
【請求項2】
前記第一方向は前記ケースの中心を通過する軸方向であり、前記第二方向は前記軸方向に垂直する径方向である、
請求項1に記載の工作機械のチェーン式刃物マガジンの刃物棒保持及び刃物解除のための装置。
【請求項3】
前記ロック部材は、台座と少なくとも一つの押し部材とを含み、
前記台座が前記ケースの後端に連結され、前記接続孔に連通する軸孔を有する軸管を備え、
前記刃物棒の前記ヘッド部は、前記軸孔に挿入する可能であり、前記軸管の管壁は、前記軸孔に連通する少なくとも一つの貫通孔を有し、
前記作用部材が当接面を有する環状体であり、前記軸管に外嵌されるとともに、前記第一位置と前記第二位置との間に移動可能であり、
前記規制部材は、前記軸管の前記貫通孔に収容される鋼ビーズであり、
前記押し部材は、前記作用部材を第一位置の方向へ移動し続けるとともに前記当接面が前記鋼ビーズに接触するように、前記作用部材に押し力を印加し、
請求項2に記載の工作機械のチェーン式刃物マガジンの刃物棒保持及び刃物解除のための装置。
【請求項4】
前記台座は、前記軸管の外周から径方向に沿って外側へ延伸するように構成された延伸部を有し、前記延伸部が前記ケースの後端に連結され、前記軸管の、前記延伸部に連結された一端に対向する他端にはストッパが配置されており、前記作用部材は前記ストッパと前記延伸部との間に配置され、前記作用部材の内周面には傾斜の当接面を有し、前記押し部材の一端が前記ストッパに当接し、他端が前記作用部材に当接するように配置される、
請求項3に記載の工作機械のチェーン式刃物マガジンの刃物棒保持及び刃物解除のための装置。
【請求項5】
前記作用部材の外周面には環状凹溝部を有し、
前記刃物解除機構は、前後変位可能であるピストンロッドを備える伸縮シリンダーを含み、
前記ピストンロッドが前記アンロック部材に連結され、
前記アンロック部材の前端が前記環状凹溝部に位置するフック部であり、前記ピストンロッドが所定の方向に移動すると、前記アンロック部材が駆動されて移動し、前記フック部が前記環状凹溝部の一つの溝壁に引っ掛けるとともに前記作用部材を前記第一位置から前記第二位置へ移動させるように配置されている、
請求項3または4に記載の工作機械のチェーン式刃物マガジンの刃物棒保持及び刃物解除のための装置。
【請求項6】
前記アンロック部材は、前端がそれぞれ前記フック部を備える二つの係合爪を含み、
前記ピストンロッドの一端が、連動ブロックを介して前記二つの係合爪に連結されるように配置されている
請求項5に記載の工作機械のチェーン式刃物マガジンの刃物棒保持及び刃物解除のための装置。
【請求項7】
前記刃物解除機構は、前記二つの係合爪の移動位置をそれぞれ検出して対応の信号を送信するための二つの近接スイッチを含む、
請求項6に記載の工作機械のチェーン式刃物マガジンの刃物棒保持及び刃物解除のための装置。
【請求項8】
前記刃物解除機構は、前後変位可能であるピストンロッドを備える伸縮シリンダーを含み、前記アンロック部材は、前端がフック部をそれぞれ有する二つの係合爪を含み、
前記ピストンロッドは、前記二つのフック部が前記作用部材に引っ掛けて該作用部材を前記第一位置から前記第二位置へ移動させるように、前記二つの係合爪を駆動するよう配置されている、
請求項1に記載の工作機械のチェーン式刃物マガジンの刃物棒保持及び刃物解除のための装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械に関し、特に工作機械のチェーン式刃物マガジンの刃物棒保持及び刃物解除のための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
既知の工作機械のチェーン式刃物マガジンは、そのチェーンに複数のケースが取り付けられ、ケースに刃物棒を挿入され、刃物棒に加工用刃物が結合される。チェーンを回転させるように駆動することで、刃物棒の位置を変更して、後続の刃物棒を取り外す作業において適切な刃物を正確に取り外して加工することができる。
【0003】
