(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022007472
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】リテーナ蓋開動装置、リテーナ蓋開動方法およびリテーナ蓋開動システム
(51)【国際特許分類】
A22C 17/00 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
A22C17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020110478
(22)【出願日】2020-06-26
(71)【出願人】
【識別番号】000113067
【氏名又は名称】プリマハム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002697
【氏名又は名称】めぶき国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100110973
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 洋
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 茂明
【テーマコード(参考)】
4B011
【Fターム(参考)】
4B011EA05
(57)【要約】
【課題】
リテーナの開錠後に、加熱された食肉とリテーナの蓋との付着を減らして、作業員の負担を軽減可能なリテーナ蓋開動装置およびリテーナ蓋開動システムを提供する。
【解決手段】
本発明は、シート状若しくはブロック状の加熱後の食肉Bを入れた開閉蓋式のリテーナ40の蓋42を開動可能なリテーナ蓋開動装置10であって、リテーナ40の周囲の内、蓋42の開口位置に備えられるフック12と、蓋の一部44にフック12を接触させた状態で、フック12を少なくとも一方向に移動して蓋42を開ける動作を実行するフック駆動部14と、を備えるリテーナ蓋開動装置10、リテーナ蓋開動方法およびリテーナ蓋開動システム1に関する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状若しくはブロック状の加熱後の食肉を入れた開閉蓋式のリテーナの蓋を開動可能なリテーナ蓋開動装置であって、
前記リテーナの周囲の内、前記蓋の開口位置に備えられるフックと、
前記蓋の一部に前記フックを接触させた状態で、前記フックを少なくとも一方向に移動して前記蓋を開ける動作を実行するフック駆動部と、
を備えることを特徴とするリテーナ蓋開動装置。
【請求項2】
前記フック駆動部は、前記フックを前記一方向とその反対方向に往復移動させて、前記蓋を開ける方向の動作と閉める方向の動作の両動作を行わせることを特徴とする請求項1に記載のリテーナ蓋開動装置。
【請求項3】
前記フックを少なくとも一方向に移動する前若しくは移動する際に、前記リテーナを挟んで前記フックの反対側から前記リテーナを前記フックの方向に押圧する押圧部と、
前記押圧部を駆動する押圧駆動部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載のリテーナ蓋開動装置。
【請求項4】
前記フック駆動部および前記押圧駆動部の内の少なくとも1つは、エアー圧によって駆動するエアーシリンダを含むことを特徴とする請求項3に記載のリテーナ蓋開動装置。
【請求項5】
前記蓋を施錠状態から解錠状態にする解錠部と、
前記解錠部を駆動する解錠駆動部と、
をさらに備え、
前記解錠駆動部によって前記蓋を解錠した後に、前記フック駆動部は、前記フックを移動させて前記蓋を開けることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のリテーナ蓋開動装置。
【請求項6】
前記解錠部は、前記蓋を閉める方向に押圧して前記蓋を解錠可能であることを特徴とする請求項5に記載のリテーナ蓋開動装置。
【請求項7】
シート状若しくはブロック状の加熱後の食肉を入れた開閉蓋式のリテーナの蓋を開動可能なリテーナ蓋開動方法であって、
前記蓋の一部にフックを接触させた状態で、前記フックを駆動するためのフック駆動部によって前記フックを少なくとも一方向に移動して前記蓋を開ける動作を行う蓋開動ステップと、
を含むリテーナ蓋開動方法。
【請求項8】
前記フック駆動部は、前記蓋開動ステップの後に、前記フックを前記一方向と反対方向に移動して前記フックを元の状態にするフック戻しステップを行い、
前記フック戻しステップは、前記蓋開動ステップ時に前記蓋を開けた位置から、前記蓋を閉める方向に移動させることを特徴とする請求項7に記載のリテーナ蓋開動方法。
【請求項9】
前記蓋開動ステップの前若しくは前記蓋開動ステップの際に、押圧部を駆動するための押圧駆動部によって、前記押圧部を、前記リテーナを挟んで前記フックの反対側から前記リテーナを前記フックの方向に押圧する押圧ステップを行うことを特徴とする請求項7または8に記載のリテーナ蓋開動方法。
