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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022007452
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】フェイスガード
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20220105BHJP
   A61F 9/04 20060101ALI20220105BHJP
   A62B 18/02 20060101ALI20220105BHJP
   A42B 3/20 20060101ALI20220105BHJP
   H04R 1/02 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
A41D13/11 L
A61F9/04 315
A62B18/02 Z
A41D13/11 Z
A41D13/11 H
A42B3/20
H04R1/02 107
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020110445
(22)【出願日】2020-06-26
(71)【出願人】
【識別番号】511165625
【氏名又は名称】水素技術応用開発株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】516338464
【氏名又は名称】株式会社K工房
(71)【出願人】
【識別番号】501118060
【氏名又は名称】中村 浩平
(74)【代理人】
【識別番号】100108442
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義孝
(72)【発明者】
【氏名】水野 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】新堀 康浩
【テーマコード(参考)】
2E185
3B107
5D017
【Fターム(参考)】
2E185AA06
2E185CB09
2E185CC32
3B107AA01
3B107BA07
3B107BA08
3B107CA02
3B107DA07
3B107DA18
3B107DA19
3B107EA02
3B107EA03
5D017BC05
(57)【要約】
【課題】着用者の眼、鼻、口を飛沫から保護することができ、外気に含まれる塵埃や微細な粒子、カビ、細菌、病原体(ウイルス)の吸引を防ぐことができるフェイスガードを提供する。
【解決手段】フェイスガード10Aは、着用者の顔面の前方に位置して着用者の両眼、鼻、口を保護する透明なシールド13と、シールド13の周縁に延びていて着用者の顔面に当接するフレーム14と、シールド14の両側縁に位置するフレーム14から後方へ延びていて着用者の両耳に掛ける一対の第1及び第2テンプル15a,15とを備え、着用者の顔面とシールド13との間のスペースに清浄空気を送気する空気送気口26a,26bと、空気送気口26a,26bに清浄空気を給気するファンユニット30と、スペース内部の空気を外気に排気する空気排気口27と、着用者の口の前方に位置して着用者が発する音声を集音するマイクロフォン28とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の顔面の前方に位置して該着用者の両眼、鼻、口のうちの少なくとも両眼を保護する透明なシールドと、前記シールドの周縁に延びていて前記着用者の顔面に当接するフレームと、前記シールドの両側縁に位置する前記フレームから後方へ延びていて前記着用者の両耳に掛ける一対の第1及び第2テンプルとを備え、前記着用者がその顔面に着脱可能に着用するフェイスガードにおいて、
前記フェイスガードが、前記着用者の顔面と前記シールドとの間のスペースに清浄空気を送気する空気送気口と、前記空気送気口に清浄空気を給気する空気給気手段と、前記スペース内部の空気を外気に排気する空気排気口とを有することを特徴とするフェイスガード。
【請求項2】
前記フェイスガードが、それを着用した前記着用者の口の前方に位置して該着用者が発する音声を集音するマイクロフォンを含む請求項1に記載のフェイスガード。
【請求項3】
前記フェイスガードが、前記フレームから延びていて上下方向へ旋回可能な旋回アームを備え、前記マイクロフォンが、前記旋回アームの先端部に設置されている請求項2に記載のフェイスガード。
【請求項4】
前記空気送気口が、前記シールドの下端に延びる前記フレームに形成され、前記フェイスガードでは、前記空気給気手段によって給気された清浄空気を前記シールドの下端から下方へ排気する請求項3に記載のフェイスガード。
【請求項5】
前記空気排気口が、前記着用者の口に対向する前記シールドの口対向箇所に開口し、前記マイクロフォンが、前記口対向箇所に設置されている請求項2に記載のフェイスガード。
【請求項6】
前記マイクロフォンが、前記フェイスガードを着用した着用者が発する音声のみを集音する単一指向性マイクロフォンであり、前記フェイスガードが、それを着用した着用者の音声が前記単一指向性マイクロフォンによって集音されない場合、前記空気給気手段から給気する清浄空気の給気風量を予め設定された設定給気風量に維持する給気風量維持手段と、それを着用した着用者の音声が前記単一指向性マイクロフォンによって集音された場合、前記空気給気手段から給気する清浄空気の給気風量を前記設定給気風量よりも減少させ、又は、前記空気給気手段からの清浄空気の給気を停止させる給気風量調節手段とを含む請求項2ないし請求項5いずれかに記載のフェイスガード。
【請求項7】
前記フェイスガードが、前記給気風量調節手段の実施中に前記単一指向性マイクロフォンによって前記着用者の音声が集音されなくなった場合、前記給気風量調節手段によって減少させた清浄空気の給気風量を前記設定給気風量に回復させ、又は、前記給気風量調節手段によって給気を停止した清浄空気の前記設定給気風量での給気を再開する給気風量復帰手段を含む請求項6に記載のフェイスガード。
【請求項8】
前記空気給気手段が、所定の電源から電気が給電されて前記清浄空気を強制的に給気するファンを備えたファンユニットと、前記ファンユニットに繋がって該ファンユニットから給気された清浄空気を前記空気送気口に給気するチューブとから形成されている請求項1ないし請求項7いずれかに記載のフェイスガード。
【請求項9】
前記ファンユニットが、前記着用者の首回りに着脱可能に着用する首掛けアームと、前記首掛けアームの一方の端に繋がる第1エンドエリアと、前記首掛けアームの他方の端に繋がる第2エンドエリアと、前記第1エンドエリアに開口する第1空気取入口と、前記第2エンドエリアに開口する第2空気取入口と、前記第1エンドエリアであって第1空気取入口の後方に設置された第1エアフィルタと、前記第2エンドエリアであって第2空気取入口の後方に設置された第2エアフィルタとを備え、前記ファンが、前記第1エンドエリアであって前記第1空気取入口と前記第1エアフィルタとの間に設置された第1ファンと、前記第2エンドエリアであって前記第2空気取入口と前記第2エアフィルタとの間に設置された第2ファンとから形成され、前記空気送気口が、前記第1テンプルを連接したシールドの周縁に形成された第1空気送気口と、前記第2テンプルを連接したシールドの周縁に形成された第2空気送気口とから形成され、前記チューブが、前記第1エアフィルタの後方であって前記第1エンドエリアから前記第1テンプルを通って該第1テンプルから前記第1空気送気口に繋がる第1チューブと、前記第2エアフィルタの後方であって前記第2エンドエリアから前記第2テンプルを通って該第2テンプルから前記第2空気送気口に繋がる第2チューブとから形成されている請求項8に記載のフェイスガード。
【請求項10】
前記第1及び第2エアフィルタが、加水分解によって微生物の細胞壁を分解する溶菌酵素を濾材繊維に付着させた殺菌・酵素HEPAフィルタである請求項9に記載のフェイスガード。
【請求項11】
吸熱面及び放熱面を有する第1ペルチェ素子が、前記第1エンドエリアであって前記第1ファンと前記第1エアフィルタとの間に設置され、吸熱面及び放熱面を有する第2ペルチェ素子が、前記第2エンドエリアであって前記第2ファンと前記第2エアフィルタとの間に設置され、前記第1ペルチェ素子では、その吸熱面が前記第1エアフィルタに対向しつつその放熱面が前記第1ファンに対向する第1配置と、その吸熱面が前記第1ファンに対向しつつその放熱面が前記第1エアフィルタに対向する第2配置とのいずれかに配置転換可能であり、前記第2ペルチェ素子では、その吸熱面が前記第2エアフィルタに対向しつつその放熱面が前記第2ファンに対向する第1配置と、その吸熱面が前記第2ファンに対向しつつその放熱面が前記第2エアフィルタに対向する第2配置とのいずれかに配置転換可能である請求項9又は請求項10に記載のフェイスガード。
【請求項12】
前記所定の情報を表示するヘッドマウントディスプレイが、前記シールドの着用者の一方の眼を覆う位置に取り付けられている請求項1ないし請求項11いずれかに記載のフェイスガード。
【請求項13】
前記フェイスガードが、再生されたカラオケ曲の伴奏に合わせて歌を歌う前記着用者がカラオケ歌唱時に着用するカラオケ用フェイスガードである請求項1ないし請求項12いずれかに記載のフェイスガード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者がその顔面に着脱可能に着用するフェイスガードに関する。
【背景技術】
【0002】
着用者の眼の前方に位置して着用者の眼を保護するフェイスシールドと、フェイスシールドを保持するフレーム部と、フレーム部に連結された着用部とを備えたフェイスガードが開示されている(特許文献1参照)。フェイスシールドは、 透明なプラスチックフィルムから作られてフレーム部と係合する係合孔が穿孔されたシールド本体と、係合孔が露出するようにシールド本体の下端部側の表面及び裏面を覆う保護カバーとを有する。保護カバーは、使用時にシールド本体から取外し可能である。フェイスガードは、その使用直前までシールド本体が保護カバーによって被覆されているから、シールド本体に対する埃や汚れの付着や傷つきを防止することができ、使用時にはシールド本体から保護カバーを取り外すことで、良好な視界を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-149295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に開示のフェイスガードは、着用者の眼から前方へ所定寸法離間するフェイスシールドが着用者の両眼の前方に位置して正面から飛沫を遮蔽するが、着用者の両眼を密閉することはなく、両眼を完全に保護することができない。又、このフェイスガードは、フェイスシールドが着用者の鼻及び口を包被することはなく、フェイスシールドによって着用者の鼻や口を保護することができない。更に、フェイスシールドが着用者の顔面から前方へ離間し、フェイスシールドの周縁と着用者の顔面との間に間隙が形成され、その間隙を通して外気がフェイスシールドと着用者の顔面との間のスペースに進入するから、外気に含まれる塵埃や微細な粒子、カビ、細菌を着用者が呼吸によって吸引する場合がある。
