(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022074644
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】カウンターの仕切り構造
(51)【国際特許分類】
A47F 9/00 20060101AFI20220511BHJP
A47B 96/04 20060101ALI20220511BHJP
A47G 5/00 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
A47F9/00 Z
A47B96/04 B
A47G5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020184855
(22)【出願日】2020-11-05
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 子会社店舗での使用による公開/公開日:令和2年9月15日 場所:お肉屋さんのひとり焼肉・ダイリキ岩江岩田駅前店 テレビ放送による公開/放送日:令和2年10月2日 放送局・番組:株式会社毎日放送「ちちんぷいぷい」内
(71)【出願人】
【識別番号】397012831
【氏名又は名称】株式会社1&Dホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 淳
(57)【要約】
【課題】天板の上方空間など、カウンターの周辺空間を仕切る態様を容易に変更すること。
【解決手段】カウンター1の上方空間を長手方向に仕切る仕切り壁11,12が、カウンター1の上面2Uに起立した姿勢で配置され、仕切り壁11,12のうち、可動仕切り壁125がカウンター1の上方空間を仕切る度合いを変更可能に上面2Uに沿って移動する構成とし、該可動仕切り壁125をガイドするガイド手段(30)が、上面2Uに設けられた。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カウンターの周辺空間を仕切る仕切り部材を備え、上記仕切り部材が上記カウンターの上記周辺空間を仕切る態様を変更可能に移動する構成とし、
該仕切り部材をガイドするガイド手段が、上記カウンターに設けられた
カウンターの仕切り構造。
【請求項2】
上記カウンターの上記周辺空間における、該カウンターの天板の直上空間よりも該天板の平面視外側へ張り出した空間を、外側張り出し空間に設定するとともに、上記外側張り出し空間における、上記天板よりも上方に位置する空間を、外側上方空間に設定し、
上記カウンターの上記周辺空間における、上記天板の直上空間と、上記外側上方空間とで構成される空間を、上記天板の上方空間に設定し、
上記仕切り部材は、上記天板の上面に起立した姿勢で配置されるとともに、上記天板の上記上方空間を、上記カウンターの長手方向に仕切る構成とし、
上記ガイド手段が、上記天板の少なくとも上記上面に設けられた
請求項1に記載のカウンターの仕切り構造。
【請求項3】
上記外側張り出し空間は、上記天板に対して上下各側の空間に亘って上下方向に延びており、
上記仕切り部材は、上記外側張り出し空間を上記カウンターの長手方向に仕切る構成とし、
上記ガイド手段が、上記天板の少なくとも上記下面に設けられた
請求項1又は2に記載のカウンターの仕切り構造。
【請求項4】
上記周辺空間には、上記外側張り出し空間に隣接するとともに上記天板の直下に位置する、該天板の直下空間をさらに有しており、
上記仕切り部材は、上記天板の上記直上空間と上記外側張り出し空間に加えて、上記天板の上記直下空間を上記カウンターの長手方向に仕切る構成とした
請求項3に記載のカウンターの仕切り構造。
【請求項5】
上記仕切り部材は、上記天板の上記上面の長手方向に直交する直交方向の両側のうち、手前側へ引き出した引出し位置と、奥側へ退避させた退避位置との間をスライドすることによって上記カウンターの上記周辺空間を仕切る態様を変更する構成とし、
上記ガイド手段は、上記仕切り部材をスライド可能にガイドするスライドガイド手段で構成された
請求項2乃至4のいずれか1項に記載のカウンターの仕切り構造。
【請求項6】
上記仕切り部材は、上記天板の上記上面の長手方向に直交する直交方向の両側のうち、手前側へ引き出した引出し位置と、奥側へ退避させた退避位置との間を移動可能な構成とし、
上記仕切り部材は、
上記引出し位置のとき、上記起立姿勢となるとともに、上記退避位置のとき、上記起立姿勢における上記仕切り部材の手前側部位が奥側部位よりも上方に位置する、跳ね上げ姿勢となるように上記長手方向に延びる軸回りに揺動することで、上記カウンターの上記周辺空間を仕切る態様を変更する構成とし、
上記ガイド手段は、上記仕切り部材を揺動可能にガイドする揺動ガイド手段で構成された
請求項2乃至4のいずれか1項に記載のカウンターの仕切り構造。
【請求項7】
上記カウンターの上記周辺空間のうち、上記仕切り部材により上記長手方向に仕切られた領域を、客が個別に利用可能な個別利用領域に設定し、
上記個別利用領域は、上記直交方向の奥側において区分けされ、食物を加熱調理する加熱調理手段を備えた調理領域と、
上記直交方向における、上記調理領域よりも手前側において区分けされた飲食領域とを有し、
上記仕切り部材は、
上記長手方向において、隣り合う上記調理領域を仕切る固定仕切り壁と、隣り合う上記飲食領域を仕切る可動仕切り壁とを備え、
上記可動仕切り壁を上記固定仕切り壁に上記直交方向において重複させる度合いに応じて、上記隣り合う上記飲食領域を仕切る度合いを変更する構成とした
請求項5に記載のカウンターの仕切り構造。
【請求項8】
上記可動仕切り壁は、単一の部材からなる板状の部材で形成された
請求項7に記載のカウンターの仕切り構造。
【請求項9】
上記可動仕切り壁は、少なくとも上記引出し位置のとき、該可動仕切り壁の奥側部位が、上記直交方向における、上記調理領域に相当する部位に配置され、
上記スライドガイド手段は、上記可動仕切り壁が、上記天板の上記長手方向に交差する方向に沿ってスライド可能に上記奥側部位をガイドする上記固定仕切り壁で構成された
請求項7又は8に記載のカウンターの仕切り構造。
【請求項10】
上記スライドガイド手段は、上記可動仕切り壁が、上記天板の上記長手方向に交差する方向に沿ってスライド可能に該可動仕切り壁の下縁辺をガイドするレール部材で構成され、
上記レール部材は、上記長手方向において、隣り合う上記個別利用領域の境界部に沿って設けられた
請求項7乃至9のいずれか1項に記載のカウンターの仕切り構造。
【請求項11】
上記可動仕切り壁の上記下縁辺は、上記直交方向の両側のうち奥側に位置する奥側下縁辺部が、手前側に位置する手前側下縁辺部よりも下方に突出する段違い形状に形成され、
上記奥側下縁辺部と上記手前側下縁辺部との境界部には、上下方向に延びる下縁段差部を有しており、
上記レール部材には、上記下縁段差部との当接により、上記可動仕切り壁が上記引出し位置よりも上記直交方向の手前側へスライドすることを規制する手前側規制部が設けられた
請求項10に記載のカウンターの仕切り構造。
【請求項12】
上記レール部材は、該レール部材の上記直交方向における手前側端が、上記天板の上記直交方向における手前側端に位置するように設けられ、
上記手前側規制部は、上記レール部材の上記手前側端に設けられた
請求項11に記載のカウンターの仕切り構造。
【請求項13】
上記退避位置を、上記可動仕切り壁の上記直交方向における手前側端が、上記天板の上記直交方向における手前側端に位置するまで退避する位置に設定し、
上記レール部材と上記固定仕切り壁とのうち少なくとも一方には、上記可動仕切り壁の上記直交方向における奥側端との当接により、該可動仕切り壁が上記退避位置よりも上記直交方向の奥側へスライドすることを規制する奥側規制部が設けられた
請求項11又は12に記載のカウンターの仕切り構造。
【請求項14】
上記天板の上記飲食領域に相当する上記上面は、水平に形成された
請求項7乃至13のいずれか1項に記載のカウンターの仕切り構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、カウンターの上方空間を仕切る仕切り部材が、該カウンターの上面に起立した姿勢で配置されるカウンターの仕切り構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、飲食店において、客が、カウンターに向けてカウンターの長手方向に沿って並んで着席して飲食する際に、隣り合う客同士の声や視線、飛散するおそれがある粉塵、飛沫等を遮断するために、客が飲食する領域ごとにカウンターの上面を仕切る仕切り部材を、該カウンターの上面に設けることが行われている。
【0003】
このような仕切り部材を備えたカウンターの仕切り構造に関して、従来より様々な技術が開示されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1の仕切り部材としての間仕切りボードは、テーブル(カウンター)の上面に起立した状態で設置するに際して、ビス等の固定手段を用いて固定するのではなく、テーブルの上面に台座状のボード保持具を介して載置するものである。
このため、特許文献1の間仕切りボードは、固定手段を用いてテーブルに固定するタイプのものと比較してテーブルの上面に対して設置したり、取り除いたりすることを容易に行うことができる。
【0005】
しかしながら特許文献1の間仕切りボードは、このように、テーブルの上面に単に載置するようにして設置されるものであるが故に、例えば、客が該間仕切りボードをテーブルの上面に沿って動かそうとしても、起立した状態のままテーブルの上面に沿って意図する方向へ適切に動かすことが困難である。
【0006】
従って、例えば、客がテーブルの上面を間仕切りボードによって仕切る度合いを変更しようとして、該間仕切りボードをテーブルの上面に沿って動かそうとすると、該間仕切りボードが倒れたり、テーブルから落下したりするおそれがあり、改善の余地がある。
【0007】
また、特許文献1の間仕切りボードは、テーブルの上面に対して設置したり、取り除いたりする際には、テーブルの上面から全体を持ち上げて行う必要がある。
【0008】
このため、例えば、客が椅子に着席した状態で、複数の食器等が載置されている状態のテーブルの上面に対して、仕切り部材を、さらに容易に設置したり、取り除いたりするためには改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたもので、天板の上方空間など、カウンターの周辺空間を仕切る態様を容易に変更することができるカウンターの仕切り構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、カウンターの周辺空間を仕切る仕切り部材を備え、上記仕切り部材が上記カウンターの上記周辺空間を仕切る態様を変更可能に移動する構成とし、該仕切り部材をガイドするガイド手段が、上記カウンターに設けられたものである。
