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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022074527
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】杭孔形成装置
(51)【国際特許分類】
   E21B 7/00 20060101AFI20220511BHJP
   E02D 7/00 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
E21B7/00 A
E02D7/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020184636
(22)【出願日】2020-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】000140292
【氏名又は名称】株式会社奥村組
(71)【出願人】
【識別番号】000228660
【氏名又は名称】日本コンクリート工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】592005825
【氏名又は名称】佐藤鉄工株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】398021607
【氏名又は名称】株式会社地盤試験所
(71)【出願人】
【識別番号】391005950
【氏名又は名称】株式会社東横エルメス
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三澤 孝史
(72)【発明者】
【氏名】清水 智明
(72)【発明者】
【氏名】小寺 満
(72)【発明者】
【氏名】後藤 祐一
(72)【発明者】
【氏名】山本 伊作
(72)【発明者】
【氏名】井川 実
(72)【発明者】
【氏名】小林 敏之
【テーマコード(参考)】
2D050
2D129
【Fターム(参考)】
2D050CA01
2D050CA04
2D050CB03
2D050FF04
2D129AB16
2D129BA26
2D129BA27
2D129BB04
2D129BB08
2D129CB09
2D129CB12
2D129DA12
2D129DC13
2D129GA15
2D129GA33
(57)【要約】      (修正有)
【課題】杭径が小径であっても適用可能な杭孔形成装置を提供する。
【解決手段】杭孔形成装置は、上下方向に複数のオーガロッドが接続され、先端のオーガロッドの先端部にオーガヘッド30を有する。杭孔形成装置は、オーガヘッド30を上下方向に貫通して形成された貫通孔と、先端のオーガロッドの中空部内と貫通孔36内とを連続して上下移動可能に設けられた貫入用ロッド52と、貫入用ロッド52の下端部に接続された測定コーン51と、先端のオーガロッド内に設けられ、貫入用ロッド52を下方に向けて先端のオーガロッドの中空部と貫通孔36内を移動させ、測定コーン51をオーガヘッド30の外部に押し出して地盤内に貫入させる流体圧シリンダと、一端部が貫通孔36と接続され、他端部がオーガヘッド30の外部に突出する固化材圧送管61と、先端のオーガロッドに接続されるオーガロッド内に上下方向に延びて形成された固化材圧送管とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に複数のオーガロッドが接続され、先端の前記オーガロッドの先端部にオーガヘッドを有し、前記複数のオーガロッドを回転駆動することにより、前記オーガヘッドによって地盤を掘削して杭孔を形成する杭孔形成装置であって、
前記オーガヘッドを上下方向に貫通して形成された貫通孔と、
前記先端のオーガロッドの中空部内と前記貫通孔内とを連続して上下移動可能に設けられたロッドと、
前記ロッドの下端部に接続された測定コーンと、
前記先端のオーガロッド内に設けられ、前記ロッドを下方に向けて前記先端のオーガロッドの中空部と前記貫通孔内を移動させ、前記測定コーンを前記オーガヘッドの外部に押し出して前記地盤内に貫入させる貫入手段と、
前記ロッドと前記測定コーンとの間に位置し、前記測定コーンを前記地盤内に貫入させる際の抵抗力を測定する抵抗力測定手段と、
一端部が前記貫通孔と接続され、他端部がオーガヘッドの外部に突出する第1の固化材圧送管と、
前記先端のオーガロッドに接続されるオーガロッド内に上下方向に延びて形成された第2の固化材圧送管と、
前記先端のオーガロッドの外部において、上下方向に延び、一端部が前記第1の固化材圧送管の前記他端部に接続されると共に、他端部が前記第2の固化材圧送管の先端部に接続される第3の固化材圧送管とを備えることを特徴とする杭孔形成装置。
【請求項2】
前記杭孔を形成するとき、前記測定コーンは前記第1の固化材圧送管の前記一端部が接続される前記貫通孔の部分より上方の貫通孔内に位置することを特徴とする請求項1に記載の杭孔形成装置。
【請求項3】
前記先端のオーガロッド内に設けられ、前記ロッドの上下方向の変位を計測する変位計測手段と、
前記先端のオーガロッドの中空部内に位置し、前記ロッドに接続され、前記ロッドの水平方向の移動を抑制する移動抑制手段と、
前記抵抗力測定手段に接続され、前記ロッドの中空部を通り、前記ロッドに形成された開口を介して前記ロッドの外部に露出し、前記先端のオーガロッドの内部を通る通信線と、
先端が前記移動抑制手段に固定され、上方に延びる棒状体とを備え、
前記変位計測手段は前記棒状体の変位量を計測することを特徴とする請求項1又は2に記載の杭孔形成装置。
【請求項4】
前記先端のオーガロッドは、分離可能に連結される複数の筒状体を有し、隣接する前記筒状体は端部に備わるフランジ同士が接続されることにより連結され、
前記第3の固化材圧送管は、各筒状体に備わる前記フランジ間を接続する固化材圧送分管が前記フランジに形成された貫通孔を介して接続されてなることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の杭孔形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、杭孔形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
杭などの施工において、掘削孔(杭孔)は、杭打設機等の掘削機に備えたアースオーガを回転駆動し、地中に貫入させることによって形成される。既製コンクリート杭を埋め込む際には、所定以上の支持力を有する支持層まで杭の先端を挿入する必要がある。
