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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022007454
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】エアーノズル
(51)【国際特許分類】
   B05B 1/06 20060101AFI20220105BHJP
   B05B 1/00 20060101ALI20220105BHJP
   B05B 1/14 20060101ALI20220105BHJP
   B08B 5/02 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
B05B1/06
B05B1/00 A
B05B1/14 A
B08B5/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020110448
(22)【出願日】2020-06-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000149309
【氏名又は名称】ジョプラックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121418
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 修
(72)【発明者】
【氏名】西川 直子
【テーマコード(参考)】
3B116
4F033
【Fターム(参考)】
3B116AA46
3B116AB52
3B116BB32
3B116BB90
4F033BA02
4F033DA05
4F033EA01
4F033LA05
4F033NA01
(57)【要約】
【課題】 流体の通路構造や構成部材の増加・複雑化等を生ずることなく、しかも異物等の捕捉が確実に行えるようにする。
【解決手段】 基部2a側からエアーが送入されるソケット2と、ソケット2の先端側に接続されるノズル本体3とを有するエアーノズル1であって、前記ソケット2のノズル本体3側部分には、ノズル本体3が挿入される嵌合凹所4が形成され、嵌合凹所4の内周面には雌ネジ5が形成され、ノズル本体3のソケット2側部分には該ソケット2の嵌合凹所4内に挿入される嵌合筒状部6が設けられ、嵌合筒状部6の外周面には前記ソケット2の嵌合凹所4内の雌ネジ5に螺合する雄ネジ7が形成され、ノズル本体3の嵌合筒状部6の先端とソケット2の嵌合凹所4の底部との間にはフィルタ8が介在されている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部側からエアーが送入されるソケットと、ソケットの先端側に接続されるノズル本体とを有するエアーノズルであって、前記ソケットのノズル本体側部分には、ノズル本体が挿入される嵌合凹所が形成され、嵌合凹所の内周面には雌ネジが形成され、ノズル本体のソケット側部分には該ソケットの嵌合凹所内に挿入される嵌合筒状部が設けられ、嵌合筒状部の外周面には前記ソケットの嵌合凹所内の雌ネジに螺合する雄ネジが形成され、ノズル本体の嵌合筒状部の先端とソケットの嵌合凹所の底部との間にはフィルタが介在されている、エアーノズル。
【請求項2】
ノズル本体の嵌合筒状部の基部外周面と該部分に当接するソケットの嵌合凹所の先端部内周面のいずれか一方に凹溝が形成され、該凹溝内にシールリングが嵌め込まれて、ノズル本体の嵌合筒状部の基部外周面とソケットの嵌合凹所の先端部内周面が密閉されている、請求項1記載のエアーノズル。
【請求項3】
ノズル本体の外周面における嵌合筒状部の基部側部分にソケットの先端部分が突き当たる係止凸条が形成されている、請求項1または請求項2記載のエアーノズル。
【請求項4】
ノズル本体が、ソケット側に開口した有底円筒状のエアー流入室と、エアー流入室の底部外周に所定間隔をあけて形成された複数のエアー噴射通路を備えている、請求項1~請求項3のうちのいずれか一項記載のエアーノズル。
【請求項5】
ノズル本体の先端部分が先鋭なテーパ状となされ、その傾斜面にエアー噴射通路先端の噴射孔が形成されている、請求項1~請求項4のうちのいずれか一項記載のエアーノズル。
【請求項6】
フィルタが略円板状である、請求項1~請求項5のうちのいずれか一項記載のエアーノズル。
