(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022074516
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】チャイルドシート
(51)【国際特許分類】
B60N 2/28 20060101AFI20220511BHJP
【FI】
B60N2/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020184620
(22)【出願日】2020-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】596101130
【氏名又は名称】株式会社シーエー産商
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100112900
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 路子
(74)【代理人】
【識別番号】100136995
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 千織
(72)【発明者】
【氏名】戸谷 正昭
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087CE07
(57)【要約】
【課題】車両のシートベルトにおけるラップベルトを挿通させるガイド凹部付近のシートカバーの損傷を、簡便に防止できるチャイルドシートを提供すること。
【解決手段】チャイルドシート本体11は、座部と背もたれ部との前面側を、シートカバー49に覆われて構成されて、子供用ベルト装置の不使用時用として、チャイルドシート本体の座部における背もたれ部近傍の左右方向の外縁側に、シートベルトのラップベルトを挿通させるガイド凹部31を配設させている。シートカバー49は、ガイド凹部の上方側を覆うガイドカバー部59を備える。ガイド凹部の上面側には、ガイドカバー部のラップベルトとの干渉を抑制可能に、ラップベルトと摺動可能なベルト用摺動面32aを上端に配設させた突条部33が突設され、また、ガイドカバー部の外側縁59a側を収納可能な収納凹部33が、突条部の内側に隣接して配設されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
座部と背もたれ部とを有したチャイルドシート本体が、前記座部と前記背もたれ部との前面側を、クッション性を有したシートカバーに覆われて構成されるとともに、
左右の肩ベルト及び腰ベルトと、股ベルトと、を有して構成された子供用ベルト装置の使用時、前記チャイルドシート本体に設けられた連結用部位を利用して、車両のシートベルトにより車両のシートに配設される構成とし、
前記子供用ベルト装置の不使用時用として、着座した子供に車両の前記シートベルトを装着可能に、前記チャイルドシート本体の前記座部における前記背もたれ部近傍の左右方向の外縁側に、前記シートベルトにおけるラップベルトを挿通させるガイド凹部が配設されている構成としたチャイルドシートであって、
前記シートカバーが、左右の前記ガイド凹部の上方側を覆うガイドカバー部を備え、
前記チャイルドシート本体における左右の前記ガイド凹部の上面側に、
前記ガイド凹部の外縁側に配設されて、前記ガイド凹部内への前記ラップベルトの装着時に、前記ガイドカバー部の前記ラップベルトとの干渉を抑制可能に、前記ラップベルトと摺動可能なベルト用摺動面を上端に配設させた突条部が、突設されるとともに、
前記ガイドカバー部の外縁側を収納可能な収納凹部が、前記突条部の内側に隣接して配設されていることを特徴とするチャイルドシート。
【請求項2】
前記チャイルドシート本体における前記突条部が、上面の外縁側に、略1/4円弧状の曲面とした前記ベルト用摺動面を上端に配設させて構成され、
前記収納凹部が、底面から上方に延びる前記突条部側の側面を、前記底面と略直交方向に上方に延ばして、前記突条部の頂部に連ならせるように、配設されていることを特徴とする請求項1に記載のチャイルドシート。
【請求項3】
前記チャイルドシート本体が、前記ガイド凹部を含めた前記座部と前記背もたれ部との部位を、合成樹脂製の一体成形品として構成されていることを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載のチャイルドシート。
【請求項4】
前記シートカバーが、
前記チャイルドシート本体の前記座部と前記背もたれ部との前面側を覆う一般部の外周縁に、
前記チャイルドシート本体の外周縁に設けられて前面側から反転するように後方側に延びた外周係止縁に対して、被せて係止させ、前記一般部を前記チャイルドシート本体の前記座部と前記背もたれ部との前面側に配置させる外縁カバー部、