【0003】
そこで、例えば、特許文献1には、アースオーガを構成する複数のオーガロッドのうち先端のオーガロッド部内の下端部に測定コーンを設け、この測定コーンを地盤に貫入させ、その際の抵抗力を3成分センサで測定する技術が開示されている。
【0004】
この技術においては、固化材圧送管、測定コーンを進退させる油圧シリンダ用の流体配管、オーガヘッドの撹拌翼の開閉を行う油圧シリンダ用の流体配管、3成分センサの測定データを伝達する通信線などが、先端のオーガロッド内に収容されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-56216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示された技術においては、杭径が小さいためにオーガロッドが小径である場合、上述した固化材圧送管、流体配管及び通信線などを全てオーガロッド内に収容することが困難である。そのため、上記特許文献1に開示された技術は、杭径が小径である場合、適用できない可能性があった。
【0007】
本発明は、以上の点に鑑み、杭径が小径であっても適用可能な杭孔形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の杭孔形成装置は、上下方向に複数のオーガロッドが接続され、先端の前記オーガロッドの先端部にオーガヘッドを有し、前記複数のオーガロッドを回転駆動することにより、前記オーガヘッドによって地盤を掘削して杭孔を形成する杭孔形成装置であって、前記オーガヘッドを上下方向に貫通して形成された貫通孔と、前記先端のオーガロッドの中空部内と前記貫通孔内とを連続して上下移動可能に設けられたロッドと、前記ロッドの下端部に接続された測定コーンと、前記先端のオーガロッド内に設けられ、前記ロッドを下方に向けて前記先端のオーガロッドの中空部と前記貫通孔内を移動させ、前記測定コーンを前記オーガヘッドの外部に押し出して前記地盤内に貫入させる貫入手段と、前記ロッドと前記測定コーンとの間に位置し、前記測定コーンを前記地盤内に貫入させる際の抵抗力を測定する抵抗力測定手段と、一端部が前記貫通孔と接続され、他端部がオーガヘッドの外部に突出する第1の固化材圧送管と、前記先端のオーガロッドに接続されるオーガロッド内に上下方向に延びて形成された第2の固化材圧送管と、前記先端のオーガロッドの外部において、上下方向に延び、一端部が前記第1の固化材圧送管の前記他端部に接続されると共に、他端部が前記第2の固化材圧送管の先端部に接続される第3の固化材圧送管とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の杭孔形成装置によれば、固化材は、先端のオーガロッドに接続されるオーガロッド内に配置された第2の固化材圧送管から先端のオーガロッドの外部に位置する第3の固化材圧送管を介して、オーガヘッドに形成された貫通孔に一端部が接続された第1の固化材圧送管に圧送される。そのため、先端のオーガロッドの貫入手段を駆動するための油圧配管及び抵抗力測定手段に接続された通信線などが内蔵される部分に固化材圧送管を配置する必要がない。これにより、この部分に固化材圧送管を配置する上記特許文献1に記載の技術と比較して、オーガロッドの内径の小径化が図られ、小径の杭径を形成することが可能となる。
【0010】
本発明の杭孔形成装置において、前記杭孔を形成するとき、前記測定コーンは前記第1の固化材圧送管の前記一端部が接続される前記貫通孔の部分より上方の貫通孔内に位置することが好ましい。
【0011】
この場合、杭孔の形成時に、固化材を貫通孔内を圧送させる際に、測定コーンによって固化材の流れが邪魔されないので、貫通孔の径が小さくても、固化材を良好に圧送することが可能となる。
【0012】
また、本発明の杭孔形成装置において、前記先端のオーガロッド内に設けられ、前記ロッドの上下方向の変位を計測する変位計測手段と、 前記先端のオーガロッドの中空部内に位置し、前記ロッドに接続され、前記ロッドの水平方向の移動を抑制する移動抑制手段と、前記抵抗力測定手段に接続され、前記ロッドの中空部を通り、前記ロッドに形成された開口を介して前記ロッドの外部に露出し、前記先端のオーガロッドの内部を通る通信線と、先端が前記移動抑制手段に固定され、上方に延びる棒状体とを備え、前記変位計測手段は前記棒状体の変位量を計測することが好ましい。
【0013】
この場合、移動抑制手段によりロッドの振れ、回転、変形などが抑制されると共に、貫入手段を駆動させるための流体ホースなどと接触しても棒状体はワイヤと比較して変形が生じ難い。これらにより、変位計測手段によるロッドの変位計測の正確化を図ることが可能となる。
【0014】
また、本発明の杭孔形成装置において、前記先端のオーガロッドは、分離可能に連結される複数の筒状体を有し、隣接する前記筒状体は端部に備わるフランジ同士が接続されることにより連結され、 前記第3の固化材圧送管は、各筒状体に備わる前記フランジ間を接続する固化材圧送分管が前記フランジに形成された貫通孔を介して接続されてなることが好ましい。
【0015】
この場合、第3の固化材圧送管が複数の筒状体の長さと同程度の全長の固化材圧送分管に分割されるため、第3の固化材圧送管の清掃などが容易になるので、先端のオーガロッドの取り扱いの容易化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る杭孔形成装置の概略側面図。
図2】オーガロッドの一部を示す概略側面図。
図3】先端のオーガロッドの下部を示す概略断面図。
図4】先端のオーガロッドの中間部及び上部などを示す概略断面図。
図5図3のV-V線概略断面図。
図6図4のVI-VI線概略断面図。
図7図3のVII-VII線概略断面図。
図8】通信線の接続部付近を示す概略側面図。
図9】杭孔形成装置を用いて支持力を確認する方法のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態に係る杭孔形成装置100について図面を参照して説明する。
【0018】
杭孔形成装置100は、図1に示すように、アースオーガ110を用いて既製杭の杭孔を掘削する際において、アースオーガ110の先端部が支持層に到達していることを確認することが可能な地盤強度確認機構を備えている。
【0019】
ここでは、アースオーガ110を使用する既製杭の埋め込み杭工法のうち、オーガヘッド30からセメントミルクなどの固化材を根固め液として注入する工法において、杭孔形成装置100を適用する場合について説明する。具体的には、セメントミルク工法などのプレボーリング工法、中掘り根固め工法等の中掘り工法、回転根固め工法等の回転工法などの工法である。