【請求項7】
フィルタが焼結フィルタである、請求項1~請求項6のうちのいずれか一項記載のエアーノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種製造業や各種サービス業その他の産業分野において、先端部分から高圧エアーを噴射させて、機械装置や製品等の表面における粉塵の飛散除去、乾燥等を行うのに用いられるエアーノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、エアーノズルとしては種々のものが開発されており、例えばエアーの噴射調整を行うフィルタ噴射整流ユニットと噴射ノズルを備えてなる高圧ノズルユニットをハウジング内に組み込み、前記フィルタ噴射整流ユニットには高圧エアーの噴射整流を実行する流体案内面が形成された整流器や入口フィルタ等を備えたものが知られている。
【0003】
また、噴射流体の管路に多孔質フィルタを備えたものとしては、流路管本体の管路に多孔質フィルタを挿嵌させた噴出ノズルにおいて、前記流路管本体の先端に設けた閉止用壁または前記多孔質フィルタの先端面等に形成した被膜に流体の噴出孔を形成したものも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】EP-A第3318336号公報
【特許文献2】特許第5924655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した従来の噴射ノズルのうち、前者のものはエアーの噴射調整を行うフィルタ噴射整流ユニットと噴射ノズルを備えてなる高圧ノズルユニットをハウジング内に組み込んだ上、最内部に整流器および流体案内面等を設けるという複雑な構成であり、また高圧エアーの出口開口部分においては、複数の構成部材同士が多層状に結合した構造となっているため、組立て製造に多大な手間とコストを要するという問題があった。また、前記エアーノズルは、フィルタ構造を有するものの、十分な異物除去の機能が期待できないものであった。
【0006】
一方、後者のものは、流路管本体の管路に多孔質フィルタを挿嵌させた簡単な構造であるが、流路管本体内における多孔質フィルタの安定性が低く、高圧流体の噴射には適さないものであった。
【0007】
本発明の目的は、流体の通路構造や構成部材の増加・複雑化等を生ずることなく、しかも異物等の捕捉が確実に行えるエアーノズルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の本発明は、基部側からエアーが送入されるソケットと、ソケットの先端側に接続されるノズル本体とを有するエアーノズルであって、前記ソケットのノズル本体側部分には、ノズル本体が挿入される嵌合凹所が形成され、嵌合凹所の内周面には雌ネジが形成され、ノズル本体のソケット側部分には該ソケットの嵌合凹所内に挿入される嵌合筒状部が設けられ、嵌合筒状部の外周面には前記ソケットの嵌合凹所内の雌ネジに螺合する雄ネジが形成され、ノズル本体の嵌合筒状部の先端とソケットの嵌合凹所の底部との間にはフィルタが介在されていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項2記載の本発明は、前記請求項1記載のエアーノズルについて、ノズル本体の嵌合筒状部の基部外周面と該部分に当接するソケットの嵌合凹所の先端部内周面のいずれか一方に凹溝が形成され、該凹溝内にシールリングが嵌め込まれて、ノズル本体の嵌合筒状部の基部外周面とソケットの嵌合凹所の先端部内周面が密閉されていることを技術的特徴とする。
【0010】
請求項3記載の本発明は、前記請求項1または請求項2記載のエアーノズルについて、ノズル本体の外周面における嵌合筒状部の基部側部分にソケットの先端部分が突き当たる係止凸条が形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の本発明は、前記請求項1~請求項3のうちのいずれか一項記載のエアーノズルについて、ノズル本体が、ソケット側に開口した有底円筒状のエアー流入室と、エアー流入室の底部外周に所定間隔をあけて形成された複数のエアー噴射通路を備えているものである。
【0012】
