IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 理想科学工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-部材搬送装置 図1
  • 特開-部材搬送装置 図2
  • 特開-部材搬送装置 図3
  • 特開-部材搬送装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022007476
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】部材搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B41L 13/04 20060101AFI20220105BHJP
   B41F 33/00 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
B41L13/04 K
B41L13/04 B
B41F33/00 620
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020110483
(22)【出願日】2020-06-26
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】新屋 雅司
【テーマコード(参考)】
2C250
【Fターム(参考)】
2C250EB50
2C250EC03
(57)【要約】
【課題】異物によってセンサの破損や変形をさせない部材搬送装置を提供する。
【解決手段】搬送される部材の位置を検出する位置検出部17と、位置検出部17の検出結果から部材の位置を異常と判定する判定部61と、位置検出部17を可動させる可動部18と、を備え、判定部61により部材の位置が異常と判定されると同時に、位置検出部17が部材側から押圧されたとき、可動部18により位置検出部17が部材側から退避する方向に可動する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される部材の位置を検出する位置検出部と、
前記位置検出部の検出結果から前記部材の位置を異常と判定する判定部と、
前記位置検出部を可動させる可動部と、を備え、
前記判定部により前記部材の位置が異常と判定されると同時に、前記位置検出部が前記部材側から押圧されたとき、前記可動部により前記位置検出部が前記部材側から退避する方向に可動する
ことを特徴とする部材搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部材を搬送する部材搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば孔版印刷装置の孔版ドラムの回転基準を検出するのに、孔版ドラムと一体となって回転する遮蔽板の位置を透過型センサで検出する方法が知られている。この方法では、ジャム用紙が貼り付いた孔版ドラムが回転することで、透過型センサとジャム用紙が衝突し、透過型センサが変形・破損する場合がある。
【0003】
そこで、遮蔽版に斜面を形成し、ジャム用紙を逃げ易くした構成が例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4651968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の構成では、遮蔽版の間に異物を挟んで透過型センサ保護部材と衝突(接触)するので透過型センサが破損してしまう他、保護されていたとしても、透過型センサ保護部材や遮蔽版、透過型センサを取付けている部品を変形させてしまい、これらが破損、変形すれば、回転時の基準位置が狂い、正確な印刷が出来なくなってしまうという課題がある。
【0006】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、異物によってセンサの破損や変形をさせない部材搬送装置を提供することを目的とする。ここで部材とは、例えば孔版印刷装置が搬送する主に用紙のことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る部材搬送装置は、搬送される部材の位置を検出する位置検出部と、前記位置検出部の検出結果から前記部材の位置を異常と判定する判定部と、前記位置検出部を可動させる可動部と、を備え、前記判定部により前記部材の位置が異常と判定されると同時に、前記位置検出部が前記部材側から押圧されたとき、前記可動部により前記位置検出部が前記部材側から退避する方向に可動する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、異物によってセンサの破損や変形をさせない部材搬送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る部材搬送装置を備える孔版印刷装置の概略の機能構成例を示す図である。
図2】位置検出部と可動部を図1に示す矢印A方向から見た形状を模式的に示す図である。
図3図2に示す可動部が回避している様子を模式的に示す図である。