【0005】
湿性生体物質の飛沫(病原体(ウイルス)を含む咳やくしゃみ、あるいは気道の吸引等によって飛散した体液の粒子)が飛散する病原体の感染拡大環境では、湿性生体物質の飛沫に含まれる病原体(ウイルス)による曝露から着用者の眼部、鼻腔、口腔を十分に防護し、着用者の粘膜への病原体(ウイルス)の付着を防ぐことが必要である。しかし、前記特許文献1に開示のフェイスガードは、病原体(ウイルス)による曝露から着用者の眼部、鼻腔、口腔を十分に防護することができず、湿性生体物質に含まれる病原体(ウイルス)が着用者の顔面に付着し、その病原体(ウイルス)が眼部、鼻腔、口腔の粘膜から体内に進入し、着用者が病原体(ウイルス)に感染(飛沫感染)するおそれがある。又、飛沫として空気中に飛散した病原体(ウイルス)が空気中でその水分が蒸発し、5μm以下の軽い微粒子(飛沫核)となって長時間浮遊、長距離を移動し、その微粒子(飛沫核)を着用者が呼吸によって吸引することにより感染(空気感染)するおそれもある。
【0006】
本発明の目的は、着用者の眼、鼻、口を飛沫から保護することができ、外気に含まれる塵埃や微細な粒子、カビ、細菌、病原体(ウイルス)の吸引を防ぐことができるフェイスガードを提供することにある。本発明の他の目的は、湿性生体物質の飛沫が飛散する病原体の感染拡大環境において、湿性生体物質に含まれる病原体(ウイルス)による曝露から着用者の眼部、鼻腔、口腔を防護することができ、病原体(ウイルス)の飛沫感染を防ぐことができるフェイスガードを提供することにある。本発明の他の目的は、病原体(ウイルス)を主とした微粒子(飛沫核)の吸引を防ぐことができ、病原体(ウイルス)の空気感染を防ぐことができるフェイスガードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための本発明の前提は、着用者の顔面の前方に位置して着用者の両眼、鼻、口のうちの少なくとも両眼を保護する透明なシールドと、シールドの周縁に延びていて着用者の顔面に当接するフレームと、シールドの両側縁に位置するフレームから後方へ延びていて着用者の両耳に掛ける一対の第1及び第2テンプルとを備え、着用者がその顔面に着脱可能に着用するフェイスガードである。
【0008】
前記前提における本発明の特徴は、フェイスガードが、着用者の顔面とシールドとの間のスペースに清浄空気を送気する空気送気口と、空気送気口に清浄空気を給気する空気給気手段と、スペース内部の空気を外気に排気する空気排気口とを有することにある。
【0009】
本発明の一例としては、フェイスガードが、それを着用した着用者の口の前方に位置して着用者が発する音声を集音するマイクロフォンを含む。
【0010】
本発明の他の一例としては、フェイスガードが、フレームから延びていて上下方向へ旋回可能な旋回アームを備え、マイクロフォンが、旋回アームの先端部に設置されている。
【0011】
本発明の他の一例としては、空気送気口が、シールドの下端に延びるフレームに形成され、フェイスガードでは、空気給気手段によって給気された清浄空気をシールドの下端から下方へ排気する。
【0012】
本発明の他の一例としては、空気排気口が、着用者の口に対向するシールドの口対向箇所に開口し、マイクロフォンが、口対向箇所に設置されている。
【0013】
本発明の他の一例としては、マイクロフォンが、フェイスガードを着用した着用者が発する音声のみを集音する単一指向性マイクロフォンであり、フェイスガードが、それを着用した着用者の音声が単一指向性マイクロフォンによって集音されない場合、空気給気手段から給気する清浄空気の給気風量を予め設定された設定給気風量に維持する給気風量維持手段と、それを着用した着用者の音声が単一指向性マイクロフォンによって集音された場合、空気給気手段から給気する清浄空気の給気風量を設定給気風量よりも減少させ、又は、空気給気手段からの清浄空気の給気を停止させる給気風量調節手段とを含む。
【0014】
本発明の他の一例としては、フェイスガードが、給気風量調節手段の実施中に単一指向性マイクロフォンによって着用者の音声が集音されなくなった場合、給気風量調節手段によって減少させた清浄空気の給気風量を設定給気風量に回復させ、又は、給気風量調節手段によって給気を停止した清浄空気の設定給気風量での給気を再開する給気風量復帰手段を含む。
【0015】
本発明の他の一例としては、空気給気手段が、所定の電源から電気が給電されて清浄空気を強制的に給気するファンを備えたファンユニットと、ファンユニットに繋がってファンユニットから給気された清浄空気を空気送気口に給気するチューブとから形成されている。
【0016】
本発明の他の一例としては、ファンユニットが、着用者の首回りに着脱可能に着用する首掛けアームと、首掛けアームの一方の端に繋がる第1エンドエリアと、首掛けアームの他方の端に繋がる第2エンドエリアと、第1エンドエリアに開口する第1空気取入口と、第2エンドエリアに開口する第2空気取入口と、第1エンドエリアであって第1空気取入口の後方に設置された第1エアフィルタと、第2エンドエリアであって第2空気取入口の後方に設置された第2エアフィルタとを備え、ファンが、第1エンドエリアであって第1空気取入口と第1エアフィルタとの間に設置された第1ファンと、第2エンドエリアであって第2空気取入口と第2エアフィルタとの間に設置された第2ファンとから形成され、空気送気口が、第1テンプルを連接したシールドの周縁に形成された第1空気送気口と、第2テンプルを連接したシールドの周縁に形成された第2空気送気口とから形成され、チューブが、第1エアフィルタの後方であって第1エンドエリアから第1テンプルを通って第1テンプルから第1空気送気口に繋がる第1チューブと、第2エアフィルタの後方であって第2エンドエリアから第2テンプルを通って第2テンプルから第2空気送気口に繋がる第2チューブとから形成されている。
【0017】
本発明の他の一例としては、第1及び第2エアフィルタが、加水分解によって微生物の細胞壁を分解する溶菌酵素を濾材繊維に付着させた殺菌・酵素HEPAフィルタである。
【0018】
本発明の他の一例としては、吸熱面及び放熱面を有する第1ペルチェ素子が、第1エンドエリアであって第1ファンと第1エアフィルタとの間に設置され、吸熱面及び放熱面を有する第2ペルチェ素子が、第2エンドエリアであって第2ファンと第2エアフィルタとの間に設置され、第1ペルチェ素子では、その吸熱面が第1エアフィルタに対向しつつその放熱面が第1ファンに対向する第1配置と、その吸熱面が第1ファンに対向しつつその放熱面が第1エアフィルタに対向する第2配置とのいずれかに配置転換可能であり、第2ペルチェ素子では、その吸熱面が第2エアフィルタに対向しつつその放熱面が第2ファンに対向する第1配置と、その吸熱面が第2ファンに対向しつつその放熱面が第2エアフィルタに対向する第2配置とのいずれかに配置転換可能である。
【0019】
本発明の他の一例としては、所定の情報を表示するヘッドマウントディスプレイがシールドの着用者の一方の眼を覆う位置に取り付けられている。
【0020】
本発明の他の一例としては、フェイスガードが再生されたカラオケ曲の伴奏に合わせて歌を歌う着用者がカラオケ歌唱時に着用するカラオケ用フェイスガードである。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るフェイスガードによれば、着用者の顔面の前方に位置して該着用者の両眼、鼻、口のうちの少なくとも両眼を保護する透明なシールドと、シールドの周縁に延びていて着用者の顔面に当接するフレームと、シールドの両側縁に位置するフレームから後方へ延びていて着用者の両耳に掛ける一対の第1及び第2テンプルとを備え、着用者の顔面とシールドとの間のスペースに清浄空気を送気する空気送気口と、空気送気口に清浄空気を給気する空気給気手段と、スペース内部の空気を外気に排気する空気排気口とを有するから、空気給気手段から給気された清浄空気を空気送気口からスペースに送気することができ、シールドによって着用者の両眼、鼻、口のうちの少なくとも両眼を飛沫から保護することができるのみならず、着用者の顔面とシールドとの間のスペースを清浄空気で満たすことができ、塵埃や微細な粒子、カビ、細菌、病原体(ウイルス)の吸引を防ぐことができる。フェイスガードは、空気給気手段から所定風量の清浄空気がスペースに給気されるから、スペースの気圧が陽圧になり、空気排気口からの空気の逆流を防ぐことができ、スペースに塵埃や微細な粒子、カビ、細菌、病原体(ウイルス)が流入するコンタミネーションを防ぐことができる。フェイスガードは、湿性生体物質の飛沫(病原体(ウイルス)を含む咳やくしゃみ、あるいは気道の吸引等によって飛散した体液の粒子)が飛散する病原体の感染拡大環境において、湿性生体物質に含まれる病原体(ウイルス)による曝露から着用者の眼部、鼻腔、口腔のうちの少なくとも眼部をシールドによって防護することができ、病原体(ウイルス)の飛沫感染を防ぐことができる。
【0022】
フェイスガードを着用した着用者の口の前方に位置して着用者が発する音声を集音するマイクロフォンを含むフェイスガードは、着用者の音声をマイクロフォンが集音し、着用者の音声をスピーカーから発音することで、着用者の音声を大きくして周囲に拡声することができ、着用者の音声を周囲に拡声する場合に好適に使用することができる。
【0023】
フレームから延びていて上下方向へ旋回可能な旋回アームを備え、マイクロフォンが旋回アームの先端部に設置されているフェイスガードは、旋回アームの先端部に設置されたマイクロフォンが着用者の音声を集音し、着用者の音声をスピーカーから発音することで、着用者の音声を大きくして周囲に拡声することができ、着用者の音声を周囲に拡声する場合に好適に使用することができる。フェイスガードは、旋回アームを上下方向へ旋回させることで、その先端部に設置されたマイクロフォンを着用者の口の位置に合わせることができ、着用者の音声をマイクロフォンに確実に拾わせることができる。
【0024】