請求項5記載の本発明は、前記請求項1~請求項4のうちのいずれか一項記載のエアーノズルについて、ノズル本体の先端部分が先鋭なテーパ状となされ、その傾斜面にエアー噴射通路先端の噴射孔が形成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項6記載の本発明は、前記請求項1~請求項5のうちのいずれか一項記載のエアーノズルについて、フィルタを略円板状としたものである。
【0014】
請求項7記載の本発明は、前記請求項1~請求項6のうちのいずれか一項記載のエアーノズルについて、フィルタを焼結フィルタとしたものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るエアーノズルは、前述した通り、基部側からエアーが送入されるソケットと、ソケットの先端側に接続されるノズル本体とを有するエアーノズルであって、前記ソケットのノズル本体側部分には、ノズル本体が挿入される嵌合凹所が形成され、嵌合凹所の内周面には雌ネジが形成され、ノズル本体のソケット側部分には該ソケットの嵌合凹所内に挿入される嵌合筒状部が設けられ、嵌合筒状部の外周面には前記ソケットの嵌合凹所内の雌ネジに螺合する雄ネジが形成され、ノズル本体の嵌合筒状部の先端とソケットの嵌合凹所の底部との間にはフィルタが介在されている構成であるため、全体構造が複雑ではなく、また構成部材も少ない。そして、本発明に係るエアーノズルでは、フィルタがノズル本体とソケットとの間に安定的に挟み込まれた構造であるため、異物等を確実に捕捉除去することができ、また当該エアーノズル使用時の騒音の発生を有効に抑制することができる。
【0016】
更に、ノズル本体の嵌合筒状部の基部外周面と該部分に当接するソケットの嵌合凹所の先端部内周面のいずれか一方に凹溝が形成され、該凹溝内にシールリングが嵌め被せられて、ノズル本体の嵌合筒状部の基部外周面とソケットの嵌合凹所の先端部内周面が密閉されている構成の本発明に係るエアーノズルによれば、ノズル本体とソケットとの結合部における気密性を高めることができる。
【0017】
また、ノズル本体の外周面における嵌合筒状部の基部側部分にソケットの先端部分が突き当たる係止凸条が形成された本発明に係るエアーノズルによれば、ノズル本体とソケットとの結合がより簡単に行える。
【0018】
ノズル本体の先端部分が先鋭なテーパ状となされ、その傾斜面にエアー噴射通路先端の噴射孔が形成された本発明に係るエアーノズルによれば、当該エアーノズル使用時の騒音の低減とエアーの噴射性の両効果がいっそう向上する。
【0019】
フィルタ形状を円板状とした本発明に係るエアーノズルによれば、エアーの流速を確保しつつ、異物等の捕捉除去性を有効に得ることができる。特に、焼結フィルタにおいて、その効果が高められる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係るエアーノズルの縦断面図である。
図2】同実施形態のエアーノズルの全体外形を示す斜視図である。
図3】同実施形態のエアーノズルの分解斜視図である。
図4】同実施形態のエアーノズルをエアーダスターガンに装着した使用例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明をエアーダスターガン用のエアーノズルに適用した場合の実施形態について、図面にしたがって説明するが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。
【0022】
本実施形態に係るエアーノズル1は、基部2a側からエアーが送入されるソケット2と、ソケット2の先端側に接続されるノズル本体3とを有するものであって、前記ソケット2のノズル本体3側部分には、ノズル本体3が挿入される嵌合凹所4が形成され、嵌合凹所4の内周面には雌ネジ5が形成され、ノズル本体3のソケット2側部分には該ソケット2の嵌合凹所4内に挿入される嵌合筒状部6が設けられ、嵌合筒状部6の外周面には前記ソケット2の嵌合凹所4内の雌ネジ5に螺合する雄ネジ7が形成され、ノズル本体3の嵌合筒状部6の先端とソケット2の嵌合凹所4の底部4aとの間にはフィルタ8が介在されている。
【0023】
また、本実施形態では、前記ノズル本体3の嵌合筒状部6の基部外周面6aと該部分に当接するソケット2の嵌合凹所4の先端部内周面4bについて、前記嵌合筒状部6の基部外周面6a側に凹溝14が形成され、該凹溝14内にシールリング15が嵌め込まれることで、当該当接部分が密閉されている。
【0024】
なお、前記シールリング15が嵌め込まれる凹溝14は、ノズル本体3の嵌合筒状部6の基部外周面6aではなく、ソケット2の嵌合凹所4の先端部内周面4bに形成しても良い。