を配設させて構成され、
前記外縁カバー部が、外縁の略全周にわたって、前記チャイルドシート本体の前記外周係止縁への係止を維持する弾性紐材を、配設させて構成されるとともに、前記ガイドカバー部の部位で、前記ガイドカバー部を間にして、座部側の座側カバー部と背もたれ部側の背側カバー部とに分断される構成とし、
前記チャイルドシート本体の前記ガイド凹部の外縁側の下縁側周縁に、前記外周係止縁から下方側に突出して、前記弾性紐材を係止する係止用鍔部が、配設され、
左右の前記ガイドカバー部が、それぞれ、
外縁側と前記外縁カバー部の外縁側の略全周にわたる前記弾性紐材との間に、前記係止用鍔部を嵌挿可能な嵌挿孔を設けて構成されるとともに、
前記嵌挿孔に前記係止用鍔部を嵌挿させ、かつ、前記弾性紐材を前記係止用鍔部に係止させることにより、前記ガイド凹部の上方を覆うように配設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のチャイルドシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャイルドシート本体がシートカバーに覆われて構成されるチャイルドシートに関し、詳しくは、小柄な子供から大柄な子供まで(0才児から7歳児程度まで)使用可能なチャイルドシートであり、子供用ベルト装置の不使用時には、着座した子供に車両のシートベルトを装着可能としたチャイルドシートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、小柄な子供から大柄な子供まで使用可能なチャイルドシートでは、座部と背もたれ部とを有したチャイルドシート本体が、その前面側を、クッション性を有したシートカバーに覆われて構成されていた(例えば、特許文献1参照)。また、チャイルドシートは、左右の肩ベルト及び腰ベルトと、股ベルトと、を有して構成された子供用ベルト装置を、収納可能若しくは取り外し可能に配設させており、子供用ベルト装置の使用時には、チャイルドシート本体の背面側等に設けられた連結用部位を利用して、車両のシートベルトにより、車両のシートに配設される構成としていた。そして、子供用ベルト装置の不使用時用として、車両のシートベルトを、チャイルドシートに着座した子供に装着可能に、チャイルドシート本体の座部における背もたれ部近傍の左右方向の外縁側に、シートベルトにおけるラップベルトを、挿通させて位置決めできるガイド凹部が配設されていた。そして、シートカバーは、ガイド凹部を含めた上面側を覆っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のチャイルドシートでは、ラップベルトを挿通させるガイド凹部のエリアが、シートカバーに覆われており、ラップベルトの装着時に、ガイド凹部の上面とラップベルトとにより、シートカバーにおけるガイド凹部を覆った部位が、挟まれ、さらに、締結時のラップベルトの摺動により擦れて、破損してしまう虞れが生ずる。この対処のために、別途、別部材のガイドプロテクタを、シートカバーにおけるガイド凹部を覆っている部位に、嵌めて、ラップベルトからシートカバーを保護することも考えられるが、別部材が必要となり、さらに、組付の手間がかってしまう。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、車両のシートベルトにおけるラップベルトを挿通させるガイド凹部付近のシートカバーの損傷を、簡便に防止できるチャイルドシートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るチャイルドシートは、座部と背もたれ部とを有したチャイルドシート本体が、前記座部と前記背もたれ部との前面側を、クッション性を有したシートカバーに覆われて構成されるとともに、
左右の肩ベルト及び腰ベルトと、股ベルトと、を有して構成された子供用ベルト装置の使用時、前記チャイルドシート本体に設けられた連結用部位を利用して、車両のシートベルトにより車両のシートに配設される構成とし、
前記子供用ベルト装置の不使用時用として、着座した子供に車両の前記シートベルトを装着可能に、前記チャイルドシート本体の前記座部における前記背もたれ部近傍の左右方向の外縁側に、前記シートベルトにおけるラップベルトを挿通させるガイド凹部が配設されている構成としたチャイルドシートであって、
前記シートカバーが、左右の前記ガイド凹部の上方側を覆うガイドカバー部を備え、
前記チャイルドシート本体における左右の前記ガイド凹部の上面側に、