【0012】
上記構成によれば、仕切り部材をガイド手段でガイドしながら移動させることで、カウンターの上記周辺空間を仕切る態様を容易に変更することができる。
【0013】
ここで、上記周辺空間を仕切る態様とは、例えば、仕切り部材で仕切る位置、形状、度合い(すなわち、仕切る大きさ、面積)を示す。
【0014】
また、例えば、上記仕切り部材が上記周辺空間を仕切る度合いを変更可能に移動する構成において、仕切り部材で仕切る度合いを高めた状態とする場合には、仕切り部材でカウンターの上面を長手方向に完全に仕切った状態も含むものとする。また、同様に、仕切る度合いを低くした状態とする場合には、仕切り部材でカウンターの上面を長手方向に全く仕切らない状態も含むものとする。
【0015】
また、上記仕切り部材は、上記カウンターの天板の上面に沿って水平に移動する構成に限らず、例えば、上記カウンターの天板の上面においてや、天板に対して上下各側に亘って上下方向に移動する構成を採用してもよい。なお、カウンターの利用者は、仕切り部材を上記カウンターの上記周辺空間において、上述したように、上下方向に移動させる場合においてもガイド手段により仕切り部材をガイドすることでスムーズに移動させることができる。
【0016】
この発明の態様として、上記カウンターの上記周辺空間における、該カウンターの天板の直上空間よりも該天板の平面視外側へ張り出した空間を、外側張り出し空間に設定するとともに、上記外側張り出し空間における、上記天板よりも上方に位置する空間を、外側上方空間に設定し、上記カウンターの上記周辺空間における、上記天板の直上空間と、上記外側上方空間とで構成される空間を、上記天板の上方空間に設定し、上記仕切り部材は、上記天板の上面に起立した姿勢で配置されるとともに、上記天板の上記上方空間を、上記カウンターの長手方向に仕切る構成とし、上記ガイド手段が、上記天板の少なくとも上記上面に設けられたものである。
【0017】
上記構成によれば、仕切り部材をガイド手段でガイドしながらカウンターの上面に沿って移動させることで、該仕切り部材によって、カウンターの上方空間を仕切る態様を容易に変更することができる。
【0018】
さらに、上記構成によれば、上記仕切り部材は、天板の直上の空間のみならず、上記天板の上記直上空間よりも平面視外側へ張り出した外側張り出し空間を長手方向に仕切ることができる。
【0019】
この発明の態様として、上記外側張り出し空間は、上記天板に対して上下各側の空間に亘って上下方向に延びており、上記仕切り部材は、上記外側張り出し空間を上記カウンターの長手方向に仕切る構成とし、上記ガイド手段が、上記天板の少なくとも上記下面に設けられたものである。
【0020】
上記構成によれば、上記仕切り部材は、上記天板に対して上下各側の空間に亘って上下方向に延びる外側張り出し空間を、長手方向に仕切ることができる。
【0021】
すなわち、上記仕切り部材は、カウンターに向けて飲食する、隣接する客同士を、客の腰部や臀部相当の高さに至るまでしっかりと仕切ることができる。
【0022】
さらに、天板よりも下方に延びる上記仕切り部材は、上記天板の少なくとも上記下面に設けられた上記ガイド手段によってしっかりとガイドすることで、スムーズに移動させることができる。
【0023】
この発明の態様として、上記周辺空間には、上記外側張り出し空間に隣接するとともに上記天板の直下に位置する、該天板の直下空間をさらに有しており、上記仕切り部材は、上記天板の上記直上空間と上記外側張り出し空間に加えて、上記天板の上記直下空間を上記カウンターの長手方向に仕切る構成としたものである。
【0024】
上記構成によれば、上記仕切り部材によって直下空間を長手方向に仕切ることができるため、客が天板の直下空間に足を入れた状態で飲食する場合においても、隣接する客同士を、上半身から足元まで含めた略全身に亘って仕切ることができる。
【0025】
この発明の態様として、上記仕切り部材は、上記天板の上記上面の長手方向に直交する直交方向の両側のうち、手前側へ引き出した引出し位置と、奥側へ退避させた退避位置との間をスライドすることによって上記天板の上記周辺空間を仕切る態様を変更する構成とし、上記ガイド手段は、上記仕切り部材をスライド可能にガイドするスライドガイド手段で構成されたものである。
【0026】
上記構成によれば、スライドガイド手段は、上記仕切り部材をスライド(直進)可能にガイドする構成としたため、該仕切り部材を、天板の上面から持ち上げることなく、引出し位置と退避位置との間で容易に移動させることができる。
【0027】
この発明の態様として、上記仕切り部材は、上記天板の上記上面の長手方向に直交する直交方向の両側のうち、手前側へ引き出した引出し位置と、奥側へ退避させた退避位置との間を移動可能な構成とし、上記仕切り部材は、上記引出し位置のとき、上記起立姿勢となるとともに、上記退避位置のとき、上記起立姿勢における上記仕切り部材の手前側部位が奥側部位よりも上方に位置する、跳ね上げ姿勢となるように上記長手方向に延びる軸回りに揺動することで、上記カウンターの上記周辺空間を仕切る態様を変更する構成とし、上記ガイド手段は、上記仕切り部材を揺動可能にガイドする揺動ガイド手段で構成されたものである。
【0028】
上記構成によれば、上記仕切り部材を退避位置とした際に、仕切り部材は、跳ね上げ姿勢となるため、上記直交方向においてコンパクトな姿勢とすることができる。
【0029】
一方、上記仕切り部材を引出し位置とした際には、仕切り部材が起立姿勢となるため、該仕切り部材によって、カウンターの上面をしっかりと仕切ることができる。
【0030】
また、上記構成によれば、上記仕切り部材全体を持ち上げずとも上記長手方向に延びる軸回りに揺動させるだけで、上記引出し位置と上記退避位置との間で容易に姿勢変更することができる。
【0031】
この発明の態様として、上記カウンターの上記周辺空間のうち、上記仕切り部材により上記長手方向に仕切られた領域を、客が個別に利用可能な個別利用領域に設定し、上記個別利用領域は、上記直交方向の奥側において区分けされ、食物を加熱調理する加熱調理手段を備えた調理領域と、上記直交方向における、上記調理領域よりも手前側において区分けされた飲食領域とを有し、上記仕切り部材は、上記長手方向において、隣り合う上記調理領域を仕切る固定仕切り壁と、隣り合う上記飲食領域を仕切る可動仕切り壁とを備え、上記可動仕切り壁を上記固定仕切り壁に上記直交方向において重複させる度合いに応じて、上記隣り合う上記飲食領域を仕切る度合いを変更する構成としたものである。
【0032】
上記構成によれば、隣り合う調理領域を、変位しない固定仕切り壁によって仕切ることで、加熱調理手段の熱の影響が夫々の調理領域に及ばないようにしっかりと仕切ることができ、結果として、加熱調理手段の熱に対しての安全性を確保することができる。
【0033】
一方、隣り合う飲食領域を、仕切る度合いを変更可能な可動仕切り壁によって仕切ることで、夫々の飲食領域を利用する客が望む利用態様に応じた仕切り度合いで仕切ることができる。
【0034】
この発明の態様として、上記可動仕切り壁は、単一の部材からなる板状の部材で形成されたものである。
【0035】
上記構成によれば、可動仕切り壁は、隣り合う飲食領域の境界部において、引出し位置と退避位置との間でスライドさせる際に、板状の形状のまま該境界部に沿ってスライドさせることができため、例えば、蛇腹状に収縮するなどして、少なくとも一部が隣り合う飲食領域に侵入することがない。
【0036】
ここで、単一の部材からなる板状の部材とは、飲食領域の略全体を上記長手方向に仕切る大きさを有した実質的に1枚ものの板状の部材を示す。
【0037】
この発明の態様として、上記可動仕切り壁は、少なくとも上記引出し位置のとき、該可動仕切り壁の奥側部位が、上記直交方向における、上記調理領域に相当する部位に配置され、上記スライドガイド手段は、上記可動仕切り壁が、上記天板の上記長手方向に交差する方向に沿ってスライド可能に上記奥側部位をガイドする上記固定仕切り壁で構成されたものである。
【0038】
上記構成によれば、可動仕切り壁の奥側部位は、上記直交方向におけるスライド位置に関わらず、上記固定仕切り壁によってガイドされるため、安定して上記直交方向へスライドさせることができる。
【0039】
この発明の態様として、上記スライドガイド手段は、上記可動仕切り壁が、上記天板の上記長手方向に交差する方向に沿ってスライド可能に該可動仕切り壁の下縁辺をガイドするレール部材で構成され、上記レール部材は、上記長手方向において、隣り合う上記個別利用領域の境界部に沿って設けられたものである。
【0040】
上記構成によれば、上記レール部材は、可動仕切り壁の下縁辺をスライド可能にガイドするため、可動仕切り壁を安定してスライドさせることができる。
【0041】
この発明の態様として、上記可動仕切り壁の上記下縁辺は、上記直交方向の両側のうち奥側に位置する奥側下縁辺部が、手前側に位置する手前側下縁辺部よりも下方に突出する段違い形状に形成され、上記奥側下縁辺部と上記手前側下縁辺部との境界部には、上下方向に延びる下縁段差部を有しており、上記レール部材には、上記下縁段差部との当接により、上記可動仕切り壁が上記引出し位置よりも上記直交方向の手前側へスライドすることを規制する手前側規制部が設けられたものである。
【0042】
上記構成によれば、可動仕切り壁が引出し位置にあるとき、可動仕切り壁の下縁辺における、上下方向に延びる下縁段差部が上記直交方向の奥側からレール部材の手前側規制部に当接することで、それ以上、可動仕切り壁が手前側へ引き出されることを規制することができる。
【0043】
これにより、可動仕切り壁が、引出し位置よりも手前側へ引き出されることで例えば、レール部材から外れることを防ぐことができる。
【0044】
また、上記構成によれば、下縁段差部は、奥側下縁辺部と手前側下縁辺部との境界部に有するため、可動仕切り壁が引出し位置に位置するとき(すなわち、可動仕切り壁の下縁段差部がレール部材の手前側規制部に当接したとき)、可動仕切り壁の手前側端は、手前側規制部に相当する位置よりも手前側へ突き出した状態とすることができる。
【0045】
従って、可動仕切り壁の手前側端が手前側規制部に相当する位置よりも手前側へ突き出さない状態と比して、上記飲食領域を可動仕切り壁によって仕切る度合いを高めることができる。
【0046】