空気送気口がシールドの下端に延びるフレームに形成され、空気給気手段によって給気された清浄空気をシールドの下端から下方へ排気するフェイスガードは、シールドの下端から下方へ清浄空気を排気することで、シールドの下端から下方へ排気された空気がエアーカーテンを形成し、着用者の両眼、鼻、口を飛沫から保護することができ、塵埃や微細な粒子、カビ、細菌、病原体(ウイルス)の吸引を防ぐことができる。フェイスガードは、湿性生体物質の飛沫(病原体(ウイルス)を含む咳やくしゃみ、あるいは気道の吸引等によって飛散した体液の粒子)が飛散する病原体の感染拡大環境において、湿性生体物質に含まれる病原体(ウイルス)の着用者の鼻腔や口腔への侵入をエアーカーテンによって防護することができ、病原体(ウイルス)の飛沫感染を防ぐことができる。
【0025】
空気排気口が着用者の口に対向するシールドの口対向箇所に開口し、マイクロフォンが口対向箇所に設置されているフェイスガードは、着用者の音声を口対向箇所に設置されたマイクロフォンが集音し、着用者の音声をスピーカーから発音することで、着用者の音声を大きくして周囲に拡声することができ、着用者の音声を周囲に拡声する場合に好適に使用することができる。フェイスガードは、着用者の口に対向するシールドの口対向箇所に空気排気口が開口しているから、着用者の声がこもることはなく、発音した音声を正確に伝えることができる。
【0026】
マイクロフォンがフェイスガードを着用した着用者が発する音声のみを集音する単一指向性マイクロフォンであり、フェイスガードを着用した着用者の音声が単一指向性マイクロフォンによって集音されない場合、空気給気手段から給気する清浄空気の給気風量を予め設定された設定給気風量に維持する給気風量維持手段と、フェイスガードを着用した着用者の音声が単一指向性マイクロフォンによって集音された場合、空気給気手段から給気する清浄空気の給気風量を設定給気風量よりも減少させ、又は、空気給気手段からの清浄空気の給気を停止させる給気風量調節手段とを含むフェイスガードは、着用者の音声がマイクロフォンによって集音されない場合、清浄空気の給気風量を予め設定された設定給気風量に維持するから、空気給気手段から給気された設定給気風量の清浄空気が空気送気口からスペースに送気され、シールドによって着用者の両眼、鼻、口のうちの少なくとも両眼を飛沫から保護することができるのみならず、着用者の顔面とシールドとの間のスペースを清浄空気で満たすことができ、又は、排気された空気によってエアーカーテンを形成することができ、塵埃や微細な粒子、カビ、細菌、病原体(ウイルス)の吸引を防ぐことができる。フェイスガードは、着用者の音声がマイクロフォンによって集音された場合、給気する清浄空気の給気風量を設定給気風量よりも減少させ、又は、清浄空気の給気を停止させるから、着用者の音声が流動する清浄空気によって乱されることはなく、着用者が発音した音声をマイクロフォンに正確に伝えることができる。
【0027】
給気風量調節手段の実施中に単一指向性マイクロフォンによって着用者の音声が集音されなくなった場合、給気風量調節手段によって減少させた清浄空気の給気風量を設定給気風量に回復させ、又は、給気風量調節手段によって給気を停止した清浄空気の設定給気風量での給気を再開するフェイスガードは、減少させた清浄空気の給気風量を設定給気風量に回復させ、又は、停止した清浄空気の設定給気風量での給気を再開するから、着用者の顔面とシールドとの間のスペースを清浄空気で満たすことができ、又は、排気された空気によってエアーカーテンを形成することができ、塵埃や微細な粒子、カビ、細菌、病原体(ウイルス)の吸引を防ぐことができる。
【0028】
空気給気手段が所定の電源から電気が給電されて清浄空気を強制的に給気するファンを備えたファンユニットと、ファンユニットに繋がってファンユニットから給気された清浄空気を空気送気口に給気するチューブとから形成されているフェイスガードは、ファンユニットから強制的に給気された清浄空気がチューブを通って空気送気口からスペースに送気され、所定容積のスペースを清浄空気で満たすことができ、又は、排気された空気によってエアーカーテンを形成することができるから、シールドによって着用者の両眼、鼻、口のうちの少なくとも両眼を飛沫から保護することができるのみならず、塵埃や微細な粒子、カビ、細菌、病原体(ウイルス)の吸引を防ぐことができ、スペースの気圧が陽圧に保持されることで、スペースに塵埃や微細な粒子、カビ、細菌、病原体(ウイルス)が流入するコンタミネーションを防ぐことができる。
【0029】
ファンユニットが、着用者の首回りに着脱可能に着用する首掛けアームと、首掛けアームの一方の端に繋がる第1エンドエリアと、首掛けアームの他方の端に繋がる第2エンドエリアと、第1エンドエリアに開口する第1空気取入口と、第2エンドエリアに開口する第2空気取入口と、第1エンドエリアであって第1空気取入口の後方に設置された第1エアフィルタと、第2エンドエリアであって第2空気取入口の後方に設置された第2エアフィルタとを備え、ファンが、第1エンドエリアであって第1空気取入口と第1エアフィルタとの間に設置された第1ファンと、第2エンドエリアであって第2空気取入口と第2エアフィルタとの間に設置された第2ファンとから形成され、空気送気口が、第1テンプルを連接したシールドの周縁に形成された第1空気送気口と、第2テンプルを連接したシールドの周縁に形成された第2空気送気口とから形成され、チューブが、第1エアフィルタの後方であって第1エンドエリアから第1テンプルを通って第1テンプルから第1空気送気口に繋がる第1チューブと、第2エアフィルタの後方であって第2エンドエリアから第2テンプルを通って第2テンプルから第2空気送気口に繋がる第2チューブとから形成されているフェイスガードは、第1及び第2エアフィルタによって空気(外気)に含まれる塵埃や微細な粒子、カビ、細菌が捕集されて清浄空気が作られ、ファンユニットから給気された清浄空気が空気送気口からスペースに送気されるから、シールドによって着用者の両眼、鼻、口のうちの少なくとも両眼を飛沫から保護することができるのみならず、着用者の顔面とシールドとの間のスペースを清浄空気で満たすことができ、又は、排気された空気によってエアーカーテンを形成することができ、塵埃や微細な粒子、カビ、細菌、病原体(ウイルス)の吸引を防ぐことができる。フェイスガードは、ファンユニットの第1及び第2ファンを利用して所定風量の清浄空気がスペースに給気されるから、スペースの気圧が陽圧になり、空気排気口からの空気の逆流を防ぐことができ、スペースに塵埃や微細な粒子、カビ、細菌、病原体(ウイルス)が流入するコンタミネーションを防ぐことができる。フェイスガードは、首掛けアームを着用者の首回りに着用することで、ファンユニットを首に掛けることができ、ファンユニットを他所に設置する必要がなく、場所を取ることがないとともに、ファンユニットを手で持つ必要がないから、フェイスガードを着用した着用者が両手を自由に使いながら所定の作業を行うことができる。
【0030】
第1及び第2エアフィルタが加水分解によって微生物の細胞壁を分解する溶菌酵素を濾材繊維に付着させた殺菌・酵素HEPAフィルタであるフェイスガードは、第1及び第2エアフィルタによって塵埃や微細な粒子、カビ、細菌、病原体(ウイルス)が捕集されるから、塵埃や微細な粒子、カビ、細菌、病原体(ウイルス)の吸引を確実に防ぐことができる。フェイスガードは、第1及び第2エアフィルタの濾材繊維に付着(添着)させた溶菌酵素がエアフィルタに捕集された病原体(ウイルス)のエンベロープ(細胞壁)を破壊(分解)し、ウイルスを不活化させるから、病原体(ウイルス)や病原体(ウイルス)を主とした微粒子(飛沫核)の吸引を防ぐことができるのみならず、病原体(ウイルス)の空気感染や飛沫感染を確実に防ぐことができる。
【0031】
吸熱面及び放熱面を有する第1ペルチェ素子が第1エンドエリアであって第1ファンと第1エアフィルタとの間に設置され、吸熱面及び放熱面を有する第2ペルチェ素子が第2エンドエリアであって第2ファンと第2エアフィルタとの間に設置され、第1ペルチェ素子の吸熱面が第1エアフィルタに対向しつつその放熱面が第1ファンに対向する第1配置と、第1ペルチェ素子の吸熱面が第1ファンに対向しつつその放熱面が第1エアフィルタに対向する第2配置とのいずれかに配置転換可能であり、第2ペルチェ素子の吸熱面が第2エアフィルタに対向しつつその放熱面が第2ファンに対向する第1配置と、第2ペルチェ素子の吸熱面が第2ファンに対向しつつその放熱面が第2エアフィルタに対向する第2配置とのいずれかに配置転換可能であるフェイスガードは、第1ペルチェ素子の吸熱面を第1エアフィルタに対向させつつその放熱面を第1ファンに対向させる第1配置及び第2ペルチェ素子の吸熱面を第2エアフィルタに対向させつつその放熱面を第2ファンに対向させる第1配置にそれらペルチェ素子を設置することで、第1及び第2ファンから給気された清浄空気を冷却し、清浄な冷気をスペースに給気することができ、高温環境においてそれらペルチェ素子を利用することでフェイスガードを快適に使用することができる。フェイスガードは、第1ペルチェ素子の吸熱面が第1ファンに対向しつつその放熱面が第1エアフィルタに対向する第2配置及び第2ペルチェ素子の吸熱面が第2ファンに対向しつつその放熱面が第2エアフィルタに対向する第2配置にそれらペルチェ素子を設置することで、第1及び第2ファンから給気された清浄空気を加熱し、清浄な暖気をスペースに給気することができ、低温環境においてそれらペルチェ素子を利用することでフェイスガードを快適に使用することができる。
【0032】
所定の情報を表示するヘッドマウントディスプレイがシールドの着用者の一方の眼を覆う位置に取り付けられているフェイスガードは、所定の情報がヘッドマウントディスプレイに表示されるから、着用者がヘッドマウントディスプレイに表示された情報を見ることで、フェイスガードを介して各種情報を知ることができ、その情報に基づいて所定の作業を行うことができる。
【0033】
フェイスガードが再生されたカラオケ曲の伴奏に合わせて歌を歌う着用者がカラオケ歌唱時に着用するカラオケ用フェイスガードである場合、密閉・密接・密集(三密)になり易いカラオケボックスにおいてフェイスガードを使用することで、着用者の両眼、鼻、口を飛沫から保護するとともに塵埃や微細な粒子、カビ、細菌、病原体(ウイルス)の吸引を防ぎつつ、着用者が安心して歌を歌うことができ、他のカラオケ利用者に対する空気感染や飛沫感染を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】一例として示すフェイスガードの正面斜視図。
図2】第1及び第2エンドエリアの部分拡大斜視図。
図3】第1及び第2ペルチェ素子の設置や第1及び第2エアフィルタの設置・交換を説明する図2と同様の部分拡大斜視図。
図4】フェイスガードの背面図。
