(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022074690
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】ワーク重量推定システム
(51)【国際特許分類】
G01G 9/00 20060101AFI20220511BHJP
【FI】
G01G9/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020184952
(22)【出願日】2020-11-05
(71)【出願人】
【識別番号】301021658
【氏名又は名称】Kyoto Robotics株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154014
【弁理士】
【氏名又は名称】正木 裕士
(74)【代理人】
【識別番号】100154520
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 祐子
(72)【発明者】
【氏名】フォンダビスト アダム ケイイチ
(72)【発明者】
【氏名】石田 勉
(57)【要約】
【課題】コストを低減することができるばかりか、作業時間を短縮することができるワーク重量推定システムを提供する。
【解決手段】ワークサイズ認識部502,ワーク大きさ算出部503にて算定されたワークの大きさと、設定されている最大密度とを用いて、当該ワークの重量を推定するワーク重量推定部504と、
ワーク重量推定部504にて推定されたワークの重量と、設定されている最大重量とを比較するワーク重量比較部505と、を有してなる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物流に用いる荷役台に積み付ける予定の複数のワークの最大重量と、最大密度を事前に設定する設定手段と、
前記複数のワークのうち搬送装置によって搬送されてきたワークの大きさを算定する算定手段と、
前記算定手段にて算定された前記ワークの大きさと、前記設定手段にて設定されている最大密度とを用いて、当該ワークの重量を推定する重量推定手段と、
前記重量推定手段にて推定された前記ワークの重量と、前記設定手段にて設定されている前記最大重量とを比較する比較手段と、を有してなるワーク重量推定システム。
【請求項2】
前記搬送されてきたワークを前記荷役台に移載可能なロボットと、
前記比較手段にて比較した結果、前記重量推定手段にて推定された前記ワークの重量の方が、前記最大重量より小さければ、前記ロボットに前記最大重量をもとに設定される速度よりも速い速度で当該ワークを前記荷役台に移載するよう前記ロボットに指示を出すロボット指示手段と、をさらに有してなる請求項1に記載のワーク重量推定システム。
【請求項3】
前記搬送されてきたワークを前記荷役台に移載可能なロボットと、
前記比較手段にて比較した結果、前記重量推定手段にて推定された前記ワークの重量の方が、前記最大重量より大きければ、前記ロボットに前記最大重量をもとに設定される速度よりも遅い速度で当該ワークを前記荷役台に移載するよう前記ロボットに指示を出すロボット指示手段と、をさらに有してなる請求項1に記載のワーク重量推定システム。
【請求項4】
前記搬送されてきたワークを前記荷役台に移載可能なロボットと、
前記最大重量と、前記最大密度を用いて、前記ワークの大きさに応じた前記ロボットの移載時間を改善できる可能性のある領域を、前記ロボットにて前記ワークを移載する前に、提示することが可能な提示手段と、をさらに有してなる請求項1~3の何れか1項に記載のワーク重量推定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボール箱等のワークを、物流に用いる荷役台に積み付ける際、当該ワークの重量を推定することができるワーク重量推定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、物流業界において、倉庫内の仕分け、積み付け、荷卸し等の作業の自動化が求められており、様々な自動化システムの導入が進められている。特に、物流倉庫において、積み付けを自動化する際、適正な積み付けを行うには、積み付け対象となる箱の重量を知ることが必要である。
【0003】
