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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022074615
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】医療用感染防護器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20220511BHJP
【FI】
A61B1/00 652
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020184792
(22)【出願日】2020-11-05
(71)【出願人】
【識別番号】520432864
【氏名又は名称】808株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100171963
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 惠一
(72)【発明者】
【氏名】永原 章仁
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 聡郎
(72)【発明者】
【氏名】上山 浩也
(72)【発明者】
【氏名】田中 良知
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161AA01
4C161AA04
4C161BB00
4C161DD03
4C161FF21
4C161GG14
(57)【要約】
【課題】経口又は経鼻内視鏡検査において、被検者が咽頭反射により咳きこむ場合の飛沫の曝露から医療従事者を守る医療用感染防護器具を、提供する。
【解決手段】医療用感染防護器具を、直方体状の筐体からなり、載置された際に下方となる1面が開放面として構成され、載置された際に上方となる1面と載置された際に直立する2組の側面とが、透光性の部材からなり、載置された際に直立する対向する2組の側面のうち1組の側面の、両方の板状部の下面側の辺から上方に向けて、内視鏡検査被検者の頭部を挿入するための頭部挿入凹部が形成され、載置された際に直立する対向する2組の側面のうち前記凹部が形成されていない他の1組の側面の両方の板状部に、検査に当たる医療従事者の腕や内視鏡を通すための内視鏡等挿入孔部が形成されるように構成する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
経口又は経鼻内視鏡検査において使用される医療用感染防護器具において、
前記医療用感染防護器具が直方体状の筐体からなり、
載置された際に下方となる1面が開放面として構成され、
載置された際に上方となる1面と載置された際に直立する2組の側面とが、透光性の部材からなり、
載置された際に直立する対向する2組の側面のうち1組の側面の、両方の板状部の下面側の辺から上方に向けて、内視鏡検査被検者の頭部を挿入するための頭部挿入凹部が形成され、
載置された際に直立する対向する2組の側面のうち前記凹部が形成されていない他の1組の側面の両方の板状部に、検査に当たる医療従事者の腕や内視鏡を通すための内視鏡等挿入孔部が形成されていることを特徴とする、医療用感染防護器具。
【請求項2】
前記頭部挿入凹部が、同一形状で同一の大きさに形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の医療用感染防護器具。
【請求項3】
前記内視鏡等挿入孔部が、正対する位置に同一形状で同一の大きさに形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の医療用感染防護器具。
【請求項4】
前記内視鏡等挿入孔部が、内視鏡スコープの挿入孔を備える透明柔軟素材からなる飛沫防止シートを装着可能に形成されていることを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の医療用感染防護器具。
【請求項5】
前記頭部挿入凹部の下辺からの最高部が、下辺から300mmないし450mmに形成されていることを特徴とする、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の医療用感染防護器具。
【請求項6】
前記内視鏡等挿入孔部が円形であり、直径150mmないし250mmの円形に形成されていることを特徴とする、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の医療用感染防護器具。
【請求項7】