前記ガイド凹部の外縁側に配設されて、前記ガイド凹部内への前記ラップベルトの装着時に、前記ガイドカバー部の前記ラップベルトとの干渉を抑制可能に、前記ラップベルトと摺動可能なベルト用摺動面を上端に配設させた突条部が、突設されるとともに、
前記ガイドカバー部の外縁側を収納可能な収納凹部が、前記突条部の内側に隣接して配設されていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係るチャイルドシートでは、子供用ベルト装置を使用せずに、車両のシートに配設した状態で子供が着座して、シートベルトのラップベルトを、ガイド凹部に挿通させつつ、シートベルトを子供に装着させる際、ラップベルトが、シートカバーのガイドカバー部と干渉しようとしても、ガイド凹部の外縁側の突条部が、上端側のベルト用摺動面に、ラップベルトを摺動させて、ガイドカバー部との干渉を抑制し、さらに、ラップベルトがガイドカバー部を下方に押圧しようとしても、ガイドカバー部の外縁側が、収納凹部内に収納されていることから、別途、別部材のガイドプロテクタを組み付けること無く、すなわち、簡便に、ラップベルトによるガイドカバー部の破損が防止される。また、ガイド凹部にラップベルトを挿通させずに、子供用ベルト装置を使用して、車両のシートに配設したチャイルドシートに着座した子供を保護するように使用する場合には、ガイドカバー部が、ガイド凹部の上方を覆って、ガイド凹部の部位を含めたチャイルドシート本体の前面側が、シートカバーに覆われて、チャイルドシートの見栄えを良好にすることができる。
【0008】
したがって、本発明に係るチャイルドシートでは、車両のシートベルトにおけるラップベルトを挿通させるガイド凹部付近のシートカバーの損傷を、簡便に防止でき、さらに、ガイド凹部付近の意匠性を向上させることもできる。
【0009】
そして、本発明に係るチャイルドシートでは、前記チャイルドシート本体における前記突条部が、上面の外縁側に、略1/4円弧状の曲面とした前記ベルト用摺動面を上端に配設させて構成され、
前記収納凹部が、底面から上方に延びる前記突条部側の側面を、前記底面と略直交方向に上方に延ばして、前記突条部の頂部に連ならせるように、配設されていることが望ましい。
【0010】
このような構成では、ラップベルトをガイド凹部に挿通させる際、ラップベルトがガイドカバー部と接触して、擦るようにガイドカバー部を押圧しようとしても、ガイドカバー部が、収納凹部内に収納されて、そして、ラップベルトは、突条部の略1/4円弧状の曲面としたベルト用摺動面と摺動することから、ガイドカバー部は、破損するようなラップベルトとの接触が、安定して、抑制される。特に、収納凹部が、底面から上方に延びる突条部側の側面を、底面と略直交方向に上方に延ばして、突条部の頂部に連ならせており、仮に、ガイドカバー部の外縁側が、突条部の頂部付近の上方に僅かに重なるように、配置されていても、ガイドカバー部の外縁側は、ラップベルトに押されて、頂部付近の上方から内側にずらして、収納凹部の側面に沿って、直ちに、落下するように収納凹部内に収納されて、ラップベルトによって損傷されるようなラップベルトとガイド凹部の外縁側との間での挟持状態、を防止できる。
【0011】
また、本発明に係るチャイルドシートでは、前記チャイルドシート本体が、前記ガイド凹部を含めた前記座部と前記背もたれ部との部位を、合成樹脂製の一体成形品として構成されていてもよい。
【0012】
チャイルドシート本体が、ガイド凹部を含めた座部と背もたれ部との部位を、組付工数を削減できて低コストで製造できる合成樹脂製の一体成形品として構成されていても、ガイド凹部の上方を含めた座部と背もたれ部の前面側を、シートカバーで覆うことができて、すなわち、樹脂部分の前面側の全域を、見栄えよくシートカバーで覆うことができて、樹脂部分の露出部位を極力少なくすることができ、安価で製造できるチャイルドシートの意匠性を、向上させることができる。
【0013】
また、本発明に係るチャイルドシートでは、前記シートカバーが、
前記チャイルドシート本体の前記座部と前記背もたれ部との前面側を覆う一般部の外周縁に、
前記チャイルドシート本体の外周縁に設けられて前面側から反転するように後方側に延びた外周係止縁に対して、被せて係止させ、前記一般部を前記チャイルドシート本体の前記座部と前記背もたれ部との前面側に配置させる外縁カバー部、
を配設させて構成され、
前記外縁カバー部が、外縁の略全周にわたって、前記チャイルドシート本体の前記外周係止縁への係止を維持する弾性紐材を、配設させて構成されるとともに、前記ガイドカバー部の部位で、前記ガイドカバー部を間にして、座部側の座側カバー部と背もたれ部側の背側カバー部とに分断される構成とし、
前記チャイルドシート本体の前記ガイド凹部の外縁側の下縁側周縁に、前記外周係止縁から下方側に突出して、前記弾性紐材を係止する係止用鍔部が、配設され、