箱の重量を知る方法として、例えば、特許文献1に記載の発明が知られている。この特許文献1に記載の発明は、重量センサにてワークの重量を検知し、ワークを台の上におく動作の際に重量センサの検知結果の減少を判別し、重量センサの検知結果の減少時のハンド部の高さ情報を記憶し、次回の保持動作時にはその記憶内容に基づきアーム部を制御するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、箱の重量を重量センサにてリアルタイムに計測するのは、設備費用がかかるため、コストが増大するといった問題があった。さらには、作業時間(タクトタイム)が長くなるといった問題もあった。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑み、コストを低減することができるばかりか、作業時間を短縮することができるワーク重量推定システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記本発明の目的は、以下の手段によって達成される。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0008】
請求項1の発明に係るワーク重量推定システムは、物流に用いる荷役台(例えば、
図1に示す
図1に示すマテハンM)に積み付ける予定の複数のワーク(例えば、
図1に示すワークW)の最大重量と、最大密度を事前に設定する設定手段(例えば、
図1に示す入力装置59)と、
前記複数のワーク(例えば、
図1に示すワークW)のうち搬送装置(例えば、
図1に示すコンベアC)によって搬送されてきたワーク(例えば、
図1に示すワークW)の大きさを算定する算定手段(例えば、
図2に示すワークサイズ認識部502,ワーク大きさ算出部503)と、
前記算定手段(例えば、
図2に示すワークサイズ認識部502,ワーク大きさ算出部503)にて算定された前記ワーク(例えば、
図1に示すワークW)の大きさと、前記設定手段(例えば、
図1に示す入力装置59)にて設定されている最大密度とを用いて、当該ワーク(例えば、
図1に示すワークW)の重量を推定する重量推定手段(例えば、
図2に示すワーク重量推定部504)と、
前記重量推定手段(例えば、
図2に示すワーク重量推定部504)にて推定された前記ワーク(例えば、
図1に示すワークW)の重量と、前記設定手段(例えば、
図1に示す入力装置59)にて設定されている前記最大重量とを比較する比較手段(例えば、
図2に示すワーク重量比較部505)と、を有してなることを特徴としている。
【0009】
また、請求項2の発明によれば、上記請求項1に記載のワーク重量推定システムにおいて、前記搬送されてきたワーク(例えば、
図1に示すワークW)を前記荷役台(例えば、
図1に示すマテハンM)に移載可能なロボット(例えば、
図1に示すロボット2)と、
前記比較手段(例えば、
図2に示すワーク重量比較部505)にて比較した結果、前記重量推定手段(例えば、
図2に示すワーク重量推定部504)にて推定された前記ワーク(例えば、
図1に示すワークW)の重量の方が、前記最大重量より小さければ、前記ロボット(例えば、
図1に示すロボット2)に前記最大重量をもとに設定される速度よりも速い速度で当該ワーク(例えば、
図1に示すワークW)を前記荷役台(例えば、
図1に示すマテハンM)に移載するよう前記ロボット(例えば、
図1に示すロボット2)に指示を出すロボット指示手段(例えば、
図2に示すロボットコントローラ指示部509)と、をさらに有してなることを特徴としている。
【0010】
さらに、請求項3の発明によれば、上記請求項1に記載のワーク重量推定システムにおいて、前記搬送されてきたワーク(例えば、
図1に示すワークW)を前記荷役台(例えば、
図1に示すマテハンM)に移載可能なロボット(例えば、
図1に示すロボット2)と、
前記比較手段(例えば、
図2に示すワーク重量比較部505)にて比較した結果、前記重量推定手段(例えば、
図2に示すワーク重量推定部504)にて推定された前記ワーク(例えば、
図1に示すワークW)の重量の方が、前記最大重量より大きければ、前記ロボット(例えば、
図1に示すロボット2)に前記最大重量をもとに設定される速度よりも遅い速度で当該ワーク(例えば、
図1に示すワークW)を前記荷役台(例えば、
図1に示すマテハンM)に移載するよう前記ロボット(例えば、
図1に示すロボット2)に指示を出すロボット指示手段(例えば、
図2に示すロボットコントローラ指示部509)と、をさらに有してなることを特徴としている。
【0011】
一方、請求項4の発明によれば、上記請求項1~3の何れか1項に記載のワーク重量推定システムにおいて、前記搬送されてきたワーク(例えば、
図1に示すワークW)を前記荷役台(例えば、
図1に示すマテハンM)に移載可能なロボット(例えば、
図1に示すロボット2)と、
前記最大重量と、前記最大密度を用いて、前記ワーク(例えば、
図1に示すワークW)の大きさに応じた前記ロボット(例えば、
図1に示すロボット2)の移載時間を改善できる可能性のある領域(例えば、