【0020】
杭孔形成装置100は、主に、杭などを打設する掘削孔を形成するアースオーガ110と、現場に設置され、アースオーガ110を回転駆動して地盤Aに貫入させるアースオーガ駆動装置120とから構成されている。また、図示しないが、セメントミルクなどの固化材を蓄える固化材タンクも配置されている。
【0021】
アースオーガ110は、アースオーガ駆動装置120の支柱121に設けられた振れ止め122に、上下方向へ移動自在に保持されながら、支柱121にガイドされて下降移動されるオーガヘッド30により回転駆動されて、地盤Aに圧入される。
【0022】
これにより、アースオーガ110は、地盤Aに貫入され、掘削孔が鉛直下向きに形成される。そして、支柱121の下部に達したオーガヘッド30の支柱121の上部への盛り替えと、地盤Aへ貫入されたアースオーガ110に対して、オーガロッド20の継ぎ足しを繰り返すことにより、設計上の所定深さの掘削孔が形成される。
【0023】
アースオーガ110は、複数本のオーガロッド10,20が上下方向に接続されてなり、先端(下端)のオーガロッド10の先端部(下端部)にオーガヘッド30を有している。
【0024】
オーガロッド10,20は、図2に示すように、掘削する杭孔の深さに応じて、接続される本数及びその長さが定まる。1本目(最先端)のオーガロッド10以外のオーガロッド20、すなわち2本目以降のオーガロッド20は、同じ構造である。これらのオーガロッド20は、円筒状体であって、掘削した土砂を上部に送るために、螺旋翼(スクリュー)20aが外周面に固定されている。
【0025】
1本目のオーガロッド10は、複数、ここでは4つの円筒状体11~14を有する構造となっている。これら円筒状体11~14は、図4も参照して、隣接して接続される円筒状体11~14に対して、それぞれ分離可能に構成されている。円筒状体11~14は本願発明の筒状体に相当する。
【0026】
各円筒状体11~14には、隣接する円筒状体11~14との接続のために、これら円筒状体11~14との接続面側に端部にそれぞれフランジ11b~14bが形成されている。
【0027】
そして、各フランジ11b~14bには貫通孔11cが形成されており、対応する貫通孔11cにボルト15Aを挿通させた状態で、ナット15Bの雌ねじ部をボルト15Aの雄ねじ部と螺合することによって、隣接する円筒状体11~14が互いに固定される。
【0028】
各円筒状体11~14の外周面にも前記オーガロッド20と同様に、螺旋翼11a~14aが固定されている。螺旋翼11a~14aは、なるべく連続するように形成されている。ここでは、螺旋翼11a~14aはフランジ11b~14bの側面まで形成されており、これにより螺旋翼11a~14aは連続している。これにより、オーガロッド10の回転による掘削効率の向上を図ることが可能となる。
【0029】
図3に示すように、オーガヘッド30は、螺旋翼31aが外周面に固定された円筒状体31を主構成要素とするオーガヘッド本体32と、オーガヘッド本体32の元端側(上端側)に接続され、オーガヘッド本体32とオーガロッド10の1段目(最先端)の円筒状体11とを接続するジョイント33とから構成されている。そして、螺旋翼31aの先端部(下端部)には、複数個の掘削ビット41が取り付けられている。なお、オーガヘッド30は、オーガヘッド本体32とジョイント33とが一体的に構成されたものであってもよい。
【0030】
オーガヘッド30には、その軸心を上下方向に貫通して延びる貫通孔34が形成されている。貫通孔34は、オーガヘッド本体32に形成された貫通孔35と、貫通孔35と連続し、ジョイント33に形成された貫通孔36とから構成されている。なお、貫通孔34は本願発明の貫通孔に相当する。
【0031】
さらに、図3に示すように、ここでは、円筒状体31には、拡閉可能な拡大ヘッド42が設けられている。この拡大ヘッド42は、複数本、ここでは2本の拡大翼42aから構成されている。各拡大翼42aは、中間部が円筒状体31の外部に設けられた軸31cに回転自在に支持されており、先端部には複数個の掘削ビット42bが取り付けられている。拡大ヘッド42の拡大翼42aは、円筒状体31に内蔵された油圧シリンダなどの流体圧シリンダ43によって拡閉される。
【0032】
そして、各拡大翼42aの他端部は、流体圧シリンダ43のロッド43aの外周部に設けられた窪み43bに嵌合されている。なお、流体圧シリンダ43は、その中央部に上下方向に貫通する孔が形成されており、全体として細長いドーナツ形状となっている。
【0033】
さらに、ロッド43aより上方の油室S1内に油などの流体を流入又は当該油室S1内の流体を排出するための第1の流体流路44、及び、ロッド43aより下方の油室S2内に流体を流入又は当該油室S2内の油などの流体を排出するための第2の流体ホース45(不図示)が円筒状体31内に設けられている。各流体流路44,45の端部は、それぞれ円筒状体31の上端部に設けられた接続部(コネクタ)44a,45a(接続部45aは不図示)に接続されている。
【0034】
拡大ヘッド42は、上記のように構成されることによって、図3に実線で示すように、第1の流体流路44を介して流体が流入し、油室S1が拡大することにより、ロッド43aが下方に移動して、各拡大翼42aが外側に向って開き、拡大ヘッド42が拡大する。一方、図3に2点鎖線で示すように、第2の流体流路45を介して流体が流入し、油室S2が拡大することにより、ロッド43aが上方に移動して各拡大翼42aが内側に向って閉じ、拡大ヘッド42が閉じる。
【0035】
さらに、杭孔の形成時には、オーガヘッド30、ひいてはジョイント33に形成された貫通孔36内に、コーン貫入試験で使用される測定コーン51が位置している。測定コーン51は、支持層に貫入可能なように先端が鋭角な円錐形状であり、後端部(上端部)に接続された貫入用ロッド52によって地盤A(図1参照)内に貫入される。
【0036】
貫入用ロッド52は、第1の円筒状体11の中空部及び貫通孔34を連続して上下方向に摺動可能に設けられている。貫入用ロッド52は本願発明のロッドに相当する。
【0037】
貫通孔35の先端は、オーガロッド31の下端に形成された開口31bまで達しており、計測時には貫通孔35の先端から飛び出す貫入用ロッド52の先端部に測定コーン51が、3成分センサ54を介して接続されている。3成分センサ54は、測定コーン51の先端抵抗(qc)、周面摩擦(fs)、間隙水圧(ud)の3成分を測定する。3成分センサ54は本願発明の抵抗力測定手段に相当する。