図5】フェイスガードの側面図。
図6】着用者が着用した使用状態で示すフェイスガードの正面図。
図7】着用者が着用した使用状態で示すフェイスガードの側面図。
図8】他の一例として示すフェイスガードの正面斜視図。
図9】着用者が着用した使用状態で示す図8のフェイスガードの正面図。
図10】他の一例として示すフェイスガードの斜視図。
図11図10のフェイスガードの正面図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
一例として示すフェイスガード10Aの正面斜視図である図1等の添付の図面を参照し、本発明に係るフェイスガードの詳細を説明すると、以下のとおりである。尚、図2は、第1及び第2エンドエリア33a,33bの部分拡大斜視図であり、図3は、第1及び第2ペルチェ素子36a,36bの設置や第1及び第2エアフィルタ37a,37bの設置・交換を説明する図2と同様の部分拡大斜視図である。図4は、フェイスガード10Aの背面図であり、図5は、フェイスガード10Aの側面図である。図4,5では、ファンユニット30の図示を省略している。図1では、上下方向を矢印X、横方向を矢印Yで示し、周り方向を矢印Zで示す。
【0036】
フェイスガード10A(フェイスガード10B,10Cを含む)は、着用者11がその顔面12に着脱可能に着用し(図6,7参照)、塵埃や微細な粒子、カビ、細菌、病原体(ウイルス)の吸引を防ぎ、病原体(ウイルス)の飛沫感染や空気感染を防ぐ。フェイスガード10A(フェイスガード10B,10Cを含む)は、再生されたカラオケ曲の伴奏に合わせて歌を歌う着用者11がカラオケ歌唱時に着用するカラオケ用フェイスガードとしてカラオケ店において好適に使用される。尚、フェイスガード10A(フェイスガード10B,10Cを含む)は、カラオケ店のみならず、塵埃や微細な粒子、カビ、細菌、病原体(ウイルス)の吸引を防ぐとともに病原体(ウイルス)の飛沫感染や空気感染を防ぎつつ後記するマイクロフォン28を利用する用途において好適に使用することができる。フェイスガード10A(フェイスガード10B,10Cを含む)は、着用者11の音声をマイクロフォン28が集音し、着用者11の音声をスピーカーから発音することで、着用者11の音声を大きくして周囲に拡声することができ、着用者11の音声を周囲に拡声する場合に好適に使用することができる。
【0037】
フェイスガード10Aは、無色透明な所定面積のシールド13と、シールド13の周縁に延びる環状のフレーム14と、一対の第1及び第2テンプル15a,15b(第1及び第2つる)と、給気手段とから形成されている。シールド13は、図5に示すように、その周縁から前方へ凸となるように上下方向へ弧を画いている。シールド13は、それを横方向へ二分する仮想縦中心線Lを挟んで左右対称形に成形されている。シールド13は、後記する第1~第3補強部23~25を除いた部位の厚み寸法が0.5~3mmの範囲にある。
【0038】
フェイスガード10A(フェイスガード10Bを含む)では、着用者11がそれを着用したときに、フレーム14(シールド13の周縁)が着用者11の顔面12のフェイスラインを形成する額16、頬17、顎18に当接し、シールド13が着用者11の両眼19、鼻20、口21を含む着用者11の額16、頬17、顎18を包被する(図6,7参照)。フェイスガード10A(フェイスガード10Bを含む)では、シールド13が着用者11の額16、頬17、顎18から前方へ所定寸法離間し、所定容積のスペース22が着用者11の顔面12とシールド13との間に形成される。
【0039】
シールド13やフレーム14は、無色透明な薄板状のPET樹脂(ポリエチレンテレフタレート)又は無色透明な薄板状のPETG樹脂から作られている。尚、シールド13やフレーム14がPETG樹脂から作られていることが好ましい。又、シールド13やフレーム14が無色透明な薄板状のPMMA樹脂(アクリル樹脂)から作られていてもよい。PETG樹脂は、シクロヘキサンジメタノールを共重合したポリエチレンテレフタレートである。PETG樹脂の特性として、高い透明性を有するとともに、引張強さや耐衝撃性という優れた機械的特性を有する。従って、シールド13やフレーム14をPETG樹脂から作ることで、シールド13やフレーム14の透明性を向上させることができるとともに、シールド13やフレーム14の強度を高くすることができる。
【0040】
シールド13は、その上部に形成されて周り方向へ延びる第1補強部23と、上下方向へ延びる第2補強部24と、横方向(シールド13の径方向内方)へ延びる一対の第3補強部25とを有する。第2補強部24は、シールド13の上部からシールド13の中央に向かって延びる先細りの略三角形に成形されている。第2補強部24は、着用者11がフェイスガード10Aを着用したときに、着用者11の額16に位置する第1補強部23から着用者11の眉間に向かって延びる。
【0041】
シールド13の右半分に形成された第3補強部25は、フレーム14(シールド13の周縁)の一側方からシールド13の中央に向かって延びる先細りの略三角形に成形されている。シールド13の右半分に形成された第3補強部25は、着用者11がフェイスガード10Aを着用したときに、着用者11の右頬に当接するフレーム14(シールド13の周縁)から着用者11の鼻下に向かって延びるとともに、着用者11の右頬に当接するフレーム14(シールド13の周縁)から着用者11の顎18に向かって延びる。
【0042】
シールド13の左半分に形成された第3補強部25は、フレーム14(シールド13の周縁)の他側方からシールド13の中央に向かって延びる先細りの略三角形に成形されている。シールド13の左半分に形成された第3補強部25は、着用者11がフェイスガード10Aを着用したときに、着用者11の左頬に当接するフレーム14(シールド13の周縁)から着用者11の鼻下に向かって延びるとともに、着用者11の左頬に当接するフレーム14(シールド13の周縁)から着用者11の顎18に向かって延びる。シールド13の右半分に形成された第3補強部25とシールド13の左半分に形成された第3補強部25とは、同形同大であり、シールド13を横方向へ二分する仮想縦中心線Lに対して左右対称の関係にある。
【0043】
第1~第3補強部23~25におけるシールド13の厚み寸法は、第1~第3補強部23~25を除く残余の部位の厚み寸法よりも大きく、第1~第3補強部23~25を除く残余の部位の厚み寸法プラス0.1~0.3mmの範囲にある。フェイスガード10Aは、シールド13に第1~第3補強部23~25が形成されることで、シールド13の保形性が強化され、シールド13がその形態を確実に保持する。フェイスガード10A(フェイスガード10B,10Cを含む)は、シールド13が十分な強度を有し、それを着用した着用者11の顔面12の動きによってシールド13が不用意に変形することはなく、フレーム14(シールド13の周縁)の着用者11の額16、頬17、顎18への当接状態を保持することができ、シールド13によって着用者11の両眼19、鼻20、口21を含む額16、頬17、顎18の包被状態を保持することができる。
【0044】
シールド13の周縁の右上(第1テンプル15aを連接したシールド13の周縁)には、着用者11の顔面12とシールド13との間のスペース22に清浄空気を送気する第1空気送気口26a(空気送気口)が形成(穿孔)されている。シールド13の周縁の左上(第2テンプル15bを連接したシールド13の周縁)には、着用者11の顔面12とシールド13との間のスペース22に清浄空気を送気する第2空気送気口26b(空気送気口)が形成(穿孔)されている。
【0045】
シールド13の中央下部(フェイスガード10Aを着用した着用者11の口21に対向するシールド13の口対向箇所)には、半月状に開口する空気排気口27が形成されている。空気排気口27の上部(空気排気口27を囲繞するシールド13の内周縁の上部における口対向箇所)には、マイクロフォン28(ワイヤレスマイクロフォン)が設置されている。マイクロフォン28は、フェイスガード10Aを着用した着用者11が発する音声のみを集音する単一指向性マイクロフォン28であり、フェイスガード10Aを着用した着用者11の口21の前方に位置し、着用者11が発する音声を集音する。マイクロフォン28は、スピーカーを有するアンプ(図示せず)に電気信号に変換した音声を送信する。尚、空気排気口27の形状に特に限定はなく、空気排気口27の形状が半月状ではなく、円形や四角形であってもよい。
【0046】
第1及び第2テンプル15a,15bは、シールド13と同様に、薄板状のPET樹脂(ポリエチレンテレフタレート)又は薄板状のPETG樹脂から作られている。尚、第1及び第2テンプル15a,15bが薄板状のPMMA樹脂(アクリル樹脂)から作られていてもよい。第1及び第2テンプル15a,15bは、無色透明又は有色透明或いは白濁色である。第1テンプル15aは、フレーム14(シールド13の周縁)の右上から後方へ延びている。第1テンプル15aは、フェイスガード10Aの着用時に着用者11の右耳29に掛ける。第2テンプル15bは、フレーム14(シールド13の周縁)左上から後方へ延びている。第2テンプル15bは、フェイスガード10Aの着用時に着用者11の左耳29に掛ける。
【0047】
空気給気手段は、ファンユニット30と、一対の第1及び第2チューブ31a,31b(チューブ)とから形成されている。ファンユニット30は、首掛けアーム32と、第1及び第2エンドエリア33a,33bと、第1及び第2空気取入口34a,34bと、第1及び第2ファン35a,35b(送風ファン)と、第1及び第2ペルチェ素子36a,36bと、第1及び第2エアフィルタ37a,37bとを備えている。
【0048】
首掛けアーム32は、合成樹脂から作られて略U字状に成形され、着用者11の首回り38を包被するように首回り38に着脱可能に着用される(引っ掛けられる)。首掛けアーム32を着用者11の首回り38から取り外すことで、ファンユニット30を着用者11の首回り38から取り外すことができる。首掛けアーム32の中央には、収容バッテリー(電源)(図示せず)を挿脱可能に収容・交換する電源収容部39が形成されている。収容バッテリーから電気を第1及び第2ファン35a,35bや1及び第2ペルチェ素子36a,36bに給電することで、ファンユニット30の第1及び第2ファン35a,35bや1及び第2ペルチェ素子36a,36bを駆動させることができ、第1及び第2ファン35a,35bや第1及び第2ペルチェ素子36a,36bを利用して清浄な空気(冷気又は暖気)をスペース22に給気することができる。
【0049】