しかしながら、刃物棒をケースに差し込んで実装した後に、チェーンとともに回転する過程において刃物棒をケースから不適切に離脱し、刃物棒や刃物の損害、また工業生産上の安全性問題を生じることを避けるように、従来のチェーン式刃物マガジンに適用するケース構造は、その内部に通常、係止構造を設ける。係止構造は、刃物棒をケースに差し込む端を係止するように作用して、刃物棒の不適切的な離脱を防止する。前記係止構造は、複数のばね及び鋼ビーズで構成され、ばねが鋼ビーズに対してる付勢力を付与して、鋼ビーズを刃物棒のケースに差し込ませる端部に当接させる。さらに、通常、従来の係止構造は、刃物棒をケースに安定に差し込んでいるため、材料剛性の高いばねを利用して鋼ビーズによって刃物棒に付与される付勢力を高める。しかしながら、刃物棒を取り外すとき、ばねの付勢力を打ち勝つには大きな引っ張り力が必要であるが、刃物棒を取り外しにくいし、力を適切に制御しないと操作者がけがをする恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに鑑みて、本発明は、刃物棒の差し込み後の安定性を向上させるとともに刃物棒を容易に取り外すことができる工作機械のチェーン式刃物マガジンの刃物棒保持及び刃物解除のための装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の工作機械のチェーン式刃物マガジンの刃物棒保持及び刃物解除のための装置であって、前記チェーン式刃物マガジンは、直列に接続された複数の移動手段からなるチェーンを備え、前記移動手段毎に接続孔を有するケースが結合され、一端がヘッド部を形成する前記刃物棒が、前記ヘッド部が前記接続孔に位置合わせて挿入するように配置されており、前記各ケースの後端には、それぞれ、ロック部材が結合され、前記ロック部材は、第一方向において第一位置と第二位置との間に移動可能な少なくとも一つの作用部材と、第二方向において第三位置と第四位置との間に移動可能な少なくとも一つの規制部材とを含み、前記作用部材位が第一位置に位置するとき、前記作用部材が前記規制部材を押し当て該規制部材を第三位置に保持させ、前記規制部材の一部を前記ヘッド部に当接させることによって、前記接続孔から前記刃物棒の退出を規制し、前記チェーン式刃物マガジンの所定位置に配置されている刃物解除機構を備え、前記刃物解除機構は、前記規制部材が第三位置と第四位置との間に自由に移動できるように、前記作用部材を駆動して第一位置から第二位置まで移動させるように制御されるアンロック部材を含み、前記規制部材が第四位置に位置するとき、前記刃物棒が接続孔を自由に出入り可能である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、刃物棒をケースに安定に差し込むことを確保し、刃物解除機構を制御してロック部材に対してアンロックすることで、刃物棒を容易に取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の好ましい実施形態による工作機械チェーン式刃物マガジンの刃物棒保持及び刃物解除のための装置の斜視図である。
図2】移動手段を省略する図1の側面図である。
図3】移動手段を省略する図1の上面図である。
図4】本発明の好ましい実施形態による工作機械チェーン式刃物マガジンの刃物棒保持及び刃物解除のための装置におけるロック部材及びケースの分解図である。
図5図4に示したロック部材とケースとを組み合わせて示す斜視図である。
図6図5の6-6方向に沿う断面図である。
図7】本発明の好ましい実施形態による工作機械チェーン式刃物マガジンの刃物棒保持及び刃物解除のための装置のロック部材が刃物棒に対する規制作用を示す断面図である。
図8】本発明の好ましい実施形態による工作機械チェーン式刃物マガジンの刃物棒保持及び刃物解除のための装置のロック部材が刃物を解除する状態を示す断面図である。
図9図8におけるA部位の部分拡大図である。
図10】刃物棒をケースから取り出すことを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明をより明確に説明するために、好ましい実施形態を図面を参照して以下に詳細に説明する。本発明の好ましい実施形態による刃物棒保持及び刃物解除のための装置は工作機械チェーン式刃物マガジンに用いられる。前記チェーン式刃物マガジンは、直列に接続された複数の移動手段からなるチェーンを備える。前記チェーン式刃物マガジンは所定のレールに沿って回転するように制御される。図1に示すように、移動手段10がケース20に結合され、ケース20は、内部に円錐状の接続孔22を有する筒体である。ここで、前記接続孔22の中心を通過する軸線Lを定義すると、刃物棒30が前記軸線Lに沿って前記接続孔22を出入りする。前記刃物棒30は、本体部301、ネック部302及びヘッド部303を含み、本体部301の前端は、刃物(図示せず)を固定連結するように用いられる。ヘッド部303の外径がネック部302の外径より大きい。刃物棒30は、ヘッド部303が接続孔22に位置合わせてケース20に挿入する。