【請求項10】
シート状若しくはブロック状の加熱後の食肉を入れた開閉蓋式のリテーナと、前記リテーナの蓋を開けることのできるリテーナ蓋開動装置と、を備えるリテーナ蓋開動システムであって、
前記リテーナ蓋開動装置は、
前記リテーナの周囲の内、前記蓋の開口位置に備えられるフックと、
前記蓋の一部に前記フックを接触させた状態で、前記フックを少なくとも一方向に移動して前記蓋を開ける動作を実行するフック駆動部と、
を備えることを特徴とするリテーナ蓋開動システム。
【請求項11】
前記フック駆動部は、前記フックを前記一方向とその反対方向に往復移動させて、前記蓋を開ける方向の動作と閉める方向の動作の両動作を行わせることを特徴とする請求項10に記載のリテーナ蓋開動システム。
【請求項12】
前記蓋を施錠状態から解錠状態にする解錠部と、
前記解錠部を駆動する解錠駆動部と、
をさらに備え、
前記リテーナは、前記蓋に固定されているロック部を備え、
前記ロック部は、前記蓋の周縁部と、前記蓋にて覆う容器の周縁部とを施錠する状態と解錠する状態との間で回動して、施錠と解錠とを切り替え可能な部材であって、
前記解錠部は、前記蓋を閉める方向に押圧して、前記ロック部を、前記蓋の解錠状態へと回動可能であることを特徴とする請求項10または11に記載のリテーナ蓋開動システム。
【請求項13】
前記リテーナは、前記蓋に、2以上の前記ロック部を備え、
前記蓋は、前記ロック部の外側に、前記蓋の周縁部に沿って延びる把持部を備え、
前記把持部は、2以上の前記ロック部を連結していることを特徴とする請求項12に記載のリテーナ蓋開動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱後の食肉を入れたリテーナの蓋を開ける動作を行うリテーナ蓋開動装置、リテーナ蓋開動方法およびリテーナ蓋開動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
加熱された食肉加工品は、加熱工程の後に、カット工程あるいは冷却工程を経ることが多い。加熱前の食肉を充填されたリテーナと称する耐熱性の容器は、施錠後に、加熱される。加熱された食肉は、リテーナの開錠を経て取り出され、次のカット工程等へと送られる。一般的に、リテーナの開錠は、作業員の負担を軽減すべく、開錠用の装置によって行われている。開錠用の装置としては、例えば、特許文献1,2に開示される装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-187271号公報
【特許文献2】特開2020-043823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の従来から公知のリテーナ開錠用装置によってリテーナを開錠した後に、未だ解決できない次のような問題がある。その問題とは、開錠後のリテーナの蓋を作業員が開けたときに、リテーナ内の食肉が蓋の裏に付着している場合があることである。その場合には、作業員が蓋から食肉を剥がす作業を行う必要があり、余計な作業時間を要すると共に作業員の疲労に伴う作業速度の低下が生じやすい。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、リテーナの開錠後に、加熱された食肉とリテーナの蓋との付着を減らして、作業員の負担を軽減可能なリテーナ蓋開動装置、リテーナ蓋開動方法およびリテーナ蓋開動システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記目的を達成するための一実施形態に係るリテーナ蓋開動装置は、シート状若しくはブロック状の加熱後の食肉を入れた開閉蓋式のリテーナの蓋を開動可能なリテーナ蓋開動装置であって、
前記リテーナの周囲の内、前記蓋の開口位置に備えられるフックと、
前記蓋の一部に前記フックを接触させた状態で、前記フックを少なくとも一方向に移動して前記蓋を開ける動作を実行するフック駆動部と、
を備える。
(2)別の実施形態に係るリテーナ蓋開動装置では、好ましくは、前記フック駆動部は、前記フックを前記一方向とその反対方向に往復移動させて、前記蓋を開ける方向の動作と閉める方向の動作の両動作を行わせても良い。
(3)別の実施形態に係るリテーナ蓋開動装置は、好ましくは、前記フックを少なくとも一方向に移動する前若しくは移動する際に、前記リテーナを挟んで前記フックの反対側から前記リテーナを前記フックの方向に押圧する押圧部と、前記押圧部を駆動する押圧駆動部と、
をさらに備えても良い。
(4)別の実施形態に係るリテーナ蓋開動装置では、好ましくは、前記フック駆動部および前記押圧駆動部の内の少なくとも1つは、エアー圧によって駆動するエアーシリンダを含んでも良い。
(5)別の実施形態に係るリテーナ蓋開動装置は、好ましくは、前記蓋を施錠状態から解錠状態にする解錠部と、前記解錠部を駆動する解錠駆動部と、をさらに備え、