図4に示す領域R1)を、前記ロボット(例えば、
図1に示すロボット2)にて前記ワーク(例えば、
図1に示すワークW)を移載する前に、提示することが可能な提示手段(例えば、
図1に示す表示装置56)と、をさらに有してなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
次に、本発明の効果について、図面の参照符号を付して説明する。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0013】
請求項1に係る発明によれば、算定されたワーク(例えば、
図1に示すワークW)の大きさ(体積)と、事前に設定されているワーク(例えば、
図1に示すワークW)の最大密度と、を用いて、当該ワーク(例えば、
図1に示すワークW)の重量を推定するようにしている。そしてさらに、推定されたワーク(例えば、
図1に示すワークW)の重量と、設定されているワーク(例えば、
図1に示すワークW)の最大重量を比較するようにしている。これにより、ロボット(例えば、
図1に示すロボット2)にてワーク(例えば、
図1に示すワークW)を、荷役台(例えば、
図1に示すマテハンM)に移載する速度を決定することができる。
【0014】
しかして、本発明によれば、従来のような重量センサが不要となるから、コストを低減することができる。さらに、ロボットハンドに重量センサを必要としないことから、ロボット(例えば、
図1に示すロボット2)によるワーク(例えば、
図1に示すワークW)の把持後、重量計測の時間を設ける必要がなくなり、もって、作業時間を短縮することができる。
【0015】
しかして、本発明によれば、コストを低減することができるばかりか、作業時間を短縮することができる。
【0016】
また、請求項2に係る発明によれば、比較手段(例えば、
図2に示すワーク重量比較部505)にて比較した結果、重量推定手段(例えば、
図2に示すワーク重量推定部504)にて推定されたワーク(例えば、
図1に示すワークW)の重量の方が、最大重量より小さければ、ロボット(例えば、
図1に示すロボット2)に最大重量をもとに設定される速度よりも速い速度で当該ワーク(例えば、
図1に示すワークW)を荷役台(例えば、
図1に示すマテハンM)に移載するようにしている。これにより、ワーク(例えば、
図1に示すワークW)を荷役台(例えば、
図1に示すマテハンM)に移載する時間を短縮することができるため、作業時間をより短縮することができる。
【0017】
さらに、請求項3に係る発明によれば、比較手段(例えば、
図2に示すワーク重量比較部505)にて比較した結果、重量推定手段(例えば、
図2に示すワーク重量推定部504)にて推定されたワーク(例えば、
図1に示すワークW)の重量の方が、最大重量より大きければ、ロボット(例えば、
図1に示すロボット2)に最大重量をもとに設定される速度よりも遅い速度で当該ワーク(例えば、
図1に示すワークW)を荷役台(例えば、
図1に示すマテハンM)に移載するようにしている。これにより、想定していた重量よりも重いワーク(例えば、
図1に示すワークW)を移載する場合であっても、そのようなワーク(例えば、
図1に示すワークW)を、ロボット(例えば、
図1に示すロボット2)を用いて移載中に落下させることがないよう、ワーク(例えば、
図1に示すワークW)を荷役台(例えば、
図1に示すマテハンM)に移載することが可能となる。
【0018】
一方、請求項4に係る発明によれば、最大重量と、最大密度を用いて、ワーク(例えば、
図1に示すワークW)の大きさに応じたロボット(例えば、
図1に示すロボット2)の移載時間を改善できる可能性のある領域(例えば、
図4に示す領域R1)を、ロボット(例えば、
図1に示すロボット2)にてワーク(例えば、
図1に示すワークW)を移載する前に、提示するようにしている。これにより、ユーザは、ワークの大きさがどの程度あれば、作業時間が改善できるのか事前に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係るワーク重量推定システムの概略全体図である。
【
図2】同実施形態に係る情報処理装置の機能構成図である。
【
図3】同実施形態に係るワーク重量推定システムの動作内容を示すフローチャート図である。
【
図4】作業時間が改善できる可能性のある領域を示しているグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係るワーク重量推定システムの一実施形態を、図面を参照して具体的に説明する。なお、以下の説明において、上下左右の方向を示す場合は、図示正面から見た場合の上下左右をいうものとする。