図4図1に示す位置検出部と可動部をR方向から見た正面を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図面を通じて同一若しくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る部材搬送装置の概略の機能構成例を示す図である。図1に示す部材搬送装置1は、孔版印刷装置に適用した例を示す。孔版印刷装置は、ガリ版と同じ原理であり、印刷の元となる版を作り内部の孔版ドラムに巻き付け、孔版ドラムの内部から用紙にインクを転写して印刷する印刷機である。なお、孔版印刷装置は一例であり、本実施形態に係る部材搬送装置1は例えばインクジェット方式の印刷機に適用しても構わない。
【0012】
部材搬送装置1は、供給部2、部材センサ3、印刷部4、排出部5、及び制御部6を備える。なお、図1は、説明に必要な最小限の構成を示し、例えば、製版部、排版部、及び操作部等の機能構成部の表記は省略している。
【0013】
図1において、左側は部材搬送装置1が実行する搬送工程の上流、右側は同下流である。左右方向と直交する方向を上下、また、奥側をフロント(F)、手前側をリア(R)と定義する。
【0014】
供給部2は、印刷部4へ用紙Pを給紙する。供給部2は、供給台11と、1次供給ローラ12と、2次供給ローラ13とを備える。以降、用紙Pは部材と称する。
【0015】
供給台11は、印刷に用いられる部材が積載されるものである。
【0016】
1次供給ローラ12は、供給台11上に積載された部材を1枚ずつ取り出しつつ2次供給ローラ13へ搬送する。
【0017】
2次給紙ローラ13は、1次供給ローラ12から搬送されてきた部材を印刷部4へ搬送する。
【0018】
部材センサ3は、1次供給ローラ12と2次供給ローラ13との間において、搬送される部材を検出する。部材センサ3は、発光部3aと、受光部3bとを備える。
【0019】
印刷部4は、供給部2から供給された部材に印刷を行う。印刷部4は、給紙部2の下流側に配置されている。印刷部4は、孔版ドラム16、位置検出部17、可動部18、判定部61、メインモータ(図示せず)、プレスローラ19、プレスローラ駆動部(図示せず)とを備える。判定部61は制御部6に含まれる。
【0020】
孔版ドラム16は、部材にインクを転写して印刷する。孔版ドラム16は、図1における反時計方向に回転可能に構成されている。孔版ドラム16は、円筒形状を有し、多孔構造によるインク透過性の部材で周壁が構成されている。孔版ドラム16の外周面には、製版された孔版原紙が巻装される。孔版ドラム16の内周面には、インク供給部(図示せず)からインクが供給される。孔版ドラム16が回転してプレスローラ19との間で用紙Pを搬送しつつ、インクが孔版ドラム16の周壁及び孔版原紙の穿孔部分を通過して用紙Pに転写されることで印刷が行われる。このように、孔版ドラム16は部材を搬送する部材の一つである。
【0021】
位置検出部17は、孔版ドラム16の基準位置を検出する。つまり、搬送される部材の位置を検出する。位置検出部17は、透過型の光学センサからなる位置センサであり、孔版ドラム16の奥側(F)の端面の外周に近い部分に設けられた遮蔽板16aが光を遮断することを検出する。
【0022】
可動部18は、位置検出部17と異物αの接触を回避する。例えば、ジャム用紙、メンテナンス時に置き忘れた手袋等の異物αが遮蔽板16aに引っ掛かった状態で回転してきた場合に、可動部18は奥方向(F)に移動して異物αと位置検出部17との接触を回避する。可動部18について詳しくは後述する。
【0023】
プレスローラ19は、2次供給ローラ13より送り出されてきた部材を孔版ドラム16の外周面に押し付ける。プレスローラ19は、上下方向に移動可能に構成されている。
【0024】
排出部5は、印刷部4で印刷された部材を排出する。排出部5は、印刷部4の下流側に配置されている。排出部5は、ベルト搬送部21、排出モータ(図示せず)、排出台23とを備える。
【0025】
ベルト搬送部21は、分離爪(図示せず)により孔版ドラム16から剥離された部材を排出台23へ搬送する。
【0026】
排出台23は、ベルト搬送部21により搬送された印刷済みの部材が積載されるものである。
【0027】
(可動部)
図2は、位置検出部17と可動部18を、図1に示す矢印A方向から見た形状を模式的に示す図である。位置検出部17は、例えば、発光素子及び受光素子を具備した透過型の光学センサ(フォトインタラプタ)である。
【0028】
可動部18は、センサ固定板18a、可動板18b、蝶番18c、及び弾性体18eを備える。
【0029】
図2に示す位置検出部17を右下から反時計方向に見た平面は、カタカナのコ形状であり、その上下方向の中心部分にスリットを備える。そのスリット部分を通過する光を遮蔽板16aが遮ることで孔版ドラム16の基準位置を検出する。
【0030】
位置検出部17は、センサ固定板18aに固定される。センサ固定板18aの平面は、例えば左方向に2箇所切り欠かれた(凹)凡そアルファベットのF字の形状(図4)をしている。位置検出部17は、2つの凹部の間にスリットが位置するように固定される。そのセンサ固定板18aは可動板18bに固定される。
【0031】
可動板18bは保護板18b,18bを有する。保護板18b,18bは、孔版ドラム16の回転方向(左)に傾斜し、位置検出部17の手前に設けられる。
【0032】
センサ固定板18aと可動板18bは、可動板18bの保護板18b,18bがセンサ固定板18の2つの凹部の位置(図4)にそれぞれ配置するように固定される。