【0038】
貫通孔35は、その先端より少し上方において水平方向に分岐した複数の分岐部35aを有しており、これら分岐部35aの先端にセメントミルクなどの固化材が噴射される噴射口53が複数個設けられている。このように、噴射口53はオーガヘッド30の先端部より上方の周囲部に設けられており、固化材は水平方向に噴出される。
【0039】
また、貫通孔35内に外部から土砂などが流入しないように、貫通孔35の分岐部35aより下方のなるべく先端の部分に、封止手段55を設けることが好ましい。封止手段55は、貫通孔35内に外部から土砂が流入することを防止する土砂流入防止手段である。
【0040】
封止手段55は、例えば、ゴムなどの弾性材料からなり、測定コーン51の突出によって内側から押し開けられて、測定コーン51が元の位置に戻った後とは板ばねなどで閉じる構造を有する逆流防止弁(逆止弁)である。
【0041】
さらに、貫通孔36内を貫入用ロッド52が上下動するので、これによって貫通孔36の上側から固化材が漏れ出ないように、貫通孔36の分岐部36aが設けられた部分の上方に、摺動パッキン56が装着されている。そして、この摺動パッキン56を挿通して貫入用ロッド52が伸びている。
【0042】
また、オーガヘッド30内の貫通孔34は、測定時には貫入用ロッド52が内部を摺動するが、貫通孔34を通して固化材が圧送する際には、上記特許文献1に記載の技術とは異なり貫通孔34内に貫入用ロッド52が存在しないので、固化材の圧送量を確保するために貫通孔34を大径化する必要がない。
【0043】
さらに、杭孔の形成時には、測定コーン51は貫通孔36内に位置しているので、固化材を圧送させる際に、測定コーン51によって固化材の流れが邪魔されないため、貫通孔36の径が小さくても、固化材を良好に噴射口53から噴射することが可能となる。
【0044】
さらに、貫通孔36は、その上下方向の中間部において水平方向に分岐した複数の分岐部36aを有している。そして、これらの分岐部36aの先端であるジョイント33の外表面に固化材圧送管61の先端側の接続部61aがそれぞれ接続される接続部36bが設けられている。固化材圧送管61は本願発明の第1の固化材圧送管に相当する。
【0045】
なお、分岐部36a並びにこれに付随する固化材圧送管61及び接続部61a,36bは、それぞれガイドロッド10の軸心に対して対称に2個又は3個以上の複数個であることが好ましいが、それぞれ1個であってもよい。図3には、分岐部36a、固化材圧送管61及び接続部61a,36bなどはそれぞれ1個しか図示されていない。また、分岐部36aから分岐する固化材圧送管61の本数を増やせば、固化材圧送管61の1本当りの径を小さくすることはできるが、分岐部36aの構造が複雑になる。そのため、固化材圧送管61の本数は2本程度が好ましい。
【0046】
接続部36bと接続部61aは、何れか一方が雄ネジ継手、他方が雌ネジ継手であり、Oリングを介して、ワンタッチで接続可能に構成されている。なお、下記で説明する他の接続部同士の接続も、同様のような構成により接続されている。
【0047】
ここでは、固化材圧送管61は、ジョイント33の外表面の外側近傍を上方向に向かって延びている。そして、ジョイント33の上端には、外径が拡大されたフランジ部33aが設けられている。そして、このフランジ部33aには上下方向に貫通する貫通孔33bが形成されており、貫通孔33bの下端部に固化材圧送管61の上端の接続部61bが接続される接続部33cが設けられている。
【0048】
このように、貫通孔34のうち、貫通孔35、分岐部35a及び貫通孔36のうち分岐部36aより先端側の部分は、セメントミルクなどの固化材を圧送する固化材圧送管としても用いられる。セメントミルク工法等のように固化材を下方に噴出させる必要がある場合には、圧送される固化材の圧力によって開くほどの弱い封止力を有する封止手段55を用いればよい。また、摺動パッキン56の存在によって、第1の円筒状体11内に固化材が流入することを防止されている。
【0049】
第1の円筒状体11には、流体流路44,45の上端部に設けられた接続部44a,45aにそれぞれ、流体ホース47,48の下端に設けられた接続部47a,48aが接続されている。なお、流体流路45、流体ホース48及び接続部45a,48aは図示されていない。
【0050】
さらに、第1の円筒状体11には、固化材圧送管61に対応した本数の固化材圧送管62が外表面近傍の外側に上下方向に延びるように配置されている。第1の円筒状体11の上端と下端との外周面には、外径が拡大したフランジ11bが溶接などによって固定されている。そして、フランジ11bには、上下に貫通する貫通孔11dが形成されており、この貫通孔11dの上端部に接続部11eが設けられている。固化材圧送管62は、このフランジ部11bの貫通孔11dの上端部に設けられた接続部11eと接続される接続部62aを先端に有している。これら接続部11e,62aは前述した方式により接続される。
【0051】
さらに、図4に示すように、第1の円筒状体11の上端、第2及び第3の円筒状体12,13の上端及び下端並びに第4の円筒状体14の下端にも、外径が拡大したフランジ11b~14bが溶接などによって固定されている。そして、これらフランジ11b~14bにも図示しないが貫通孔が形成されており、これら貫通孔に設けられた接続部同士が接続されることにより、円筒状体11~14の外側に沿って設けられている固化材圧送管62~65が同様にして接続されている。固化材圧送管62~65は本願発明の第3の固化材圧送管及び固化材圧送分管に相当し、固化材圧送管66は本願発明の第2の固化材圧送管に相当する。
【0052】
第2の円筒状体12には、貫入用ロッド52を下方向に向けて押し出す油圧シリンダなどの流体圧シリンダ(ジャッキ)71が設けられている。そして、流体圧シリンダ71のロッド71aの先端(下端)に貫入用ロッド52の元端(上端)が固定されている。第2の円筒状体12には、流体圧シリンダ71に接続されている2本の流体ホース72,73も収容されている。
【0053】
流体圧シリンダ71のロッド71aが伸長することにより、貫入用ロッド52が下方向に移動して、貫入用ロッド52の先端部に固定されている測定コーン51(図3参照)が、オーガヘッド30の先端部より下方の外部に突出する。流体圧シリンダ71は本願発明の貫入手段に相当する。
【0054】