前記解錠駆動部によって前記蓋を解錠した後に、前記フック駆動部は前記フックを移動させて前記蓋を開けるようにしても良い。
(6)別の実施形態に係るリテーナ蓋開動装置では、好ましくは、前記解錠部は、前記蓋を閉める方向に押圧して前記蓋を解錠可能であっても良い。
(7)上記目的を達成するための一実施形態に係るリテーナ蓋開動方法は、シート状若しくはブロック状の加熱後の食肉を入れた開閉蓋式のリテーナの蓋を開動可能なリテーナ蓋開動方法であって、
前記蓋の一部にフックを接触させた状態で、前記フックを駆動するためのフック駆動部によって前記フックを少なくとも一方向に移動して前記蓋を開ける動作を行う蓋開動ステップと、
を含む。
(8)別の実施形態に係るリテーナ蓋開動方法では、好ましくは、前記フック駆動部は、前記蓋開動ステップの後に、前記フックを前記一方向と反対方向に移動して前記フックを元の状態にするフック戻しステップを行い、
前記フック戻しステップは、前記蓋開動ステップ時に前記蓋を開けた位置から、前記蓋を閉める方向に移動させるようにしても良い。
(9)別の実施形態に係るリテーナ蓋開動方法は、好ましくは、前記蓋開動ステップの前若しくは前記蓋開動ステップの際に、押圧部を駆動するための押圧駆動部によって、前記押圧部を、前記リテーナを挟んで前記フックの反対側から前記リテーナを前記フックの方向に押圧する押圧ステップを行っても良い。
(10)上記目的を達成するための一実施形態に係るリテーナ蓋開動システムは、
シート状若しくはブロック状の加熱後の食肉を入れた開閉蓋式のリテーナと、前記リテーナの蓋を開けることのできるリテーナ蓋開動装置と、を備えるリテーナ蓋開動システムであって、
前記リテーナ蓋開動装置は、
前記リテーナの周囲の内、前記蓋の開口位置に備えられるフックと、
前記蓋の一部に前記フックを接触させた状態で、前記フックを少なくとも一方向に移動して前記蓋を開ける動作を実行するフック駆動部と、
を備える。
(11)別の実施形態に係るリテーナ蓋開動システムでは、好ましくは、前記フック駆動部は、前記フックを前記一方向とその反対方向に往復移動させて、前記蓋を開ける方向の動作と閉める方向の動作の両動作を行わせるようにしても良い。
(12)別の実施形態に係るリテーナ蓋開動システムは、好ましくは、
前記蓋を施錠状態から解錠状態にする解錠部と、
前記解錠部を駆動する解錠駆動部と、
をさらに備え、
前記リテーナは、前記蓋に固定されているロック部を備え、
前記ロック部は、前記蓋の周縁部と、前記蓋にて覆う容器の周縁部とを施錠する状態と解錠する状態との間で回動して、施錠と解錠とを切り替え可能な部材であって、
前記解錠部は、前記蓋を閉める方向に押圧して、前記ロック部を、前記蓋の解錠状態へと回動可能でも良い。
(13)別の実施形態に係るリテーナ蓋開動システムでは、好ましくは、前記リテーナは、前記蓋に、2以上の前記ロック部を備え、前記蓋は、前記ロック部の外側に、前記蓋の周縁部に沿って延びる把持部を備え、前記把持部は、2以上の前記ロック部を連結していても良い。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、リテーナの開錠後に、加熱された食肉とリテーナの蓋との付着を減らして、作業員の負担を軽減可能なリテーナ蓋開動装置、リテーナ蓋開動方法およびリテーナ蓋開動システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、加熱工程後のリテーナから食肉を取り出す状況を示す。
【
図2】
図2は、リテーナの蓋を開ける前のリテーナ蓋開動システムを上流側から見た図(2A)および当該システムを蓋の開く側から見た図(2B)を示す。
【
図3】
図3は、リテーナの蓋を開いた状態のリテーナ蓋開動システムを上流側から見た図(3A)および当該システムを蓋の開く側から見た図(3B)を示す。
【
図4】
図4は、
図2のリテーナの蓋をトレイから解錠する動作を示す。
【
図5】
図5は、
図4の動作の後に、リテーナの蓋を開ける動作、および当該動作に続いて蓋を閉める方向に戻す動作を示す。
【
図6】
図6は、リテーナの押出動作、ロック解除動作および蓋開動作を制御する制御装置およびその周辺装置の概略図を示す。
【
図7】
図7は、蓋に備えられているロック部と把持部との斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0010】
(定義)
(1)リテーナ
本願において、「リテーナ」とは、食肉を充填した蓋付きの容器を意味する。リテーナの形態は、特に制約されないが、リテーナの内部に空間を有する直方体に代表される多角体の他、同空間を有する円柱体若しくは楕円柱体である。
(2)食肉加工品
本願において、「食肉加工品」とは、食肉に対して加工を施したものを意味する。食肉加工品の代表例は、ベーコン、ソーセージ、プレスハム、ミートローフなどである。
(3)施錠及び解錠
本願において、「施錠」とは、リテーナの蓋を容易に開けられないようにロックすることを意味する。「解錠」とは、上記施錠されたリテーナの蓋を開けることができるようにロックを解除することを意味する。解錠と、リテーナの蓋を開けることとは異なる。
