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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022074755
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】茶園の雑草除去装置
(51)【国際特許分類】
   A01D 46/04 20060101AFI20220511BHJP
   A01M 21/02 20060101ALI20220511BHJP
   A01B 39/19 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
A01D46/04 Z
A01M21/02
A01B39/19
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020185077
(22)【出願日】2020-11-05
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和 1年11月 8日及び同月 9日[2019 お客様大感謝祭] 令和 1年11月18日 [農村ニュース] 令和 1年11月19日 [農機新聞]
(71)【出願人】
【識別番号】000250270
【氏名又は名称】落合刃物工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 勝也
【テーマコード(参考)】
2B034
2B075
2B121
【Fターム(参考)】
2B034AA07
2B034BA05
2B034BB02
2B034BC06
2B034BE01
2B034BE02
2B034HA16
2B034HA30
2B034HB14
2B075HA09
2B075HA20
2B075HD01
2B075HD02
2B075HD03
2B121AA19
2B121BB21
2B121BB32
2B121EA26
2B121EA30
(57)【要約】
【課題】茶樹が密集した茶畝内に生える蔓性雑草を、簡易且つ効率的に除去する有効な作業機械を提供する。
【解決手段】茶園の雑草除去装置1は、茶畝Tを跨いで走行する走行機体Sに装着される枠体10と、茶畝Tと交差する方向に延設される回転軸12と、回転軸12に基端側が固定され先端側が回転軸12から延びる掛け取り部13と、回転軸12を回転駆動する駆動部14とを備え、回転軸12を茶畝T上で回転させながら茶畝Tに沿って移動させることで、茶畝T内に進入した掛け取り部13によって畝内の蔓性雑草を掛け取り、掛け取った蔓性雑草を回転軸12に巻き付けて除去する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
茶畝を跨いで走行する走行機体に装着される枠体と、
前記枠体に支持され茶畝と交差する方向に延設される回転軸と、
前記回転軸に基端側が固定され先端側が前記回転軸から延びる掛け取り部と、
前記回転軸を回転駆動する駆動部とを備え、
前記回転軸を茶畝上で回転させながら茶畝に沿って移動させることで、茶畝内に進入した前記掛け取り部によって畝内の蔓性雑草を掛け取り、掛け取った蔓性雑草を前記回転軸に巻き付けて除去することを特徴とする茶園の雑草除去装置。
【請求項2】
前記回転軸は、茶畝に沿って延設される一対の腕部の先端部に両端がそれぞれ軸支されることを特徴とする請求項1に記載された茶園の雑草除去装置。
【請求項3】
前記枠体に支持され前記回転軸を上下に昇降させる昇降部を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載された茶園の雑草除去装置。
【請求項4】
前記掛け取り部は、前記回転軸から放射状に延設されて、前記回転軸に沿って設定間隔毎に複数配備され、
隣接配備された前記掛け取り部の延設方向を前記回転軸回りに設定角度ずらしていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載された茶園の雑草除去装置。
【請求項5】
前記掛け取り部の長さを、前記回転軸の中央部で短く前記回転軸の端部に行く程徐々に長くしたことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載された茶園の雑草除去装置。