流体圧シリンダ71のロッド71aの伸長量、伸長速度などの伸長の態様、すなわち測定コーン51の突出の態様は、通常の静的コーン貫入試験で貫入試験を行う場合と同じ態様とすることが好ましい。これにより、通常の静的コーン貫入試験における測定コーン51の貫入量と支持力との関係をそのまま用いることができる。
【0055】
ただし、通常の静的コーン貫入試験で貫入試験を行う場合と異なる態様でもよく、この場合は、予め、測定コーン51の貫入量と支持力との関係を予め実験などによって求めておく必要がある。
【0056】
貫入用ロッド52は、ここでは、3成分センサ54(図3参照)に接続された通信線54aが内部を通っており、細長い円筒状に構成されている。静的コーン貫入試験は測定コーン51を支持地盤に所定深さまで貫入させる際の反力を測定する試験であり、貫入用ロッド52には貫入時に地盤の支持力に相当する大きな反力が作用する。
【0057】
また、貫入用ロッド52は、静的コーン貫入試験に必要な長さ、具体的には、オーガヘッド30の先端から杭孔の底面までの距離に杭孔底のスライムの厚さ及び貫入試験時の押し込み量を加えた長さであって1m程度の長さが必要であり、長尺である。これらのため、貫入ロッド52は、予測される反力が作用しても座屈しない剛強な構造とする必要がある。なお、貫通孔34を貫入用ロッド52の座屈防止に利用する場合、貫通孔34の径を貫入用ロッド52の径よりも僅かに大きい程度とすればよい。
【0058】
また、貫入用ロッド52は、複数本、例えば2本から4本に分解可能に構成することが好ましい。これにより、第1及び第2の円筒状体11,12内に設置する場合や、後述するSTEP7において清掃するために分解する場合などに、貫入用ロッド52の取り扱いが容易となる。貫入用ロッド52は、特に、固化材が残る貫通孔34内を通過する、又は通過し得る清掃が必要な部分と他の清掃が不必要な部分とを分離可能に構成することが好ましい。
【0059】
貫入用ロッド52の、削孔時において第1の円筒状体11内に位置する部分の上端部には、貫通孔又は切り欠きからなる開口52aが形成されており、この開口52aを介して通信線54aが貫入用ロッド52の外部に露出し、第1及び第2の円筒状体11,12内を上方向に向かって延びている。なお、貫入用ロッド52の開口52aより上方に位置する部分は中空である必要はない。
【0060】
貫入用ロッド52に形成された開口52aは、流体圧シリンダ71のロッド71aが最大限伸長した際にも、貫通孔36の内部に入らない位置に形成されている。これにより、開口52aを介して、貫入用ロッド52やその先端に位置する3成分センサ54の内部に固化材が流入するおそれ、及び貫通孔36から固化材が外部に漏れ出るおそれの低減が図られる。
【0061】
ここでは、第1の円筒状体11の先端付近などに、オーガロッド10内への地下水の浸入を検知するために、水位計83が設置されている。なお、地下水の浸入を検知した場合は、削孔作業を中止する。第1の円筒状体11において、水位計83に接続されている水位計ケーブル84は、保護のために、鋼製などのガイド管85で覆われている。なお、水位計ケーブル84は、3成分センサ54に接続された通信線54aと同様にして外部に接続されている。
【0062】
第1の円筒状体11には、貫入用ロッド52の振れ、回転、変形などを防止するための振れ止め58を内蔵させることが好ましい。振れ止め58は、貫入用ロッド52に固定される。ただし、振れ止め58は、流体圧シリンダ71のロッド71aに固定してもよい。振れ止め58は本願発明の移動抑制手段に相当する。
【0063】
振れ止め58は、図5に示すように、その外形が第1の円筒状体11の内面の形状に倣った形状であり、ここでは、大略円板状に形成されている。貫入試験においては、測定コーン51をオーガヘッド30の先端から1m程度押し出す必要があるが、これによって、第1の円筒状体11の内面に沿って貫入用ロッド52が摺動するので、貫入用ロッド52及び流体圧シリンダ71のロッド71aが、回転、捻れ、座屈などが生じずに良好に上下方向に摺動可能とするために、振れ止め58の外径は第1の円筒状体11の内面の径とほぼ等しくすることが好ましい。
【0064】
なお、振れ止め58は、その外形が第1の円筒状体11の内面の形状に倣った形状が少なくとも一部存在していればよく、また、その外面と第1の円筒状体11の内面との間に多少の隙間があってもよい。また、複数の振れ止め58を上下方向に間隔を開けて複数設けることも好ましい。
【0065】
振れ止め58には、その中央部に挿通された貫入用ロッド52が固定される円形の貫通孔58aが形成されている。また、振れ止め58には、貫通孔又は切り欠きからなり、ガ通信線54aが挿通する開口58b、それぞれに流体ホース47,48が挿通する開口58c,58d、並びに、水位計ケーブル84及びこれを覆うガイド管85が挿通する開口58eが形成されている。さらに、振れ止め58には、後述する棒状体59の下端部が埋設される孔58fも形成されている。
【0066】
振れ止め58は、開口58eにガイド管85が挿通されているために回転が防止されるので、貫入用ロッド52、ひいては流体圧シリンダ71のロッド71aにずれや回転が生じることを防止することが可能となる。
【0067】
通信線54aは、第2の円筒状体12の内周面と流体圧シリンダ71との隙間を通って第3の円筒状体13内のAD変換器に到達する。通信線54aは、第2の円筒状体12内の一部において、ケーブルチェーン74内に収容された状態で固定されている。これにより、通信線54aはケーブルチェーン74によって動きが制限され、他のケーブルなどとの絡み、撓みや捻じれが生じることを効果的に防止することができる。
【0068】
なお、ケーブルチェーン74は、例えば、平行して連続して延びる2本のチェーンリンク部材を有し、これら2本のチェーンリンク部材を構成する対向するリンク部材同士を連結する連結壁を有している。
【0069】
さらに、ここでは、第3の円筒状体13内にワイヤ75を巻き取る機能を有するリール76が配置されており、ワイヤ75が通信線54a又はケーブルチェーン74の所定位置に連結され、これらを吊り下げるように構成されている。これにより、通信線54a及びケーブルチェーン74は、上下方向に折り返した形状となる。具体的には、通信線54aは、少なくともワイヤ75に頂部を吊り下げられて上側に凸となる屈曲部と、下側に凸となる屈曲部をそれぞれ1つ有するようになる。
【0070】
このように通信線54a又はケーブルチェーン74を吊り下げたワイヤ75をリール76によって巻き上げるので、通信線54aをリール76で直接的に巻き上げる場合と比較して、通信線54aより細いワイヤ75を用い、通信線54aを屈曲させることで必要となるリール76による巻き上げ量の減少を図ることが可能となるので、リール76の小径化を図ることが可能となる。