左右の前記ガイドカバー部が、それぞれ、
外縁側と前記外縁カバー部の外縁側の略全周にわたる前記弾性紐材との間に、前記係止用鍔部を嵌挿可能な嵌挿孔を設けて構成されるとともに、
前記嵌挿孔に前記係止用鍔部を嵌挿させ、かつ、前記弾性紐材を前記係止用鍔部に係止させることにより、前記ガイド凹部の上方を覆うように配設されていることが望ましい。
【0014】
このような構成では、チャイルドシート本体の座部と背もたれ部との前面側をシートカバーにより覆う際、シートカバーの外縁カバー部の弾性紐材を、チャイルドシート本体の外周係止縁に被せて係止させることとなるが、ガイド凹部の部位では、嵌挿孔に係止用鍔部を嵌挿させて、弾性紐材を係止用鍔部に係止させて、ガイドカバー部が、ガイド凹部の上方を覆うこととなる。その際、ガイドカバー部の外縁側における嵌挿孔の前後両縁が、弾性紐材の係止用鍔部への係止により、ガイドカバー部を、ガイド凹部に密着させるように引っ張る状態で、ガイドカバー部の上方に配置させることとなる。そのため、ガイドカバー部が、隙間の発生を抑制して、ガイド凹部の上面側を覆うことができて、一層、子供用ベルト装置の使用時におけるガイド凹部周縁の意匠性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る一実施形態のチャイルドシートの概略斜視図である。
【
図2】実施形態のチャイルドシートにおけるチャイルドシート本体とシートカバーとの概略分解斜視図である。
【
図3】シートカバーにおけるシートカバー本体とヘッドカバー部との概略分解斜視図である。
【
図4】実施形態のチャイルドシート本体のガイド凹部付近とシートカバーのガイドカバー部とを示す概略拡大分解斜視図である。
【
図5】実施形態のチャイルドシートのガイド凹部付近にガイドカバー部を配設させた状態の拡大概略斜視図である。
【
図6】実施形態のチャイルドシートのガイド凹部付近の拡大側面図である。
【
図7】実施形態のチャイルドシートのガイド凹部付近を下方から見た概略斜視図である。
【
図8】実施形態のチャイルドシートの使用状態を示す斜視図であり、小柄な子供が着座した状態を示す。
【
図9】実施形態のチャイルドシートの使用状態を示す斜視図であり、大柄な子供が着座した状態を示す。
【
図10】実施形態のチャイルドシートのガイド凹部付近にガイドカバー部を配設させた状態の概略縦断面図であり、ラップベルトの非装着時と装着時の状態とを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、
図1に示す実施形態のチャイルドシート10は、
図8,9に示すように、車両のシート1に配設されて使用されて、小柄な子供C1や大柄な子供C2に対応可能としている。
【0017】
チャイルドシート10は、
図1~3に示すように、ポリプロピレン等の合成樹脂製として、座部12と背もたれ部16とを有したチャイルドシート本体11と、座部12と背もたれ部16との前面側を覆うクッション性を有したシートカバー49と、を備えて構成されている。
【0018】
チャイルドシート本体11の座部12は、左右方向の中央の座本体部13と、座本体部13の左右両縁で上方に延びる座側壁部14と、を備えて構成されている。また、チャイルドシート本体11の背もたれ部16は、左右方向の中央の背本体部17と、背本体部17の左右両縁から前方に延びる背側壁部18と、を備えて構成されている。
【0019】
そして、背もたれ部16の上部側には、高さ調整可能に、ヘッドレスト23が配設されている。
【0020】
チャイルドシート本体11の外周縁には、前面側から反転するように後方側に延びた外周係止縁21が、形成されており、外周係止縁21は、シートカバー49の外周縁側の外縁カバー部52に覆われ、さらに、外縁カバー部52の縁の略全周に連なるような環状の弾性紐材61に、裏面側を係止される。そして、弾性紐材61の外周係止縁21の係止により、シートカバー49が、チャイルドシート本体11の座部12と背もたれ部16との前面側を覆い、かつ、弾性紐材61の収縮により、その覆い状態が維持されることとなる。
【0021】
さらに、チャイルドシート10には、小柄な子供用に、左右の肩ベルト41(L,R)及び腰ベルト42(L,R)と、股ベルト45と、を有して構成された子供用ベルト装置40が配設されている。股ベルト45の上端には、バックル44が組み付けられており、左方の肩ベルト41Lと腰ベルト42Lとの交差部位に配設されたタング43Lと、右方の肩ベルト41Rと腰ベルト42Rとの交差部位に配設されたタング43Rと、をバックル44に締結して、
図8に示すように、小柄な子供C1を、シート1に配設したチャイルドシート10に、安全に着座させておくことができる。