前記内視鏡等挿入孔部の周縁部に、前記内視鏡等挿入孔部の設けられた側面に対し直立して前記筐体外部方向に突出し、前記内視鏡等挿入孔部の外側方向に屈曲する飛沫防止シート係止部を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の医療用感染防護器具。
【請求項8】
内視鏡スコープの挿入孔を備え、医療用感染防護器具に設けられた内視鏡を通すための孔部に装着可能に構成されることを特徴とする透明柔軟素材からなる飛沫防止シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上部消化管(食道・胃・十二指腸)や膵臓・胆道などを対象とする経口又は経鼻内視鏡検査を行う際に、被検者の咽頭反射によるえずき・咳きこみで拡散される飛沫による感染症病原体への曝露から医療従事者を保護する医療用感染防護器具に関する。
【背景技術】
【0002】
2020年1月に、世界保健機関により肺炎の集団発生原因であるとの声明が出された新型コロナウイルスは、同年急速に世界各国に伝播し、多くの感染者・死亡者を出している。
【0003】
同ウイルスは、感染後無症状の段階からでも伝播することから、発症後にしか伝播しないSARSなどの過去のコロナウイルスとは異なり封じ込めが困難であり、特に日常的に傷病者と接触する医療従事者に感染すると、二次感染の危険が生じるだけでなく、医療行為の提供に支障をきたして医療崩壊につながりかねないという問題がある。
【0004】
一方、同ウイルスへの感染を危惧して医療機関への通院を控えることにより、本来受診すべき傷病者の症状が悪化する事態も増えており、感染への不安を抑制するための手段を開発することが、重要な課題となっている。
【0005】
同ウイルスの感染経路については、気道分泌物の飛沫感染が最も主要な感染経路と考えられているが、感染例から考えても空気感染の可能性も否定することができないなど、明確な結論は出ていない中で、各医療機関においては、院内の消毒、マスクや防護服の着用、同ウイルスへの感染が疑われる患者の診療径路の隔離など、院内感染の防止のために各種の感染防止策を講じている。
【0006】
同ウイルスの二次感染を防ぐためにも、感染者を隔離し、同ウイルスが周囲に拡散することを防ぐことが必要だが、感染後無症状の段階からでも伝播することから、医療機関において高価で容易に運搬等ができないような治療用具を数多く備え、全ての患者に適用することは困難である。
【0007】
上記の課題を解決するために、特許文献1には 全体を板状のシートに拡げることが可能であり、シートの材質は透光性のプラスチックであり、シートは、当該シートを折り曲げる箇所を示す線状の屈曲ガイドを備え、折り曲げられて使用者と対面者との間に設置された状態において、使用者と対面者とを互いに遮る略長方形の形状の前面と、使用者から見て前面の左辺に連続的に接続されている略長方形の形状の左側面と、使用者から見て前面の右辺に連続的に接続されている略長方形の形状の右側面とをさらに備え、屈曲ガイドを、左辺及び右辺に備える、飛沫感染防止シールドが記載されている。
【0008】
しかし、特許文献1に記載の医療用感染防護器具においては、医療従事者と患者が対面する状態においては飛沫感染の防止効果を有するが、被検者が横臥した状態で行われる経口又は経鼻内視鏡検査においては、その限りでなく、特に、被検者に咳の症状がない場合でも、内視鏡検査用スコープが咽頭部や舌根部に触れると、咽頭反射によるえずきが発生することで、むせて咳きこみ、飛沫が飛ぶことにより医師や介助者などの医療従事者に曝露の惧れがあるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実登3227293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、被検者が横臥した状態で行われる内視鏡検査において、被検者が咽頭反射により咳きこむ場合の飛沫の曝露から医療従事者を守る医療用感染防護器具を、提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような目的に応えるために、本発明に係る医療用感染防護器具は、経口又は経鼻内視鏡検査において使用される医療用感染防護器具において、前記医療用感染防護器具が直方体状の筐体からなり、載置された際に下方となる1面が開放面として構成され、載置された際に上方となる1面と載置された際に直立する2組の側面とが、透光性の部材からなり、載置された際に直立する対向する2組の側面のうち1組の側面の、両方の板状部の下面側の辺から上方に向けて、内視鏡検査被検者の頭部を挿入するための頭部挿入凹部が形成され、載置された際に直立する対向する2組の側面のうち前記凹部が形成されていない他の1組の側面の両方の板状部に、検査に当たる医療従事者の腕や内視鏡を通すための内視鏡等挿入孔部が形成されていることを特徴とする。
【0012】