【0071】
また、リール76は、通信線54a又はケーブルチェーン74の所定部分を支持するワイヤ75を巻き上げるので、通信線54aを直接的に巻き上げる場合と比較して、通信線54aに撓みや捻じれが生じることの防止を効果的に図ることが可能となる。
【0072】
リール76による巻き上げ量は、アースオーガ駆動装置120に含まれる制御手段によって、測定コーン51の移動、すなわち流体圧シリンダ71のロッド71aの進退に基づき制御することが好ましい。これにより、信号線54aに撓みや捻じれが生じることの防止をさらに効果的に図ることが可能となる。
【0073】
ところで、流体圧シリンダ71は貫入用ロッド52に荷重をかけるため、その軸心は、貫入用ロッド52と同じく、第2の円筒状体12の軸心と一致することが好まししい。このように軸心を一致させるために、固定治具77,78を設けることが好ましい。なお、固定治具は3個以上であっても、1個だけであってもよい。
【0074】
固定治具77,78は、それぞれ、図6及び図7に示すように、その外形が第2の円筒状体12の内面の形状に倣った形状であり、ここでは、大略円板状に形成されている。軸心を一致するために、固定治具77,78の外径は第2の円筒状体12の内面の径とほぼ等しくすることが好ましい。
【0075】
なお、固定治具77,78は、それらの外形が第2の円筒状体12の内面の形状に倣った形状が少なくとも一部存在していればよく、本実施形態では、その外面が第2の円筒状体12の内周面に固定されている。そして、固定治具77,78は上下方向に間隔を開けて設けられている。
【0076】
固定治具77,78には、それぞれ、流体圧シリンダ71のシリンダ71bが挿通する円形の貫通孔77a,78aが形成されている。また、貫通孔又は切り欠きからなり、通信線54aが挿通する開口77b,78b、流体ホース47が挿通する開口77c,78c、及び流体ホース48が挿通する開口77d,78dも形成されている。流体圧シリンダ71に流体を供給する流体ホース73が挿通する開口77f,78fも形成されている。
【0077】
さらに、固定治具77には、後述する棒状体59の上端部に下端部が固定されたワイヤ57が挿通する開口77eも形成されている。そして、固定治具78には、この棒状体59が挿通する開口78eが形成されている。
【0078】
また、固定治具77には、ケーブルチェーン74を吊り下げるワイヤ75が挿通する開口77g、並びに、水位計ケーブル84及びこれを覆うガイド管85が挿通する開口77hも形成されている。そして、固定治具78には、水位計ケーブル84が挿通する開口78gが形成されている。
【0079】
通信線54aのよれや捻じれなどを防止するためには、通信線54aは折り返し部を除いて直線状に延びることが好ましい。そこで、例えば、第2の円筒状体12の元端側に設置された固定治具77の開口77bは通信線54aの元端側の略真上に位置し、先端側に設置された固定治具78の開口78bを折り曲げられた部分の通信線54aの下端の略真下に位置することが好ましい。このように、上下方向に間隔を隔てて固定治具77,78を設置する場合、開口77b,78bを形成する水平方向の位置は変えることが好ましい。
【0080】
第3の円筒状体13には、図4を参照して、流体圧シリンダ71のロッド71aの移動量、ひいては測定コーン51の移動量を計測する変位計81が内蔵されている。変位計81は、ロッド71a又はロッド71aと同一に移動する貫入用ロッド52など部材に端部を固定されたワイヤの引き出しによって回転するリール(スプール)の軸の回転数によって変位を計測するワイヤ式であることが好ましい。これは、オーガロッド10内は湿度が高く、レーザ変位計は適さないからである。変位計81は本願発明の変位計測手段に相当する。
【0081】
なお、変位計81がワイヤ式(リール式)である場合には、ワイヤ57の先端は振れ止め58に固定されていることが好ましい。ただし、この場合、流体ホース73は組み付けの関係上からホース長さには余裕があるので、ワイヤ57が流体ホース73などに接触するおそれがある。このような接触が生じると変位の正確な計測を行うことが困難であるので、ここでは、先端側に設置された振れ止め58に鉄鋼などからなる棒状体59を固定し、この棒状体59の上端部にワイヤ57の下端部を固定している。
【0082】
また、変位計81がレーザ式である場合には、レーザのターゲットは振れ止め58又は棒状体59の上端などに固定されていることが好ましい。
【0083】
第3の円筒状体13には、また、図示しないが、3成分センサ54及び変位計81の測定データをデジタル化するA/D変換器などの計測関連機器82が内部に収容されている。第3の円筒状体13には、4本の流体ホース47,48,72,73及び通信線54aが内部を上下方向に挿通している。
【0084】
また、図4に示すように、各オーガロッド10,20の後端部には雄ジョイント10b、20bが、2本目以降のオーガロッド20の先端部には雌ジョイント20cがそれぞれ設けられている。そして、雄ジョイント10b、20bと雌ジョイント20cとを接続することにより、隣接するオーガロッド10,20同士が接続される。
【0085】
先端のオーガロッド10の最後端を構成するジョイント部16の上端部は、先端のオーガロッド10の上端部であるので、上述したように、2本目のオーガロッド20の雌ジョイント20bと接続される雄ジョイント10bが設けられている。
【0086】
雄ジョイント10bには、4本の流体ホース47,48,72,73の上端部の接続部にそれぞれ接続される接続部91a~91d、固化材圧送管66の上端部の接続部に接続される接続部91eが設けられている。
【0087】
ここでは、接続部91a~91eは、例えば、それぞれ雌コネクタであり、雄ジョイント10b、20bと雌ジョイント20cが接続されることにより、雌ジョイント20cの接続部92a~92eと自動的に接続される。これにより、流体ホース47,48,72,73は2本目のオーガロッド20内の流体ホース93~96に、固化材圧送管65は2本目のオーガロッド20内の固化材圧送管97にそれぞれワンタッチで接続される。
【0088】
2本目と3本目のオーガロッド20などの接続も1本目のオーガロッド10と2本目のオーガロッド20と同様にして接続される。
【0089】
先端のオーガロッド10の雄ジョイント10bと2本目のオーガロッド20の雌ジョイント20c及び2本目以降のオーガロッド20の雄ジョイント20b及び雌ジョイント2cの端面には、中心に固化材圧送管95を繋ぐ接続部95a,95bが配置されており、その外周から径方向離れた同心円上に流体ホース93~96の接続部93a~96a、 93b~96bが配置されている。