【0025】
更に、本実施形態では、前記ノズル本体3の外周面における嵌合筒状部6の基側部分にソケット2の先端部分が突き当たる係止凸条16が形成されている。
【0026】
また、本実施形態では、ノズル本体3が、ソケット2側に開口した有底円筒状のエアー流入室9と、エアー流入室9の底部9a外周に所定間隔をあけて形成された複数のエアー噴射通路11を備えている。
【0027】
更に、本実施形態では、ノズル本体3の先端部分3aは先鋭なテーパ状となされ、その傾斜面17に前記エアー噴射通路11先端の噴射孔11aが形成されている。
【0028】
前記フィルタ8は、本実施形態では、略円板状の多孔質な焼結フィルタであって、50ミクロン程度のポリエチレン製粒子を焼結成形してなるものである。
【0029】
なお、本実施形態では、ソケット2の基部2a側が外周面に雄ネジ13を有する継手12となされ、図4に示すエアーダスターガンG側に設けられた雌ネジ(図示せず)と前記雄ネジを螺合させることで、当該エアーノズル1がエアーダスターガンGの先端部分に装着する構成となされている。
【0030】
次に、本実施形態のエアーノズル1におけるエアーの噴射要領について説明すると、前記エアーダスターガンGにおけるグリップG1を握ると共に、レバーG2を引くことでコンプレッサー(図示せず)からの高圧エアーがソケット2の基部2a側から流入し、該エアーは焼結フィルタ8を通過してエアー流入室9内に進入する。そして、エアー流入室9内では、エアーの高圧状態が維持されつつ、該エアーが狭隘なエアー噴射通路11内を通って、該エアー噴射通路11先端開口の噴射孔11aから噴射される。
【0031】
そして、前述したような高圧エアーの制御によって、エアー内の異物等は確実にフィルタ8で捕捉除去され、清浄な高圧エアーのみが静音状態で噴射されることとなる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明に係るエアーノズルは、前述した通り、そのノズル本体とソケットとの間にフィルタが介在された構造であって、従来のエアーノズルのように、構成が複雑ではなく、且つフィルタが確実にノズル内にセットされて異物等を確実に捕捉除去しつつ、十分なエアー噴射が可能であるため、種々の分野で幅広い利用が期待できる。
【符号の説明】
【0033】
1 エアーノズル
2 ソケット
3 ノズル本体
4 嵌合凹所
5 嵌合凹所内周の雌ネジ
6 嵌合筒状部
7 嵌合筒状部外周の雄ネジ
8 フィルタ
9 エアー流入室
11 エアー噴射通路
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2020-10-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部側からエアーが送入されるソケットと、ソケットの先端側に接続されるノズル本体とを有するエアーノズルであって、前記ソケットのノズル本体側部分には、ノズル本体が挿入される嵌合凹所が形成され、嵌合凹所の内周面には雌ネジが形成され、ノズル本体のソケット側部分には該ソケットの嵌合凹所内に挿入される嵌合筒状部が設けられ、嵌合筒状部の外周面には前記ソケットの嵌合凹所内の雌ネジに螺合する雄ネジが形成され、ノズル本体の嵌合筒状部の先端とソケットの嵌合凹所の底部との間にはフィルタが介在されており、前記ノズル本体の嵌合筒状部の外周面と該部分に当接するソケットの嵌合凹所の内周面のいずれか一方に凹溝が形成され、該凹溝内にシールリングが嵌め込まれて、ノズル本体の嵌合筒状部の外周面とソケットの嵌合凹所の内周面が密閉されており、前記ソケットの基部側が継手となされている、エアーノズル。
【請求項2】
ノズル本体の外周面における嵌合筒状部の基部側部分にソケットの先端部分が突き当たる係止凸条が形成されている、請求項1記載のエアーノズル。
【請求項3】
ノズル本体が、ソケット側に開口した有底円筒状のエアー流入室と、エアー流入室の底部外周に所定間隔をあけて形成された複数のエアー噴射通路を備えている、請求項1または請求項2記載のエアーノズル。
【請求項4】
ノズル本体の先端部分が先鋭なテーパ状となされ、その傾斜面にエアー噴射通路先端の噴射孔が形成されている、請求項1~請求項3のうちのいずれか一項記載のエアーノズル。
【請求項5】