首掛けアーム32の周縁部には、図示はしていないが、第1及び第2ファン35a,35bのON/OFFスイッチ、第1及び第2ペルチェ素子36a,36bのON/OFFスイッチ、第1及び第2ファン35a,35bの出力調整ツマミ、第1及び第2ペルチェ素子36a,36bの出力調節ツマミが設置されている。ファンユニット30では、第1及び第2ファン35a,35bのON/OFFスイッチによって第1及び第2ファン35a,35bの発停が行われ、第1及び第2ペルチェ素子36a,36bのON/OFFスイッチによって第1及び第2ペルチェ素子36a,36bの発停が行われる。
【0050】
第1及び第2ファン35a,35bの出力調整ツマミによって第1及び第2ファン35a,35bの出力(給気風量)が調節され、第1及び第2空気送気口26a,26bからスペース22に流入する清浄空気の給気風量が調節される。第1及び第2ペルチェ素子36a,36bの出力調節ツマミによって第1及び第2ペルチェ素子36a,36bの出力が調節され、第1及び第2空気送気口26a,26bからスペース22に流入する清浄空気の温度が調節される。首掛けアーム32の内部には、図示はしていないが、第1及び第2ファン35a,35bの出力を調節するコントローラ(制御装置)が設置されている。コントローラには、インターフェイスを介して単一指向性マイクロフォン28と第1及び第2ファン35a,35bの制御部とが接続されている。
【0051】
第1エンドエリア33aは、首掛けアーム32の一方の端に繋がり、首掛けアーム32と同様の合成樹脂から作られて首掛けアーム32と一体成形されている。第1エンドエリア33aには、図2に示すように、第1空気取入口34aと、第1ファン35aを収容・固定するファン収容部40と、第1ペルチェ素子36aを収容するペルチェ素子収容部41と、第1エアフィルタ37aを収容するフィルタ収容部42とが形成されている。第1エンドエリア33aの頂部には、ペルチェ素子収容部41を開閉する開閉蓋43が旋回可能に設置され、フィルタ収容部42を開閉する開閉蓋44が旋回可能に設置されている。第1エンドエリア33aには、第1空気取入口34aからファン収容部40及びペルチェ素子収容部41並びにフィルタ収容部42を通って第1チューブ31aに繋がる空気流路が形成されている。
【0052】
第2エンドエリア33bは、首掛けアーム32の他方の端に繋がり、首掛けアーム32と同様の合成樹脂から作られて首掛けアーム32と一体成形されている。第2エンドエリア33bには、図2に示すように、第2空気取入口34bと、第2ファン35bを収容・固定するファン収容部40と、第2ペルチェ素子36bを収容するペルチェ素子収容部41と、第2エアフィルタ37bを収容するフィルタ収容部42とが形成されている。第2エンドエリア33bの頂部には、ペルチェ素子収容部41を開閉する開閉蓋43が旋回可能に設置され、フィルタ収容部42を開閉する開閉蓋44が旋回可能に設置されている。第2エンドエリア33bには、第2空気取入口34bからファン収容部40及びペルチェ素子収容部41並びにフィルタ収容部42を通って第2チューブ31bに繋がる空気流路が形成されている。
【0053】
第1空気取入口34aは、第1エンドエリア33aの先端部に形成(開口)された略円形の開口である。第2空気取入口34bは、第2エンドエリア33bの先端部に形成(開口)された略円形の開口である。第1ファン35a(送風ファン)は、第1エンドエリア33aの先端部であって第1空気取入口34aの直後(第1空気取入口34aと第1ペルチェ素子36aとの間)に配置されている。第1ファン35aは、首掛けアーム32の電源収容部39に収容された収容バッテリー(電源)から電気が給電され、清浄空気を第1チューブ31aに強制的に給気する。第2ファン35b(送風ファン)は、第2エンドエリア33bの先端部であって第2空気取入口34bの直後(第2空気取入口34bと第2ペルチェ素子36bとの間)に配置されている。第2ファン35bは、首掛けアーム32の電源収容部39に収容された収容バッテリー(電源)から電気が給電され、清浄空気を第2チューブ31bに強制的に給気する。
【0054】
第1ペルチェ素子36a及び第2ペルチェ素子36bは、吸熱面45(吸熱金属板)及び放熱面46(放熱金属板)を有し、N極半導体及びP極半導体に直流電流を流すことで、吸熱面45(吸熱金属板)を低温にし、放熱面46(放熱金属板)を高温にする半導体素子であり、冷却・加熱・温度制御が可能である。第1ペルチェ素子36aは、図3に示すように、第1エンドエリア33aであって第1ファン35aと第1エアフィルタ37a(フィルタ収容部42)との間に形成されたペルチェ素子収容部41に挿脱可能に収容(設置)される。第1ペルチェ素子36aは、それがペルチェ素子収容部41に収容されたときに、収容部41に形成された端子(図示せず)が第1ペルチェ素子36aに形成された端子(図示せず)に接触することで、第1ペルチェ素子36aに収容バッテリーから電気(直流電流)が給電される。
【0055】
第1ペルチェ素子36aは、その吸熱面45(吸熱金属板)が第1エアフィルタ37aに対向しつつその放熱面46(放熱金属板)が第1ファン35aに対向する第1配置と、その吸熱面45(吸熱金属板)が第1ファン35aに対向しつつその放熱面46(放熱金属板)が第1エアフィルタ37aに対向する第2配置とのいずれかに配置転換可能である。放熱面46(放熱金属板)を第1エアフィルタ37aに対向させ、吸熱面45(吸熱金属板)を第1ファン35aに対向させた状態で第1ペルチェ素子36aをペルチェ素子収容部41に収容することで第2配置にすることができ、放熱面46(放熱金属板)を第1ファン35aに対向させ、吸熱面45(吸熱金属板)を第1エアフィルタ37aに対向させた状態で第1ペルチェ素子36aをペルチェ素子収容部41に収容することで第1配置にすることができる。
【0056】
第1ペルチェ素子36aを第1配置に設置することで、スペース22に冷気を給気することができ、第1ペルチェ素子36aを第2配置に設置することで、スペース22に暖気を給気することができる。第1ペルチェ素子36aを設置するには、第1エンドエリア33aのペルチェ素子収容部41を開閉する開閉蓋43を旋回させてペルチェ素子収容部41を開放し、ペルチェ素子収容部41に第1ペルチェ素子36aを第1配置又は第2配置で収容(設置)した後、開閉蓋43を旋回させてペルチェ素子収容部41を閉鎖する。
【0057】
第2ペルチェ素子36bは、図3に示すように、第2エンドエリア33bであって第2ファン35bと第2エアフィルタ37b(フィルタ収容部42)との間に形成されたペルチェ素子収容部41に挿脱可能に収容(設置)される。第2ペルチェ素子36bは、それがペルチェ素子収容部41に収容されたときに、収容部41に形成された端子(図示せず)が第2ペルチェ素子36bに形成された端子(図示せず)に接触することで、第2ペルチェ素子36bに収容バッテリーから電気(直流電流)が給電される。
【0058】
第2ペルチェ素子36bは、その吸熱面45(吸熱金属板)が第2エアフィルタ37bに対向しつつその放熱面46(放熱金属板)が第2ファン35bに対向する第1配置と、その吸熱面45(吸熱金属板)が第2ファン35bに対向しつつその放熱面46(放熱金属板)が第2エアフィルタ37bに対向する第2配置とのいずれかに配置転換可能である。放熱面46(放熱金属板)を第2エアフィルタ37bに対向させ、吸熱面45(吸熱金属板)を第2ファン35bに対向させた状態で第2ペルチェ素子36bをペルチェ素子収容部41に収容することで第2配置にすることができ、放熱面46(放熱金属板)を第2ファン35bに対向させ、吸熱面45(吸熱金属板)を第2エアフィルタ37bに対向させた状態で第2ペルチェ素子36bをペルチェ素子収容部41に収容することで第1配置にすることができる。
【0059】
第2ペルチェ素子36bを第1配置に設置することで、スペース22に冷気を給気することができ、第2ペルチェ素子36bを第2配置に設置することで、スペース22に暖気を給気することができる。第2ペルチェ素子36bを設置するには、第2エンドエリア33bのペルチェ素子収容部41を開閉する開閉蓋43を旋回させてペルチェ素子収容部41を開放し、ペルチェ素子収容部41に第2ペルチェ素子36bを第1配置又は第2配置で収容(設置)した後、開閉蓋43を旋回させてペルチェ素子収容部41を閉鎖する。
【0060】
第1エアフィルタ37aは、図3に示すように、0.3μmの微粒子の除去率が99.97%以上の殺菌・酵素HEPAフィルタであり、円柱形に成形されている。第1エアフィルタ37a(殺菌・酵素HEPAフィルタ)の濾材繊維には、病原体(ウイルス)のエンベロープ(細胞壁)を破壊(分解)し、ウイルスを不活化させる溶菌酵素が付着(添着)されている。第1エアフィルタ37aは、第1エンドエリア33aであって第1ペルチェ素子36a(ペルチェ素子収容部41)の後方(直後)に位置するように、第1エンドエリア33aに作られたフィルタ収容部42に挿脱可能に収容される。
【0061】
第1エアフィルタ37aを設置するには、第1エンドエリア33aのフィルタ収容部42を開閉する開閉蓋44を旋回させてフィルタ収容部42を開放し、フィルタ収容部42に第1エアフィルタ37aを収容(設置)した後、開閉蓋44を旋回させてフィルタ収容部42を閉鎖する。第1エアフィルタ37aを交換するには、第1エンドエリア33aの開閉蓋44を旋回させてフィルタ収容部42を開放し、使用済みの第1エアフィルタ37aをフィルタ収容部42から取り出した後、新たな第1エアフィルタ37aをフィルタ収容部42に収容(設置)し、開閉蓋44を旋回させてフィルタ収容部42を閉鎖する。
【0062】
第2エアフィルタ37bは、図3に示すように、0.3μmの微粒子の除去率が99.97%以上の殺菌・酵素HEPAフィルタであり、円柱形に成形されている。第2エアフィルタ37b(殺菌・酵素HEPAフィルタ)の濾材繊維には、病原体(ウイルス)のエンベロープ(細胞壁)を破壊(分解)し、ウイルスを不活化させる溶菌酵素が付着(添着)されている。第2エアフィルタ37bは、第2エンドエリア33bであって第1ペルチェ素子36a(ペルチェ素子収容部41)の後方(直後)に位置するように、第2エンドエリア33bのフィルタ収容部42に挿脱可能に収容される。
【0063】
第2エアフィルタ37bを設置するには、第2エンドエリア33bのフィルタ収容部42を開閉する開閉蓋44を旋回させてフィルタ収容部42を開放し、フィルタ収容部42に第2エアフィルタ37bを収容(設置)した後、開閉蓋44を旋回させてフィルタ収容部42を閉鎖する。第2エアフィルタ37bを交換するには、第2エンドエリア33bの開閉蓋44を旋回させてフィルタ収容部42を開放し、使用済みの第2エアフィルタ37bをフィルタ収容部42から取り出した後、新たな第2エアフィルタ37bをフィルタ収容部42に収容(設置)し、開閉蓋44を旋回させてフィルタ収容部42を閉鎖する。