【0011】
(全体像)
図1は、加熱工程後のリテーナから食肉を取り出す状況を示す。
【0012】
加熱工程は、食肉を充填したリテーナ40を、加熱装置内に入れて行われる。加熱装置は、その形式に制約はないが、好適には、ヒータを備えた装置または高温の水蒸気を噴射する装置などである。この実施形態では、加熱された食肉として、ベーコンを例に説明する。加熱工程後のリテーナ40は、連続して、レーン2に運ばれる。以後、リテーナ40がレーン2を移動する方向の川上側を「上流側」と称し、同方向の川下側を「下流側」と称する。また、
図1以後の図において、X軸、Y軸およびZ軸の表記を示すことがある。X軸は、レーン2の幅方向である。Y軸は、レーン2の長さ方向である。Z軸は、X軸とY軸と直交する方向である。各軸において、ベクトルの向く方向を正の方向と称し、正の方向と反対方向を、負の方向と称する。
【0013】
レーン2の上流側には、リテーナ40を押し出すための押出板3が配置されている。レーン2の下流側には、リテーナ蓋開動装置10、さらにその下流側に作業台4が配置されている。リテーナ蓋開動装置10は、シート状若しくはブロック状のベーコンBを入れた開閉蓋式のリテーナ40の蓋を開動可能な装置である。
【0014】
押出板3を矢印Aの方向に所定時間おきに駆動させると、レーン2上のリテーナ40は、所定時間おきに下流へと運ばれる。押出板3の押出量は、リテーナ40がリテーナ蓋開動装置10の領域に停止可能に予め決められている。この実施形態では、押出板3は、リテーナ蓋開動装置10の領域に位置するリテーナ40を、その上流にてリテーナ蓋開動装置10に送られるのを待機している1つのリテーナ40を介して作業台4へと押し出す。ただし、待機しているリテーナ40の数は、1つに限定されず、2つ以上でも良い。
【0015】
また、この実施形態では、レーン2は、平滑で、かつそれ自体が非可動な経路であるが、これに代えて、ベルトを擁した駆動体とすることもできる。リテーナ蓋開動装置10は、ベーコンBを充填しているリテーナ40に対して、解錠およびリテーナ40の蓋を開ける動作(開動)の内の少なくとも開動を行う。解錠は、リテーナ蓋開動装置10にて行うのが好ましいが、リテーナ蓋開動装置10の上流側に、別の装置を配置して、当該別の装置にて行っても良い。
【0016】
リテーナ蓋開動装置10の下流側には作業台4が配置されている。作業台4では、リテーナ蓋開動装置10によって蓋を開動されたリテーナ40から、ベーコンBが取り出される。ベーコンBは、リテーナ40への強固な付着を防止するために、好適には、離型紙(離型布でも良いい)に包まれている。作業員M1は、リテーナ40から、離型紙に包まれたベーコンBを取り出し、別の作業員M2に当該ベーコンBを渡す(矢印Cを参照)。別の作業員M2は、離型紙をベーコンBから分離する。なお、一人の作業員が上記二人の作業員M1,M2の作業を行っても良い。
【0017】
この実施形態では、リテーナ40は、厚さの小さな直方体形状の容器であり、トレイ41と、蓋42と、一辺側にて蓋42をトレイ41に対して開閉可能に固定するヒンジ43とを備える。リテーナ40は、好適には、SUSに代表される耐熱性の金属にて構成されている。蓋42の開閉状態は、
図1のリテーナ40における実線と二点鎖線で示されている。
【0018】
加熱工程後、リテーナ40の蓋42とベーコンBとが付着していることがある。ベーコンBは離型紙で包まれていても、蓋42と離型紙とが付着している場合もある。蓋42に離型紙またはベーコンBが付着したまま、作業員M1が蓋42とベーコンBとの付着を剥がして蓋42を開ける作業は、作業員M1に余計な作業時間をもたらし、作業員M1に疲労をもたらす。さらには、当該作業は、リテーナ40からベーコンBを連続して取り出す工程の妨げとなる。そこで、次に説明するように、リテーナ蓋開動装置10によって、リテーナ40の蓋42を一定の開動作にて開けるようにした。
【0019】
(リテーナ蓋開動装置の構成)
図2は、リテーナの蓋を開ける前のリテーナ蓋開動システムを上流側から見た図(2A)および当該システムを蓋の開く側から見た図(2B)を示す。
図3は、リテーナの蓋を開いた状態のリテーナ蓋開動システムを上流側から見た図(3A)および当該システムを蓋の開く側から見た図(3B)を示す。
【0020】