この発明の態様として、上記レール部材は、該レール部材の上記直交方向における手前側端が、上記天板の上記上面の上記直交方向における手前側端に位置するように設けられ、上記手前側規制部は、上記レール部材の上記手前側端に設けられたものである。
【0047】
上記構成によれば、上記可動仕切り壁は、引出し位置のとき、該可動仕切り壁の下縁段差部が、上記天板の上記上面の上記直交方向における手前側端に相当する位置に設けられた、レール部材の手前側規制部に当接する。このため、上記可動仕切り壁は、引出し位置のとき、該可動仕切り壁の上記手前側端が上記天板の上記上面の上記手前側端よりも手前側へ引き出された状態とすることができる。
【0048】
従って、上記可動仕切り壁によって、隣り合う飲食領域間で粉塵、病原菌、ウイルス等の飛散を最大限抑制することができる。
【0049】
また、レール部材を、該レール部材の手前側端が、天板の上面の上記直交方向に沿って上記手前側端に位置するように設けることで、レール部材は、上記天板の上記上面の手前側端から手前側へ突き出すことなく、天板を利用する客にとってレール部材が邪魔になることがない。
【0050】
この発明の態様として、上記退避位置を、上記可動仕切り壁の上記直交方向における手前側端が、上記天板の上記上面の上記直交方向における手前側端に位置するまで退避する位置に設定し、上記レール部材と上記固定仕切り壁とのうち少なくとも一方には、上記可動仕切り壁の上記直交方向における奥側端との当接により、該可動仕切り壁が上記退避位置よりも上記直交方向の奥側へスライドすることを規制する奥側規制部が設けられたものである。
【0051】
上記構成によれば、上記可動仕切り壁は、退避位置のとき、該可動仕切り壁の上記手前側端が上記天板の上記上面の手前側端に位置させることができる。
【0052】
これにより、上記可動仕切り壁は、退避位置においても上記天板の上面における上記飲食領域に相当する部位を上記長手方向においてしっかりと仕切った状態とすることができる。
【0053】
この発明の態様として、上記天板の上記飲食領域に相当する上記上面は、水平に形成されたものである。
【0054】
上記構成によれば、上記天板の上記飲食領域に相当する上記上面は、水平であるため、該水平な部位に載置したトレイや複数の食器等を該水平な部位に沿ってスムーズに移動させることができる。
【0055】
従って、上記カウンターを利用する客は、飲食領域に相当する部位の隅々に至るスペースまで有効に活用することができる。
【0056】
一方、上述したように、上記天板の上記上面の上記長手方向において、隣り合う飲食領域を仕切るように上記レール部材を設けた場合には、上記天板の上記飲食領域に相当する水平な上面に載置した食器等が、該水平な上面に沿って、上記長手方向において隣り合う飲食領域の境界部を跨いで隣り合う他方の飲食領域へスライドしないように規制することができる。
【発明の効果】
【0057】
上記構成によれば、天板の上方空間など、カウンターの周辺空間を仕切る態様を容易に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【
図1】本実施形態のカウンターの仕切り構造を示す平面図
【
図2】本実施形態のカウンターの仕切り構造を幅方向の一方から視た正面図
【
図3】本実施形態のカウンターの仕切り構造を長手方向の一方から視た正面図
【
図4】
図1中の矢視A、かつカウンターの上面より上方から視た斜視図
【
図5】
図1中の矢視A’、かつカウンターの上面より上方から視た斜視図(参考写真)
【
図7】個別飲食領域およびその周辺の要部を示す正面図
【
図10】長手方向において隣り合う個別飲食領域の境界部を、長手方向の一方の個別飲食領域側から視た斜視図(参考写真)
【
図11】本実施形態のカウンターの仕切り構造を長手方向の他方から視た斜視図(参考写真)
【
図12】(a)
図6中のD-D矢視の要部を示す端面図、(b)
図6中のE-E矢視の要部を示す端面図
【
図13】長手方向において隣り合う個別飲食領域の境界部を、上方から視た斜視図(参考写真)
【
図14】(a)仕切り部材が退避位置に位置する場合における
図6中のC-C矢視断面図、(b)
図14(a)中のX1部拡大図
【
図15】(a)仕切り部材が引出し位置に位置する場合における
図6中のC-C矢視断面図、(b)
図15(a)中のX2部拡大図
【
図16】長手方向の一端を飲食スペースの壁際に設置した本実施形態のカウンターを、長手方向の他方から視た斜視図(参考写真)
【
図17】長手方向の一端に仕切り部材が設けられた変形例に係るカウンターを、後方から視た斜視図(参考写真)
【
図18】変形例に係るカウンターを長手方向の所定部位において切断した縦断面図
【
図19】変形例に係るカウンターを
図6に対応して示した平面図
【
図20】変形例に係るカウンターを
図7に対応して示した正面図
【
図23】仕切り部材が引出し位置に位置する場合における
図22に対応する断面図
【
図24】本実施形態の変形例に係るカウンターの仕切り構造を
図15(a)に対応して示した断面図
【発明を実施するための形態】
【0059】
この発明の一実施形態を以下図面(参考写真)と共に説明する。
本実施形態のカウンターの仕切り構造は、焼肉店の飲食スペースの床面に設置されたカウンター1に設けられている。
図中の矢印Yは、カウンター1の長手方向を示し、図中の矢印Xは、カウンター1の幅方向を示すものとする。
【0060】
図1~
図4に示すように、本実施形態におけるカウンター1は、カウンター1の上面2Uを形成する天板2と、床面に設置されるとともに該天板2を支持する基台3(
図2、
図3参照)とを備えている。天板2(天板2の上面2U)は、幅方向と、該幅方向に直交する長手方向との夫々に直線状に延びる、平面視矩形状に形成されている。
【0061】
図3に示すように、基台3は、天板2の幅方向の中央部の直下に設けられ、
図2に示すように、天板2を長手方向の全長に亘って下方から支持する。すなわち、天板2は、基台3に対して幅方向の両側へ延出(オーバーハング)されている(
図3参照)。これにより、
図3に示すように、この天板2の幅方向の外側への延出部分29(「後方延出部分29」とも称する。)の下方には、椅子150の座部等を収容可能なスペースが設けられている。
【0062】
カウンター1の天板2は、幅方向の各側から着席した2人の客がカウンター1を隔てて対面した状態で個別に飲食可能な幅方向の長さを有して形成されている。さらに、カウンター1の天板2は、該カウンター1に向けて着席した複数人(当例では6人)の客が長手方向に沿って並んだ状態で個別に飲食可能な長手方向の長さを有して形成されている。
【0063】
すなわち、
図1~
図5に示すように、カウンター1の天板2の上方空間は、個別利用領域20ごとに幅方向の中間位置に対して各側に区分けされるとともに、長手方向において複数(当例では6つ)に区分けされている。本実施形態において、カウンター1の天板2の上方空間は、個別利用領域20ごとに略等分に区分けされ、合計12の個別利用領域20に区分けされている(
図1参照)。
【0064】
個別利用領域20は、カウンター1の天板2において、客が個別に専有して飲食等に利用可能な領域であって、後述するように、個別利用領域20ごとに例えば、後述する加熱調理部91が設けられている(
図1、
図4参照)。これにより、個別利用領域20において飲食する客は、加熱調理部91で個別に加熱調理できるとともに、加熱調理した食材等を個別に飲食することができる。
【0065】
ここで、以下の説明において、天板2に区分けされた複数の個別利用領域20の夫々について、上記幅方向と一致する方向を前後方向(図中矢印Dx参照)とも称するとともに、上記長手方向と一致する方向を左右方向(図中矢印Dy参照)とも称する。さらに、以下の説明において、個別利用領域20に向けて着席した客を基準として前側(奥行方向の奥側)に相当する方向を前方向(図中矢印F参照)とも称し、後背側(奥行方向の手前側)に相当する方向を後方向(図中矢印R参照)とも称し、右側に相当する方向を右方向(図中矢印L参照)とも称し、左側に相当する方向を左方向(図中矢印RI参照)とも称する。
【0066】
上述した天板2の上方空間(複数の個別利用領域20の夫々)は、天板2の直上(上面2Uと平面視で一致する)の空間のみならず、
図6、
図8に示すように、客が着席する空間の側へ天板2の直上の空間に対して後方へ張り出した空間も含まれる。
【0067】
また、
図1~
図4に示すように、天板2の上方に区分けされた複数の個別利用領域20は、夫々仕切り壁11,12により仕切られている。なお、カウンター1の長手方向の両側に位置する個別利用領域20は、カウンター1の長手方向の端部に相当する側に、仕切り部材を設けていない(
図1、
図4、
図5、
図11、参照)。
【0068】
仕切り壁11,12は、幅方向において隣り合う個別利用領域20を仕切る幅方向仕切り壁11と、長手方向において隣り合う個別利用領域20を仕切る長手方向仕切り壁12とを備えている。
【0069】
図1、
図3、
図4に示すように、幅方向仕切り壁11は、天板2の幅方向の一方側と他方側とを仕切るように天板2の幅方向の中間位置、すなわち個別利用領域20の前後方向の前端位置において天板2の上面2Uから縦壁状に立設されている。
図1、
図2に示すように、幅方向仕切り壁11は、長手方向に沿って区分けされた複数の個別利用領域20に亘って、すなわち、天板2の長手方向の全長に亘って該長手方向と一致する方向(平行)に直線状に連続して延びている。
【0070】
図3に示すように、幅方向仕切り壁11は、カウンター1に向けて着席した客の頭部の高さと略同じ高さに設定されている。これにより、幅方向仕切り壁11は、カウンター1を隔てて着席した2人の客の視線が、互いに合わない高さに設定されている。
【0071】
図1~
図4に示すように、幅方向仕切り壁11の上部には、調味料収容部4が該幅方向仕切り壁11の長手方向の全長に亘って設けられている。
【0072】
調味料収容部4は、
図4に示すように、底面に調味料を載置可能に水平に形成された調味料等載置台4aを有するとともに、該調味料等載置台4aに載置した不図示の調味料入り容器をガイドする金属製のフレーム4bを有して構成される。さらに、調味料収容部4は、調味料入り容器を出し入れ可能に上方に開口して構成される。調味料収容部4は、該調味料収容部4に収容した調味料入り容器を、天板2の幅方向の一方側と他方側との何れの側に着席した客が、手を延ばして届く高さに設定されている。