【0064】
第1及び第2チューブ31a,31b(チューブ)には、柔軟性を有するポリウレタンチューブやナイロンチューブ、フッ素樹脂チューブ、ポリアミドチューブ、ポリオレフィンチューブのうちのいずれかが使用されている。第1チューブ31aは、第1エアフィルタ37aの後方(直後)の第1エンドエリア33aに連結された一端部47と、第1テンプル15aを連接したフレーム14(シールド13の周縁)の右上に形成された第1空気送気口26a(空気送気口)に連結された他端部49と、一端部47と他端部49との間に延びる所定長さの中間部48とを有する。第1チューブ31aは、第1エンドエリア33aから第1テンプル15aの内部を通り、第1テンプル15aから第1空気送気口26aに繋がり、ファンユニット30(第1ファン35a)から給気された清浄空気を第1空気送気口26aに給気する。
【0065】
第2チューブ31bは、第2エアフィルタ37bの後方(直後)の第2エンドエリア33bに連結された一端部47と、第2テンプル15bを連接したフレーム14(シールド13の周縁)の右上に形成された第2空気送気口26b(空気送気口)に連結された他端部49と、一端部47と他端部49との間に延びる所定長さの中間部48とを有する。第2チューブ31bは、第2エンドエリア33bから第2テンプル15bの内部を通り、第2テンプル15bから第2空気送気口26bに繋がり、ファンユニット30(第2ファン35b)から給気された清浄空気を第2空気送気口26bに給気する。
【0066】
コントローラは、フェイスガード10Aを着用した着用者11の音声が単一指向性マイクロフォン28によって集音されない場合、ファンユニット30(空気給気手段)から給気する清浄空気の給気風量を予め設定された設定給気風量(調節ツマミによって調節された給気風量)に維持する給気風量維持手段を実施する。コントローラは、フェイスガード10Aを着用した着用者11の音声が単一指向性マイクロフォン28によって集音された場合、ファンユニット30(空気給気手段)から給気する清浄空気の給気風量を設定給気風量よりも減少させ、又は、ファンユニット30(空気給気手段)からの清浄空気の給気を停止させる給気風量調節手段を実施する。コントローラは、給気風量調節手段の実施中に単一指向性マイクロフォン28によって着用者11の音声が集音されなくなった場合、給気風量調節手段によって減少させた清浄空気の給気風量を設定給気風量に回復させ、又は、給気風量調節手段によって給気を停止した清浄空気の設定給気風量での給気を再開する給気風量復帰手段を実施する。
【0067】
図6は、着用者11が着用した使用状態で示すフェイスガード10Aの正面図であり、図7は、着用者11が着用した使用状態で示すフェイスガード10Aの側面図である。尚、カラオケボックスにおいて再生されたカラオケ曲の伴奏に合わせて歌を歌う着用者11がフェイスガード10Aを着用したものとする。着用者11がフェイスガード10Aを顔面12に着用するには、第1テンプル15aを右耳29に掛け、第2テンプル15bを左耳29に掛ける。それらテンプル15a,15bを耳29に掛けると、フレーム14(シールド13の周縁)が着用者11の顔面12のフェイスラインを形成する額16、頬17、顎18に当接し、シールド13が着用者11の両眼19、鼻20、口21を含む着用者11の額16、頬17、顎18を包被する。フェイスガード10Aは、シールド13によって咳やくしゃみ等によって飛散した体液の顔面12への付着が防がれる。
【0068】
フェイスガード10Aを顔面12に着用した後、着用者11は、第1及び第2ファン35a,35bのON/OFFスイッチをONにするとともに、第1及び第2ペルチェ素子36a,36bのON/OFFスイッチをONにする。次に、着用者11は、ファンユニット30の首掛けアーム32を首回り38に着用する(引っ掛ける)。尚、冷気や暖気を必要としない場合、第1及び第2ペルチェ素子36a,36bのON/OFFスイッチをOFFにする。着用者11は、第1及び第2ファン35a,35bの出力調整ツマミを利用して第1及び第2ファン35a,35bの出力(給気風量)を調節し、第1及び第2ペルチェ素子36a,36bの出力調節ツマミを利用して第1及び第2ペルチェ素子36a,36bの出力(清浄空気の温度)を調節する。
【0069】
第1及び第2ファン35a,35bのON/OFFスイッチをONにすると、第1及び第2ファン35a,35bが稼働し、第1及び第2ペルチェ素子36a,36bのON/OFFスイッチをONにすると、第1及び第2ペルチェ素子36a,36bが稼働する。第1ファン35a及び第1ペルチェ素子36aが稼働すると、空気(外気)が第1空気取入口34aから第1エンドエリア33aの内部に流入し、第1ペルチェ素子36aを収容したペルチェ素子収容部41を通流しつつ第1エアフィルタ37aを通流する。第1ペルチェ素子36aが第1配置である場合、第1ペルチェ素子36aによってペルチェ素子収容部41を通流する空気が冷却され、更に、第1エアフィルタ37aを通流することで、冷却空気(冷気)に含まれる塵埃や微細な粒子、カビ、細菌、病原体(ウイルス)が捕集され、第1エアフィルタ37aによって清浄な冷却空気が作られる。清浄な冷却空気(冷気)は、第1チューブ31aに流入し、第1チューブ31aを通流して第1空気送気口26aからスペース22に送気される。第1エアフィルタ37aに捕集された病原体(ウイルス)は、第1エアフィルタ37aの濾材繊維に付着(添着)された溶菌酵素によってエンベロープ(細胞壁)が破壊(分解)されて不活化する。
【0070】
第1ペルチェ素子36aが第2配置である場合、第1ペルチェ素子36aによってペルチェ素子収容部41を通流する空気が加熱され、更に、第1エアフィルタ37aを通流することで、加熱空気(暖気)に含まれる塵埃や微細な粒子、カビ、細菌、病原体(ウイルス)が捕集され、第1エアフィルタ37aによって清浄な加熱空気が作られる。清浄な加熱空気(暖気)は、第1チューブ31aに流入し、第1チューブ31aを通流して第1空気送気口26aからスペース22に送気される。尚、加熱空気(暖気)が第1エアフィルタ37aを通流することで、第1エアフィルタ37aが加熱空気の熱によって殺菌される。
【0071】
第2ファン35b及び第2ペルチェ素子36bが稼働すると、空気(外気)が第2空気取入口34bから第2エンドエリア33bの内部に流入し、第2ペルチェ素子36bを収容したペルチェ素子収容部41を通流しつつ第2エアフィルタ37bを通流する。第2ペルチェ素子36bが第1配置である場合、第2ペルチェ素子36bによってペルチェ素子収容部41を通流する空気が冷却され、更に、第2エアフィルタ37bを通流することで、冷却空気(冷気)に含まれる塵埃や微細な粒子、カビ、細菌、病原体(ウイルス)が捕集され、第2エアフィルタ37bによって清浄な冷却空気が作られる。清浄な冷却空気(冷気)は、第2チューブ31bに流入し、第2チューブ31bを通流して第2空気送気口26bからスペース22に送気される。第2エアフィルタ37bに捕集された病原体(ウイルス)は、第2エアフィルタ37bの濾材繊維に付着(添着)された溶菌酵素によってエンベロープ(細胞壁)が破壊(分解)されて不活化する。
【0072】
第2ペルチェ素子36bが第2配置である場合、第2ペルチェ素子36bによってペルチェ素子収容部41を通流する空気が加熱され、更に、第2エアフィルタ37bを通流することで、加熱空気(暖気)に含まれる塵埃や微細な粒子、カビ、細菌、病原体(ウイルス)が捕集され、第2エアフィルタ37bによって清浄な加熱空気が作られる。清浄な加熱空気(暖気)は、第2チューブ31bに流入し、第2チューブ31bを通流して第2空気送気口26bからスペース22に送気される。尚、加熱空気(暖気)が第2エアフィルタ37bを通流することで、第2エアフィルタ37bが加熱空気の熱によって殺菌される。第1及び第2ペルチェ素子36bの出力調節ツマミによってペルチェ素子の出力を調節することができ、空気の冷却温度や加熱温度を調節することができる。
【0073】
スペース22に給気された清浄な冷却空気又は清浄な加熱空気は、着用者11に吸引され、着用者11に吸引されない残余の清浄空気が着用者11の呼気とともに空気排気口27からスペース22の外部(シールド13の外部)に排気される。着用者11は、呼吸をした状態において、空気排気口27からスペース22の外部へ空気が排気されるように、首掛けアーム32の第1及び第2ファン35a,35bの出力調整ツマミによって第1及び第2ファン35a,35bの出力を調節し、ファンユニット30(第1及び第2ファン35a,35b)から給気される清浄空気の給気風量を調節する。
【0074】
着用者11がフェイスガード10A(フェイスガード10B,10Cを含む)を顔面12に着用した状態で、カラオケ曲の伴奏に合わせて歌を歌った場合、着用者11の歌う歌声(音声)を単一指向性マイクロフォン28が集音し、その電気信号がマイクロフォン28からアンプに送信される。アンプでは、電気信号を増幅し、増幅した電気信号をスピーカーによって音に変換し、スピーカーから着用者11の歌声を発音する。尚、カラオケボックスに集まった他のすべての着用者11がフェイスガード10A(フェイスガード10B,10Cを含む)を着用し、カラオケを楽しむ。
【0075】
コントローラは、着用者11が歌を歌う場合(カラオケ歌唱中)において、フェイスガード10Aを着用した着用者11の歌声(音声)がマイクロフォン28によって集音されない場合、第1及び第2ファン35a,35bの制御部に出力維持信号を送信し、第1及び第2ファン35a,35b(ファンユニット30)から給気する清浄空気の給気風量を予め設定された設定給気風量(調節ツマミによって調節された給気風量)に維持する(給気風量維持手段)。コントローラは、フェイスガード10Aを着用した着用者11の歌声(音声)がマイクロフォン28によって集音された場合、第1及び第2ファン35a,35bの制御部に出力減少信号又は出力停止信号を送信し、第1及び第2ファン35a,35b(ファンユニット30)から給気する清浄空気の給気風量を設定給気風量よりも減少させ、又は、第1及び第2ファン35a,35b(ファンユニット30)からの清浄空気の給気を停止させる(給気風量調節手段)。
【0076】
コントローラは、給気風量調節手段の実施中にカラオケ歌唱中の着用者11が呼吸のために歌うことを一時停止し、マイクロフォン28によって着用者11の歌声(音声)が集音されなくなった場合、第1及び第2ファン35a,35bの制御部に出力回復信号を送信し、給気風量調節手段によって減少させた清浄空気の給気風量を設定給気風量(調節ツマミによって調節された給気風量)に回復させ、又は、給気風量調節手段によって給気を停止した清浄空気の設定給気風量(調節ツマミによって調節された給気風量)での給気を再開する(給気風量復帰手段)。