レーン2の幅方向両側には、突出板5,6が備えられている。突出板5は、リテーナ40の蓋42を開く側に備えられている。突出板6は、ヒンジ43の側に備えられている。突出板5,6は、リテーナ40をレーン2に沿って移動できるように規制する機能を有する。リテーナ40の周囲の内、蓋42の開口位置には、蓋42の開動を行うための2つのフック12が備えられている。フック12は、その構成材料に制約はないが、好適には、SUSに代表される金属から構成されている。フック12の上方には、フック12の上下動を実行するための2つのフック駆動部14が備えられている。フック12およびフック駆動部14は、蓋42の長さ方向(Y軸方向)の両端近傍に配置されている。フック12は、軸13を介してフック駆動部14と連結されている。軸13は、フック駆動部14によって上下動可能である。フック駆動部14は、この実施形態では、蓋42の一部にフック12を接触させた状態で、フック12を少なくとも一方向(ここでは、上方向)に移動して蓋42を開ける動作を実行し、その後にフック12を前記一方向と反対方向(ここでは下方向)に移動してフック12を元の状態にする。フック12が接触する蓋42の一部は、この実施形態では、蓋42をトレイ41にロックするためのロック部44である。ロック部44は、蓋42の周縁部と、蓋42にて覆う容器(トレイ41)の周縁部とを施錠する状態と解錠する状態との間で回動して、施錠と解錠とを切り替え可能な部材である。ロック部44は、蓋42の長さ方向(Y方向)に間隔をおいて6個備えられている。ただし、ロック部44の数は1個、2個、または7個以上でも良い。ロック部44の構造については、後で詳述する。
【0021】
フック12は、フック12の上流側と下流側にそれぞれ立設されるカバー11,11の間にて上下動可能である。この実施形態では、フック駆動部14は、フック12を前記一方向とその反対方向に往復移動させて、蓋42を開ける方向の動作と閉める方向の動作の両動作を行わせている。この動作については後に詳述する。
【0022】
この実施形態では、フック駆動部14は、好適には、エアー圧によって駆動するエアーシリンダである。フック駆動部14は、コンプレッサからの圧縮空気を供給するためのチューブ15(矢印でINを表示)と、空気をシリンダから抜くためのチューブ16(矢印でOUTを表示)とに接続されている。以後、他の駆動部でも同様に、空気の供給方向と排出方向とを、それぞれ、矢印にて、INとOUTとで示す。なお、フック駆動部14は、エアーシリンダに限定されず、モータなどの他種駆動機器でも良い。この点は、他の駆動部22,34でも同様である。
【0023】
レーン2の突出板6側には、リテーナ40を蓋42の開く側へと押圧する押圧部20と、押圧部20を駆動する押圧駆動部22とが備えられている。押圧部20は、その構成材料に制約はないが、好適には、SUSに代表される金属にて構成される。押圧駆動部22は、固定板23に固定されている。押圧部20は、フック12を少なくとも一方向(ここでは、上方向)に移動するに際に、リテーナ40を挟んでフック12の反対側からリテーナ40をフック12の方向に押圧する機能を有する。押圧部20は、軸21を介して押圧駆動部22と接続されている。軸21は、押圧部20からリテーナ40の方向およびその反対方向に出し入れ可能に、押圧駆動部22に接続されている。この実施形態では、押圧駆動部22はエアーシリンダである。押圧駆動部22は、コンプレッサからの圧縮空気を供給するためのチューブ24と、空気をシリンダから抜くためのチューブ25とに接続されている。押圧部20は、リテーナ40の長さ方向(Y軸方向)に、1個のみ、あるいは2個以上設けることができる。リテーナ40の蓋42を開ける前または開ける際に、フック12は、フック12と反対側からリテーナ40を押圧することにより、リテーナ40がフック12から離れて移動しないようにしている。
【0024】
リテーナ蓋開動装置10は、リテーナ40の蓋42を施錠状態から解錠状態にする1つの解錠部30と、解錠部30を駆動する3つの解錠駆動部34と、を備える。解錠部30は、その構成材料に制約はないが、好適には、SUSに代表される金属にて構成される。この実施形態では、リテーナ蓋開動装置10は、蓋の42のロックを解除する機能も備える。リテーナ蓋開動装置10は、解錠駆動部34によって解錠部30を駆動して蓋42を解錠した後に、フック駆動部14によってフック12を移動させて蓋42を開ける。より具体的には、リテーナ蓋開動装置10では、解錠部30は、蓋42を閉める方向に押圧して蓋42を解錠している。蓋42をトレイ41に向かって押圧すると、ロック部44がトレイ41から外れる。蓋42を解錠するための具体的な構成は、以下の通りである。
【0025】
解錠部30および解錠部30の上部に連接している支持板31は、リテーナ40の長さ方向(Y軸方向)に沿って細長に構成されている。支持板31は、その上方にてストッパ32に接続されている。ストッパ32は、その上方にて、軸33に接続されている。軸33は、解錠駆動部34を上下方向(Z方向)に貫通しており、解錠駆動部34により往復可能である。解錠部30は、蓋42を破損しない程度に押圧して、所定の高さまで退避するように往復動作可能である。この実施形態では、解錠駆動部34はエアーシリンダである。解錠駆動部34は、コンプレッサからの圧縮空気を供給するためのチューブ36と、空気をシリンダから抜くためのチューブ37とに接続されている。なお、解錠駆動部34は、リテーナ蓋開動装置10の一構成部35に固定されており、容易に落下しないようになっている。
【0026】