このように構成することにより、経口又は経鼻内視鏡検査を行う際に、本発明に係る医療用感染防護器具を被験者に被せて使用することで被検者の咽頭反射によるえずき・咳きこみで飛沫が拡散されるが、被検者の咽頭反射によるえずき・咳きこみにより飛散した飛沫のほぼすべてが本発明に係る医療用感染防護器具の被検者の顔前面方向の内壁面とに付着することで遮られ、飛沫による感染症病原体への曝露から医療従事者を保護することができ、被験者の頭部を挿入していない方の頭部挿入凹部と内視鏡を挿入していない方の内視鏡等挿入孔部から、介助者が介助作業を行うことができる。また、内視鏡を挿入していない方の内視鏡等挿入孔部からHEPAフィルター付陰圧空気清浄機をパイプで繋ぐ事により、 陰圧に近い状況を作ることでより安全に検査をすることができる。
【0013】
このような目的に応えるために、本発明に係る医療用感染防護器具は、頭部挿入凹部が、同一形状で同一の大きさに形成されていることを特徴とする。
【0014】
このように構成することにより、経口又は経鼻内視鏡検査を行う際に、本発明に係る医療用感染防護器具を被検者に被せる際に、その都度被せる方向を確認する必要がなく、迅速に作業することができる。
【0015】
このような目的に応えるために、本発明に係る医療用感染防護器具は、内視鏡等挿入孔部が、正対する位置に同一形状で同一の大きさに形成されていることを特徴とする。
【0016】
このように構成することにより、経口又は経鼻内視鏡検査を行う際に、本発明に係る医療用感染防護器具の被せる方向にかかわらず、内視鏡について同様の操作性を得ることができる。
【0017】
このような目的に応えるために、本発明に係る医療用感染防護器具は、内視鏡等挿入孔部が、内視鏡スコープの挿入孔を備える透明柔軟素材からなる飛沫防止シートを装着可能に形成されていることを特徴とする。
【0018】
このように構成することにより、被検者の咽頭反射によるえずき・咳きこみにより飛散した飛沫のほぼすべてが本発明に係る医療用感染防護器具の被検者の顔前面方向の内壁面とともに飛沫防止シートに付着することで遮られ、かつ、経口又は経鼻内視鏡検査を行う際に、内視鏡医の手を被検者の口元に近づけることができ、細かい操作が可能になる上に、本発明に係る医療用感染防護器具を使用する毎に飛沫防止シートを廃棄することで、使用後の消毒作業を軽減することができる。
【0019】
このような目的に応えるために、本発明に係る医療用感染防護器具は、頭部挿入凹部の下辺からの最高部が、下辺から300mmないし450mmに形成されていることを特徴とする。
【0020】
このように構成することにより、経口又は経鼻内視鏡検査を行う際に、被験者の頭部を本発明に係る医療用感染防護器具に容易に挿入することができ、かつ、被検者の咽頭反射によるえずき・咳きこみで拡散される飛沫が筐体により遮られ、飛沫による感染症病原体への曝露から医療従事者を保護することができる。
【0021】
このような目的に応えるために、本発明に係る医療用感染防護器具は、内視鏡等挿入孔部が円形であり、直径150mmないし250mmの円形に形成されていることを特徴とする。
【0022】
このように構成することにより、内視鏡使用者が容易に手の挿入を行うことができ、経口又は経鼻内視鏡検査を行う際に被検者の咽頭反射によるえずき・咳きこみで拡散される飛沫が筐体により遮られるようにした状態で、内視鏡医の手を被検者の口元に近づけた際の操作性を確保して細かい操作が可能になるようにすることができる。
【0023】
このような目的に応えるために、本発明に係る医療用感染防護器具は、内視鏡等挿入孔部の周縁部に、前記内視鏡等挿入孔部の設けられた側面に対し直立して前記筐体外部方向に突出し、前記内視鏡等挿入孔部の外側方向に屈曲する飛沫防止シート係止部を備えることを特徴とする。
【0024】
このように構成することにより、飛沫防止シート作業を容易にした上で、飛沫の遮断を確保することができる。
【0025】
このような目的に応えるために、本発明に係る透明柔軟素材からなる飛沫防止シートは、内視鏡スコープの挿入孔を備え、医療用感染防護器具に設けられた内視鏡を通すための孔部に装着可能に構成されることを特徴とする。
【0026】
このように構成することにより、飛沫の遮断を確保した上で、飛沫防止シートを使用の都度廃棄することで感染の危険を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】通常の経口内視鏡検査を行う状態を示す斜視図である。
図2】経口内視鏡検査において被検者が咳きこむ原因の例を示す図である。
図3】経鼻内視鏡検査において被検者が咳きこむ原因の例を示す図である。
図4】本発明にかかる医療用感染防護器具の斜視図である。
図5図4の医療用感染防護器具を使用して経口内視鏡検査を行う状態を示す斜視図である。
図6】本発明にかかる医療用感染防護器具に使用される飛沫防止シールドの斜視図である。