フィルタが略円板状である、請求項1~請求項4のうちのいずれか一項記載のエアーノズル。
【請求項6】
フィルタが焼結フィルタである、請求項1~請求項5のうちのいずれか一項記載のエアーノズル。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種製造業や各種サービス業その他の産業分野において、先端部分から高圧エアーを噴射させて、機械装置や製品等の表面における粉塵の飛散除去、乾燥等を行うのに用いられるエアーノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、エアーノズルとしては種々のものが開発されており、例えばエアーの噴射調整を行うフィルタ噴射整流ユニットと噴射ノズルを備えてなる高圧ノズルユニットをハウジング内に組み込み、前記フィルタ噴射整流ユニットには高圧エアーの噴射整流を実行する流体案内面が形成された整流器や入口フィルタ等を備えたものが知られている。
【0003】
また、噴射流体の管路に多孔質フィルタを備えたものとしては、流路管本体の管路に多孔質フィルタを挿嵌させた噴出ノズルにおいて、前記流路管本体の先端に設けた閉止用壁または前記多孔質フィルタの先端面等に形成した被膜に流体の噴出孔を形成したものも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】EP-A第3318336号公報
【特許文献2】特許第5924655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した従来の噴射ノズルのうち、前者のものはエアーの噴射調整を行うフィルタ噴射整流ユニットと噴射ノズルを備えてなる高圧ノズルユニットをハウジング内に組み込んだ上、最内部に整流器および流体案内面等を設けるという複雑な構成であり、また高圧エアーの出口開口部分においては、複数の構成部材同士が多層状に結合した構造となっているため、組立て製造に多大な手間とコストを要するという問題があった。また、前記エアーノズルは、フィルタ構造を有するものの、十分な異物除去の機能が期待できないものであった。
【0006】
一方、後者のものは、流路管本体の管路に多孔質フィルタを挿嵌させた簡単な構造であるが、流路管本体内における多孔質フィルタの安定性が低く、高圧流体の噴射には適さないものであった。
【0007】
本発明の目的は、流体の通路構造や構成部材の増加・複雑化等を生ずることなく、しかも異物等の捕捉が確実に行えるエアーノズルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の本発明は、基部側からエアーが送入されるソケットと、ソケットの先端側に接続されるノズル本体とを有するエアーノズルであって、前記ソケットのノズル本体側部分には、ノズル本体が挿入される嵌合凹所が形成され、嵌合凹所の内周面には雌ネジが形成され、ノズル本体のソケット側部分には該ソケットの嵌合凹所内に挿入される嵌合筒状部が設けられ、嵌合筒状部の外周面には前記ソケットの嵌合凹所内の雌ネジに螺合する雄ネジが形成され、ノズル本体の嵌合筒状部の先端とソケットの嵌合凹所の底部との間にはフィルタが介在されており、前記ノズル本体の嵌合筒状部の外周面と該部分に当接するソケットの嵌合凹所の内周面のいずれか一方に凹溝が形成され、該凹溝内にシールリングが嵌め込まれて、ノズル本体の嵌合筒状部の外周面とソケットの嵌合凹所の内周面が密閉されており、前記ソケットの基部側が継手となされていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項2記載の本発明は、前記請求項1記載のエアーノズルについて、ノズル本体の外周面における嵌合筒状部の基部側部分にソケットの先端部分が突き当たる係止凸条が形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の本発明は、前記請求項1または請求項2項記載のエアーノズルについて、ノズル本体が、ソケット側に開口した有底円筒状のエアー流入室と、エアー流入室の底部外周に所定間隔をあけて形成された複数のエアー噴射通路を備えているものである。
【0011】
請求項4記載の本発明は、前記請求項1~請求項3のうちのいずれか一項記載のエアーノズルについて、ノズル本体の先端部分が先鋭なテーパ状となされ、その傾斜面にエアー噴射通路先端の噴射孔が形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の本発明は、前記請求項1~請求項4のうちのいずれか一項記載のエアーノズルについて、フィルタを略円板状としたものである。