【請求項6】
前記回転軸に、前記回転軸に巻き付いた蔓性雑草の取り除きを助ける蔓除去手段を設けたことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載された茶園の雑草除去装置。
【請求項7】
前記蔓除去手段は、前記回転軸に沿わせて配備され、
前記回転軸と前記蔓除去手段に蔓性雑草を巻き付かせることを特徴とする請求項6に記載された茶園の雑草除去装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載された茶園の雑草除去装置が装着される走行機体を備える管理機。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか1項に記載された茶園の雑草除去装置が装着される走行機体を備える摘採機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、茶園の雑草除去装置とそれを備える茶園用の管理機或いは摘採機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
茶の栽培では、新植した苗木は4~8年程度かけて大きくし、通常2年目以降あたりから、剪枝により主幹の徒長を抑え、側枝の生育を促して、茶畝の摘採面を拡大させる仕立てを行う。そして、苗木が生長して茶葉の摘採が行われるまでの間、畝間を耕す中耕除草や防除或いは施肥などの管理作業が行われ、また、一番茶を摘採した後も、二番茶摘採までの間、二番茶摘採後から三番茶摘採までの間に、引き続き、施肥、防除、整枝などの管理作業が行われる。
【0003】
前述した管理作業には、茶畝を跨いで走行しながら各種の管理作業を行う茶園管理機が用いられている。この茶園管理機は、茶園内で茶畝を跨いで走行する走行機体と、その走行機体に搭載される作業装置とを備えている(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-44003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
茶園の管理作業において、茶樹が成長した茶畝は、畝内に茶樹が密集した状態になって、中に人が入り込んで作業をすることが難しくなり、茶畝の幅が広い場合には畝間からでは畝の中央付近に作業者の手が届かないので、茶樹が成長した後の畝内の除草作業は特に困難な作業になる。また、茶畝の内側に生える雑草には、蔓状に伸びるもの(蔓性雑草)があり、これを除去するには長い蔓を一本ずつ抜き取る作業を繰り返さざるを得ず、人手での作業では大きな労力を要することになる。
【0006】
これまで、茶樹が密集した茶畝内に生える蔓性雑草を除去する作業は、人手で行われており、作業が困難で大きな労力を要することが問題になっていた。
【0007】
本発明は、このような事情に対処するために提案されたものであり、茶樹が密集した茶畝内に生える蔓性雑草を簡易且つ効率的に除去すること、が本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題を解決するために、本発明は、以下の構成を具備するものである。
茶畝を跨いで走行する走行機体に装着される枠体と、前記枠体に支持され茶畝と交差する方向に延設される回転軸と、前記回転軸に基端側が固定され先端側が前記回転軸から延びる掛け取り部と、前記回転軸を回転駆動する駆動部とを備え、前記回転軸を茶畝上で回転させながら茶畝に沿って移動させることで、茶畝内に進入した前記掛け取り部によって畝内の蔓性雑草を掛け取り、掛け取った蔓性雑草を前記回転軸に巻き付けて除去することを特徴とする茶園の雑草除去装置。
【発明の効果】
【0009】
このような特徴を備えた本発明の雑草除去装置は、茶樹が密集した茶畝内に生える蔓性雑草を簡易且つ効率的に除去することができる。
【0010】
また、茶園管理機に本発明の雑草除去装置を装着した場合には、施肥や防除などの管理作業と同工程で、蔓性雑草の除去作業を行うことができ、効率的な作業が可能になる。
【0011】
摘採機の進行方向前方側に本発明の雑草除去装置を装着した場合には、摘採作業と同工程で摘採を行う前に蔓性雑草の除去作業を行うことができるので、効率的な作業が行えると共に、摘採される茶葉に雑草が混入するのを抑止して、摘採された茶葉の品質を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る茶園の雑草除去装置の正面図。