【0021】
<ワーク重量推定システムの説明>
図1に示すように、ワーク重量推定システム1は、コンベアCにて搬送されてきたマテハンMに積み付けたい複数のワークWの1つをロボット2に備えた吸着ハンド20を用いてマテハンMに積み付けるものである。なお、マテハンMは、
図1に示すように、パレットPa上に1個以上のワークWが積み付けられているものであるが、パレットPaに限らず、カゴ車、カートラック等どのようなものでも良い。
【0022】
ここで、このワーク重量推定システム1の動作について、より詳しく説明すると、ワーク重量推定システム1は、まず、撮像部3を用いて、コンベアCにて搬送されてきたワークWのサイズを撮像する。そして、その撮像した画像から情報処理装置5を用いて、ワークWの大きさ(体積)を算出する。次いで、情報処理装置5は、事前に設定されているワークWの最大密度と、算出したワークWの大きさ(体積)とを用いて、ワークWの重量を推定する。そして、情報処理装置5は、事前に設定されているワークWの最大重量と、推定したワークWの重量を比較する。次いで、
図1に示す撮像部4を用いて、パレットPa上に1個以上のワークWが積み付けられているマテハンMを撮像する。そして、その撮像した画像から情報処理装置5を用いて、マテハンMにおけるワークWの積み付け状態を認識する。かくして、情報処理装置5は、認識したワークWのサイズと、推定したワークWの重量と、マテハンMにおけるワークWの積み付け状態とによって、積み付け順序を算出した上で、ワークWのピッキング位置をプログラマブルロジックコントローラ6(以下、PLC6と呼ぶ)経由で、ロボットコントローラ7へ送信する。この際、情報処理装置5は、事前に設定されているワークWの最大重量と、推定したワークWの重量を比較した比較結果に基づいて、ワークWをマテハンMに移載する速度もプログラマブルロジックコントローラ6(以下、PLC6と呼ぶ)経由で、ロボットコントローラ7へ送信する。これを受けて、ロボットコントローラ7は、ロボット2を制御し、そのロボット2が積み付け順序に従って、ワークWをピッキングし、マテハンMに積み付けることとなる。
【0023】
以下、
図1の各部について詳細に説明することとする。
【0024】
ロボット2は、例えば、4自由度の垂直多関節型ロボットである。より詳しく説明すると、このロボット2は、コンベアCにて搬送されてきた1個以上のワークWを、ロボットアーム21に取付けられている吸着ハンド20を用いてコンベアCからマテハンMへ積み付ける為のロボットアームである。なお、本実施形態においては、ロボット2として、4自由度の垂直多関節型ロボットを例示したが、これに限らず、6自由度であってもよいし、直角座標型ロボット、極座標型ロボット、水平多関節型(スカラ型)ロボット、パラレルリンク型ロボットであってもよい。すなわち、コンベアCにて搬送されてきた1個以上のワークWを、マテハンMへ移載可能であれば、どのような形式であってもよい。
【0025】
ところで、吸着ハンド20は、コンプレッサ8から送られる圧縮エアを吸着ハンド20内に内蔵している真空発生装置を用いて、真空を発生させ、コンベアCにて搬送されてきた1個以上のワークWを吸着するものである。なお、本実施形態においては、吸着することにより、コンベアCにて搬送されてきた1個以上のワークWを移載する例を示したが、それに限らず、コンベアCにて搬送されてきた1個以上のワークWをグリッパーで挟み込むようなハンドであっても良く、コンベアCにて搬送されてきた1個以上のワークWを移載可能であれば、どのような形式のハンドでも良い。
【0026】
撮像部3は、
図1に示すように、コンベアCにて搬送されてきたワークWを撮像するものであって、三次元点群情報を出力可能な三次元画像センサである。この撮像部3は、カメラとプロジェクタを備えており、カメラとプロジェクタによるアクティブステレオ法により被写体の三次元点群情報を算出するものである。なお、カメラとプロジェクタを用いたアクティブステレオ法は、一般的な技術であるため、詳細な説明は省略する。
【0027】
撮像部4は、
図1に示すパレットPa上に1個以上のワークWが積み付けられているマテハンMにおけるワークWの積み付け状態を撮像するものであって、三次元点群情報を出力可能な三次元画像センサである。この撮像部4は、カメラとプロジェクタを備えており、カメラとプロジェクタによるアクティブステレオ法により被写体の三次元点群情報を算出するものである。なお、カメラとプロジェクタを用いたアクティブステレオ法は、一般的な技術であるため、詳細な説明は省略する。
【0028】
情報処理装置5は、