【0022】
なお、各ベルト41,42,45は、シートカバー49の挿通孔67,68,69やチャイルドシート本体11の貫通孔13a,13b,17aを挿通して、チャイルドシート本体11の背面側に延びて、繰り出し長さを調整可能に、相互に連結されている。
【0023】
子供用ベルト装置40の使用時には、
図8に示すように、チャイルドシート10は、車両のシートベルト4を使用して、シート1の座部2と背もたれ部3との表面側に、取付固定される。チャイルドシート10には、チャイルドシート本体11の背面側に、シートベルト4の連結用部位27が配設されている。連結用部位27は、チャイルドシート本体11の背面側で左右方向に貫通する挿通孔28と、チャイルドシート本体11の左右両側面における挿通孔28周縁の上隅部分に配置される公知のストッパ29と、を備えて構成され、シートベルト4のショルダーベルト5側の挿通孔28から、ストッパ29を開きつつ、シートベルト4のショルダーベルト5とラップベルト6との境界部位に配置されているタング7を挿通させて、タング7をバックル8に締結するとともに、開いていたストッパ29を閉じて、ショルダーベルト5を係止すれば、チャイルドシート10を、シート1上で取付固定することができる。なお、ストッパ29は、左右に開口した挿通孔28の上隅付近に、それぞれ、配設されており、チャイルドシート10のシート1への取付時、車両のシートベルト4におけるショルダーベルト5の繰り出し側のストッパ29を利用することとなる。
【0024】
また、大柄な子供C2にチャイルドシート10を使用する場合には、
図9に示すように、子供用ベルト装置40は取り外して使用する。そして、大柄な子供C2を着座させる場合には、シートベルト4は、ショルダーベルト5が、ヘッドレスト23と背もたれ部16との間を経て、子供C2の前側から、シート1の側面のバックル8に、タング7を締結する。その際、シートベルト4のタング7から延びるラップベルト6は、子供C2の左右の大腿部付近から腰部を拘束するように配設されるとともに、チャイルドシート本体11の座部12における背もたれ部16近傍に配設された左右のガイド凹部31(L,R)内を挿通することとなる。
【0025】
このガイド凹部31(L,R)の部位は、
図4~7,10に示すように、チャイルドシート本体11における座部12の座側壁部14の上端面14aの後端と、背もたれ部16の背側壁部18の前端面18aの下端と、の間に配設されている。そして、シートカバー49のガイドカバー部59が、左右のガイド凹部31(L,R)の上方を覆うように、配設されている。また、チャイルドシート本体11では、左右のガイド凹部31(L,R)の上面側に、突条部32と収納凹部33とが配設されている。
【0026】
突条部32は、ガイド凹部31(L,R)の外縁側に配設されて、ガイド凹部31内へのラップベルト6の装着時に、ガイドカバー部59のラップベルト6との干渉を抑制可能に、ラップベルト6と摺動可能なベルト用摺動面32aを上端に配設させている。ベルト用摺動面32aは、略1/4円弧状の曲面を、突条部32の上面の外縁側に配設させて構成されている。
【0027】
収納凹部33は、ガイドカバー部59の外側縁59a側を収納可能に、突条部32の内側に隣接して配設されている。そして、収納凹部33は、底面33aから上方に延びる突条部32側の側面33bを、底面33aと略直交方向に上方に延ばして、突条部32の頂部32bに連ならせるように、配設されている。収納凹部33の側面33bの底面33aから頂部32bまでの高さ寸法は、ガイドカバー部59の外側縁59aを十分に収納可能な高さ寸法としている(
図10のB参照)。また、収納凹部33の底面33aは、ガイドカバー部59の内側縁59bから外側縁59aの全域を当接させて支持できる幅寸法としている。
【0028】
なお、ガイドカバー部59は、シートカバー49がチャイルドシート本体11に適正に組み付けられた際、収納凹部33内に収納されることとなるが、
図10のAに示すように、仮に、外側縁59aが、突条部32の頂部32bを越え、そして、突条部32の外側面32cを超えずに、ベルト用摺動面32aの領域の上方を覆うように、配設されていてもよい。なぜなら、装着時のシートベルト4におけるラップベルト6に押圧されて、外側縁59aは、
図10のAの二点鎖線に示すように、収納凹部33内に収納されることとなるからである。ちなみに、図例の場合、シートカバー49がチャイルドシート本体11に組み付けられた際、外側縁59aは、突条部32の頂部32bを僅かに越えるように、図示されている(
図4,5参照)。
【0029】