図7】本発明にかかる医療用感染防護器具の平面図である。
図8図7の2点鎖線からなる円に囲まれた部分を、内視鏡挿入孔の中心の高さで水平に切断した断面図である。
図9図8の内視鏡挿入孔に図6の飛沫防止シールドを装着した状態の説明図である。
図10図9で装着された飛沫防止シールドが医療用感染防護器具内に挿入された状態の説明図である。
図11図10の飛沫防止シールドに内視鏡を挿入した状態の説明図である。
図12図10の内視鏡を操作する状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明に係る医療用感染防護器具の実施の形態について、図1~12を参照して説明する。
【0029】
図1は通常の経口内視鏡検査又は治療を行う状態を示す斜視図である。
【0030】
被検者4は横臥していて、医師50は手51で内視鏡スコープ挿入部31を把持して、被検者4がくわえたマウスピース32を通じて内視鏡スコープ先端部30を口腔に挿入する。介助を行う看護師52は、被検者4の体に手53を当てて被検者4の緊張をほぐしたり、被検者4の呼吸に合わせて背中をさすったりするなどの介助を行う。経鼻の場合には、マウスピース様のものは使用しないが、医師50が内視鏡スコープ先端部30を鼻腔に挿入する点以外は、経口の場合と同様の手順で行われる。
【0031】
図2は、経口内視鏡検査において被検者が咳きこむ原因の例を示す図である。
【0032】
図2で示されるように、口腔40に挿入された内視鏡スコープ挿入部31などが舌根42に触れると、その刺激により咽頭反射が引き起こされ、嘔吐感や咳嗽が引き起こされ、唾液などの飛沫の拡散の原因になる。
【0033】
図3は、経鼻内視鏡検査において被検者が咳きこむ原因の例を示す図である。
【0034】
経鼻内視鏡検査では鼻腔43に挿入された、内視鏡スコープ挿入部31などは舌根42に触れにくいが、図3で示されるように、咽頭44に触れてしまうことがあり、その刺激により咽頭反射が引き起こされ、嘔吐感や咳嗽が引き起こされ、唾液などの飛沫の拡散の原因になる。
【0035】
図4は、本発明にかかる医療用感染防護器具の実施の形態である飛沫防止ボックス1の斜視図である。飛沫防止ボックス1は、透光性を備える部材、例えば透明なプラスチックからなる略直方体の筐体で構成されている。
【0036】
図4に示すように、飛沫防止ボックス1の下方面は開放されている。1対の対向する頭部挿入側面部11と、他の1対の対向する内視鏡挿入側面部13との上面に上面部10が設けられている。頭部挿入側面部11には、下部開放面から上方に向かって頭部挿入凹部12が設けられ、内視鏡挿入側面部13には、円形の内視鏡挿入孔14が設けられている。
【0037】
図5は、図4の飛沫防止ボックス1を使用して経口内視鏡検査を行う状態を示す斜視図である。
【0038】
図5に示すように、横臥した被検者4の頭部が飛沫防止ボックス1の頭部挿入凹部12から入るように、被検者4の頭部に飛沫防止ボックス1をかぶせて使用する。医師50は手51で内視鏡スコープ挿入部31を把持して、その手51を内視鏡挿入孔14から挿入して、被検者4がくわえたマウスピース32を通じて内視鏡スコープ先端部30を口腔に挿入する。この体勢で被検者4が咽頭反射によって、唾液等の飛沫を拡散させた場合、その大半は被検者4の顔の前方の内視鏡挿入側面部13によって遮断され、医師や看護師への飛沫の曝露は、である飛沫防止ボックス1を使用しない場合に比べて著しく減少する。介助を行う看護師52は、頭部挿入凹部12や内視鏡挿入孔14から被検者4の体に手53を当てて被検者4の緊張をほぐしたり、被検者4の呼吸に合わせて背中をさすったりするなどの介助を行う。飛沫防止ボックス1は透明なので、飛沫防止ボックス1を使用しない状態同様に、医師50は自分の手51の動きを視認することができる。経鼻の場合には、マウスピース様のものは使用しないが、医師50が内視鏡スコープ先端部30を鼻腔に挿入する点以外は、経口の場合と同様の手順で行われる。
【0039】
図6は、図4のである飛沫防止ボックス1の実施の形態に付加する、飛沫防止ボックス1に使用される飛沫防止シールド2の斜視図である。飛沫防止シールド2は、透光性を備える部材、例えば透明なポリエチレンで構成されている。
【0040】
図6に示すように、飛沫防止シールド2のシールド部20は、柔軟な袋状であり、シールド部20の開口部付近を囲繞するように、伸縮性を備えるゴム紐等で開口部を締め付ける係止部21を備え、シールド部20の開口部の反対側の先端に内視鏡挿入孔22が設けられている。
【0041】
図7は、図4のである飛沫防止ボックス1の実施の形態に付加する、飛沫防止ボックス1に使用される飛沫防止シールド2を飛沫防止ボックス1に係止する構造を示す、飛沫防止ボックス1を情報から見た平面図である。
【0042】