図3に示すように、蓋42を開ける場合には、まず、押圧駆動部22は、押圧部20をリテーナ40に接触させ、リテーナ40を容易に動かないようにする(矢印Dを参照)。次に、解錠駆動部34は、解錠部30を蓋42の上から押圧して、ロック部44をトレイ41から外す。次に、解錠部30は上方に退避する。その後、フック駆動部14は、フック12が6個のロック部44の内の両側2つのロック部44の一部に接触した状態から、フック12を上方に移動させる(矢印Eを参照)。フック12の上方への移動によって、蓋42は、わずかに開く(矢印Fを参照)。蓋42の開動する角度は、特に制約はないが、解錠部30に接触せずに蓋42とベーコンBとの剥離効果を高める観点では、蓋42の閉じた状態から5~20度、好ましくは7~10度である。
【0027】
(リテーナ蓋開動システムおよびリテーナ蓋開動方法)
図4は、
図2のリテーナの蓋をトレイから解錠する動作を示す。
図5は、
図4の動作の後に、リテーナの蓋を開ける動作、および当該動作に続いて蓋を閉める方向に戻す動作を示す。
【0028】
まず、
図4のロック部近傍の拡大図を参照して、ロック部44とその周辺の構造を説明する。リテーナ40は、蓋42に、蓋42の長さ方向(Y方向)に沿って、6個のロック部44を備える。蓋42は、ロック部44の外側に、蓋42の周縁部41aに沿って延びる把持部49を備える。把持部49は、作業員M1が蓋42を開ける際に把持する部分である。ロック部44は、蓋42の周縁部42aと、蓋42にて覆うトレイ41の周縁部41aとを施錠する状態と解錠する状態との間で回動して、施錠と解錠とを切り替え可能な部材である。ロック部44は、周縁部42aに固定されている留め具46と、周縁部41aと周縁部42aとのロックを解除するときに移動可能な留め具47と、留め具46と留め具47とを接続する可動板45とを備える。ロック部44は、留め具46と周縁部42aとの固定点48を軸に回動(揺動ともいう)可能である。留め具47は、トレイ41の周縁部41aの下方に位置するときには、蓋42とトレイ41とは施錠された状態になる。留め具47が周縁部41aの下方から上方に移動して周縁部41aから外れると、蓋42とトレイ41とは解錠された状態になる。
【0029】
次に、リテーナ蓋開動方法について説明する。以下に説明するリテーナ蓋開動方法は、加熱後の食肉Bを入れた開閉蓋式のリテーナ40の蓋42を開動可能な方法である。当該方法は、好ましくは、蓋42の一部にフック12を接触させた状態で、フック12を少なくとも一方向(上方向:Z軸の正方向)に移動して蓋42を開ける動作を行う蓋開動ステップと、当該蓋開動ステップの後に、フック12を前記一方向と反対方向(下方向:Z軸の負方向)に移動してフック12を元の状態にするフック戻しステップと、を含む。フック戻しステップは、好ましくは、蓋開動ステップ時に蓋42を開けた位置から、蓋42を閉める方向に移動させるステップである。なお、フック戻しステップは、必須のステップではない。
【0030】
蓋開動ステップの前または蓋開動ステップの際に、リテーナ40を挟んでフック12の反対側からリテーナ40をフック12の方向に押圧する押圧ステップを行うこともできる。また、この実施形態では、蓋開動ステップに先立ち、蓋42をトレイ41から解錠する解錠ステップも行われる。以下、押圧ステップ、解錠ステップ、蓋開動ステップおよびフック戻しステップという一連の流れ(
図4のA,Bから
図5のC,Dへの流れ)について詳述する。
【0031】
(1)リテーナがリテーナ蓋開動装置の領域に運ばれた状態から行われる押圧ステップ(
図4のA)
リテーナ40は、施錠された状態にある。ロック部44の留め具47は、トレイ41の周縁部41aの下に位置しており、蓋42とトレイ41とをロックしている。解錠部30は、リテーナ40から離れた位置にある。この状態から、押圧ステップが行われる。具体的には、押圧駆動部22は、押圧部20をリテーナ40に当て(矢印Dを参照)、リテーナ40がフック12との接触位置から押圧部20の方向(X軸の負方向)に移動しないようにする。また、これによって、フック12と留め具47との接触状態を維持できる。加えて、押圧部20をリテーナ40に当てておくことで、フック12により蓋42を開ける際に、リテーナ40全体が持ち上がり、蓋42をトレイ41から開けられなくなるのを防止することができる。
【0032】
(2)リテーナの解錠ステップ(
図4のB)
解錠駆動部34は、解錠部30を下方(Z軸の負方向)に移動させ、解錠部30を蓋42の上に接触させた状態でリテーナ40を下方に加圧する(矢印Gを参照)。すなわち、解錠部30は、蓋42を閉める方向に押圧して、ロック部44を、蓋42の解錠状態へと回動させる。留め具47は、矢印H方向に回動して、トレイ41の周縁部41aから外れる。かかる動作によって、リテーナ40のロック状態が解除される。
【0033】
(3)蓋開動ステップ(
図5のC)
解錠ステップの後、解錠駆動部34は、解錠部30を上方(Z軸の正方向)に移動する(矢印Iを参照)。次に、蓋開動ステップが行われる。具体的には、フック駆動部14は、フック12を留め具47の下方に接触させた状態で、フック12を上方(Z軸の正方向)に移動させて(矢印Eを参照)、蓋42を開ける(矢印Fを参照)。