そして、ガイド凹部31(L,R)における外縁側の下縁側周縁、すなわち、突条部32の外側面32c側は、下方側に突出して、シートカバー49のガイドカバー部59の周縁に配置させた弾性紐材61を係止する係止用鍔部35としている。この係止用鍔部35は、チャイルドシート本体11の座部12や背もたれ部16の外周係止縁21から、左右方向の外方に突出し、さらに、下方側に突出するように配設されている。ガイド凹部31の裏面側における係止用鍔部35と外周係止縁21の内側に湾曲した部位21a(
図6,7,10参照)との間の隙間は、係止用鍔部35に係止させる弾性紐材61を収納する収納溝36となる。
【0030】
なお、チャイルドシート本体11は、ガイド凹部31を含めた座部12と背もたれ部16との部位を、ポリプロピレン等の合成樹脂製として射出成形により形成される一体成形品として構成されている。
【0031】
また、チャイルドシート本体11は、座部12と背もたれ部16との一体成形された一体成形部11aと、座部12の下方の台座25とを備えて構成されている。台座25は、シート1の座部2上に配置され、一体成形部11aを前後に揺動可能に保持している。
【0032】
シートカバー49は、
図2,3に示すように、チャイルドシート本体11の座部12と背もたれ部16との前面側を覆い可能なファブリック等から形成されて、ヘッドレスト23を除いた座部12と背もたれ部16との前面側を覆うシートカバー本体50と、ヘッドレスト23の外表面を覆うヘッドカバー部65と、を備えて構成されている。シートカバー本体50は、中央側の一般部51と一般部51の外周縁側の外縁カバー部52と、を備えて構成されている。一般部51は、チャイルドシート本体11の座部12の前面側を覆う座カバー部51aと背もたれ部16の前面側を覆う背もたれカバー部51bとを備えて構成され、ヘッドカバー部65の中央部65bに覆われる部位には、ヘッドレスト23の上下動を阻害しないように、中央孔51cが開口されている。
【0033】
なお、ヘッドカバー部65は、ヘッドレスト23を覆うヘッドレストカバー部65aと、中央孔51cを覆う中央部65bと、を備えて構成されている。
【0034】
また、シートカバー本体50の一般部51の外周縁には、チャイルドシート本体11の外周縁に設けられて前面側から反転するように後方側に延びた外周係止縁21に、被せて係止させ、一般部51をチャイルドシート本体11の座部12と背もたれ部16との前面側に配置させる外縁カバー部52、が配設されている。外縁カバー部52は、外縁の略全周にわたって、チャイルドシート本体11の外周係止縁21への係止を維持可能に、ゴム紐等を配設させてなる弾性紐材61を、配設させている。また、外縁カバー部52には、チャイルドシート本体11の背もたれ部16の左右の側面に設けられた引っ掛け部20に係止させる係止孔54が配設されている。
【0035】
そして、シートカバー本体50のガイド凹部31(L,R)を覆う部位には、一般部51の座カバー部51aから連なって、ガイドカバー部59が配設されている。ガイドカバー部59は、略長方形板状として、外縁カバー部52における座部12側の座側カバー部52aと、背もたれ部16側の背側カバー部52bとに分断するように、座側カバー部52aと背側カバー部52bとの間に、配設されている。そのため、ガイドカバー部59は、内側縁59bを、一般部51の座カバー部51aと連ならせ、前側縁59cを、外縁カバー部52の座側カバー部52a側に連ならせ、後側縁59dを、外縁カバー部52の背側カバー部52b側に連ならせている。ガイドカバー部59の外側縁59a側には、係止用鍔部35を嵌挿させる嵌挿孔55が開口されている。嵌挿孔55は、略長方形形状に開口している。嵌挿孔55は、弾性紐材61を除いて、外縁カバー部52を、座部12側の座側カバー部52aと背もたれ部16側の背側カバー部52bとに分断するように開口されている。そのため、嵌挿孔55の周囲は、内側のガイドカバー部59と、前側の外縁カバー部52の座側カバー部52a側となる前縁部56と、後側の外縁カバー部52の背側カバー部52b側となる後縁部57と、外側の弾性紐材61と、に囲まれて構成されることとなる。
【0036】
実施形態のチャイルドシート10では、予め、台座25上に組み付けたチャイルドシート本体11にヘッドレスト23を取り付けておき、そして、そのヘッドレスト23にシートカバー49のヘッドカバー部65を嵌め、さらに、係止孔54に引っ掛け部20を嵌め、また、嵌挿孔55に係止用鍔部35を嵌めつつ、予め、台座25上に組み付けたチャイルドシート本体11の外周係止縁21に、シートカバー49のシートカバー本体50における外縁カバー部52を嵌めて、チャイルドシート本体11の座部12と背もたれ部16との前面側を覆うように、シートカバー49を組み付ければ、チャイルドシート10を形成できる。この時、左右のガイドカバー部59は、嵌挿孔55に係止用鍔部35を嵌挿させ、かつ、嵌挿孔55の周縁の弾性紐材61を、係止用鍔部35に係止させて、収納溝36に収納させれば、ガイド凹部31(L,R)の上方を覆うように配設されることとなる。