なお、幅方向仕切り壁11の上部に調味料収容部4を設けた構成は必須ではなく、幅方向仕切り壁11の上部には、調味料収容部4を設けない構成を採用してもよい。また、幅方向仕切り壁11は、カウンター1に向けて着席した客の頭部相当の高さに設定するに限らず、頭部よりもさらに高い高さに設定するなど、カウンター1の利用形態に応じて適宜設定することができる。
【0073】
長手方向仕切り壁12は、天板2の長手方向において隣り合う個別利用領域20を仕切るように、長手方向に隣り合う個別利用領域20の境界位置において、天板2の上面2Uから縦壁状に立設されるとともに、幅方向と一致する方向(平行)に直線状に延びている。長手方向仕切り壁12の詳細については後述する。
【0074】
また、
図1~
図6、
図8~
図11に示すように、個別利用領域20は、前側において、食物を加熱調理する加熱調理部91を備えた調理領域21が区分けされるとともに、調理領域21よりも後側において、飲食領域22が区分けされている。
【0075】
図6、
図8に示すように、飲食領域22は、天板2の直上の空間のみならず、客が着席する空間まで天板2の直上の空間に対して後方へ張り出した空間も含まれる。ここで、飲食領域22のうち、天板2の直上の空間を、飲食領域前部22aに設定するとともに、飲食領域22のうち、天板2の直上の空間に対して後方へ張り出した空間を、飲食領域後部22bに設定する。
【0076】
図1、
図2、
図4~
図11に示すように、天板2の個別利用領域20に相当する上面2Uは、飲食領域22に対して調理領域21が一段高い位置に配されるように調理領域21と飲食領域22との境界部に上面段差部2Ua(上面立ち上げ部2Ua)を有する段付き形状に形成されている。
【0077】
上面段差部2Uaは、個別利用領域20の左右方向の全長に亘って左右方向と一致する方向に延びるとともに、調理領域21の後端と飲食領域22の前端とを鉛直方向に繋ぐように垂直な縦壁状に形成されている。
【0078】
当例においては、
図9、
図12(a)に示すように、天板2の調理領域21に相当する上面2U’(以下、「嵩上げ部材載置用の上面2U’」と称する。)には、嵩上げ部材5が敷設、すなわち倒伏状態に載置されている。嵩上げ部材5は、全体が上面段差部2Uaに相当する厚みを有する一枚ものの(単一の部材からなる)板材である。嵩上げ部材5は、平面視で調理領域21に対応する形状に形成されるとともに、加熱調理部91に相当する部位が貫通形成されている。
【0079】
天板2の調理領域21に相当する、嵩上げ部材載置用の上面2U’に嵩上げ部材5を載置することで、
図6、
図8、
図9に示すように、天板2の調理領域21に相当する上面2Uc(以下、「段付き上面2Uc」とも称する。)は、平面視で加熱調理部91以外の全体が水平に形成されている。
【0080】
上述により、天板2の個別利用領域20に相当する上面2Uは、飲食領域前部22aに相当する上面2Ubと調理領域21に相当する段付き上面2Uc(段部2Uc)とで形成される。
【0081】
但し、カウンター1の上面2Uにおける、長手方向および幅方向の夫々において隣り合う調理領域21の夫々の境界部においては、嵩上げ部材5が配置されておらず、これら境界部については、仕切り壁11,12を配置していない状態において飲食領域22と略同じ高さ(略面一)に形成される(
図12(a)、
図14(a)参照)。
【0082】
さらに当例においては、
図9の要部拡大部に示すように、上面段差部2Uaは、光沢を有する黒色に塗装された短冊状の見切り板金6を、嵩上げ部材5の後端面に対して後方から左右方向の全長に亘って当てがうことで形成されている。これにより、上面段差部2Uaを補強するとともに、調理領域21と飲食領域22との境界部の意匠性を高めている。なお、見切り板金6は、
図9および参考写真以外の図面において図示を省略している。
【0083】
天板2の調理領域21の平面視で略中央には、コンロ収容部92が上面2Uに対して凹状に設けられている(
図3、
図4参照)。コンロ収容部92は、加熱調理部91としてのコンロ(91)(
図4、
図5、
図11、
図13参照)が嵌め込まれている。コンロ(91)は、電熱式等のヒータを備えたヒーターユニットと、ヒーターユニットの上方に着脱自在に設置される焼き網等を備えている。なお、焼き網は
図1、
図6中の加熱調理部91においてのみ図示し、その他の図面においては図示省略している。
【0084】
図3に示すように、コンロ(91)(
図4参照)およびコンロ収容部92は、無煙ロースター90の一部として構成されている。無煙ロースター90は、複数の個別利用領域20(調理領域21)の夫々に対応してカウンター1に複数設置されている。
【0085】
無煙ロースター90は、コンロ(91)およびコンロ収容部92と、ロースター本体93と、排煙通路(図示省略)とを主に備えた公知の構造のものを採用している。
【0086】
ロースター本体93は、図示省略するが、ファンや、コンロ収容部92と排煙通路との間に連結された吸気ダクト等を備えており、いずれも基台3の内部に設置されている。
【0087】
排煙通路は、基台3の内部における、ロースター本体93よりも下方かつ幅方向の中間位置においてカウンター1の長手方向に沿って配索されている。そして、コンロ収容部92に収容されたコンロ(91)から発生した煙(燃焼煙)は、ファンによって吸引され、コンロ収容部92の底部から吸気ダクトを介して排煙通路に引き込まれ、この排煙通路から店外へ排気される。
【0088】
なお、排煙通路は、カウンター1において個別利用領域20ごとに複数設けられた無煙ロースター90間で共有している。また、
図2に示すように、基台3の後面には、無煙ロースター90の清掃、メンテナンス等を行うための点検口94が開口形成されるとともに、該点検口94を開閉可能とするメッシュ状の扉95を備えている。
【0089】
また、
図2~
図4、
図7、
図8に示すように、幅方向仕切り壁11には、個別利用領域20(調理領域21)ごとに対応して給水カラン85が設けられている。給水カラン85は、図示省略するが、カウンター1の基台3に長手方向に沿って配索した不図示の導湯管に、該導湯管から分岐させた不図示の分岐管を介して連結されている。給水カラン85は、押圧レバー86を押圧して給水口87から給水可能に、幅方向仕切り壁11の右下部から後方(調理領域21)に向けて突設されている。
【0090】
さらに、
図2~
図8に示すように、幅方向仕切り壁11における幅方向仕切り壁11の直上部には、コップをストックするカップホルダー88が後方に向けて突設されている。
【0091】
カップホルダー88は、不図示のコップを、飲み口を下方に向けた姿勢で載置可能に下方へ凹状に形成されている。このカップホルダー88には、複数のコップが、夫々上述したように、飲み口を下方に向けた姿勢で積み上げるようにしてストックされる。
【0092】
上述により、客は自らカップホルダー88からコップを取り出し、コップにて押圧スイッチを押圧し、給水カラン85の給水口87から水をコップに汲み入れることができる。
【0093】
また、
図6、
図8、
図9に示すように、天板2の飲食領域前部22aに相当する上面2Ubは、例えば、皿やコップ等の食器、箸、トレイ81(
図4参照)等を載置可能な大きさ(左右方向および前後方向の長さ)を有して全体が水平に形成されている。
【0094】
具体的には、
図4、
図6に示すように、天板2の飲食領域前部22aに相当する上面2Ubは、中央にトレイ81を載置したとき、トレイ81(トレイ載置領域2Ub1)に対して両サイドの領域2Ub2に食器等を載置可能なスペースが確保される左右方向の長さを有して形成されている。
【0095】
本実施形態においては、
図9の要部拡大部分に示すように、上面段差部2Uaは、天板2の飲食領域前部22aに相当する上面2Ubに載置したトレイ81の外周縁81aと略同じ高さ(略面一)になる高さに形成されている。これにより、トレイ81は、天板2の飲食領域前部22aに相当する上面2Ubに載置したとき、該トレイ81の外周縁81aのうち、該上面段差部2Uaとの対向部分、すなわち、前後方向の前縁(81a)を、上面段差部2Uaに対して後方から突き当てることで前後方向に位置決めすることができる。
なお、上記トレイ81は、例えば、平面視で矩形状に形成されるとともに、平面視で中央に対して外周縁81aが若干立ち上がる形状に形成された普及品である。
【0096】
天板2の飲食領域前部22aに相当する上面2Ubは、上述したように、左右方向においてトレイ81(トレイ載置領域2Ub1)よりも長く形成されるとともに、水平に形成されている。
【0097】
このため、客は、適宜、トレイ81や食器等を左右方向に適宜、スライドさせて、加熱調理したり飲食したりしたい食材を手元に配置したり離間して配置することがスムーズに行うことができる。これにより、飲食に集中し、快適に飲食することができる。
【0098】
また、天板2の飲食領域前部22aに相当する上面2Ubの平面視における、左右方向の中央においてトレイ81を載置するトレイ載置領域2Ub1、およびその両サイド2Ub2の領域2Ub2の夫々には、例えば、
図11に示すように、客が商品を注文する際に参照されるメニューシート65が貼り付けられている。
【0099】
客は、トレイ載置領域2Ub1に載置されたトレイ81を、天板2の飲食領域前部22aに相当する上面2Ubの左右方向の何れか一方の領域2Ub2へスライドさせることで、トレイ載置領域2Ub1に貼り付けられたメニューシート65においても容易に目視することができる。
【0100】
また、
図4、
図7に示すように、天板2の基台3よりも後方へ延出する後方延出部分29は、個別利用領域20ごとに引出し部71と、操作部72とが配設されている。なお、天板2の後方延出部分29は、飲食領域前部22aと前後方向において略一致する部位に設けられている。
【0101】
引出し部71は、個別利用領域20の左側に配設され、操作部72は、個別利用領域20の右側に配設されている。
【0102】
引出し部71は、箸や爪楊枝等の不図示の収容物を収容可能に上方に開口した底浅の箱型形状に形成されている。引出し部71は、不図示のスライドレールを介して天板2の後方延出部分29の内壁に支持されている。これにより、引出し部71は、客が適宜、引き出し位置と格納位置との間で前後方向にスライド可能に形成されている。引出し部71は、引き出し位置のとき、収容物を取り出し可能な位置まで引き出される。一方、引出し部71は、格納位置のとき、該引出し部71の後壁71aが天板2の後方延出部分29の後壁2r(すなわち、後端2r)と略面一となるとともに該後方延出部分29の内部に略全体が格納された状態となる。
【0103】
操作部72は、天板2の後方延出部分29に、後方に向けて設けられ、加熱調理部91の火力を調整する火力調整レバー73等が配設されている。