【0077】
フェイスガード10Aは、ファンユニット30(第1及び第2ファン35a,35b)からスペース22に所定風量の清浄空気が強制的に給気されることで、スペース22の気圧が陽圧になり、フェイスガード10Aを着用した着用者11が呼吸をした状態において空気が空気排気口27から流出し、空気排気口27からスペース22に外気が流入することはない。フェイスガード10Aは、それを着用した着用者11の呼気の量にあわせて第1及び第2ファン35a,35bの出力を調節し、スペース22に流入する清浄空気の給気風量を調節することで、スペース22の気圧を陽圧に保持することができる。
【0078】
着用者11は、フェイスガード10A(フェイスガード10B,10Cを含む)を顔面12に着用した状態で、歌を歌う等の各種の行動を行う。フェイスガード10A(フェイスガード10B,10Cを含む)を顔面12から取り外すには、第1及び第2ファン35a,35bのON/OFFスイッチをOFFにするとともに、第1及び第2ペルチェ素子36a,36bのON/OFFスイッチをOFFにした後、耳29から第1及び第2テンプル15a,15bを取り外す。
【0079】
フェイスガード10A(フェイスガード10B,10Cを含む)は、首掛けアーム32を着用者11の首回り38に着用することで(引っ掛けることで)、ファンユニット30を首回り38に掛けることができ、ファンユニット30を他所に設置する必要がなく、場所を取ることがないとともに、ファンユニット30を手で持つ必要がないから、フェイスガード10Aを着用した着用者11がその両手を自由に使いながら歌を歌う等の各種の行動を行うことができる。
【0080】
フェイスガード10Aは、着用者11がそれを着用したときに、フレーム14(シールド13の周縁)が着用者11の顔面12のフェイスラインを形成する額16、頬17、顎18に当接し、シールド13が着用者11の両眼19、鼻20、口21を含む着用者11の額16、頬17、顎18を包被するから、シールド13によって着用者11の両眼19、鼻20、口21を飛沫から保護することができ、顔面12への飛沫の付着を防ぐことができる。フェイスガード10Aは、着用者11の額16、頬17、顎18を包被するシールド13と着用者11の顔面12との間に形成されたスペース22にファンユニット30(空気給気手段)から所定風量の清浄空気が給気され、着用者11の顔面12とシールド13との間に形成された所定容積のスペース22を清浄空気で満たすことができ、塵埃や微細な粒子、カビ、細菌、病原体(ウイルス)の吸引を防ぐことができる。フェイスガード10Aは、ファンユニット30(空気給気手段)から給気された所定風量の清浄空気によってスペース22の気圧が陽圧になり、空気排気口27からのスペース22への空気の逆流を防ぐことができ、スペース22に塵埃や微細な粒子、カビ、細菌、病原体(ウイルス)が流入するコンタミネーションを防ぐことができる。
【0081】
フェイスガード10Aは、フレーム14(シールド13の周縁)が着用者11の顔面12のフェイスラインを形成する額16、頬17、顎18に当接し、シールド13が着用者11の両眼19、鼻20、口21を含む着用者11の額16、頬17、顎18を包被するから、湿性生体物質の飛沫(病原体(ウイルス)を含む咳やくしゃみ、あるいは気道の吸引等によって飛散した体液の粒子)が飛散する病原体の感染拡大環境において、湿性生体物質に含まれる病原体(ウイルス)による曝露から着用者11の眼部、鼻腔、口腔をシールド13によって十分に防護することができ、病原体(ウイルス)の飛沫感染を確実に防ぐことができる。
【0082】
フェイスガード10Aは、第1及び第2エアフィルタ37a,37bが加水分解によって微生物の細胞壁を分解する溶菌酵素を濾材繊維に付着させた殺菌・酵素HEPAフィルタであるから、第1及び第2エアフィルタ37a,37bによって塵埃や微細な粒子、カビ、細菌、病原体(ウイルス)を捕集することができるのみならず、エアフィルタ37a,37bの濾材繊維に付着(添着)させた溶菌酵素がエアフィルタ37a,37bに捕集された病原体(ウイルス)のエンベロープ(細胞壁)を破壊(分解)し、エンベロープウイルス(コロナウイルス、インフルエンザウイルス、ヘルペスウイルス、風疹ウイルス、B型やC型肝炎ウイルス、エイズウイルス等)を不活化させるから、病原体(ウイルス)や病原体(ウイルス)を主とした微粒子(飛沫核)の吸引を防ぐことができ、病原体(ウイルス)の空気感染や飛沫感染を確実に防ぐことができる。フェイスガード10A(フェイスガード10B,10Cを含む)は、各医療現場において感染者と接する各医療関係者が着用することで、各医療関係者に対する飛沫感染や空気感染を防ぐことができ、医療現場における感染防止具として使用することもできる。
【0083】
フェイスガード10A(フェイスガード10B,10Cを含む)は、第1ペルチェ素子36aの吸熱面45を第1エアフィルタ37aに対向させつつその放熱面46を第1ファン35aに対向させる第1配置及び第2ペルチェ素子36bの吸熱面45を第2エアフィルタ37bに対向させつつその放熱面46を第2ファン35bに対向させる第1配置にそれらペルチェ素子36a,36bを設置することで、第1及び第2ファン35a,35bから給気された空気を冷却し、清浄な冷却空気(冷気)をスペース22に給気することができ、高温環境においてそれらペルチェ素子36a,36bを利用することでフェイスガード10Aを快適に使用することができる。
【0084】
フェイスガード10A(フェイスガード10B,10Cを含む)は、第1ペルチェ素子36aの吸熱面45が第1ファン35aに対向しつつその放熱面46が第1エアフィルタ37aに対向する第2配置及び第2ペルチェ素子36bの吸熱面45が第2ファン35bに対向しつつその放熱面46が第2エアフィルタ37bに対向する第2配置にそれらペルチェ素子36a,36bを設置することで、第1及び第2ファン35a,35bから給気された空気を加熱し、清浄な加熱空気(暖気)をスペース22に給気することができ、低温環境においてそれらペルチェ素子36a,36bを利用することでフェイスガード10Aを快適に使用することができる。又、加熱空気(暖気)が第1及び第2エアフィルタ37a,37bを通流することで、第1及び第2エアフィルタ37a,37bを加熱空気の熱によって殺菌することができ、エアフィルタ37a,37bを清潔に保つことができる。
【0085】
フェイスガード10A(フェイスガード10B,10Cを含む)は、それをカラオケボックスにおいて利用する場合、密閉・密接・密集の3密になり易いカラオケボックスにおいてフェイスガード10Aを使用することで、着用者11の両眼19、鼻20、口21を飛沫から保護するとともに塵埃や微細な粒子、カビ、細菌、病原体(ウイルス)の吸引を防ぎつつ、再生されたカラオケ曲の伴奏に合わせて着用者11が安心して歌を歌うことができ、他のカラオケ利用者に対する空気感染や飛沫感染を防ぐことができる。フェイスガード10Aは、着用者11の口21に対向するシールド13の口対向箇所に空気排気口27が開口しているから、着用者11の声がこもることはなく、発音した音声を正確に伝えることができる。
【0086】
図8は、他の一例として示すフェイスガード10Bの正面斜視図であり、図9は、着用者11が着用した使用状態で示す図8のフェイスガード10Bの正面図である。このフェイスガード10Bが図1のそれと異なるところは、シールド13の周縁の右上にヘッドマウントディスプレイ50(スカウター)が取り付けられている点にある。このフェイスガード10Bのその他の構成は図1のフェイスガード10Aのそれらと同一であるから、図1と同一の符号を付すとともに図1の説明を援用することで、このフェイスガード10Bのその他の構成の詳細な説明は省略する。
【0087】
フェイスガード10Bは、無色透明な所定面積のシールド13と、シールド13の周縁に延びる環状のフレーム14と、一対の第1及び第2テンプル15a,15b(第1及び第2つる)と、給気手段とから形成されている。シールド13や第1及び第2テンプル15a,15b、給気手段(ファンユニット30、第1及び第2チューブ31a,31b、第1及び第2ペルチェ素子36a,36b)は、図1のフェイスガード10Aのそれらと同一である。フェイスガード10Bは、ヘッドマウントディスプレイ50(スカウター)を備えている。ヘッドマウントディスプレイ50は、シールド13の周縁の右上(第1テンプル15aの直下のシールド13の周縁)に配置され、その一端部47が所定の固定手段を介してフレーム14を含むシールド13に固定されている。ヘッドマウントディスプレイ50は、を着用者11が着用したときに、シールド13の着用者11の一方の眼19を覆う箇所に位置する。
【0088】
ヘッドマウントディスプレイ50は、所定のインターフェイスを介してコントローラ(制御装置)に接続されている。尚、フェイスガード10Bのコントローラ(制御装置)は、所定のインターフェイスを介してカラオケ機器に接続されている。コントローラは、図1のフェイスガード10Aと同様に、給気風量維持手段、給気風量調節手段、給気風量復帰手段を実施する。着用者11がフェイスガード10Bを顔面12に着用した状態で、カラオケ曲の伴奏に合わせて歌を歌う場合、コントローラは、カラオケ機器から着用者11が歌うカラオケ曲の歌詞を受信し、その歌詞(歌詞データ)をヘッドマウントディスプレイ50に出力(表示)する(歌詞データ出力手段)。尚、ヘッドマウントディスプレイ50には、カラオケ曲の歌詞のみならず、他のあらゆる情報(データ)が出力(表示)される。
【0089】
フェイスガード10Bは、フェイスガード10Aが有する効果に加え、以下の効果を有する。フェイスガード10Bは、カラオケ曲の歌詞がヘッドマウントディスプレイ50に表示されるから、着用者11がヘッドマウントディスプレイ50に表示された歌詞を見ながらその場で歌を歌うことができ、ステージに移動することなく、ソーシャルディスタンスを保持した状態で歌を歌うことができる。フェイスガード10Bは、所定の情報がヘッドマウントディスプレイ50に表示されるから、着用者11がヘッドマウントディスプレイ50に表示された情報を見ることで、フェイスガード10Bを介して各種情報を知ることができ、その情報に基づいて所定の作業を行うことができる。
【0090】