【0037】
なお、子供用ベルト装置40は、シートカバー49をチャイルドシート本体11に嵌める際、各ベルト41,42,45を、シートカバー49の挿通孔67,68,69やチャイルドシート本体11の貫通孔17a,13a,13bに挿通させて、チャイルドシート本体11の背面側で、繰り出し長さを調整可能に、相互に連結させておく。そして、シートカバー49を設けた後、ベルト41,42のタング43を、股ベルト45の上端に設けたバックル44に締結させれば、
図1に示すように、チャイルドシート10を形成することができる。
【0038】
そして、実施形態のチャイルドシート10では、
図8に示すように、子供用ベルト装置40を使用する場合には、シート1の座部2上に、チャイルドシート10を配置して、シートベルト4のショルダーベルト5側となる図示しない側のストッパ29を開きつつ、ショルダーベルト5とともにラップベルト6に連なるタング7を、挿通孔28に挿通させて、バックル8に締結するとともに、開いていたストッパ29を閉じて、ショルダーベルト5を係止して、チャイルドシート10を、シート1上で取付固定する。そして、バックル44からタング43(L,R)を外して、子供C1を、股ベルト45に跨がせつつ、チャイルドシート10に着座させ、そして、長さ調整した肩ベルト41(L,R)と腰ベルト42(L,R)とに連結されたタング43(L,R)を、バックル44に締結すれば、チャイルドシート10の子供用ベルト装置40により、小柄な子供C1を、安全に、その着座姿勢で保護できる。
【0039】
また、大柄な子供C2に対応させてチャイルドシート10を使用する場合には、
図9に示すように、子供用ベルト装置40は取り外して使用する。そして、シート1上に配置させたチャイルドシート10に着座させて、シートベルト4のショルダーベルト5を、ヘッドレスト23と背もたれ部16との間を挿通させて、子供C2の前側から、シート1の側面のバックル8に、タング7を締結する。その際、シートベルト4のタング7から延びるラップベルト6は、子供C2の左右の大腿部付近から腰部を拘束するように配設されるとともに、チャイルドシート本体11の座部12における背もたれ部16近傍に配設された左右のガイド凹部31(L,R)内を挿通することとなる。
【0040】
その際、ラップベルト6が、
図10のBに示すように、シートカバー49のガイドカバー部59と干渉しようとしても、ガイド凹部31の外縁側の突条部32が、上端側のベルト用摺動面32aに、ラップベルト6を摺動させて、ガイドカバー部59との干渉を抑制し、そして、ラップベルト6がガイドカバー部59を下方に押圧しようとしても、ガイドカバー部59の外側縁59a側が、収納凹部33内に収納されていることから、別途、別部材のガイドプロテクタを組み付けること無く、すなわち、簡便に、ラップベルト6によるガイドカバー部59の破損が防止される。また、
図8に示すように、ガイド凹部31にラップベルト6を挿通させずに、子供用ベルト装置40を使用して、車両のシート1に配設したチャイルドシート10に着座した子供C1を保護するように使用する場合には、ガイドカバー部59が、ガイド凹部31の上方を覆って、ガイド凹部31の部位を含めたチャイルドシート本体11の前面側が、シートカバー49に覆われて、チャイルドシート10の見栄えを良好にすることができる。
【0041】
したがって、実施形態のチャイルドシート10では、車両のシートベルト4におけるラップベルト6を挿通させるガイド凹部31付近のシートカバー49の損傷を、簡便に防止でき、さらに、ガイド凹部31付近の意匠性を向上させることもできる。
【0042】
また、実施形態のチャイルドシート10では、チャイルドシート本体11における突条部32が、上面の外縁側に、略1/4円弧状の曲面としたベルト用摺動面32aを上端に配設させて構成され、収納凹部33が、底面33aから上方に延びる突条部32側の側面33bを、底面33aと略直交方向に上方に延ばして、突条部32の頂部32bに連ならせるように、配設されている。
【0043】
そのため、実施形態では、ラップベルト6をガイド凹部31に挿通させる際、ラップベルト6がガイドカバー部59と接触して、擦るようにガイドカバー部59を押圧しようとしても、ガイドカバー部59が、収納凹部33内に収納されて、そして、ラップベルト6は、突条部32の略1/4円弧状の曲面としたベルト用摺動面32aと摺動することから、ガイドカバー部59は、破損するようなラップベルト6との接触が、安定して、抑制される。特に、収納凹部33が、底面33aから上方に延びる突条部32側の側面33bを、底面33aと略直交方向に上方に延ばして、突条部32の頂部32bに連ならせており、ガイドカバー部59は、ラップベルト6に下方に押されれば、仮に、