【0009】
図2及び図3を参照すると、本実施形態に係わる刃物棒保持及び刃物解除のための装置において、各ケース20の後端には、それぞれ、ロック部材40が結合され、チェーン式刃物マガジンの所定位置に配置されている刃物解除機構50を備える。前記所定の位置とは、ケースが特定の位置に止まり、前記位置で刃物を自由に挿入したり取り外したりすることができる。以下、刃物棒30を固定保持するためのロック部材40と、ロック部材40が刃物棒30に対する規制を解除して刃物棒30をケース20から退出させるための刃物解除機構50とをそれぞれ説明する。
【0010】
図4図6を参照すると、本実施形態のロック部材40は、台座41、複数のボルト42、複数の規制部材43、作用部材44、ストッパ45及び複数の押し部材46を含む。台座41は、円柱状の軸管411を有し、軸管411の一端には、外周から径方向に沿って外側へ延伸するように構成された延伸部412を有する。前記軸管411は軸孔411aを有する。前記延伸部412には複数の穿孔412aを有し、これらのボルト42は、対応の穿孔412aを通過してケース20の後端面のボルト孔24にロックされ、台座41をケース20の後端に連結させる。軸管411の軸孔411aは、前記接続孔22と連通する。更に、軸管411の管壁には、軸孔411aに連通する少なくとも一つの貫通孔411bを有する。本実施形態の貫通孔411bの数が複数であり、かつそれぞれ規制部材43を収容する。本実施形態において、前記規制部材43は鋼ビーズである。また、前記軸管411の、前記延伸部に連結された一端に対向する他端には係合凹溝部411cを有する。
【0011】
前記ロック部材40の作用部材44は、外周面441と内周面442を有する環状体であり、前記作用部材44が軸管411に外嵌されるとともに、第一方向D1に沿ってスライドすることができる。前記第一方向D1は、ケース20の中心を通過する軸方向であり、前記ストッパ45も軸管411に外嵌され、作用部材44を前記ストッパ45と前記延伸部412との間に位置させる。前記ストッパ45が係合凹溝部411cに係合された係合部材47の当接により軸管411から離脱することができない。前記作用部材44は、外周面441には環状凹溝部を有し、内周面442には傾斜の当接面442aを有し、作用部材44の片側端面の外周面441と内周面442との間には、複数の凹んだ座ぐり孔443を有する。これらの押し部材46は、一端が対応の座ぐり孔443の底面に当接し、他端が前記ストッパ45に当接するばねである。これらの押し部材46は、前記作用部材44をストッパ45から離れる方向へ移動し続けるように、前記作用部材44に押し力を印加する。図6に示すように、ここで、ストッパ45から離れる方向へ移動する作用部材44の当接面442aが規制部材43を押し当て、前記規制部材43が貫通孔411bの孔径に規制されるためその一部だけが軸孔411aから突出する場合、前記作用部材44が第一位置P1に位置し、前記規制部材43が第三位置P3に保持されると定義する。この状態で、前記刃物棒30がケース20を挿入し、そのヘッド部303が前記軸孔411aに突入する場合、これらの規制部材43の一部が前記ヘッド部303に当接させることによって、前記ケース20から前記刃物棒30の退出を規制する。
【0012】
なお、上記実施形態に係わるロック部材40の規制部材43及び押し部材46の数が複数であるが、既存の機能に影響を与えなければ、規制部材43及び押し部材46の数は一つでもよい。
【0013】
図2図3及び図7を参照すると、刃物解除機構50が、チェーンの後方のベース60に固定される。前記ベース60が開口62を有する。前記刃物解除機構50は、伸縮シリンダー52、アンロック部材54及び二つの近接スイッチ56を含む。前記伸縮シリンダー52は、シリンダ本体521及びピストンロッド522を備え、前記シリンダ本体521がブラケット64を介してベース60の背面に固定連結される。前記ピストンロッド522の一部がシリンダ本体521に位置し、他の一部がシリンダ本体521から延出し、前記ピストンロッド522が操作され前後変位可能である。ピストンロッド522のシリンダ本体521から出す他の一部が連動ブロック58に連結され、前記連動ブロック58がアンロック部材54を構成する二つの係合爪541に同時に連結される。