なお、操作部72における、火力調整レバー73の後方位置には、バー74が、火力調整レバー73に対して後方位置において左右方向に横架されている。このバー74は、客が飲食時に該客の身体や荷物等が該火力調整レバー73に接触するなどして意に反して該火力調整レバー73が操作されないように該火力調整レバー73をガイドする。
【0104】
続いて、上述した長手方向仕切り壁12について説明する。
図1~
図8に示すように、長手方向仕切り壁12は、上述したように、長手方向に隣り合う個別利用領域20の境界部において天板2の上面2Uに起立状態に配置されている。長手方向仕切り壁12は、長手方向に隣り合う調理領域21を仕切る固定仕切り壁121と、長手方向に隣り合う飲食領域22を仕切る可動仕切り壁125とを備えている。
【0105】
図3、
図4、
図8に示すように、可動仕切り壁125は、幅方向仕切り壁11よりも若干低い高さで形成されるとともに、全体が一枚ものの板部材(当例では全体が有色透明のアクリル板)で形成されている。可動仕切り壁125の後上コーナー部は、円弧状に面取りした形状に形成されている。
なお、可動仕切り壁125は、幅方向仕切り壁11と同様に、上記高さに限定せず、利用形態に応じて適宜の高さに設定することができる。
【0106】
図6に示すように、可動仕切り壁125は、長手方向に隣り合う飲食領域22の境界部において、天板2を長手方向に仕切る(すなわち、隣り合う飲食領域22を仕切る)度合いを変更可能に、前後方向と一致する方向にスライドする構成としている。
【0107】
図3、
図8、
図14、
図15に示すように、可動仕切り壁125は、引出し位置Prと退避位置Pfとの間で前後方向にスライドする。引出し位置Prは、可動仕切り壁125が最も後方へスライドされた位置であり、
図15に示すように、可動仕切り壁125を、該可動仕切り壁125の後端125rが天板2(飲食領域前部22a)の後端2rよりも後方へ突出するまで引き出した位置に設定されている。退避位置Pfは、可動仕切り壁125が最も前方へスライドされた位置であり、
図10、
図14に示すように、可動仕切り壁125を、該可動仕切り壁125の後端125rが天板2(飲食領域前部22a)の後端2rに相当する位置まで退避した位置に設定されている。
【0108】
図8に示すように、可動仕切り壁125は、引出し位置Prに位置する状態において、隣り合う飲食領域22を、飲食領域前部22aのみならず、飲食領域後部22bも含めて前後方向の全長に亘って仕切ることが可能な前後方向の長さを有して形成されている。
【0109】
さらに、
図15(a)に示すように、可動仕切り壁125は、最も後方へ引き出された引出し位置Prの状態においても、前側部位125Fが調理領域21に配置されるように飲食領域22の前端よりも前方に位置する前後方向の長さを有して形成されている。すなわち、可動仕切り壁125の前側部位125Fは、少なくとも引出し位置Prの状態においても、調理領域21に至るまで後方へ延びている。
【0110】
可動仕切り壁125は、前後方向において固定仕切り壁121に重複させる度合いに応じて、隣り合う飲食領域22を仕切る度合いを変更可能に構成されている。
【0111】
すなわち、可動仕切り壁125は、固定仕切り壁121に対して前後方向にスライドさせることで、隣り合う飲食領域22(当例では飲食領域後部22b)を仕切る度合いを変更することができる。
【0112】
図8、
図14(a)(b)、
図15(a)(b)に示すように、可動仕切り壁125の下縁辺126は、前後方向の後側に位置する後側下縁辺部126aと、該後側下縁辺部126aよりも前側に位置するとともに下方に突出する前側下縁辺部126bとで段違い形状に形成されている。なお、後側下縁辺部126aと前側下縁辺部126bとは、前後方向と一致する方向に水平に延びている。
【0113】
すなわち、後側下縁辺部126aと前側下縁辺部126bとの境界部には、後側下縁辺部126aの前端と前側下縁辺部126bの後端とを上下方向(当例では鉛直方向)に延びる下縁段差部126cを有している。
【0114】
また、
図4、
図6、
図8、
図12、
図14、
図15に示すように、カウンター1の長手方向に隣り合う飲食領域前部22aの境界部に相当する上面2Uは、スライドガイド手段としてのレール部材30が設置されている。可動仕切り壁125は、前後方向にスライド可能に該可動仕切り壁125の下縁辺126(詳しくは、前側下縁辺部126b)がレール部材30によってガイドされている。
【0115】
図8、
図12(a)(b)に示すように、レール部材30は、長手方向に隣り合う飲食領域前部22aの境界部において、後端30rが天板2の上面2Uの後端2r(飲食領域前部22aの後端)まで延びるとともに、前端30fが調理領域21に位置するまで延びている。すなわち、レール部材30は、飲食領域前部22aの全長に亘って延びるとともに、飲食領域前部22aと調理領域21とに跨って前後方向と一致する方向に水平に延びている。
【0116】
ここで、
図1、
図4、
図6に示すように、天板2の飲食領域前部22aに相当する上面2Ubは、長手方向の略全長に亘って水平に形成されている。これに対して、レール部材30は、上述したように、長手方向に隣り合う飲食領域前部22aの境界部において、飲食領域前部22aの前後方向の全長に亘って延びている(
図6参照)。これらにより、天板2の上面2Uは、レール部材30によって飲食領域前部22aごとに長手方向に仕切られている。
【0117】
図12(a)(b)に示すように、レール部材30は、前後方向(延在方向)の略全長に亘って、該前後方向の直交断面視が下方へ凹状に形成されている。
【0118】
詳しくは、レール部材30は、前後方向の直交断面視において、左右一対の側壁部31と、これら左右の側壁部31の下端を左右方向に連結する底部32とを有して、左右一対の側壁部31の間に上端から下方へ凹んだ溝部30Aが形成されている。
【0119】
これにより、可動仕切り壁125の下縁辺126(詳しくは、前側下縁辺部126b)は、レール部材30の溝部30Aに嵌め込まれ、左右の側壁部31によって前後方向にスライド可能にガイドされる。
【0120】
図8に示すように、レール部材30は、その前端30fに前壁部33を、後端30rに後壁部34を夫々備えている。
図15(b)に示すように、後壁部34は、レール部材30の後端30rにおいて、左右一対の側壁部31を、溝部30Aの上下方向の全長に亘って左右方向に連結するように縦壁状に形成されている。
【0121】
これにより、
図15(a)に示すように、可動仕切り壁125は、後方へスライドさせて引出し位置Prに達したとき、該可動仕切り壁125の下縁辺126における下縁段差部126cがレール部材30の後壁部34に前側から当接することで、それ以上、後方へスライドする(引き出される)ことが規制される(
図15(b)参照)。
【0122】
なお、
図15(b)に示すように、可動仕切り壁125の下縁辺126の後側下縁辺部126aの長さは、引出し位置Prに位置する可動仕切り壁125の、天板2の後端2rの位置よりも後方へ引き出された部分の長さ(突出長さ)と略同じになる(
図15(a)中の符号Le参照)。
【0123】
換言すると、可動仕切り壁125の後側下縁辺部126aの長さは、可動仕切り壁125の後端125rの位置と天板2の後端2rの位置との間の前後方向の長さと略同じになる。
【0124】
これにより、可動仕切り壁125の後側下縁辺部126aの長さは、可動仕切り壁125の製造時に、可動仕切り壁125を後方へ引出し可能な長さ応じて設定することができる。
【0125】
また、
図14(b)に示すように、レール部材30の前壁部33は、該レール部材30の前端30fにおいて、左右一対の側壁部31を、溝部30Aの上下方向の全長に亘って左右方向に連結するように縦壁状に形成されている。
【0126】
これにより、可動仕切り壁125は、前方へスライドさせて退避位置Pfに達したとき、該可動仕切り壁125の下縁辺126(前側下縁辺部126b)の前端125fがレール部材30の前壁部33に後側から当接することで、それ以上、前方へスライドする(退避する)ことが規制される(
図14(b)参照)。
【0127】
ここで、引出し位置Prに位置する可動仕切り壁125の前端125fの位置と、レール部材30の前壁部33の位置との前後方向の間隔(
図15(a)中の符号Le’参照)は、可動仕切り壁125の後側下縁辺部126aの長さ(
図15(a)中の符号Le参照)と略同じ長さになるように設定している。
【0128】
これにより、
図14(a)に示すように、可動仕切り壁125を、退避位置Pfまで退避させたとき、可動仕切り壁125の後端125rを、カウンター1の前後方向の後端2rに位置させることができる。すなわち、可動仕切り壁125を、退避位置Pfまで退避させたとき、カウンター1の天板2の後端2rから後方へ突出しない位置まで退避することができる。
【0129】
また、
図12(a)、
図13に示すように、上述した固定仕切り壁121は、長手方向に隣り合う調理領域21の境界部において一対を備えるとともに、互いに長手方向に間隔を隔てて起立状態に配置されている。
【0130】
左右一対の固定仕切り壁121は、何れも同一の形状および大きさで形成されている。具体的に、固定仕切り壁121は、調理領域21の前後方向の全長に亘って延びるとともに、幅方向仕切り壁11よりも若干低い高さ(可動仕切り壁125と略同じ高さ)を有する矩形状をした板状に形成されている。
【0131】
固定仕切り壁121の前端は、幅方向仕切り壁11の後面に、固定仕切り壁121の下端は、天板2の上面2Uに、夫々金具等によって接合されている。さらに、左右一対の固定仕切り壁121は、夫々の上端を繋ぐように左右方向に延びる金具40によって保持されている(
図12(a)、
図13、
図14(a)参照)。
【0132】
左右一対の固定仕切り壁121の間に有する隙間121sは、レール部材30の幅(長手方向の長さ)に相当する幅を有しており、該隙間121sには、レール部材30の前方部位30Fが配置されている。すなわち、レール部材30は、上述したように、天板2の上面2Uにおける、隣り合う飲食領域22の境界部に相当する部位に設置されているが、前方部位30Fが左右一対の固定仕切り壁121の間に有する隙間121sに入り込むように前方へ延びている。
【0133】
そして、左右一対の固定仕切り壁121は、レール部材30の前方部位30Fに対して両サイドからレール部材30の左右夫々に対応する側壁部31に当接している。これにより、
図12(a)に示すように、レール部材30は、左右一対の固定仕切り壁121によって両サイドから前方部位30Fが挟み込まれるように保持される。