図1に示すように、CPU50と、RAM51と、ROM52と、補助記憶装置53と、入出力インタフェース54と、通信インタフェース55と、表示装置56と、バス57と、入力コントローラ58と、入力装置59と、を有している。CPU50は、情報処理装置5が備える各機能を実行、制御するもので、RAM51は、外部装置などから供給されるプログラムやデータを一時記憶するものである。
【0029】
一方、ROM52は、変更を必要としないプログラムや各種パラメータを格納し、補助記憶装置53は、各種情報を記憶するものである。そして、入出力インタフェース54は、外部の機器とデータの送受信を行い、通信インタフェース55は、ネットワークに接続するための装置であり、ネットワークを介して外部の機器とデータの送受信を行うものである。
【0030】
一方、表示装置56は、CPU50で描画されたグラフィックスを表示し、バス57は、システムバスであり、CPU50、RAM51、ROM52、補助記憶装置53、入出力インタフェース54、通信インタフェース55、表示装置56、入力コントローラ58を接続するものである。そして、入力コントローラ58は、入力装置59からの入力信号を制御するコントローラであり、入力装置59は、ユーザからの操作指示を受け付けるための外部入力装置であり、例えば、キーボード、マウスなどである。なお、後述する情報処理装置5の機能や処理は、CPU50がROM52等に格納されているプログラムを読み出し、このプログラムを実行することにより実現することとなる。
【0031】
PLC6は、情報処理装置5とロボットコントローラ7との間の命令を受け渡すものである。そしてさらにPLC6は、コンベアCを制御し、コンベアC上に載せた複数のワークWを搬送するものである。具体的には、コンベアCの下部には、
図1に示すように光電センサ等のセンサSEが所定間隔置きに設けられており、PLC6は、このセンサSEを利用し、ロボット2がピッキング可能な範囲にワークWが搬送されてくると、コンベアCの駆動を止めるよう制御する。
【0032】
ロボットコントローラ7は、サーボアンプや基板などが収納された制御装置であり、ロボット2の動きを総合的にコントロールする装置である。また、ロボットコントローラ7は、あらかじめ作成したロボット2を制御するプログラムを記憶し、実行することができるものである。
【0033】
コンプレッサ8は、空気を圧縮し供給する空気圧縮機であり、吸着ハンド20へ圧縮エアを供給するものである。
【0034】
ワークWは、所定の商品が収納された段ボールであって、様々な種類(サイズや重さ等)があり、マテハンMに積み付けられるものである。なお、本実施形態においては、段ボールを例に説明するが、パレットPa上に積層可能であれば、材質は段ボール以外でも良く、例えば、プラスチックや木製であっても良く、箱形状に近似できれば袋状の物であっても良い。
【0035】
パレットPaは、物流に用いる荷物を載せるための荷役台であり、パレットPaの脚と脚の間にフォークリフトやハンドリフトの爪を差し込んで持ち上げることができるものである。なお、本実施形態においては、パレットPa上に複数のワークWを積載しているが、もちろんパレットではなくカゴ台車であってもよい。
【0036】
コンベアCは、ローラーコンベアであり、ロボット2がピッキング可能な範囲まで、ワークWを搬送するものである。そして、このコンベアCに搬送されるワークWの順番は指定されておらず、ワークW間には、隙間ができるように設計されている。この隙間は、ロボット2が備える吸着ハンド20のサイズ以上空くように、
図1に示すPLC6にてコンベアCが制御されている。すなわち、ワークWを吸着する吸着ハンド20は、ワークWのサイズよりも大きい場合がある。その際、ワークWが隙間なく並んでいると、ワークWを吸着ハンド20にて吸着できなくなる。そのため、隙間は、ロボット2が備える吸着ハンド20のサイズ以上空くように、
図1に示すPLC6にてコンベアCが制御されている。なお、コンベアCは必ずしもローラ―コンベアである必要はなく、ベルトコンベアでも良い。
【0037】
<情報処理装置の説明>
次に、
図2を用いて、本実施形態に係る情報処理装置5の機能構成について説明する。
図2に示すように、情報処理装置5の機能構成としては、情報処理装置5は、判断部500と、設定保持部501と、ワークサイズ認識部502と、ワーク大きさ算出部503と、ワーク重量推定部504と、ワーク重量比較部505と、積み付け状態認識部506と、積み付け順序算出部507と、ピッキング位置算出部508と、ロボットコントローラ指示部509と、で構成されている。以下、各構成について説明することとする。
【0038】