【0013】
請求項6記載の本発明は、前記請求項1~請求項5のうちのいずれか一項記載のエアーノズルについて、フィルタを焼結フィルタとしたものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るエアーノズルは、前述した通り、基部側からエアーが送入されるソケットと、ソケットの先端側に接続されるノズル本体とを有するエアーノズルであって、前記ソケットのノズル本体側部分には、ノズル本体が挿入される嵌合凹所が形成され、嵌合凹所の内周面には雌ネジが形成され、ノズル本体のソケット側部分には該ソケットの嵌合凹所内に挿入される嵌合筒状部が設けられ、嵌合筒状部の外周面には前記ソケットの嵌合凹所内の雌ネジに螺合する雄ネジが形成され、ノズル本体の嵌合筒状部の先端とソケットの嵌合凹所の底部との間にはフィルタが介在されている構成であるため、全体構造が複雑ではなく、また構成部材も少ない。そして、本発明に係るエアーノズルでは、フィルタがノズル本体とソケットとの間に安定的に挟み込まれた構造であるため、異物等を確実に捕捉除去することができ、また当該エアーノズル使用時の騒音の発生を有効に抑制することができる。
【0015】
更に、ノズル本体の嵌合筒状部の基部外周面と該部分に当接するソケットの嵌合凹所の先端部内周面のいずれか一方に凹溝が形成され、該凹溝内にシールリングが嵌め被せられて、ノズル本体の嵌合筒状部の基部外周面とソケットの嵌合凹所の先端部内周面が密閉されている構成の本発明に係るエアーノズルによれば、ノズル本体とソケットとの結合部における気密性を高めることができる。
【0016】
また、ノズル本体の外周面における嵌合筒状部の基部側部分にソケットの先端部分が突き当たる係止凸条が形成された本発明に係るエアーノズルによれば、ノズル本体とソケットとの結合がより簡単に行える。
【0017】
ノズル本体の先端部分が先鋭なテーパ状となされ、その傾斜面にエアー噴射通路先端の噴射孔が形成された本発明に係るエアーノズルによれば、当該エアーノズル使用時の騒音の低減とエアーの噴射性の両効果がいっそう向上する。
【0018】
フィルタ形状を円板状とした本発明に係るエアーノズルによれば、エアーの流速を確保しつつ、異物等の捕捉除去性を有効に得ることができる。特に、焼結フィルタにおいて、その効果が高められる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係るエアーノズルの縦断面図である。
図2】同実施形態のエアーノズルの全体外形を示す斜視図である。
図3】同実施形態のエアーノズルの分解斜視図である。
図4】同実施形態のエアーノズルをエアーダスターガンに装着した使用例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明をエアーダスターガン用のエアーノズルに適用した場合の実施形態について、図面にしたがって説明するが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。
【0021】
本実施形態に係るエアーノズル1は、基部2a側からエアーが送入されるソケット2と、ソケット2の先端側に接続されるノズル本体3とを有するものであって、前記ソケット2のノズル本体3側部分には、ノズル本体3が挿入される嵌合凹所4が形成され、嵌合凹所4の内周面には雌ネジ5が形成され、ノズル本体3のソケット2側部分には該ソケット2の嵌合凹所4内に挿入される嵌合筒状部6が設けられ、嵌合筒状部6の外周面には前記ソケット2の嵌合凹所4内の雌ネジ5に螺合する雄ネジ7が形成され、ノズル本体3の嵌合筒状部6の先端とソケット2の嵌合凹所4の底部4aとの間にはフィルタ8が介在されている。
【0022】
また、本実施形態では、前記ノズル本体3の嵌合筒状部6の基部外周面6aと該部分に当接するソケット2の嵌合凹所4の先端部内周面4bについて、前記嵌合筒状部6の基部外周面6a側に凹溝14が形成され、該凹溝14内にシールリング15が嵌め込まれることで、当該当接部分が密閉されている。
【0023】
なお、前記シールリング15が嵌め込まれる凹溝14は、ノズル本体3の嵌合筒状部6の基部外周面6aではなく、ソケット2の嵌合凹所4の先端部内周面4bに形成しても良い。