【0134】
また、
図12(a)に示すように、カウンター1の上面2Uの調理領域21の嵩上げ部材載置用の上面2U’には、嵩上げ部材5が配置されているが、この嵩上げ部材5は、上述したように、カウンター1の上面2Uの長手方向に隣り合う調理領域21の境界部においては配置されていない。このため、カウンター1の上面2Uにおける、長手方向に隣り合う調理領域21の境界部は、飲食領域22の上面2Ubと面一となり、嵩上げ部材5が配置された調理領域21の段付き上面2Ucに対して一段低い高さとなる。左右一対の固定仕切り壁121は、このような境界部に起立状態で配置されている。
【0135】
そして、
図12(a)に示すように、左右一対の固定仕切り壁121は、左右夫々の下部に対して、左右夫々に対応する調理領域21に配置された嵩上げ部材5の端面5aが調理領域21の側から突き当てられる。これにより、嵩上げ部材5は、固定仕切り壁121を介してレール部材30を長手方向にガイドすることができる。
【0136】
上述により、可動仕切り壁125は、レール部材30によって前後方向にスライド可能にガイドされる(
図8、
図12(a)(b)~
図15(a)(b))。
【0137】
さらに、可動仕切り壁125は、退避位置Pfから引出し位置Prに亘って、前側部位125Fが一対の固定仕切り壁121の間に有する隙間121sに配置された状態となる(
図12(a)(b)、
図13参照)。
これにより、可動仕切り壁125は、前後方向にスライド可能に前側部位125Fが一対の固定仕切り壁121によって左右方向の両側からガイドされる。
【0138】
なお、上述した幅方向仕切り壁11と固定仕切り壁121は、夫々木材或いは金属等で形成された板状の基材の表面に難燃性を有する木目調の化粧パネルが貼り付けられている。さらに、天板2の上面2Uの少なくとも調理領域21に相当する部位にも、難燃性を有する木目調の化粧パネルが貼り付けられている。
【0139】
上述した本実施形態のカウンター1の仕切り構造は、
図1~
図4に示すように、カウンター1の上方空間を長手方向に仕切る仕切り壁11,12(仕切り部材)が、カウンター1の上面2Uに起立した姿勢で配置されたカウンター1の仕切り構造であって、
図6、
図8に示すように、仕切り壁11,12のうち、可動仕切り壁125がカウンター1の上方空間を仕切る度合いを変更可能に上面2Uに沿って移動する構成とし、該可動仕切り壁125をガイドするガイド手段としての例えば、レール部材30が、上面2Uに設けられたものである。
【0140】
上記構成によれば、可動仕切り壁125をレール部材30等でガイドしながらカウンター1の上面2Uに沿って移動させることで、該可動仕切り壁125によって、カウンター1の上方空間を仕切る度合いを高めた状態、或いは仕切る度合いを低くした状態へと容易に変更することができる。
【0141】
この発明の態様として、
図6、
図8、
図14、
図15に示すように、可動仕切り壁125は、カウンター1の上面2Uの幅方向(直交方向)の両側のうち、後方(手前側)へ引き出した引出し位置Prと、前方(奥側)へ退避させた退避位置Pfとの間をスライドすることによってカウンター1の上方空間を仕切る度合いを変更する構成とし、上記ガイド手段は、可動仕切り壁125をスライド可能にガイドするスライドガイド手段(例えば、レール部材30)で構成されたものである。
【0142】
上記構成によれば、スライドガイド手段は、可動仕切り壁125をスライド(直進)可能にガイドするため、該可動仕切り壁125を、カウンター1の上面2Uに対して持ち上げることなく、容易に移動させることができる。
【0143】
これにより、客は、椅子150に着席したまま片手でも可動仕切り壁125を容易に移動させることができる。また、可動仕切り壁125を、引出し位置Prと退避位置Pfとの間における任意の位置に停止させた状態に保ち易くなり、結果として、可動仕切り壁125の移動量に応じて仕切り量の調整も行い易くなる。さらにまた、客は、可動仕切り壁125を、上述したように、カウンター1の上面2Uに対して持ち上げる必要がないため、例えば、可動仕切り壁125を移動させる際に、該可動仕切り壁125とカウンター1の上面2Uとの間に指を挟むおそれがない。
【0144】
例えば、可動仕切り壁125を引出し位置Prに配置した場合には、可動仕切り壁125によって、カウンター1の上方空間を仕切る度合いを高めた状態とすることができる。一方、可動仕切り壁125を退避位置Pfに配置した場合には、可動仕切り壁125によって、カウンター1の上方空間を仕切る度合いを低くした状態とすることができる。
【0145】
この発明の態様として、
図1~
図9、
図14、
図15に示すように、カウンター1の上方空間のうち、仕切り壁11,12により仕切られた領域を、客が個別に利用可能な個別利用領域20に設定し、個別利用領域20は、前後方向(幅方向)の前側において区分けされ、食物を加熱調理する加熱調理部91(加熱調理手段)を備えた調理領域21と、前後方向における、調理領域21よりも後方側において区分けされた飲食領域22とを有し、
図6、
図8、
図14、
図15に示すように、長手方向仕切り壁12は、上記長手方向において、隣り合う調理領域21を仕切る固定仕切り壁121と、隣り合う飲食領域22を仕切る可動仕切り壁125とを備え、可動仕切り壁125は、前後方向において固定仕切り壁121に重複させる度合いに応じて、隣り合う飲食領域22を仕切る度合いを変更する構成としたものである。
【0146】
上記構成によれば、隣り合う調理領域21を、変位しない固定仕切り壁121によって仕切ることで、加熱調理部91の熱の影響が、夫々の調理領域21に及ばないようにしっかりと仕切ることができ、結果として、加熱調理部91の熱に対しての安全性を確保することができる。
【0147】
一方、隣り合う飲食領域22を、可動仕切り壁125によって仕切ることで、隣り合う飲食領域22の夫々を利用する客が望む利用態様に応じた仕切り度合いで仕切ることができる。
【0148】
客が望む利用態様の具体例として、例えば、隣り合う仕切り領域の夫々の客同士が、家族や友人など顔見知りである場合には、可動仕切り壁125を適宜、退避位置Pfまで極力退避させることで、隣り合う客同士で交流をとりながら飲食を楽しむことができる。一方、可動仕切り壁125を引出し位置Prまで極力引き出すことで、隣り合う客間で粉塵、病原菌、ウイルス等が飛散することや、隣り合う客同士の視線、音(話し声、咀嚼音等)を最大限抑制することができる。
【0149】
この発明の態様として、
図4、
図8、
図12(a)(b)、
図14(a)、
図15(a)に示すように、可動仕切り壁125は、単一の部材(一枚もの)からなる板状の部材で形成されたものである。
【0150】
上記構成によれば、可動仕切り壁125は、隣り合う飲食領域22の境界部において、引出し位置Prと退避位置Pfとの間でスライドさせる際に、板状の形状のまま該境界部に沿ってスライドさせることができる。
【0151】
これにより、可動仕切り壁125は、例えば、引出し位置Prから退避位置Pfへスライドさせる際に、蛇腹状に収縮する等して該可動仕切り壁125の一部が隣り合う飲食領域22に侵入することがない。
【0152】
このため、可動仕切り壁125は、仕切り度合いを変更する際に隣り合う飲食領域22のうち、少なくとも一方側の飲食領域22に侵入して該飲食領域22に載置されたコップ等を倒してしまう等、該飲食領域22を利用する他の客に不快な思いをさせることがない。
【0153】
この発明の態様として、
図8、
図12(a)、
図14(a)、
図15(a)に示すように、可動仕切り壁125は、少なくとも引出し位置Prのとき、該可動仕切り壁125の前側部位125F(奥側部位)が、前後方向における、調理領域21に相当する部位に配置され、上記スライドガイド手段は、可動仕切り壁125が、カウンター1の上面2Uに沿ってスライド可能に前側部位125Fをガイドする固定仕切り壁121で構成されたものである。
【0154】
上記構成によれば、可動仕切り壁125の前側部位125Fは、前後方向におけるスライド位置に関わらず、一対の固定仕切り壁121によって挟み込むようにしてガイドされるため、安定してスライドさせることができる。
【0155】
この発明の態様として、
図4、
図8、
図12(a)(b)、
図14(a)(b)、
図15(a)(b)に示すように、スライドガイド手段は、可動仕切り壁125が、カウンター1の上面2Uを直交方向にスライド可能に該可動仕切り壁125の下縁辺126をガイドするレール部材30で構成され、レール部材30は、カウンター1の上面2Uの長手方向における、可動仕切り壁125を配置した位置に、前後方向に沿って設けられたものである。
【0156】
上記構成によれば、レール部材30は、可動仕切り壁125の下縁辺126をスライド可能にガイドするため、可動仕切り壁125を安定してスライドさせることができる。
【0157】
この発明の態様として、
図8、
図14(a)(b)、
図15(a)(b)に示すように、可動仕切り壁125の下縁辺126は、前側下縁辺部126b(奥側下縁辺部)が、後側下縁辺部126a(手前側下縁辺部)よりも下方に突出する段違い形状に形成され、前側下縁辺部126bと後側下縁辺部126aとの境界部には、上下方向に延びる下縁段差部126cを有しており、レール部材30には、下縁段差部126cとの当接により、可動仕切り壁125が引出し位置Prよりも後方へスライドすることを規制する手前側規制部としての後壁部34が設けられたものである。
【0158】
上記構成によれば、可動仕切り壁125が引出し位置Prにあるとき、可動仕切り壁125の下縁段差部126cがレール部材30の後壁部34に前方から当接することで、それ以上、可動仕切り壁125が後方へ引き出されることを規制することができる。
【0159】
これにより、可動仕切り壁125が、引出し位置Prよりも後方へ引き出されることで例えば、レール部材30から外れることを防ぐことができる。
【0160】
また、上記構成によれば、下縁段差部126cは、前側下縁辺部126bと後側下縁辺部126aとの境界部に有するため、可動仕切り壁125が引出し位置Prに位置するとき(すなわち、可動仕切り壁125の下縁段差部126cがレール部材30の後壁部34に当接したとき)、可動仕切り壁125の後端125rは、後壁部34に相当する位置よりも後方へ突出した状態とすることができる。
【0161】
従って、可動仕切り壁125の後端125rが後壁部34に相当する位置よりも後方へ突き出さない状態と比して、可動仕切り壁125によって飲食領域22を仕切る度合いを高めることができる。
【0162】