図2】本発明の実施形態に係る茶園の雑草除去装置の平面図。
図3】回転軸と掛け取り部の一例を示した斜視図。
図4】昇降部の動作を示す説明図((a)が回転軸を上昇させた状態、(b)が回転軸を降下させた状態)。
図5】蔓除去手段の説明図。
図6】蔓除去手段の説明図。
図7】蔓除去手段の説明図。
図8】雑草除去装置を備えた管理機を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0014】
図1及び図2に示すように、本発明の実施形態にかかる茶園の雑草除去装置(以下、雑草除去装置)1は、茶畝Tを跨いで走行する走行機体Sに装着され、枠体10、回転軸12、掛け取り部13、駆動部14などを備えている。
【0015】
枠体10は、走行機体Sに対して固定状或いは着脱自在に装着される。雑草除去装置1をアタッチメントとして管理機や摘採機に装着する場合には、図示のように、枠体10は、管理機や摘採機における走行機体Sに着脱自在に装着するための接続部10A,10Bを備えている。
【0016】
図示の例では、枠体10は回転軸12を支持する腕部11を備えている。腕部11は、左右一対設けられ、基端側が枠体10に支持され、茶畝Tに沿って延設されている。一対の腕部11の間隔は、茶畝Tの横幅と同等か或いはそれより広い幅に設定される。図示の例では、一対の腕部11は、その間に固定される間隔保持枠11Aによって間隔が保持されており、基端側に軸支部11Bが設けられ、枠体10の軸支部10Cに対して基端側が軸支されている。
【0017】
回転軸12は、図示の例では、一対の腕部11の先端部に両端がそれぞれ軸支され、茶畝Tと交差する方向に延設されている。回転軸12の両端には軸受部12Aが設けられ、軸受部12Aが腕部11の軸受に軸支される。なお、回転軸12を支持する枠体10の構成はこのような構造に限定されない。
【0018】
回転軸12の軸周りには、基端側が回転軸12に固定され、先端側が回転軸12から延びる掛け取り部13が設けられている。
【0019】
掛け取り部13は、図3に示す例では、回転軸12から放射状に延設されて、回転軸12に沿って設定間隔毎に複数配備され、隣接配備された掛け取り部13の延設方向を回転軸12の回りに設定角度ずらしている。図示の例では、掛け取り部13は、回転軸12に垂直な一つの平面内では180°角度をずらして延設され、回転軸12に垂直な互いに隣接する平面内の掛け取り部13間では、90°角度をずらして延設されている。掛け取り部13の配置に関しては、この例に限らず、螺旋状に配置するなど、適宜に設定することができる。
【0020】
掛け取り部13は、図示の例では、直線的な棒状部材で構成されている。この例では、棒状の掛け取り部13は、茶畝Tの上面の曲面に合わせてその長さが設定されており、その長さは、回転軸12の中央部で短く、回転軸12の端部に行く程徐々に長くなっている。図示の例では、直線的な棒状部材で掛け取り部13を形成したが、これは一例であり、他の構成として、全体的に湾曲させたものや先端部のみを湾曲させたものなど、蔓状雑草が掛かり易い適宜の形状に変更することができる。
【0021】
駆動部14は、図示の例では、腕部11に設けられ、回転軸12を回転駆動するものであり、モータ(電動モータや油圧モータ)14Aと、モータ14Aの回転をチェーン伝動などで回転軸12に伝える伝動部14Bを備える。
【0022】
また、図示の雑草除去装置1は、枠体10に支持され回転軸12を上下に昇降させる昇降部15を備える。図示の例では、昇降部15は、腕部11の先端側を上下に昇降させる。図示の昇降部15は、一端が枠体10におけるマスト部10Mに軸支されると共に他端が腕部11の間隔保持枠11Aに軸支された伸縮シリンダ15Aを具備している。図4(a)に示すように、伸縮シリンダ15Aが縮小することで、腕部11の先端側を上昇させて、腕部11の先端部に軸支される回転軸12を茶畝Tから離した位置に保持し、図4(b)に示すように、伸縮シリンダ15Aが伸長することで、腕部11の先端側を降下させて、回転軸12を茶畝Tに近づける。なお、回転軸12を上下に昇降させる機構は図示の例に限らず、ウインチなどの周知の昇降機構を採用することができる。
【0023】