【0090】
さらに、第3の円筒状体13の上部の周壁には貫通孔13cが形成されており、この貫通孔13cを介して、計測関連機器82に接続された通信線94が第3の円筒状体13の外部に露出している。
【0091】
ところで、オーガロッド10,20の内径が小さいために、固化材圧送管用の接続部91eの周囲に4つの流体ホース用の接続部91a~91dを配置することが困難となる場合がある。この場合、オーガロッド10とオーガロッド20との接続部及びオーガロッド20同士の接続部のそれぞれの近傍を大径化することが好ましい。例えば、図8に示すように、オーガロッド20の端部に凸となる範囲20eを設け、通常の内径及び外径よりも大径化すればよい。
【0092】
2本目以降の各オーガロッド20には、それぞれ、螺旋翼20aの基端部に貫通孔20dが一直線上に形成されており、この貫通孔20dを挿通するように保護管21が固定されている。そして、各オーガロッド20には、それぞれ、保護管21内を通信線22が挿通されており、その上下方向の両端部にはコネクタ22aが設けられている。これにより、隣接するオーガロッド20を接続する際、コネクタ22a同士を接続することにより、簡易に通信線22同士を簡易に接続することができる。
【0093】
そして、オーガロッド20の端部を大径化したフランジ部20eを設けた場合、通信線22同士を接続するコネクタ22aは、フランジ部20eから離れた位置に配置することが好ましい。これにより、コネクタ22aによる突出を抑制することが可能となる。
【0094】
さらに、図示しないが、先端のオーガロッド10と2本目のオーガロッド20とを接続する際も、コネクタ94aとコネクタ22aとを接続することにより、簡易に通信線94と通信線22を簡易に接続することができる。また、コネクタ22a,94aで接続された部分は、保護カバー23によって覆うことが好ましい。
【0095】
3成分センサ54によって測定した各種データ及び変位計81によって測定した変位量のデータは、通信線22,94を介して、アースオーガ駆動装置120などに備わる外部のコンピュータなどの記憶手段に送信される。そして、記憶手段に記憶されたデータに基づいて、コンピュータなどによって荷重変位曲線を作成し、これをモニタなどにリアルタイムに映し出すことが好ましい。この際、アースオーガ駆動装置120に搭乗した作業者などは、各種データからN値を推定し、このN値が所定値以上であれば支持力があると判断する。
【0096】
以上のように、固化材は、先端のオーガロッド10の外部に位置する固化材圧送管62~65を介して、オーガヘッド30内に形成された貫通孔36に圧送される。そのため、流体ホース47,48などが内蔵される部分に固化材圧送管を配置する必要がない。そのため、この部分に固化材圧送管を配置する上記特許文献1に記載の技術と比較して、オーガロッド10の内径の小径化が図られ、小径の杭径を形成することが可能となる。
【0097】
以下、プレボーリング(セメントミルク)拡大根固め工法において、上述した杭孔形成装置100を用いて支持力を確認する方法について図9を参照して説明する。
【0098】
まず、拡大ヘッド42を閉じた状態で、支持層に達するに満たない深さまで、従来と同様に掘削孔を掘削する(STEP1)。
【0099】
掘削孔の深さが深くなるに応じて、1本目のオーガロッド10に対して2本目のオーガロッド20を接続する。この接続は、1本目のオーガロッド10の後端部の雄ジョイント10bと2本目のオーガロッド20の先端部の雌ジョイント20cとを接続することにより行う。
【0100】
これにより、1本目のオーガロッド10の上端部に設けられている接続部91a~91eに2本目のオーガロッド20の下端部に設けられている接続部92a~92eがそれぞれ接続される。さらに、1本目のオーガロッド10の上部から露出した通信線94の先端部のコネクタ94aと2本目のオーガロッド20に備わる通信線22の下端部に備わるコネクタ22aを覆う保護部材を取り外した後に、両者を接続し、これらの接続箇所を保護カバー23によって覆う。
【0101】
さらに、掘削孔の深さが深くなるに応じて、2本目のオーガロッド20に対して3本目以降のオーガロッド20を接続する。この接続は、2本目のオーガロッド20の後端部の雄ジョイント20bと3本目のオーガロッド20の先端部の雌ジョイント20cとを接続することにより行う。これにより、2本目と3本目のオーガロッド20にそれぞれ備わる接続部91a~91e,92a~92e同士がそれぞれ接続される。
【0102】
さらに、2本目と3本目のオーガロッド20に備わる通信線22の端部に備わるコネクタ22aを覆う保護部材を取り外した後にそれぞれ接続し、これらの接続箇所を保護カバー23によって覆う。4本目以降のオーガロッド20の接続も同様にして行う。
【0103】
なお、最終本目のオーガロッド20の上端の接続部91a~91dに、オーガ駆動装置120に備わる図示しない流体圧装置に接続された管の端部の接続部に接続する。また、最終本目のオーガロッド20に備わる接続部91eに、オーガ駆動装置120に備わる図示しない固化材タンクに接続された管の端部の接続部に接続する。さらに、最終本目のオーガロッド20の上端から露出する通信線22などを、アースオーガ駆動装置120などに備わる外部のコンピュータなどの記憶手段などに接続する。
【0104】
次に、拡大ヘッド42を拡げた状態で、掘削孔が支持層に達すると想定される深さまで拡径孔を形成する(STEP2)。ただし、オーガヘッド30を回転駆動している際、所定の回転駆動力となる抵抗値を推定し、この抵抗値の推定値が所定の基準値を超えたことを確認してもよい。なお、拡大ヘッド42を拡げる際、流体圧装置を駆動させることにより、第1の流体流路44を介して上方の油室S1に流体を流入させる。
【0105】
拡径孔を掘削しながら、セメントミルクなどの固化材を固化材圧送管62~66などを介して圧送し、噴射口53を介して噴出させて、周囲の地盤Aの根固めを行う(STEP3)。
【0106】
そして、先端が支持層内に位置すると想定される所定の深さまで掘削孔を掘削したら、掘削孔の掘削を終了する。そして、この時点からアースオーガ110を引き上げるまでの間に拡大ヘッド42を閉じる。
【0107】