この発明の態様として、
図8、
図15(a)(b)に示すように、レール部材30は、該レール部材30の後端30r(手前側端)がカウンター1の天板2の後端2r(手前側端)に位置するように設けられ、レール部材30の後壁部34は、レール部材30の後端30rの位置に設けられたものである。
【0163】
上記構成によれば、可動仕切り壁125は、引出し位置Prのとき、可動仕切り壁125の下縁段差部126cが、カウンター1(天板2)の後端2rに相当する位置に設けられた、レール部材30の後壁部34に当接させることができる。
【0164】
これにより、可動仕切り壁125は、引出し位置Prに位置するとき、該可動仕切り壁125の後端125rがカウンター1の天板2の後端2rよりも後方へ引き出された状態とすることができる。すなわち、可動仕切り壁125は、隣り合う飲食領域22をカウンター1の天板2よりも後方へオーバーハングするように仕切ることができる。
【0165】
従って、隣り合う飲食領域前部22aのみならず、隣り合う飲食領域後部22bについても可動仕切り壁125によって仕切ることができ、結果として、隣り合う飲食領域22間で粉塵、病原菌、ウイルス等の飛散を最大限抑制することができる。
【0166】
また、上記構成によれば、レール部材30を、カウンター1の天板2の上面2Uに前後方向に設置された状態において、該レール部材30の後端30rが、天板2の後端2rに位置するように設けられたものである。
【0167】
これにより、レール部材30は、カウンター1の天板2の後端2rから後方へ突き出すことなく、客にとってレール部材30が邪魔になることがない。
その一方で、レール部材30は、可動仕切り壁125と共に、カウンター1の上面2Uを飲食領域前部22aごとに長手方向に仕切ることができる。
【0168】
この発明の態様として、
図14(a)(b)に示すように、退避位置Pfを、可動仕切り壁125の後端125rが、カウンター1の天板2の後端2rに位置するまで退避した位置に設定し、レール部材30には、可動仕切り壁125の前端125fとの当接により、該可動仕切り壁125が退避位置Pfよりも前後方向の奥側へスライドすることを規制する奥側規制部としての前壁部33が設けられたものである。
【0169】
上記構成によれば、可動仕切り壁125は、退避位置Pfのとき、前後方向において該可動仕切り壁125の後端125rがカウンター1の天板2の後端2rに位置させることができる。
【0170】
これにより、可動仕切り壁125は、退避位置Pfに位置させることで、客が椅子150に対して離着席時に該可動仕切り壁125自体が邪魔にならないように退避させることができる。
【0171】
その一方で、可動仕切り壁125は、退避位置Pfに位置させた状態においてもカウンター1の飲食領域前部22aごとに長手方向においてしっかりと仕切った状態とすることができる。
【0172】
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではなく様々な実施形態で形成することができる。
【0173】
例えば、本発明の仕切り部材は、上述した実施形態の変形例に係る可動仕切り壁125Aのように、天板2の上面2Uよりも下方へ延出して形成することができる(
図18参照)。
以下、変形例に係る可動仕切り壁125Aを備えたカウンター1Aの構成について
図18~
図23を用いて説明するが、その前提として、カウンター1Aの周辺空間50を便宜上、領域ごとに分割して以下のとおり規定する。
【0174】
図19~
図23に示すように、カウンター1Aの周辺空間50における、飲食領域前部22aよりも(すなわち天板2の後端2rよりも)平面視外側(当例では後方)へ張り出した空間を、外側張り出し空間51に設定する。
【0175】
なお、天板2の後方延出部分29の後端2rは、カウンター1Aの天板2の外周縁における、該カウンター1Aを飲食時に利用する客が近接する側の縁部(「天板客近接側縁部」とも称する。)に相当する。
【0176】
図21に示すように、外側張り出し空間51は、天板2に対して上下各側の空間に亘って上下方向に延びている。具体的には、外側張り出し空間51は、天板2の上面2Uよりも上方に位置する外側上方空間51a(飲食領域後部22b)と、天板2の後端2rよりも直後方に位置する外側中間空間51bと、天板2の下面よりも下方に位置する外側下方空間51cとに区分けされる。
【0177】
さらに、周辺空間50には、天板2の後方延出部分29の直下に位置する、天板2の直下空間52を有している。天板2の直下空間52は、外側張り出し空間51の外側下方空間51cに対して前方で隣接する空間であって、カウンター1Aに向けて着席した客の足元のスペースに相当する。
【0178】
加えて、周辺空間50には、天板2の直上空間53(21,22a)を有している。この天板2の直上空間53は、上述したように、調理領域21および飲食領域前部22aを有している。
【0179】
すなわち、変形例に係るカウンター1Aにおける個別利用領域20は、天板2の直上空間53と、外側張り出し空間51と、天板2の直下空間52とで構成される(
図21参照)。
【0180】
図20、
図21に示すように、上述した変形例に係る可動仕切り壁125Aは、天板2の上方空間54(天板2の直上空間53および外側上方空間51a)を仕切る上方仕切り部251と、天板2の下方空間55(天板2の直下空間52および外側下方空間51c)を仕切る下方仕切り部252と、外側中間空間51bを仕切る中間仕切り部253とを有して一体形成されている。
【0181】
可動仕切り壁125Aは、後端125Arが略全長に亘って上下方向と一致する方向へ直線状に延びている。可動仕切り壁125Aは、退避位置Pfのとき、天板2の後方延出部分29との干渉を回避すべく、中間仕切り部253の前端253fが、上方仕切り部251と下方仕切り部252との各前端251f,252fに対して後方へ切り欠き状に形成されている(
図21、
図22参照)。
【0182】
換言すると、可動仕切り壁125Aは、上方仕切り部251と下方仕切り部252とを中間仕切り部253によって上下方向に連結するように一体形成されている。
【0183】
ここで、変形例に係るカウンター1Aは、上述した実施形態のカウンター1とは異なり、天板2の上面2Uの長手方向に隣り合う調理領域21の境界部も含めて嵩上げ部材5が配置されており(
図22参照)、段付き上面2Ucが形成されている。
【0184】
このため、
図22の特に要部拡大部分に示すように、上方仕切り部251の下縁辺部260は、前側下縁辺部260b(奥側下縁辺部)の前後方向における調理領域21と飲食領域22との境界部に、上面段差部2Uaに対応して上下方向に延びる前側下縁辺段差部260baが形成されており、前側下縁辺段差部260baよりも前側に位置する前部260bfが、後側に位置する後部260brに対して高くなるように段付き形状に形成されている。
【0185】
そして、
図22に示すように、上方仕切り部251は、前側下縁辺部260bの後部260brのみが後述する上側レール部材30Uに前後方向にスライド可能にガイドされている。前側下縁辺部260bの前部260bfは、段付き上面2Ucに設置され、可動仕切り壁125Aが前後方向にスライド時に該段付き上面2Ucに沿って前後方向にスライドする。
なお、上方仕切り部251の下縁辺部260は、下縁辺260の後端から下方へ延びる下縁段差部260cと、下縁段差部260cの下端から後方へ延びる後側下縁辺部260aを備えている。
【0186】
また、変形例に係るレール部材30U,30Dは、カウンター1Aの天板2の上面2Uに前後方向に設置された上側レール部材30Uと、天板2の後方延出部分29の下面2Dに前後方向に設置された下側レール部材30Dとを備えている。
【0187】
上側レール部材30Uは、上述した実施形態のレール部材30と基本的に同様の構成である。但し、上側レール部材30Uは、天板2の上面2Uの前後方向の後方延出部分29に相当する部位にのみ設置されている。すなわち、上側レール部材30Uの前端30Ufは、上面段差部2Uaに後方から突き当てるようにして天板2の上面2Uに設置されている(
図22の特に要部拡大部分参照)。
【0188】
上方仕切り部251は、下縁辺260(詳しくは、前側下縁辺部260b)の後部260brが上側レール部材30Uによって前後方向にスライド可能にガイドされている。
【0189】
一方、下側レール部材30Dは、天板2の下面2Dの前後方向の後方延出部分29に相当する部位に設置されている。
図22の要部拡大部分に示すように、下側レール部材30Dは、前端30Dfが、基台3の後面の上端部に後方から突き当てるようにして天板2の下面2Dに設置されている。
【0190】
下方仕切り部252の上縁辺261は、上方仕切り部251の下縁辺260と略上下方向に対称を成すように形成され、詳しくは、前後方向の後側に位置する後側上縁辺部261aと、該後側上縁辺部261aよりも前側に位置するとともに上方に突出する前側上縁辺部261bとで段違い形状に形成されている。
【0191】
すなわち、上縁辺261は、後側上縁辺部261aと前側上縁辺部261bとの境界部に、後側上縁辺部261aの前端と前側上縁辺部261bの後端とを繋ぐように上下方向(当例では鉛直方向)に延びる上縁段差部261cを有している。
【0192】
下方仕切り部252は、上縁辺261(詳しくは、前側上縁辺部261b)が下側レール部材30Dによって前後方向にスライド可能にガイドされている。
【0193】
上述により、可動仕切り壁125Aは、引出し位置Prと退避位置Pfとの間で前後方向にスライド可能に上方仕切り部251と下方仕切り部252とが夫々に対応するレール部材30U,30Dによってガイドされている。
【0194】
すなわち、可動仕切り壁125Aは、天板2の上面2Uよりも下方へ天板2の直下空間52(客の足元のスペース)に及ぶまで延出された形状でありながら、上下各側のレール部材30U,30Dによってガイドされることで、前後方向へ安定してスライドさせることができる。
【0195】
また、
図23に示すように、可動仕切り壁125Aが後方へスライドさせて引出し位置Prに達したとき、上方仕切り部251は、
図23の特に要部拡大部分に示すように、下縁辺260の下縁段差部260cが上側レール部材30Uの後壁部30Urに、下方仕切り部252は、上縁辺261の上縁段差部261cが下側レール部材30Dの後壁部30Drに、夫々前側から当接する。
【0196】
これにより、可動仕切り壁125Aが引出し位置Prよりも後方へスライドする(引き出される)ことが規制される(
図23参照)。
【0197】
一方、