判断部500は、判断部500が保持する状態または、各機能ブロックが保持する状態に基づいて、各機能ブロック間との情報をやり取りし、さらに、外部機器とのやり取りも行い、撮像部3、撮像部4、PLC6経由で、ロボット2、コンベアCを制御するものである。
【0039】
設定保持部501は、処理に必要な設定値を保持するものである。
【0040】
ワークサイズ認識部502は、
図1に示す撮像部3にて撮像されたコンベアCにて搬送されてきたワークWの三次元画像に基づいて、ワークWの縦、横、高さのサイズを認識するものである。
【0041】
ワーク大きさ算出部503は、ワークサイズ認識部502にて認識したワークWの縦、横、高さのサイズを乗算して、ワークWの大きさ(体積)を算出するものである。
【0042】
ワーク重量推定部504は、ユーザが入力装置59(
図1参照)を用いて、予め設定しておいたワークWの最大密度と、ワーク大きさ算出部503にて算出したワークWの大きさ(体積)とを掛け合わせて、ワークWの重量を推定するものである。
【0043】
ワーク重量比較部505は、ユーザが入力装置59(
図1参照)を用いて、予め設定しておいたワークWの最大重量と、ワーク重量推定部504にて推定したワークWの重量とを比較するものである。
【0044】
積み付け状態認識部506は、
図1に示す撮像部4にて撮像されたマテハンMにおけるワークWの積み付け状態を三次元画像に基づいて認識するものである。
【0045】
積み付け順序算出部507は、ワークサイズ認識部502にて認識したワークWのサイズと、ワーク重量推定部504にて推定したワークWの重量と、積み付け状態認識部506にて認識したマテハンMにおけるワークWの積み付け状態とによって、ワークWの積み付け順序を算出するものである。
【0046】
ピッキング位置算出部508は、積み付け順序算出部507にて算出したワークWをロボット2でピッキングするにあたり、そのワークWをロボット2がピッキングする位置を算出するものである。
【0047】
ロボットコントローラ指示部509は、積み付け順序算出部507にて算出した積み付け順序に従って、ピッキング位置算出部508にて算出したピッキング位置にてワークWをピッキングし、マテハンMに積み付けるようPLC6を介して
図1に示すロボットコントローラ7に指示を出すものである。この際、ロボットコントローラ指示部509は、ワーク重量比較部505にて比較した比較結果に基づき、ワークWをマテハンMに移載する速度もPLC6を介して
図1に示すロボットコントローラ7に指示を出すようにしている。具体的には、比較した結果、予め設定しておいたワークWの最大重量より、ワーク重量推定部504にて推定したワークWの重量の方が小さければ、ロボットコントローラ7にワークWの最大重量をもとに設定される移載速度よりも速い速度でワークWをマテハンMに移載するよう、PLC6を介して
図1に示すロボットコントローラ7に指示を出す。これにより、ワークWをマテハンMに移載する時間を短縮することができるため、作業時間を短縮することができる。
【0048】
一方、比較した結果、予め設定しておいたワークWの最大重量より、ワーク重量推定部504にて推定したワークWの重量の方が大きければ、ロボットコントローラ7にワークWの最大重量をもとに設定される移載速度よりも遅い速度でワークWをマテハンMに移載するよう、PLC6を介して
図1に示すロボットコントローラ7に指示を出す。これにより、想定していた重量よりも重いワークWを移載する場合であっても、そのようなワークWを、ロボット2を用いて移載中に落下させることがないよう、ワークWをマテハンMに移載することが可能となる。
【0049】
ところで、ロボットコントローラ指示部509によって、PLC6を介して指示を出されたロボットコントローラ7は、積み付け順序算出部507にて算出した積み付け順序に従って、ピッキング位置算出部508にて算出したピッキング位置にてワークWをピッキングするようロボット2を制御し、ピッキングしたワークWを、ロボットコントローラ指示部509にて指示された速度にてマテハンMに移載し、積み付けるようロボット2を制御することとなる。なお、本実施形態においては、PLC6を介してロボットコントローラ7へ指示を出すようにしたが、PLC6を介さず、ロボットコントローラ7へ指示を出すようにしても良い。
【0050】
<情報処理装置の処理内容の説明>
次に、
図3に示すフローチャートも参照し、本実施形態に示す情報処理装置5の処理内容について説明する。
【0051】
まず、ユーザは、入力装置59(
図1参照)を用いて、ワークWの最大重量と、最大密度を設定する。より具体的に説明すると、マテハンMに積み付けられる予定のワークWは複数存在し、重量も密度も様々である。その中から、ユーザは、ワークWの最大重量と、最大密度を決定し、決定したワークWの最大重量と、最大密度を、入力装置59(