その後、オーガヘッド30の先端が掘削孔の先端から少し離間するように、アースオーガ110を吊り上げる。そして、この吊り上げた状態において、貫入用ロッド52を下方に所定の距離だけ移動させることにより、測定コーン51を地盤Aに貫入させて静的コーン貫入試験を行い、地盤Aの強度を確認する(STEP4)。なお、貫入用ロッド52を下方に移動させる際、流体圧シリンダ71を駆動させることにより、流体圧シリンダ71のロッド71aを伸長させる。
【0108】
試験結果である、測定コーン51の貫入量、測定コーン51の先端部からの反力は通信線を介して、外部のコンピュータなどに送信される。
【0109】
そして、掘削孔の先端が支持層に達していることを確認した後、貫入用ロッド52を引き上げ、測定コーン51をオーガヘッド30内に回収する(STEP5)。なお、このSTEP5は、アースオーガ110を全て引き上げた後に行ってもよい。
【0110】
その後、アースオーガ110を引き上げて、オーガロッド10,20の接続を順次解除する(STEP6)。オーガロッド10,20の接続の解除は、上述した接続する場合と逆の手順で行えばよい。
【0111】
最後に、先端のオーガロッド10を4つの円筒状体11~14及びオーガヘッド30に分解し、測定コーン51、固化材圧送管62~66及び貫通孔35,36などを清掃する(STEP7)。このように、先端のオーガロッド10は分解可能であるので、測定コーン51などの内部機器を簡易に清掃することが可能である。
【0112】
なお、本発明は、上述した実施例に具体的に記載した杭孔形成装置100及びこの杭孔形成装置100を用いた方法に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内であれば適宜変更することができる。
【0113】
例えば、拡大ヘッド42の拡閉を行うための流体圧シリンダ43に流体圧を供給するための流体ホース47,48などの流体圧経路と、貫入用ロッド52の伸縮を行うための流体圧シリンダ71に流体圧を供給するための流体ホース72,73などの流体圧経路とは、別個の独立に別個の上記流体圧装置に接続される場合について説明した。
【0114】
しかし、これに限定されず、これらの流体圧経路を同じ流体圧装置に接続してもよい。この場合、拡大ヘッド42を拡げるために必要な流体圧と比較して、貫入用ロッド52を下方に移動させるために必要な流体圧を大きくすることにより、拡大ヘッド42を拡げた(STEP2)後に、貫入用ロッド52を下方に移動させることが可能となる(STEP4)。そして、その後、流体圧の低下に伴い、貫入用ロッド52は上方に戻った(STEP5)後、拡大ヘッド42が閉じる。
【0115】
また、オーガロッド10は、必ずしも4つの円筒状体11~14が接続されてなるものを有する必要はなく、2乃至3又は6以上の円筒状体が接続されるものでよっても、単一の円筒状体を有するものであってもよい。また、各円筒状体11~14に内蔵される機器は上述したものに限定されない。
【0116】
さらに、プレボーリング工法に適用する場合について説明した。しかし、これに限定されず、例えば、中掘り根固め工法や中堀り拡底根固め工法などの中掘り工法に適用してもよい。また、拡底根固めを行わないプレボーリング根固め工法や中堀り拡底根固め工法に適用する場合、拡径孔を形成する必要がないので、杭孔形成装置100は、拡大ヘッド42及びこれに流体圧を供給するための流体ホース47,48などの流体圧経路を備えていなくともよい。この場合、振れ止め58の開口58c、58dは存在しなくてもよく、棒状体59を設置する孔58fと通信線54a及びガイド管85が挿通される開口58bのみが存在していればよい。
【0117】
なお、貫通孔35の先端を水平方向に分岐させ、これら分岐した水平な分岐部35aの先端に噴射口53を設ける場合について説明した。しかし、これに限定されず、セメントミルク工法などに用いる場合には、固化材をオーガヘッド30の先端部から噴出させるために、貫通孔35の先端から固化材を噴出させてもよい。
【符号の説明】
【0118】
10…1本目のオーガロッド、 10b…雄ジョイント、 11…第1の円筒状体(筒状体)、 11a~14a…螺旋翼、 11b~14b…フランジ、 11c,13c…貫通孔、 11d…開口、 12…第2の円筒状体(筒状体)、 13…第3の円筒状体(筒状体)、 14…第4の円筒状体(筒状体)、 15A…ボルト、 15B…ナット、 15c…貫通孔、 20…2本目以降のオーガロッド、 20a…螺旋翼、 20b…雄ジョイント、 20c…雌ジョイント、 20d…貫通孔、 20e…凸となる範囲、 21…保護管、 22…通信線、 22a…コネクタ、 23…保護カバー、 30…オーガヘッド、 31…円筒状体、 31a…螺旋翼、 31b…開口、 31c…軸、 32…オーガロッド本体、 33…ジョイント、 33a…フランジ部、 33b…貫通孔、 33c…接続部、 34~36…貫通孔、 35a,36a…分岐部、 36b…接続部、 41…掘削ビット、 42…拡大ヘッド、 42a…拡大翼、 42b…掘削ビット、 43…流体圧シリンダ、 43a…ロッド、 43b…窪み、 44…第1の流体流路、 44a…接続部、 45…第2の流体流路、 45a…接続部、 46a,46b…接続部、 47,48…流体ホース、 51…測定コーン、 52…貫入用ロッド(ロッド)、 52a…開口、 53…噴射口、 54…3成分センサ(抵抗力測定手段)、 54a…通信線、 55…封止手段、 56…摺動パッキン、 57…ワイヤ、 58…振れ止め(移動抑制手段)、 58a…貫通孔、 58b~58e…開口、 58f…孔、 59…棒状体、 61…固化材圧送管(第1の固化材圧送管)、 61a…接続部、 62~65…固化材圧送管(第3の固化材圧送管、固化材圧送管)、 66…固化材圧送管(第2の固化材圧送管)、 71…流体圧シリンダ(貫入手段)、 71a…ロッド、 71b…シリンダ、 72,73…流体ホース、 74…ケーブルチェーン、 75…ワイヤ、 76…リール、 77,78…固定治具、 77a,78a…貫通孔、 77b~77h,78b~78g…開口、 81…変位計(変位計測手段)、 82…計測関連機器、 83…水位計、 84…水位計ケーブル、 85…ガイド管、 91a~91e,92a~92e…接続部、 93~96…流体ホース、 93a~96a,93b~96b…接続部、 94…通信線、 94a…コネクタ、 95…固化材圧送管、 95,96…流体ホース、 100…杭孔形成装置、 110…アースオーガ、 120…アースオーガ駆動装置、 121…支柱、 122…振れ止め、 A…地盤、 S1…上方の油室、 S2…下方の油室。
図1
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図9