【0034】
(4)フック戻しステップ(
図5のD)
押圧駆動部22は、押圧部20をリテーナ40から離す(矢印Jを参照)。フック駆動部14は、フック12を下方(Z軸の負方向)に移動し(矢印Kを参照)、リテーナ40の蓋42を閉める方向に回動させる(矢印Lを参照)。なお、押圧部20をリテーナ40から離す動作は、リテーナ40の蓋を閉める方向に回動させる動作の後でも良い。この一連のステップによって、リテーナ40のロックを解除した後に、蓋42は、開閉両方向に動かされる。この結果、蓋42の裏側と、ベーコンB若しくはベーコンBを包んだ離型紙との付着が減り、作業員M1への負荷が低減される。
【0035】
このように、リテーナ蓋開動システム1において、フック駆動部14は、フック12を上下に往復移動させて、蓋42を開ける方向の動作と閉める方向の動作の両動作を行わせて、蓋42に一種の振動を与えることができる。
【0036】
また、リテーナ蓋開動システム1は、蓋42を施錠状態から解錠状態にする解錠部30と、解錠部30を駆動する解錠駆動部34とを備える。リテーナ40は、蓋42にロック部44を備える。ロック部44は、蓋42の周縁部42aと、蓋42にて覆うトレイ41の周縁部41aとを施錠する状態と解錠する状態との間で回動して、施錠と解錠とを切り替え可能な部材である。解錠部30は、蓋42を閉める方向に押圧して、ロック部44を、蓋42の解錠状態へと回動可能である。これによって、リテーナ蓋開動システム1は、リテーナ40のロックを解除する動作と、蓋を開ける動作と、の両動作を行うシステムとなる。
【0037】
(制御装置)
図6は、リテーナの押出動作、ロック解除動作および蓋開動作を制御する制御装置およびその周辺装置の概略図を示す。
【0038】
制御装置50は、中央処理装置(CPUという)51および記憶装置52を含む。記憶装置52は、CPU51がアクセスしてデータを読み込み可能なメモリであれば、特に制約はなく、例えば、RAM,ROM、EEPROMを例示できる。記憶装置52は、少なくとも、リテーナ蓋開動装置10の各種動作および押出板3の動作を制御するための制御プログラムを記憶する。CPU51は、記憶装置51内の制御プログラムを読みだして、フック駆動部14、押圧駆動部22および解錠駆動部34へのエアーの供給を制御するエアー制御装置60の制御と、押出板3を制御する押出板制御装置70の制御とを実行可能である。制御プログラムは、この実施形態では、主として時間制御によって各種動作を実行する。
【0039】
エアー制御装置60は、コンプレッサ62,63,64を制御する装置である。コンプレッサ62は、フック駆動部14にエアーを供給可能である。コンプレッサ63は、押圧駆動部22にエアーを供給可能である。コンプレッサ64は、解錠駆動部34にエアーを供給可能である。CPU51は、記憶装置52内の制御プログラムを読み込んで、エアー制御装置60に信号を送り、コンプレッサ62,63,64からフック駆動部14、押圧駆動部22および解錠駆動部34へとエアーを供給するようにしている。また、CPU51は、記憶装置52内の制御プログラムを読み込んで、押出板制御装置70に信号を送り、押出板3を駆動するようにしている。
【0040】
例えば、CPU51は、押出板制御装置70によって押出板3を駆動し、リテーナ40をあらかじめ決められた距離だけ移動し、リテーナ蓋開動装置10の領域に、蓋42を開ける対象のリテーナ40を運ぶ。その後、CPU51は、制御プログラムに従って、エアー制御装置60に信号を送り、押圧駆動部22によって押圧部20をリテーナ40に向けて移動し、リテーナ40をフック12側に押圧する。次に、CPU51はエアー制御装置60に信号を送り、解錠部30をリテーナ40に向けて移動し、蓋42をトレイ41から解錠する。解錠部30の下方への移動と上方への移動は、解錠駆動部34へのエアーの供給と排出によって実現する。CPU51は、制御プログラムに従って、エアーの供給と排出の時間の制御を行う。これは、以下の解錠駆動部34およびフック駆動部14の動作を制御する場合についても同様である。
【0041】
その後、CPU51は、制御プログラムに従って、エアー制御装置60に信号を送り、フック駆動部14によってフック12を上方に移動する。その後、CPU51は、制御プログラムに従って、押圧駆動部22によって押圧部20をリテーナ40から非接触の位置まで戻すように移動する。その後、CPU51は、制御プログラムに従って、フック12を下方に移動する。なお、押圧部20をリテーナ40から非接触の位置まで戻すように移動する動作は、フック12を下方に移動した後に行うようにしても良い。また、フック戻しステップは、上記実施形態では、蓋開動ステップ時に蓋42を開けた位置から、蓋42を閉める方向に移動させるようにしている。しかし、フック戻しステップは、蓋42を開けた状態に保留し、フック12のみを下げるようにしても良い。また、押圧部20のフック12側への駆動と、フック12の上方への駆動とは、同時でも良い。