図10のAに示すように、外縁側の外側縁59aが、突条部32の頂部32b付近の上方に僅かに重なるように配置されていても、ガイドカバー部59の外側縁59aは、ラップベルト6に押されて、頂部32b付近の上方から内側にずらして、収納凹部33の側面33bに沿って、直ちに、落下するように収納凹部33内に収納されて、ラップベルト6によって損傷されるようなラップベルト6とガイド凹部31の外縁側との間での挟持状態、を防止できる。
【0044】
また、実施形態のチャイルドシート10では、チャイルドシート本体11が、ガイド凹部31を含めた座部12と背もたれ部16との部位を、合成樹脂製の一体成形品として構成されている。すなわち、チャイルドシート本体11が、ガイド凹部31を含めた座部12と背もたれ部16との部位を、組付工数を削減できて低コストで製造できる合成樹脂製の一体成形品として構成されていても、ガイド凹部31の上方を含めた座部12と背もたれ部16の前面側を、シートカバー49で覆うことができて、すなわち、樹脂部分の前面側の全域を、見栄えよくシートカバー49で覆うことができて、樹脂部分の露出部位を極力少なくすることができ、安価で製造できるチャイルドシート10の意匠性を、向上させることができる。
【0045】
また、実施形態のチャイルドシート10では、シートカバー49が、チャイルドシート本体11の座部12と背もたれ部16との前面側を覆う一般部51の外周縁に、チャイルドシート本体11の外周縁に設けられて前面側から反転するように後方側に延びた外周係止縁21に対して、被せて係止させ、一般部51をチャイルドシート本体11の座部12と背もたれ部16との前面側に配置させる外縁カバー部52、を配設させて構成されている。この外縁カバー部52は、外縁の略全周にわたって、チャイルドシート本体11の外周係止縁21への係止を維持する弾性紐材61を、配設させて構成されるとともに、ガイドカバー部59の部位で、ガイドカバー部59を間にして、座部12側の座側カバー部52aと背もたれ部16側の背側カバー部52bとに分断される構成としている。そして、チャイルドシート本体11のガイド凹部31の外縁側の下縁側周縁に、外周係止縁21から下方側に突出して、弾性紐材61を係止する係止用鍔部35が、配設されている。さらに、左右のガイドカバー部59が、外側縁59aと外縁カバー部52の略全周にわたる弾性紐材61との間に、係止用鍔部35を嵌挿可能な嵌挿孔55を設けて構成されるとともに、嵌挿孔55に係止用鍔部35を嵌挿させ、かつ、弾性紐材61を係止用鍔部35に係止させることにより、ガイド凹部31の上方を覆うように配設されている。
【0046】
このような構成では、チャイルドシート本体11の座部12と背もたれ部16との前面側をシートカバー49により覆う際、シートカバー49の外縁カバー部52の弾性紐材61を、チャイルドシート本体11の外周係止縁21に被せて係止させることとなるが、ガイド凹部31の部位では、嵌挿孔55に係止用鍔部35を嵌挿させて、弾性紐材61を係止用鍔部35に係止させて、ガイドカバー部59が、ガイド凹部31の上方を覆うこととなる。その際、ガイドカバー部59の外縁側における嵌挿孔55の前後両縁の前縁部56と後縁部57とが、弾性紐材61の係止用鍔部35への係止により、ガイドカバー部59を、ガイド凹部31に密着せるように引っ張る状態で、ガイドカバー部59の上方に配置させることとなる。そのため、ガイドカバー部59が、隙間の発生を抑制して、ガイド凹部31の上面側を覆うことができて、一層、子供用ベルト装置40の使用時におけるガイド凹部31の周縁の意匠性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0047】
1…シート、4…シートベルト、5…ショルダーベルト、6…ラップベルト、10…チャイルドシート、11…チャイルドシート本体、12…座部、16…背もたれ部、21…外周係止縁、27…連結用部位、28…挿通孔、29…ストッパ、31(L,R)…ガイド凹部、32…突条部、32a…ベルト用摺動面、32b…頂部、33…収納凹部、33a…底面、33b…側面、35…係止用鍔部、
40…子供用ベルト装置、41(L,R)…肩ベルト、42(L,R)…腰ベルト、43(L,R)…タング、44…バックル、45…股ベルト、
49…シートカバー、50…シートカバー本体、51…一般部、52…外縁カバー部、52a…座側カバー部、52b…背側カバー部、55…嵌挿孔、59…ガイドカバー部、61…弾性紐材、
C1…(小柄な)子供、C2…(大柄な)子供。