図7で示すように、飛沫防止シールド2を飛沫防止ボックス1の内視鏡挿入孔14に係止するための飛沫防止シールド係止壁15と飛沫防止シールド係止片16とは、内視鏡挿入側面部13に、内視鏡挿入孔14を囲んで飛沫防止ボックス1の外側に向けて形成されている
【0043】
図8は、図7の2点鎖線からなる円に囲まれた部分を、内視鏡挿入孔14の中心の高さで水平に切断した断面図である。
【0044】
図8で示すように、飛沫防止シールド2を飛沫防止ボックス1の内視鏡挿入孔14に係止するための飛沫防止シールド係止壁15は、内視鏡挿入側面部13の平面に対し直角に、飛沫防止ボックス1の外側に向けて形成されている。係止を強化するために、飛沫防止シールド係止片16は、飛沫防止シールド係止壁15に対し直角に、内視鏡挿入孔14の外側に向けて形成されている。
【0045】
図9ないし図12において、飛沫防止シールド2を飛沫防止ボックス1に装着した場合の使用方法を説明する。なお、内視鏡挿入側面部13、内視鏡挿入孔14、飛沫防止シールド係止壁15、飛沫防止シールド係止片16については図8同様の断面として記載するが、他については、断面でない通常の外観を記載する。
【0046】
図9に示すように、飛沫防止シールド2のシールド部20の開口部を飛沫防止シールド係止壁15にかぶせるように装着する。係止部21が開口部を締め付けることで、飛沫防止ボックス1の内側からの飛沫は、外部に拡散しないようになっている。また係止部21が、飛沫防止シールド係止壁15の、飛沫防止シールド係止片16より内視鏡挿入側面部13側の部分を締め付けることで、シールド部20の飛沫防止シールド係止壁15への係止をさらに強化している。
【0047】
図10に示すように、飛沫防止シールド係止壁15に係止したシールド部20を裏返す形で、シールド部20を飛沫防止ボックス1の内側へ挿入する。これにより、飛沫防止ボックス1の内側からの飛沫は、シールド部20と内視鏡挿入側面部13に妨げて、外部に拡散しない。また、シールド部20を取り出す際に、シールド部20の先端部を内視鏡挿入孔14から引き出すことにより、飛沫を浴びた側を内側にすることができるので、飛沫防止シールド2を廃棄する際に飛沫が拡散することを防止することができる。
【0048】
図11に示すように、内視鏡挿入孔14から内視鏡スコープ挿入部31を挿入し、内視鏡スコープ先端部30を内視鏡挿入孔22を通して、飛沫防止ボックス1の内側に挿入する。
【0049】
図12に示すように、医者50の手51で内視鏡スコープ挿入部31を把持し、内視鏡スコープ先端部30を被検者4んいたいし使用することで、検査や治療を行うことができる。
【0050】
飛沫防止ボックス1においては、頭部挿入凹部の下辺からの最高部が、下辺から300mmないし450mmに形成されていることであるように形成されていることが望ましい。
【0051】
このように構成することにより、経口又は経鼻内視鏡検査を行う際に、被験者の頭部を本発明に係る医療用感染防護器具に容易に挿入することができる。
【0052】
さらに、飛沫防止ボックス1においては、内視鏡等挿入孔部が円形であり、直径150mmないし250mmの円形に形成されていることが望ましい。
【0053】
このように構成することにより、内視鏡使用者が容易に手の挿入を行うことができ、経口又は経鼻内視鏡検査を行う際に被検者の咽頭反射によるえずき・咳きこみで拡散される飛沫が筐体により遮られるようにした状態で、内視鏡医の手を被検者の口元に近づけた際の操作性を確保して細かい操作が可能になるようにすることができる。
【0054】
なお、本発明は、上述した実施の形態で説明した構造には限定されず、実施の形態を適宜変形、変更し得るものであり、本発明の技術的範囲は、この具体的態様に限定されるものではない。また、内視鏡検査のみならず、内視鏡を用いた治療の際においても感染防止効果が発揮できることもいうまでもない。
【0055】
例えば、飛沫防止ボックスが半球状や半楕円球状のカバーであって、対向する位置にそれぞれ1対の頭部挿入凹部と内視鏡挿入孔を備えた形状のものも考えられる。また、使用に際して、飛沫防止ボックスの頭部挿入凹部付近にビニールカバーを備えたものも本発明の範囲に属する。
【符号の説明】
【0056】
1…飛沫防止ボックス、2、飛沫防止シールド、3…内視鏡、4…被検者、10…上面部、11…頭部挿入側面部、12…頭部挿入凹部、13内視鏡挿入側面部、14…内視鏡挿入孔、15…飛沫防止シールド係止壁、16…飛沫防止シールド係止片、20…シールド部、21…係止部、22…内視鏡挿入孔、30…内視鏡スコープ先端部、31…内視鏡スコープ挿入部、32…マウスピース、40…口腔、41…舌、42…舌根、43…鼻腔、44…咽頭部、45…食道、46…気管、50…医師、51…手、52…看護師、53…手
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12