前記二つの係合爪541が互いに平行に配置され、前端がフック部541aを形成し、係合爪541の前端がベース60の開口部62を通過する。図2及び図7に示すように、ピストンロッド522がシリンダ本体521に対して外側に突出するとともに待機状態にある。この場合、前記二つの係合爪541のフック部541aが、ロック部材40の作用部材44の環状凹溝部441aの溝壁に接触せずに、該環状凹溝部441aに位置するため、チェーンがケース20をスムーズに変位させるように駆動する。前記二つの近接スイッチ56がブラケット64の固定板66に取り付けられ、前記二つの係合爪541の移動位置を検出して対応の信号を送信することで伸縮シリンダー52の作動可否を制御する。近接スイッチは既存の技術であるため、ここでは説明を省略する。
【0014】
ロック部材40が刃物棒30に対する規制を解除しようとする場合、前記チェーンの回転を停止させて、前記伸縮シリンダー52のピストンロッド522をシリンダ本体521の内部に向かって後退移動するように制御し、図8及び図9に示すように、前記二つの係合爪541のフック部541aが、前記作用部材44の環状凹溝部441aの片側溝壁に引っ掛けて、ピストンロッド522が後退し続けるとともに、前記二つの係合爪541が前記作用部材44をケース20から離れる方向に移動させるように引っ張る。前記近接スイッチ56の一つが停止の制御信号を送信すると、前記作用部材44は後退を停止する。ここで、前記作用部材44の止まる位置を第二位置P2と定義する。同時に、制限部材43は、もはや作用部材44の当接面442aによって押し当てられないため、作用部材44の内周面442と貫通孔411bとの間に自由に移動することができ、押し部材46は圧縮された状態となる。
【0015】
図10に示すように、刃物棒30を外に引くと、刃物棒30のヘッド部303は規制部材43を第二方向D2に沿って移動させるように押す。前記第二方向D2は、軸方向に垂直する径方向である。刃物棒30のヘッド部303の最大外径部位が規制部材43に衝突するとき、規制部材43が位置する位置を第四位置P4として定義する。これによって、刃物棒30は、ロック部材40に規制されることなく、容易に取り外される。
【0016】
以上に述べたように、本発明によれば、作用部材44を第一位置P1と第二位置P2との間に移動させることによって、規制部材43を第三位置P3と第四位置P4との間に移動させる。作用部材44は、第一位置P1に位置するとき、規制部材43を第三位置に保持させることによってケース20から刃物棒30の退出を規制する。逆に、作用部材44が刃物解除機構50によって駆動されて第一位置P1から第二位置P2に移動すると、規制部材43が自由に移動できる。特に、規制部材43が第四位置P4に押されると、前記刃物棒30をケース20から容易に引っ張ることができる。従って、本発明の刃物棒保持及び刃物解除のための装置によれば、刃物棒の差し込み後の安定性を向上させるとともに刃物棒を容易に取り外すことができ、ばねの付勢力を打ち勝つには大きな引っ張り力が必要であることによる既存の工業生産上の安全性問題を改善できる。
【0017】
上述したものは本発明の好ましい実施形態に過ぎず、本発明の明細書及び特許請求の範囲の均等な変化はすべて、本発明の特許請求の範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0018】
10:移動手段
20:ケース
22:接続孔
24:ボルト孔
30:刃物棒
301:本体部
302:ネック部
303:ヘッド部
40:ロック部材
41:台座
411:軸管
411a:軸孔
411b:貫通孔
411c:係合凹溝部
412:延伸部
412a:穿孔
42:ボルト
43:規制部材
44:作用部材
441:外周面
441a:環状凹溝部
442:内周面
442a:当接面
443:座ぐり孔
45:ストッパ
46:押し部材
47:係合部材
50:刃物解除機構
52:伸縮シリンダー
521:シリンダ本体
522:ピストンロッド
54:アンロック部材
541:係合爪
541a:フック部
56:近接スイッチ
58:連動ブロック
60:ベース
62:開口
64:ブラケット
66:固定板
D1:第一方向
D2:第二方向
L:軸線
P1:第一位置
P2:第二位置
P3:第三位置