図10は、他の一例として示すフェイスガード10Cの斜視図であり、図11は、図10のフェイスガード10Cの正面図である。尚、図10,11では、ファンユニット30の図示を省略している。フェイスガード10Cは、無色透明な所定面積のシールド13と、シールド13の周縁に延びるフレーム14と、一対の第1及び第2テンプル15a,15b(第1及び第2つる)と、給気手段とから形成されている。第1及び第2テンプル15a,15b、給気手段(ファンユニット30、第1及び第2チューブ31a,31b、第1及び第2ペルチェ素子36a,36b)は、図1のフェイスガード10Aのそれらと同一である。シールド13は、それを横方向へ二分する仮想縦中心線Lを挟んで左右対称形に成形されている。シールド13は、その厚み寸法が0.5~3mmの範囲にある。
【0091】
フェイスガード10Cでは、着用者11がそれを着用したときに、フレーム14(シールド13の周縁)が着用者11の顔面12の額16、頬17に当接し、シールド13が着用者11の両眼19を含む着用者11の額16、頬17を包被する。フェイスガード10Cでは、シールド13が着用者11の額16、頬17から前方へ所定寸法離間し、所定容積のスペース22が着用者11の顔面12とシールド13との間に形成される。シールド13やフレーム14、第1及び第2テンプル15a,15bの材質は、図1のフェイスガード10Aのそれと同一である。
【0092】
フレーム14の右上(第1テンプル15aを連接した位置に延びるフレーム14)には、着用者11の顔面12とシールド13との間のスペース22に清浄空気を送気する第1空気送気口26a(空気送気口)が形成(穿孔)されている。フレーム14の左上(第2テンプル15bを連接した位置に延びるフレーム14)には、着用者11の顔面12とシールド13との間のスペース22に清浄空気を送気する第2空気送気口26b(空気送気口)が形成(穿孔)されている。
【0093】
フレーム14の左上(第2テンプル15bを連接した位置に延びるフレーム14)には、一端部52がフレーム14の回転可能に設置された旋回アーム51が取り付けられている。旋回アーム51は、その一端部52を中心に上下方向へ旋回可能である。旋回アーム51の先端部53には、単一指向性マイクロフォン28が設置されている。シールド13の下方において横方向へ延びるフレーム14には、フレーム14を上下方向へ貫通する複数の空気排気口27(空気排気孔)が形成(穿孔)されている。それら空気排気口27(空気排気孔)は、横方向へ等間隔離間して並んでいる。
【0094】
第1及び第2テンプル15a,15bを耳29に掛けると、フレーム14が着用者11の顔面12の額16、頬17に当接し、シールド13が着用者11の両眼19を含む着用者11の額16、頬17を包被する。フェイスガード10Cを顔面12に着用した後、着用者11は、第1及び第2ファン35a,35bのON/OFFスイッチをONにし、第1及び第2ペルチェ素子36a,36bのON/OFFスイッチをONにするとともに、旋回アーム51を旋回させてマイクロフォン28を口21の前方に位置させる。次に、着用者11は、ファンユニット30の首掛けアーム32を首回り38に装着する(引っ掛ける)。着用者11は、第1及び第2ファン35a,35bの出力調整ツマミを利用して第1及び第2ファン35a,35bの出力(給気風量)を調節し、第1及び第2ペルチェ素子36a,36bの出力調節ツマミを利用して第1及び第2ペルチェ素子36a,36bの出力(清浄空気の温度)を調節する。尚、フレーム14の右上(第1テンプル15aを連接した位置に延びるフレーム14)にフェイスガード10Bと同様の各種情報を出力(表示)するヘッドマウントディスプレイ50(スカウター)が設置されていてもよい。
【0095】
第1及び第2ファン35a,35bと第1及び第2ペルチェ素子36a,36bとが稼働すると、空気(外気)が第1及び第2空気取入口34a,34bから第1及び第2エンドエリア33a,33bの内部に流入し、第1及び第2ペルチェ素子36a,36bを収容したペルチェ素子収容部41(空気流路)を通流しつつ第1及び第2エアフィルタ37a,37b(空気流路)を通流する。第1及び第2ペルチェ素子36a,36bが第1配置である場合、第1及び第2ペルチェ素子36a,36bによってペルチェ素子収容部41を通流する空気が冷却され、更に、第1及び第2エアフィルタ37a,37bを通流することで、冷却空気(冷気)に含まれる塵埃や微細な粒子、カビ、細菌、病原体(ウイルス)が捕集され、第1及び第2エアフィルタ37a,37bによって清浄な冷却空気が作られる。清浄な冷却空気(冷気)は、第1及び第2チューブ31a,31bに流入し、第1及び第2チューブ31a,31bを通流して第1及び第2空気送気口26a,26bからスペース22に送気される。第1及び第2エアフィルタ37a,37bに捕集された病原体(ウイルス)は、第1及び第2エアフィルタ37a,37bの濾材繊維に付着(添着)された溶菌酵素によってエンベロープ(細胞壁)が破壊(分解)されて不活化する。
【0096】
第1及び第2ペルチェ素子36a,36bが第2配置である場合、第1及び第2ペルチェ素子36a,36bによってペルチェ素子収容部41を通流する空気が加熱され、更に、第1及び第2エアフィルタ37a,37bを通流することで、加熱空気(暖気)に含まれる塵埃や微細な粒子、カビ、細菌、病原体(ウイルス)が捕集され、第1及び第2エアフィルタ37a,37bによって清浄な加熱空気が作られる。清浄な加熱空気(暖気)は、第1及び第2チューブ31a,31bに流入し、第1及び第2チューブ31a,31bを通流して第1及び第2空気送気口26a,26bからスペース22に送気される。尚、加熱空気(暖気)が第1及び第2エアフィルタ37a,37bを通流することで、第1及び第2エアフィルタ37a,37bが加熱空気の熱によって殺菌される。
【0097】
スペース22に給気された清浄な冷却空気又は清浄な加熱空気は、着用者11に吸引され、着用者11に吸引されない残余の清浄空気が着用者11の呼気とともに空気排気口27からスペース22の外部(シールド13の外部)に排気される。フェイスガード10Cでは、図10に矢印で示すように、空気排気口27から排気される清浄空気がシールド13の下端から下方へ向かって排気され、シールド13の下端から下方へ排気された空気(着用者11の鼻20及び口21に向かって流れる空気)がエアーカーテンを形成する。着用者11は、呼吸をした状態において、空気排気口27からスペース22の外部へ空気が排気されるように、首掛けアーム32の第1及び第2ファン35a,35bの出力調整ツマミによって第1及び第2ファン35a,35bの出力を調節し、ファンユニット30(第1及び第2ファン35a,35b)から給気される清浄空気の給気風量を調節する。
【0098】
着用者11がフェイスガード10Cを顔面12に着用した状態で、カラオケ曲の伴奏に合わせて歌を歌った場合、着用者11の歌う歌声(音声)を単一指向性マイクロフォン28が集音し、その電気信号がマイクロフォン28からアンプに送信される。アンプでは、電気信号を増幅し、増幅した電気信号をスピーカーによって音に変換し、スピーカーから着用者11の歌声を発音する。尚、カラオケボックスに集まった他のすべての着用者11がフェイスガード10C(フェイスガード10A,10Bを含む)を着用し、カラオケを楽しむ。尚、コントローラは、給気風量維持手段、給気風量調節手段、給気風量復帰手段を実施する。フェイスガード10Cは、旋回アーム51を上下方向へ旋回させることで、その先端部53に設置されたマイクロフォン28を着用者11の口21の位置に合わせることができ、着用者11の音声をマイクロフォン28に確実に拾わせることができる。
【0099】
フェイスガード10Cは、着用者11がそれを着用したときに、フレーム14(シールド13の周縁)が着用者11の顔面12の額16、頬17に当接し、シールド13が着用者11の両眼19を含む着用者11の額16、頬17を包被するから、シールド13によって着用者11の両眼19を飛沫から保護することができ、顔面12への飛沫の付着を防ぐことができる。フェイスガード10Cは、着用者11の額16、頬17を包被するシールド13と着用者11の顔面12との間に形成されたスペース22にファンユニット30(空気給気手段)から所定風量の清浄空気が給気され、着用者11の顔面12とシールド13との間に形成された所定容積のスペース22を清浄空気で満たすことができ、塵埃や微細な粒子、カビ、細菌、病原体(ウイルス)の吸引を防ぐことができる。フェイスガード10Cは、ファンユニット30(空気給気手段)から給気された所定風量の清浄空気によってスペース22の気圧が陽圧になり、空気排気口27からのスペース22への空気の逆流を防ぐことができ、スペース22に塵埃や微細な粒子、カビ、細菌、病原体(ウイルス)が流入するコンタミネーションを防ぐことができる。
【0100】
フェイスガード10Cは、シールド13の下端から下方へ清浄空気を排気することで、シールド13の下端から下方へ排気された空気がエアーカーテンを形成し、着用者11の両眼19、鼻20、口21を飛沫から保護することができ、塵埃や微細な粒子、カビ、細菌、病原体(ウイルス)の吸引を防ぐことができる。フェイスガード10Cは、湿性生体物質の飛沫(病原体(ウイルス)を含む咳やくしゃみ、あるいは気道の吸引等によって飛散した体液の粒子)が飛散する病原体の感染拡大環境において、湿性生体物質に含まれる病原体(ウイルス)の着用者11の鼻腔や口腔への侵入をエアーカーテンによって防護することができ、病原体(ウイルス)の飛沫感染を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0101】
10A フェイスガード
10B フェイスガード
10C フェイスガード
11 着用者
12 顔面
13 シールド
14 フレーム
15a 第1テンプル(第1つる)
15b 第2テンプル(第2つる)
16 額
17 頬
18 顎
19 眼
20 鼻
21 口
22 スペース
23 第1補強部
24 第2補強部
25 第3補強部
26a 第1空気送気口
26b 第2空気送気口
27 空気排気口
28 マイクロフォン
29 耳
30 ファンユニット(空気給気手段)
31a 第1チューブ
31b 第2チューブ
32 首掛けアーム
33a 第1エンドエリア
33b 第2エンドエリア
34a 第1空気取入口
34b 第2空気取入口
35a 第1ファン
35b 第2ファン
36a 第1ペルチェ素子
36b 第2ペルチェ素子
37a 第1エアフィルタ
37b 第2エアフィルタ
38 首回り
39 電源収容部
40 ファン収容部
41 ペルチェ素子収容部
42 フィルタ収容部
43 開閉蓋
44 開閉蓋
45 吸熱面
46 放熱面
48 中間部
49 他端部
50 ヘッドマウントディスプレイ(スカウター)
51 旋回アーム
52 一端部
53 先端部
図1
図2
図3
図4
図5
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図11