図22の要部拡大部分に示すように、可動仕切り壁125Aが前方へスライドさせて退避位置Pfに達したとき、上方仕切り部251は、下縁辺260(前側下縁辺部260b)の前側下縁辺段差部260baが上側レール部材30Uの前壁部30Ufに、下方仕切り部252は、前側上縁辺部261bの前端261bfが下側レール部材30Dの前壁部30Dfに、夫々後側から当接する。
【0198】
これにより、可動仕切り壁125Aが退避位置Pfよりも前方へスライドする(退避される)ことが規制される(
図22参照)。
【0199】
なお、
図20に示すように、変形例のカウンター1Aは、上述した実施形態のカウンター1と同様に、基台3の後面に点検口94が開口形成されるとともに、該点検口94の縁部には、点検口94を開閉可能とする扉95が備えられている。
【0200】
点検口94は、扉95を手前側(後方)に向けて点検口94の縁部から取り外すことで開口することができる。
【0201】
これにより、点検口94を開閉時に、該扉95が、天板2の直下空間52(足元空間)において、基台3の後面に近接するまで後方から前方へ延びる下方仕切り部252に干渉することがない。
【0202】
上述した変形例に係る可動仕切り壁125Aは、上述したように、天板2の上面2Uよりも上方のみならず、下方へ天板2の直下空間52(客の足元のスペース)に及ぶまで延出された形状で形成されるため(
図18、
図20~
図23参照)、引出し位置Prまで引き出すことで(
図23参照)、長手方向に隣り合う客の身体の略全体を仕切ることができる。これにより、変形例に係る可動仕切り壁125Aは、個室空間により近い空間を容易に構成することができる。
【0203】
一方、カウンター1Aに向けて着席する客の側方空間(個別利用領域20における、特に外側張り出し空間51に対して長手方向の両側の空間)には、略全体に亘って可動仕切り壁125Aで覆われた(仕切られた)状態となる。このため、店員が注文した料理を客に対して提供する際に、店員は、天板2の上面2Uにおける飲食領域前部22aに料理を置こうとしても、客の側方に有する空間から料理を提供することが困難となる。具体的には、客の後背側から頭越しに料理を運ぶ必要があり、客に対してスムーズに料理を提供することができないばかりか、特に、料理がスープ等の熱い料理である場合、客にとって危険ぼしかねないことが懸念される。
【0204】
これに対して、変形例に係るカウンター1Aは、可動仕切り壁125Aを前方へスライドさせて退避位置Pfにすることで、客の側方空間が可動仕切り壁125Aによって略仕切られずに開放された状態とすることができる。
【0205】
これにより、店員は、客の側方空間を利用して天板2の上面2Uにおける飲食領域前部22aに、注文された料理を容易に提供することができる。
【0206】
また、カウンター1Aに向けて並列に着席する複数の客同士が、家族や友人など顔見知りである場合には、適宜、可動仕切り壁125Aを退避位置Pfまで極力退避させることで、隣り合う客同士で交流をとりながら飲食を楽しむことができる。
【0207】
本発明の仕切り部材は、例えば、カウンター1の上方空間54を仕切る度合いを変更可能な構成であれば、天板2の上面2Uに沿ってスライドする構成に限らない。
【0208】
例えば、仕切り部材としての可動仕切り壁125’は、上述した実施形態の可動仕切り壁125のさらに他の変形例として
図24に示すように形成することができる。
具体的に、
図24に示すように、可動仕切り壁125’は、引出し位置Prのとき、起立姿勢Porとなるとともに、退避位置Pfのとき、起立姿勢Porにおける可動仕切り壁125’の後部が前部よりも上方に位置する、跳ね上げ姿勢Pofとなるように長手方向に延びる軸60を回転中心として揺動することで、カウンター1の上方空間54を仕切る度合いを変更する構成を採用することができる。
【0209】
この構成においては、可動仕切り壁125’は、引出し位置Prと退避位置Pfとの間で揺動可能にガイドする揺動ガイド手段としての軸60によって軸支されている。
【0210】
軸60は、例えば、一対の固定仕切り壁121の隙間121sにおいて長手方向と平行に直線状に延びるように一対の固定仕切り壁121の後下部に架設されている。
なお、上述した実施形態と同一の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0211】
上記構成によれば、可動仕切り壁125’を退避位置Pfとした際に、可動仕切り壁125’は、跳ね上げ姿勢Pofとなるため、前後方向においてコンパクトな姿勢とすることができる。
【0212】
一方、可動仕切り壁125’を引出し位置Prとした際には、可動仕切り壁125’が起立姿勢Porとなるため、該可動仕切り壁125’によって、カウンター1の上方空間54をしっかりと仕切ることができる。
【0213】
また、上記構成によれば、上記可動仕切り壁125’全体を持ち上げずとも上記長手方向に延びる軸60を中心として揺動させるだけで、引出し位置Prと退避位置Pfとの間で容易に変更することができる。すなわち、客は、椅子150に着席したまま可動仕切り壁125’を片手で容易に変位させることができる。
【0214】
また、本発明のカウンターの仕切り構造は、天板の外周形状が平面視で楕円形状、或いは弧形状等の湾曲形状のカウンターに適用してもよい。すなわち、カウンターの長手方向は、直線状に延びる方向に設定するに限らず、例えば、天板の外周形状が湾曲形状である場合において、上記長手方向は、カウンターの外周縁部のうち、客がカウンター1に臨む側の縁部形状に沿って湾曲する方向に設定してもよい。
【0215】
本発明のカウンターの仕切り構造は、客が椅子150に着席して飲食するタイプのものに限らず、立った状態で飲食するタイプのカウンターに適用してもよい。
【0216】
また、上述した実施形態のカウンター1は、飲食店の飲食スペースの床面に設置した状態において、長手方向の端部が通路等の空間に面するように設置したが、本発明のカウンターは、このような設置形態に限定せず、例えば、
図16に示すように、長手方向の端部が飲食スペースの壁100に略当接するように壁際に設置してもよい。
【0217】
これにより、カウンターの長手方向の壁100に面する側の端部については、仕切り部材を設けることなく、長手方向の端部側の個別利用領域20を利用する客は、落ち着いて飲食することができる。
【0218】
また、上述した実施形態のカウンター1においては、長手方向の端部に相当する側に、仕切り部材を設けない構成を採用したが(
図1、
図4、
図5、
図11参照)、本発明のカウンターは、この構成に限定せず、例えば、
図17に示すように、長手方向の端部に相当する側に、通路等の空間と仕切るための仕切り部材110を設けてもよい。
【0219】
本発明のカウンターの仕切り構造は、上記カウンターの上方空間54において区分けされた個別利用領域20の例えば、平面視における大きさ、形状、或いは高さ等は特に限定せず、例えば、複数の個別利用領域20間で大きさや形状等が異なるように構成してもよい。
【0220】
また、上述した実施形態の飲食領域22は、飲食領域前部22aと飲食領域後部22bとを有して構成したが、本発明の飲食領域は、飲食領域前部22aのみを有して形成してもよい。
【0221】
また、本発明の仕切り部材は、カウンターの上面を上記前後方向と一致する方向にスライドする構成に限定せず、前後方向と一致する方向に対して平面視で傾斜する、或いは直交する方向(すなわち、長手方向)へスライドする構成としてもよい。
【0222】
本発明の仕切り部材は、手動により移動させる構成に限らず、駆動源を用いて自動で移動させる構成を採用してもよい。
【0223】
また、本発明の加熱調理手段は、上述した加熱調理部91のように焼肉用のコンロに限らず、鍋用、焼き鳥等の焼き物用、揚げ物用、蒸し物用等の調理器を含む。さらに、加熱調理部91は、カウンターに据え付けるタイプに限らず、カセットコンロや七輪などカウンターの天板の上面に設置するタイプのものであってもよい。
【0224】
本発明の仕切り部材は、上述した実施形態の可動仕切り壁125のように、隣り合う飲食領域後部22bを仕切る度合いを変更可能に構成するに限らず、例えば、隣り合う飲食領域前部22a、隣り合う調理領域21を仕切る度合いを変更可能に構成してもよい。
【0225】
さらに、本発明の仕切り部材は、前後方向における、飲食領域後部22bと飲食領域前部22aとの境界部や、飲食領域前部22aと調理領域21との境界部を跨ぐ範囲に亘って移動することで、隣り合う個別利用領域20を少なくとも一部において仕切る度合いを変更可能に構成してもよい。
【0226】
また、本発明の仕切り部材は、例えば、固定仕切り壁121と併用せずに可動仕切り壁125のみを単独で用いる等、カウンターの天板の上面における、配置箇所、移動範囲、移動形態等特に限定しない。
【0227】
また、上記奥側規制部は、レール部材30の前壁部33として形成したが、これに限らず、例えば、図示省略するが、可動仕切り壁125が退避位置Pfよりも前後方向の奥側へスライドすることを規制可能な構成であれば、固定仕切り壁121から突出する突起等で形成してもよい。
【符号の説明】
【0228】
1,1A…カウンター
2U…カウンターの上面
2Ub…上記カウンターの上記飲食領域前部に相当する上面(カウンターの飲食領域に相当する上面)
2r…カウンター(天板)の後端(カウンターの上面の直交方向における手前側端)
12…長手方向仕切り壁(仕切り部材)
20…個別利用領域
21…調理領域
22…飲食領域
30,30U,30D…レール部材(スライドガイド手段、ガイド手段)
30r…レール部材の後端(レール部材の直交方向における手前側端)
33…前壁部(奥側規制部)
34…後壁部(手前側規制部)
50…周辺空間
51…外側張り出し空間
51a…外側上方空間
52…天板の直下空間
53(21,22a)…天板の直上空間
54(51a,53)…天板の上方空間
60…軸(揺動ガイド手段、ガイド手段)
91…加熱調理部(加熱調理手段)
121…固定仕切り壁(固定仕切り壁、スライドガイド手段、ガイド手段)
125,125A,125’…可動仕切り壁(可動仕切り壁、仕切り部材)
125F…可動仕切り壁の前側部位(上記可動仕切り壁の奥側部位)
125r…可動仕切り壁の後端(可動仕切り壁の直交方向における手前側端)
125f…可動仕切り壁の前端(可動仕切り壁の直交方向における奥側端)
126…可動仕切り壁の下縁辺(可動仕切り壁の下縁辺)
126b…前側下縁辺部(奥側下縁辺部)
126a…後側下縁辺部(手前側下縁辺部)
126c…下縁段差部
X…直交方向
Y…長手方向
Pr…引出し位置
Pf…退避位置
Por…上記起立姿勢
Pof…跳ね上げ姿勢