図1参照)を用いて設定する(ステップS1)。なお、設定された情報は、設定保持部501に保持されることとなる。
【0052】
ところで、この最大重量、最大密度は、1個1個ワークWをサンプリングして決定しても良いし、複数のワークWの中から、何個かピックアップし、サンプリングした上で決定しても良い。或いは、物流倉庫側に事前に情報があれば、その情報を最大重量、最大密度として決定しても良いし、余裕を見てその情報にプラスアルファした値を最大重量、最大密度として決定しても良い。すなわち、最大重量、最大密度は、どのような方法で決定しても良い。
【0053】
次いで、上記のような設定を終えた後、
図2に示す判断部500は、PLC6に、コンベアCを制御するように指令を行う。これにより、PLC6は、ロボット2がピッキング可能な範囲にワークWが搬送されるようにコンベアCを制御する。そして、PLC6は、
図1に示すセンサSEを利用し、ロボット2がピッキング可能な範囲にワークWが搬送されてくると、コンベアCの駆動を止めるよう制御する(ステップS2)。
【0054】
次いで、判断部500は、撮像部3を制御し、
図1に示すように、ワークWを撮像する。そしてその撮像された三次元画像は、判断部500にてワークサイズ認識部502(
図2参照)へ出力される。これを受けて、ワークサイズ認識部502は、撮像された三次元画像に基づいて、ワークWの縦、横、高さのサイズを認識する(ステップS3)。
【0055】
次いで、ワーク大きさ算出部503は、ワークサイズ認識部502にて認識したワークWの縦、横、高さのサイズを乗算して、ワークWの大きさ(体積)を算出する(ステップS4)。
【0056】
次いで、ワーク重量推定部504は、判断部500を介して設定保持部501にて保持されているワークWの最大密度を読み出し、読み出した最大密度と、ワーク大きさ算出部503にて算出したワークWの大きさ(体積)とを掛け合わせて、ワークWの重量を推定する(ステップS5)。
【0057】
次いで、ワーク重量比較部505は、判断部500を介して設定保持部501にて保持されているワークWの最大重量を読み出し、読み出した最大重量と、ワーク重量推定部504にて推定したワークWの重量とを比較する(ステップS6)。
【0058】
次いで、判断部500は、撮像部4を制御し、
図1に示すパレットPa上に複数のワークWが積み付けられているマテハンMにおけるワークWの積み付け状態を撮像する。そしてその撮像された三次元画像は、判断部500にて積み付け状態認識部506(
図2参照)へ出力される。これを受けて、積み付け状態認識部506は、撮像された三次元画像に基づいて、マテハンMにおけるワークWの積み付け状態を認識する(ステップS7)。
【0059】
次いで、積み付け順序算出部507は、ワークサイズ認識部502にて認識したワークWのサイズと、ワーク重量推定部504にて推定したワークWの重量と、積み付け状態認識部506にて認識したマテハンMにおけるワークWの積み付け状態とによって、ワークWの積み付け順序を算出する(ステップS8)。
【0060】
次いで、ピッキング位置算出部505は、積み付け順序算出部507にて算出したワークWをロボット2でピッキングするにあたり、そのワークWをロボット2がピッキングする位置を算出する(ステップS9)。
【0061】
次いで、ロボットコントローラ指示部509は、積み付け順序算出部507にて算出した積み付け順序に従って、ピッキング位置算出部508にて算出したピッキング位置にてワークWをピッキングし、マテハンMに積み付けるようPLC6を介して
図1に示すロボットコントローラ7に指示を出す。さらに、ロボットコントローラ指示部509は、ワーク重量比較部505にて比較した比較結果に基づき、ワークWをマテハンMに移載する速度を決定し、PLC6を介して
図1に示すロボットコントローラ7に指示を出す。これにより、ロボットコントローラ7は、積み付け順序算出部507にて算出した積み付け順序に従って、ピッキング位置算出部508にて算出したピッキング位置にてワークWをピッキングするようロボット2を制御し、ピッキングしたワークWを、ロボットコントローラ指示部509にて指示された速度にてマテハンMに移載し、積み付けるようロボット2を制御することとなる(ステップS10)。
【0062】
次いで、判断部500は、ロボットコントローラ7にて制御終了の処理通知が送信されてくると、PLC6に、コンベアCを制御し、ロボット2がピッキング可能な範囲に新たに1個のワークWを搬入するよう指令を行う。これにより、PLC6は、ロボット2がピッキング可能な範囲に新たに1個のワークWを搬入するようコンベアCを制御する(ステップS11)。