【0024】
更に、本実施形態では、前記ノズル本体3の外周面における嵌合筒状部6の基側部分にソケット2の先端部分が突き当たる係止凸条16が形成されている。
【0025】
また、本実施形態では、ノズル本体3が、ソケット2側に開口した有底円筒状のエアー流入室9と、エアー流入室9の底部9a外周に所定間隔をあけて形成された複数のエアー噴射通路11を備えている。
【0026】
更に、本実施形態では、ノズル本体3の先端部分3aは先鋭なテーパ状となされ、その傾斜面17に前記エアー噴射通路11先端の噴射孔11aが形成されている。
【0027】
前記フィルタ8は、本実施形態では、略円板状の多孔質な焼結フィルタであって、50ミクロン程度のポリエチレン製粒子を焼結成形してなるものである。
【0028】
なお、本実施形態では、ソケット2の基部2a側が外周面に雄ネジ13を有する継手12となされ、図4に示すエアーダスターガンG側に設けられた雌ネジ(図示せず)と前記雄ネジを螺合させることで、当該エアーノズル1がエアーダスターガンGの先端部分に装着する構成となされている。
【0029】
次に、本実施形態のエアーノズル1におけるエアーの噴射要領について説明すると、前記エアーダスターガンGにおけるグリップG1を握ると共に、レバーG2を引くことでコンプレッサー(図示せず)からの高圧エアーがソケット2の基部2a側から流入し、該エアーは焼結フィルタ8を通過してエアー流入室9内に進入する。そして、エアー流入室9内では、エアーの高圧状態が維持されつつ、該エアーが狭隘なエアー噴射通路11内を通って、該エアー噴射通路11先端開口の噴射孔11aから噴射される。
【0030】
そして、前述したような高圧エアーの制御によって、エアー内の異物等は確実にフィルタ8で捕捉除去され、清浄な高圧エアーのみが静音状態で噴射されることとなる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明に係るエアーノズルは、前述した通り、そのノズル本体とソケットとの間にフィルタが介在された構造であって、従来のエアーノズルのように、構成が複雑ではなく、且つフィルタが確実にノズル内にセットされて異物等を確実に捕捉除去しつつ、十分なエアー噴射が可能であるため、種々の分野で幅広い利用が期待できる。
【符号の説明】
【0032】
1 エアーノズル
2 ソケット
3 ノズル本体
4 嵌合凹所
5 嵌合凹所内周の雌ネジ
6 嵌合筒状部
7 嵌合筒状部外周の雄ネジ
8 フィルタ
9 エアー流入室
11 エアー噴射通路
【手続補正書】
【提出日】2020-11-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部側からエアーが送入されるソケットと、ソケットの先端側に接続されるノズル本体とを有するエアーノズルであって、前記ソケットのノズル本体側部分には、ノズル本体が挿入される嵌合凹所が形成され、嵌合凹所の内周面には雌ネジが形成され、ノズル本体のソケット側部分には該ソケットの嵌合凹所内に挿入される嵌合筒状部が設けられ、嵌合筒状部の外周面には前記ソケットの嵌合凹所内の雌ネジに螺合する雄ネジが形成され、ノズル本体の嵌合筒状部の先端とソケットの嵌合凹所の底部との間にはフィルタが介在されており、前記ノズル本体の嵌合筒状部の外周面と該外周面に当接するソケットの嵌合凹所の内周面のいずれか一方に凹溝が形成され、該凹溝内にシールリングが嵌め込まれて、ノズル本体の嵌合筒状部の外周面とソケットの嵌合凹所の内周面が密閉されており、前記ソケットの基部側が継手となされている、エアーノズル。
【請求項2】
ノズル本体の外周面における嵌合筒状部の基部側部分にソケットの先端部分が突き当たる係止凸条が形成されている、請求項1記載のエアーノズル。
【請求項3】
ノズル本体が、ソケット側に開口した有底円筒状のエアー流入室と、エアー流入室の底部外周に所定間隔をあけて形成された複数のエアー噴射通路を備えている、請求項1または請求項2記載のエアーノズル。
【請求項4】
ノズル本体の先端部分が先鋭なテーパ状となされ、その傾斜面にエアー噴射通路先端の噴射孔が形成されている、請求項1~請求項3のうちのいずれか一項記載のエアーノズル。
【請求項5】
フィルタが略円板状である、請求項1~請求項4のうちのいずれか一項記載のエアーノズル。
【請求項6】
フィルタが焼結フィルタである、請求項1~請求項5のうちのいずれか一項記載のエアーノズル。