【0042】
(ロック部と把持部との関係)
図7は、蓋に備えられているロック部と把持部との斜視図を示す。
【0043】
ロック部44は、前述の通り、蓋42の周縁部42aに、蓋42の長さ方向に沿って間隔をあけて6個備えられている。
図7では、3つのロック部44のみを示し、その他のロック部44を省略している。把持部49は、好適には、細長い円柱形状を有する。把持部49は、ロック部44を構成している可動板45に固定されている。フック12は、把持部49ではなく、可動板45の裏側に固定されている留め具47の下面に接した状態で、ロック部44を上方に持ち上げる(矢印Eを参照)。その結果、ロック部44は、回動する(矢印Hを参照)。把持部49は、6個のロック部44を連結している。このため、フック12によって、2個のロック部44のみを持ち上げても、全てのロック部44に対して、回動させる力を伝達できる。また、フック12によって把持部49を持ち上げないようにしているので、フック12が把持部49から滑って外れて蓋42の開ける動作を失敗し、あるいはフック12によって把持部49を傷つけるリスクを低減できる。この結果、作業員M1が傷の付いた把持部49で指を切る等のリスクを低減できる。
【0044】
(その他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されず、種々変更実施可能である。
【0045】
上記実施形態では、フック12は、蓋42の長さ方向の両端に2つ備えられている。フック駆動部14も、フック12と同様、蓋42の長さ方向の両端に2つ備えられている。しかし、フック12およびフック駆動部14は、蓋42の長さ方向略中央に1個ずつ備えられていても良い。また、フック12およびフック駆動部14は、蓋42の長さ方向に間隔をおき、それぞれ3個以上備えられていても良い。
【0046】
上記実施形態では、解錠部30は、蓋42の長さ方向に沿って長い1本の直方体である。しかし、解錠部30は、蓋42の長さ方向に間隔をおいて配置される2以上の構造物でも良い。解錠駆動部34は、蓋42の長さ方向に沿って3個配置されている。しかし、解錠駆動部34は、蓋42の長さ方向に沿って1個、2個または4個以上配置されていても良い。
【0047】
押圧部20は、リテーナ40の長さ方向に沿って細長い1個の構造物であっても良い。また、押圧部20は、リテーナ40の長さ方向に沿って間隔をおいて配置される2個以上の構造物でも良い。押圧駆動部22も、押圧部20と同様、1個または2個以上配置可能である。
【0048】
上述の実施形態では、フック駆動部14は、蓋42の一部にフック12を接触させた状態で、フック12を少なくとも一方向(ここでは、上方向)に移動して蓋42を開ける動作を実行し、その後にフック12を前記一方向と反対方向(ここでは下方向)に移動してフック12を元の状態にしている。しかし、フック駆動部14は、フック12を少なくとも一方向(ここでは、上方向)に移動して蓋42を開ける動作を実行するだけで、上記反対方向にフック12を移動させなくとも良い。また、フック駆動部14は、フック12が留め具47から外れるまでフック12を上昇させ、その後、フック12と留め具47とが非接触の状態にて、フック12を下降させても良い。押圧部20は、リテーナ40をフック12の方向に押圧せず、接触するだけの部材でも良い。さらには、フック12の軌道は、上下両方向への直線的な軌道ではなく、弧を描く軌道でも良い。
【0049】
解錠部30と解錠駆動部34は、リテーナ蓋開動装置10よりレーン2の上流側に配置される別の装置に備えられても良い。解錠部30は、蓋42を閉める方向に押圧して蓋42を解錠する以外に、蓋42を開ける方向に押し、あるいは蓋42のロック部を蓋42の長さ方向にスライドさせても良い。
【0050】
蓋開動ステップでは、フック12は、蓋42を開く方向に移動させ、その地点で蓋42をストップさせ、その後に蓋42と離れて下降しても良い。また、フック12は、蓋42を180度回動させても良い。これらの場合、蓋42は、フック12の下降時に、閉める方向には移動しない。しかし、蓋42の開動作のみによっても、ベーコンBと蓋42の裏側との付着を減らせる可能性はある。ただし、フック12の上昇と下降に伴い、蓋42が開閉両動作をする方が好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、食肉加工品の製造工程を行う産業において利用可能である。
【符号の説明】
【0052】
1・・・リテーナ蓋開動システム、10・・・リテーナ蓋開動装置、12・・・フック、14・・・フック駆動部(エアーシリンダ)、20・・・押圧部、22・・・押圧駆動部(エアーシリンダ)、30・・・解錠部、34・・・解錠駆動部、40・・・リテーナ、41・・・トレイ(容器)、42・・・蓋、44・・・ロック部(蓋の一部)、41a・・・周縁部、42a・・・周縁部、49・・・把持部、B・・・ベーコン(食肉の一例)。