P4:第四位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2022-02-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械のチェーン式刃物マガジンの刃物棒保持及び刃物解除のための装置であって、前記チェーン式刃物マガジンは、直列に接続された複数の移動手段からなるチェーンを備え、前記移動手段毎に接続孔を有するケースが結合され、一端がヘッド部を形成する前記刃物棒が、前記ヘッド部が前記接続孔に位置合わせて挿入するように配置されており、
前記各ケースの後端には、それぞれ、ロック部材が結合され、前記ロック部材は、第一方向において第一位置と第二位置との間に移動可能な少なくとも一つの作用部材と、第二方向において第三位置と第四位置との間に移動可能な少なくとも一つの規制部材とを含み、前記作用部材が第一位置に位置するとき、前記作用部材が前記規制部材を押し当て該規制部材を第三位置に保持させ、前記規制部材の一部を前記ヘッド部に当接させることによって、前記接続孔から前記刃物棒の退出を規制し、
前記チェーン式刃物マガジンの所定位置に配置されている刃物解除機構を備え、前記刃物解除機構は、前記規制部材が第三位置と第四位置との間に自由に移動できるように、前記作用部材を駆動して第一位置から第二位置まで移動させるように制御されるアンロック部材を含み、前記規制部材が第四位置に位置するとき、前記刃物棒が接続孔を自由に出入り可能であ
前記刃物解除機構は、前後変位可能であるピストンロッドを備える伸縮シリンダーを含み、前記アンロック部材は、前端がフック部をそれぞれ有する二つの係合爪を含み、
前記ピストンロッドは、前記二つのフック部が前記作用部材に引っ掛けて該作用部材を前記第一位置から前記第二位置へ移動させるように、前記二つの係合爪を駆動するよう配置されている、
前記ピストンロッドは、前記アンロック部材に連結され、前記アンロック部材を前後に変位させるように駆動する、
工作機械のチェーン式刃物マガジンの刃物棒保持及び刃物解除のための装置。
【請求項2】
前記第一方向は前記ケースの中心を通過する軸方向であり、前記第二方向は前記軸方向に垂直する径方向である、
請求項1に記載の工作機械のチェーン式刃物マガジンの刃物棒保持及び刃物解除のための装置。
【請求項3】
前記ロック部材は、台座と少なくとも一つの押し部材とを含み、
前記台座が前記ケースの後端に連結され、前記接続孔に連通する軸孔を有する軸管を備え、
前記刃物棒の前記ヘッド部は、前記軸孔に挿入可能であり、前記軸管の管壁は、前記軸孔に連通する少なくとも一つの貫通孔を有し、
前記作用部材が当接面を有する環状体であり、前記軸管に外嵌されるとともに、前記第一位置と前記第二位置との間に移動可能であり、
前記規制部材は、前記軸管の前記貫通孔に収容される鋼ビーズであり、
前記押し部材は、前記作用部材を第一位置の方向へ移動し続けるとともに前記当接面が前記鋼ビーズに接触するように、前記作用部材に押し力を印加する
請求項2に記載の工作機械のチェーン式刃物マガジンの刃物棒保持及び刃物解除のための装置。
【請求項4】
前記台座は、前記軸管の外周から径方向に沿って外側へ延伸するように構成された延伸部を有し、前記延伸部が前記ケースの後端に連結され、前記軸管の、前記延伸部に連結された一端に対向する他端にはストッパが配置されており、前記作用部材は前記ストッパと前記延伸部との間に配置され、前記作用部材の内周面には傾斜の当接面を有し、前記押し部材の一端が前記ストッパに当接し、他端が前記作用部材に当接するように配置される、
請求項3に記載の工作機械のチェーン式刃物マガジンの刃物棒保持及び刃物解除のための装置。
【請求項5】
前記作用部材の外周面には環状凹溝部を有し
記アンロック部材の前端が前記環状凹溝部に位置するフック部であり、前記ピストンロッドが所定の方向に移動すると、前記アンロック部材が駆動されて移動し、前記フック部が前記環状凹溝部の一つの溝壁に引っ掛けるとともに前記作用部材を前記第一位置から前記第二位置へ移動させるように配置されている、
請求項3または4に記載の工作機械のチェーン式刃物マガジンの刃物棒保持及び刃物解除のための装置。
【請求項6】
記ピストンロッドの一端が、連動ブロックを介して前記二つの係合爪に連結されるように配置されている
請求項5に記載の工作機械のチェーン式刃物マガジンの刃物棒保持及び刃物解除のための装置。
【請求項7】
前記刃物解除機構は、前記二つの係合爪の移動位置をそれぞれ検出して対応の信号を送信するための二つの近接スイッチを含む、
請求項6に記載の工作機械のチェーン式刃物マガジンの刃物棒保持及び刃物解除のための装置。