【0033】
孔版ドラム16が回転すると、遮蔽板16aは、保護板18b,と保護板18bの間と、位置検出部17のスリットの両方を通過する。
【0034】
可動板18bの位置検出部17と反対側の端部は、蝶番18cの一方の可動片に固定される。蝶番18cの他方の可動片は、筐体固定金具18dに固定される。
【0035】
蝶番18cは、その回動中心を位置検出部17と反対側の可動板18bの端部に位置させ、可動板18bを筐体側に移動できるように固定する。つまり、蝶番10cは、センサ固定板18aと可動板18bを、孔版ドラム16の回転方向と直交する方向に可動可能にして筐体(図示せず)に取付ける。
【0036】
筐体固定金具18dは、図2に示すように、その平面形状は上が短いアルファベットのL字形状である。また、正面形状は鉤型である。図2に示す筐体固定金具18dの形状は一例であり、この形状に限られない。可動板18bと蝶番18cを上記のように固定できればどのような形状であっても構わない。
【0037】
弾性体18eは、蝶番18cの回動中心に設けられ可動板18bを孔版ドラム16の回転方向と平行になるように付勢する。弾性体18eは、バネでもよいし、ゴムでもよい。
【0038】
図3は、可動部18が異物αとの接触を回避している様子を模式的に示す図である。
【0039】
遮蔽板16aに何らかの原因でジャム用紙等の異物αが引っ掛かった状態で孔版ドラム16が回転すると、異物αと保護板18b,18bとが接触する(図3)。そうすると、保護板18b,18bは孔版ドラム16の回転方向に傾斜しているので、蝶番18cの回動中心に、矢印A方向から見て時計方向のモーメントが働き、可動板18bは奥方向(F)に移動する。その結果、位置検出部17と異物αとの接触を回避することができる。
【0040】
判定部61は、可動部18が異物αとの接触を回避している場合に、異物αの除去を利用者に促す制御信号を生成する。これにより、利用者に位置検出部17の部分の点検を促すことができる。制御信号は、部材搬送装置1の図示を省略している表示部に表示してもよいし、音声で出力してもよい。
【0041】
図4は、位置検出部17と可動部18をR方向から見た正面を模式的に示す図である。図4において、蝶番18cと筐体固定金具18dの表記は省略している。
【0042】
図4に示すように、センサ固定板18aの平面形状は凡そアルファベットのF字状であり、そのセンサ固定板18aの2つの切り欠かれたそれぞれの部分に、保護板18b,18bが挿入されて可動板18bが蝶番18cを介して筐体に固定される。遮蔽板16aは、保護板18bと18bの間と、位置検出部17のスリットを通過する。
【0043】
以上説明したように、本実施形態に係る部材搬送装置は、搬送される部材の位置を検出する位置検出部17と、位置検出部17の検出結果から部材の位置を異常と判定する判定部61と、位置検出部17を可動させる可動部18と、を備え、判定部61により部材の位置が異常と判定されると同時に、位置検出部17が部材側から押圧されたとき、可動部18により位置検出部17が部材側から退避する方向に可動する。これにより、異物αによってセンサの破損や変形させない部材搬送装置を提供することができる。
【0044】
なお、上記の実施例は、本実施形態に係る構成を孔版印刷装置に適用する例で説明したが、本発明はこの例に限定されない。本発明は、他の方式の印刷装置の部材を搬送する部材の位置を検出する検出部分に適用することも可能である。
【0045】
また、位置検出部17は、発光素子及び受光素子を具備した透過型の光学センサを例に説明したが、この例に限定されない。他方式のセンサを用いても同じ作用効果を得ることができる。
【0046】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【0047】
[付記]
本出願は、以下の発明を開示する。
【0048】
(付記1)
搬送される部材の位置を検出する位置検出部と、
前記位置検出部の検出結果から前記部材の位置を異常と判定する判定部と、
前記位置検出部を可動させる可動部と、を備え、
前記判定部により前記部材の位置が異常と判定されると同時に、前記位置検出部が前記部材側から押圧されたとき、前記可動部により前記位置検出部が前記部材側から退避する方向に可動する
ことを特徴とする部材搬送装置。
【0049】
(付記2)
前記可動部は、
前記位置検出部が固定されるセンサ固定板と、
前記異物の移動方向に傾斜し、前記位置検出部の手前に設けられる保護板を有し、前記センサ固定板が固定される可動板と、
前記可動板を前記異物の移動方向と直交する方向に可動可能にして筐体に取付けられる蝶番と、
前記蝶番の回動中心に設けられ前記可動板を前記異物の移動方向に平行になるように付勢する弾性体と
を備える付記1に記載の部材搬送装置。
【0050】
(付記3)
前記判定部は、
前記可動部が前記異物との接触を回避している場合に、前記異物の除去を利用者に促す制御信号を生成する
付記1又2に記載の部材搬送装置。
【符号の説明】
【0051】
1 部材搬送装置
2 供給部
3 部材センサ
4 印刷部
5 排出部
6 制御部
61 判定部
17 位置検出部
18 可動部
18a センサ固定板
18b 可動板
18c 蝶番
18e 弾性体
図1
図2
図3
図4