このような雑草除去装置1は、走行機体Sを茶畝Tに沿って走行させながら除草作業を行うもので、回転軸12を茶畝Tに近づけて、回転軸12を茶畝T上で回転させながら茶畝Tに沿って移動させることで、茶畝T内に進入した掛け取り部13によって畝内の蔓性雑草を掛け取り、掛け取った蔓性雑草を回転軸12に巻き付けて除去する。
【0024】
除草作業を行った後は、回転軸12に雑草の蔓が巻き付いた状態になる。雑草除去装置1の回転軸12には、回転軸12に巻き付いた蔓性雑草の取り除きを助ける蔓除去手段20を設けることができる。蔓除去手段20は、回転軸12に沿わせて配備され、回転軸12と蔓除去手段20に蔓性雑草を巻き付かせることで、巻き付いた蔓性雑草の取り除きを助ける。
【0025】
図5及び図6は、蔓除去手段20の一例を示している。図示の蔓除去手段20は、回転軸12に巻き付いた蔓を切断して取り除くものであり、図5に示すように、回転軸12に蔓除去手段20を沿わせた状態で、回転軸12と蔓除去手段20に蔓性雑草を巻き付かせ、図6に示すように、蔓除去手段20を回転軸12から離間させることで、回転軸12に巻き付いた蔓性雑草を切断して除去する。
【0026】
図5及び図6に示した例では、蔓除去手段20は、カッター部材20Aを備えている。カッター部材20Aは、その一端側が回転軸12の中央付近で回転軸12の外周面に設けた軸支部12Pで軸支されており、その他端には取っ手20Bが設けられ、カッター部材20Aの他端側は、回転軸12の外周面に設けた保持部12Qで保持されている。図示の例では、回転軸12の中央付近で180度異なる位置に軸支されたカッター部材20Aが、左右に一対延設されている。
【0027】
図5及び図6に示した例では、図5に示すように、カッター部材20Aを回転軸12に沿わせた状態で除草作業を行い、図6に示すように、取っ手20Bを作業者が持ってカッター部材20Aの他端側を回転軸12から離間させることで、カッター部材20Aの刃で巻き付いた蔓を切断して除去することができる。
【0028】
蔓除去手段20における前述の形態としては、カッター部材20Aのように刃を持つ形態に替えて、ワイヤ状のものや、刃を持たない棒状部材など、回転軸12に沿って配備することができるものであれば、その形態はどのようなものであっても構わない。
【0029】
図7は、蔓除去手段20の他の例を示している。この例では、回転軸12に沿って棒状部材20Cを固定配置している。棒状部材20Cは回転軸12との間に所定の間隔を空けて配備されている。巻き取った蔓性雑草は、回転軸12と棒状部材20Cに巻き付くことになるので、回転軸12と棒状部材20Cとの間の隙間に鎌などを入れることで簡易に巻き取った蔓を除去することができる。この際、巻き取った蔓と回転軸12と間に隙間ができればよいので、蔓除去手段20の構造は、図示の例に限らない。
【0030】
図8は、雑草除去装置1を管理機100に装着した状態を示している。このように、管理機100の走行機体Sに除草作業装置1を装着することで、施肥や防除などの管理作業と同工程で、蔓性雑草の除去作業を行うことができ、効率的な作業が可能になる。図示は省略したが、茶葉の摘採機にも除草作業機1を装着することができ、摘採機の走行機体Sの進行方向前方側に雑草除去装置1を装着することで、摘採作業と同工程で摘採を行う前に蔓性雑草の除去作業を行うことができる。これにより、効率的な作業が行えると共に、摘採される茶葉に雑草が混入するのを抑止して、摘採された茶葉の品質を高めることができる。
【0031】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。また、上述の各実施の形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0032】
1:雑草除去装置,
10:枠体,10A,10B:接続部,10C:軸支部,10M:マスト部,
11:腕部,11A:間隔保持枠,11B:軸支部,
12:回転軸,12A:軸受部,12P:軸支部,12Q:保持部,
13:掛け取り部,
14:駆動部,14A:モータ,14B:伝動部,
15:昇降部,15A:伸縮シリンダ,
20:蔓除去手段,
20A:カッター部材,20B:取っ手,20C:棒状部材,
100:管理機,S:走行機体,T:茶畝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8