【0063】
次いで、判断部500は、上記ステップS11の処理後、ステップS3の処理に戻り、積み付けるワークWが無くなるまで、ステップS3~ステップS11の処理を繰り返し行うこととなる。
【0064】
しかして、以上説明した本実施形態によれば、ワーク大きさ算出部503にて算出されたワークWの大きさ(体積)と、設定保持部501にて保持されているワークWの最大密度と、を用いて、当該ワークWの重量を推定するようにしている。そしてさらに、推定されたワークWの重量と、設定保持部501にて保持されているワークWの最大重量を比較するようにしている。これにより、ロボット2にてワークWを、マテハンMに移載する速度を決定することができる。
【0065】
しかして、本実施形態によれば、従来のような重量センサが不要となるから、コストを低減することができる。さらに、吸着ハンド20に重量センサを必要としないことから、ロボット2によるワークWの把持後、重量計測の時間を設ける必要がなくなり、もって、作業時間を短縮することができる。
【0066】
しかして、本実施形態によれば、コストを低減することができるばかりか、作業時間を短縮することができる。
【0067】
さらに、本実施形態によれば、最大密度と最大重量を用いて、2種類の計算を行っていることから、ワークWの重量の過大評価を抑えることができる。しかして、このようにワークWの重量の過大評価が抑えられることによって、ロボットモーションの速度・加速度設定が適正なものに近づくこととなる。さらに、ワークWの重量の過大評価が抑えられることによって、圧縮計算での過大評価が抑えられ、ワークWの積み付け量が増加することとなる。
【0068】
そしてさらに、本実施形態によれば、倉庫管理システムとの間で重量データのやり取りを行う通信が不要となるため、重量管理を目的としたシステムが不要となる。
【0069】
ところで、本実施形態においては、実際にワークWを搬送させて、マテハンMに積み付けるという実際の作業中に、ワークWの重量を推定する例を示したが、
図4に示すような領域R1を提示することも可能である。
【0070】
すなわち、ユーザは、入力装置59(
図1参照)を用いて、ワークWの最大重量と、最大密度を設定する。さらに、ユーザは、入力装置59(
図1参照)を用いて、マテハンMに積み付ける様々なワークWの縦、横、高さのサイズを設定する。これを受けて、
図2に示すワーク大きさ算出部503は、入力された様々なワークWの縦、横、高さのサイズに基づいて、各ワークWの大きさ(体積)を算出する。
【0071】
次いで、ワーク重量推定部504は、設定したワークWの最大密度と、ワーク大きさ算出部503にて算出した各ワークWの大きさ(体積)とを掛け合わせて、各ワークWの重量を推定する。
【0072】
次いで、ワーク重量比較部505は、設定したワークWの最大重量と、ワーク重量推定部504にて推定した各ワークWの重量とを比較する。これを受けて、判断部500は、最大重量>推定したワークWの重量が満たされる領域R1(
図4参照)が、作業時間が改善される可能性のある領域として、
図4に示すものを、
図1に示す表示装置56に表示させることとなる。
【0073】
しかして、このようにすれば、ユーザは、ワークの大きさ(体積)がどの程度あれば、作業時間が改善できるのか事前に把握することができる。
【0074】
ところで、
図4に示す領域R1を満たすワークWとしては、例えば、ペットボトルの水が1箱6本、1箱12本など、同じものが個数違いでパッケージされている場合や、布団や衣料品等同じようなものが体積違いで荷物になっている場合が考えられる。一方、
図4に示す領域R1を満たさないワークWとしては、例えば、金属の塊と布団の荷物が混在している等、極端に密度の違うものを一緒に扱う場合が考えられる。
【0075】
なお、本実施形態において例示した内容は、あくまで一例であり、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において種々の変形・変更が可能である。例えば、ワークWのサイズを認識する手法として、撮像部3を例に示したが、それに限らず、2次元画像センサを用いても良い。
【符号の説明】
【0076】
1 ワーク重量推定システム
2 ロボット
3 撮像部
4 撮像部
5 情報処理装置
56 表示装置(提示手段)
59 入力装置(設定手段)
500 判断部
501 設定保持部
502 ワークサイズ認識部(算定手段)
503 ワーク大きさ算出部(算定手段)
504 ワーク重量推定部(重量推定手段)
505 ワーク重量比較部(比較手段)
509 ロボットコントローラ指示部(ロボット指示手段)
W ワーク
M マテハン(荷役台)
C コンベア(搬送装置)